JP4304826B2 - 燃料蒸気パージシステムの異常診断装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料蒸気パージシステムの異常診断装置に関する。特に、燃料蒸気パージシステムの構成要素(特に他律型の制御弁)に異常があるか否かを診断するための異常診断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に揮発性液体燃料のタンクを備えた車輌には、いわゆる燃料蒸気パージシステムが採用されている。代表的なチャコール・キャニスタ方式のパージシステムによれば、燃料タンクで発生する燃料蒸気はキャニスタに一旦捕集され、捕集された燃料蒸気は適宜、エンジンの吸気通路にパージ(放出)される。また、燃料蒸気パージシステムの信頼性を確保するために当該システムには多くの場合、穴あきや裂傷等に起因する漏れを発見するための異常診断装置が組み込まれている。この異常診断装置は例えば、燃料タンク及びそれと連通する領域の内圧を検知するための圧力センサや、燃料タンクとキャニスタとをつなぐ負圧導入用通路(バイパス通路)を開閉する制御弁を備えている。更に、かかる異常診断装置には、前記圧力センサや制御弁等の個々の装置構成要素の異常(動作不良)を発見するための診断プログラムが組み込まれ、パージシステムのいっそうの信頼性確保が図られている。
【0003】
本件特許出願人の一人は、先願(特願2000−59314号)において、前記負圧導入用通路(バイパス通路)に設けられた制御弁の異常診断を、厳格な前提条件の成立を必要とせず比較的頻繁に行うことを可能とする新方式のバルブの異常診断装置を提案している。新方式の診断手法とは、パージシステムに吸引負圧を及ぼすと共に前記制御弁に対し閉弁指令を発した状況下で、キャニスタ内圧の十分な変化に対して燃料タンク内圧の有意な追従が統計的に認められる場合には、燃料タンクとキャニスタとをつなぐ負圧導入用通路(バイパス通路)に介在する前記制御弁が開状態で固着する異常(開固着)を生じていると判定するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本件は、前記新方式の診断手法を採用する異常診断装置の完成度を更に高めるためのいくつかの改良に関するものである。具体的には、次のような観点からの改良を試みた。
【0005】
(1)前記異常診断装置では、キャニスタにはその内圧を直接測定するための圧力センサは設けられておらず、代替措置として、他に入手可能な情報(パージ流量等)に基づいてキャニスタ内圧を推定している。その際、実験等を経て予め用意した、パージ流量と内圧推定値との相関性に関する特性マップを参照してキャニスタ内圧の推定値(模擬キャニスタ内圧)を算出している(尚、前記先願はそこまでの開示にとどまる)。その後の研究では、模擬キャニスタ内圧の算出精度を低下させる要因について様々な検討が加えられた。その結果、パージ流量に基づいて模擬キャニスタ内圧を算出する際に、模擬キャニスタ内圧が実際のキャニスタ内圧を真に反映できるような補正演算の手法を考案した。
【0006】
(2)上記の模擬キャニスタ内圧の算出に関連して、パージ流量と内圧推定値との相関性に関する特性マップの好ましい態様についても究明した。
(3)前記新方式の診断手法では、模擬キャニスタ内圧の十分な変化に対する燃料タンク内圧の有意な追従の程度(相関率)を統計的に把握するための前提として、模擬キャニスタ内圧の変化の回数と、燃料タンク内圧の有意な変化の回数についてそれぞれにカウンタを割り当ててカウントしている。この際、燃料タンク内圧の変化が無い又は非常に小さい場合には、燃料タンク内圧の変化回数計数用カウンタの値をデクリメント(減算)するアルゴリズムが採用されている。しかし、その後の検討で、前記カウンタ値をデクリメントする場合の検討項目(又は事前判定項目)が不足しているために、バルブの異常検出ができなくなったり、あるいは異常を検出できたとしても最終判定までにかなりの時間を要してしまう事態が生ずる可能性が判明した。本件ではその原因を究明し、そのような不都合な事態の発生を防止するための改良を診断手法に施した。換言すれば、診断プログラムのバグを修正したのである。
【0007】
本発明の目的は、上記観点からの改良を加えることで更に完成度を高めた燃料蒸気パージシステムの異常診断装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、燃料タンク、キャニスタ、前記キャニスタに大気を導入する通路、前記キャニスタからエンジン吸気通路へ燃料蒸気をパージするパージ通路、前記キャニスタと燃料タンクとをつなぐバイパス通路及びそのバイパス通路に設けられたバイパス制御弁を備えてなる燃料蒸気パージシステムに組み込まれる異常診断装置であって、前記燃料タンクの内圧を検知するためのタンク内圧検知手段と、前記燃料タンクでの燃料残量を把握するための燃料残量把握手段と、前記キャニスタからエンジン吸気通路への燃料蒸気のパージ流量を把握するためのパージ流量把握手段と、前記タンク内圧検知手段が検知した燃料タンク内圧と、キャニスタ内圧とに基づいて当該燃料蒸気パージシステムの構成要素に異常があるか否かを診断する診断制御手段とを備え、前記診断制御手段は、前記燃料残量把握手段が把握した燃料残量に応じて補正係数を可変設定すると共に、この補正係数と前記パージ流量把握手段が把握したパージ流量とに基づいて前記キャニスタ内圧としての模擬キャニスタ内圧を算出することを特徴とする燃料蒸気パージシステムの異常診断装置をその要旨とする。
【0009】
本発明によれば、燃料タンク内圧とキャニスタ内圧との相互関係に基づいて、燃料蒸気パージシステムの構成要素(例えばバイパス制御弁)に異常があるか否かが診断される。このとき、燃料タンク内圧はタンク内圧検知手段により検知されるが、キャニスタ内圧としては、診断制御手段によって算出される模擬キャニスタ内圧が用いられる。即ち模擬キャニスタ内圧とは、キャニスタからエンジン吸気通路への燃料蒸気のパージ流量と、補正係数とに基づいて算出されるキャニスタ内圧の推定値である。本件は、その補正係数を燃料タンクでの燃料残量に応じて可変設定することにより模擬キャニスタ内圧と真のキャニスタ内圧とのズレを極小化できるとの知見に基づくものである(詳細は発明の実施の形態で説明する)。それ故、キャニスタ内圧の推定値として本件の如き模擬キャニスタ内圧を用いれば、診断制御手段による異常診断の信頼性が向上する。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1に記載の燃料蒸気パージシステムの異常診断装置において、前記診断制御手段は、パージ流量と仮キャニスタ内圧との相関関係に関するマップを内部データとして保持しており、そのマップを参照することにより前記パージ流量把握手段が把握したパージ流量から仮キャニスタ内圧を算出し、その算出された仮キャニスタ内圧に前記補正係数を乗算することにより模擬キャニスタ内圧を算出することを特徴とする。
【0011】
これは、模擬キャニスタ内圧の算出手法を最善の実施形態に限定したものである。その技術的意義は、後述する発明の実施の形態の説明で明らかとなる。
