JP4301464B2 - クランプ式電流計用のボビン及びこれを用いたコアセンサ構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、巻線から引き出されている一方の端部(例えば始端部)と他方の端部(例えば終端部)とが相互に接触して短絡するのを確実に防止できるようにしたクランプ式電流計用のボビン及びこれを用いたコアセンサ構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
図4は、従来からあるクランプ式電流計が備える一対のコアセンサのうち、左側に位置するものを一例として示したものであり、このうち、(イ)は巻線処理を終えて巻線の始端部と終端部とを引き出してリード線に接続した状態を、(ロ)は巻線の始端部と終端部と対応するリード線との接続部位を絶縁テープで隠蔽しリード線を引き出した状態をそれぞれ示す。
【0003】
同図によれば、磁性鋼板を積層させて略円弧状を呈して配置される磁気コア3との間にボビン4を介在させ、該ボビン4にその始端部5aと終端部5bとが基端側から引き出されるようにして巻線5を施すことによりセンサ部2が形成されている。
【0004】
しかも、ボビン4から引き出された巻線5の始端部5aと終端部5bとは、それぞれが細径であるが故に、断線を防止する観点から図4(イ)に示すようにリード線6,7に各別に接続した後、基端側に位置する巻線5に覆設された絶縁テープ6の背面側に沿わせてやや折り返され、それぞれの接続部7a,8aが位置する部位に絶縁テープ9をさらに捲着することにより、図4(ロ)に示すようにリード線7,8のみを外部に引き出した後、図示しないシールドケース内に絶縁した状態で収納することによりコアセンサ1が形成されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来例によれば、絶縁テープ9により接続部7a,8aを隠蔽して断線を防止しながらリード線7,8を引き出すことはできるものの、それぞれの接続部7a,8aが巻線5と直に接触しないようにあらかじめ絶縁テープ6を巻線5上に捲着した上で、さらに絶縁テープ8を巻き付けるといったように絶縁テープ6,9を二層巻きしなければならない作業上の煩雑さがあった。
【0006】
また、絶縁テープ9を巻付ける際には、リード線7,8の接続部7a,8a相互が接触して短絡することのないように引き離した状態に配置してはいるものの、そのために特段の配慮と手腕とが必要になる問題もあった。
【0007】
本発明は従来技術にみられた上記課題に鑑み、巻線の一方の端部(例えば始端部)と他方の端部(例えば終端部)との間の短絡を確実に阻止し、かつ、作業性の向上と単純化にも寄与させることがきるようにしたクランプ式電流計用のボビン及びこれを用いたコアセンサ構造を提供することにその目的がある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成すべくなされたものであり、そのうち、本発明に係るボビンの構成上の特徴は、対となって対向配置される磁気コアのそれぞれに各別に覆設して巻線を施すべく嵌合自在に二つ割りされ、かつ、その嵌合時にそれぞれの基端側と先端側とにフランジ部を形成し得る突縁部を具備させた一側ボビン部と他側ボビン部とからなるクランプ式電流計用のボビンにおいて、一側ボビン部と他側ボビン部とのいずれか一方がその基端側に備える前記突縁部には、二枚のガイド舌片を外周方向へと倒伏自在に突設するとともに、これらのガイド舌片をボビンの背面側に倒伏させた際に内側に位置するガイド舌片には相互に離間させた少なくとも2個の通孔を、外側に位置するガイド舌片には少なくとも1個の通孔をそれぞれ穿設して巻線から引き出されている一方の端部と他方の端部との隔離挿通を自在としたことにある。
【0009】
