JP4299086B2 - 複合式差動遊星歯車アセンブリ - Google Patents

Description

本発明は概して、複合式差動遊星歯車アセンブリに関し、より詳しくは、第１および第２のリング・ギヤが軸方向スタック内に交互に配置され、リング・ギヤと遊星歯車の間を伝達される荷重がスタックの長さに沿って交互方向に作用するように、各遊星歯車が、第１および第２のリング・ギヤとそれぞれ噛合い係合していて、スタックの長さに沿って一定のギヤ歯断面を有している、改良型の複合式差動遊星歯車アセンブリに関する。

複合式差動遊星歯車列が知られている。元来、これらの装置は中心の太陽歯車と、太陽歯車まわりに回転するように配置された複数の遊星歯車と、遊星歯車に噛合い係合する少なくとも２個の外側リング・ギヤとを含む。このような遊星歯車は、例えばリング・ギヤ間で比較的高いトルクを伝達するために使用され得る。

複合式差動遊星歯車アセンブリは、アクチュエイティングヒンジとして使用されてきた。ある応用例は、翼構造に対して航空機フラップ面を制御することであった。実際、このような従来技術の構成は、太陽歯車を駆動するように、作動配置された入力シャフトと、太陽歯車まわりに回転するように配置された複数の遊星歯車と、遊星歯車に噛合い係合する第１および第２のリング・ギヤとを有する。第１および第２のリング・ギヤは、歯の数が異なり、したがって太陽歯車が回転すると、歯の数が異なるので、一方のリング・ギヤがもう一方のリング・ギヤに対して移動する。この従来技術の構成では、遊星歯車には、係合する相手の特定のリング・ギヤに応じて、ピッチ直径が異なるギヤ歯部分が形成される。この種類の遊星歯車は製造するのに費用がかかる。それは、その軸方向範囲の異なる部分で異なるギヤ歯がホブ切りされなければならないからである。さらに、遊星歯車シャフト上の交互荷重間の軸方向距離が比較的大きいこの構成は、シャフトを湾曲させ、高いトルクを得るためにギヤ歯のクラウニングを必要とする。

その開示の全体をここに参照によって援用した、米国特許第４，９４２，７８１号は、太陽歯車と、複数の遊星歯車と、複数のリング・ギヤとを有する差動遊星歯車アセンブリの一形態を開示している。リング・ギヤの歯の数が異なっている。この特許の図３に示すように、遊星歯車は、２個のリング・ギヤと係合する部分に沿った一定のギヤ歯断面を有する。これは、遊星歯車上の一定の歯ピッチと合うようにリング・ギヤの歯ピッチを変更することによって可能になる。この技術を、以下に述べる発明で利用する。

初めに、同様の参照番号は、いくつかの図面全体を通して同一の構造要素、部分または表面を識別するものであり、このような要素、部分または表面は、この詳細な説明を不可欠な部分とする明細書全体によってさらに記述または説明することができる。別段の指示がない限り、図面は明細書と併せて読むものとし（例えば、平行線模様、複合式の配置、割合、程度など）、本発明の明細書全体の一部と見なすものとする。以下の説明で使用する「水平」、「垂直」、「左」、「右」、「上」および「下」という用語、およびその形容詞派生語および副詞派生語（例えば、「水平に」、「右に」、「上に」など）は、特定の図面が読者に向かっているときの図示した構造の方向を単に指すものである。同様に、「内側に」および「外側に」という用語は全体を通して、その延長軸、または回転軸のどちらか該当する方に対する表面の方向を指す。
（従来技術の歯車アセンブリ（図１））
次に、図面、さらに詳細には図１を参照すると、従来技術の複合式差動遊星歯車アセンブリが全体的に２０で示される。この歯車アセンブリは、太陽歯車２２と、いくつかを２３で示した、複数の遊星歯車と、第１および第２のリング・ギヤ２４、２５とを備える水平方向に延びた中心シャフト２１を有する。