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の燃料蒸気パージシステムの異常診断装置において、前記診断制御手段は、キャニスタを含む該パージシステム全体に吸引負圧を及ぼすと共に前記バイパス制御弁に対し閉弁指令を発した状況の下で、模擬キャニスタ内圧の変化に対して燃料タンク内圧の有意な追従が統計的に認められる場合に、前記バイパス制御弁が開状態で固着する異常を生じているものと判定することを特徴とする。
【0012】
これは、バイパス制御弁が診断対象要素である場合の異常診断の原理を明示したものである。キャニスタを含むパージシステム全体に吸引負圧を及ぼすと共にバイパス制御弁に対し閉弁指令を発した状況下において、バイパス制御弁が正常ならば、バイパス制御弁は閉じ燃料タンクとキャニスタとの連通はなく、キャニスタ内圧が変化しても燃料タンク内圧がそれに追従することはない。他方、同じ状況下で、キャニスタ内圧の変化に対して燃料タンク内圧の有意な追従が存在し且つそのことが統計的にも認められる場合には、燃料タンクとキャニスタとの連通が存在すること、つまりバイパス制御弁が開状態で固着していることが認定できる。
【0013】
請求項4の発明は、燃料タンク、キャニスタ、前記キャニスタに大気を導入する通路、前記キャニスタからエンジン吸気通路へ燃料蒸気をパージするパージ通路、前記キャニスタと燃料タンクとをつなぐバイパス通路及びそのバイパス通路に設けられたバイパス制御弁を備えてなる燃料蒸気パージシステムに組み込まれる異常診断装置であって、前記燃料タンクの内圧を検知するためのタンク内圧検知手段と、前記キャニスタからエンジン吸気通路への燃料蒸気のパージ流量を把握するためのパージ流量把握手段と、前記タンク内圧検知手段が検知した燃料タンク内圧と、キャニスタ内圧とに基づいて当該燃料蒸気パージシステムの構成要素に異常があるか否かを診断する診断制御手段とを備え、前記診断制御手段は、仮キャニスタ内圧がパージ流量の二次関数となるように両者が関連付けられたマップ又は式を内部データとして保持しており、そのマップ又は式を用いて前記パージ流量把握手段が把握したパージ流量から仮キャニスタ内圧を算出し、その算出された仮キャニスタ内圧と補正係数とに基づいて前記キャニスタ内圧としての模擬キャニスタ内圧を算出することを特徴とする燃料蒸気パージシステムの異常診断装置をその要旨とする。
【0014】
この構成によれば、診断制御手段が内部データとして保持しているマップ又は式を用いることにより、パージ流量から仮キャニスタ内圧を算出し、更にそこへ補正係数を加味することで模擬キャニスタ内圧を求めることができる。その際、前記マップ又は式では、仮キャニスタ内圧がパージ流量の二次関数となるように両者が関連付けられており、この関連付けは、流体力学における圧力と流速との関係に準じている。従って、仮キャニスタ内圧とパージ流量との関連付けが妥当である範囲は広範囲に及び、マップ又は式から算出される仮キャニスタ内圧から得られた模擬キャニスタ内圧が、真のキャニスタ内圧から大きくズレることはない。故に、こうして求めた模擬キャニスタ内圧を採用すれば、診断制御手段による異常診断の信頼性が向上する。
【0015】
請求項5の発明は、請求項4に記載の燃料蒸気パージシステムの異常診断装置において、前記診断制御手段が内部データとして保持しているマップ又は式は、前記バイパス制御弁の開弁時に当該パージシステムに吸引負圧を及ぼした状態で、そのときのパージ流量と、タンク内圧検知手段が検知するタンク内圧との関係を実測して得たデータに基づいて作成されていることを特徴とする。
【0016】
これは、前記マップの作成方法又は前記式の導出方法を限定したものであり、その技術的意義は後述の発明の実施の形態の説明で明らかとなる。
請求項6の発明は、請求項4又は5に記載の燃料蒸気パージシステムの異常診断装置において、前記診断制御手段は、キャニスタを含む該パージシステム全体に吸引負圧を及ぼすと共に前記バイパス制御弁に対し閉弁指令を発した状況の下で、模擬キャニスタ内圧の変化に対して燃料タンク内圧の有意な追従が統計的に認められる場合に、前記バイパス制御弁が開状態で固着する異常を生じているものと判定することを特徴とする。
【0017】
これは、バイパス制御弁が診断対象要素である場合の異常診断の原理を明示したものであり、その技術的意義は、前記請求項3の場合と同じである。
請求項7の発明は、燃料タンク、キャニスタ、前記キャニスタに大気を導入する通路、前記キャニスタからエンジン吸気通路へ燃料蒸気をパージするパージ通路、前記キャニスタと燃料タンクとをつなぐバイパス通路及びそのバイパス通路に設けられたバイパス制御弁を備えてなる燃料蒸気パージシステムに組み込まれる異常診断装置であって、前記キャニスタの内圧を検知するためのキャニスタ内圧検知手段と、前記燃料タンクの内圧を検知するためのタンク内圧検知手段と、キャニスタ内圧の変化回数をカウントするための第1カウンタと、燃料タンク内圧の変化回数をカウントするための第2カウンタと、前記キャニスタを含む該パージシステム全体に吸引負圧を及ぼすと共に前記バイパス制御弁に対し閉弁指令を発した状況の下で前記二つのカウンタの動作を許容し、前記第2カウンタの値を前記第1カウンタの値で除して得られる相関率が所定の閾値以上となるときに前記バイパス制御弁が開状態で固着する異常を生じているものと判定する診断制御手段とを備えており、前記診断制御手段は、燃料タンク内圧の変化量が第1の所定量以上の場合に第2カウンタをインクリメントし、燃料タンク内圧の変化量が第2の所定量未満であり且つそのときの燃料タンク内圧が前記タンク内圧検知手段の検出下限値よりも大きい場合に第2カウンタをデクリメントし、これらインクリメント条件もデクリメント条件も充足しない場合には第2カウンタ値を維持することを特徴とする燃料蒸気パージシステムの異常診断装置をその要旨とする。
【0018】
この構成によれば、パージシステム全体に吸引負圧を及ぼすと共にバイパス制御弁に対し閉弁指令を発した状況の下で、キャニスタ内圧の変化回数及び燃料タンク内圧の変化回数が監視され、それらが第1及び第2カウンタに記録される。そして、第2カウンタの値を第1カウンタの値で除して得られる相関率が所定の閾値以上となるとき、キャニスタ内圧の変化に対して燃料タンク内圧の有意な追従が統計的に認められるものとみなし、バイパス制御弁が開状態で固着する異常を生じているものと判定する。この際、燃料タンク内圧の変化回数をカウントしている第2カウンタの加減算の仕方が問題となる。本発明では、燃料タンク内圧の変化量が第1の所定量以上となる場合には、キャニスタ内圧の変化に対する燃料タンク内圧の追従を明らかに認定できるとして、第2カウンタをインクリメント(1加算)する。他方、燃料タンク内圧の変化量が第2の所定量未満であり且つそのときの燃料タンク内圧が前記タンク内圧検知手段の検出下限値よりも大きい場合には、キャニスタ内圧の変化に対する燃料タンク内圧の追従を積極的に認定できないとして、第2カウンタをデクリメント(1減算)する。デクリメントする場合には、燃料タンク内圧がタンク内圧検知手段の検出下限値よりも大きいことを付帯条件としている。というのも、タンク内圧検知手段が検知している圧力がその検出下限値に等しい場合には、実際には燃料タンク内圧が前記検出下限値よりも更に低い可能性が高く、その場合には、燃料タンク内圧の変化量が第2の所定量未満であるということがそもそも疑わしい。それ故、キャニスタ内圧の変化に対する燃料タンク内圧の追従を否定することにつながる第2カウンタのデクリメント操作を行う場合には、前記付帯条件を課すこととした。そして、見掛け上燃料タンク内圧の変化量が第2の所定量未満であっても燃料タンク内圧がタンク内圧検知手段の検出下限値に等しい場合には、第2カウンタのデクリメントを禁じている。これにより、バイパス制御弁の異常検出の欠落や遅延が未然防止され、異常診断の信頼性や迅速性が向上する。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下に、車輌用の燃料蒸気パージシステム及びその異常診断装置の具体例を図面を参照して説明する。
