JP4306158B2 - 熱交換器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水蒸気を含む高温の気体と低温の流体とを熱交換させて、高温の気体から顕熱のみならず凝縮潜熱をも回収して低温の流体を加熱する熱交換器に係わり、特に給湯器用の熱交換器に用いて好適である。
【0002】
【従来の技術】
従来技術として、例えば、特開平9−126554号公報に記載された熱交換装置がある。この熱交換装置は、燃焼ガスの凝縮潜熱を回収して給湯水を加熱する二次熱交換器を備えている。
この二次熱交換器の放熱性能を向上させるには、以下の方法が考えられる。
▲1▼フィンの伝熱面積を増大させる。
▲2▼フィンの表面上に発生する温度境界層の発達を抑制して熱伝達率の向上を図る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
とろこが、上記の二次熱交換器は、給湯水との熱交換により燃焼ガスの温度が露点温度まで低下して凝縮水が発生するため、以下の問題がある。
上記▲1▼の理由から、フィンの伝熱面積を大きく確保できる所謂ドロンカップタイプの熱交換器を使用した場合、熱交換器の小型化によりフィンピッチを小さくする、あるいはフィン高さを低くすると、フィンを挟んで隣合うチューブ同士の間に凝縮水が保持されて目詰まりを起こし易くなり、通風抵抗が増大する。
【0004】
また、上記▲2▼の理由からフィンにルーバ等を設けることが一般的に行われるが、フィンピッチを小さくしたり、フィン高さを低くした上で、更にフィンにルーバを設けると、そのルーバにより凝縮水の排出が阻害されるため、性能低下を招く。
本発明は、上記事情に基づいて成されたもので、その目的は、凝縮水による目詰まりを生じることなく、放熱性能の向上を実現できる熱交換器を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
(請求項1の手段)
本発明は、チューブの外側を上方から下方へ向かって水蒸気を含む高温の気体が流れ、チューブ内の流体通路に高温の気体より低温の流体を流通させて、高温の気体から顕熱のみならず凝縮潜熱をも回収して低温の流体を加熱する熱交換器であって、フィンは、自身の表面から切り起こされて高温の気体が流れる中に突出する複数の切り起こし片を有し、この切り起こし片がフィンの上部側にのみ設けられている。
【0006】
この構成では、フィンに設けた切り起こし片の作用により、高温の気体がフィン表面に誘導されるので、フィン表面上に発生する温度境界層の発達を抑制でき、熱伝達率の向上を図ることが可能である。
また、切り起こし片をフィンの上部側にのみ設けているので、高温の気体が凝縮して発生する凝縮水の排出が切り起こし片によって妨げられることがなく、凝縮水の目詰まりによる放熱性能の低下を防止できる。
【0007】
また、フィンは、高温の気体から主に顕熱を回収する領域にのみ複数の切り起こし片が設けられている。
これにより、顕熱を回収する領域の熱伝達率を向上できる。また、高温の気体から主に凝縮潜熱を回収する領域には切り起こし片が設けられていないので、凝縮水の排出が切り起こし片によって妨げられることはない。
【0008】
(請求項2の手段)
請求項1に記載した熱交換器において、
切り起こし片は、三角形状に切り起こされて高温の気体の流れ方向に対し傾斜して設けられ、その傾斜方向が異なる第1の切り起こし片と第2の切り起こし片とを有し、第1の切り起こし片と第2の切り起こし片とが高温の気体の流れ方向にて交互に設けられている。
【0009】
この構成によれば、切り起こし片が高温の気体の流れ方向に対し傾斜しているので、高温の気体をフィン表面に誘導できる効果に加えて、更に高温の気体の流れに旋回流を発生させることができる。その結果、フィン表面上に発生する温度境界層の発達を更に抑制でき、熱伝達率の向上を図ることが可能である。
また、高温の気体の流れ方向に対し傾斜方向が異なる第1の切り起こし片と第2の切り起こし片とを高温の気体の流れ方向(フィンの上下方向)に交互に設けることで、旋回方向が異なる旋回流を交互に発生させることが可能である。その結果、フィン表面上における温度境界層の発生を抑制できるので、熱伝達率が向上して放熱性能の向上が可能になる。
