JP4305872B2 - 津波防波堤 - Google Patents

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Description

本発明は津波防波堤に関するものである。
海洋には様々な波浪が発生するが、津波は波の周期が非常に長いという点で高潮による潮位の変化と類似している。通常、建設計画にあたって高潮を上回る高潮位を想定する津波防波堤は高潮防潮堤を兼ねることができると考えられる。
津波の多くは地震による海底のズレや火山活動により発生すると考えられており、沿岸地域では、常々津波に対する備えが必要であることは一般に理解されることである。従来の津波防波堤は、防波堤を大きく、重く、堅固にすることで津波の衝撃に耐えるという考えで設計されていることから、きわめて多量の資材を用いて建設しなければならず、建設には長い期間が必要となり、多額の建設費用がかかるという問題点があった。
一般に、沿岸の人口や社会資本の多くは、入り江や湾岸、港湾を持つ都市に集中する傾向があり、津波防波堤の建設が強く望まれる地域もこれらに重なっている。このような事情から、沿岸の人々や社会資本の多くを津波による被害から効果的に守るには、入り江や湾、港の入り口の狭まった場所を締め切る形で津波防波堤を建設すれば都合がよい。しかし、従来の津波防波堤を入り江や湾、港の入り口の狭まった場所に建設すると、船舶の航行ができなくなるので港湾の機能が失われ、津波防波堤が潮流を塞ぎ止めることから自然環境や漁業に与える影響が深刻になる。
このため従来の津波防波堤の多くは、これらの悪影響を配慮して、入り江や港湾の沖合いに、防波堤の一部を開放する形で建設されるが、一般に、沖合いは水深が大きくなるので、津波防波堤を建設できる場所が限られるという問題点があり、同様に水深が大きいことから到達する津波の速度が大きく、防波堤の受ける衝撃が大きくなることや、海岸から遠ざかるに従って、防災上に必要な防波堤の長さが長くなることから、さらに大規模な津波防波堤が必要となるという問題点があった。また、防波堤の一部を開放する形で津波防波堤を建設しなければならないことから、津波の進入を阻止するという津波防波堤本来の目的が充分に達成されず、従来の海中に建設される津波防波堤の防災効果は、陸上に到達する津波の波高を半減できる程度のもでしかなく、景観上も好ましいものではなかった。
さらにまた、従来型の津波防波堤は質量が大きく、形状が長大であることから、津波の原因となる地震が近くで発生した場合には、地震そのものによる衝撃や、地盤の変動によって津波防波堤が損傷を受けたり、沈下したりすることが考えられ、津波防波堤の損傷や沈下によって、津波防波堤が津波に襲われた際に本来の機能を発揮できなくなるとうい問題点もあった。
これらを解決すべく、浮力体や膜状部材等を使用した津波防波堤として特開2000−282434号公報のものが提唱されているが、これは、沿岸の海中に建設されるコンクリート等から成る防波堤の一部に残される開口部を浮体や膜状部材等を使用し、垂直方向に可動できる津波防波堤で津波襲来時に閉鎖して津波の進入を阻止しようとするものである。
しかし、津波の水流にともなう運動エネルギーを考慮すると、浮体や膜状部材等を防波堤端部附近の限られた範囲内で正確に垂直上下させて、船が行き来する防波堤の開口部を開閉しようとする方法には構造的な弱点がある。また、複雑な構成のものは海生生物の付着や津波に先立つ地震の衝撃による地盤の変化のためにコンクリート等から成る防波堤自体が損傷を受けやすく、膜状部材等を防波堤端部附近の限られた範囲内で正確に垂直上下させなければならない方法による上記特開2000−282434号公報の津波防波堤は、肝心な津波襲来時に十分機能しないのではないかという懸念がある。
さらに、沿岸の海中に建設されるコンクリート等から成る防波堤のなかで津波防波堤として津波の進入を阻止できる規模を持つものは、現在極めて僅かしかなく、将来的にも建設できる地形や水深、また海底地質といった条件が厳しく、建設費用が莫大であり、建設に時間が多く掛かる点などから見て、この種の津波防波堤を数多く建設することは困難である。このため、沿岸の海中に建設されるコンクリート等から成る津波防波堤の間の開口部を浮力体や膜状部材等を使用して垂直方向に可動できる津波防波堤で閉鎖しようとする方法には、防災上の効果があるとしても限界がある。
