JP4308494B2 - カメラ、被写体像取得装置、自動合焦システムおよび自動合焦方法 - Google Patents

カメラ、被写体像取得装置、自動合焦システムおよび自動合焦方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、AFシステム(オートフォーカシングシステムあるいはオートフォーカスシステム)などとも称される自動合焦システムに係り、特に被写体像の合焦状態を変化させ且つ被写体像に応じた被写体像情報から合焦状態の目安となる合焦評価値を求めつつ、前記合焦状態を連続的および間欠的の少なくとも一方にて変化させて複数の合焦評価値を得る合焦走査によって、合焦評価値が最も適正な値となる合焦点を探索してピント合わせを行なう自動合焦システムおよび自動合焦方法、並びにそれを使用したカメラ、並びにカメラのみならずイメージスキャナおよび複写機を含む画像入力装置と、顕微鏡、望遠鏡、双眼鏡および内視鏡を含む光学的観察装置とをも含む被写体像取得装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ディジタルカメラにおいては、撮影光学系のうちの合焦に寄与するフォーカスレンズ(フォーカシングレンズ)を駆動しながら、例えばCCD(電荷結合素子)撮像素子等の撮像素子により画像情報を取込み、例えばその画像情報の高周波成分を合焦評価値、すなわち「AF(オートフォーカシング)評価値」としてフォーカス駆動範囲を走査し、前記合焦評価値がピークとなる位置に前記フォーカスレンズを再設定することにより、自動合焦(AF)動作を行っているものが多い。通常この自動合焦(AF)方式をCCDAFと称する。
図11および図12に、最も基本的なCCDAF動作を模式的に示す。このCCDAF動作においては、自動合焦のための合焦走査を開始しようとするその時点におけるフォーカスレンズ位置、すなわち初動位置、にかかわらず、まず走査開始点を無限遠端に移動させ、そこから最至近端までを走査して、ピーク位置を検出し、そのピーク位置に合焦させる。図11および図12における曲線は、走査によって検出される合焦評価値の分布を、合焦評価値を縦軸にとり、そして走査位置を横軸にとって、模式的に示している。なお、レンズ駆動系の構成によっては、ギヤのバックラッシュ等を除去するための動作が必要となるが、それは周知のしかも多種多様の技術に係るものであるので、以下の説明および関連する各図においては、バックラッシュ等を除去するための構成および動作についての説明は省略している。
【0003】
図11および図12に示すように、AF動作が指令されると、初動位置(すなわち、その時点でのフォーカスレンズ停止位置)Poから走査開始点である無限遠端、つまり無限遠合焦位置Piへフォーカスレンズがこの場合繰り込み方向へ一旦移動され、そこから最至近端、つまり最至近合焦位置Pnまで繰り出し方向への合焦走査範囲全域の合焦走査が行なわれる。この全域走査により合焦評価値のピーク位置を合焦点、つまり最終合焦位置Peとして検出し、全域走査後にフォーカスレンズを前記繰り込み方向への戻し動作により最終合焦位置Peに設定してAF動作を完了する。
図11は、初動位置Poがレンズ移動範囲の中央位置Pcよりも無限遠寄りにある場合を示しており、図12は、初動位置Poがレンズ移動範囲の中央位置Pcよりも最至近点寄りにある場合を示している。
【0004】
図11および図12においては、走査開始点への移動動作および合焦点への戻し動作などの実際の合焦走査以外のレンズ駆動が比較的多く存在するため、無駄な時間を費やしている。例えば、図12では、初動位置Poが最至近端Pnに近いにもかかわらず、一旦、無限遠端Piまで戻すため、ほぼレンズ移動範囲全体を戻すことになる。
これに対して、図13、図14および図15に示す方式は、フォーカスレンズを初動位置Poから、無限遠端および最至近端のうちの「近い方の端」まで一旦戻して、そこから走査するようにしたものである。すなわち、図13〜図15に示すように、AF動作が指令されると、レンズ移動範囲両端の無限遠合焦位置Piおよび最至近合焦位置Pnのうちの初動位置Poから近い方の一端を走査開始点として、当該位置へフォーカスレンズが一旦移動され、そこから他端まで合焦走査範囲全域の合焦走査が行なわれる。この全域走査により合焦評価値のピーク位置を合焦点、つまり最終合焦位置Peとして検出し、全域走査後にフォーカスレンズを戻し動作により最終合焦位置Peに設定してAF動作を完了する。
【0005】
図13は、初動位置Poがレンズ移動範囲の中央位置Pcよりも無限遠寄りにある場合を示しており、図14は、初動位置Poがレンズ移動範囲の中央位置Pcよりも最至近点寄りにある場合を示している。そして図15は、初動位置Poがレンズ移動範囲の中央位置Pcよりも最至近点寄りにある場合であって、特に、最終合焦位置Peが初動位置Poから前記近い方の一端までの間に存在する場合を示している。このような方式により、全域走査の走査開始までに要する時間を図11および図12の方式よりも短縮することができる。
但し、この図13〜図15の方式では、初動位置Poによって走査方向が変化するため、合焦評価値に「走査方向依存性」がある場合には、その分の補正が必要となる。現実に、上述したようなバックラッシュや、フォーカスレンズの移動方向の違いによる機械的時定数等の相違に起因して、合焦評価値には走査方向依存性があるのが普通であるので、試作段階においてデータを取得して、走査方向依存性に対する適正な補正を施す必要がある。
【0006】
AF動作をさらに高速化しようとする場合には、合焦走査時間の短縮が重要な項目となる。すなわち、図11および図12、並びに図13〜図15において、AF動作時間の大半を実際に占めているのは、初動位置Poから走査開始点までの移動動作や全域走査後の最終合焦位置Peへの戻し動作ではなく、全域走査時間、すなわち合焦走査範囲の全域を走査するのに要する時間、である。
走査によって取得すべきデータの数は、フォーカスレンズや撮像素子としてのCCDの性能によって決定されるが、通常の場合は、フォーカスレンズを駆動するフォーカスモータがパルスモータであれば、該フォーカスモータの2〜4パルスに1つ程度のデータが必要になる。撮像素子等の画像情報取得周期は、通常1/30秒程度であるので、フォーカスモータの1パルスあたり、1/60〜1/120秒程度の時間を要するような駆動が要求される。すなわち、フォーカスモータパルスレートとしては、60〜120ppsで駆動させながら、データを取得することになる。
一方、走査開始点への移動動作や、最終合焦位置Peへの戻し動作は、作動機構における機械的な制約のみで決定されるため、通常は500〜1000pps程度のパルスレートで駆動される。すなわち、同一のパルス数を移動するとしても、両者の間には4〜17倍もの時間の差があることになる。よって、AF動作に要するAF動作時間の短縮には、走査すべき範囲を狭くすることが非常に効果的である。
【0007】
図16、図17および図18は、上述した状況を考慮した従来の他の自動合焦方式を示しており、合焦走査において「合焦評価値のピークを検出した場合には、そこで走査を中断し、そのピーク位置へレンズを移動させる」というシーケンスを用いて高速化する方式である。この方式においては、「何をもってピークと判断するか?」ということが非常に重要である。すなわち、実際の被写体としては、いくつかの遠近の被写体が混在し得るため、合焦評価値にも複数のピークが発生することが少なくない。このように、合焦評価値に複数のピークが発生している場合に、撮影者の意図したピークに適切に合焦させるためには、ピークにおける合焦評価値の絶対値や他の合焦評価値(周辺の合焦評価値、他のピーク状部分の合焦評価値など)に対する相対値、さらには、ピーク前後での合焦評価値の傾斜の程度等を厳密に判断して、ピークを検出することになる。
【0008】
そのため、図16〜図18に示すように、走査過程においてピークらしき部分を通過した後も、しばらく、すなわちある程度の範囲、は、走査を継続してから判断することになる。すなわち、図16〜図18のように、自動合焦が指令されると、レンズ移動範囲両端の無限遠合焦位置Piおよび最至近合焦位置Pnのうちの初動位置Poから近い方の一端を走査開始点として、当該位置へフォーカスレンズが一旦移動され、そこから他端へ向かって合焦走査が行なわれる。この合焦走査の過程で合焦評価値のピークが検出されると、その後もある程度の範囲は走査を継続しつつ先のピークを判定し、その判定に基づいて合焦評価値のピーク位置を合焦点、つまり最終合焦位置Peとして検出して走査を停止し、フォーカスレンズを戻し動作により最終合焦位置Peに設定して自動合焦を完了する。図16は、初動位置Poがレンズ移動範囲の中央位置Pcよりも無限遠寄りにある場合であり、図17は、初動位置Poがレンズ移動範囲の中央位置Pcよりも最至近点寄りにある場合であり、そして図18は、初動位置Poがレンズ移動範囲の中央位置Pcよりも最至近点寄りにあり、最終合焦位置Peが初動位置Poから前記近い方の一端までの間に存在する場合を示している。
【0009】
このような方式においては、通常の場合、合焦ミスを最低限とするために、ピーク判定の基準をかなり厳しく設定しておき、曖昧な場合には全域走査となるようにする場合が多い。とはいえ、ピークが検出された場合には、図15の場合に対応する図18のように、走査範囲を格段に狭くすることができるため、必要とする走査時間が激減し、AF動作の高速化を図ることができる。
上述したような「逆方向走査」および「ピーク検出で走査中断」以外の高速化手法としては、次に示すものがある。
【特許文献1】
特開平5-241066号公報。
この【特許文献1】に示されるように「初動位置からいきなり走査を開始する
」という方式が考えられる。すなわち、この【特許文献1】には、AF動作の高速化のために、合焦走査を初動位置から近い方の一端の方向に向けて開始し、初動位置から近い方の一端までの間でピークが検出されない場合には、前記初動位置に戻して、今度は、該初動位置から他端、つまり遠い方の端、に向けて再び合焦走査を実施することが示されている。その具体的な挙動を図19、図20および図21に示している。
【0010】
すなわち、図19〜図21に示すように、AF動作が指令されると、初動位置Poを走査開始点として、レンズ移動範囲両端の無限遠合焦位置Piおよび最至近合焦位置Pnのうちの初動位置Poから近い方の一端まで第1回目の合焦走査(図示「走査1」)が行なわれ、さらに、元の初動位置Poへフォーカスレンズが一旦移動され、その初動位置Poから他端まで第2回目の合焦走査(図示「走査2」)が行なわれる。この走査により合焦評価値のピーク位置を合焦点つまり最終合焦位置Peとして検出し、全域走査後にフォーカスレンズを戻し動作により最終合焦位置Peに設定して自動合焦を完了する。
図19は、初動位置Poがレンズ移動範囲の中央位置Pcよりも無限遠寄りにある場合であり、図20は、初動位置Poがレンズ移動範囲の中央位置Pcよりも最至近点寄りにある場合であり、そして図21は、初動位置Poがレンズ移動範囲の中央位置Pcよりも最至近点寄りにあり、且つ最終合焦位置Peが初動位置Poから前記近い方の一端までの間に存在する場合を示している。
【0011】
図21の場合には、AF動作が指令され、初動位置Poを走査開始点として、レンズ移動範囲両端のうちの初動位置Poから近い方の一端まで第1回目の合焦走査(走査1)が行なわれた時点で、この走査により合焦評価値のピークを検出すると、初動位置Poから他端までの第2回目の合焦走査(走査2)を行なうことなく、そのピーク位置を合焦点、つまり最終合焦位置Peとして検出し、フォーカスレンズを戻し動作により最終合焦位置Peに設定して自動合焦を完了する。
この【特許文献1】の方式により、走査開始点への移動動作が排除されるため、その分だけ自動合焦の高速化を図ることができる。図19〜図21に示す【特許文献1】の方式は、基本的に図13〜図15の方式に適用しているため、「ピーク検出での走査中断」動作は考慮していないが、当然、「ピーク検出での走査中断」動作を組み合わせることも可能であり、そうすれば更に動作が高速化される。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
ただし、上述した【特許文献1】に基づく図19〜図21における「初動位置から走査を開始する」動作には、幾つかの問題点がある。すなわち、この方式では、特に、図19および図20に示すように、初動位置Poから一端まで合焦走査を行なってから、フォーカスレンズを元の初動位置Poに戻し、初動位置Poから他端までの合焦走査を行なうことになり、合焦走査の一部が不連続となってしまう。この「走査の一部が不連続となることが、性能的に悪影響しないか?」という点がこの方式の問題点である。現実に、走査不連続点では、合焦評価値の取得時刻にずれがあるため、合焦評価値自体も不連続となる懸念が生じるし、その上、走査不連続点では走査方向も異なるため、走査方向依存性が合焦評価値に何らかの悪影響を及ぼす危険もある。すなわち、図22に示すように、最終合焦位置Peとなるべきピーク位置と走査不連続点とがほぼ重なる場合には、ピーク検出精度が著しく低下するおそれがある。しかも、更に重大なことに、走査不連続点と初動位置がほぼ一致するだけでなく、さらに初動位置は、多くの場合前回合焦位置ともほぼ一致することから、同一被写体の連続撮影を考えた場合に、最も合焦点が存在する可能性が高い部分において、走査の不連続が生じ、ピーク検出精度が低下してしまうおそれがあるという事実である。
【0013】
さらには、同一被写体の連続撮影を考えて、初動位置Po付近に合焦点のある確率が高いことを考慮すると、この付近にある合焦点を、第1回目の走査(図19〜図21に示す走査1)で検出することができれば、高い確率で第2回目の走査(図19〜図21に示す走査2)を行なわずに済むのに対して、初動位置Poから走査を開始すると、図23に示すように、走査方向とは逆方向にわずかにずれた被写体に対しては、どうしても第2回目の合焦走査(走査2)の範囲になってしまう。このような観点からも【特許文献1】に示された技術は一考の余地がある。また、【特許文献1】の技術においては、初動位置Poが端点に近い場合にも、好ましくない状況が発生する。すなわち、図24に示すように、第1回目の合焦走査(走査1)が非常に短くなってしまい、そのため、この範囲にピークらしきものがあっても、これをピークと断定するのは困難となる。すると、必然的に第2回目の合焦走査(走査2)へ移行することになり、AF動作の高速化の効果が失われてしまい、走査不連続点の存在に起因する合焦精度の低下の懸念だけが残ることになる。すなわち、デメリットのみが残ってしまう状況が存在するわけである。
【0014】
このような不具合を改善するために、本発明者は、先に特願2002−41427(平成14年2月19日付特許出願)(以下、「先願」と称する)として、合焦走査の最初に初動位置前後の領域を走査することができるような制御方法を提案している。
この制御方法においては、図25〜図27に示すように、走査開始点Psを、開始しようとする合焦走査の第1回目の走査(走査1)の走査方向とは逆方向に初動位置Poからずらしてスタート位置を補正し、第1回目の走査(走査1)で初動位置Poを通過するようにする。図25は、初動位置Poが中央位置Pcよりも無限遠寄りにあり、最終合焦位置Peが中央位置Pcよりも最至近点寄りにある場合を示しており、図26は、初動位置Poが中央位置Pcよりも最至近点寄りにあり、最終合焦位置Peが中央位置Pc近傍にある場合を示している。そして、図27は、初動位置Poが中央位置Pcよりも最至近点寄りにあり、しかも最終合焦位置Peが初動位置Poの近傍にある場合を示している。
【0015】
このようにすることにより、図27に示すように、初動位置Poが合焦位置Peにほぼ一致していても、初動位置Po付近での走査が常に連続となり、この近傍における合焦精度を低下させることがない。その上、直前の合焦位置とは微妙に被写体距離が変化した場合にも、第1回目の合焦走査(走査1)の範囲内で最終合焦位置Peが検出される確率が高くなり、同一被写体に対する連続撮影時におけるAF動作を高速化することが可能となる。このようなスタート位置補正(Po→Ps)を「スタート戻し」または「スタート戻し動作」と称し、このスタート戻しにおけるスタート位置のずらし量を「スタート戻し量」と称することにする。
しかしながら、このような制御方法によっても走査の不連続点は残存しており、単に走査の不連続点に合焦評価値のピーク位置、つまり最終合焦位置Peが一致してしまう確率を下げているに過ぎない。すなわち、例えば、図28に示すように、初動位置Poが中央位置Pcよりも無限遠寄りにある場合で、フォーカス戻しにより位置補正された走査開始点Psが、たまたま最終合焦位置Peとなるべきピーク位置にほぼ一致してしまう状況が、発生し得る。このような場合には、ピーク位置近傍において、走査が不連続となってしまい、ピーク判定精度が低下し、適正な合焦検出ができなくなってしまう。
【0016】