【0020】
図1に示すようにエンジン10は、燃焼室11、吸気通路12及び排気通路13を備えている。エンジン10の運転にあたっては燃料タンク30内に備蓄された燃料(例えばガソリン)が燃料ポンプ31によって汲み出され、燃料供給通路を通じてデリバリパイプ12aに送られた後、燃料噴射弁12bによって吸気通路12内に噴射供給される。この吸気通路12の上流には、アクセルペダル(図示略)の踏み込み操作に基づいて吸気通路12の流路面積を可変とするスロットルバルブ12cが設けられている。更にその上流には、吸入空気を浄化するためのエアクリーナ12d及びエンジン10への吸入空気量を検出するためのエアフローメータ12eが設けられている。
【0021】
燃料蒸気パージシステム20は、燃料タンク30から発生する燃料蒸気を捕集するキャニスタ40や、その捕集された燃料蒸気をエンジン10の吸気通路12にパージするパージ通路71を備えている。このパージシステム20にあって、燃料タンク30の天井部分には、タンク内圧検知手段としての圧力センサ32と、ブリーザ制御弁33とが設けられている。圧力センサ32は、燃料タンク30及び同タンク30と連通する領域の圧力を大気圧基準で検出する。大気圧基準とは大気圧相当の圧力をゼロとして検出することをいう。そして、この圧力センサ32の検出下限値Lは−4.0kPa(キロパスカル)=−30mmHgであり、それよりも低い圧力の場合には下限値L(=−4.0kPa)を出力する。ブリーザ制御弁33はダイアフラム式の差圧弁であり、給油時等、燃料タンクの内圧がブリーザ通路34内の圧力より所定圧以上高くなるときに自律的に開弁して燃料蒸気をブリーザ通路34を介してキャニスタ40に逃がす。
【0022】
更に燃料タンク30は、ブリーザ通路34よりも通路内径の小さなベーパ通路35を介してキャニスタ40に連通可能となっている。ベーパ通路35とキャニスタ40との間に設けられたタンク内圧制御弁60は、先のブリーザ制御弁33と同様の機能を有するダイアフラム式差圧弁である。タンク内圧制御弁60内のダイアフラム弁体61は、燃料タンク30内の圧力がキャニスタ40内の圧力より所定圧以上高くなるときのみタンク内圧制御弁60を開弁させる。
【0023】
キャニスタ40は、その内部に吸着材(例えば活性炭)を備え、燃料蒸気を該吸着材に吸着させて一時的に蓄えた後、大気圧よりも低い圧力下におかれることによってこの吸着材に吸着させた燃料蒸気を再離脱させることが可能な構成となっている。以下、本明細書において、大気圧を基準としてそれよりも低い圧力を負圧といい、大気圧を基準としてそれよりも高い圧力を正圧という。キャニスタ40は、ブリーザ通路34及びベーパ通路35を介して燃料タンク30と連通可能である他、パージ通路71を経由して吸気通路12に連通可能であり、更に大気弁70を介して大気導入通路72及び大気排出通路73にも連通している。なお、パージ通路71の途中には電磁弁又はVSV(バキュームスイッチングバルブ)からなるパージ制御弁71aが設けられている。エアクリーナ12dに連通する大気導入通路72の途中には、電磁弁又はVSVからなる大気導入弁72aが設けられている。
【0024】
大気弁70内には、各々が異なる機能を有する二つのダイアフラム弁体74,75が設けられている。第1のダイアフラム弁体74は、その背面側の空間74aがパージ通路71と連通しており、パージ通路71が所定圧以下の負圧状態になると開弁して大気導入通路72からキャニスタ40内への外気の流入を許容する。一方、第2のダイアフラム弁体75は、キャニスタ40内が所定圧以上の正圧に達すると開弁してキャニスタ40から大気排出通路73へ余分な空気を排出させる。
【0025】
キャニスタ40の内部は仕切板41によって、第1吸着材室42と第2吸着材室43とに区画されている。両吸着材室42,43は吸着材(活性炭)で満たされるも、両室はキャニスタ底部において通気性フィルタ44を介して連通している。燃料タンク30は、一方ではベーパ通路35及びタンク内圧制御弁60を介して、他方ではブリーザ制御弁33及びブリーザ通路34を介して第1吸着材室42に連通可能となっている。また、大気導入通路72及び大気排出通路73は大気弁70を介して第2吸着材室43に連通可能となっている。そして、パージ制御弁71aを備えたパージ通路71は、キャニスタ40の第1吸着材室42と、吸気通路12のスロットルバルブ12c下流位置とを連結しており、パージ制御弁71aの開弁動作に応じて第1吸着材室42とスロットルバルブ12c下流位置とを連通する。即ちベーパ通路35やブリーザ通路34から導入された燃料蒸気は、第1吸着材室42に一時的に吸着された後、パージ通路71に運ばれる。又、大気弁70を構成する第2のダイアフラム弁体75が開弁してキャニスタ40内の余分な空気が大気排出通路73から排出される場合でも、キャニスタ40内の気相に残留する燃料蒸気は、第2吸着材室43を通過する際にその内部の吸着材に吸着され、外に漏れることはない。
【0026】
加えて燃料蒸気パージシステム20には、タンク内圧制御弁60(又はべーパ通路35の一端部)とキャニスタの第2吸着材室43とを連絡するように負圧導入用のバイパス通路80が設けられている。このバイパス通路80の途中には、電磁弁又はVSVからなるバイパス制御弁80a(本例で診断対象となるバルブ)が設けられている。このバイパス制御弁80aが開弁するとき、バイパス通路80及びベーパ通路35を介して第2吸着材室43と燃料タンク30が直接連通される。特にパージ制御弁71aが開弁状態にあるときには、パージ通路71の全体が、第1吸着材室42→通気性フィルタ44→第2吸着材室43→バイパス通路80→ベーパ通路35を介して燃料タンク30に連通する。また、ブリーザ通路34内の空間も第1吸着材室42と連通しているため、パージ通路71と同一空間を共有することとなる。このようにパージ制御弁71aの開弁によりキャニスタ40内に負圧が導入されている状態でバイパス制御弁80aを開弁することで互いに連通する燃料蒸気パージシステム20内の共有空間が、同システム20におけるエバポ経路となる。本実施形態にかかる燃料蒸気パージシステムの異常診断装置は、このエバポ経路の漏れの有無を判定することによってその異常の有無を診断する。併せて、バイパス制御弁80aの異常又は動作不良についても診断する。
【0027】
