JP4300612B2 - ガラス繊維用サイズ剤 - Google Patents

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  • Surface Treatment Of Glass Fibres Or Filaments (AREA)
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガラス繊維用サイズ剤に係り、特にガラス繊維織物の焼却脱油工程においてアルデヒドガスの発生を抑制することのできるガラス繊維用サイズ剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガラス繊維織物に供されるサイズ剤とは、ガラス繊維の延伸工程から製織工程までの摩擦、屈曲、衝撃などによるガラス繊維の毛羽立ち、糸切れ、折損などを防止するために使用されるものであり、有機物を主成分とし、水溶性高分子である澱粉、ポリビニルアルコール又は水溶性ウレタンなどを含む水系の形態でガラス繊維に被覆処理されるのが一般的である。
【0003】
ここで、ガラス繊維用サイズ剤には、1次サイズ剤と2次サイズ剤があり、1次サイズ剤とは、溶融ガラスを延伸しガラス繊維として形成した直後に被覆処理されるサイズ剤である。また、2次サイズ剤とは、ガラス繊維を製織しガラス繊維織物にするのに先立ち、必要な場合に経糸にのみ被覆されるサイズ剤である。
【0004】
一方、ガラス繊維を製織したガラス繊維織物はプリント配線板やその他の強化プラスチック製品の補強材として使用される。その際、ガラス繊維織物と樹脂との接着力を強固にする為、シランカップリング剤によりガラス繊維織物を表面処理する。この際、ガラス繊維織物表面にサイズ剤に由来する有機物等が付着していると、シランカップリング剤によるガラス繊維織物と樹脂との接着力が極度に低下する。このため一般に、シランカップリング剤によるガラス繊維織物の表面処理に先立って、ガラス繊維織物を350〜400℃で焼却脱油し、ガラス繊維表面を被覆しているサイズ剤成分である有機物を熱分解し除去する工程が設けられている。
【0005】
ガラス繊維織物の焼却脱油には連続焼却法とバッチ式焼却法がある。連続焼却法はガラス繊維織物を加熱炉の中を通して連続的に数十秒間焼却脱油する方法であるが、焼却除去できる量に限界があり、単独では実施されない。バッチ式焼却法はガラス繊維織物をロール状に巻いて、数十〜百数十時間焼却脱油する方法である。バッチ式焼却法では、ロールの内側が還元雰囲気になり有機物除去のための焼却脱油に長時間を要し、効率が悪いばかりでなくガラス繊維の引張り強度の低下が著しい。そのため、ガラス繊維織物の焼却脱油としては、バッチ式焼却法のみで焼却脱油するダイレクトバッチ式焼却法が一部に採用されるものの、連続焼却法により連続的に有機物を焼却減少させ、次いでバッチ式焼却法により焼却除去する2段階焼却脱油と呼ばれる方法が一般的である。
【0006】
しかしながら、ガラス繊維織物の焼却脱油における焼却温度や焼却時間の工程条件は、臭気の発生を抑制するためよりも、ガラス繊維からの有機物の除去状態と焼却脱油工程におけるコストの関係により決定される。そのため、焼却脱油工程における臭気対策として一般に燃焼法が採用されてはいるものの、臭気発生量に関しては更なる抑制が望まれており、特に、連続焼却法脱油工程及びダイレクトバッチ式焼却法脱油工程における臭気対策は、未だ十分なものといえない。
【0007】
このような臭気問題が生じる理由としては、サイズ剤由来の有機物は、完全燃焼されると臭気の弱い二酸化炭素、水及び窒素酸化物などになるのであるが、不完全燃焼された場合には酸化生成物が刺激性物質になり、その刺激性物質が臭気をひどくしているのではないかという推測がなされている。