また、上述した方法とは別の高速化の方法として、全走査域を、いくつかの領域に分割しておき、被写体が存在する確率が高い部分を優先的に走査し、合焦とみなし得る合焦評価値のピークが判定されたら、以後の走査を行なわずにフォーカスレンズをピーク位置に戻し最終合焦位置Peとして設定するという方法も考えられる。すなわち、図29〜図31に示すように、通常、被写体が多く存在する被写体距離1m程度から無限遠までの領域について第1の走査(走査1)として初めに走査し、その第1の走査の間に、図30のように、合焦評価値のピークがあれば、それを検出して最終合焦位置Peとしてそのピーク位置へフォーカスレンズを移動させ、以後の走査を行なわない。図29のように、前記第1の走査の間にピークがなければ、被写体距離1mから最至近距離までの領域について第2の走査(走査2)を行う。なお、この場合、同一距離の連続撮影を意識して、初動位置Poによっては、被写体距離1mよりも近い側を先に走査するようにすることも考えられる。また、全走査域の分割数も2分割に限らず、さらに多数分割することも考えられる。
【0017】
例えば、被写体距離の分布を考えると、1〜2人の人物の顔や上半身等のクローズアップは、被写体距離1〜2m程度、数人以下の人物のほぼ全身を撮影するポートレート等は、被写体距離3〜5m程度、そして円形を含む風景等では、ほぼ無限遠の被写体距離となる。一般の撮影では、これらのいずれかの被写体距離で撮影されることが圧倒的に多いので、これらを適宜優先的に含めるように、全走査域を2またはそれ以上に分割して、所要の優先順序に従って走査すれば、効率の良い走査が可能となるであろう。
しかしながら、これらのような高速化の場合にも、分割された領域間の境界位置、つまり各走査の切り替え境界位置、Pbにおいて、走査が不連続となり、この走査の不連続性は、合焦評価値の取得時間のずれを生み、走査方向の違いによる合焦評価値の走査方向依存性の問題もあいまって、不連続箇所の近傍でのピーク判定精度が低下する。したがって、例えば図31に示すように、隣接する走査間の境界位置Pbの近傍に合焦評価値のピークが存在する場合には、ピーク判定精度が低下し、適切な合焦検出が行なえなくなる。
したがって、上述を考慮すると、現時点で、解決すべき課題として要求される点は、走査不連続点近傍での合焦評価値のピークの適正な判定を可能とする合焦走査制御を実現することである。
【0018】
すなわち、本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、走査不連続点近傍における合焦評価値(AF評価値)の連続性を損なわない合焦走査を実現し、合焦走査に関連する動作を適正化して、合焦走査の確実性および効率を効果的に向上し得るカメラ、被写体像取得装置、自動合焦システムおよび自動合焦方法を提供することを目的としている。
本発明の請求項1の目的は、合焦走査に関連する動作を適正化し、合焦走査の走査開始点近傍を全走査域の境界とする2つの領域をそれぞれ走査するための2つの走査の境界近傍における合焦走査の連続性を効果的に確保して、確実な合焦走査を実現し得ると共に、特に、同一の被写体をほぼ同一の状況で連続的に繰り返し合焦する際における合焦走査の効率および合焦の確実性を向上し得るカメラを提供することにある。
本発明の請求項の目的は、請求項1のカメラにおいて、特に、合焦走査の効率を一層高め得るカメラを提供することにある。
本発明の請求項の目的は、請求項1または請求項のカメラにおいて、特に、合焦走査の効率をさらに高め得るカメラを提供することにある。
【0019】
本発明の請求項の目的は、合焦走査に関連する動作を適正化し、合焦走査の全走査域を複数分割した各領域をそれぞれ走査するための各走査範囲の境界近傍における合焦走査の連続性を効果的に確保して、確実な合焦走査を実現し得るカメラを提供すると共に、特に、無駄な動作を効果的に抑制して、合焦走査の効率を一層向上し得るカメラを提供することにある。
本発明の請求項の目的は、請求項のカメラにおいて、特に、無駄な動作をさらに効果的に抑制して、合焦走査の効率をさらに向上し得るカメラを提供することにある。
本発明の請求項の目的は、合焦走査に関連する動作を適正化し、合焦走査の走査開始点近傍を全走査域の境界とする2つの領域をそれぞれ走査するための2つの走査の境界近傍における合焦走査の連続性を効果的に確保して、確実な合焦走査を実現し得ると共に、特に、同一の被写体をほぼ同一の状況で連続的に繰り返し合焦する際における合焦走査の効率および合焦の確実性を向上し得る被写体像取得装置を提供することにある。
【0020】
本発明の請求項の目的は、請求項の被写体像取得装置において、特に、合焦走査の効率を一層高め得る被写体像取得装置を提供することにある。
本発明の請求項の目的は、請求項6または請求項の被写体像取得装置において、特に、合焦走査の効率をさらに高め得る被写体像取得装置を提供することにある。
【0021】
本発明の請求項の目的は、合焦走査に関連する動作を適正化し、合焦走査の全走査域を複数分割した各領域をそれぞれ走査するための各走査範囲の境界近傍における合焦走査の連続性を効果的に確保して、確実な合焦走査を実現し得ると共に、特に、無駄な動作を効果的に抑制して、合焦走査の効率を一層向上し得る被写体像取得装置を提供することにある。
本発明の請求項10の目的は、請求項の被写体像取得装置において、特に、無駄な動作をさらに効果的に抑制して、合焦走査の効率をさらに向上し得る被写体像取得装置を提供することにある。
本発明の請求項11の目的は、合焦走査に関連する動作を適正化し、特に、合焦走査の走査開始点近傍を全走査域の境界とする2つの領域をそれぞれ走査するための2つの走査の境界近傍における合焦走査の連続性を効果的に確保して、確実な合焦走査を実現し得ると共に、
特に、同一の被写体をほぼ同一の状況で連続的に繰り返し合焦する際における合焦走査の効率および合焦の確実性を向上し得る自動合焦システムを提供することにある。
【0022】
発明の請求項12の目的は、請求項11の自動合焦システムにおいて、特に、合焦走査の効率を一層高め得る自動合焦システムを提供することにある。
本発明の請求項13の目的は、請求項11または請求項12の自動合焦システムにおいて、特に、合焦走査の効率をさらに高め得る自動合焦システムを提供することにある。
本発明の請求項14の目的は、合焦走査に関連する動作を適正化し、特に、合焦走査の全走査域を複数分割した各領域をそれぞれ走査するための各走査範囲の境界近傍における合焦走査の連続性を効果的に確保して、確実な合焦走査を実現し得ると共に、特に、無駄な動作を効果的に抑制して、合焦走査の効率を一層向上し得る自動合焦システムを提供することにある。
【0023】
本発明の請求項15の目的は、請求項14の自動合焦システムにおいて、特に、無駄な動作をさらに効果的に抑制して、合焦走査の効率をさらに向上し得る自動合焦システムを提供することにある。
本発明の請求項16の目的は、合焦走査に関連する動作を適正化し、特に、合焦走査の走査開始点近傍を全走査域の境界とする2つの領域をそれぞれ走査するための2つの走査の境界近傍における合焦走査の連続性を効果的に確保して、確実な合焦走査を実現し得ると共に、特に、同一の被写体をほぼ同一の状況で連続的に繰り返し合焦する際における合焦走査の効率および合焦の確実性を向上し得る自動合焦方法を提供することにある。
本発明の請求項17の目的は、請求項16の自動合焦方法において、特に、合焦走査の効率を一層高め得る自動合焦方法を提供することにある。
【0024】
本発明の請求項18の目的は、請求項16または請求項17の自動合焦方法において、特に、合焦走査の効率をさらに高め得る自動合焦方法を提供することにある。
本発明の請求項19の目的は、合焦走査に関連する動作を適正化し、合焦走査の全走査域を複数分割した各領域をそれぞれ走査するための各走査範囲の境界近傍における合焦走査の連続性を効果的に確保して、確実な合焦走査を実現し得ると共に、特に、無駄な動作を効果的に抑制して、合焦走査の効率を一層向上し得る自動合焦方法を提供することにある。
本発明の請求項20の目的は、請求項19の自動合焦方法において、特に、無駄な動作をさらに効果的に抑制して、合焦走査の効率をさらに向上し得る自動合焦方法を提供することにある。
【0025】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載した本発明に係るカメラは、上述した目的を達成するために、
被写体像を所定の結像面上に結像させるための撮影光学系と、
前記被写体像を映像信号に変換するための撮像手段と、
前記撮影光学系の全体、前記撮影光学系の一部の光学手段、および前記撮像手段のうちの少なくともいずれかを、光軸方向に移動することにより、前記撮像手段上の被写体像の合焦状態を変化させるフォーカス作動手段と、
前記撮像手段によって得られる撮像データから合焦状態の目安となる合焦評価値(AF評価値)を求める合焦評価値検出手段と、
前記フォーカス作動手段を連続的および間欠的の少なくとも一方にて駆動させながら前記合焦評価値検出手段を作動させて複数の合焦評価値を得る走査により、合焦評価値が最も適正な値となる合焦点を探索し、前記合焦点が確定した時点で前記走査を終了し、前記フォーカス作動手段を前記合焦点に駆動させてピント合わせを行なう合焦制御手段と
を有するカメラであって、
前記合焦制御手段は、
前記フォーカス作動手段の初動位置および該初動位置に関連付けられて決定される補正位置のいずれか一方を走査開始点とし、この走査開始点から全走査域の両端点のうちの一方の端点に向かう第1の走査を経て前記全走査域の残部を走査するための第2の走査に至る一連の走査を行なうとともに、前記第2の走査による走査範囲を、前記第1の走査による走査範囲とその一部が重複するように設定してなる走査制御手段
を含み、
前記走査制御手段が、前記補正位置を、前記フォーカス作動手段の初動位置から前記第1の走査とは逆の方向に第1の所定量だけ移動させた位置とし、この補正位置から、前記第1の走査を開始するように、前記走査開始点および前記第1の走査の走査方向を設定してなる手段を含むことを特徴としている。
【0026】
請求項に記載した本発明に係るカメラは、請求項1のカメラにおいて、前記走査制御手段が、前記第1の走査の走査方向を、前記全走査域の両端点のうちの前記初動位置から近い側の端点へ向かう方向とすることを特徴としている。
請求項に記載した本発明に係るカメラは、請求項1または請求項のカメラにおいて、前記走査制御手段が、前記第2の走査の走査方向を、前記第1の走査の走査方向とは逆の方向とすることを特徴としている。
【0027】
請求項に記載した本発明に係るカメラは、上述した目的を達成するために、
被写体像を所定の結像面上に結像させるための撮影光学系と、
前記被写体像を映像信号に変換するための撮像手段と、
前記撮影光学系の全体、前記撮影光学系の一部の光学手段、および前記撮像手段のうちの少なくともいずれかを、光軸方向に移動することにより、前記撮像手段上の被写体像の合焦状態を変化させるフォーカス作動手段と、
前記撮像手段によって得られる撮像データから合焦状態の目安となる合焦評価値を求める合焦評価値検出手段と、
前記フォーカス作動手段を連続的および間欠的の少なくとも一方にて駆動させながら前記合焦評価値検出手段を作動させて複数の合焦評価値を得る走査により、合焦評価値が最も適正な値となる合焦点を探索し、前記合焦点が確定した時点で前記走査を終了し、前記フォーカス作動手段を前記合焦点に駆動させてピント合わせを行なう合焦制御手段と
を有するカメラであって、
前記合焦制御手段は、
前記フォーカス作動手段を走査すべき全走査域を複数の領域に分けて、それぞれの領域を走査するための複数の走査範囲を設定し、各走査範囲を所定の順序で走査して一連の走査を行なうとともに、前記複数の走査範囲は、前記複数の領域をそれぞれ含み且つ隣接する前記各走査範囲は、互いにその一部が重複するように設定してなる走査制御手段
を含み、
前記走査制御手段が、
少なくとも前記走査範囲の重複部近傍における最初の走査におけるタイムラグを監視する手段と、
前記走査範囲の重複部の重複幅を、当該重複部における各走査範囲の少なくとも前記タイムラグの長さに応じて大きくするように可変制御する手段と
を含むことを特徴としている。
【0028】
請求項に記載した本発明に係るカメラは、請求項4のカメラにおいて、前記走査制御手段が、少なくとも前記重複する各走査範囲のうちの先行する走査範囲の重複部近傍にて検出された合焦評価値におけるピークの兆候を予測し、当該ピークの兆候の大きさに基づいて、前記走査範囲の当該重複部の重複幅を大きくするように可変制御する手段を含むことを特徴としている。
【0029】
請求項に記載した本発明に係る被写体像取得装置は、上述した目的を達成するために、
被写体像を取得するための像取得手段と、
前記被写体像から該被写体像に応じた被写体像情報を得るための像情報取得手段と、
前記像取得手段で取得される被写体像の合焦状態を変化させるフォーカス作動手段と、
前記像情報取得手段によって得られる被写体像情報から合焦状態の目安となる合焦評価値を求める合焦評価値検出手段と、
前記フォーカス作動手段を連続的および間欠的の少なくとも一方にて駆動させながら前記合焦評価値検出手段を作動させて複数の合焦評価値を得る走査により、合焦評価値が最も適正な値となる合焦点を探索し、前記合焦点が確定した時点で前記走査を終了し、前記フォーカス作動手段を前記合焦点に駆動させてピント合わせを行なう合焦制御手段と
を有する被写体像取得装置であって、
前記合焦制御手段は、
前記フォーカス作動手段の初動位置および該初動位置に関連付けられて決定される補正位置のいずれか一方を走査開始点とし、この走査開始点から全走査域の両端点のうちの一方の端点に向かう第1の走査を経て前記全走査域の残部を走査するための第2の走査に至る一連の走査を行なうとともに、前記第2の走査による走査範囲を、前記第1の走査による走査範囲とその一部が重複するように設定してなる走査制御手段を含み、
前記走査制御手段が、前記補正位置を、前記フォーカス作動手段の初動位置から前記第1の走査とは逆の方向に第1の所定量だけ移動させた位置とし、この補正位置から、前記第1の走査を開始するように、前記走査開始点および前記第1の走査の走査方向を設定してなる手段を含むことを特徴としている。
【0030】
求項に記載した本発明に係る被写体像取得装置は、請求項の被写体像取得装置において、前記走査制御手段が、前記第1の走査の走査方向を、前記全走査域の両端点のうちの前記初動位置から近い側の端点へ向かう方向とすることを特徴としている。
請求項に記載した本発明に係る被写体像取得装置は、請求項6または請求項の被写体像取得装置において、前記走査制御手段が、前記第2の走査の走査方向を、前記第1の走査の走査方向とは逆の方向とすることを特徴としている。
【0031】
請求項に記載した本発明に係る被写体像取得装置は、上述した目的を達成するために、
被写体像を取得するための像取得手段と、
前記被写体像から該被写体像に応じた被写体像情報を得るための像情報取得手段と、
前記像取得手段で取得される被写体像の合焦状態を変化させるフォーカス作動手段と、
前記像情報取得手段によって得られる被写体像情報から合焦状態の目安となる合焦評価値を求める合焦評価値検出手段と、
前記フォーカス作動手段を連続的および間欠的の少なくとも一方にて駆動させながら前記合焦評価値検出手段を作動させて複数の合焦評価値を得る走査により、合焦評価値が最も適正な値となる合焦点を探索し、前記合焦点が確定した時点で前記走査を終了し、前記フォーカス作動手段を前記合焦点に駆動させてピント合わせを行なう合焦制御手段と
を有する被写体像取得装置であって、
前記合焦制御手段は、
前記フォーカス作動手段を走査すべき全走査域を複数の領域に分けて、それぞれの領域を走査するための複数の走査範囲を設定し、各走査範囲を所定の順序で走査して一連の走査を行なうとともに、前記複数の走査範囲は、前記複数の領域をそれぞれ含み且つ隣接する前記各走査範囲は、互いにその一部が重複するように設定してなる走査制御手段を含み、
前記走査制御手段が、
少なくとも前記走査範囲の重複部近傍における最初の走査におけるタイムラグを監視する手段と、
前記走査範囲の重複部の重複幅を、当該重複部における各走査範囲の少なくとも前記タイムラグの長さに応じて大きくするように可変制御する手段と
を含むことを特徴としている。
【0032】
請求項10に記載した本発明に係る被写体像取得装置は、請求項の被写体像取得装置において、前記走査制御手段が、少なくとも前記重複する各走査範囲のうちの先行する走査範囲の重複部近傍にて検出された合焦評価値におけるピークの兆候を予測し、当該ピークの兆候の大きさに基づいて、前記走査範囲の当該重複部の重複幅を大きくするように可変制御する手段を含むことを特徴としている。
【0033】
請求項11に記載した本発明に係る自動合焦システムは、上述した目的を達成するために、
被写体像の合焦状態を変化させるフォーカス作動手段と、
被写体像に応じた被写体像情報から合焦状態の目安となる合焦評価値を求める合焦評価値検出手段と、
