JP4310531B2 - 骨接合術のための多軸連結 - Google Patents

Description

【０００１】
（発明の属する技術分野）
本発明は、特に脊柱のための多軸連結による骨接合システムに関するものである。
【０００２】
（発明の背景）
例えば、特に後部接近ルートを利用した、脊柱への外科治療において、外科医は、アンカー部材のアライメント不良と、２つの隣接した椎骨上におけるアンカー部材間の干渉という問題に直面することがよくある。この問題によって、手術時間が長くなるか、または、あり得る最良の状態下で外科医が所望の処置を行うことが、妨げられる。この問題の原因は、種々の椎骨を連結する部材と、該椎骨内に移植されるアンカー部材との間の連結部材が、アンカー部材に堅固に連結されることにある。
【０００３】
国際出願公開第ＷＯ９７／０２７８６号明細書は、部材間の多軸連結を開示している。アンカー部材は、半球状ヘッドを有している。連結部材は、種々の椎骨を連結する部材を受け入れる手段に加えて、半球状ヘッドを受け入れるように適合され底部にあり縦に割れたチャンバー（split chamber）を含んでいる。連結部材の外面は、底端に向かってフレア状である円錐形状を有している。締め付けカラーが、円錐部分上を圧迫するように連結部材の上部上に螺合され得る。連結部材は、堅く締め付ける前には、アンカー部材に対して自由に回転する。椎骨を接続する部材を堅く締め付けると、所定位置へのロックが行われ、締め付けカラーを圧迫し、同時に、アンカー部材の半球状ヘッド上において受け入れチャンバーを閉鎖する。
【０００４】
部品の数が多いことによる位置決めロック機構の複雑さによって、外科医は、補足の操作を行われなければならず、結果として、手術時間が長くなる。
【０００５】
（発明の概要）
本発明の目的は、簡単に利用されるとともに、取付のための操作が少数だけでよい多軸連結装置を提供することである。
【０００６】
この目的を達成するために、本発明は、特に脊柱のための多軸連結による骨接合システムを提供し、ヘッドを有する骨アンカー部材と、連結部材と、ヘッドを受け入れるように適合された変形可能な第１のハウジング及び連結部材を受け入れるように適合された第２のハウジングを有するコネクタとを備え、本システムは、第２のハウジング内に連結部材を締め付けるための締め付け手段を含んでいる。コネクタは、締め付け手段が第２のハウジング内に連結部材に荷重をかけると、連結部材が、コネクタに直接的に荷重をかけて、第１のハウジングを変形させその中にヘッドを固定するようになっている。
【０００７】
それに伴い、変形可能な第１のハウジングは、ヘッド上へ閉鎖される。これによって、部品の数が減少するので、装置の使用が簡略化される。
【０００８】
第１のハウジングは凸状面を有するチャンバーを含むのが、有利である。
【０００９】
凸状面チャンバーは、ヘッドの凸状面の全てまたは一部に対して相補的であるのが、有利である。
【００１０】
第１のハウジングは、ヘッドの一部分を受け入れるように適合された孔を含むのが、有利である。
【００１１】
コネクタは第１のハウジング内にスロットを含むのが、有利である。
【００１２】
それに伴い、第１のハウジングは、ヘッドを挿入しかつ装置を所定位置にロックしている間に、さらに著しく弾性変形が可能である。
【００１３】
ヘッドは、球状部を有するのが有利である。
【００１４】
第２のハウジングは、軸線を有するＵ字状開口部と、相互に間隔をおいて向き合った２つの分岐部とを有するのが、有利である。
【００１５】
スロットは、Ｕ字状開口部の軸線に垂直であるのが有利である。
【００１６】
Ｕ字状開口部の分岐部は、ねじ溝を有するのが有利である。
【００１７】
締め付け手段は、Ｕ字状開口部の分岐部間において係合するように適合されたロック部材を含むのが、有利である。
【００１８】
締め付け手段は、Ｕ字状開口部の分岐部を囲んで嵌まるように適合されたフランジを含むのが、有利である。
【００１９】
よって、ナットを締め付けると、フランジによって、Ｕ字状開口部の分岐部の広がりが防止される。
【００２０】
ねじ溝は、ねじ軸線に実質的に垂直でありかつ締め付け手段をコネクタ上に貫入する方向に向けられた面を有しているのが、有利である。
【００２１】