また、本発明に係るコアセンサ構造の構成上の特徴は、対となって対向配置される磁気コアと、該磁気コアのそれぞれに各別に覆設すべく二つ割りされ、かつ、その嵌合時にそれぞれの基端側と先端側とにフランジ部を形成し得る突縁部を具備させた一側ボビン部と他側ボビン部とからなるボビンと、該ボビンのフランジ部相互間に位置する周面に施された巻線から引き出されている一方の端部と他方の端部とに個別に接続させて基端側から各別に引き出された外部リードとを少なくとも備えてなるクランプ式電流計のコアセンサにおいて、一側ボビン部と他側ボビン部とのいずれか一方がその基端側に備える前記突縁部は、倒伏自在に外周方向へと突設された二枚のガイド舌片を備え、これらのガイド舌片のうち、ボビンの背面側に倒伏させた際に内側に位置するガイド舌片には相互に離間させた少なくとも2個の通孔を、外側に位置するガイド舌片には少なくとも1個の通孔をそれぞれ設け、巻線の一方の端部は、内側に位置するガイド舌片が有する一方の通孔を挿通させて外部に導出し、巻線の他方の端部は、内側に位置するガイド舌片が有する他方の通孔と外側に位置するガイド舌片が有する1の通孔とを挿通させて外部に導出し各別に外部リードに接続するとともに、これらのガイド舌片をボビンの背面側に倒伏させた状態のもとで外部リードの接続部ともども絶縁テープ材で被覆して外部リードを各別に外部に引き出したことにある。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明に係るボビンの一例をその左半分側について示す説明図であり、このうち(イ)は組立前の背面図を、(ロ)は組立後の背面図を、(ニ)は組立後の右側面図をそれぞれ示す。
【0011】
同図によれば、ボビン11の全体は、図1(イ)に示すように二つ割りされて嵌合自在に形成されたポリプロピレンやポリエチレンなどの絶縁性の合成樹脂材からなる例えば略円弧状など、適宜の形状を呈する一側ボビン部15と他側ボビン部18とで構成されている。
【0012】
また、これら一側ボビン部15と他側ボビン部18とを対面合致する配置関係のもとで嵌合させて図1(ロ)に示すように組立てた際には、巻線捲着部14を間に介在させた基端部と終端部とのそれぞれに図1(ハ)に示すようにフランジ部12,13を形成し得る突縁部16,17と突縁部19,20とを有して形成されている。
【0013】
しかも、一側ボビン部15と他側ボビン部18とのいずれか一方、図示例によれば他側ボビン部18の基端側に位置する突縁部19には、適宜長さの二枚のガイド舌片21,22がその外周方向へと向けて倒伏自在に突設されている。この場合、二枚のガイド舌片21,22は、突縁部19の下側に位置する開放縁19a側から一方のガイド舌片21が他方のガイド舌片22より長く、かつ、略V字形を呈する嘴状となるようにして一体に突設するのが好ましい。なお、ガイド舌片21,22は、突縁部19から個々独立した状態のもとで倒伏自在に突設することもできる。
【0014】
また、これらのガイド舌片21,22のうち、ボビン11の背面11a側に倒伏させた際に内側に位置するガイド舌片21には、相互に離間させた少なくとも2個の通孔21a,21bが、外側に位置するガイド舌片22には、少なくとも1個の通孔22aがそれぞれ穿設されている。この場合、一方のガイド舌片21の通孔21a,21bは、図示例のように縦列方向に適宜長さをおいて離間させて設けることができるほか、横列方向に離間させたり、斜め方向に離間させたりして設けるものであってもよい。また、他方のガイド舌片22の通孔22aは、ボビン11の背面11a側に倒伏させた際に一方のガイド舌片21の通孔21aと対面合致する位置関係のもとで形成するのが望ましい。
【0015】
次に、上記ボビン11を用いてなる本発明に係るコアセンサ構造につき、図2(イ)〜(ハ)としてその組立工程を示す説明図を参酌しながら該ボビン11の作用とともに説明する。
【0016】
すなわち、本発明に係るコアセンサは、対となって対向配置される磁気コア33と、上記した構造を備えるボビン11と、該ボビン11のフランジ部12,13相互間に位置する巻線捲着部14の周面に施された巻線36から引き出されている一方の端部である例えば始端部36aと、他方の端部である例えば終端部36bとに個別に接続させて基端側から各別に引き出された外部リード37,38とを少なくとも備えて形成されている。
【0017】
この場合、磁気コア33は、基端噛合部34と先端噛合部35とを残してボビン11内に収容されており、これら基端噛合部34と先端噛合部35とは、図示しない他方の磁気コアが備える先端噛合部と基端噛合部との間で相互に櫛歯状となって噛合できるようになっている。
【0018】