更に、エンジン10及び燃料蒸気パージシステム20は、エンジンの制御系及び診断系としての役割を司る電子制御装置(ECU)50を備えている。図2に示すようにECU50は、マイクロコンピュータ51を中心に構成されている。マイクロコンピュータ51は、エンジン制御やシステム診断に関する各種処理を実行するCPU51a、上記制御や診断に関する各種プログラムを記憶した読出し専用メモリであるROM51b、読出しと書込みが自由な揮発性メモリであるRAM51c及び読込みと書込みが自由で且つバッテリバックアップされることによりエンジン10の停止後も記憶内容が保持される不揮発性メモリであるバックアップRAM51dを備えている。更にマイクロコンピュータ51は、第1のカウンタ52、第2のカウンタ53及び内部タイマ54を内蔵している。但し、CPU51aの内部レジスタにカウンタの役目を担わせる場合には、第1及び第2カウンタ52,53を敢えて設ける必要はない。マイクロコンピュータ51の入力側には、圧力センサ32やエアフローメータ12eのほかに、回転数センサや気筒判別センサ等のエンジン10の運転制御に必要な各種センサが直接的又は間接的に接続されている。マイクロコンピュータ51の出力側には、燃料噴射弁12b、燃料ポンプ31、パージ制御弁71a、大気導入弁72a及びバイパス制御弁80aが、それぞれの駆動回路を介して接続されている。
【0028】
ECU50は、各センサから提供される各種情報に基づき燃料噴射制御や空燃比制御等のエンジン制御を実行する。又、ECU50は、圧力センサ32からの出力信号を認識しつつ、パージ制御弁71a、大気導入弁72a及びバイパス制御弁80aを適宜開閉制御することによってパージシステムの異常診断(即ち上記エバポ経路の漏れ診断)を行うと共に、パージシステムの異常診断の正確性又は信頼性を担保するために、特に前記バイパス制御弁80aの異常診断を実行する。この意味でECU50は「診断制御手段」として位置づけられる。
【0029】
(燃料蒸気パージシステム20による燃料パージの概要)
燃料タンク30内の燃料が蒸気化しその蒸気圧が所定圧以上に達すると、タンク内圧制御弁60が自律開弁して燃料タンク30からキャニスタ40内へ燃料蒸気の流入が許容される。また、例えば燃料給油時のように、燃料蒸気の蒸気圧が燃料タンク30内で急激に高まるような場合には、ブリーザ制御弁33が自律開弁して、燃料タンク30からキャニスタ40内へのより大量の燃料蒸気の流入が許容される。キャニスタ40内に流入した燃料蒸気は、キャニスタ40内の吸着材に一旦吸着される。その後、例えば図3に示すように、エンジン10の冷却水温が所定のパージ開始水温(本実施形態では80℃)に達すると、ECU50からの制御信号に基づき、閉じていたパージ制御弁71aが開弁されると共に大気導入弁72aの開弁状態が維持される。すると、パージ通路71を介して吸気通路12からキャニスタ40内に吸引負圧が導かれると共に、大気導入通路72を通じてエアクリーナ12dからキャニスタ40内に新気が導入される。この負圧及び新気の導入によって吸着材から燃料蒸気が離脱し、パージ通路71を介して吸気通路12にパージされる。
【0030】
(燃料蒸気パージシステム20のエバポ経路の漏れ診断の概要)
エバポ経路の漏れ診断を行うにあたっては、エンジン10の冷却水温がパージ開始水温に達してパージが開始されていること、及び、燃料タンク30のタンク内圧Ptが安定していることが前提条件となる。例えば図3に示すように、圧力センサ32の検出圧力に基づきタンク内圧Ptの所定時間(例えば15秒)の圧力変化量ΔP1が算出され、この圧力変化量ΔP1が所定値以下であることが3回続けて確認されると、タンク内圧Ptが安定していると判定される。この漏れ診断の前提条件が満たされた時点(時刻t0)で、ECU50からの指令により、大気導入弁72aが閉弁されるとともに、パージ制御弁71aが開弁される。これによりキャニスタ40が大気から遮断される結果、キャニスタ40には吸気通路12からパージ通路71を介して負圧が導かれる。加えてバイパス制御弁80aの開弁により、燃料タンク30、キャニスタ40、ブリーザ通路34、ベーパ通路35及びパージ通路71(すなわちエバポ経路内全体)が負圧状態となる。このエバポ経路の内圧は、燃料タンク30の天井にある圧力センサ32によって検知される。
【0031】
エバポ経路全体をある程度減圧(例えば大気圧に対し−2.67kPa=−20mmHgまで減圧)した時刻t1において一旦パージ制御弁71aを閉弁すると、エバポ経路内が負圧状態で密閉される。このときエバポ経路に穴あき等の異常がなければ、燃料タンク30内の燃料が蒸発することにより、エバポ経路の内圧は、経路内に残留する空気及び燃料蒸気の平衡圧に徐々に近づいていく(つまり緩やかに上昇する)はずである。他方、エバポ経路に漏れがある場合には、エバポ経路の内圧は急速に外気圧(大気圧)に近づくことになる。いずれにしても時刻t1以後エバポ経路内圧は上昇するが、漏れの有無によって内圧上昇の度合いが異なる。本実施形態では、エバポ経路内圧(=Pt)が再び所定負圧(−2.00kPa=−15mmHg)に達した時刻t2において、圧力変化度合いとしての圧力変化速度ΔP(−15)(kPa/秒又はmmHg/秒)を測定する。そして、この圧力変化速度ΔP(−15)に基づき、エバポ経路に穴開き等の異常があるか否かを判定する。
【0032】
(燃料蒸気パージシステム20を構成するバルブの異常診断)
前記エバポ経路の漏れ診断が信頼するに足るものとなるためには、システムを構成するバルブ類やセンサ類が正常に動作していることを常に確認しておく必要がある。以下では特に、バイパス通路80に設けられたバイパス制御弁80aの異常又は動作不良を診断する方法について説明する。実際のシステムでは、他のバルブ類やセンサ類についても異常診断が行われるがその説明は割愛する。
【0033】
図4及び図5は、バイパス制御弁80aの異常の有無を診断するためのバルブの異常診断ルーチンの概要を示すフローチャートである。本ルーチンは、ECU50によって所定時間(例えば数十〜数百ミリ秒)毎の定期割込み処理として実行される。尚、この診断処理は特に、バイパス制御弁80aが開状態で固着する異常(開固着)を検知することを目的とする。その事前準備としてこの異常診断ルーチンに入る前に、少なくともパージ制御弁71aが開状態の下、ECU50からバイパス制御弁80aに対し閉弁駆動信号(閉弁指令)が発せられる。
【0034】
前記割込み要求があると、ECU50はまずステップ110において、模擬キャニスタ内圧Pcを算出する。このステップは、キャニスタ40にはその内圧を直接検出する圧力センサが取り付けられていないことから、他に取得可能な情報に基づいてキャニスタ内圧を推定するものである。その推定値が模擬キャニスタ内圧Pcである。そして、図4に示すようにステップ110の処理は、ステップ111〜115の五つの段階に細分される。
【0035】
まずステップ111においてECU50はパージ流量Qpを算出する。「パージ流量」とは、前記燃料パージ動作時にパージ通路71を介して吸気通路12に放出されるガスの流量、つまりは大気導入通路72を介してキャニスタに流入する流入空気量を意味する。パージ流量Qpは、パージ制御弁71aの弁開度とパージ通路71の負圧の程度とが判明すれば、これらに基づき、計算により又は実験もしくはコンピュータシミュレーションにより求めたマップ(マップ形式のデータベース)を参照することにより算出することができる。ここで、パージ制御弁71aはECU50によって開度制御されるため、ECU50はパージ制御弁71aの弁開度に関する情報を内部データとして保持している。他方、パージ通路71の負圧の程度はエンジン負荷と相関性があり、両者の関係は車輌毎に実験等を経て特性マップ化されている。エンジン負荷は、エンジン回転数センサからの回転数データとエアフローメータ12eからの吸入空気量データとに基づいて算出可能である。つまりパージ通路71の負圧の程度も各種センサからのデータに基づいて把握可能であり、ひいてはパージ流量Qpも外部データ及び内部データに基づき算出可能である。この意味で、エンジン回転数センサ及びエアフローメータ12eを含む各種センサ並びにECU50は、「パージ流量把握手段」を構成する。
