JP4300973B2 - 化粧シートの製造方法及び化粧板 - Google Patents

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Description

本発明は、印刷模様層を有する化粧シートの製造方法と、該製造方法に従って製造した化粧シートを木質系、無機系又は金属系の基材上に接着剤を用いて貼り合わせてなる化粧板とに関するものである。
従来、内装扉、クローゼット、キッチン扉、内壁材、家電用表装材などに用いられてきた、化粧板の表面に使用されている化粧シートは、印刷適性が良い、可塑剤添加により硬軟の度合いの調節が可能で用途に合わせた硬さを選択できる、エンボス加工性が良い、ラミネート時の層間の接着強度が強い、切削性が良く、化粧シートを利用した化粧板にルーター加工等の切削加工を施した場合にもバリ・ヒゲ・膜浮き等が目立たない、等々の利点がある、ポリ塩化ビニルシートに木目柄や抽象柄等を印刷した、ポリ塩化ビニル系化粧シートが広く一般的に使用されてきた。
しかしながら、上述のポリ塩化ビニル系化粧シートは、燃焼した場合に有毒なガスが発生する恐れがあり、廃棄物の焼却処理時の人的影響や環境保全への危惧から、ポリ塩化ビニル系化粧シートに代わる、燃焼した場合にも有毒なガスが発生しない材料を用いた化粧シートの開発がユーザーから強く求められている。
そこで近年では、ポリオレフィン系、ポリエチレンテレフタレート系、ポリエステル系、ポリビニルアルコール系、アクリル系などの非ポリ塩化ビニル樹脂や紙などのシートの上に、主に印刷技術を用いて印刷模様層を施し、該印刷模様層を保護する為に、同じく非ポリ塩化ビニル系の透明シートを印刷模様層側に積層する事によって成る非ポリ塩化ビニル系の複層化粧シートが、ポリ塩化ビニル系化粧シートの代替として使用されはじめている。このうち特に、化粧シートに求められる要求品質、即ち耐熱性、耐傷性、適度な柔軟性等を有し、かつ経済性をも鑑みた観点から、ポリプロピレンを主材料とした複層化粧シートが多く用いられている。
しかしながら、ポリプロピレンを主材料としたラミネート法による複層化粧シートにおいては、ポリプロピレン自体が他材料との親和性が良い材料とは言い難く、特に長期間の耐候試験及び耐熱試験後のテストにおいては、積層部の密着強度が低下してしまう問題が生じてしまう。特に、積層部の密着強度を向上させる為に、ポリプロピレンの溶融押出しラミネート時にオゾン処理を施す方法が公知である(特許文献1、2参照)が、一般的な処理条件では、積層部の密着強度の向上効果が十分に得られなかったり、或いは、処理条件の調整により製造直後の剥離強度は無処理の場合より大幅に向上しても、長期にわたる耐候試験や耐熱試験を実施すると、試験後には剥離強度が低下してしまったりすることが問題となっている。
下記は本発明に関連する先行技術文献情報である。
特許第3058023号公報 特許第3089957号公報
本発明は、係る従来技術の欠点に鑑みてなされたもので、主材料としてポリプロピレンを使用した複層化粧シートにおいて、該複層化粧シートの長期にわたる耐候試験及び耐熱試験後の剥離強度低下を抑え、耐久性能を向上させることができる化粧シートの製造方法と、該製造方法に従って製造した化粧シートを木質系、無機系又は金属系の基材上に接着剤を用いて貼り合わせてなる化粧板を得ることを課題とする。
請求項1に記載の本発明は、透明ポリプロピレン樹脂を溶融押出し、その片面にオゾン処理を施してから、該オゾン処理を施した面を、予め印刷模様層が設けられた非ポリ塩化ビニル系材料から成る基材シートの該印刷模様層面に向けて、溶融状態で積層して透明ポリプロピレン樹脂層を形成する化粧シートの製造方法において、オゾン処理量は、オゾン発生機から発生するオゾン濃度をD、オゾン流量をF、オゾン処理を行うシートの幅をW、シートのラインスピードをV、オゾン濃度の減衰率をα、としたとき、
オゾン処理量=α×D×F/(W×V)
上記式を満たし、前記オゾン処理量は、1×10 −6 g/m 〜10×10 −6 g/m の範囲内にあることを特徴とする化粧シートの製造方法である。
請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の製造方法に従って製造した化粧シートを、木質系、無機系又は金属系の基材上に接着剤を用いて貼り合わせてなることを特徴とする化粧板である。
本発明の製造方法に従えば、オゾン処理量を適正化したことにより、常態の剥離強度が高いことは勿論、長期間にわたる耐候試験や耐熱試験の後でも、従来の一般的な処理量で処理した場合よりも高い剥離強度を維持することができる、耐候性、耐熱性を含めた耐久性に優れた化粧シートを得ることができる。