なお、ガラス繊維織物の焼却脱油工程で用いられる焼却炉から排出されるガスの成分には、一般に、水蒸気、二酸化炭素、窒素酸化物の他、一酸化炭素、カルボン酸、ホルムアルデヒドに代表されるアルデヒドなどのカルボニル化合物などが含まれていると考えられる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記した従来技術の欠点を除くためになされたものであって、その目的とするところは、特定のサイズ剤を用いてガラス繊維の被覆処理を行うことによって、ガラス繊維織物の焼却脱油工程において排出されるガス成分に含まれる刺激性物質、すなわちホルムアルデヒド等のアルデヒドガスの発生量を抑制することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記目的を達成すべく、ガラス繊維の被覆処理に用いるサイズ剤を種々検討した結果、一定の窒素量を有する特定の含窒素化合物を含むサイズ剤を用いると、脱油工程においてアルデヒドガスの発生量を著しく抑制できることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
すなわち本発明は、アミノ基及びイミノ基からなる群から選ばれる少なくとも1種の窒素原子含有基を有する含窒素化合物と被膜形成剤とを含み、含窒素化合物一分子に対する窒素原子の量が10重量%以上であるガラス繊維用サイズ剤である。
【0011】
ここで、上記サイズ剤が1次サイズ剤である場合には、被膜形成剤が澱粉、ポリビニルアルコール又はそれらの混合物であることが好ましく、上記サイズ剤が2次サイズ剤である場合には、被膜形成剤が澱粉、ポリビニルアルコール、水溶性ウレタン又はそれらの混合物であることが好ましい。
【0012】
また、サイズ剤における含窒素化合物の分子量は350以下であることが好ましく、具体的には、含窒素化合物が、尿素、メラミン、ジシアンジアミド及びこれらの誘導体からなる群から選択された少なくとも1種のものであることが好ましい。
【0013】
更に、含窒素化合物の量はサイズ剤全体に対し0.1〜10重量%であることが好ましい。
【0014】
また、本発明のガラス繊維は、上記したいずれかのサイズ剤を被覆処理してガラス繊維としたものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
上述のように、本発明におけるガラス繊維用サイズ剤は、被膜形成剤と特定の含窒素化合物とを含むことを特徴とする。
【0016】
被膜形成剤
本発明における被膜形成剤は、ガラス繊維製造工程において用いられる装置及び機械等に由来するあらゆる屈曲、摩擦からガラス繊維を保護することの出来る化合物であれば特に制限されないが、1次サイズ剤としては澱粉又はポリビニルアルコールを用いることが好ましく、2次サイズ剤としては澱粉、ポリビニルアルコール又は水溶性ウレタンを用いることが好ましい。
【0017】
被膜形成剤における澱粉としては、コーンスターチなどの通常の生澱粉、ハイアミロース型澱粉、酵素変性澱粉、又は酸処理や湿熱処理や酸化処理した澱粉分解物、若しくは架橋化やエステル化やエーテル化やグラフト化などの化学的変性をした澱粉誘導体などを挙げることができる。
【0018】
また、ポリビニルアルコールについては特に限定されず、部分ケン化物、完全ケン化物のいずれでもよい。例えば、重合度500〜2400のものなどが例示できる。
【0019】
更に、水溶性ウレタンとしては、下記に示すような多価アルコール(a)とポリイソシアネート(b)とを反応させた分子量2万〜40万程度の反応物などが例示できる。
(a)ポリエチレングリコール又はポリヒドロキシエチレンヒドロキシプロピレングルコールなどの分子量5000〜20000の多価アルコール
(b)ポリイソシアネート又はヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネートなどの2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート
【0020】
含窒素化合物
本発明のガラス繊維用サイズ剤に用いられる含窒素化合物は、アミノ基及びイミノ基からなる群から選ばれる少なくとも1種の窒素原子含有基を有していることを特徴とする。本発明でいうアミノ基とは−NH2 を、イミノ基とは=NHを意味し、アミノ基及びイミノ基における窒素原子はそれぞれ炭素原子と結合している。なお、イミノ基の場合には窒素原子が同一の炭素原子と二重結合で結合している場合(C=NH)と、2個の別々の炭素原子と結合している場合(C−NH−C)とがある。なお、本発明の含窒素化合物には、分子中にアミノ基のみを有するもの、イミノ基のみを有するものの他に、アミノ基とイミノ基の両方を有するものも含まれる。
【0021】