【0036】
ステップ112においてECU50は仮キャニスタ内圧Pc’を算出する。一般にキャニスタ内圧とパージ流量Qpとの間には、キャニスタの大気弁70の特性に応じた緊密な相関関係があり、両者の関係は車輌毎に実験等を経て特性マップ化することができる。図6のグラフは、その特性マップにおけるQpとPc’との関係を概念的に示している。このグラフに描かれた特性線はQp及びPc’の想定範囲の全てにわたりほぼ二次関数曲線(Pc’=A・Qp2 +B,但しA及びBは任意の数)に沿ったものとした。これは、流体力学の基本定理であるベルヌーイの定理から導かれる法則、「流体密度が一定ならば、圧力は流速の二乗に比例する」に準拠させたものである。かかる二次関数的特性マップは、ECU50により内部データとして保持されており、これを参照することにより、パージ流量Qpが想定可変範囲内でどのような値をとろうとも、Qp値から適切な仮キャニスタ内圧Pc’を算出することができる。尚、仮キャニスタ内圧Pc’が「仮」のものに過ぎない理由は、後ほどの説明で明らかとなる。また、前記二次関数曲線式中の2次項係数A及び0次項係数Bをそれぞれ特定の値に固定すれば、あえてマップ形式データを準備せずとも、前記式に従いQpの値からPc’を直接計算で求めることもできる。
【0037】
ステップ113においてECU50は、燃料タンク30内の燃料残量を把握する。燃料残量の把握方法は種々あるが、最も簡単な方法は、車輌運転席のインストルメントパネルに組み込まれた燃料メータの出力を参照することである。ECU50は燃料メータからの電気的出力に基づいて燃料残量を把握できる。あるいは、燃料蒸気パージシステムでは、燃料タンク30の全体積と、該タンクの内圧を大気圧レベルから所定の減圧レベルにまで減圧するのに要した時間(負圧導入時間)とに基づいて燃料残量を推定する手法がよく知られており、この周知の手法で燃料残量を間接的に把握してもよい。なお、これらの意味でECU50は、燃料残量把握手段を構成する。
【0038】
ステップ114においてECU50は、前ステップで求めた燃料残量から、補正係数としてのなまし係数Kを算出する。この「なまし係数K」の技術的意義は後ほど説明する。ECU50は、内部データとして図7に示すような傾向のマップを予め保持しており、このマップを参照して燃料残量からなまし係数Kを決定する。なお、図7に示すように、タンク内での燃料残量が多いほど(即ち気相部分の体積が少ないほど)、なまし係数Kは1.0に近づく。他方、タンク内での燃料残量が少ないほど(即ち気相部分の体積が多いほど)、なまし係数Kは0に近づく(但しKは決してゼロとはされない)。
【0039】
ステップ115においてECU50は、前記なまし係数Kと前記仮キャニスタ内圧Pc’とを乗算することにより、正規の模擬キャニスタ内圧Pcを算出する(Pc=K・Pc’)。即ち、なまし係数Kとは、仮キャニスタ内圧Pc’から正規の模擬キャニスタ内圧Pcを計算する際の一種の補正係数である。そして、その補正係数自体が、前記ステップ114で示したように燃料残量に応じて適宜変更される可変パラメータとなっている。
【0040】
かかる「なまし係数K」による補正を必要とする理由は次の通りである。前記ステップ112の解説では、キャニスタ内圧とパージ流量Qpとの間には緊密な相関性が存在し、実験等を経て両者の関係をマップ化していると説明したが、前述のようにキャニスタ40内にはその内圧を直接測定する圧力センサは設けられておらず、キャニスタ内圧とパージ流量Qpとの相関関係を直接測定してマップを作成することはできない。故に代替措置として、キャニスタ単体の内圧に代えて、バイパス制御弁80aを開弁しキャニスタ40と燃料タンク30とを連通させた状態でのタンク内圧を圧力センサ32で実測し、その実測タンク内圧とパージ流量Qpとの関係を測定して前記マップを作成している。即ち、前記仮キャニスタ内圧Pc’とは、実はキャニスタとの連通状態における燃料タンク内圧のことなのである。このため、仮キャニスタ内圧Pc’と真のキャニスタ内圧との間には自ずとギャップが存在する。そして、そのギャップを埋めるための補正係数がなまし係数Kであり、なまし係数Kは、キャニスタ内圧が燃料タンク内圧を模擬できるように設定される性格のものである。このようになまし係数Kは、キャニスタ内圧とパージ流量Qpとの相関マップに代えて、キャニスタとの連通状態における燃料タンク内圧とパージ流量Qpとの相関マップを代替採用することに伴う実状とのズレを補填するための補正係数である。
【0041】
更に補正係数としてのなまし係数Kを燃料残量に応じて可変設定する理由は次の通りである。前述のようにバイパス制御弁80aを開弁しキャニスタ40と燃料タンク30とを連通させた状態でのタンク内圧を圧力センサ32で実測すると共に、その実測タンク内圧とパージ流量Qpとの関係を測定して相関マップを作成するときには、燃料タンク30での燃料残量が半分程度(例えば残量40%)の場合を平均的状態として代表させており、燃料残量ごとに複数のマップを用意するわけではない。しかし現実には、燃料残量の多少に応じて残余空間体積(気相部分の体積)やタンク内燃料の気液平衡状態も変化し、そのことがタンク内圧と実際のキャニスタ内圧との関係に与える影響も無視できない。現に知られている現象として、バイパス制御弁80aの開弁状況下で燃料タンク30の燃料残量が比較的多い場合には、パージ吸引によるタンク内圧(=仮キャニスタ内圧Pc’)の変化は比較的俊敏であり、ステップ112で求めた仮キャニスタ内圧Pc’と実際のキャニスタ内圧との間のギャップも小さい。他方、バイパス制御弁80aの開弁状況下で燃料タンク30の燃料残量が比較的少ない場合には、パージ吸引によるタンク内圧(=仮キャニスタ内圧Pc’)の変化は比較的鈍重であり、ステップ112で求めた仮キャニスタ内圧Pc’と実際のキャニスタ内圧とのギャップは大きくなる傾向にある(少なくとも瞬時には両者は均圧化しない)。つまり、燃料残量の多少に応じてなまし係数Kを可変設定すれば実状に沿うわけである。なまし係数Kが大きい(即ち1.0に近い)ということは、仮キャニスタ内圧Pc’に対する補正(又はなまし)の程度を小さくすることを意味する。他方、なまし係数Kが小さい(即ち0に近い)ということは、仮キャニスタ内圧Pc’に対する補正(又はなまし)の程度を大きくすることを意味する。
【0042】
このように上記ステップ111〜115の処理を経ることで模擬キャニスタ内圧Pcが算出されると共に、パージ流量Qpに基づくキャニスタ内圧推定値としての模擬キャニスタ内圧Pcの信頼性や正確性が確保される。このような意味でECU50は、キャニスタ40の内圧を間接的に検知するキャニスタ内圧検知手段を構成する。
【0043】
次に、ステップ121でECU50は、内部タイマ54の前回ゼロクリヤ時からの経過時間が所定時間TM(例えば15秒)に達したか否かを判定する。その時点で所定時間TMを経過している場合にはステップ122の処理が実行されるが、所定時間TMに達していない場合にはステップ122の処理がスキップされる。つまり、ステップ122の処理は、所定時間TM(例えば15秒)ごとに行われる。