【0010】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図3は熱交換器1の正面図、図4は熱交換器1の側面図、図5は熱交換器1の上面図である。
本実施例の熱交換器1は、給湯器に使用されて給湯水と燃焼ガスとの熱交換を行うもので、図4及び図5に示す様に、複数のチューブ2をアウタフィン3と共に積層して構成される所謂ドロンカップタイプと呼ばれる熱交換器1であり、全体が組み立てられた後、一体ろう付けによって製造される。
【0011】
チューブ2は、図6及び図7に示す2枚の伝熱プレート4(4A、4B)を組み合わせて形成され、内部にU字状の流水通路(本発明の流体通路)を形成する偏平管部2A(図4参照)と、流水通路の両端に通じる一組のタンク部2B(図4参照)とが設けられ、このタンク部2Bに連通口2bが開口している。
【0012】
2枚の伝熱プレート4は、第1の伝熱プレート4A(図6参照)の周縁部に巻締め部4aが設けられていること以外は略同一形状である。この2枚の伝熱プレート4は、図1(b)に示す様に、第1の伝熱プレート4Aの巻締め部4aを第2の伝熱プレート4Bの内面側から外面側へ折り返して、第2の伝熱プレート4Bの端部を両側から挟み込む様に巻締めして組付けられ、両者の当接面4bがろう付けされる。
【0013】
タンク部2Bは、偏平管部2Aより厚み幅が大きく設けられ、そのタンク部2Bを形成する伝熱プレート4の外表面には、連通口2bの周囲にろう付け面となる平坦部2c(図8及び図10参照)が環状に設けられている。なお、タンク部2Bを形成している伝熱プレート4の断面形状(B−B断面、C−C断面、D−D断面)と、偏平管部2Aを形成している伝熱プレート4の断面形状(E−E断面)を図8〜図10に示す。
【0014】
複数のチューブ2は、図4及び図5に示す様に、互いのタンク部2B同士を連ねて積層され、連通口2bの周囲に設けられる平坦部2c同士が接合される。これにより、タンク部2Bに開口する連通口2bを通じて各チューブ2の流水通路が相互に連通している。なお、チューブ2の内部には、図1(a)に示す様に、伝熱面積を増大するためにインナフィン5を挿入しても良い。
【0015】
積層方向の一端側に配されるチューブ2には、図5に示す様に、給湯水の給湯口6と出湯口7とがタンク部2Bに接合されている。また、積層方向の両端側には、それぞれ補強用のプレート8が接合されている。
タンク部2Bより厚み幅が薄い偏平管部2Aでは、隣合う偏平管部2A同士の間に略一定の幅を有する偏平な空間が形成され、その空間にアウタフィン3が配置される。
【0016】
アウタフィン3は、図2(a)に示す様に、伝熱性に優れる金属製(例えばステンレス、アルミニウム等)の薄板材を凹凸状に交互に折り曲げて形成されるもので、その凹凸空間を燃焼ガスが上方から下方へ流れる様に配置され、偏平管部2Aを形成する伝熱プレート4の表面にろう付けされる。
このアウタフィン3には、図1(a)及び図2(a)に示す様に、燃焼ガスが流入する入口側(燃焼ガスから主に顕熱を回収する領域)にのみ複数の切り起こし片(以下ウイング3aと呼ぶ)が設けられている。なお、図2(a)に示すアウタフィン3では、伝熱プレート4に対するろう付け面3Aにウイング3aを設けているが、アウタフィン3の側面3Bに設けても良い。
【0017】
ウイング3aは、三角形の一辺を残してフィン表面から切り起こされ、燃焼ガスの流れ方向に対し傾斜して設けられている。また、フィン3の上下方向に連続する2個のウイング3aは、図2(b)に示す様に、燃焼ガスの流れ方向に対する傾斜方向が異なる様に切り起こされている。つまり、図2(b)に示す上側のウイング3a(第1の切り起こし片)は、三角形の右側の一辺を残してフィン表面から切り起こされているのに対し、下側のウイング3a(第2の切り起こし片)は、三角形の左側の一辺を残してフィン表面から切り起こされている。
【0018】
次に、本実施例の作用及び効果を説明する。
給湯水は、熱交換器1の給湯口6から各チューブ2の一方のタンク部2Bへ流入し、その一方のタンク部2Bから偏平管部2Aに形成される流水通路を流れて他方のタンク部2Bへ流入し、その他方のタンク部2Bから出湯口7を通って流出する。