さらに本発明では、ポリ塩化ビニル樹脂を一切使用していないため、環境問題の心配のない化粧シートを得ることができるという利点も併せ持つ。
以下に図面を参照しながら、本発明の化粧シートの製造方法及び該製造方法により製造される化粧シートの構成を説明するが、本発明は勿論これに限定されるものではない。
本発明における化粧シートの製造方法は図1に示すようなラミネート工程によってなされる。公知の印刷法により印刷模様層を施された非ポリ塩化ビニル系材料からなる基材シート1の表面に、スクリューによって溶融された透明ポリプロピレン樹脂2を、Tダイ3を用いて押出しラミネート法により積層する。この時、化粧シートの表面に凹凸のエンボス模様を施す事で化粧シートの意匠性を高める事を目的として、予め冷却ロール4にエンボス模様を施しておき、押出しラミネートと同時にエンボス加工を行う事も可能である。こうして基材シート1上に溶融状態で積層された透明ポリプロピレン樹脂2は冷却ロール4によって冷却固化され、さらに剥離ロール5で冷却ロール4から剥離する事によって、基材シート1上に透明ポリプロピレン樹脂層7が積層された複層構成の化粧シートを得る事ができる。
ここで、ラミネートを行う直前に、溶融状態でTダイ3から押し出された透明ポリプロピレン樹脂2と基材シート1との積層部分に、オゾン吹き付け口6からオゾンガスを吹き付けることにより、溶融した透明ポリプロピレン樹脂2の表面の酸化度が増して活性化し、積層後の密着力向上効果が得られる事は公知の技術である(前掲の特許文献1、2参照)。しかし、過剰なオゾン処理を行うと、オゾンにより溶融した透明ポリプロピレン樹脂2の表面の酸化が過剰に行われ、表層で樹脂が劣化してしまう。その結果、化粧シート製造後の剥離強度測定時に積層界面の劣化した透明ポリプロピレン樹脂層7で剥離が生じてしまい、所望の強度が得られない事がある。また仮に希望する強度が得られていたとしても、その後の化粧シートの実使用環境下での紫外線や熱などの影響により、オゾン処理された樹脂表層の劣化が更に進行する為、剥離強度の低下やラミネート層間での浮きや剥がれが比較的早期に発生してしまうことがある。
また同じオゾン処理量であっても、押出しラミネートする樹脂の種類によって、表層劣化の程度は異なる。化粧シートに使用される非ポリ塩化ビニル系樹脂として広範囲に使用されているポリプロピレン樹脂は、それ以外に化粧シートの材料として比較的良く使用されるポリエチレンやアクリルなどの樹脂と比べて、オゾン処理による表層の劣化を起こし易い傾向がある。それゆえ最適なオゾン処理条件は、押出しラミネートに使用する材料に合わせて適宜定める必要がある。
オゾン処理は、オゾン発生機より発生したオゾンを吹き付ける事により行われるが、オゾン自体は通常の環境下においては非常に不安定であり、発生機から配管やオゾン吹き付け口6を通ってラミネート面に届くまでの間に、オゾン濃度の減衰が生じる。減衰の度合いは環境条件に加えて配管の長さの影響も受ける為、オゾン濃度の数値管理を行う際には、リアルタイムでオゾン処理部付近のオゾン濃度を測定するか、それが不可能であれば、予めオゾン発生機の出力濃度を変更しながらオゾン処理部にできるだけ近い場所でのオゾン濃度の測定を行っておき、その測定データから得られるオゾン濃度の減衰率を予め把握しておくことが望ましい。
オゾン処理量の数値化においては、オゾン発生機から発生するオゾン濃度をD、オゾン流量をF、オゾン処理を行うシートの幅をW、シートのラインスピードをV、オゾン濃度の減衰率をα、とした時に、α×D×F/(W×V)によって算出される値をオゾン処理量として管理するとよい。もしオゾン処理部近傍でのオゾン濃度の測定が可能であれば、そのオゾン濃度をD′として、D′×F/(W×V)によりオゾン処理量を規定し、管理を行った方が良い。オゾン処理を行うシートの幅やラインスピードを変更する場合には、オゾン濃度及びオゾン流量の調整によって、オゾン処理量を調整すれば、一定のオゾン処理状態を保つ事ができる。
オゾン処理の対象となる透明ポリプロピレン樹脂2には、物性向上のために各種の添加剤が加えられる。特に化粧シート用途においては、耐久性向上、特に耐候性を向上させる為に、透明ポリプロピレン樹脂層5へ紫外線吸収剤及び光安定剤等の添加は必須条件であり、これら添加剤の作用により、実使用環境下での紫外線起因によるオゾン処理された樹脂表層の劣化の進行を遅らせる事が可能になる。