【0044】
ステップ122は、所定時間TM毎のリセット動作である。ここではまず、内部タイマ54がゼロクリヤされる。更に、ステップ110で求めた模擬キャニスタ内圧Pcが暫定キャニスタ基準内圧Pcsとして設定されると共に、そのときの圧力センサ32の検出圧力(タンク内圧Pt)が暫定タンク基準内圧Ptsとして設定される。つまり、所定時間TM経過時の模擬キャニスタ内圧Pcを暫定的な比較の基準値(又は基準点)Pcsとして記憶すると共に、所定時間TM経過時のタンク内圧Ptを暫定的な比較の基準値(又は基準点)Ptsとして記憶するのである(図8参照)。即ちステップ122では、暫定キャニスタ基準内圧Pcs及び暫定タンク基準内圧Ptsが所定時間TMごとに更新される。
【0045】
ステップ123〜125は、模擬キャニスタ内圧Pcが暫定キャニスタ基準内圧Pcsから所定圧力値α以上変化した回数をカウントするための一連の処理である。具体的には、ステップ123において、そのときの模擬キャニスタ内圧Pcと暫定キャニスタ基準内圧Pcsとの差ΔPcの絶対値、即ち基準点からのキャニスタ内圧の変化量の絶対値が、所定圧力値α(例えば0.67kPa=5.0mmHg)以上であるか否かを判定する。ステップ123判定がYES(肯定)の場合には、ステップ124で、キャニスタ内圧変化回数カウント用に割り当てられた第1カウンタ52の値C1をインクリメント(1加算)すると共に、ステップ125において、前記ステップ122と同様、内部タイマ54のゼロクリヤ及び暫定キャニスタ基準内圧Pcsの再設定を行う(図8参照)。なお、前記所定圧力値αは、些細な揺らぎ程度に過ぎない模擬キャニスタ内圧Pcの変化をカウント対象から排除することができる大きさに設定されている。
【0046】
ステップ123判定がNO(否定)の場合には、模擬キャニスタ内圧Pc及びタンク内圧Ptの変化量を一切調べることなく(つまりは第1及び第2カウンタ52,53の加減算を一切行うことなく)、ステップ141にスキップする。これは、模擬キャニスタ内圧Pcの変化があまりに小さい場合には、本実施形態のバルブ異常の判定手法に依拠することは適切ではないからである。
【0047】
ステップ125の後、処理は図5のステップ131へ進む。ステップ131では、そのときのタンク内圧Ptと暫定タンク基準内圧Ptsとの差ΔPtの絶対値、即ち基準点からのタンク内圧の変化量の絶対値が、第1の所定量としての所定圧力値β(例えば0.47kPa=3.5mmHg)以上であるか否かを判定する。ステップ131判定がYESの場合には、ステップ132で、タンク内圧変化回数カウント用に割り当てられた第2カウンタ53の値C2をインクリメント(1加算)する。つまり、ステップ123判定がYESで且つステップ131判定がYESの場合には、Pcの変化に対するPtの変化に相応の追従性が認められると判断し(追従性の積極肯定)、カウンタ値C1,C2をともにプラス1する結果とする。なお、前記所定圧力値βは、前記値αよりも小さな値に設定される(β<α)。
【0048】
他方、ステップ131判定がNOの場合には、ステップ133においてECU50は、そのときのタンク内圧Pt(現Pt)が圧力センサ32の検出下限値L(=−4.0kPa)よりも大であるか否かを判定する。ステップ133判定がYESの場合にはステップ134に進む。他方、ステップ133判定がNOの場合つまり検出圧力が下限値Lに貼り付いている場合には、実際のタンク内圧Ptが前記下限値Lよりももっと低い可能性があり、圧力センサ32の検出値を信用してステップ134の判定に進むことはできない。故にその場合には、ステップ134及び135をスキップする。
【0049】
ステップ133判定がYESの場合、ステップ134においてECU50は、タンク内圧Ptと暫定タンク基準内圧Ptsとの差ΔPtの絶対値、即ち基準点からのタンク内圧の変化量の絶対値が、第2の所定量としての所定圧力値γ(例えば0.11kPa=0.8mmHg)未満であるか否かを判定する。ステップ134判定がYESの場合には、ステップ135で、前記第2カウンタ53の値C2をデクリメント(1減算)する。つまり、ステップ123判定がYESで且つステップ133判定及びステップ134判定が共にYESの場合には、十分なPc変化にもかかわらずPtの変化に明確な追従性が認められないと判断し(追従性の積極否定)、カウンタ値C1の増大にもかかわらずカウンタ値C2をマイナス1する結果とする。なお、前記所定圧力値γは、前記値βよりも小さな値に設定される(γ<β)。
【0050】
ステップ134判定がNOの場合、つまりγ≦|ΔPt|<βの場合には、第2カウンタ53の加減算を一切行わない。つまりこの場合には、十分なPc変化にもかかわらずPtの変化が中途半端であり、Pcの変化に対するPtの変化の追従性を積極的に肯定することも否定することもできない。従って、カウンタ値C1の増大にもかかわらずカウンタ値C2を現状維持する結果とする。
【0051】
なお、ステップ134判定の前に、ステップ133で現Ptの大きさに関する事前判定を行っているのは、実際にはタンク内圧の変化量ΔPtがステップ134の判定条件を満たしていないのに条件充足と判定され、誤って第2カウンタ値C2がデクリメントされる事態を防止するためである。もっと具体的に説明すると、仮にバイパス制御弁80aに開固着の異常がある状態で、パージ吸引が強い場合(例えば燃料残量が多く且つエンジンが高負荷運転状態にある場合)には、実際のタンク内圧Ptが圧力センサ32の検出下限値Lを下回ることがある。そのような場合は本来ならば、タンク内圧の変化量ΔPtがステップ134の判定条件を満たさないはずであるが、圧力センサ32の検出下限値Lが実際のタンク内圧Ptよりも高いという事情のために、タンク内圧の変化量ΔPtが見掛け上ゼロになる事態が生じ得る。すると第2カウンタ値C2がデクリメントされ、後述するステップ141以下の処理との関係で、Pcの変化に対するPtの変化の追従相関性有りの判定結果(バルブ開異常との結論)に到達できなくなるか、到達できても極めて遅くなる虞れがある。かかる問題を未然に回避するために、ステップ133判定がNOの場合には、第2カウンタ値C2のデクリメントが回避されるアルゴリズムを採用した。
【0052】
ステップ132,133,134又は135の処理の後、ステップ136においてECU50は、前記ステップ122と同じく暫定タンク基準内圧Ptsの再設定を行い、次サイクルでの判定にそなえる。ステップ136の後又はステップ123判定がNOの後に、ステップ141以下の最終的な判定手順へと進む。
【0053】
ステップ141では、第1カウンタの値C1が所定の判定値DA(例えば10回)に等しいか否かが判定される。第1カウンタ値C1が判定値DAに満たない場合には、模擬キャニスタ内圧Pcの変化回数が規定回数に達しておらず適正な異常診断を行える状況にないとみなし、バルブに異常があるか否かの診断をすることなく図4及び図5の割込み処理を一旦終了する。つまり判定値DAは、Pcの変化に対するPtの変化の追従性を判断する上で統計的な信頼性を担保するための最小規定回数なのである。当然、判定値DAを大きくすれば統計的に判定の信頼性が高まる反面、結論を出すまでに相応の時間を要する結果となる。
【0054】