また、前述特開2000−282434号公報で提唱される津波防波堤のように、浮体や膜状部材等を防波堤端部附近の限られた範囲内で正確に垂直上下させて、船が行き来する防波堤の開口部を開閉しようとする方法では、浮上時に海面にある浮体が膜状部材の直上に位置することとなるので、津波のもたらす側の高水位ではなく、膜状部材で隔離される陸側海面水位により発生する浮力によって、浮体が浮体に発生する浮力から浮体の質量とこれに繋がる膜状部材等の質量を差し引いた分だけ浮上することになる。このため、この津波防波堤の受けられる津波の有効高さは、海面上に浮上している浮体の高さを超えることができず、波高の高い津波を阻止しようとすればする程、大型の浮体を用いなければならないという不便がある。さらにまた、津波防波堤の前提として、建設しようとする津波防波堤の左右に沿岸の海中に建設されるコンクリート等から成る防波堤が必要なことから、左右の側方が水路壁や自然地形であるといった場合等には不都合がある。また、例えば、東京湾口や伊勢湾口のように、開口幅が大きい地点に津波防波堤を設けようとする場合にも困難があった。
特開2000−282434号公報 大矢雅彦ほか著「自然災害を知る・防ぐ」古今書院 1996
発明が解決しようとする課題は、船舶の航行や、自然環境や漁業に深刻な影響を与えることなく、入り江や湾口、港口に限らず、防災上の見地から必要な海岸を閉鎖できる津波防波堤を提供することであり、地震による衝撃や地盤の変動による影響が少なく、景観にも配慮した経済的で高性能の津波防波堤を提供することである。
本発明は、上記種々の問題を解決すべくなされたもので、海面に浮上させる浮体から不透水性の幕体を垂らして幕体の下縁部を海底に固定するとともに、浮体の沖側海底に置く固着点と浮体とを複数の繋留索で結び、浮体中心を幕体下縁部海底固着点の直上海面より平時の満潮時水深の50パーセントに相当する距離以上沖側に位置するように配置し、浮体中心から海底に垂らす幕体の下縁部海底固着点までの寸法を津波襲来時に想定する水深に加えて水深の50パーセント以上長くしたものとすることを特徴とし、浮体の浮上沈降機構を持ち、平時は海底附近に沈設格納して津波の来る前に浮上展開させる津波防波堤とする。
また、海面に浮上させる浮体の海面上の高さが、襲来を想定する津波の高さより小さいものとしたり、浮体の浮上のために燃焼を含む化学変化によるガス体発生装置を備えたり、海底に垂らす幕体上に複数の固着点を設け、幕体上の固着点と浮体の沖側海底に置く複数の固着点とを繋留索で結んだり、さらにまた、複数の繋留索を網状に結合させた繋留網を用いたりする津波防波堤とする。
あるいは、海面に浮上させる浮体から不透水性の幕体を垂らして幕体の下縁部を海底にアンカーボルト手段を用いて固定するとともに、浮体の沖側海底に置くアンカーボルト手段を用いて固定した固着点と浮体とを複数の繋留索で結び、浮体中心を幕体下縁部海底固着点の直上海面より平時の満潮時水深の50パーセントないし200パーセントに相当する距離沖側に位置するように配置し、浮体中心から海底に垂らす幕体の下縁部海底固着点までの寸法が津波襲来時に想定する水深に加えて水深の50パーセントないし200パーセント長くした津波防波堤とする。
本発明の津波防波堤は、堤体を構成する部材の多くの部分を陸上の施設で高能率に組み立てることができ、部品の標準化や共通化による費用の削減効果も見込まれるので、建設費用を低くできる利点がある。また、平時には津波防波堤が海底附近に格納されており、必要時に浮上展開させるので、船舶の航行や自然環境や漁業に与える影響を小さくでき、津波防波堤の建設によって景観を悪くすることもない。さらに、海上に浮上する浮体の高さを上回る高さの津波を阻止でき、津波防波堤を設置する地点の制約が少なく、堤体の浮上展開も迅速な津波防波堤となったものである。