一般に、ガラス繊維織物に供されるガラス繊維用サイズ剤においては、被膜形成剤である澱粉、ポリビニルアルコール又は水溶性ウレタンの含有量が最も高い。そのため、ガラス繊維織物の焼却脱油工程における排ガスの多くは、ガラス繊維用サイズ剤に含まれる澱粉、ポリビニルアルコール又は水溶性ウレタン等から発生すると考えられている。すなわち、ガラス繊維の被覆処理の為に用いられるサイズ剤(1次サイズ剤、2次サイズ剤)に含まれるアミノ基及び/又はイミノ基がガラス繊維織物の焼却脱油時、サイズ剤の有機物成分から発生したカルボニル化合物のカルボニル基と反応することにより、ホルムアルデヒドに代表されるアルデヒドガスの発生量を抑制していると推定される。
【0022】
また、カルボニル化合物であるアルデヒドガスを効率よく補集するには、発生するカルボニル基の量に対するアミノ基又はイミノ基の比率が高いほど効果がある。そのため、本発明に用いられる含窒素化合物には、その一分子内に10重量%以上、好ましくは20重量%以上、さらに好ましくは40重量%以上の窒素原子を有することが必要である。また、窒素原子量の上限は、含窒素化合物一分子に対し70重量%以下であることが好ましい。
【0023】
本発明における好ましい含窒素化合物としては、第一アミン、第二アミン、第一アミド、第二アミド(イミド)が挙げられ、さらに、含窒素化合物の分子量が大きいとサイズ剤被膜に柔軟性が出てきて被膜性が低下する為、含窒素化合物の分子量は350以下であることが好ましい。
【0024】
<第一アミン>
本発明における第一アミンとは、一般式RNH2 (Rは炭化水素基)で表される化合物をいい、脂肪族(鎖式)アミン(炭化水素基が脂肪族(鎖式)化合物のみであるアミンであり、炭化水素基には二重結合等の多重結合が含まれていてもよい)、芳香族アミン(炭化水素基として少なくとも1つの芳香族化合物を含むアミン)、脂環式アミン(炭化水素基として少なくとも1つの脂環式化合物を含むアミン)のいずれでもよい。また、第一アミンにおける炭化水素基は置換されていてもよく、さらに、炭化水素基の例としてはトリアジンのような複素環化合物等も含まれる。なお、窒素原子が該含窒素化合物一分子に対して10重量%以上となるのであれば、第一アミンに由来の窒素原子の数は1個(モノアミン)でもよく、複数個(ポリアミン)でもよい。
【0025】
ここで、本発明の脂肪族第一アミンの例としては、Rが低級アルキル基、アリル基、プロペニル基等である化合物が含まれ、具体的には、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、アリルアミン等が挙げられる。また、芳香族第一アミンの例としては、アニリン、メチルアニリン、エチルアニリン、トルイジン、ベンジルアミン等が、脂環式第一アミンの例としては、シクロプロピルアミン、シクロブチルアミン、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン等が挙げられる。また、炭化水素基Rとしてトリアジンのような複素環化合物も含まれるため、メラミンのような化合物も例示できる。
【0026】
<第二アミン>
本発明における第二アミンとは一般式R2 NH(Rは炭化水素基)で表され、第一アミン同様、脂肪族アミン、芳香族アミン、脂環式アミンのいずれでもよい。また、炭化水素基は置換されていてもよい点、及び第二アミンに由来の窒素の数が1個でも複数個でもよい点も第一アミンと同様である。第二アミンの例としては、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ジアミルアミン、ジアリルアミン等が挙げられる。
【0027】
また、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジシアンジアミド等のようなアミノ基とイミノ基の両方を含む化合物も本発明の含窒素化合物に含まれる。
【0028】
<第一アミド>
本発明における第一アミドとは、一般式RCO−NH2 で表される化合物であり、例えば、カルボン酸の酸アミド、カルバミン酸の酸アミド等が挙げられる。すなわち、上記式中のRに関しては、第一アミンと同様の炭化水素基の他にアミノ基等も含まれる。第一アミドの具体的な化合物としては、アシルアミン、尿素等を挙げることが出来る。
【0029】