前記フォーカス作動手段を連続的および間欠的の少なくとも一方にて駆動させながら前記合焦評価値検出手段を作動させて複数の合焦評価値を得る走査により、合焦評価値が最も適正な値となる合焦点を探索し、前記合焦点が確定した時点で前記走査を終了し、前記フォーカス作動手段を前記合焦点に駆動させてピント合わせを行なう合焦制御手段と
を有し、且つ
前記合焦制御手段は、
前記フォーカス作動手段の初動位置および該初動位置に関連付けられて決定される補正位置のいずれか一方を走査開始点とし、この走査開始点から全走査域の両端点のうちの一方の端点に向かう第1の走査を経て前記全走査域の残部を走査するための第2の走査に至る一連の走査を行なうとともに、前記第2の走査による走査範囲を、前記第1の走査による走査範囲とその一部が重複するように設定してなる走査制御手段を含み、
前記走査制御手段が、
前記補正位置を、前記フォーカス作動手段の初動位置から前記第1の走査とは逆の方向に第1の所定量だけ移動させた位置とし、この補正位置から、前記第1の走査を開始するように、前記走査開始点および前記第1の走査の走査方向を設定してなる手段を含むことを特徴としている。
【0034】
請求項12に記載した本発明に係る自動合焦システムは、請求項11の自動合焦システムにおいて、前記走査制御手段が、前記第1の走査の走査方向を、前記全走査域の両端点のうちの前記初動位置から近い側の端点へ向かう方向とすることを特徴としている。
請求項13に記載した本発明に係る自動合焦システムは、請求項11または請求項12の自動合焦システムにおいて、前記走査制御手段が、前記第2の走査の走査方向を、前記第1の走査の走査方向とは逆の方向とすることを特徴としている。
【0035】
請求項14に記載した本発明に係る自動合焦システムは、上述した目的を達成するために、
被写体像の合焦状態を変化させるフォーカス作動手段と、
被写体像に応じた被写体像情報から合焦状態の目安となる合焦評価値を求める合焦評価値検出手段と、
前記フォーカス作動手段を連続的および間欠的の少なくとも一方にて駆動させながら前記合焦評価値検出手段を作動させて複数の合焦評価値を得る走査により、合焦評価値が最も適正な値となる合焦点を探索し、前記合焦点が確定した時点で前記走査を終了し、前記フォーカス作動手段を前記合焦点に駆動させてピント合わせを行なう合焦制御手段と
を有し、且つ
前記合焦制御手段は、
前記フォーカス作動手段を走査すべき全走査域を複数の領域に分けて、それぞれの領域を走査するための複数の走査範囲を設定し、各走査範囲を所定の順序で走査して一連の走査を行なうとともに、前記複数の走査範囲は、前記複数の領域をそれぞれ含み且つ隣接する前記各走査範囲は、互いにその一部が重複するように設定してなる走査制御手段を含み、
前記走査制御手段が、
少なくとも前記走査範囲の重複部近傍における最初の走査におけるタイムラグを監視する手段と、
前記走査範囲の重複部の重複幅を、当該重複部における各走査範囲の少なくとも前記タイムラグの長さに応じて大きくするように可変制御する手段とを含むことを特徴としている。
【0036】
請求項15に記載した本発明に係る自動合焦システムは、請求項14の自動合焦システムにおいて、前記走査制御手段が、少なくとも前記重複する各走査範囲のうちの先行する走査範囲の重複部近傍にて検出された合焦評価値におけるピークの兆候を予測し、当該ピークの兆候の大きさに基づいて、前記走査範囲の当該重複部の重複幅を大きくするように可変制御する手段を含むことを特徴としている。
【0037】
請求項16に記載した本発明に係る自動合焦方法は、上述した目的を達成するために、
被写体像の合焦状態を変化させ且つ被写体像に応じた被写体像情報から合焦状態の目安となる合焦評価値を求めつつ、前記合焦状態を連続的および間欠的の少なくとも一方にて変化させて複数の合焦評価値を得る合焦走査によって、合焦評価値が最も適正な値となる合焦点を探索し、前記合焦点が確定した時点で前記合焦走査を終了して、ピント合わせを行なうにあたり、
前記合焦走査の初動位置および該初動位置に関連付けられて決定される補正位置のいずれか一方を走査開始点として設定する走査開始点設定ステップと、
前記走査開始点から全走査域の両端点のうちの一方の端点に至る第1の走査および前記全走査域の残部を走査するための第2の走査からなる一連の合焦走査のために、前記第1の走査における第1の走査範囲および前記第2の走査における第2の走査範囲を、前記第2の走査範囲が前記第1の走査範囲とその一部が重複するように設定する走査範囲設定ステップと、
前記走査開始点から、前記第1の走査を経て前記第2の走査に至る一連の合焦走査を、前記合焦点が確定するまで行なわせる走査制御ステップとを有し、
前記走査開始点設定ステップが、前記合焦走査の初動位置から前記第1の走査の走査方向とは逆の方向に第1の所定量だけ移動させた補正位置を走査開始点として設定することを特徴としている。
【0038】
請求項17に記載した本発明に係る自動合焦方法は、請求項16の自動合焦方法において、前記走査範囲設定ステップが、前記第1の走査の走査方向を、前記全走査域の両端点のうちの前記初動位置から近い側の端点へ向かう方向に設定するステップを含むことを特徴としている。
請求項18に記載した本発明に係る自動合焦方法は、請求項16または請求項17の自動合焦方法において、前記走査範囲設定ステップが、前記第2の走査の走査方向を、前記第1の走査の走査方向とは逆の方向に設定するステップを含むことを特徴としている。
【0039】
請求項19に記載した本発明に係る自動合焦方法は、上述した目的を達成するために、
被写体像の合焦状態を変化させ且つ被写体像に応じた被写体像情報から合焦状態の目安となる合焦評価値を求めつつ、前記合焦状態を連続的および間欠的の少なくとも一方にて変化させて複数の合焦評価値を得る合焦走査によって、合焦評価値が最も適正な値となる合焦点を探索し、前記合焦点が確定した時点で前記合焦走査を終了して、ピント合わせを行なうにあたり、
前記合焦走査のための全走査域を複数の領域に分割して各領域をそれぞれ走査するための複数の走査範囲を、各走査範囲がそれぞれ前記各領域を含み且つ隣接する走査範囲が互いにその一部を重複させるようにして、設定する走査範囲設定ステップと、
前記走査範囲設定ステップで設定された前記複数の走査範囲を所定の順序で走査する一連の合焦走査を、前記合焦点が確定するまで行なわせる走査制御ステップと
を有し、
前記走査制御ステップが、
少なくとも前記走査範囲の重複部近傍における最初の走査におけるタイムラグを監視するステップと、
前記走査範囲の重複部の重複幅を、当該重複部における各走査範囲の少なくとも前記タイムラグの長さに応じて大きくするように可変制御するステップと
をさらに含むことを特徴としている。
【0040】
求項20に記載した本発明に係る自動合焦方法は、請求項19の自動合焦方法において、前記走査制御ステップが、少なくとも前記重複する各走査範囲のうちの先行する走査範囲の重複部近傍にて検出された合焦評価値におけるピークの兆候を予測し、当該ピークの兆候の大きさに基づいて、当該重複部の後続の前記走査範囲を調整することにより、前記重複部の重複幅を大きくするように可変制御するステップをさらに含むことを特徴としている。
【0041】
【作用】
すなわち、本発明によるカメラは、被写体像を所定の結像面上に結像させるための撮影光学系と、前記被写体像を映像信号に変換するための撮像手段と、前記撮影光学系の全体、前記撮影光学系の一部の光学手段、および前記撮像手段のうちの少なくともいずれかを、光軸方向に移動することにより、前記撮像手段上の被写体像の合焦状態を変化させるフォーカス作動手段と、前記撮像手段によって得られる撮像データから合焦状態の目安となる合焦評価値(AF評価値)を求める合焦評価値検出手段と、前記フォーカス作動手段を連続的および間欠的の少なくとも一方にて駆動させながら前記合焦評価値検出手段を作動させて複数の合焦評価値を得る走査により、合焦評価値が最も適正な値となる合焦点を探索し、前記合焦点が確定した時点で前記走査を終了し、前記フォーカス作動手段を前記合焦点に駆動させてピント合わせを行なう合焦制御手段とを有し、且つ前記合焦制御手段は、前記フォーカス作動手段の初動位置および該初動位置に関連付けられて決定される補正位置のいずれか一方を走査開始点とし、この走査開始点から全走査域の両端点のうちの一方の端点に向かう第1の走査を経て前記全走査域の残部を走査するための第2の走査に至る一連の走査を行なうとともに、前記第2の走査による走査範囲を、前記第1の走査による走査範囲とその一部が重複するように設定してなる走査制御手段を含む。
このような構成により、合焦走査に関連する動作を適正化し、特に、合焦走査の走査開始点近傍を全走査域の境界とする2つの領域をそれぞれ走査するための2つの走査の境界近傍における合焦走査の連続性を効果的に確保して、確実な合焦走査を実現することが可能となる。
【0042】
また、本発によるカメラは、前記走査制御手段が、前記補正位置を、前記フォーカス作動手段の初動位置から前記第1の走査とは逆の方向に第1の所定量だけ移動させた位置とし、この補正位置から、前記第1の走査を開始するように、前記走査開始点および前記第1の走査の走査方向を設定してなる手段を含む。
このような構成により、特に、同一の被写体をほぼ同一の状況で連続的に繰り返し合焦する際における合焦走査の効率および合焦の確実性を向上させることが可能となる。
本発明によるカメラは、前記走査制御手段が、前記第1の走査の走査方向を、前記全走査域の両端点のうちの前記初動位置から近い側の端点へ向かう方向とする。
このような構成により、特に、合焦走査の効率を一層高めることが可能となる。
【0043】
本発明によるカメラは、前記走査制御手段が、前記第2の走査の走査方向を、前記第1の走査の走査方向とは逆の方向とする。
このような構成により、特に、合焦走査の効率をさらに高めることが可能となる。
そして、本発明によるカメラは、被写体像を所定の結像面上に結像させるための撮影光学系と、前記被写体像を映像信号に変換するための撮像手段と、前記撮影光学系の全体、前記撮影光学系の一部の光学手段、および前記撮像手段のうちの少なくともいずれかを、光軸方向に移動することにより、前記撮像手段上の被写体像の合焦状態を変化させるフォーカス作動手段と、前記撮像手段によって得られる撮像データから合焦状態の目安となる合焦評価値を求める合焦評価値検出手段と、前記フォーカス作動手段を連続的および間欠的の少なくとも一方にて駆動させながら前記合焦評価値検出手段を作動させて複数の合焦評価値を得る走査により、合焦評価値が最も適正な値となる合焦点を探索し、前記合焦点が確定した時点で前記走査を終了し、前記フォーカス作動手段を前記合焦点に駆動させてピント合わせを行なう合焦制御手段とを有し、且つ前記合焦制御手段は、前記フォーカス作動手段を走査すべき全走査域を複数の領域に分けて、それぞれの領域を走査するための複数の走査範囲を設定し、各走査範囲を所定の順序で走査して一連の走査を行なうとともに、前記複数の走査範囲は、前記複数の領域をそれぞれ含み且つ隣接する前記各走査範囲は、互いにその一部が重複するように設定してなる走査制御手段を含む。
このような構成により、合焦走査に関連する動作を適正化し、特に、合焦走査の全走査域を複数分割した各領域をそれぞれ走査するための各走査範囲の境界近傍における合焦走査の連続性を効果的に確保して、確実な合焦走査を実現することが可能となる。
【0044】
本発明によるカメラは、前記走査制御手段が、少なくとも前記走査範囲の重複部近傍における最初の走査におけるタイムラグを監視する手段と、前記走査範囲の重複部の重複幅を、当該重複部における各走査範囲の少なくとも前記タイムラグの長さに応じて大きくするように可変制御する手段とを含む。
このような構成により、特に、無駄な動作を効果的に抑制して、合焦走査の効率を一層向上させることが可能となる。
本発明によるカメラは、前記走査制御手段が、少なくとも前記重複する各走査範囲のうちの先行する走査範囲の重複部近傍にて検出された合焦評価値におけるピークの兆候を予測し、当該ピークの兆候の大きさに基づいて、前記走査範囲の当該重複部の重複幅を大きくするように可変制御する手段を含む。
このような構成により、特に、無駄な動作をさらに効果的に抑制して、合焦走査の効率をさらに向上させることが可能となる。
【0045】
さらに、本発明による被写体像取得装置は、被写体像を取得するための像取得手段と、前記被写体像から該被写体像に応じた被写体像情報を得るための像情報取得手段と、前記像取得手段で取得される被写体像の合焦状態を変化させるフォーカス作動手段と、前記像情報取得手段によって得られる被写体像情報から合焦状態の目安となる合焦評価値を求める合焦評価値検出手段と、前記フォーカス作動手段を連続的および間欠的の少なくとも一方にて駆動させながら前記合焦評価値検出手段を作動させて複数の合焦評価値を得る走査により、合焦評価値が最も適正な値となる合焦点を探索し、前記合焦点が確定した時点で前記走査を終了し、前記フォーカス作動手段を前記合焦点に駆動させてピント合わせを行なう合焦制御手段とを有し、前記合焦制御手段は、前記フォーカス作動手段の初動位置および該初動位置に関連付けられて決定される補正位置のいずれか一方を走査開始点とし、この走査開始点から全走査域の両端点のうちの一方の端点に向かう第1の走査を経て前記全走査域の残部を走査するための第2の走査に至る一連の走査を行なうとともに、前記第2の走査による走査範囲を、前記第1の走査による走査範囲とその一部が重複するように設定してなる走査制御手段を含む。
このような構成により、合焦走査に関連する動作を適正化し、特に、合焦走査の走査開始点近傍を全走査域の境界とする2つの領域をそれぞれ走査するための2つの走査の境界近傍における合焦走査の連続性を効果的に確保して、確実な合焦走査を実現することが可能となる。
【0046】
また、本発明による被写体像取得装置は、前記走査制御手段が前記補正位置を、前記フォーカス作動手段の初動位置から前記第1の走査とは逆の方向に第1の所定量だけ移動させた位置とし、この補正位置から、前記第1の走査を開始するように、前記走査開始点および前記第1の走査の走査方向を設定してなる手段を含む。
このような構成により、特に、同一の被写体をほぼ同一の状況で連続的に繰り返し合焦する際における合焦走査の効率および合焦の確実性を向上させることが可能となる。
本発明による被写体像取得装置は、前記走査制御手段が、前記第1の走査の走査方向を、前記全走査域の両端点のうちの前記初動位置から近い側の端点へ向かう方向とする。
このような構成により、特に、合焦走査の効率を一層高めることが可能となる。
【0047】
本発明による被写体像取得装置は、前記走査制御手段が、前記第2の走査の走査方向を、前記第1の走査の走査方向とは逆の方向とする。
このような構成により、特に、合焦走査の効率をさらに高めることが可能となる。
【0048】
そして、本発明による被写体像取得装置は、被写体像を取得するための像取得手段と、前記被写体像から該被写体像に応じた被写体像情報を得るための像情報取得手段と、前記像取得手段で取得される被写体像の合焦状態を変化させるフォーカス作動手段と、前記像情報取得手段によって得られる被写体像情報から合焦状態の目安となる合焦評価値を求める合焦評価値検出手段と、前記フォーカス作動手段を連続的および間欠的の少なくとも一方にて駆動させながら前記合焦評価値検出手段を作動させて複数の合焦評価値を得る走査により、合焦評価値が最も適正な値となる合焦点を探索し、前記合焦点が確定した時点で前記走査を終了し、前記フォーカス作動手段を前記合焦点に駆動させてピント合わせを行なう合焦制御手段とを有し、前記合焦制御手段は、前記フォーカス作動手段を走査すべき全走査域を複数の領域に分けて、それぞれの領域を走査するための複数の走査範囲を設定し、各走査範囲を所定の順序で走査して一連の走査を行なうとともに、前記複数の走査範囲は、前記複数の領域をそれぞれ含み且つ隣接する前記各走査範囲は、互いにその一部が重複するように設定してなる走査制御手段を含む。
このような構成により、合焦走査に関連する動作を適正化し、特に、合焦走査の全走査域を複数分割した各領域をそれぞれ走査するための各走査範囲の境界近傍における合焦走査の連続性を効果的に確保して、確実な合焦走査を実現することが可能となる。
【0049】
本発明による被写体像取得装置は、前記走査制御手段が、少なくとも前記走査範囲の重複部近傍における最初の走査におけるタイムラグを監視する手段と、前記走査範囲の重複部の重複幅を、当該重複部における各走査範囲の少なくとも前記タイムラグの長さに応じて大きくするように可変制御する手段とを含む。
このような構成により、特に、無駄な動作を効果的に抑制して、合焦走査の効率を一層向上させることが可能となる。
本発明による被写体像取得装置は、前記走査制御手段が、少なくとも前記重複する各走査範囲のうちの先行する走査範囲の重複部近傍にて検出された合焦評価値におけるピークの兆候を予測し、当該ピークの兆候の大きさに基づいて、前記走査範囲の当該重複部の重複幅を大きくするように可変制御する手段を含む。
このような構成により、特に、無駄な動作をさらに効果的に抑制して、合焦走査の効率をさらに向上させることが可能となる。
【0050】