【0019】
一方、燃焼ガスは、図3に示す様に、熱交換器1の上方から下方へ向かって流れ、熱交換器1を通過する際に給湯水と熱交換されて給湯水を加熱する。この時、燃焼ガスは、少なくとも熱交換器1の出口側で露点温度以下(例えば30〜50℃)まで温度低下して凝縮する。つまり、この熱交換器1は、燃焼ガスの顕熱だけでなく、燃焼ガスが凝縮する際に放出される凝縮潜熱をも吸収して給湯水を加熱することができる。
【0020】
(本実施例の効果)
本実施例の熱交換器1は、アウタフィン3に設けたウイング3aの作用により、燃焼ガスがフィン表面に誘導され、且つウイング3aが燃焼ガスの流れ方向に対し傾斜しているので、燃焼ガスの流れに旋回流を発生させることができる。特に、アウタフィン3の上下方向に連続する2個のウイング3aは、燃焼ガスの流れ方向に対する傾斜方向が異なる様に切り起こされているので、旋回方向が異なる旋回流を交互に発生させることが可能である。その結果、アウタフィン3の表面上に発生する温度境界層の発達を抑制できるので、熱伝達率が向上して放熱性能の向上を図ることができる。
【0021】
また、ウイング3aをアウタフィン3の上部側(燃焼ガスから顕熱を回収する領域)にのみ設けているので、燃焼ガスが凝縮して発生する凝縮水の排出がウイング3aによって妨げられることがなく、凝縮水の目詰まりによる放熱性能の低下を防止できる。
なお、本実施例では、アウタフィン3に設ける切り起こし片として三角形状のウイング3aを示したが、例えば図11に示す様な矩形状のルーバ3bでも良い。
【0022】
本実施例の熱交換器1は、給湯水と燃焼ガスとを熱交換させているが、給湯水と燃焼ガスとに限定されるものではない。但し、チューブ2の外側を流れる流体は、水蒸気を含んだ高温の気体であり、チューブ2の内部を流れる低温の流体との熱交換により凝縮して凝縮水を発生する温度域で使用されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)図3のA−A断面図と、(b)巻締め部の拡大断面図である。
【図2】(a)アウタフィンの斜視図と、(b)ウイングの形状を示すろう付け面の正面図である。
【図3】熱交換器の正面図である。
【図4】熱交換器の側面図である。
【図5】熱交換器の上面図である。
【図6】第1の伝熱プレートの三面図である。
【図7】第2の伝熱プレートの三面図である。
【図8】図6に示す伝熱プレートのB−B断面図である。
【図9】図6に示す伝熱プレートのE−E断面図である。
【図10】図6に示す伝熱プレートのC−C断面図(a)とD−D断面図(b)である。
【図11】ルーバを有するアウタフィンの斜視図である。
【符号の説明】
1 熱交換器
2 チューブ
3 アウタフィン(フィン)
3a ウイング(切り起こし片)
3b ルーバ(切り起こし片)
Claims (2)
- 内部に流体通路を形成するチューブと、
このチューブの外表面に接触して伝熱面積を増大するフィンとを備え、
前記フィンを挟み込んで前記チューブを複数段に積層して構成され、前記チューブの外側を上方から下方へ向かって水蒸気を含む高温の気体が流れ、前記チューブ内の流体通路に前記高温の気体より低温の流体を流通させて、前記高温の気体から顕熱のみならず凝縮潜熱をも回収して前記低温の流体を加熱する熱交換器であって、
前記フィンは、自身の表面から切り起こされて前記高温の気体が流れる中に突出する複数の切り起こし片を有し、この切り起こし片が前記フィンの上部側にのみ設けられ、
前記フィンは、前記高温の気体から主に顕熱を回収する領域にのみ前記複数の切り起こし片が設けられていることを特徴とする熱交換器。 - 請求項1に記載した熱交換器において、
前記切り起こし片は、三角形状に切り起こされて前記高温の気体の流れ方向に対し傾斜して設けられ、その傾斜方向が異なる第1の切り起こし片と第2の切り起こし片とを有し、前記第1の切り起こし片と第2の切り起こし片とが前記高温の気体の流れ方向にて交互に設けられていることを特徴とする熱交換器。
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