さらに、本発明の津波防波堤は、従来の津波防波堤に比較して堤体が極めて軽量で柔軟なことから衝撃や地盤の変動に強く、仮に、津波の原因となる地震が近くで発生した場合にも、地震そのものによる衝撃や地盤の変動によって津波防波堤が損傷を受けたり、沈下したりすることが少なく、津波防波堤の損傷や沈下によって津波防波堤が津波に襲われた際に本来の機能を発揮できなくなるとうい問題点も解決した高性能の津波防波堤である。
図面を参照して、発明を実施するための最良の形態を説明するが、以下の説明では、津波防波堤に対して津波の押し寄せて来る側に沖側、その逆側には陸側の語を用いる。
図1は、津波を受け止めている状態の本発明津波防波堤中央部附近の横断面図である。図1で示すように本発明の津波防波堤は、海面21に浮上させる浮体1から津波の衝撃に対して十分な強度を確保できる材料を用いた不透水性の幕体3を垂らして幕体の下縁部4を海底5に固定するとともに、浮体の沖側7海底に置く固着点8と浮体とを複数の繋留索9で結び、浮体中心を幕体下縁部海底固着点の直上海面より平時の満潮時水深の50パーセントに相当する距離以上沖側に位置するように配置し、浮体中心から海底に垂らす幕体の下縁部海底固着点6までの寸法を津波襲来時に想定する水深に加えて水深の50パーセント以上長くしたものとする。これに浮体の浮上沈降機構を装備し、津波防波堤の両端部は、陸上の防災上安全な高さを確保できる地点に導くなどして固定しておく。津波防波堤は津波の衝撃を受け止めることになるので、各部材は必要な強度を確保し、各固着点も充分強固にしておく。幕体の下縁部や浮体の沖側海底に置く固着点を海底5に固定するには、図10に示すように、海底岩盤に到達するアンカーボルトを用いて固定すればよい。ここで、平時の満潮時水深の50パーセントに相当する距離以上沖側としているのは、幕体と浮体からなる波受け部が確実に高水位側に位置できるようにするためのもので、浮体の中心が、幕体下縁部海底固着点の直上海面より、平時の満潮時水深の50パーセントないし200パーセント程度沖側に位置すれば効果を発揮できる。また、これにともない幕体の必要寸法が長くなるので、浮体中心から海底に垂らす幕体の下縁部海底固着点6までの寸法を津波襲来時に想定する水深に加えて水深の50パーセントないし200パーセント長くしたものとしている。
また、必要があれば、津波防波堤を構成する浮体を可撓性膜製の気嚢22や硬質の気体容器23にしたり、浮体に迅速に浮力を与えるために燃焼を含む化学変化により発生するガス体を利用したりする。
平時はこれらを海底附近に沈設して置くが、浮上時の浮体の高さは、必ずしも襲来する津波の高さを超える必要はなく、不透水性の幕体は軽量で柔軟なものが望ましい。浮体が可撓性膜製の気嚢22や硬質の気体容器23であり、気嚢や硬質の気体容器内に気体を充填することで浮力を得て浮体とする方式のものは、外部の装置から気体を供給する配管14やバルブ15など必要な装置を取り付け、浮体の浮力として燃焼を含む化学変化により発生するガス体を利用する場合には、ガス体の発生装置を取り付ける。
また、浮体が硬質の気体容器であり、平時に気体容器内に気体を充填した状態で海底附近に浮体を沈めて格納しょうとする場合には、浮体を海底附近に留め置くための開閉自在な浮体浮上制止装置10を設けて置くとよい。
図2は本発明における1実施例である。平時には、図2で示すように、堤体を海底5附近に格納して置く。図示はしていないが、格納時に膜状の覆いで堤体の主要部を覆って置くと、海生生物の付着や流砂による悪影響を少なくできる。不透水性幕体の下縁部を海底に埋設しておくと、堤体下部からの水流を効果的に阻止できる。
津波や異常な高潮位などの襲来が予測される時には、図3で示すように、津波や高潮の来る前に浮体1を浮上させ、浮体と不透水性幕体3からなる津波防波堤の堤体を展開させて津波や異常な高潮位などの襲来に備える。