さらにまた、本発明による自動合焦システムは、被写体像の合焦状態を変化させるフォーカス作動手段と、被写体像に応じた被写体像情報から合焦状態の目安となる合焦評価値を求める合焦評価値検出手段と、前記フォーカス作動手段を連続的および間欠的の少なくとも一方にて駆動させながら前記合焦評価値検出手段を作動させて複数の合焦評価値を得る走査により、合焦評価値が最も適正な値となる合焦点を探索し、前記合焦点が確定した時点で前記走査を終了し、前記フォーカス作動手段を前記合焦点に駆動させてピント合わせを行なう合焦制御手段とを有し、且つ前記合焦制御手段は、前記フォーカス作動手段の初動位置および該初動位置に関連付けられて決定される補正位置のいずれか一方を走査開始点とし、この走査開始点から全走査域の両端点のうちの一方の端点に向かう第1の走査を経て前記全走査域の残部を走査するための第2の走査に至る一連の走査を行なうとともに、前記第2の走査による走査範囲を、前記第1の走査による走査範囲とその一部が重複するように設定してなる走査制御手段を含む。
このような構成により、合焦走査に関連する動作を適正化し、特に、合焦走査の走査開始点近傍を全走査域の境界とする2つの領域をそれぞれ走査するための2つの走査の境界近傍における合焦走査の連続性を効果的に確保して、確実な合焦走査を実現することが可能となる。
【0051】
また、本発明による自動合焦システムは、前記走査制御手段が、前記補正位置を、前記フォーカス作動手段の初動位置から前記第1の走査とは逆の方向に第1の所定量だけ移動させた位置とし、この補正位置から、前記第1の走査を開始するように、前記走査開始点および前記第1の走査の走査方向を設定してなる手段を含む。
このような構成により、特に、同一の被写体をほぼ同一の状況で連続的に繰り返し合焦する際における合焦走査の効率および合焦の確実性を向上させることが可能となる。
本発明による自動合焦システムは、前記走査制御手段が、前記第1の走査の走査方向を、前記全走査域の両端点のうちの前記初動位置から近い側の端点へ向かう方向とする。
このような構成により、特に、合焦走査の効率を一層高めることが可能となる。
本発明による自動合焦システムは、前記走査制御手段が、前記第2の走査の走査方向を、前記第1の走査の走査方向とは逆の方向とする。
このような構成により、特に、合焦走査の効率をさらに高めることが可能となる。
【0052】
そして、本発明による自動合焦システムは、被写体像の合焦状態を変化させるフォーカス作動手段と、被写体像に応じた被写体像情報から合焦状態の目安となる合焦評価値を求める合焦評価値検出手段と、前記フォーカス作動手段を連続的および間欠的の少なくとも一方にて駆動させながら前記合焦評価値検出手段を作動させて複数の合焦評価値を得る走査により、合焦評価値が最も適正な値となる合焦点を探索し、前記合焦点が確定した時点で前記走査を終了し、前記フォーカス作動手段を前記合焦点に駆動させてピント合わせを行なう合焦制御手段とを有し、且つ前記合焦制御手段は、前記フォーカス作動手段を走査すべき全走査域を複数の領域に分けて、それぞれの領域を走査するための複数の走査範囲を設定し、各走査範囲を所定の順序で走査して一連の走査を行なうとともに、前記複数の走査範囲は、前記複数の領域をそれぞれ含み且つ隣接する前記各走査範囲は、互いにその一部が重複するように設定してなる走査制御手段を含む。
このような構成により、合焦走査に関連する動作を適正化し、特に、合焦走査の全走査域を複数分割した各領域をそれぞれ走査するための各走査範囲の境界近傍における合焦走査の連続性を効果的に確保して、確実な合焦走査を実現することが可能となる。
【0053】
本発明による自動合焦システムは、前記走査制御手段が、少なくとも前記走査範囲の重複部近傍における最初の走査におけるタイムラグを監視する手段と、前記走査範囲の重複部の重複幅を、当該重複部における各走査範囲の少なくとも前記タイムラグの長さに応じて大きくするように可変制御する手段とを含む。
このような構成により、特に、無駄な動作を効果的に抑制して、合焦走査の効率を一層向上させることが可能となる。
本発明による自動合焦システムは、前記走査制御手段が、少なくとも前記重複する各走査範囲のうちの先行する走査範囲の重複部近傍にて検出された合焦評価値におけるピークの兆候を予測し、当該ピークの兆候の大きさに基づいて、前記走査範囲の当該重複部の重複幅を大きくするように可変制御する手段を含む。
このような構成により、特に、無駄な動作をさらに効果的に抑制して、合焦走査の効率をさらに向上させることが可能となる。
【0054】
そしてさらに、本発明による自動合焦方法は、被写体像の合焦状態を変化させ且つ被写体像に応じた被写体像情報から合焦状態の目安となる合焦評価値を求めつつ、前記合焦状態を連続的および間欠的の少なくとも一方にて変化させて複数の合焦評価値を得る合焦走査によって、合焦評価値が最も適正な値となる合焦点を探索し、前記合焦点が確定した時点で前記合焦走査を終了して、ピント合わせを行なうにあたり、前記合焦走査の初動位置および該初動位置に関連付けられて決定される補正位置のいずれか一方を走査開始点として設定する走査開始点設定ステップと、前記走査開始点から全走査域の両端点のうちの一方の端点に至る第1の走査および前記全走査域の残部を走査するための第2の走査からなる一連の合焦走査のために、前記第1の走査における第1の走査範囲および前記第2の走査における第2の走査範囲を、前記第2の走査範囲が前記第1の走査範囲とその一部が重複するように設定する走査範囲設定ステップと、前記走査開始点から、前記第1の走査を経て前記第2の走査に至る一連の合焦走査を、前記合焦点が確定するまで行なわせる走査制御ステップとを有する。
このような構成により、合焦走査に関連する動作を適正化し、特に、合焦走査の走査開始点近傍を全走査域の境界とする2つの領域をそれぞれ走査するための2つの走査の境界近傍における合焦走査の連続性を効果的に確保して、確実な合焦走査を実現することが可能となる。
【0055】
また、本発明による自動合焦方法は、前記走査開始点設定ステップが、前記合焦走査の初動位置から前記第1の走査の走査方向とは逆の方向に第1の所定量だけ移動させた補正位置を走査開始点として設定する。
このような構成により、特に、同一の被写体をほぼ同一の状況で連続的に繰り返し合焦する際における合焦走査の効率および合焦の確実性を向上させることが可能となる。
本発明による自動合焦方法は、前記走査範囲設定ステップが、前記第1の走査の走査方向を、前記全走査域の両端点のうちの前記初動位置から近い側の端点へ向かう方向に設定するステップを含む。
このような構成により、特に、合焦走査の効率を一層高めることが可能となる。
【0056】
本発明による自動合焦方法は、前記走査範囲設定ステップが、前記第2の走査の走査方向を、前記第1の走査の走査方向とは逆の方向に設定するステップを含む。
このような構成により、特に、合焦走査の効率をさらに高めることが可能となる。
【0057】
そして、本発明による自動合焦方法は、被写体像の合焦状態を変化させ且つ被写体像に応じた被写体像情報から合焦状態の目安となる合焦評価値を求めつつ、前記合焦状態を連続的および間欠的の少なくとも一方にて変化させて複数の合焦評価値を得る合焦走査によって、合焦評価値が最も適正な値となる合焦点を探索し、前記合焦点が確定した時点で前記合焦走査を終了して、ピント合わせを行なうにあたり、前記合焦走査のための全走査域を複数の領域に分割して各領域をそれぞれ走査するための複数の走査範囲を、各走査範囲がそれぞれ前記各領域を含み且つ隣接する走査範囲が互いにその一部を重複させるようにして、設定する走査範囲設定ステップと、前記走査範囲設定ステップで設定された前記複数の走査範囲を所定の順序で走査する一連の合焦走査を、前記合焦点が確定するまで行なわせる走査制御ステップとを有する。
このような構成により、合焦走査に関連する動作を適正化し、特に、合焦走査の全走査域を複数分割した各領域をそれぞれ走査するための各走査範囲の境界近傍における合焦走査の連続性を効果的に確保して、確実な合焦走査を実現することが可能となる。
【0058】
本発明による自動合焦方法は、前記走査制御ステップが、少なくとも前記走査範囲の重複部近傍における最初の走査におけるタイムラグを監視するステップと、前記走査範囲の重複部の重複幅を、当該重複部における各走査範囲の少なくとも前記タイムラグの長さに応じて大きくするように可変制御するステップとをさらに含む。
このような構成により、特に、無駄な動作を効果的に抑制して、合焦走査の効率を一層向上させることが可能となる。
本発明による自動合焦方法は、前記走査制御ステップが、少なくとも前記重複する各走査範囲のうちの先行する走査範囲の重複部近傍にて検出された合焦評価値におけるピークの兆候を予測し、当該ピークの兆候の大きさに基づいて、当該重複部の後続の前記走査範囲を調整することにより、前記重複部の重複幅を大きくするように可変制御するステップをさらに含む。
このような構成により、特に、無駄な動作をさらに効果的に抑制して、合焦走査の効率をさらに向上させることが可能となる。
【0059】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態に基づき、図面を参照して本発明に係るカメラ、被写体像取得装置、自動合焦システムおよび自動合焦方法について詳細に説明する。
図1〜図4は、本発明の第1の実施の形態に係るディジタルカメラの構成および動作を説明するための図である。図1は、本発明の実施の形態に係るディジタルカメラの要部の構成を示す模式的なブロック図、そして図2は、当該ディジタルカメラの自動合焦動作における合焦走査を説明するための図である。
図1に示すディジタルカメラは、光学系1、シャッタ/絞り部2、フォーカス駆動系3、ズーム駆動系4、シャッタ/絞り駆動系5、ローパスフィルタ(LPF)6、撮像素子7、A/D(アナログ−ディジタル)変換器8、画像処理部9、システムコントローラ10、メモリ群11、表示部12、半押し検出部13、全押し検出部14、受光部15、ストロボ発光部16、ストロボ制御部17、カメラ操作部18およびレリーズ押圧部19を具備している。
【0060】
図1のディジタルカメラにおいて、被写体光は、撮影光学系である光学系1に入射される。光学系1は、光軸方向に沿う進退移動により被写体像のピント合わせ、つまり合焦動作のための焦点調節を行なうフォーカスレンズ(フォーカシングレンズ群)1aと、光軸方向に沿う進退により光学系1の焦点距離を調節して被写体像の拡大/縮小を行なうズームレンズ(ズーミングレンズ群)1bと、これらフォーカスレンズ1aおよびズームレンズ1bと共に被写体像を結像させる対物レンズ1cとを備えている。フォーカスレンズ1aとズームレンズ1bとの間には、シャッタ/絞り部2が配置され、このシャッタ/絞り部2により、フォーカスレンズ1aに入射する光束が制限制御される。フォーカスレンズ1aは、フォーカス作動手段としてのフォーカス駆動系3により、ズームレンズ1bは、ズーム駆動系4により、そしてシャッタ/絞り部2は、シャッタ/絞り駆動系5によりそれぞれ駆動される。
光学系1を通過した被写体光は、入射光の高周波成分を除去するローパスフィルタ6を介して、撮像手段としての撮像素子7に入射する。撮像素子7は、複数の光電変換画素を2次元マトリクス状に配列した撮像面を有し、前記撮像面に被写体光に基づいて入射結像される被写体像を電気信号からなる画像データに変換して出力する。
【0061】
上述したフォーカスレンズ1a、ズームレンズ1bおよび対物レンズ1cからなる光学系1と、シャッタ/絞り部2と、ローパスフィルタ6と、撮像素子7とで、鏡胴ユニットUを構成している。
撮像素子7から出力された画像データは、A/D変換器8によりディジタル値に変換された後、画像処理部9に与えられる。画像処理部9は、与えられた画像データに対して圧縮/伸長処理および解像度の変更等のような所要の画像処理を施す。
【0062】
システムコントローラ10は、当該ディジタルカメラ全体の制御を行なうものであり、マイクロプロセッサ等を用いて構成されて所定のプログラムに従って演算等を含む各種情報処理を行なうCPU(中央処理ユニット)、CPUの処理プログラム等を予め格納した書き換え不可能なまたは不揮発性の半導体メモリ等からなる読出し専用のROM(リードオンリメモリ)、およびCPUにおける各種処理の過程で各種のデータ等を格納するために利用するワークエリアなどを有する書き換え可能な半導体メモリ等からなる任意書込み/読出し用のRAM(ランダムアクセスメモリ)などを有している。また、システムコントローラ10には、先に述べたフォーカス駆動系3、ズーム駆動系4およびシャッタ/絞り駆動系5と、画像処理部9で得られる画像データ等を格納するためのメモリ等を含むメモリ群11と、前記画像データを表示する液晶ディスプレイ等のモニタ、撮影等に係る各種情報を表示する表示液晶ディスプレイ(表示LCD)および自動合焦による焦点調整結果を報知するAF発光ダイオード(AFLED)などを含む表示部12とが接続されている。システムコントローラ10は、これら接続された各部を制御する。
【0063】
また、このディジタルカメラには、2段操作のレリーズボタン等のレリーズ押圧部19が設けられ、撮影者がレリーズ押圧部19の1段目操作、つまり半押し操作により、自動合焦(AF:オートフォーカシング)等の被写体像調整の指示を与え、さらにレリーズ押圧部19の2段目操作、つまり全押し操作により被写体像撮像の指示を与えるようにしている。すなわち、このディジタルカメラは、レリーズ押圧部19の半押し操作を検出する半押し検出部13、およびレリーズ押圧部19の全押し操作を検出する全押し検出部14を備えており、これら半押し検出部13および全押し検出部14は、システムコントローラ10に接続されている。
さらに、このディジタルカメラは、被写体輝度を計測する受光部15、被写体に照明光を照射するストロボ発光部16、および受光部15で計測される被写体輝度に基づいてストロボ発光部16の発光制御を行なうストロボ制御部17を備えており、ストロボ制御部17は、システムコントローラ10からのストロボ発光についての制御指示に基づいてストロボの発光制御を行なう。また、当該ディジタルカメラには、ストロボモードを設定するストロボモードスイッチ等のように撮影者の操作により撮影動作等のカメラ動作に係る種々の設定をするためのカメラ操作部18が設けられており、システムコントローラ10は、カメラ操作部18の操作に基づいてカメラ動作に関する種々の設定を行なう。
【0064】
図1に示したディジタルカメラは、基本的な構成自体には特別な構成はなく、従来の一般に市販されているディジタルカメラと同等である。本願発明に係る自動合焦機能は、レリーズ押圧部19の半押し動作を半押し検出部13が検出すると、システムコントローラ10がそれに応答し、光学系1のフォーカスレンズ1aをフォーカス駆動系3を介して、連続的に、または間欠的に、あるいは両者を適宜組み合わせて駆動しつつ、A/D変換器8および画像処理部9を介して得られる撮像素子7で取得された画像データに基づいて合焦評価値(AF評価値)を求めて合焦走査を実行することによって行なわれる。
【0065】
なお、システムコントローラ10は、撮像素子7によって得られる画像データから合焦状態の目安となる合焦評価値を求める合焦評価値検出手段、およびフォーカス駆動系3を介してフォーカスレンズ1aを駆動させながら前記合焦評価値検出手段を作動させて複数の合焦評価値を得る走査により、合焦評価値が最も適正な値となる合焦点を探索し、フォーカスレンズ1aを前記合焦点に駆動させてピント合わせを行なう合焦制御手段、そして前記合焦制御手段において、フォーカスレンズ1aの初動位置を走査開始点とし、この走査開始点から全走査域の両端点のうちの一方の端点、例えば近い方の端点、に向かう第1の走査(走査1)を経て、前記全走査域の残部を、例えば前記第1の走査とは逆方向に、走査するための第2の走査(走査2)に至る一連の走査を行なうとともに、前記第2の走査による走査範囲を、図2に示すように、例えば前記第2の走査の起点を前記走査開始点よりも所定の重複幅Dだけ前記近い方の端点に近い位置に設定することなどによって、前記第1の走査による走査範囲とその一部が重複するように設定する走査制御手段等の各機能を有している。
【0066】
次に、従来、対応が要求されていた課題に対する本発明の第1の実施の形態のディジタルカメラにおける対応策について、図2に示す自動合焦動作を示す模式図を参照して説明する。
まず、この第1の実施の形態のディジタルカメラにおいては、先に図19〜図21を参照して説明した
【特許文献1】
に基づく初動位置から走査を開始する走査方式に本発明を適用している。図2に示すように、初動位置Poを走査開始点Psとして前記近い方の端点(図2では最至近合焦位置Pn)に向かって第1の走査(走査1)を行ない、合焦評価値のピークが判別されない場合には、前記初動位置Poよりも所定の重複幅Dだけ、前記近い方の端点(Pn)に近い位置から遠い方の端点(図2では無限遠合焦位置Pi)に向かって第2の走査(走査2)を行なうようにする。
【0067】