添加される紫外線吸収剤は、所望する紫外線吸収効果を有する範囲内で、かつ化粧シートの耐候性以外の特性に大きな影響を与えない範囲であれば、特にその成分や添加量に制限はないが、例えば、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル)−ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール等のトリアジン系紫外線吸収剤、酸化セリウム、酸化チタン等の無機系紫外線吸収剤等の中から1種あるいは2種以上を任意に組み合わせて添加することが可能である。
光安定剤も所望する紫外線吸収効果を有する範囲内で、かつ化粧シートの耐候性以外の特性に大きな影響を与えない範囲であれば、特にその成分や添加量に制限はない。例えばコハク酸ジメチル・1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)イミノ}]、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン・2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート等のヒンダードアミン系光安定剤、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−T−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート系光安定剤、ビス−(2,2,6,6−テトラメチル−1−(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル)エステル等のアミノエーテル型光安定剤等から1種あるいは2種以上を任意に組み合わせて使用することができる。
その他にも化粧シートの耐久性向上や機能性付与の為に、必要に応じて、熱安定剤、難燃剤、ブロッキング防止剤等が添加される。熱安定剤は、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)]プロピオネート、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌル酸等のヒンダードフェノール系酸化防止剤、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)等のフェノール系酸化防止剤、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイトに代表される燐系酸化防止剤等の中から1種、あるいは2種以上組み合わせて使用可能である。
難燃剤としては水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の無機系化合物や燐酸エステル系の難燃剤等があるが、特に成分に限定は無い。但し、環境を考慮した非ポリ塩化ビニル系化粧シートであるから、ハロゲン系の難燃剤の使用は差し控える必要がある。
ブロッキング防止剤は珪酸アルミニウム、酸化珪素、ハイドロタルサイト、炭酸カルシウム等の無機系ブロッキング防止剤、脂肪酸アミドのような有機系ブロッキング防止剤等が任意に添加される。
更には、化粧シートの耐候性試験後のラミネート層間強度を更に向上させる他、意匠性向上や印刷模様層の保護、耐摩耗性、耐薬品性、耐傷性等の向上に加え、化粧シートに所定の艶を持たせる事を目的に、化粧シートの透明ポリプロピレン樹脂層7側の最表層部への表面保護層の積層は、広く一般的に行われている。表面保護層の材質は、前記の諸物性に加えて、透明ポリプロピレン樹脂層7との密着性等が十分にあれば、特に規定されるものではないが、紫外線吸収剤や光安定剤の添加により耐候処方を施した、ポリウレタン系の樹脂が特に好適に用いられる。また耐候性能は表面保護層の厚みにほぼ比例し、表面保護層が厚い程、剥離強度を含む耐候性能は高くなる傾向にあるが、化粧シートとしての要求性能や意匠性、経済性などを考慮しながら、3〜30μmの厚み範囲内で適宜選定する事が望ましい。
本発明者らは、上記のような製造方法に則り、望ましくは紫外線吸収剤や光安定剤等を適宜添加して耐候処方を施した透明ポリプロピレン樹脂2を、印刷模様層を有した非ポリ塩化ビニル系材料からなる基材シート1表面に押出しラミネートする際に、該透明ポリプロピレン樹脂2に施すオゾン処理量を1〜10×10−6g/mの範囲内にする事で、更に望ましくは透明ポリプロピレン樹脂層7上に紫外線吸収剤や光安定剤の添加により耐候処方を施した表面保護層を積層する事で、常態時及び紫外線や熱の影響を受けた後の剥離強度の低下が最低限に抑えられる事を見出した。10×10−6g/m以上のオゾン処理量では、常態における剥離強度は十分に発現するが、紫外線や熱の影響を受けた後には、剥離強度の低下が著しい。また1×10−6g/m以下のオゾン処理量では、酸化処理量不足により常態強度が発現しない。