<第二アミド>
本発明における第二アミドとは、一般式RCO−NH−CORで表される化合物であり、式中のRに関しては、第一アミンと同様の炭化水素基の他にアミノ基等も含まれる。第二アミドの例としては、フタル酸アミド等を挙げることができる。
【0030】
上記した含窒素化合物の中でも、特に、尿素(カルバミン酸の酸アミド)、メラミン、ジシアンジアミド及びこれらの誘導体が本発明の含窒素化合物として好ましい。ここで、尿素誘導体としては、メチロール尿素、メチロールメチレンジ尿素及びジメチル尿素等が、メラミン誘導体としては、モノメチロールメラミン、ジメチロールメラミン、トリメチロールメラミン、テトラメチロールメラミン、ペンタメチロールメラミン等が、ジシアンジアミド誘導体としては、ジシアンジアミジン等が好ましい。
【0031】
その他の成分
本発明のガラス繊維用サイズ剤には、ガラス繊維織物に供されるガラス繊維のサイズ剤として一般的に用いられている平滑剤、柔軟剤、乳化剤、防腐剤等が含まれていてもよい。
【0032】
平滑剤とは、ガラス繊維に平滑性を与え、機械上での摩擦を減少させガラス繊維を保護するために添加される成分であり、動植物油に水素添加した硬化油、パラフィンワックス又は高級飽和脂肪酸と高級飽和アルコールの縮合物などの合成油が用いられる。
【0033】
柔軟剤は、硬いガラス繊維を柔軟にし更にガラス繊維同士の摩擦を減少させる為に用いられ、ガラス表面上に選択的に吸着され、かつある程度の潤滑性を示す化合物、例えばテトラエチレンペンタミンとステアリン酸とを反応させて得られるアマイド又はさらに反応が進んだイミダゾリン、もしくは炭素数8から18の脂肪酸と分子量600から1800程度のポリエチレンイミンとを反応させて得られるアミド等が挙げられる。
【0034】
乳化剤は、主に潤滑油の乳化の為に加えられる成分であり、ポリオキシエチレンポリアルキルエーテルなどのアルキルエーテル、アルキルエステル、アルキルフェニルエーテル、ポリエチレンオキサイドとポリプロピレンオキサイドの共重合体、ソルビタンエステル等の界面活性剤が用いられる。また、防腐剤としては、主にホルマリンが用いられる。
【0035】
ガラス繊維用サイズ剤における各成分量
本発明のガラス繊維用サイズ剤における各成分の量は、ガラス繊維の種類及び用途等により適宜決定すればよく、特に限定されない。但し、本発明の含窒素化合物の量は、サイズ剤全量に対して0.1〜10重量%であることが好ましく、より好ましくは1〜8重量%である。0.1重量%未満では焼却脱油の際アルデヒドガス発生を抑制する効果がなく、10重量%を超えるとガラス繊維織物の毛羽立ちの増加や織布時におけるガラス繊維の飛走性の低下が起こることがある。ここで、この「ガラス繊維用サイズ剤」とは液状であって、被膜形成剤、含窒素化合物、平滑剤、潤滑剤等の各成分が水、有機溶媒等に分散・溶解した状態になっている。したがって、ここでいう「サイズ剤全量」とは、被膜形成剤、含窒素化合物、平滑剤、潤滑剤等の各成分の含有量に加え、これ等の成分が分散・溶解する溶媒の量をも含めた、サイズ剤を形成する分散液(溶液)全体の量を表す。なお、上述の平滑剤、柔軟剤、界面活性剤、防腐剤の含有量についてもガラス繊維の用途により適宜選定すればよい。
【0036】
ガラス繊維
通常、ガラス繊維のガラス組成は、Eガラスと呼ばれるアルミナホウ珪酸塩ガラスに属する無アルカリガラスで、主な組成は例えばSiO2 ;52〜56重量%、Al2 3 ;12〜16重量%、CaO;16〜25重量%、MgO;0〜6重量%、B2 O;5〜10重量%、M2 O(MはNa又はK);0〜3重量%である。ガラス繊維に用いられるガラス組成は上記Eガラスの他にDガラス、シリカガラス、石英ガラスと呼ばれるガラス組成などがある。本発明においては、ガラス繊維のガラス組成は用途により選定すればよく特に限定されない。さらに、ガラス繊維織物の組織(平織り、綾織り、朱子織りなど)や織り密度、ガラス繊維の番手や撚り方、及びガラス繊維を構成するガラスフィラメントの形状や太さについても用途により選定すればよく、特に限定しない。
【0037】
サイズ剤のガラス繊維への被覆処理方法