津波や高潮の襲来により、津波防波堤の沖側に高水位11があらわれる。ここで、本発明の津波防波堤は、図1で示すように、浮体1を幕体3の固着点6より沖側7に位置するように配置し、繋留索9の固着点8の位置と繋留索の長さを加減することで、浮体中心を幕体下縁部海底固着点の直上海面より平時の満潮時水深の50パーセントに相当する距離以上沖側に位置するように配置し、浮体中心から海底に垂らす幕体3に設置地点の津波襲来時に想定する水深に加えて水深を50パーセント以上上回る寸法を与えていることから、津波防波堤沖側の高水位11が浮体下方に達して浮体陸側12の幕体上部13を押し上げる。
本発明の津波防波堤では、津波防波堤沖側の高水位11が浮体下方に達して浮体陸側12の幕体上部13を押し上げることから、津波の水圧を受けた浮体1が津波の高水位によってさらに浮上し、常に津波の高水位上に位置することになるので、海面に浮上させる浮体の海面上の高さが、襲来する津波の高さより小さくても、高い波高をともなう津波の進行を阻止することができる。
津波や高潮による波は周期が少なくとも数分、場合によっては10時間以上と非常に長いことから、潮位の上昇時間が非常に長いという特性があり、堤防は長時間にわたって高水位によってもたらされる高水圧に晒されることになり、これが津波の場合は、通常数回以上繰り返される。このために、堤防からの漏水を可能な限り少なくしなければ津波防波堤としての機能が果たせない。従来の津波防波堤の多くは、防災上必要な開口をすべてにわたって閉鎖することが困難なことから、津波防波堤としては不充分なものであったが、本発明の津波防波堤は、防災上必要であれば開口のすべてを隙間無く閉鎖することができ、津波防波堤の陸側に侵入する高水位を効果的に阻止できるものである。
一般の感覚では、津波の衝撃は計り知れないものがあり、津波の衝撃を浮体と不透水幕体からなる津波防波堤で阻止することは全く不可能であると思われるかも知れないが、津波は水深の大きな条件では速度が非常に大きいにもかかわらず、波長が非常に長いために逆に波高は無視できる程度であり、陸岸に近づいて水深が小さくなるに従って、海底や地形の影響を受けて波高が大きくなるが、速度は非常に遅くなるという、海洋波に共通する性質を持っている。このために津波防波堤を設ける地点の条件に合致した浮体や不透水幕体の材質や形状を選択すれば、防災上有効な津波防波堤が実現可能である。
主に浮体と不透水性や繋留索からなる本発明の津波防波堤は、従来の硬質な津波防波堤と異なり、堤体が柔軟なので津波の衝撃を受ける際に堤体の形状が大きく変位する。堤体の変位は、津波の衝撃が津波防波堤に一時に加わらないとことを意味するものであるが、衝撃の大きさは作用を受ける時間の2乗に反比例することが知られている。従来の硬質な津波防波堤と比較して、津波の衝撃を受ける際に堤体の変位に時間を要する本発明の柔軟な津波防波堤は、津波防波堤として最適のものと言える。また、本発明の津波防波堤は水流の遮断効果が極めて大きいことから、津波の水流に伴って発生しがちな潜掘や漂流物による津波防波堤の破損という事故の発生が抑制できる。
さらに、本発明の津波防波堤は、海面に浮上させた浮体から不透水性幕体を垂らしてこの下縁部を海底に固定することで津波防波堤の堤体とすることから、従来の津波防波堤が建設困難な大水深の地点にも、幕体の上下寸法を大きくしたり、繋留索を長くしたりすることで対応できる利点があり、建設にかかる費用も大幅に削減できるものである。
図4は、本発明の他の実施例を示す津波防波堤中央部附近の横断面図である。浮体1と幕体3が海底附近にある状態の津波防波堤を示している。ここで示されている浮体は、気体の透過が極めて少なく可撓性の強靭な素材からなる気嚢22である。気嚢には気体を供給する配管14やバルブ15が取り付けられており、気嚢が海底附近に格納される時に気体を充填せず、堤体を展開する必要が生じた時点で気嚢に気体を充填して浮力を持たせるものである。海底5附近に格納される時に浮体となる気嚢に、気体が充填されていないことから嵩張らず、船舶の航行や水流の障害になりにくい。気嚢に気体を充填する際に、気体は管内を流れる速度が大きく、しかも気嚢は排水の必要がないので、迅速に浮力を得て浮上できるという利点がある。