また、巻線36は、ボビン11のフランジ部12,13相互間に位置する巻線捲着部14の周面にその一方の端部(例えば始端部)36aをボビン11の基端側からあらかじめ引き出した状態のもとで施されるものであり、巻き上げた先端側から単に基端側へと、もしくは一往復以上の巻線処理を施した後にその他方の端部(例えば終端部)36bを基端側から引き出すことにより、図2(イ)に示す状態となってその処理を終了する。
【0019】
このようにして引き出された巻線36の一方の端部36aと他方の端部36bとは、一方の端部36aの側がガイド舌片21の通孔21aとガイド舌片22の通孔22aとに挿通され、他方の端部36bの側がガイド舌片21の通孔21bに挿通されてそれぞれが外部へと導出される。なお、この場合、必要によりガイド舌片21の通孔21aとガイド舌片22の通孔22aとには巻線36の他方の端部(例えば終端部)36bの側を、ガイド舌片21の通孔21bには巻線36の一方の端部(例えば始端部)36aの側を挿通するものであってもよい。
【0020】
次いで、巻線36の他方の端部(例えば終端部)36bは、内側に位置するガイド舌片21をボビン11の背面11a側へと倒伏させた上で外部リード38にその一部を部分的に巻き付けてある程度の余裕を付与しながら半田付けされてなる接続部38aを介して外部リード38の側に接続される。
【0021】
巻線36の他方の端部36bを外部リード38に接続した後は、外側に位置するガイド舌片22を内側のガイド舌片21の側へと倒伏させた上で、巻線36の一方の端部(例えば始端部)36aが外部リード37に部分的に巻き付けてある程度の余裕を付与しながら半田付けされてなる接続部37aを介して外部リード37の側に接続される。これにより、巻線36の一方の端部36aと他方の端部36bとは、図2(ロ)に二点鎖線で囲繞した円形部分と、これを拡大した図3とに示されているように、外部リード37と外部リード38とに各別に接続されることになる。
【0022】
しかる後、巻線36の他方の端部(例えば終端部)36bを含む外部リード38の接続部38aはガイド舌片21とガイド舌片22との間に挟み込み、巻線36の一方の端部(例えば始端部)36aを含む外部リード37の接続部37aはガイド舌片22上にその長さ方向に沿わせて配置する。その上で、絶縁板として機能するように巻線36の側に倒伏させたガイド舌片21,22ともども基端側に位置する巻線36部位の側に絶縁テープ39を巻き付けて外部リード37,38を外部へと各別に引き出すことにより、図2(ハ)に示すセンサ部32が形成されることになる。なお、該センサ部32は、図示しないシールドケース内に絶縁した状態で収納することによりクランプ式電流計のコアセンサ31として用いられることになる。
【0023】
また、このとき、内側に位置するガイド舌片21の長さが外側に位置するガイド舌片22よりも長く形成されている場合には、通孔21bの位置を通孔21aの位置よりも長さ方向での外側に位置させてあっても、巻線36の他方の端部(例えば終端部)36bを含む外部リード38の接続部38aを巻線36の側から確実に隔離して絶縁させることができる。
【0024】
さらに、二枚のガイド舌片21,22が他側ボビン部18に基端側に位置する突縁部19の下縁側に位置する開放縁19aから略V字形を呈する嘴状に突設されている場合には、ボビン11の背面側に位置する巻線36に沿わせて密に倒伏させることができるので、絶縁テープ39も凹凸を少なくして仕上がりよく円滑に巻き付けることができる。
【0025】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、巻線の一方の端部と他方の端部とは、ボビンの基端側に位置するフランジ部の側から突設されている二枚のガイド舌片が有するそれぞれの通孔を挿通させて引き出すことができるので、一方の端部側と他方の端部側とを正しく仕分けることにより、相互を短絡させることなく外部へと確実に導出することがでる。
【0026】
また、ガイド舌片は、これを倒伏させることにより巻線に対する絶縁板として機能させることができるので、外部リードとの接続部が巻線と直に接触することのないように絶縁テープを巻き付けておくという前処理をなくすことができ、作業の簡素化を実現することができる。
【0027】
しかも、巻線の一方の端部と外部リードとの接続部と、他方の端部と外部リードとの接続部とは、二枚のガイド舌片を介して簡単、かつ、確実に隔離させることができるので、外部リードの引出し作業も熟練を要しない程度に単純化することができる。