本発明に用いるガラス繊維用サイズ剤の処理液の調製に先立って、含窒素化合物は有機酸又は無機酸で中和しておくことが望ましい。これは柔軟剤としての界面活性剤と反応し沈殿してしまうことを防ぐ為である。ガラス繊維に対する1次サイズ剤及び2次サイズ剤の付着方法に関しては、特に限定されないが、例えば、1次サイズ剤については、サイズ槽にゴムローラーを浸しながら回転させ、このサイズ剤の付いたゴムローラーにガラス繊維を直接接触させて塗布する方法を、2次サイズ剤については、ガラス繊維シートをサイズ槽の中に一旦通して、マングル(ゴムローラー)で絞って余分なサイズ剤をとるという方法などを挙げることができる。また、1次サイズ剤及び2次サイズ剤の付着量についても、ガラス繊維の種類・用途により適宜選択、調整すればよいが、具体的には、1次サイズ剤はガラス繊維重量に対し約0.5〜約2重量%の範囲で、2次サイズ剤はガラス繊維重量に対し約0.5〜約2重量%の範囲で付着させることが好ましい。
【0038】
さらにまた、被覆処理において1次サイズ剤と2次サイズ剤とを併用する場合には、本発明の含窒素化合物を1次サイズ剤又は2次サイズ剤のいずれか一方に含ませても、1次サイズ剤と2次サイズ剤の両方に含ませてもよいが、アルデヒドガスの発生をより効果的に抑制したい場合には、1次サイズ剤と2次サイズ剤の両方に含ませることが望ましい。
【0039】
本発明の課題達成にあたっては、通常と同一の条件でガラス繊維織物の焼却脱油を行えば良く、その条件は被覆処理したガラス繊維織物の種類により適宜選定すればよい。すなわち、焼却温度は350〜450℃が好ましく、また、焼却時間はダイレクトバッチ式焼却法の場合は百数時間が、2段階焼却脱油の場合は連続焼却法で数十秒、バッチ式焼却法で数十時間が好ましい。なお、ガラス繊維の焼却脱油工程における臭気対策として燃焼法(アフターバーナーによる直接燃焼法や接触燃焼法)、ガス吸収法、吸着法、マスキング法、中和法、化学的処理法、微生物処理法などの脱臭方法があるが、本発明はこれらの脱臭方法による臭気対策の併用を妨げない。
【0040】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、ガラス繊維としては、IPC規格7628のガラス繊維織物を用いた。
【0041】
参考例1]
表1の配合1に示される1次サイズ剤で被覆処理し、1次サイズ剤がガラス繊維重量に対し0.9重量%付着したガラス繊維を緯糸とし、さらに表1の配合1に示される2次サイズ剤で前記1次サイズ剤で被覆処理したガラス繊維を被覆処理し、2次サイズ剤がガラス繊維重量に対し1.5重量%付着したガラス繊維を経糸とした。次いで、これらの緯糸及び経糸を高速エアージェット織機により製織して、経糸44本/25mm、緯糸32本/25mmの実施例1のガラス繊維織物を得た。
【0042】
参考例2、実施例1、参考例3および参考例4
表1の配合2〜5に示される1次サイズ剤及び2次サイズを用いて参考例1と同様にガラス繊維を被覆処理し、次いで製織したものを、それぞれ参考例2、実施例1、参考例3および参考例4のガラス繊維織物とした。
【0043】
参考例5、参考例6及び実施例2〜4
表2の配合6〜10に示される1次サイズ剤及び2次サイズ剤を用い参考例1と同様にガラス繊維を被覆処理し、次いで製織したものを、それぞれ参考例5、参考例6、実施例2、実施例3及び実施例4のガラス繊維織物とした。
【0044】
[実施例
表3の配合11に示される1次サイズ剤及び2次サイズ剤を用いて参考例1と同様にガラス繊維を被覆処理し、次いで製織したものを、実施例5のガラス繊維織物とした。
【0045】
[比較例1〜3]
表3の配合12〜14に示される1次サイズ剤及び2次サイズ剤を用いて参考例1と同様にガラス繊維を被覆処理し、次いで製織したものを、それぞれ比較例1〜3のガラス繊維織物とした。
【0046】
【表1】
Figure 0004300612
【0047】
【表2】
Figure 0004300612
【0048】
【表3】
Figure 0004300612
【0049】
上記した各実施例、参考例及び比較例の繊維織物における各種物性を、以下の評価方法によって測定した。
[評価方法]