シャフト２１は、適当な機構（図示せず）によって軸線ｘ−ｘまわりに選択的に回転するように配置される。シャフトはハウジング上に取り付けられ、その左側部分および右側部分が、それぞれ２６、２８で示される。シャフトは、それぞれシャフト部２６とハウジング部２８の間に作動介挿された、そのいくつかを２９で示すベアリングにより、ハウジング上に支承される。シャフトの中心部分は、その上に外側にねじ切りされた太陽歯車２２が形成されている。突起３０が、太陽歯車の両側のシャフトから径方向外側に延びている。これらの突起は、互いにかつ太陽歯車と軸方向に間隔を置いて配置され、太陽歯車に対して軸方向に間隔を置いてセパレータ・リング３１、３１を保持するように働く。

やはり図１を参照すると、各遊星歯車は、水平方向に延び、特別に構成されたシャフト状部材２３として示されている。各遊星歯車は、図では、左側リング・ギヤ２４Ｌと係合するように配置されたあるピッチの直径（Ｄ_１）の左側歯付き部３２Ｌと、中心または第２のリング・ギヤ２５と係合するように配置されたより大きなピッチの直径（Ｄ_２）の中間ギヤ部３３と、右側リング・ギヤ２４Ｒに係合するように配置された、左側歯付き部３２Ｌとほぼ同じピッチの直径（Ｄ_１）の右側歯付き部３２Ｒとを有する。図１では、各遊星歯車は中実部材として示されている。しかし、実際はこれらの歯車は中空となっており、適当な潤滑口などを備える事も出来る。

左側リング・ギヤ２４Ｌは、いくつかの構造物（図示せず）と連結するようになっている、外側に延びた部分３４Ｌを有する特別に構成された環状部材として示されている。左側リング・ギヤ２４Ｌは、保持リング３５およびベアリング３６によりハウジング・セグメント２６Ｌ上に保持される。別の方法では、ロック・ボールを使用することもできる。左側リング・ギヤ２４Ｌは、第２のリング・ギヤ２５と係合するベアリング表面３９Ｌを有する、右側に延びた突起３８Ｌを備えている。左側リング・ギヤ２４Ｌはまた、遊星歯車の歯付き部３２Ｌと噛合い係合する、複数の内側に延びたギヤ歯４０を有する。

右側リング・ギヤ２４Ｒは、実質的に前に述べた構造物の鏡像である。したがって、「Ｌ」ではなく「Ｒ」の接尾辞を付けているが、右側リング・ギヤ２４Ｒ内の対応する構造物を指すのに、同一の参照番号を使用する。

中央のリング・ギヤ２５は、第２のリング・ギヤを他の構造物（図示せず）に連結することができる、取付け穴を備える部分４１を有する。第２のリング・ギヤは、第１のリング・ギヤのベアリング表面３９Ｌに対して支承配置された左側ベアリング表面４２Ｌを有する環状部材として、また右側リング・ギヤのベアリング表面３９Ｒに対して支承配置された第２のベアリング表面４２Ｒを有する。この第２のリング・ギヤはまた、遊星歯車の歯３３に噛合い係合する、いくつかを４３で示した複数のギヤ歯を有する。第１のリング・ギヤ２４Ｌ、２４Ｒおよび第２のリング・ギヤ２５のギヤ歯の数は、互いに異なり、したがって太陽歯車が軸線まわりに回転すると、第１および第２のリング・ギヤの間で角移動が起こる。別の構成では、リング・ギヤは、歯の数が同じでよく、遊星歯車はこれらのリング・ギヤと係合する歯の数が異なっていてもよい。

前に示したように、この従来技術の構成では、種々のリング・ギヤに係合する、異なるピッチの直径の歯部を有するように、遊星歯車を形成する。これは、製造するのに比較的費用がかかる。さらに、リング・ギヤ間で伝達される荷重は、遊星歯車シャフトの中心と端部の間で反対に作用して、遊星歯車シャフトを湾曲させ、歯のクラウニングが必要になる。

したがって、リング・ギヤと噛合い係合する部分に沿ったギヤ歯断面を有する遊星歯車の使用を可能とし、また互い違いのリング・ギヤ・セグメントの長さに沿って荷重を分配する、改良型の複合式差動遊星歯車アセンブリを提供することができれば望ましいであろう。