このようにすることにより、図2に示すように、初動位置Poが合焦位置Peにほぼ一致していても、初動位置Poの近傍に実質的に走査の不連続が生じることがなくなり、合焦精度が著しく向上する。すなわち、
【特許文献1】の方式の場合には、例えば図22においては第1の走査(走査1)と第2の走査(走査2)との不連続部分に合焦評価値のピークが存在していたため、ピークの判定精度が低下しがちであった。しかしながら、図2のように、第2の走査(走査2)の初めの部分を、重複幅Dだけ第1の走査(走査1)と重複させることにより、第1の走査(走査1)の走査範囲および第2の走査(走査2)の走査範囲のいずれかの中に明確にピークが出現するようになる。なお、第2の走査(走査2)を走査開始点Psの近傍から第1の走査(走査1)と逆方向への走査とすることにより、重複部分の走査のタイムラグを少なくすることができ、合焦走査の効率をさらに高めることができるが、第2の走査(走査2)の走査方向をこれとは逆方向としても重複走査による効果は得ることができる。
したがって、合焦走査が適正化され、合焦走査の走査開始点近傍を全走査域の境界とする2つの領域をそれぞれ走査するための2つの走査の走査範囲が重複するため、合焦走査の連続性が効果的に確保され、合焦評価値のピーク位置が確実に判定される。
【0068】
次に、本発明の第2の実施の形態に係るディジタルカメラについて説明する。本発明の第2の実施の形態に係るディジタルカメラは、上述した本発明の第1の実施の形態のディジタルカメラと同様に、図1に示すように構成する。そして、この第2の実施の形態のディジタルカメラにおいては、システムコントローラ10は、前記合焦制御手段における走査制御手段として、フォーカスレンズ1aの初動位置から、全走査域の両端点のうちの一方の端点、例えば遠い方の端点、に向かう所定の方向に所定量だけ移動させた点を走査開始点として、該走査開始点から、前記所定の方向とは逆の他方の端点、例えば近い方の端点、に向かう第1の走査(走査1)を経て、前記全走査域の残部を、例えば前記第1の走査とは逆方向に、走査するための第2の走査(走査2)に至る一連の走査を行なうとともに、前記第2の走査による走査範囲を、例えば前記第2の走査の起点を前記走査開始点よりも所定の重複幅Dだけ前記近い方の端点に近い位置に設定することなどによって、前記第1の走査による走査範囲とその一部が重複するように設定する機能を有している。
【0069】
次に、本発明の第2の実施の形態のディジタルカメラについて、図3に示す自動合焦動作を示す模式図を参照して具体的に説明する。
この第2の実施の形態においては、先に図25〜図28を参照して説明した本発明者の先願における方式に基づく初動位置からスタート戻し動作を行なってから、第1の走査(走査1)を開始する走査方式に本発明を適用している。すなわち、図3に示すように、初動位置Poから、全走査域の両端点のうちの遠い方の端点(図3では最至近合焦位置Pn)に向かう方向に所定量ずらした位置を走査開始点Psとして、スタート位置を補正し、そこから前記両端点のうちの近い方の端点(図3では無限遠合焦位置Pi)に向かって第1の走査(走査1)を行なうようにして、この第1の走査(走査1)で、ピークの存在する可能性の高い初動位置Poの近傍を通過するようにする。この第1の走査(走査1)で合焦評価値のピークが判別されない場合には、走査開始点Psよりも所定の重複幅Dだけ、前記近い方の端点(Pi)に近い位置から遠い方の端点(図3では最至近合焦位置Pn)に向かって第2の走査(走査2)を行なうようにする。
【0070】
このようにすることにより、図3に示すように、初動位置Poからスタート戻しによる位置補正を行なった走査開始点Psが、たまたま、最終合焦位置Peにほぼ一致したとしても、走査開始点Psの近傍に実質的に走査の不連続が生じることがなくなり、合焦精度が著しく向上する。すなわち、先願の方式の場合には、例えば図28においては、第1の走査(走査1)と第2の走査(走査2)との不連続部分(走査開始点Ps近傍)に合焦評価値のピークが存在していたため、ピークの判定精度が低下しがちであった。しかしながら、図3のように、第2の走査(走査2)の初めの部分を、重複幅Dだけ第1の走査(走査1)と重複させることにより、第1の走査(走査1)の走査範囲および第2の走査(走査2)の走査範囲のいずれかの中に明確にピークが出現するようになる。この場合も、第2の走査(走査2)を走査開始点Psの近傍から第1の走査(走査1)と逆方向への走査とすることにより、重複部分の走査のタイムラグを少なくすることができ、合焦走査の効率をさらに高めることができるが、第2の走査(走査2)の走査方向をこれとは逆方向としても重複走査による効果は得ることができる。
【0071】
したがって、合焦走査が適正化され、合焦走査の走査開始点近傍を全走査域の境界とする2つの領域をそれぞれ走査するための2つの走査の走査範囲が重複するため、合焦走査の連続性が効果的に確保され、合焦評価値のピーク位置が確実に判定される。しかも、スタート戻しによるスタート位置の補正を行なって走査開始点Psを定めているので、同一の被写体をほぼ同一の状況で連続的に繰り返し合焦する際に、第1の走査(走査1)でピークが検出される可能性が増し、合焦走査の効率および合焦の確実性が向上するとともに、第1の走査(走査1)の走査範囲が第2の走査(走査2)の走査範囲よりも狭くなるようにしているので、合焦走査の効率が一層高くなる。
【0072】
さらに、本発明の第3の実施の形態に係るディジタルカメラについて、図4に示す自動合焦動作を示す模式図を参照して具体的に説明する。
この第3の実施の形態のディジタルカメラにおいては、先に図29〜図31を参照して説明した全走査域を、複数の領域に分割し、被写体が存在する確率が高い部分を優先的に走査して、合焦とみなし得る合焦評価値のピークが判定されたら、以後の走査を行なわずにフォーカスレンズをピーク位置に戻して最終合焦位置として設定する走査方式に本発明を適用している。すなわち、図4に示すように、初動位置Poから、全走査域を分割した領域の境界位置Pbを走査開始点Psとして、スタート位置を補正し、そこから前記両端点のうちの一方の端点(図4では、近い方の端点である無限遠合焦位置Pi)に向かって優先度の高い第1の走査(走査1)を行ない、この第1の走査(走査1)で合焦評価値のピークが判別されない場合には、走査開始点Psよりも所定の重複幅Dだけ前記一方の端点(Pi)に近い位置から、他方の端点(図4では、遠い方の端点である最至近合焦位置Pn)に向かって第2の走査(走査2)を行なうようにする。
【0073】
このようにすることにより、図4に示すように、走査開始点Psとなる境界位置Pbが、たまたま、最終合焦位置Peにほぼ一致したとしても、走査開始点Psの近傍に実質的に走査の不連続が生じることがなくなり、合焦精度が著しく向上する。すなわち、隣接する走査域間の境界位置Pb近傍(走査開始点Ps近傍)に合焦評価値のピークが存在していても、図4のように、後続の走査域の第2の走査(走査2)の一部、例えば初めの部分、を、重複幅Dだけ先行する走査域の第1の走査(走査1)と重複させることにより、各走査の走査範囲のいずれかの中に明確にピークが出現するようになる。
したがって、合焦走査が適正化され、合焦走査の全走査域が分割された各走査域の隣接する領域に対する走査範囲が互いに重複するため、合焦走査の連続性が効果的に確保され、合焦評価値のピーク位置の高い判定精度を確保することができる。
【0074】
以上の第1〜第3の実施の形態のディジタルカメラによれば、隣接する走査域の各走査範囲の端部が相互に重複するので、重複部の一方の端部近傍に合焦評価値のピークがあったとしてもピーク部分は他方の走査範囲内に充分に収まり、走査不連続部分での判定を回避することができる。したがって、走査域の境界部分近傍にピークがあった場合にも正確なAF動作を実行することができる。
【0075】
次に、本発明の第4の実施の形態に係るディジタルカメラについて説明する。上述した本発明の第1、第2および第3の実施の形態においては、図2、図3および図4を従来の方式の図(例えば、それぞれ図22、図28および図31)と比較すれば明らかなように、第2の走査(走査2)の走査範囲が重複幅相当分だけ従来の方式より増大するため、AF動作速度の面では不利となる。換言すると、本発明における第1の走査(走査1)に対する第2の走査(走査2)の重複幅は、極力小さく設定してAF動作速度への影響を最小限にくいとめるように構成することが好ましい。
そこで、本発明が解決しようとしている課題に立ち返ってみると、本発明が回避しようとしているものは、走査データの不連続性であり、更に詳細には、走査データが時間的に不連続であることによって生じる被写体変化等による誤差である。すなわち、走査データには、たとえ不連続部分が存在したとしても、時間的に連続性があるとみなすことができる範囲については、走査データをそのままピークの判定に使っても差し支え無いことになる。このような点を考慮すると、不連続箇所における時間的な不連続の程度によって、走査重複幅を可変として調整可能とし、常に必要最小限の走査重複幅にすれば、AF動作速度への影響を低減することが可能となるはずである。このような手法を採用したのが本発明の第4の実施の形態のディジタルカメラである。
【0076】
本発明の第4の実施の形態に係るディジタルカメラも、ハードウェア的には、上述した本発明の第1の実施の形態のディジタルカメラと同様に、図1に示すように構成する。そして、この第4の実施の形態のディジタルカメラにおいては、システムコントローラ10は、前記合焦制御手段における走査制御手段として、少なくとも前記走査範囲の重複部近傍における各走査範囲の走査による合焦評価値検出タイミングを監視する手段、および前記走査範囲の重複部の重複幅を、当該重複部における各走査範囲の少なくとも合焦評価値検出タイミングの時間差に応じて可変制御する手段に相当する機能を含んでいる。具体的には、システムコントローラ10は、前記走査制御手段として、例えば、前記走査制御手段は、走査タイミングを監視し、第1の走査(走査1)の走査開始から第2の走査(走査2)の走査開始に至るまでの時間を判別する機能、およびこの判別時間に応じて前記重複部の重複幅をFd1またはFd2等に可変制御する機能を有している。
【0077】
次に、本発明の第4の実施の形態のディジタルカメラについて、図5および図6に示す自動合焦動作を示す模式図を参照して具体的に説明する。
すなわち、図5および図6に示すように、少なくとも走査が不連続となる重複部における走査タイミングを監視し、図5に示すように合焦評価値検出の時間差、すなわち第1の走査(走査1)の走査開始から第2の走査(走査2)の走査開始までの時間が短い場合には、走査の重複範囲が小さめの重複幅Fd1とし、図6に示すように合焦評価値検出の時間差、すなわち第1の走査(走査1)の走査開始から第2の走査(走査2)の走査開始までの時間が長い場合には、走査の重複範囲を大きめの重複幅Fd2として設定するように制御する。
このようにすると、無駄なく高精度のAF動作を行なうことができる。図5および図6によれば、走査不連続箇所における時間差は、単に第1の走査(走査1)と、第1の走査(走査1)後、第2の走査(走査2)を開始する位置までの走査戻し動作(戻し動作1)の駆動量で定まるかのように見えるかもしれない。しかし、当然のことであるが、合焦評価値の取込み間隔および取込み周期等によって定まる走査速度や戻し速度も関連している。したがって、例えば、合焦評価値の取込み周期が短い「高速AF」の場合には、走査重複幅を重複幅Fd1のように小さくし、合焦評価値の取込み周期が長い「通常AF」の場合には、逆に重複幅Fd2のように大きくすることも考えられる。なお、図5および図6等の場合においても、第2の走査(走査2)によるピーク判別後のピーク位置への戻し動作(戻し動作2)については、従来および先の各実施の形態と同様である。
【0078】
次に、本発明の第5の実施の形態に係るディジタルカメラについて説明する。上述した第4の実施の形態の場合と同様に、本発明における第1の走査(走査1)に対する第2の走査(走査2)の重複幅は、極力小さく設定してAF動作速度への影響を最小限にくいとめるように構成するため、予め重複部近傍にピークが発生しそうもないことが予測される場合には、重複幅を小さくすることが考えられる。このような手法を採用して、AF動作時間のロスを最小限に抑えようとするのが本発明の第5の実施の形態のディジタルカメラである。
本発明の第5の実施の形態に係るディジタルカメラも、ハードウェア的には、上述した本発明の第1の実施の形態のディジタルカメラと同様に、図1に示すように構成する。そして、この第5の実施の形態のディジタルカメラにおいては、システムコントローラ10は、前記合焦制御手段における走査制御手段として、少なくとも前記走査範囲の重複部近傍において検出された合焦評価値に基づいて、前記走査範囲の重複部の重複幅を可変制御する手段に相当する機能を含んでいる。具体的には、システムコントローラ10は、前記走査制御手段として、例えば、前記走査制御手段は、第1の走査(走査1)の結果による合焦評価値から、前記走査範囲の重複部近傍にピークがありそうか否かを判断し、それに応じて前記重複部の重複幅をFd3またはFd4等に可変制御する機能を有している。
【0079】
次に、本発明の第5の実施の形態のディジタルカメラについて、図7および図8に示す自動合焦動作を示す模式図を参照して具体的に説明する。
すなわち、図7および図8に示すように、少なくとも走査が不連続となる重複部における第1の走査(走査1)の結果として得られる合焦評価値から、前記重複部近傍にピークがありそうか否かを予測判別し、ピークがありそうな場合には重複幅を大きくとり、ありそうもない場合には重複幅を小さくとるように制御する。具体的には、第1の走査(走査1)による合焦評価値から、図7に示すように、前記重複部近傍における合焦評価値が大きいかまたは変化が大きいなど、ピークが近そうな場合には、充分に大きな走査重複幅Fd3をとり、図8に示すように、合焦評価値が小さいかまたは変化が小さいなど、ピークが遠そうな場合には、小さな走査重複幅Fd4をとるかまたは走査重複幅を0としてしまうかするように制御する。
このようにしても、第4の実施の形態の場合と同様に、無駄なく高精度のAF動作を行なうことができる。図7および図8によれば、走査不連続箇所となる前記重複部近傍におけるピークの発生の可能性の予測判断の根拠は、さほど明確には示されてはいないが、合焦評価値は、ピークに近づくと顕著な変化を呈して高くなるので、第1の走査(走査1)でピークが検出されず、しかも重複部近傍での合焦評価値が大きいかまたは変化が大きい場合に、ピークが近いと判別し、重複部近傍での合焦評価値が小さいかまたは変化が小さい場合に、ピークが遠いと判別している。
【0080】
これら第4および第5の実施の形態の制御方法を採用することによって、AF動作時間を無闇に長くすることなく、本発明の主たる命題である走査不連続箇所近傍での正確なAF動作を達成することができる。
次に、本発明の第6の実施の形態に係るディジタルカメラについて説明する。本発明の第6の実施の形態のディジタルカメラでは、システムコントローラ10は、前記合焦制御手段における走査制御手段として、フォーカスレンズ1aの初動位置から、全走査域の両端点のうちの一方の端点、例えば遠い方の端点、に向かう所定の方向に所定のスタート戻し量だけ移動させた点を走査開始点として、該走査開始点から、前記所定の方向とは逆の他方の端点、例えば近い方の端点、に向かう第1の走査(走査1)を経て、前記全走査域の残部を、例えば前記第1の走査とは逆方向に、走査するための第2の走査(走査2)に至る一連の走査を行なうとともに、前記第2の走査による走査範囲を、例えば前記第2の走査の起点を前記走査開始点よりも所定の重複幅Fdだけ前記近い方の端点に近い位置に設定することなどによって、前記第1の走査による走査範囲とその一部が重複するように設定する機能と、少なくとも前記走査範囲の重複部近傍における各走査範囲の走査による合焦評価値検出タイミングを監視する手段、および前記走査範囲の重複部の重複幅を、当該重複部における各走査範囲の少なくとも合焦評価値検出タイミングの時間差に応じて可変制御する手段に相当する機能、具体的には、例えば走査タイミングを監視し、第1の走査(走査1)の走査開始から第2の走査(走査2)の走査開始に至るまでの時間を判別する機能、およびこの判別時間に応じて前記重複部の重複幅FdをFd1またはFd2等に可変制御する機能と、そして、少なくとも前記走査範囲の重複部近傍において検出された合焦評価値に基づいて、前記走査範囲の重複部の重複幅を可変制御する手段に相当する機能、具体的には、例えば、前記走査制御手段は、第1の走査(走査1)の結果による合焦評価値から、前記走査範囲の重複部近傍にピークがありそうか否かを判断し、それに応じて前記重複部の重複幅FdをFd3またはFd4等に可変制御する機能とを有している。
【0081】