ステップ141判定がYESの場合(C1=DA)には、模擬キャニスタ内圧Pcの変化回数が適正な異常診断を下せる規定回数に達したとされ、ステップ142の判定が行われる。ステップ142では、第2カウンタの値C2が所定の判定値DB(例えば7回)以上となっているか否かが判定される。この判定値DBは、前記判定値DAに等しい(DB=DA)かそれに近い値(但しDB<DA)に設定されている。
【0055】
ステップ142判定がYESの場合、バイパス制御弁80aは開放状態で故障しているもの(開異常)と判定する(ステップ143)。なぜならステップ142の判定条件を充足するということは、タンク内圧の変化回数C2がキャニスタ内圧の変化回数C1に等しいか又は極めて近いということであり、模擬キャニスタ内圧Pcの変化動向とタンク内圧Ptの変化動向との間に高い相関性が存在すること、つまり、Pc変化に対するPt変化の追従性を合理的に認定することができることを示すからである。そして、燃料タンク30とキャニスタ40とをつなぐ通路に設けられたバイパス制御弁80aに閉弁指令が出されているにもかかわらず、二つの内圧Pc,Ptの変化動向に緊密な相関が存在するとすれば、二つの領域が明らかに連通状態にあるということであり、バイパス制御弁80aが開状態で故障している可能性が高いと判断することができる。なお、この場合におけるステップ141及び142の処理は、暗にC2/C1で計算される相関率又は追従率Rを求め、その相関率Rが所定の閾値以上(本例で言えば7/10=70%以上)である場合に、バイパス制御弁80aが開異常であると判定する処理と理解することができる。なお、開異常と判定したときには、燃料蒸気パージシステムの異常を人に知らせるための警告表示(例えば車輌のインストルメントパネル内に設置)が点灯等される。
【0056】
他方、ステップ142判定がNOの場合、バイパス制御弁80aは開放状態での異常はないもの(正常)と判定する(ステップ144)。これは、開異常の場合の裏返しとしてそのようにみなされる。つまり、ステップ142の判定条件を充足しないということは、模擬キャニスタ内圧Pcの変化動向とタンク内圧Ptの変化動向との間にさほどの相関性が認められないこと、即ち、Pc変化に対するPt変化の追従性が合理的に認められるとまでは断言できないことを示すからである。前記相関率Rという尺度で言えば、その比率Rが所定の閾値(本例で言えば70%)に達していない。従って、バイパス制御弁80aが開異常の状態にあって燃料タンク30とキャニスタ40とが連通しているとまでは断言できず、とりあえず、バイパス制御弁80aはECU50からの閉弁指令通り正常に閉じられているものと消極的に判定する。ちなみに、バイパス制御弁80aが正常に閉じられている場合には、燃料タンク30は孤立空間化しているはずであり、その場合にはタンク内圧Ptは、図8に一点鎖線で示すように略一定値を維持するはずである。
【0057】
ところで、図4のステップ121の所定時間TMは、ステップ123判定がなかなかYESにならない場合に、ステップ122でタイマのゼロクリヤ並びに暫定基準内圧Pcs及びPtsの再設定を強行するまでの制限時間と理解することができる。すなわち図4及び図5の診断手順では、この制限時間内に模擬キャニスタ内圧の変化量ΔPcが所定圧力値α以上なければ、意味のある(又は診断に適した)模擬キャニスタ内圧の変化を得られなかったものとし、カウント値を変更することなく診断をやり直す。だらだらと長時間をかけてステップ123判定がYESとなっても意味がないのである。制限時間としての所定時間TMの好ましい範囲は、経験的に10〜20秒の範囲(好ましくは15秒前後)である。
【0058】
(効果)本実施形態によれば、以下のような効果が得られる。
・ 本実施形態の燃料蒸気パージシステムにおいては、パージ流量Qp並びに燃料残量及びなまし係数Kといった情報に基づいて、キャニスタ内圧の推定値としての模擬キャニスタ内圧Pcを演算処理により求めることができる。つまり、キャニスタ40の内圧を測定するために特別な圧力センサを設ける必要がなく、センサの気密性確保に要する組付け工数の増加に伴うコストの上昇を抑制することができる(製造コストの低減)。
【0059】
・ パージ流量Qpからマップ参照によって導かれる仮キャニスタ内圧Pc’を補正するためのなまし係数Kは、燃料タンク30での燃料残量に応じて可変設定される。このため、バルブ異常診断時の燃料残量が、Qp対Pc’のマップデータ取得時の燃料残量条件からはずれていた場合でも、そのズレを可変なまし係数Kが補償することで、模擬キャニスタ内圧Pcの計算値が真のキャニスタ内圧をほぼ正確に反映することができる。それ故、バルブの異常診断の精度が向上する。
【0060】
・ Qp対Pc’のマップ(図6参照)に描かれた特性線は二次関数曲線となっており、前述の「流体密度が一定ならば、圧力は流速の二乗に比例する」という物理法則に合致している。このため、パージ流量Qpが広範囲で変化しても、その広範囲のほぼすべてにわたり仮キャニスタ内圧Pc’を正確に特定することができる。特に、車輌エンジンが高負荷運転状態にあってパージ流量Qpが大となっているときでも、そのときのパージ流量Qpから正しい仮キャニスタ内圧Pc’を求めることができる。つまり、パージ流量Qpが大きくなったり(又は小さくなったり)したときでも、模擬キャニスタ内圧Pcの計算値が実際のキャニスタ内圧から大きく外れることがない。
【0061】
・ 前述のように、圧力センサ32の検出値が検出下限値Lを示している場合(つまりステップ133判定がNOの場合)には、センサの検出値が実際のタンク内圧を反映していないことを慮り、第2カウンタ値C2のデクリメントが回避されるアルゴリズムとした。このため、模擬キャニスタ内圧Pcの変化に対するタンク内圧Ptの追従性又は相関性が現実には存在するにもかかわらず、その追従性や相関性が存在しないとの誤った判定を未然に回避することができる。又、誤判定に至らない場合でも、正しい判定に到達するまでの必要時間が極端に長くなるのを防止することが可能となる。
【0062】
・ 本実施形態では、模擬キャニスタ内圧Pcの変化に対するタンク内圧Ptの追従性の有無、又は、Pc変化とPt変化との間の緊密な相関性の有無に基づいて、診断対象となるバルブ(バイパス制御弁80a)の開異常の存否を診断している。即ち、Ptの絶対的な値とは無関係に、PcとPtとの相対関係のみに着目してバルブの開異常の存否を診断することができる。このように、車輌、エンジン又はタンク内圧Ptが所定の安定状態にあることを診断プロセスに入るための前提条件として求めないため、例えば車輌が悪路を走行中であってもバルブの異常診断を行うことができる。本実施形態によれば、厳格な前提条件の成立に拘束されることなく、頻繁に異常診断を行うことが可能となる。
【0063】
・ 診断対象となるバルブが開異常状態にあると判定する場合でも、模擬キャニスタ内圧Pcの変化動向とタンク内圧Ptの変化動向との間に、統計的に合理的と言える程度の相関性があることを判断の条件としている。つまり、統計的にみて確かであるといえる程度に前記相関率Rが大きい場合にのみ、バルブ開異常の判定を下す。従って、バルブの異常診断の精度や信頼性に優れている。
【0064】
(別例)上記実施形態を次のように変更してもよい。