したがって、本発明の全般的目的は、改良型の複合式差動遊星歯車アセンブリを提供することである。

もう１つの目的は、遊星歯車の湾曲を防ぎ、またそれに付随するギヤ歯のクラウニングの必要をなくすために、スタックに沿って、また互いに噛み合って延びる遊星歯車に沿って荷重を分配させるように、軸方向スタック内に交互に配置された、複数の第１および第２のリング・ギヤ部分を有する改良型の複合式差動遊星歯車アセンブリを提供することである。

もう１つの目的は、各遊星歯車が、第１および第２のリング・ギヤとそれぞれ噛合い係合するこのようなスタックの長さに沿った一定のギヤ歯断面を有している、改良型の複合式差動遊星歯車アセンブリを提供することである。

これらおよびその他の目的および利点は、前述および以下の明細書、図面、および添付の特許請求の範囲から明らかになるだろう。

限定のためではなく、単に例示する目的で、開示する実施例の対応する部品、部分または表面を括弧に入れて参照すると、本発明は広義には、改良型の複合式差動遊星歯車アセンブリ（５０）を提供する。

改良型の歯車アセンブリは大まかに、太陽歯車（５２）と、太陽歯車と係合する複数の遊星歯車（５３）と、複数の第１のリング・ギヤ（５４）と、複数の第２のリング・ギヤ（５５）とを含む。第２のリング・ギヤはそれぞれ、歯の数が第１のリング・ギヤとは異なる。第１および第２のリング・ギヤは、軸方向スタック内に交互に配置される。各遊星歯車は、それぞれ第１および第２のリング・ギヤと噛合い係合する、スタックの長さに沿った一定のギヤ歯断面（６２）を有している。それゆえ、第１および第２のリング・ギヤと遊星歯車の間で伝達される荷重は、スタックの長さに沿って互い違いの方向に分配されて、作用する。

このアセンブリはさらに、スタックの各端部で遊星歯車間に作動配置された、複数のセパレータ・リング（６０）を備える。リング・ギヤはそれぞれ、スタック内の隣接するリング・ギヤに向かって延びる環状ベアリング舌片（６５）を有しており、この隣接するリング・ギヤはこのような舌片を受ける環状ベアリング溝（６６）を有する。ハウジングは環状ベアリング舌片を備えることができ、ハウジングに隣接して配置されたリング・ギヤはこのようなハウジング舌片を受けるようになっている環状ベアリング溝を備えることができる。ハウジングはまた環状ベアリング溝を備えることが出来、したがってそのハウジングに隣接して配置されたリング・ギヤがこのようなハウジング溝内に延びるようになっている環状ベアリング舌片を有することになる。複数の第１のリング・ギヤは、複数の第２のリング・ギヤと異なっていてもよい。

（改良型の歯車アセンブリ（図２））
次に図２を参照すると、改良型の複合式差動遊星歯車アセンブリが全体的に５０で示されている。この構成は、図では、太陽歯車５２を備える中心シャフト５１と、いくつかを５３で示した複数の遊星歯車５３と、それぞれ長さＬの軸方向スタック内に交互に連続して配置された複数の第１および第２のリング・ギヤ・セグメント５４、５５とを有する。シャフトは、左側部５６および右側部５８を有するハウジング内に取り付けられている。シャフトは、ベアリング５９、５９によりそれぞれハウジング・セグメント内で軸線ｘ−ｘまわりに回転するように取り付けられている。セパレータ・リング６０が、スタックの各端部においていくつかの遊星歯車間に作動可能に配置されている。

この改良型の実施例では、遊星歯車は、リング・ギヤと係合するスタックの長さに沿った一定のギヤ歯断面６２を備える水平に延びたシャフト状部材として示されている。したがって、ピッチ直径（Ｄ_１）は同じである。