従って、締め付け中に、ロック部材のねじ軸線に実質的に垂直な面が、Ｕ字状開口部の分岐部の面に接触する。このようにして生じる反力は、ねじ軸線に実質的に平行であり、これによって、もしそうでなければＵ字状開口部の分岐部が広がってしまう径方向の反力が、最小限となる。
【００２２】
本発明の他の特徴及び利点は、非限定的例によって説明される、３つの好ましい実施形態についての以下の説明をする間に、より明らかとなるだろう。
【００２３】
（好ましい実施形態）
本発明の第１の実施形態を図１から図６ａに関連して説明する。
【００２４】
骨接合システムは、少なくとも２つの椎骨アンカー部材２と、アンカー部材２及び、骨接合システムの他のアンカー部材（図示せず）間の例えばロッドのような連結手段４と、部材２に嵌まるように適合されたコネクタ６と、コネクタ６と協働するように適合されたロック部材８と、を含んでいる。
【００２５】
本明細書においては骨ねじの形をした椎骨アンカー部材２は、骨ねじ山（図示せず）を有し螺合される円形断面で円筒形の本体１０を含んでいる。前記椎骨アンカー部材は、本明細書において回転軸線がねじ軸線１６と一致する面である凸状面１４を有するヘッド１２も備えている。該凸状面は、球状側部１８と、ねじ軸線に垂直で平らな上部２２と、それらの間を結ぶ丸縁部２０と、を有している。ヘッド１２は、本明細書では六角形ソケット２４の形状である、ねじ２を操作するための手段２４を含んでいる。
【００２６】
本明細書において、前記ロック部材は、後述の、概ねねじ状であり、コネクタ６上のねじ溝２８と協働するように適合されたねじ山２６を有している。後者は、六角形のソケット３０形状の操作手段３０も含んでいる。
【００２７】
コネクタ６は、骨ねじ２と連結ロッド４との間における連結部材を提供する。この連結部材の一般的な形状は、円形断面の円筒形である。それは、連結ロッド４に接続するための上部６ａと、骨ねじ２に接続するための底部６ｂとを有している。
【００２８】
連結部材６の上部６ａは、相互に間隔を置いて向き合った２つの分岐部３４により画定されるとともに軸線４２を有するＵ字状開口部３２を含んでいる。２つの分岐部３４は、連結部材６を形成し共通の円形断面で円筒形である２つの扇形を構成している。分岐部３４の円筒形外面３６は、同軸で滑らかである。それらは、Ｕ字状開口部３２の軸線４２に平行で平らな底面を有し例えばノッチ状の保持手段３８を、各分岐部３４上に含み得る。ノッチ３８は、Ｕ字状開口部３２の中央面に対して、相互に対称的な鏡像である。分岐部の円筒形内面２８は、同軸で、螺合される。それらのねじ溝は、ロック部材のねじ山２６と協働するように適合されている。２つのねじ山２６及びねじ溝２８は、相補的であり、「クリスマスツリー状」ねじと呼ばれる。ねじ溝２８は、ねじ溝の軸線に実質的に垂直な第１の面８０と、ねじ溝底部を画定しねじ溝軸線に実質的に平行な第２の面８１と、第１の面８０に向き合っているとともに第１の面８０の方向に対して軸方向に傾斜させることができる第３の面８３と、ねじ溝頂部を画定しねじ溝軸線に実質的に平行な第４の面８２とを有している。ねじ山２６は、第１の面８０に平行かつ相補的な第１の面９０と、ねじ山頂部を画定しねじ山軸線に実質的に平行な第２の面９１と、第３の面８３と実質的に平行かつ相補的な第３の面９３と、ねじ山の底部を画定しねじ山軸線に実質的に平行な第４の面９２と有している。締め付け中に、ねじ溝２８の第１の面９０は、ねじ山２６の第１の面８０と接触する。このようにして生じる反力Ｆｒは、ねじ軸線に平行な垂直分力Ｆｎと、径方向に横向きの分力Ｆｓとを有する。横向き分力Ｆｓによって、ロック部材８を締めている間に分岐部３４を広げることができるが、前述したねじ山２６、ねじ溝２８の個々の形状によって、横向き分力Ｆｓが減少して、これにより、締め付け中の分岐部３４の広がりは低減される。
【００２９】
軸線４２に垂直な平面において、Ｕ字状開口部３２の底部４０は、連結ロッド４を受け入れるように半円形であり、その直径は、連結ロッド４の直径と同じである。他方で、底部４０は、Ｕ字状開口部３２の中央平面内に、コネクタ６の上部６ａと同じ側に配置され湾曲した中央部を備えた凹所を有している。最後に、底部４０は、連結ロッド４を受け入れるシートを提供し軸線４２に平行な端部４４を有している。
【００３０】