a)アルデヒドガス発生量:ガラス繊維織物1m2 (209g)を常温から3℃/分の速度で達温400℃まで昇温し焼却脱油し、発生するホルムアルデヒドガスを亜硫酸水素ナトリウム溶液10.0ml中に捕集した。次いで、この溶液2.0mlに8.0mlのクロモトロープ酸溶液(クロモトロープ酸ナトリウム[C104 (OH)2 (SO2 Na)2 ・2H2 O]水溶液に硫酸を混合したもの)を加え供試液とした後、クロモトロープ酸法に従って570μmの吸光度を測定し、アルデヒドガス発生量(濃度:ppm)を求めた。
【0050】
b)製織性
b−1)毛羽立ち性評価:織布後のガラス繊維1000m当たりの毛羽本数を東レ株式会社製毛羽カウンターで測定し、表4の要領により5段階の等級で評価した。
【表4】
Figure 0004300612
【0051】
b−2)飛走性(製織性)評価:ガラス繊維が連続して巻かれているヤーンボビンからガラス繊維を引き出し、エアーノズル中に通した。この状態でのヤーンボビンの重量を測定した後、エアーノズル内に1kgf/cm2 のエアー圧をかけガラス繊維をエアーにより飛走させ(吹き出し)、1分後のヤーンボビンの重量を再度測定した。エアー圧処理前と処理後のヤーンボビン重量の差から、1分間に飛走したガラス繊維の重量を算出し、表5の要領により5段階の等級で評価した。
【表5】
Figure 0004300612
【0052】
[結果]
各実施例、参考例及び比較例のガラス繊維織物の評価結果を表6に示す。なおここで、毛羽立ちの等級及び飛走性(製織性)の等級は、いずれも等級値が小さいほど優れた結果が得られたことを示し、等級3以下であれば通常の条件での作業性に何ら問題にならない。
【0053】
【表6】
Figure 0004300612
【0054】
表6から示されるように、本発明の含窒素化合物を含む1次サイズ剤及び2次サイズ剤でガラス繊維を被覆処理した場合には、ガラス繊維織物の毛羽立ちや織布時におけるガラス繊維の飛走性に何ら影響を及ぼすことなく、焼却脱油工程において排ガスに含まれるホルムアルデヒドに代表されるアルデヒドガスの発生量を著しく抑制することが出来た。
【0055】
なおここで、臭気成分であるアルデヒドガス濃度と臭気の強さとの関係は、ウェーバー=フェッシュナー(Weber=Fechner)の法則に従い、臭気の強さは臭気成分の濃度に依存することが知られている。よって、臭気成分の濃度減少は臭気対策上有効である。
【0056】
【発明の効果】
本発明のガラス繊維用サイズ剤によるガラス繊維の被覆処理は、工程上毛羽立ちの発生や製織性の低下の問題を起こすことなく、該ガラス繊維からなるガラス繊維織物の焼却脱油工程における排ガスに含まれるホルムアルデヒドに代表されるアルデヒドガスの発生量を顕著に抑制できるという効果がある。
【0057】
このように、本発明のガラス繊維用サイズ剤を用いると、現在使用している焼却脱油工程における装置に対し何らの変更及び追加等を行うことなく効率的な脱臭を行うことができるので、ガラス繊維を良好な作業環境の下で効率良く且つ低コストに生産することが可能となる。

Claims (6)

  1. アミノ基及びイミノ基からなる群から選ばれる少なくとも1種の窒素原子含有基を有する含窒素化合物(ただし、尿素を除く)と被膜形成剤(ただし、カルバミン酸エステル化澱粉を除く)とを含み、含窒素化合物一分子に対する窒素原子の量が40重量%以上70重量%以下であり、かつ含窒素化合物の分子量が350以下であるガラス繊維用サイズ剤。
  2. 前記ガラス繊維用サイズ剤が1次サイズ剤であり、被膜形成剤が澱粉(ただし、カルバミン酸エステル化澱粉を除く)、ポリビニルアルコール又はそれらの混合物である、請求項1に記載のサイズ剤。
  3. 前記ガラス繊維用サイズ剤が2次サイズ剤であり、被膜形成剤が澱粉(ただし、カルバミン酸エステル化澱粉を除く)、ポリビニルアルコール、水溶性ウレタン又はそれらの混合物である、請求項1に記載のサイズ剤。
  4. 含窒素化合物が、メラミン、ジシアンジアミド及びこれらの誘導体からなる群から選択された少なくとも1種の化合物である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のサイズ剤。
  5. 含窒素化合物の量がサイズ剤全量に対し0.1〜10重量%である、請求項1〜のいずれか1項に記載のサイズ剤。
  6. 請求項1〜のいずれか1項に記載のサイズ剤を被覆処理してなるガラス繊維。
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