図5は、本発明の他の実施例を示す津波防波堤中央部附近の横断面図であり、海底に格納される状態の津波防波堤を示している。ここで示されている浮体は、鋼や高強度コンクリートなどの硬質材料からなる気体容器23である。気体容器は製作や運搬設置に適した寸法のものを必要個数用意し、これを連ねて使用するとよく、気体容器には気体を供給する配管14やバルブ15などの装置を取り付ける。気体容器が海底附近に格納される時に気体を充填せず、堤体を展開する必要が生じた時点で気体容器に気体を充填して浮力を持たせる方法の他に、浮体を海底附近に留め置くための開閉自在な浮体浮上制止装置10を備えておき、予め気体容器に気体を充填した状態で海底附近に格納する方法がある。後者の方法によれば、より迅速に津波防波堤の堤体を展開できる利点がある。
浮体の浮力として、燃焼を含む化学変化によるガス体発生装置を備えれば、浮体に気体を供給するための配管や、蓄圧装置などが省略でき、配管や蓄圧装置などの損耗にかかわる事故を回避することができる。このことは、津波発生まで良好な状態を維持しなければならない津波防波堤の信頼性をより一層向上させることになる。
図6は、本発明の他の実施例における津波防波堤16鳥瞰図である。一般に、沿岸の人口や社会資本の多くは、入り江や湾岸、港湾を持つ都市17に集中する傾向があり、津波防波堤の建設が強く望まれる地域もこれらに重なっている。このような事情から、沿岸の人々や社会資本の多くを津波による被害から効果的に守るには、入り江や湾、港の入り口の狭まった場所18を締め切る形で津波防波堤を建設すれば、汀線付近19に長々と津波防波堤を建設する場合に比較して、はるかに少ない費用と時間で防災上の効果が得られることになる。津波防波堤の端部20は、陸上の防災上安全な高さを確保できる地点に導いて固定している。本発明の津波防波堤は、防災上必要であれば、入り江や湾、港の入り口の狭まった場所以外に、河口付近、水道、海峡といった様々な地点に設置が可能なものである。
図7は、本発明の他の実施例を示す津波防波堤中央部附近の横断面図であり、津波の高水位を受け止めている状態の津波防波堤を示している。この津波防波堤は、海底5に垂らす不透水性幕体3の上縁部から下縁部海底固着点6までの幕体上に適切な間隔で複数の固着点24を設け、これと浮体の沖側海底に置く複数の固着点8とを繋留索9で結んだものである。このことによって、幕体が受ける圧力を海底に設ける多数の固着点に分散して負担させることができるとともに、津波の衝撃を受けた際に浮体に働く矢印25で示す下向きの力を大幅に減少させることができる。なお、図中の繋留索には、繋留索に働く衝撃を和らげるための衝撃緩衝装置26を装備している。
図8は比較のために、海底5に垂らす幕体3上に複数の固着点を設けず、これと結ぶ複数の繋留索がない津波防波堤を示している。この場合には、幕体が受ける圧力が浮体と海底に設ける固着点のみに集中することとなり、津波の衝撃を受けた際に浮体に働く矢印25で示す下向きの力も大きい。
実施例7の津波防波堤は、複数の繋留索を網状に結合させた繋留網を用いるものである。これは、複数の繋留索を平面的、あるいは、立体的に組み合わせて網状としたもので、繋留索にかかる力を多数の繋留索に分散させることができる。また、繋留網が津波の流れに伴いがちな漂流物による損傷から幕体を保護する効果もある。
図9は、本発明の他の実施例を示すものであるが、水深の大きな地点に設置した本発明の津波防波堤中央部附近の横断面図である。この津波防波堤は、水深が大きいことから、海底5に垂らす不透水性幕体3の上下寸法を大きくし、幕体上の幕体上縁から幕体下縁部海底固着点6までに適切な間隔で複数の固着点24を設け、これと浮体の沖側海底に置く複数の固着点8とを繋留索9で結んだものである。この津波防波堤は、幕体が受ける圧力を海底に設ける多数の固着点に分散して負担させることができ、また、津波の衝撃を受けた際に浮体に働く下向きの力を少なくすることができるので、従来困難とされてきた深度の大きい地点に設けた場合でも大きい津波抑止効果が得られるものである。