コネクタ６の底部６ｂは、挿入口５０において底面４８へ開口するとともに連通口５２においてＵ字状開口部３２の底部４０へ開口するハウジング４６を含んでいる。円形断面の挿入口５０によって、骨ねじ２のヘッド１２をハウジング４６内に挿入することができる。ハウジング４６は、骨ねじ２のヘッド１２を受け入れるように適合され部分的に球状の底チャンバー５４を有している。底チャンバー５４の形状は、ヘッド１２の凸状面１４の球状側部１８に対して相補的である。スロット５６は、底部６ｂを直径方向に横切っている。スロット５６は、Ｕ字状開口部３２の軸線４２に対して垂直である。それは、コネクタ６の底面４８までは下向きに、Ｕ字状開口部３２の底部４０へ開口するまでは上向きに延びている。それに伴い、底部６ｂは、スロット５６の中央面について相互に対称的な鏡像である２つのサブパート５８及び６０に分割されている。スロット５６によって、受け入れ空間４６の変形が容易となるので、ヘッド１２は、容易にコネクタ６内へクリップ留めされる。
【００３１】
処置の前に、各コネクタ６は、骨ねじ２のヘッド１２へクリップ留めすることによって予め装着される。骨ねじは、連通口５２を介して操作手段２４内に挿入される器具を用いて、患者内に植え込まれる。ねじ２が植え込まれると、コネクタ６は、ねじ２に対して自由に回転する。コネクタ及びねじは、ヘッド１２及び底チャンバー５４により形成されるボール・ソケット連結（ball-and-socket connection）によって、連結される。連結ロッド４は、底部４０の端部４４上に載るようにＵ字状開口部３２内に取り付けられる。次に、ロック部材８が、相互に係合されるねじ山２６及びねじ溝２８を備えた開口部３２の分岐部３４間に係合される。次に、外科医が、ロック部材８をしっかり締めて、ロック部材８が、ロッド４に押し付けられる。ロック部材８は、ロッド４を圧迫する。ロッド４は、底部４０の端部４４を圧迫し、底部４０は、開口部３２の軸線４２に垂直なスロット５６があるために変形し、開口部３２は、２つのサブパート５８及び６０を互いに接近させながら閉鎖される。その結果、受け入れ空間４６及びチャンバー５４は、骨ねじ２のヘッド１２の上へ閉鎖されて、このアセンブリーが所定位置にロックされ、骨ねじのヘッド上にコネクタが堅固に固定される。
【００３２】
図７において示した第２の実施形態において、第１の実施形態に対する変形は、コネクタ１０６の底部に関連している。ハウジング１４６は、球状チャンバーをもはや含まないが、２つの平面部１０２及び１０４を伴った円筒形である。円形部１０８の半径は、骨ねじ２のヘッド１２の半径と等しくすることができる。２つの平面部１０２及び１０４は、スロット５６と平行である。平面部１０２及び１０４に垂直な円形断面孔１１０が、各平面部の領域内においてそれらに垂直に、底部を直径方向に貫通している。孔１１０の直径は、平面部１０２及び１０４の幅と実質的に等しい。
【００３３】
コネクタ１０６が、骨ねじ２のヘッド１２へクリップ留めされると、ヘッド１２は、孔１１０内に配置され、このようにして形成されたボール・ソケット連結が自由に回転できるような状態となる。
【００３４】
締め付け中において、本実施形態を利用することは、第１の実施形態を利用することと等しく、２つのサブパート１５８及び１６０が相互に動くことにより受け入れ空間１４６が変形して２つの平面部１０２及び１０４が相互に接近し、これによって、骨ねじ２のヘッド１２を孔１１０内に固定する。
【００３５】
前の実施形態に対する変形は、図８において示した第３の実施形態では、コネクタ２０６の底部に関連する。ハウジング２４６とスロット２５６とは一致しており、スロット２５６の幅は、ハウジング２４６の幅と同じである。スロット２５６の幅Ｌは、骨ねじ２のヘッド１２の直径より小さい。先行する実施形態におけるのと同様に、円形断面孔２１０は、スロット２５６の壁に対して直径方向かつ垂直方向に、平面部の領域内において及びそれらに垂直に、コネクタ２０６の底部を完通している。孔２１０の直径は、ヘッド１２の凸状面１４の球状部１８の直径より小さい。
【００３６】
クリップ留めは、同様に行われる。ヘッド１２は、孔２１０内に収容され、このようにして形成されたボール・ソケット連結が自由に回転できるような状態となる。
【００３７】
本実施形態を利用することは、第２の実施形態を利用することと等しい。所定位置にロックすることは、同じである。