すなわち、本発明の第6の実施の形態に係るディジタルカメラにおけるシステムコントローラ10は、上述した第2、第4および第5の実施の形態に係る機能を組み合わせた複合的な走査制御手段を、前記合焦制御手段に含んでいる。なお、この第6の実施の形態に係るディジタルカメラには、走査制御手段に、初動位置が両端点のいずれかに充分に近い場合(近い方の端点までの距離Fsが所定値Fs1未満)には、一旦、近い方の端点まで移動してから全走査域を1回の走査により一括して操作する機能と、AF動作開始時の種々の条件に応じてスタート戻し量Frを可変制御する機能とを含んでいる。
図9および図10は、本発明の第6の実施の形態に係るディジタルカメラにおける自動合焦動作の概略を説明するためのフローチャートである。このフローチャートに示す制御処理は、主としてシステムコントローラ10において行なわれる。
【0082】
まず、図9および図10に示すように、カメラの電源がオンとなると(ステップ#1)、合焦動作回数の初期化およびフォーカスレンズ1aの常焦点位置Pjへの移動等の初期設定がなされ(ステップ#2、ステップ#3)、レリーズ押圧部19が半押しされるのを待つ(ステップ#5)。このステップ#3とステップ#5との間に合焦評価値を継続的に取得し(ステップ#4)、後にスタート戻し量設定時に「被写体が変化したかどうか?」の判定(ステップ#9、ステップ#10)の材料として用いられる。この時点で、合焦動作が未実施(Nt=0)である場合には、この継続的合焦評価値は必要ないので、合焦動作回数Ntの値に応じて、ステップ#4で合焦評価値を取得するか否かを判断するようにしてもよいが、制御の流れが煩雑になること、不要の情報を取得しても特に問題はないことから、常に取得するようなシーケンスとしている。
【0083】
レリーズ押圧部19の半押しが半押し検出部13により検出されると(ステップ#5)、引き続き撮影準備動作に移行する。まず、合焦動作が1回目か?(ステップ#6)、もしくは前回の合焦動作が合焦失敗(AFNG)で終了しているか?(ステップ#7)を判別し、合焦動作が1回目もしくは前回が合焦失敗であった場合には、スタート戻し量として値Fr1を選択する(ステップ#8)。この値Fr1(電源オン直後に合焦失敗の後(常焦点位置)におけるスタート戻し量(Po〜Ps))は比較的大きい数値であり、その後の合焦動作で、まず常焦点中心の広いエリアを走査するような設定である。合焦動作時間優先という見地において、Fr1の値を、比較的大きい数値ではなく、「0」に設定することもカメラの構成によってはあり得る。
【0084】
さらに、ステップ#9およびステップ#10においては、前回の合焦動作時から、被写体が変化しているか否かを、3段階に判別し、Frの値をそれぞれで設定する。すなわち、完全に被写体が変化していると判断される場合には、初動位置から戻して走査を実施するメリットが少ないため、値Fr=0に設定し(ステップ#11)、逆に、ほぼ同一条件での連続撮影だと判断される場合には、Frを比較的小さいFr3(前回撮影と同一シーンであると思われる場合のスタート戻し量)という値に設定する(ステップ#13)。これらの中間的な場合、すなわち概ね被写体は変化していないと判断される場合、には、Fr3よりは大きめのFr2(前回撮影とおおむね同一シーンであると思われる場合のスタート戻し量(Fr1>Fr2>Fr3))という数値に設定される(ステップ#12)。なお、被写体が変化しているか否かを判別するファクタとして前回合焦以後の経過時間を含めても良い。すなわち、長時間が経過していれば被写体が変化している可能性が高いし、長時間が経過していなければ被写体が変化している可能性が低いことを判定に利用する。
【0085】
次に、初動位置Poがいずれかの端点に近い場合は、端点まで移動してから合焦走査を開始する方が高い合焦精度が期待できるため、端点までの近さを判定する(ステップ#14、ステップ#15)。初回の合焦動作時や前回合焦失敗(AFNG)時は、いずれもステップ#8を通過しており、既に端点から近くないことが明確であるが、制御の流れを簡略化するため、同一の流れの上に戻している。ステップ#15で端点まで近いと判断された場合は、近い方の端点まで移動し(ステップ#16)、遠い方の端点に向けて合焦走査を開始する(ステップ#17)。走査途中でピークが検出された場合は(ステップ#18、ステップ#19)、走査を中断して、「合焦成功(AFOK)表示」を行った後にピーク位置にフォーカスレンズ1aを駆動させる(ステップ#29)。合焦成功表示および後述する合焦失敗(AFNG)表示は、通常はファインダ近辺に配置された合焦発光ダイオード(AFLED)の点灯または点滅によって行われることが多いが、他の方法を採用しても良い。一方、全域走査してもピークが検出されなかった場合には(ステップ#18、ステップ#19)、再度、全域の合焦評価値を検証して、ピークと判断できるポイントがあるかどうかを判断する(ステップ#27)。
【0086】
ここで、ステップ#18のピーク判定は、偽合焦(間違ったピークに合焦させてしまうこと)を避けるために、比較的厳しい判定を実施するが、ステップ#27のピーク判定は、全域のデータを用いて判定するため、比較的緩い基準でピークを判定するようになっている。ステップ#27でピークありと判断された場合は、ステップ#18の場合と同様にステップ#29へ進み、表示動作および合焦動作を実施する。一方、全域走査でもピークが検出されない場合には、「合焦失敗(AFNG)」表示を行うとともに、次回に備えて、合焦失敗(AFNG)であった事実を記憶させ、常焦点位置へとフォーカスレンズを駆動させる(ステップ#28)。
一方、ステップ#15で端点まで遠いと判断した場合には、設定されているFrの値の分だけフォーカス位置を遠い方の端点に向かって移動させ(ステップ#20)、その位置から、近い方の端点に向かって走査を開始する(ステップ#21)。この場合にも、上述と同様に、走査中にもピーク判定を実施しながら走査を行ない(ステップ#22、ステップ#23)、端点に到達した場合は、後述するように、ピークの兆候の予測および走査のタイムラグに応じて、第1の走査(走査1)と第2の走査(走査2)との走査の重複幅Fd(=0〜Fd1〜Fd2)を可変制御する処理(ステップ#41〜ステップ#45)を経て、残りの領域を走査すべく、第1の走査(走査1)の走査開始点よりも重複幅Fdだけ手前まで戻してから(ステップ#46)、ピーク検出を実施しつつ(ステップ#25、ステップ#26)、遠い方の端点まで第1の走査(走査1)とは逆方向に第2の走査(走査2)を実施する。
【0087】
ステップ#22またはステップ#25のピーク検出においてピークが検出された場合の挙動は、ステップ#18におけるピーク検出の場合と同様であり、全域走査が完了(ステップ#26)した後の挙動も、ステップ#19の全域走査完了後の挙動と同様である。
ここで、ピークの兆候の予測および走査のタイムラグに応じて、第1の走査(走査1)と第2の走査(走査2)との走査の重複幅Fdを可変制御する処理(ステップ#41〜ステップ#45)および第1の走査(走査1)の走査開始点よりも重複幅Fdだけ手前まで戻してから残りの領域を走査させるようにする処理(ステップ#46)について説明する。まず、ピークが検出されないまま、ステップ#23において第1の走査(走査1)を完了した場合には、第1の走査(走査1)の走査開始点近傍の合焦評価値を検証して、第1の走査(走査1)の走査開始点付近にピークが存在する可能性があるかどうかを判断する(ステップ#41)。具体的には、ピークの兆候の予測は、合焦評価値の絶対値と、そのデータが、どの程度の割合(傾斜)の減少傾向を示しているか、つまりどの程度右下がりになっているか、で判断することになる。ここで、走査開始点Psである第1の走査の走査開始点付近にピークが無さそうだ(すなわち、走査開始点Ps近傍にピークが存在する度合いが小さい)と判断されると、第2の走査の走査重複幅Fdは0に設定される(ステップ#42)。
【0088】
ステップ#41で、第1の走査の走査開始点付近にピークがあるかもしれない(すなわち、走査開始点Ps近傍にピークが存在しそうである)と判断された場合には、第1の走査の走査開始から現在に至るまでの時間(すなわちタイムラグの時間差)Tが、予め設定した所定のしきい値よりも長いかどうかを判断する(ステップ#43)。ステップ#43において、前記しきい値よりも長いと判定された場合には、充分に大きな重複幅(重複走査範囲)を必要とするため走査重複幅Fd=Fd2に設定し(ステップ#45)、ステップ#43において、前記しきい値以下であると判定された場合には、重複幅Fd=Fd1(Fd1<Fd2)に設定する(ステップ#44)。これらステップ#43〜ステップ#45の操作は、必ずしも2段階である必要はなく、3段階または4段階以上としても良いし、重複幅Fdの値を時間Tの関数として決定するような方式にしても構わないし、さらには、ステップ#41およびステップ#42も含めて、重複幅Fdの値を、時間Tと第1の走査の走査開始点におけるピーク兆候度のような数値の関数として求めるような方式とすることも考えられる。
その後、上述した重複幅Fdの値に基づいて、第2の走査の走査開始位置を求めた上で、その位置までフォーカシングレンズ1aを移動し、第2の走査を開始することになる(ステップ#46)。
【0089】
次に、ステップ#28またはステップ#29において合焦結果の表示やフォーカスレンズ1aの駆動を済ませた後に、レリーズ半押しが継続しているか?(ステップ#31)、レリーズ押圧部19が全押しされているか?(ステップ#32)、を半押し検出部13および全押し検出部14を用いて検出する。この際、継続的に合焦評価値を取得し(ステップ#30)、ステップ#4における合焦評価値の取得の場合と同様に、次回の被写体変化の判定(ステップ#9、ステップ#10)で用いることになる。
ステップ#31において、レリーズ半押し解除が検出された場合には、合焦動作回数をアップカウントしてから(ステップ#34)、初めのステップ#5におけるレリーズ半押し待ち状態へ移行し、あるいは、ステップ#32においてレリーズ全押しが検出された場合には、所定の撮影動作を実施した後に(ステップ#33)、ステップ#34の合焦動作回数のアップカウント、ステップ#5のレリーズ半押し待ちへと移行する。いずれの場合にも、フォーカスレンズ1aの位置は、ステップ#28またはステップ#29にて設定された合焦位置もしくは常焦点位置を保ったまま、ステップ#5へと移行する。
なお、図9および図10においては、煩雑になるのを防止するため、合焦動作に係る動作以外の動作(AEおよびAWB等)についての説明は省略してある。
【0090】
以上が本発明の第1〜第6の実施の形態によるディジタルカメラであるが、本発明の主要構成を逸脱しない限り、様々な方式と組み合わせることが可能である。
例えば、ピーク検出により合焦走査を中断する/しないや、第2の合焦走査(走査2)の走査方向を第1の合焦走査(走査1)の走査方向と同一とする/逆にする等々は、対応する機種の特性や要求される性能によって、それぞれにメリットがあり、本発明は、いずれにも対応させることができる。
また、上述においては、本発明による自動合焦方法を用いた自動合焦システムをディジタルカメラに適用した実施の形態について説明したが、その他のカメラに適用しても良いし、本発明の自動合焦方法および自動合焦システムは、カメラに限らず、他の画像入力装置、例えばイメージスキャナまたは複写機等、あるいは、光学的観察装置、例えば顕微鏡、望遠鏡、双眼鏡または内視鏡等、のような被写体像を取得する被写体像取得装置に広く適用することができる。
【0091】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、走査不連続点近傍における合焦評価値(AF評価値)の連続性を損なわない合焦走査を実現し、合焦走査に関連する動作を適正化して、合焦走査の確実性および効率を効果的に向上し得るカメラ、被写体像取得装置、自動合焦システムおよび自動合焦方法を提供することができる。すなわち、本発明の請求項1のカメラによれば、被写体像を所定の結像面上に結像させるための撮影光学系と、前記被写体像を映像信号に変換するための撮像手段と、前記撮影光学系の全体、前記撮影光学系の一部の光学手段、および前記撮像手段のうちの少なくともいずれかを、光軸方向に移動することにより、前記撮像手段上の被写体像の合焦状態を変化させるフォーカス作動手段と、前記撮像手段によって得られる撮像データから合焦状態の目安となる合焦評価値を求める合焦評価値検出手段と、前記フォーカス作動手段を連続的および間欠的の少なくとも一方にて駆動させながら前記合焦評価値検出手段を作動させて複数の合焦評価値を得る走査により、合焦評価値が最も適正な値となる合焦点を探索し、前記合焦点が確定した時点で前記走査を終了し、前記フォーカス作動手段を前記合焦点に駆動させてピント合わせを行なう合焦制御手段とを有し、且つ前記合焦制御手段は、前記フォーカス作動手段の初動位置および該初動位置に関連付けられて決定される補正位置のいずれか一方を走査開始点とし、この走査開始点から全走査域の両端点のうちの一方の端点に向かう第1の走査を経て前記全走査域の残部を走査するための第2の走査に至る一連の走査を行なうとともに、前記第2の走査による走査範囲を、前記第1の走査による走査範囲とその一部が重複するように設定してなる走査制御手段を含むことにより、合焦走査に関連する動作を適正化し、特に、合焦走査の走査開始点近傍を全走査域の境界とする2つの領域をそれぞれ走査するための2つの走査の境界近傍における合焦走査の連続性を効果的に確保して、確実な合焦走査を実現することができる。
【0092】
さらに、本発明の請求項のカメラによれば、前記走査制御手段が、前記補正位置を、前記フォーカス作動手段の初動位置から前記第1の走査とは逆の方向に第1の所定量だけ移動させた位置とし、この補正位置から、前記第1の走査を開始するように、前記走査開始点および前記第1の走査の走査方向を設定してなる手段を含むことにより、特に、同一の被写体をほぼ同一の状況で連続的に繰り返し合焦する際における合焦走査の効率および合焦の確実性を向上させることができる。
本発明の請求項のカメラによれば、請求項1のカメラにおいて、前記走査制御手段が、前記第1の走査の走査方向を、前記全走査域の両端点のうちの前記初動位置から近い側の端点へ向かう方向とすることにより、特に、合焦走査の効率を一層高めることができる。
本発明の請求項のカメラによれば、請求項1または請求項のカメラにおいて、前記走査制御手段が、前記第2の走査の走査方向を、前記第1の走査の走査方向とは逆の方向とすることにより、特に、合焦走査の効率をさらに高めることができる。
【0093】
本発明の請求項のカメラによれば、被写体像を所定の結像面上に結像させるための撮影光学系と、前記被写体像を映像信号に変換するための撮像手段と、前記撮影光学系の全体、前記撮影光学系の一部の光学手段、および前記撮像手段のうちの少なくともいずれかを、光軸方向に移動することにより、前記撮像手段上の被写体像の合焦状態を変化させるフォーカス作動手段と、前記撮像手段によって得られる撮像データから合焦状態の目安となる合焦評価値を求める合焦評価値検出手段と、前記フォーカス作動手段を連続的および間欠的の少なくとも一方にて駆動させながら前記合焦評価値検出手段を作動させて複数の合焦評価値を得る走査により、合焦評価値が最も適正な値となる合焦点を探索し、前記合焦点が確定した時点で前記走査を終了し、前記フォーカス作動手段を前記合焦点に駆動させてピント合わせを行なう合焦制御手段とを有し、且つ前記合焦制御手段は、前記フォーカス作動手段を走査すべき全走査域を複数の領域に分けて、それぞれの領域を走査するための複数の走査範囲を設定し、各走査範囲を所定の順序で走査して一連の走査を行なうとともに、前記複数の走査範囲は、前記複数の領域をそれぞれ含み且つ隣接する前記各走査範囲は、互いにその一部が重複するように設定してなる走査制御手段を含むことにより、合焦走査に関連する動作を適正化し、特に、合焦走査の全走査域を複数分割した各領域をそれぞれ走査するための各走査範囲の境界近傍における合焦走査の連続性を効果的に確保して、確実な合焦走査を実現することができる。
【0094】
さらに、本発明の請求項のカメラによれば、前記走査制御手段が、少なくとも前記走査範囲の重複部近傍における最初の走査におけるタイムラグを監視する手段と、前記走査範囲の重複部の重複幅を、当該重複部における各走査範囲の少なくとも前記タイムラグの長さに応じて大きくするように可変制御する手段とを含むことにより、特に、無駄な動作を効果的に抑制して、合焦走査の効率を一層向上させることができる。
本発明の請求項のカメラによれば、請求項のカメラにおいて、前記走査制御手段が、少なくとも前記重複する各走査範囲のうちの先行する走査範囲の重複部近傍にて検出された合焦評価値におけるピークの兆候を予測し、当該ピークの兆候の大きさに基づいて、前記走査範囲の当該重複部の重複幅を大きくするように可変制御する手段を含むことにより、特に、無駄な動作をさらに効果的に抑制して、合焦走査の効率をさらに向上させることができる。
【0095】