更には、上記の化粧シートにおける透明ポリプロピレン樹脂層7が、耐候処方を施した無変性のポリプロピレン樹脂と、マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂との共押出しによって、基材シート1側にマレイン酸変性ポリプロピレン樹脂が来るような層構成にすることで、更なる剥離強度の向上効果が得られる事を見出した。
マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂としては、三井化学株式会社製のアドマー、三菱化学株式会社製のモディックなどが上市されており、これらの中からラミネート用途に適したポリプロピレングレードの樹脂を適宜に用いれば良い。マレイン酸変性樹脂のベースとなる材料としては、ポリプロピレン樹脂の他にポリエチレン樹脂やエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体樹脂などが一般的であるが、これらの樹脂を使用すると、耐熱性、特に80℃以上の熱がかかった場合に、無変性のポリプロピレン樹脂とマレイン酸変性樹脂との共押出し界面の密着性能が低下してしまい、剥離強度が著しく低下してしまう。
近年の無溶剤化が求められる時流の中では、化粧シートを木質系、無機系又は金属系の基材上に貼り合わせる際に、反応性ホットメルト接着剤が使用されはじめており、この接着剤を使用する際にはホットメルト接着剤を100〜140℃前後まで加熱し、シート裏面に塗布した後に基材と貼り合わせる方法が採用される事が多い。それゆえ一時的にではあるが高温の熱が化粧シートにかかってしまうので、化粧シートに使用するマレイン酸変性樹脂は、無変性のポリプロピレン樹脂との耐熱接着強度に優れたポリプロピレンベースのものを使用する方が良い。
また、上記の各種添加剤を添加した透明ポリプロピレン樹脂層7と印刷模様層を有した基材シート1との中間に、2液のイソシアネート硬化型のポリウレタン系樹脂からなるアンカーコート層を設ける事で、印刷模様層と透明ポリプロピレン樹脂層との間の密着力が更に向上し、更なる剥離強度の向上効果を得る事が可能になる。
本発明にて得られる化粧シートの意匠感を更に向上させる為に、透明ポリプロピレン樹脂層7への凹陥模様の付与は、広く一般に行われており、その方法としては、通常の熱圧エンボス加工法でよい。但し本発明のような押出しラミネート法を用いる場合には、溶融した透明ポリプロピレン樹脂2を冷却固化させる冷却ロール4の表面に凸状模様を施しておき、押し出された樹脂を冷却ロール4とプレスロールとの間でエンボスして、透明ポリプロピレン樹脂層7の表面に凹陥模様を施す方法を用いると、製造工程を簡素化する事ができ、またエンボス加工形状の自由度や忠実度も増すので好適である。
そのほかに、化粧シートの木質系ボード類、無機系ボード類又は金属板等との密着強度を向上させるために、必要に応じて、基材シート1の裏面にプライマー層を設けても良い。このプライマー層に関しては、基材シート1との十分な密着強度が得られており、且つ積層時の基材シート1と木質系ボード類、無機系ボード類又は金属板等との間でシートの浮き等が発生しなければ、特に限定されるものではないが、ポリウレタン樹脂系のものを使用するのが好適である。
以下、本発明の化粧シートの製造方法の実施例及び比較例により、更に説明を行う。
透明ポリプロピレン樹脂として、フェノール系酸化防止剤を0.2重量%、ヒンダードアミン系光安定剤を0.5重量%、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤を0.5重量%、ブロッキング防止剤を0.2重量%それぞれ添加した、JIS K 6760に規定されるメルトフローレートが18g/10分の透明ホモポリプロピレン樹脂を用いて、これと無水マレイン酸で変性したマレイン酸変性ランダムポリプロピレン樹脂70重量%にエチレン系ゴムを30重量%添加した、メルトフローレートが11g/10分の樹脂とを、グラビア印刷法により一方の面に木目柄印刷模様層を、もう一方の面にポリウレタン樹脂系のプライマー層を印刷した厚み70μm、幅1300mm(=1.3m)のポリプロピレンシートの木目柄印刷模様層側に、透明ホモポリプロピレン樹脂層の厚みを70μm、マレイン酸変性樹脂層の厚みを10μmとして、共押出しラミネート法を用いて、60m/分(=3600m/hr)のライン速度で積層した。更に該マレイン酸変性樹脂と印刷模様層との間の密着力を高める為に、ポリエステルポリオールを主成分とした主剤と、イソシアネート成分としてヘキサメチレンジイソシアネート及びイソホロンジイソシアネートを1:1の割合で混合した硬化剤とを、4:1の割合で混合してなるアンカーコート剤を、厚み約1μmで、印刷模様層面にグラビアコート法を用いて塗布した。さらにラミネート直前に、マレイン酸変性樹脂とアンカーコート層との間に、オゾンガスを吹き出し口近傍でのオゾン濃度3g/Nm、オゾン流量5Nm/hrの量で、吹き出し口幅1300mmのオゾンバーを用いて吹き付けた。この時のオゾン処理量は、以下の式により3.2×10−6g/mと算出される。