【0028】
なお、二枚のガイド舌片がボビンのフランジ部の側から略V字形を呈する嘴状に突設されている場合には、ボビンの背面側に位置する巻線に沿わせて密に倒伏させることができるので、絶縁テープもその凹凸を少なくして仕上がりよく円滑に巻き付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るボビンの一例をその左半分側について示すものであり、このうち(イ)は組立前の背面図を、(ロ)は組立後の背面図を、(ニ)は同右側面図をそれぞれ示す。
【図2】本発明に係るコアセンサ構造の一例についての組立工程を示す説明図であり、このうち(イ)は巻線の一方の端部と他方の端部とを引き出した状態を、(ロ)はガイド舌片を介してリード線に巻線の一方の端部と他方の端部とを各別に接続した状態を、(ハ)はガイド舌片を巻線の背面側に倒伏させて絶縁テープを巻き付けてリード線を引き出した状態をそれぞれ示す。
【図3】図2(ロ)における円形囲繞部分を拡大して示す要部説明図。
【図4】従来からあるコアセンサ構造の一例についての組立工程を示す説明図であり、このうち(イ)は引き出された巻線の始端部と終端部とにリード線を各別に接続した状態を、(ロ)は絶縁テープを巻き付けてリード線を引き出した状態をそれぞれ示す。
【符号の説明】
11 ボビン
11a 背面
12,13 フランジ部
14 巻線捲着部
15 一側ボビン部
16,17 突縁部
18 他側ボビン部
19,20 突縁部
20a 開放縁
21,22 ガイド舌片
21a,21b,22a 通孔
31 コアセンサ
32 センサ部
33 磁気コア
34 先端噛合部
35 基端噛合部
36 巻線
36a 一方の端部(始端部)
36b 他方の端部(終端部)
37,38 外部リード
37a,38a 接続部
39 絶縁テープ
Claims (3)
- 対となって対向配置される磁気コアのそれぞれに各別に覆設して巻線を施すべく嵌合自在に二つ割りされ、かつ、その嵌合時にそれぞれの基端側と先端側とにフランジ部を形成し得る突縁部を具備させた一側ボビン部と他側ボビン部とからなるクランプ式電流計用のボビンにおいて、
一側ボビン部と他側ボビン部とのいずれか一方がその基端側に備える前記突縁部には、二枚のガイド舌片を外周方向へと倒伏自在に突設するとともに、これらのガイド舌片をボビンの背面側に倒伏させた際に内側に位置するガイド舌片には相互に離間させた少なくとも2個の通孔を、外側に位置するガイド舌片には少なくとも1個の通孔をそれぞれ穿設して巻線から引き出されている一方の端部と他方の端部との隔離挿通を自在としたことを特徴とするクランプ式電流計用のボビン。 - 前記ガイド舌片は、突縁部の下側に位置する開放縁側から略V字形を呈する嘴状に突設したことを特徴とする請求項1記載のクランプ式電流計用のボビン。
- 対となって対向配置される磁気コアと、該磁気コアのそれぞれに各別に覆設すべく二つ割りされ、かつ、その嵌合時にそれぞれの基端側と先端側とにフランジ部を形成し得る突縁部を具備させた一側ボビン部と他側ボビン部とからなるボビンと、該ボビンのフランジ部相互間に位置する周面に施された巻線から引き出されている一方の端部と他方の端部とに個別に接続させて基端側から各別に引き出された外部リードとを少なくとも備えてなるクランプ式電流計のコアセンサにおいて、
一側ボビン部と他側ボビン部とのいずれか一方がその基端側に備える前記突縁部は、倒伏自在に外周方向へと突設された二枚のガイド舌片を備え、これらのガイド舌片のうち、ボビンの背面側に倒伏させた際に内側に位置するガイド舌片には相互に離間させた少なくとも2個の通孔を、外側に位置するガイド舌片には少なくとも1個の通孔をそれぞれ設け、巻線の一方の端部は、内側に位置するガイド舌片が有する一方の通孔を挿通させて外部に導出し、巻線の他方の端部は、内側に位置するガイド舌片が有する他方の通孔と外側に位置するガイド舌片が有する1の通孔とを挿通させて外部に導出し各別に外部リードに接続するとともに、これらのガイド舌片をボビンの背面側に倒伏させた状態のもとで外部リードの接続部ともども絶縁テープ材で被覆して外部リードを各別に外部に引き出したことを特徴とするクランプ式電流計のコアセンサ構造。
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