そして、本発明の請求項の被写体像取得装置によれば、被写体像を取得するための像取得手段と、前記被写体像から該被写体像に応じた被写体像情報を得るための像情報取得手段と、前記像取得手段で取得される被写体像の合焦状態を変化させるフォーカス作動手段と、前記像情報取得手段によって得られる被写体像情報から合焦状態の目安となる合焦評価値を求める合焦評価値検出手段と、前記フォーカス作動手段を連続的および間欠的の少なくとも一方にて駆動させながら前記合焦評価値検出手段を作動させて複数の合焦評価値を得る走査により、合焦評価値が最も適正な値となる合焦点を探索し、前記合焦点が確定した時点で前記走査を終了し、前記フォーカス作動手段を前記合焦点に駆動させてピント合わせを行なう合焦制御手段とを有し、前記合焦制御手段は、前記フォーカス作動手段の初動位置および該初動位置に関連付けられて決定される補正位置のいずれか一方を走査開始点とし、この走査開始点から全走査域の両端点のうちの一方の端点に向かう第1の走査を経て前記全走査域の残部を走査するための第2の走査に至る一連の走査を行なうとともに、前記第2の走査による走査範囲を、前記第1の走査による走査範囲とその一部が重複するように設定してなる走査制御手段を含む構成としたので、合焦走査に関連する動作を適正化し、特に、合焦走査の走査開始点近傍を全走査域の境界とする2つの領域をそれぞれ走査するための2つの走査の境界近傍における合焦走査の連続性を効果的に確保して、確実な合焦走査を実現することができる。
【0096】
さらに、本発明の請求項の被写体像取得装置によれば、前記走査制御手段が、前記補正位置を、前記フォーカス作動手段の初動位置から前記第1の走査とは逆の方向に第1の所定量だけ移動させた位置とし、この補正位置から、前記第1の走査を開始するように、前記走査開始点および前記第1の走査の走査方向を設定してなる手段を含むことにより、特に、同一の被写体をほぼ同一の状況で連続的に繰り返し合焦する際における合焦走査の効率および合焦の確実性を向上させることができる。
本発明の請求項の被写体像取得装置によれば、請求項の被写体像取得装置において、前記走査制御手段が、前記第1の走査の走査方向を、前記全走査域の両端点のうちの前記初動位置から近い側の端点へ向かう方向とすることにより、特に、合焦走査の効率を一層高めることができる。
本発明の請求項の被写体像取得装置によれば、請求項6または請求項の被写体像取得装置において、前記走査制御手段が、前記第2の走査の走査方向を、前記第1の走査の走査方向とは逆の方向とすることにより、特に、合焦走査の効率をさらに高めることができる。
【0097】
本発明の請求項の被写体像取得装置によれば、被写体像を取得するための像取得手段と、前記被写体像から該被写体像に応じた被写体像情報を得るための像情報取得手段と、前記像取得手段で取得される被写体像の合焦状態を変化させるフォーカス作動手段と、前記像情報取得手段によって得られる被写体像情報から合焦状態の目安となる合焦評価値を求める合焦評価値検出手段と、前記フォーカス作動手段を連続的および間欠的の少なくとも一方にて駆動させながら前記合焦評価値検出手段を作動させて複数の合焦評価値を得る走査により、合焦評価値が最も適正な値となる合焦点を探索し、前記合焦点が確定した時点で前記走査を終了し、前記フォーカス作動手段を前記合焦点に駆動させてピント合わせを行なう合焦制御手段とを有し、前記合焦制御手段は、前記フォーカス作動手段を走査すべき全走査域を複数の領域に分けて、それぞれの領域を走査するための複数の走査範囲を設定し、各走査範囲を所定の順序で走査して一連の走査を行なうとともに、前記複数の走査範囲は、前記複数の領域をそれぞれ含み且つ隣接する前記各走査範囲は、互いにその一部が重複するように設定してなる走査制御手段を含むことにより、合焦走査に関連する動作を適正化し、特に、合焦走査の全走査域を複数分割した各領域をそれぞれ走査するための各走査範囲の境界近傍における合焦走査の連続性を効果的に確保して、確実な合焦走査を実現することができる。
【0098】
さらに、本発明の請求項の被写体像取得装置によれば、前記走査制御手段が、少なくとも前記走査範囲の重複部近傍における最初の走査におけるタイムラグを監視する手段と、前記走査範囲の重複部の重複幅を、当該重複部における各走査範囲の少なくとも前記タイムラグの長さに応じて大きくするように可変制御する手段とを含むことにより、特に、無駄な動作を効果的に抑制して、合焦走査の効率を一層向上させることができる。
【0099】
本発明の請求項10の被写体像取得装置によれば、請求項の被写体像取得装置において、前記走査制御手段が、少なくとも前記重複する各走査範囲のうちの先行する走査範囲の重複部近傍にて検出された合焦評価値におけるピークの兆候を予測し、当該ピークの兆候の大きさに基づいて、前記走査範囲の当該重複部の重複幅を大きくするように可変制御する手段を含むことにより、特に、無駄な動作をさらに効果的に抑制して、合焦走査の効率をさらに向上させることができる。
そしてまた、本発明の請求項11の自動合焦システムによれば、被写体像の合焦状態を変化させるフォーカス作動手段と、被写体像に応じた被写体像情報から合焦状態の目安となる合焦評価値を求める合焦評価値検出手段と、前記フォーカス作動手段を連続的および間欠的の少なくとも一方にて駆動させながら前記合焦評価値検出手段を作動させて複数の合焦評価値を得る走査により、合焦評価値が最も適正な値となる合焦点を探索し、前記合焦点が確定した時点で前記走査を終了し、前記フォーカス作動手段を前記合焦点に駆動させてピント合わせを行なう合焦制御手段とを有し、且つ前記合焦制御手段は、前記フォーカス作動手段の初動位置および該初動位置に関連付けられて決定される補正位置のいずれか一方を走査開始点とし、この走査開始点から全走査域の両端点のうちの一方の端点に向かう第1の走査を経て前記全走査域の残部を走査するための第2の走査に至る一連の走査を行なうとともに、前記第2の走査による走査範囲を、前記第1の走査による走査範囲とその一部が重複するように設定してなる走査制御手段を含むことにより、合焦走査に関連する動作を適正化し、特に、合焦走査の走査開始点近傍を全走査域の境界とする2つの領域をそれぞれ走査するための2つの走査の境界近傍における合焦走査の連続性を効果的に確保して、確実な合焦走査を実現することができる。
【0100】
さらに、本発明の請求項11の自動合焦システムによれば、前記走査制御手段が、前記補正位置を、前記フォーカス作動手段の初動位置から前記第1の走査とは逆の方向に第1の所定量だけ移動させた位置とし、この補正位置から、前記第1の走査を開始するように、前記走査開始点および前記第1の走査の走査方向を設定してなる手段を含むことにより、特に、同一の被写体をほぼ同一の状況で連続的に繰り返し合焦する際における合焦走査の効率および合焦の確実性を向上させることができる。
本発明の請求項12の自動合焦システムによれば、請求項11の自動合焦システムにおいて、前記走査制御手段が、前記第1の走査の走査方向を、前記全走査域の両端点のうちの前記初動位置から近い側の端点へ向かう方向とすることにより、特に、合焦走査の効率を一層高めることができる。
本発明の請求項13の自動合焦システムによれば、請求項11または請求項12の自動合焦システムにおいて、前記走査制御手段が、前記第2の走査の走査方向を、前記第1の走査の走査方向とは逆の方向とすることにより、特に、合焦走査の効率をさらに高めることができる。
【0101】
本発明の請求項14の自動合焦システムによれば、被写体像の合焦状態を変化させるフォーカス作動手段と、被写体像に応じた被写体像情報から合焦状態の目安となる合焦評価値を求める合焦評価値検出手段と、前記フォーカス作動手段を連続的および間欠的の少なくとも一方にて駆動させながら前記合焦評価値検出手段を作動させて複数の合焦評価値を得る走査により、合焦評価値が最も適正な値となる合焦点を探索し、前記合焦点が確定した時点で前記走査を終了し、前記フォーカス作動手段を前記合焦点に駆動させてピント合わせを行なう合焦制御手段とを有し、且つ前記合焦制御手段は、前記フォーカス作動手段を走査すべき全走査域を複数の領域に分けて、それぞれの領域を走査するための複数の走査範囲を設定し、各走査範囲を所定の順序で走査して一連の走査を行なうとともに、前記複数の走査範囲は、前記複数の領域をそれぞれ含み且つ隣接する前記各走査範囲は、互いにその一部が重複するように設定してなる走査制御手段を含むことにより、合焦走査に関連する動作を適正化し、特に、合焦走査の全走査域を複数分割した各領域をそれぞれ走査するための各走査範囲の境界近傍における合焦走査の連続性を効果的に確保して、確実な合焦走査を実現することができる。
【0102】
さらに、本発明の請求項14の自動合焦システムによれば、前記走査制御手段が、少なくとも前記走査範囲の重複部近傍における最初の走査におけるタイムラグを監視する手段と、前記走査範囲の重複部の重複幅を、当該重複部における各走査範囲の少なくとも前記タイムラグの長さに応じて大きくするように可変制御する手段とを含むことにより、特に、無駄な動作を効果的に抑制して、合焦走査の効率を一層向上させることができる。
本発明の請求項15の自動合焦システムによれば、請求項14の自動合焦システムにおいて、前記走査制御手段が、少なくとも前記重複する各走査範囲のうちの先行する走査範囲の重複部近傍にて検出された合焦評価値におけるピークの兆候を予測し、当該ピークの兆候の大きさに基づいて、前記走査範囲の当該重複部の重複幅を大きくするように可変制御する手段を含むことにより、特に、無駄な動作をさらに効果的に抑制して、合焦走査の効率をさらに向上させることができる。
【0103】
そしてさらに、本発明の請求項16の自動合焦方法によれば、被写体像の合焦状態を変化させ且つ被写体像に応じた被写体像情報から合焦状態の目安となる合焦評価値を求めつつ、前記合焦状態を連続的および間欠的の少なくとも一方にて変化させて複数の合焦評価値を得る合焦走査によって、合焦評価値が最も適正な値となる合焦点を探索し、前記合焦点が確定した時点で前記合焦走査を終了して、ピント合わせを行なうにあたり、前記合焦走査の初動位置および該初動位置に関連付けられて決定される補正位置のいずれか一方を走査開始点として設定する走査開始点設定ステップと、前記走査開始点から全走査域の両端点のうちの一方の端点に至る第1の走査および前記全走査域の残部を走査するための第2の走査からなる一連の合焦走査のために、前記第1の走査における第1の走査範囲および前記第2の走査における第2の走査範囲を、前記第2の走査範囲が前記第1の走査範囲とその一部が重複するように設定する走査範囲設定ステップと、前記走査開始点から、前記第1の走査を経て前記第2の走査に至る一連の合焦走査を、前記合焦点が確定するまで行なわせる走査制御ステップとを有することにより、合焦走査に関連する動作を適正化し、特に、合焦走査の走査開始点近傍を全走査域の境界とする2つの領域をそれぞれ走査するための2つの走査の境界近傍における合焦走査の連続性を効果的に確保して、確実な合焦走査を実現することができる。
【0104】
さらに、本発明の請求項16の自動合焦方法によれば、前記走査開始点設定ステップが、前記合焦走査の初動位置から前記第1の走査の走査方向とは逆の方向に第1の所定量だけ移動させた補正位置を走査開始点として設定することにより、特に、同一の被写体をほぼ同一の状況で連続的に繰り返し合焦する際における合焦走査の効率および合焦の確実性を向上させることができる。
本発明の請求項17の自動合焦方法によれば、請求項16の自動合焦方法において、前記走査範囲設定ステップが、前記第1の走査の走査方向を、前記全走査域の両端点のうちの前記初動位置から近い側の端点へ向かう方向に設定するステップを含むことにより、特に、合焦走査の効率を一層高めることができる。
本発明の請求項18の自動合焦方法によれば、請求項16または請求項17の自動合焦方法において、前記走査範囲設定ステップが、前記第2の走査の走査方向を、前記第1の走査の走査方向とは逆の方向に設定するステップを含むことにより、特に、合焦走査の効率をさらに高めることができる。
【0105】
本発明の請求項19の自動合焦方法によれば、被写体像の合焦状態を変化させ且つ被写体像に応じた被写体像情報から合焦状態の目安となる合焦評価値を求めつつ、前記合焦状態を連続的および間欠的の少なくとも一方にて変化させて複数の合焦評価値を得る合焦走査によって、合焦評価値が最も適正な値となる合焦点を探索し、前記合焦点が確定した時点で前記合焦走査を終了して、ピント合わせを行なうにあたり、前記合焦走査のための全走査域を複数の領域に分割して各領域をそれぞれ走査するための複数の走査範囲を、各走査範囲がそれぞれ前記各領域を含み且つ隣接する走査範囲が互いにその一部を重複させるようにして、設定する走査範囲設定ステップと、前記走査範囲設定ステップで設定された前記複数の走査範囲を所定の順序で走査する一連の合焦走査を、前記合焦点が確定するまで行なわせる走査制御ステップとを有することにより、合焦走査に関連する動作を適正化し、特に、合焦走査の全走査域を複数分割した各領域をそれぞれ走査するための各走査範囲の境界近傍における合焦走査の連続性を効果的に確保して、確実な合焦走査を実現することができる。
【0106】
さらに、本発明の請求項19の自動合焦方法によれば、前記走査制御ステップが、少なくとも前記走査範囲の重複部近傍における最初の走査におけるタイムラグを監視するステップと、前記走査範囲の重複部の重複幅を、当該重複部における各走査範囲の少なくとも前記タイムラグの長さに応じて大きくするように可変制御するステップとをさらに含むことにより、特に、無駄な動作を効果的に抑制して、合焦走査の効率を一層向上させることができる。
本発明の請求項20の自動合焦方法によれば、請求項19の自動合焦方法において、前記走査制御ステップが、少なくとも前記重複する各走査範囲のうちの先行する走査範囲の重複部近傍にて検出された合焦評価値におけるピークの兆候を予測し、当該ピークの兆候の大きさに基づいて、当該重複部の後続の前記走査範囲を調整することにより、前記重複部の重複幅を大きくするように可変制御するステップをさらに含むことにより、特に、無駄な動作をさらに効果的に抑制して、合焦走査の効率をさらに向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るディジタルカメラの構成を模式的に示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態における図1のディジタルカメラの合焦動作を説明するための模式図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態における図1のディジタルカメラの合焦動作を説明するための模式図である。
【図4】本発明の第3の実施の形態における図1のディジタルカメラの合焦動作を説明するための模式図である。
【図5】図1のディジタルカメラの第4の実施の形態の第1の状態における合焦動作を説明するための模式図である。
【図6】図1のディジタルカメラの第4の実施の形態の第2の状態における合焦動作を説明するための模式図である。
【図7】図1のディジタルカメラの第5の実施の形態の第1の状態における合焦動作を説明するための模式図である。
【図8】図1のディジタルカメラの第5の実施の形態の第2の状態における合焦動作を説明するための模式図である。
【図9】図1のディジタルカメラの第6の実施の形態における合焦制御動作を説明するためのフローチャートの一部である。
【図10】図1のディジタルカメラの第6の実施の形態における合焦制御動作を説明するための図9に示したフローチャートの残部である。
【図11】従来の最も基本的なディジタルカメラの第1の状態における合焦動作を説明するための模式図である。
【図12】図11の従来の最も基本的なディジタルカメラの第2の状態における合焦動作を説明するための模式図である。
【図13】従来の第1の高速化技術によるディジタルカメラの第1の状態における合焦動作を説明するための模式図である。
【図14】図13の従来の第1の高速化技術によるディジタルカメラの第2の状態における合焦動作を説明するための模式図である。
【図15】図13の従来の第1の高速化技術によるディジタルカメラの第3の状態における合焦動作を説明するための模式図である。
【図16】従来の第2の高速化技術によるディジタルカメラの第1の状態における合焦動作を説明するための模式図である。
【図17】図16の従来の第2の高速化技術によるディジタルカメラの第2の状態における合焦動作を説明するための模式図である。
【図18】図16の従来の第2の高速化技術によるディジタルカメラの第3の状態における合焦動作を説明するための模式図である。
【図19】従来の【特許文献1】に示された第3の高速化技術によるディジタルカメラの第1の状態における合焦動作を説明するための模式図である。
【図20】図19の従来の第3の高速化技術によるディジタルカメラの第2の状態における合焦動作を説明するための模式図である。
【図21】図19の従来の第3の高速化技術によるディジタルカメラの第3の状態における合焦動作を説明するための模式図である。
【図22】図19の従来の第3の高速化技術によるディジタルカメラの第4の状態における合焦動作を説明するための模式図である。
【図23】図19の従来の第3の高速化技術によるディジタルカメラの第5の状態における合焦動作を説明するための模式図である。