図10は、本発明の他の実施例を示す津波防波堤中央部附近の横断面図であり、津波の高水位を受け止めている状態の津波防波堤を示している。この津波防波堤は、海底5に垂らす不透水性幕体の下縁部海底固着点と浮体の沖側海底に置く複数の固着点の固定にアンカーボルト28手段を用いている。アンカーボルトを海底の強固な岩盤27に到達させることで、幕体が受ける圧力を海底の固着点に分散して負担させることができるとともに、津波の衝撃を受けた際に浮体に働く力を海底岩盤に吸収させることができる。
本発明の津波防波堤は、津波以外の高波や高潮に対しても適応できる。
本発明の津波防波堤中央部附近の横断面図である 本発明の1実施例を示す津波防波堤中央部附近の横断面図である 本発明の他の実施例を示す津波防波堤中央部附近の横断面図である 本発明の他の実施例を示す津波防波堤中央部附近の横断面図である 本発明の他の実施例を示す津波防波堤中央部附近の横断面図である 本発明の他の実施例を示す津波防波堤鳥瞰図である 本発明の他の実施例を示す津波防波堤中央部附近の横断面図である 比較のための津波防波堤中央部附近の横断面図である 本発明の他の実施例を示す津波防波堤中央部附近の横断面図である 本発明の他の実施例を示す津波防波堤中央部附近の横断面図である
1 浮体
2 浮体の陸側下方
幕体
幕体下縁部
5 海底
6 幕体下縁部の固着点
7 沖側
8 海底沖側の固着点
9 繋留索
10 浮体の浮上制止装置
11 高水位
12 浮体陸側
13 幕体上部
14 配管
15 バルブ
16 本発明津波防波堤
17 入り江や湾岸、港湾を持つ都市
18 入り江や湾、港の入り口の狭まった場所
19 汀線付近
20 津波防波堤の端部
21 海面
22 気嚢
23 硬質の気体容器
24 幕体上の固着点
25 浮体に働く下向きの力を示す矢印
26 緩衝装置
27 岩盤
28 アンカーボルト

Claims (6)

  1. 海面に浮上させる浮体から不透水性の幕体を垂らして幕体の下縁部を海底に固定するとともに、浮体の沖側海底に置く固着点と浮体とを複数の繋留索で結び、浮体中心を幕体下縁部海底固着点の直上海面より平時の満潮時水深の50パーセントに相当する距離以上沖側に位置するように配置し、浮体中心から海底に垂らす幕体の下縁部海底固着点までの寸法を津波襲来時に想定する水深に加えて水深の50パーセント以上長くしたものとすることを特徴とし、浮体の浮上沈降機構を持ち、平時は海底附近に沈設格納し、津波の来る前に浮上展開させる津波防波堤。
  2. 海面に浮上させる浮体の海面上の高さが、襲来を想定する津波の高さより小であることを特徴とする特許請求の範囲請求項1記載の津波防波堤。
  3. 浮体の浮上のために燃焼を含む化学変化によるガス体発生装置を備えた特許請求の範囲請求項1あるいは請求項2記載の津波防波堤。
  4. 海底に垂らす幕体上に複数の固着点を設け、これと浮体の沖側海底に置く複数の固着点とを繋留索で結ぶ特許請求の範囲請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の津波防波堤。
  5. 上記繋留索に代えて、複数の繋留索を網状に結合させた繋留網を用いる特許請求の範囲請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の津波防波堤
  6. 海面に浮上させる浮体から不透水性の幕体を垂らして幕体の下縁部を海底にアンカーボルト手段を用いて固定するとともに、浮体の沖側海底に置くアンカーボルト手段を用いて固定した固着点と浮体とを複数の繋留索で結び、浮体中心を幕体下縁部海底固着点の直上海面より平時の満潮時水深の50パーセントないし200パーセントに相当する距離沖側に位置するように配置し、浮体中心から海底に垂らす幕体の下縁部海底固着点までの寸法が津波襲来時に想定する水深に加えて水深の50パーセントないし200パーセント長くしたものであることを特徴とする特許請求の範囲請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の津波防波堤
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