【００３８】
当然ながら、本発明の範囲を逸脱しない限り本発明に対して多くの変形を行うことが可能である。
【００３９】
アンカー部材は、フックとすることができる。締め付け手段は、ロック部材の代わりにまたはそれに加えて、Ｕ字状開口部の分岐部上に螺合されるように適合されたリングまたはフランジを含み得る。後者の場合において、フランジまたはリングは、ロック部材に連結可能である。
【００４０】
ねじ山は、分岐部のねじ溝と側面上において協働可能であり、分岐部は、外側面上において螺合される。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本システムにおける第１の実施形態の部分斜視図である。
【図２】 図１において示した本システムの拡大斜視図である。
【図３】 図１におけるＩＩＩ−ＩＩＩ線に沿った、本システムの断面図である。
【図４】 コネクタの第１の実施形態を上から見た斜視図である。
【図５】 図４において示したコネクタを底から見た斜視図である。
【図６】 図４におけるＶＩ−ＶＩ線に沿った、コネクタの断面図である。
【図６ａ】 図４において示したコネクタのクリスマスツリー状ねじの概略断面図である。
【図７】 コネクタの第２の実施形態を底から見た斜視図である。
【図８】 コネクタの第３の実施形態を底から見た斜視図である。

Claims (8)

1. 脊柱のための多軸連結による骨接合システムであって、
   ヘッド（１２）を有する骨アンカー部材（２）と、
   連結部材（４）と、
   前記ヘッドを多軸の関係で受け入れるように適合された変形可能な第１のハウジング（４６、１４６、２４６）と、前記連結部材を受け入れるように適合され、Ｕ字状開口部（３２）およびシート部を有する第２のハウジングとを含むコネクタ（６、１０６、２０６）とを備え、
   前記第１のハウジングは、前記ヘッド（１２）の一部分を受け入れるように適合された孔（１１０、２１０）を含んでおり、
   前記シート部は、２つの***した端部を有し、前記コネクタに一体的に形成されており、
   前記第１のハウジングは、２つのスロットにより分離されている壁部を有し、
   前記スロットは、前記コネクタの外面から前記第１のハウジングの窪み（５４）まで延びるように形成され、かつ、前記コネクタの底面（４８）から、前記第１のハウジングを通って上方に延び、
   前記Ｕ字状開口部は、前記第１のハウジングから離れた開口端を有し、前記連結部材を前記Ｕ字状開口部の軸（４２）に沿って受け入れるように形成され、
   前記システムは、前記第２のハウジング内に前記連結部材を締め付けるための締め付け手段（８）を含み、
   前記コネクタは、前記締め付け手段が前記コネクタの前記Ｕ字状開口部の内部に配置されると、前記締め付け手段が前記第２のハウジングにおいて前記シート部に載置されている前記連結部材に荷重をかけ、さらに、前記連結部材が前記シート部の***した前記端部に直接的に荷重をかけて、前記第１のハウジングを前記スロットの内側に変形させて、その中に前記ヘッドを固定するようになっていることを特徴とする多軸連結による骨接合システム。
2. 前記第１のハウジングは、凹状面を有するチャンバー（５４）を含んでいることを特徴とする請求項１に記載のシステム。
3. 前記ヘッドは、球状部（１８）を有していることを特徴とする請求項１又は２に記載のシステム。
4. 前記スロットは、前記Ｕ字状開口部の軸線（４２）に垂直であることを特徴とする請求項１から３のいずれかに記載のシステム。
5. 前記締め付け手段は、前記Ｕ字状開口部の分岐部の間において係合するように適合されたロック部材（８）を含んでいることを特徴とする請求項３または４に記載のシステム。
6. 前記締め付け手段は、前記Ｕ字状開口部の分岐部を囲んで嵌まるように適合されたフランジを含んでいることを特徴とする請求項４または５に記載のシステム。
7. 前記Ｕ字状開口部の分岐部（３４）は、ねじ溝（２８）を有していることを特徴とする請求項４から６のいずれに記載のシステム。
8. 前記ねじ溝（２８）、ねじ山（２６）は、ねじ軸線に実質的に垂直でありかつ前記締め付け手段を前記コネクタ上へ貫入する方向に向けられた面（８０）を有していることを特徴とする請求項７に記載のシステム。

Images