【図24】図19の従来の第3の高速化技術によるディジタルカメラの第6の状態における合焦動作を説明するための模式図である。
【図25】本発明者による先願に示された高速化技術によるディジタルカメラの第1の状態における合焦動作を説明するための模式図である。
【図26】図25の先願の高速化技術によるディジタルカメラの第2の状態における合焦動作を説明するための模式図である。
【図27】図25の先願の高速化技術によるディジタルカメラの第3の状態における合焦動作を説明するための模式図である。
【図28】図25の先願の高速化技術によるディジタルカメラの第4の状態における合焦動作を説明するための模式図である。
【図29】従来の第4の高速化技術によるディジタルカメラの第1の状態における合焦動作を説明するための模式図である。
【図30】図29の従来の第4の高速化技術によるディジタルカメラの第2の状態における合焦動作を説明するための模式図である。
【図31】図29の従来の第4の高速化技術によるディジタルカメラの第3の状態における合焦動作を説明するための模式図である。
【符号の説明】
1 光学系
1a フォーカスレンズ(フォーカシングレンズ)
1b ズームレンズ(ズーミングレンズ)
1c 対物レンズ
2 シャッタ/絞り部
3 フォーカス駆動系
4 ズーム駆動系
5 シャッタ/絞り駆動系
6 ローパスフィルタ(LPF)
7 撮像素子
8 A/D(アナログ−ディジタル)変換器
9 画像処理部
10 システムコントローラ
11 メモリ群
12 表示部
13 半押し検出部
14 全押し検出部
15 受光部
16 ストロボ発光部
17 ストロボ制御部
18 カメラ操作部
19 レリーズ押圧部
U 鏡胴ユニット

Claims (20)

  1. 被写体像を所定の結像面上に結像させるための撮影光学系と、
    前記被写体像を映像信号に変換するための撮像手段と、
    前記撮影光学系の全体、前記撮影光学系の一部の光学手段、および前記撮像手段のうちの少なくともいずれかを、光軸方向に移動することにより、前記撮像手段上の被写体像の合焦状態を変化させるフォーカス作動手段と、
    前記撮像手段によって得られる撮像データから合焦状態の目安となる合焦評価値を求める合焦評価値検出手段と、
    前記フォーカス作動手段を連続的および間欠的の少なくとも一方にて駆動させながら前記合焦評価値検出手段を作動させて複数の合焦評価値を得る走査により、合焦評価値が最も適正な値となる合焦点を探索し、前記合焦点が確定した時点で前記走査を終了し、前記フォーカス作動手段を前記合焦点に駆動させてピント合わせを行なう合焦制御手段と
    を有するカメラであって、
    前記合焦制御手段は、
    前記フォーカス作動手段の初動位置および該初動位置に関連付けられて決定される補正位置のいずれか一方を走査開始点とし、この走査開始点から全走査域の両端点のうちの一方の端点に向かう第1の走査を経て前記全走査域の残部を走査するための第2の走査に至る一連の走査を行なうとともに、前記第2の走査による走査範囲を、前記第1の走査による走査範囲とその一部が重複するように設定してなる走査制御手段
    を含み、
    前記走査制御手段は、前記補正位置を、前記フォーカス作動手段の初動位置から前記第1の走査とは逆の方向に第1の所定量だけ移動させた位置とし、この補正位置から、前記第1の走査を開始するように、前記走査開始点および前記第1の走査の走査方向を設定してなる手段を含むことを特徴とするカメラ。
  2. 前記走査制御手段は、前記第1の走査の走査方向を、前記全走査域の両端点のうちの前記初動位置から近い側の端点へ向かう方向とすることを特徴とする請求項1に記載のカメラ。
  3. 前記走査制御手段は、前記第2の走査の走査方向を、前記第1の走査の走査方向とは逆の方向とすることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のカメラ。
  4. 被写体像を所定の結像面上に結像させるための撮影光学系と、
    前記被写体像を映像信号に変換するための撮像手段と、
    前記撮影光学系の全体、前記撮影光学系の一部の光学手段、および前記撮像手段のうちの少なくともいずれかを、光軸方向に移動することにより、前記撮像手段上の被写体像の合焦状態を変化させるフォーカス作動手段と、
    前記撮像手段によって得られる撮像データから合焦状態の目安となる合焦評価値を求める合焦評価値検出手段と、
    前記フォーカス作動手段を連続的および間欠的の少なくとも一方にて駆動させながら前記合焦評価値検出手段を作動させて複数の合焦評価値を得る走査により、合焦評価値が最も適正な値となる合焦点を探索し、前記合焦点が確定した時点で前記走査を終了し、前記フォーカス作動手段を前記合焦点に駆動させてピント合わせを行なう合焦制御手段と
    を有するカメラであって、
    前記合焦制御手段は、
    前記フォーカス作動手段を走査すべき全走査域を複数の領域に分けて、それぞれの領域を走査するための複数の走査範囲を設定し、各走査範囲を所定の順序で走査して一連の走査を行なうとともに、前記複数の走査範囲は、前記複数の領域をそれぞれ含み且つ隣接する前記各走査範囲は、互いにその一部が重複するように設定してなる走査制御手段
    を含み、
    前記走査制御手段は、
    少なくとも前記走査範囲の重複部近傍における最初の走査におけるタイムラグを監視する手段と、
    前記走査範囲の重複部の重複幅を、当該重複部における各走査範囲の少なくとも前記タイムラグの長さに応じて大きくするように可変制御する手段と
    を含むことを特徴とするカメラ。
  5. 前記走査制御手段は、少なくとも前記重複する各走査範囲のうちの先行する走査範囲の重複部近傍にて検出された合焦評価値におけるピークの兆候を予測し、当該ピークの兆候の大きさに基づいて、前記走査範囲の当該重複部の重複幅を大きくするように可変制御する手段を含むことを特徴とする請求項に記載のカメラ。
  6. 被写体像を取得するための像取得手段と、
    前記被写体像から該被写体像に応じた被写体像情報を得るための像情報取得手段と、
    前記像取得手段で取得される被写体像の合焦状態を変化させるフォーカス作動手段と、
    前記像情報取得手段によって得られる被写体像情報から合焦状態の目安となる合焦評価値を求める合焦評価値検出手段と、
    前記フォーカス作動手段を連続的および間欠的の少なくとも一方にて駆動させながら前記合焦評価値検出手段を作動させて複数の合焦評価値を得る走査により、合焦評価値が最も適正な値となる合焦点を探索し、前記合焦点が確定した時点で前記走査を終了し、前記フォーカス作動手段を前記合焦点に駆動させてピント合わせを行なう合焦制御手段と
    を有する被写体像取得装置であって、
    前記合焦制御手段は、
    前記フォーカス作動手段の初動位置および該初動位置に関連付けられて決定される補正位置のいずれか一方を走査開始点とし、この走査開始点から全走査域の両端点のうちの一方の端点に向かう第1の走査を経て前記全走査域の残部を走査するための第2の走査に至る一連の走査を行なうとともに、前記第2の走査による走査範囲を、前記第1の走査による走査範囲とその一部が重複するように設定してなる走査制御手段
    を含み、
    前記走査制御手段は、前記補正位置を、前記フォーカス作動手段の初動位置から前記第1の走査とは逆の方向に第1の所定量だけ移動させた位置とし、この補正位置から、前記第1の走査を開始するように、前記走査開始点および前記第1の走査の走査方向を設定してなる手段を含むことを特徴とする被写体像取得装置。
  7. 前記走査制御手段は、前記第1の走査の走査方向を、前記全走査域の両端点のうちの前記初動位置から近い側の端点へ向かう方向とすることを特徴とする請求項に記載の被写体像取得装置。
  8. 前記走査制御手段は、前記第2の走査の走査方向を、前記第1の走査の走査方向とは逆の方向とすることを特徴とする請求項6または請求項に記載の被写体像取得装置。
  9. 被写体像を取得するための像取得手段と、
    前記被写体像から該被写体像に応じた被写体像情報を得るための像情報取得手段と、
    前記像取得手段で取得される被写体像の合焦状態を変化させるフォーカス作動手段と、
    前記像情報取得手段によって得られる被写体像情報から合焦状態の目安となる合焦評価値を求める合焦評価値検出手段と、
    前記フォーカス作動手段を連続的および間欠的の少なくとも一方にて駆動させながら前記合焦評価値検出手段を作動させて複数の合焦評価値を得る走査により、合焦評価値が最も適正な値となる合焦点を探索し、前記合焦点が確定した時点で前記走査を終了し、前記フォーカス作動手段を前記合焦点に駆動させてピント合わせを行なう合焦制御手段と
    を有する被写体像取得装置であって、
    前記合焦制御手段は、
    前記フォーカス作動手段を走査すべき全走査域を複数の領域に分けて、それぞれの領域を走査するための複数の走査範囲を設定し、各走査範囲を所定の順序で走査して一連の走査を行なうとともに、前記複数の走査範囲は、前記複数の領域をそれぞれ含み且つ隣接する前記各走査範囲は、互いにその一部が重複するように設定してなる走査制御手段
    を含み、
    前記走査制御手段は、
    少なくとも前記走査範囲の重複部近傍における最初の走査におけるタイムラグを監視する手段と、
    前記走査範囲の重複部の重複幅を、当該重複部における各走査範囲の少なくとも前記タイムラグの長さに応じて大きくするように可変制御する手段と
    を含むことを特徴とする被写体像取得装置。
  10. 前記走査制御手段は、少なくとも前記重複する各走査範囲のうちの先行する走査範囲の重複部近傍にて検出された合焦評価値におけるピークの兆候を予測し、当該ピークの兆候の大きさに基づいて、前記走査範囲の当該重複部の重複幅を大きくするように可変制御する手段を含むことを特徴とする請求項に記載の被写体像取得装置。
  11. 被写体像の合焦状態を変化させるフォーカス作動手段と、
    被写体像に応じた被写体像情報から合焦状態の目安となる合焦評価値を求める合焦評価値検出手段と、
    前記フォーカス作動手段を連続的および間欠的の少なくとも一方にて駆動させながら前記合焦評価値検出手段を作動させて複数の合焦評価値を得る走査により、合焦評価値が最も適正な値となる合焦点を探索し、前記合焦点が確定した時点で前記走査を終了し、前記フォーカス作動手段を前記合焦点に駆動させてピント合わせを行なう合焦制御手段と
    を有し、且つ
    前記合焦制御手段は、
    前記フォーカス作動手段の初動位置および該初動位置に関連付けられて決定される補正位置のいずれか一方を走査開始点とし、この走査開始点から全走査域の両端点のうちの一方の端点に向かう第1の走査を経て前記全走査域の残部を走査するための第2の走査に至る一連の走査を行なうとともに、前記第2の走査による走査範囲を、前記第1の走査による走査範囲とその一部が重複するように設定してなる走査制御手段
    を含み、
    前記走査制御手段は、前記補正位置を、前記フォーカス作動手段の初動位置から前記第1の走査とは逆の方向に第1の所定量だけ移動させた位置とし、この補正位置から、前記第1の走査を開始するように、前記走査開始点および前記第1の走査の走査方向を設定してなる手段を含むことを特徴とする自動合焦システム。
  12. 前記走査制御手段は、前記第1の走査の走査方向を、前記全走査域の両端点のうちの前記初動位置から近い側の端点へ向かう方向とすることを特徴とする請求項11に記載の自動合焦システム。
  13. 前記走査制御手段は、前記第2の走査の走査方向を、前記第1の走査の走査方向とは逆の方向とすることを特徴とする請求項11または請求項12に記載の自動合焦システム。
  14. 被写体像の合焦状態を変化させるフォーカス作動手段と、
    被写体像に応じた被写体像情報から合焦状態の目安となる合焦評価値を求める合焦評価値検出手段と、
    前記フォーカス作動手段を連続的および間欠的の少なくとも一方にて駆動させながら前記合焦評価値検出手段を作動させて複数の合焦評価値を得る走査により、合焦評価値が最も適正な値となる合焦点を探索し、前記合焦点が確定した時点で前記走査を終了し、前記フォーカス作動手段を前記合焦点に駆動させてピント合わせを行なう合焦制御手段と
    を有し、且つ
    前記合焦制御手段は、
    前記フォーカス作動手段を走査すべき全走査域を複数の領域に分けて、それぞれの領域を走査するための複数の走査範囲を設定し、各走査範囲を所定の順序で走査して一連の走査を行なうとともに、前記複数の走査範囲は、前記複数の領域をそれぞれ含み且つ隣接する前記各走査範囲は、互いにその一部が重複するように設定してなる走査制御手段
    を含み、
    前記走査制御手段は、
    少なくとも前記走査範囲の重複部近傍における最初の走査におけるタイムラグを監視する手段と、
    前記走査範囲の重複部の重複幅を、当該重複部における各走査範囲の少なくとも前記タイムラグの長さに応じて大きくするように可変制御する手段と
    含むことを特徴とする自動合焦システム。
  15. 前記走査制御手段は、少なくとも前記重複する各走査範囲のうちの先行する走査範囲の重複部近傍にて検出された合焦評価値におけるピークの兆候を予測し、当該ピークの兆候の大きさに基づいて、前記走査範囲の当該重複部の重複幅を大きくするように可変制御する手段を含むことを特徴とする請求項14に記載の自動合焦システム。
  16. 被写体像の合焦状態を変化させ且つ被写体像に応じた被写体像情報から合焦状態の目安となる合焦評価値を求めつつ、前記合焦状態を連続的および間欠的の少なくとも一方にて変化させて複数の合焦評価値を得る合焦走査によって、合焦評価値が最も適正な値となる合焦点を探索し、前記合焦点が確定した時点で前記合焦走査を終了して、ピント合わせを行なうにあたり、
    前記合焦走査の初動位置および該初動位置に関連付けられて決定される補正位置のいずれか一方を走査開始点として設定する走査開始点設定ステップと、
    前記走査開始点から全走査域の両端点のうちの一方の端点に至る第1の走査および前記全走査域の残部を走査するための第2の走査からなる一連の合焦走査のために、前記第1の走査における第1の走査範囲および前記第2の走査における第2の走査範囲を、前記第2の走査範囲が前記第1の走査範囲とその一部が重複するように設定する走査範囲設定ステップと、
    前記走査開始点から、前記第1の走査を経て前記第2の走査に至る一連の合焦走査を、前記合焦点が確定するまで行なわせる走査制御ステップと
    を有し、
    前記走査開始点設定ステップは、前記合焦走査の初動位置から前記第1の走査の走査方向とは逆の方向に第1の所定量だけ移動させた補正位置を走査開始点として設定することを特徴とする自動合焦方法。
  17. 前記走査範囲設定ステップは、前記第1の走査の走査方向を、前記全走査域の両端点のうちの前記初動位置から近い側の端点へ向かう方向に設定するステップを含むことを特徴とする請求項16に記載の自動合焦方法。
  18. 前記走査範囲設定ステップは、前記第2の走査の走査方向を、前記第1の走査の走査方向とは逆の方向に設定するステップを含むことを特徴とする請求項16または請求項17に記載の自動合焦方法。
  19. 被写体像の合焦状態を変化させ且つ被写体像に応じた被写体像情報から合焦状態の目安となる合焦評価値を求めつつ、前記合焦状態を連続的および間欠的の少なくとも一方にて変化させて複数の合焦評価値を得る合焦走査によって、合焦評価値が最も適正な値となる合焦点を探索し、前記合焦点が確定した時点で前記合焦走査を終了して、ピント合わせを行なうにあたり、
    前記合焦走査のための全走査域を複数の領域に分割して各領域をそれぞれ走査するための複数の走査範囲を、各走査範囲がそれぞれ前記各領域を含み且つ隣接する走査範囲が互いにその一部を重複させるようにして、設定する走査範囲設定ステップと、
    前記走査範囲設定ステップで設定された前記複数の走査範囲を所定の順序で走査する一連の合焦走査を、前記合焦点が確定するまで行なわせる走査制御ステップと
    を有し、
    前記走査制御ステップは、
    少なくとも前記走査範囲の重複部近傍における最初の走査におけるタイムラグを監視するステップと、
    前記走査範囲の重複部の重複幅を、当該重複部における各走査範囲の少なくとも前記タイムラグの長さに応じて大きくするように可変制御するステップと
    をさらに含むことを特徴とする自動合焦方法。
  20. 前記走査制御ステップは、少なくとも前記重複する各走査範囲のうちの先行する走査範囲の重複部近傍にて検出された合焦評価値におけるピークの兆候を予測し、当該ピークの兆候の大きさに基づいて、当該重複部の後続の前記走査範囲を調整することにより、前記重複部の重複幅を大きくするように可変制御するステップをさらに含むことを特徴とする請求項19に記載の自動合焦方法。
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