・ 請求項7に記載の発明に限り、間接的なデータに基づく内圧の推定値である模擬キャニスタ内圧Pcに依拠することなく、キャニスタ40に第2の圧力センサを設けて、キャニスタ内圧を実測する(直接的に検知する)ようにしてもよい。この場合、当該第2の圧力センサがキャニスタ内圧検知手段となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】燃料蒸気パージシステム及びその異常診断装置の概略構成図。
【図2】異常診断に関する電気的構成の概要を示すブロック図。
【図3】パージシステムの漏れ診断の概要を示すタイミングチャート。
【図4】バルブの異常診断手順のフローチャート。
【図5】図4に続くバルブの異常診断手順のフローチャート。
【図6】パージ流量と仮キャニスタ内圧との相関関係を示したグラフ。
【図7】燃料残量となまし係数との対応関係を示唆したグラフ。
【図8】バルブ異常時のキャニスタ内圧とタンク内圧との相関性に関するいくつかのパターンを示すタイミングチャート。
【符号の説明】
10…エンジン、12…吸気通路、12e…エアフローメータ(パージ流量把握手段)、20…燃料蒸気パージシステム、30…燃料タンク、32…圧力センサ(タンク内圧検知手段)、40…キャニスタ、50…ECU(燃料残量把握手段、パージ流量把握手段、キャニスタ内圧検知手段及び診断制御手段)、52…第1カウンタ、53…第2カウンタ、71…パージ通路、72…大気導入通路、80…バイパス通路、80a…バイパス制御弁(診断対象となるバルブ)、C1…第1カウンタの値、C2…第2カウンタの値、K…なまし係数(補正係数)、L…検出下限値、R…相関率。

Claims (7)

  1. 燃料タンク、キャニスタ、前記キャニスタに大気を導入する通路、前記キャニスタからエンジン吸気通路へ燃料蒸気をパージするパージ通路、前記キャニスタと燃料タンクとをつなぐバイパス通路及びそのバイパス通路に設けられたバイパス制御弁を備えてなる燃料蒸気パージシステムに組み込まれる異常診断装置であって、
    前記燃料タンクの内圧を検知するためのタンク内圧検知手段と、
    前記燃料タンクでの燃料残量を把握するための燃料残量把握手段と、
    前記キャニスタからエンジン吸気通路への燃料蒸気のパージ流量を把握するためのパージ流量把握手段と、
    前記タンク内圧検知手段が検知した燃料タンク内圧と、キャニスタ内圧とに基づいて当該燃料蒸気パージシステムの構成要素に異常があるか否かを診断する診断制御手段とを備え、
    前記診断制御手段は、前記燃料残量把握手段が把握した燃料残量に応じて補正係数を可変設定すると共に、この補正係数と前記パージ流量把握手段が把握したパージ流量とに基づいて前記キャニスタ内圧としての模擬キャニスタ内圧を算出する
    ことを特徴とする燃料蒸気パージシステムの異常診断装置。
  2. 前記診断制御手段は、パージ流量と仮キャニスタ内圧との相関関係に関するマップを内部データとして保持しており、そのマップを参照することにより前記パージ流量把握手段が把握したパージ流量から仮キャニスタ内圧を算出し、その算出された仮キャニスタ内圧に前記補正係数を乗算することにより模擬キャニスタ内圧を算出する
    ことを特徴とする請求項1に記載の燃料蒸気パージシステムの異常診断装置。
  3. 前記診断制御手段は、キャニスタを含む該パージシステム全体に吸引負圧を及ぼすと共に前記バイパス制御弁に対し閉弁指令を発した状況の下で、模擬キャニスタ内圧の変化に対して燃料タンク内圧の有意な追従が統計的に認められる場合に、前記バイパス制御弁が開状態で固着する異常を生じているものと判定する
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の燃料蒸気パージシステムの異常診断装置。
  4. 燃料タンク、キャニスタ、前記キャニスタに大気を導入する通路、前記キャニスタからエンジン吸気通路へ燃料蒸気をパージするパージ通路、前記キャニスタと燃料タンクとをつなぐバイパス通路及びそのバイパス通路に設けられたバイパス制御弁を備えてなる燃料蒸気パージシステムに組み込まれる異常診断装置であって、
    前記燃料タンクの内圧を検知するためのタンク内圧検知手段と、
    前記キャニスタからエンジン吸気通路への燃料蒸気のパージ流量を把握するためのパージ流量把握手段と、
    前記タンク内圧検知手段が検知した燃料タンク内圧と、キャニスタ内圧とに基づいて当該燃料蒸気パージシステムの構成要素に異常があるか否かを診断する診断制御手段とを備え、
    前記診断制御手段は、仮キャニスタ内圧がパージ流量の二次関数となるように両者が関連付けられたマップ又は式を内部データとして保持しており、そのマップ又は式を用いて前記パージ流量把握手段が把握したパージ流量から仮キャニスタ内圧を算出し、その算出された仮キャニスタ内圧と補正係数とに基づいて前記キャニスタ内圧としての模擬キャニスタ内圧を算出する
    ことを特徴とする燃料蒸気パージシステムの異常診断装置。
  5. 前記診断制御手段が内部データとして保持しているマップ又は式は、前記バイパス制御弁の開弁時に当該パージシステムに吸引負圧を及ぼした状態で、そのときのパージ流量と、タンク内圧検知手段が検知するタンク内圧との関係を実測して得たデータに基づいて作成されている
    ことを特徴とする請求項4に記載の燃料蒸気パージシステムの異常診断装置。
  6. 前記診断制御手段は、キャニスタを含む該パージシステム全体に吸引負圧を及ぼすと共に前記バイパス制御弁に対し閉弁指令を発した状況の下で、模擬キャニスタ内圧の変化に対して燃料タンク内圧の有意な追従が統計的に認められる場合に、前記バイパス制御弁が開状態で固着する異常を生じているものと判定する
    ことを特徴とする請求項4又は5に記載の燃料蒸気パージシステムの異常診断装置。
  7. 燃料タンク、キャニスタ、前記キャニスタに大気を導入する通路、前記キャニスタからエンジン吸気通路へ燃料蒸気をパージするパージ通路、前記キャニスタと燃料タンクとをつなぐバイパス通路及びそのバイパス通路に設けられたバイパス制御弁を備えてなる燃料蒸気パージシステムに組み込まれる異常診断装置であって、
    前記キャニスタの内圧を検知するためのキャニスタ内圧検知手段と、
    前記燃料タンクの内圧を検知するためのタンク内圧検知手段と、
    キャニスタ内圧の変化回数をカウントするための第1カウンタと、
    燃料タンク内圧の変化回数をカウントするための第2カウンタと、
    前記キャニスタを含む該パージシステム全体に吸引負圧を及ぼすと共に前記バイパス制御弁に対し閉弁指令を発した状況の下で前記二つのカウンタの動作を許容し、前記第2カウンタの値を前記第1カウンタの値で除して得られる相関率が所定の閾値以上となるときに前記バイパス制御弁が開状態で固着する異常を生じているものと判定する診断制御手段とを備えており、
    前記診断制御手段は、燃料タンク内圧の変化量が第1の所定量以上の場合に第2カウンタをインクリメントし、燃料タンク内圧の変化量が第2の所定量未満であり且つそのときの燃料タンク内圧が前記タンク内圧検知手段の検出下限値よりも大きい場合に第2カウンタをデクリメントし、これらインクリメント条件もデクリメント条件も充足しない場合には第2カウンタ値を維持する
    ことを特徴とする燃料蒸気パージシステムの異常診断装置。
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