オゾン処理量[kg/m]=(オゾン濃度[g/Nm ]×オゾン流量[Nm /hr ])/(材料幅[m]×ラインスピード[m/hr])
こうして得たラミネートシートの透明ホモポリプロピレン樹脂層側の最外表面に、光安定剤と紫外線吸収剤を添加した2液硬化型ウレタン樹脂系表面保護剤を、グラビアコート法を用いて厚み約6μmに塗布して、化粧シートを製造した。
アンカーコート剤の塗布を行わない他は実施例1と同様の方法を用いて化粧シートを製造した。
マレイン酸変性樹脂層を設けず、透明ホモポリプロピレン樹脂層の厚みを80μmとした他は、実施例2と同様の方法を用いて化粧シートを製造した。
[比較例1]
オゾン濃度を10g/Nm、オゾン流量を12Nm/hrにした以外は実施例1と同様の方法を用いて化粧シートを製造した。この時のオゾン処理量は、前掲の式により2.6×10−5g/mと算出される。
[比較例2]
オゾン濃度を1g/Nm、オゾン流量を3Nm/hrにした以外は実施例1と同様の方法を用いて化粧シートを製造した。この時のオゾン処理量は、前掲の式により6.4×10−7g/mと算出される。
実施例1〜3及び比較例1〜2の各製造条件により製造した化粧シートを木質系基材上に貼り合わせて化粧板を作製し、常態での剥離強度の測定を行った。更に該各化粧板を用いて、90℃のオーブンで7日間加熱したサンプルと、ダイプラウィンテス社製のメタルウェザー試験機で照度65mW/cmで5日間に渡り紫外線照射を行ったサンプルを作製し、それぞれに剥離強度の測定を行った。その結果を下記表1に示す。
Figure 0004300973
表1からわかるように、オゾン処理量が適正な範囲内にある実施例1〜3の製造条件で製造した化粧シートを用いた化粧板においては、常態の剥離強度が高いのはもちろん、90℃5日間の加熱試験やメタルウェザー試験機での5日間に渡る耐候性(紫外線照射)試験を行った後も剥離強度の低下は最小限に抑えられている。一方、オゾン処理量を適正範囲よりも増加させた比較例1においては、常態での剥離強度は発現するが、オゾン処理による樹脂の劣化が進行し過ぎているために、加熱試験や耐候性試験を行った後の剥離強度の低下の度合いが実施例1と比較して大きい。またオゾン処理量を適正範囲よりも低減させた比較例2においては、反応に寄与する官能基の数が少ない為に、常態の剥離強度自体が十分には発現しない。また、オゾン処理条件を適正な範囲内にした実施例1〜3の中では、マレイン酸変性樹脂を使用した実施例1及び2が、マレイン酸変性樹脂を使用していない実施例3と比較して、各剥離強度の値が高く、その中でも特に、アンカーコート層を設けてある実施例1の各剥離強度の値が、他の条件の剥離強度と比較して、相対的に最も高い。
本発明による化粧シートの製造方法を示す側断面図。
符号の説明
1…基材シート 2…溶融された透明ポリプロピレン樹脂
3…Tダイ 4…冷却ロール 5…剥離ロール
6…オゾン吹き付け口 7…透明ポリプロピレン樹脂層

Claims (2)

  1. 透明ポリプロピレン樹脂を溶融押出し、その片面にオゾン処理を施してから、該オゾン処理を施した面を、予め印刷模様層が設けられた非ポリ塩化ビニル系材料から成る基材シートの該印刷模様層面に向けて、溶融状態で積層して透明ポリプロピレン樹脂層を形成する化粧シートの製造方法において、
    オゾン処理量は、
    オゾン発生機から発生するオゾン濃度をD、オゾン流量をF、オゾン処理を行うシートの幅をW、シートのラインスピードをV、オゾン濃度の減衰率をα、としたとき、
    オゾン処理量=α×D×F/(W×V)
    上記式を満たし、
    前記オゾン処理量は、1×10 −6 g/m 〜10×10 −6 g/m の範囲内にあること
    を特徴とする化粧シートの製造方法。
  2. 請求項1に記載の製造方法に従って製造した化粧シートを、木質系、無機系又は金属系の基材上に接着剤を用いて貼り合わせてなることを特徴とする化粧板。
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