各リング・ギヤ５４は、リング・ギヤをそれにより他の構造物に取り付けることができる取付け穴を含む、部分６３を有する。各リング・ギヤ５４は、遊星歯車の歯６２に噛合い係合する内側に延びるギヤ歯６４を有する環状部材である。各リング・ギヤ５４は、すぐ右側に隣接するリング・ギヤに向かって延びる環状ベアリング舌片６５、および隣接する構造物の舌片を受けるようになっている左側に向いた環状ベアリング溝６６を有する。

リング・ギヤ５５はリング・ギヤ５４と実質的に同じであるが、好ましい実施例では、リング・ギヤ５４に対して１８０°位相がずれて配置されている。また、リング・ギヤ５５は、遊星歯車の歯６２に噛合い係合する歯６８を有する。リング・ギヤ５５の歯の数は、リング・ギヤ５４の歯の数と異なり、それぞれの歯ピッチは、遊星歯車の共通歯ピッチと合うように修整される。

したがって、改良型の複合式差動遊星歯車アセンブリは広義には、太陽歯車と、太陽歯車に係合する複数の遊星歯車と、複数の第１のリング・ギヤと、複数の第２のリング・ギヤとを含んでいる。第２のリング・ギヤはそれぞれ、歯の数が第１のリング・ギヤとは異なる。第１および第２のリング・ギヤは、スタックの長さに沿って第１および第２のリング・ギヤと遊星歯車の間で伝達される交番荷重を分配するように、軸方向スタック内に交互に配置される。この分配により、遊星歯車の湾曲が減り、歯のクラウニングの必要がなくなる。各遊星歯車は、スタックの長さに沿った一定のギヤ歯断面を有しており、このようなギヤ歯部分は第１および第２のリング・ギヤとそれぞれ噛合い係合する。この一定のギヤ歯断面により、遊星歯車の製造コストが削減され、したがってシステムの全体のコストも削減される。

セパレータ・リング６０は遊星歯車とスタックの各端部の間に作動配置される。前に示したように、リング・ギヤはそれぞれ、隣接するリング・ギヤに向かって延びる環状ベアリング舌片６５を有し、隣接するリング・ギヤは、すぐ左側に隣接する舌片を受ける環状ベアリング溝６６を有する。ハウジング・セグメントは、スタックのそれぞれの端部に、最も左側および最も右側にあるリングの溝および舌片をそれぞれ受ける、舌片および溝を有する。好ましい実施例では、第１のリング・ギヤの数は第２のリング・ギヤの数と、好ましくは１つだけ異なっている。しかし、別の構成では、リング・ギヤの数を所望のように修整あるいは変えることができる。

（変形例）
本発明は、多くの変更および改変を加えることができることを企図している。例えば、本発明の構成は、４個の遊星歯車を有する遊星歯車アセンブリを示しているが、異なる数の遊星歯車を使用することもできる。リング・ギヤ・セグメントの特別な構成を、所望のように、特にベアリング舌片および溝の配置に関して変更することができ、あらゆる特定のスタック内の各々の数を変更あるいは改変することもできる。ただし、現時点では、リング・ギヤ・セグメントをスタックの軸上で交互に配置することが好ましい。遊星歯車の構造および構成を所望のように変更することもできる。

したがって、現在好ましい形態の改良型の複合式差動遊星歯車アセンブリを示して説明し、またそのいくつかの変更形態および修整形態を論じてきたが、当業者なら、特許請求の範囲によって定義され、識別される本発明の精神から逸脱することなく、様々な追加の改変および変更を加えることができることが容易に分かるだろう。

太陽歯車と、複数の遊星歯車と、第１および第２のリング・ギヤとを有する従来技術の複合式差動遊星歯車アセンブリの断片垂直断面図である。 必ずしも図１に示す従来技術の構成と同じ縮尺ではないが、軸方向スタック内に配置された互い違いの複数の第１および第２のリング・ギヤを含み、このスタックの長さに沿った一定のギヤ歯断面を有する、複数の遊星歯車を備えるものとして示す改良型の複合式差動遊星歯車アセンブリの断片垂直断面図である。 全体的に図２の線３−３に沿った、改良型の複合式差動遊星歯車アセンブリの部分垂直横断面図である。

Claims (5)

1. 太陽歯車と、
   前記太陽歯車に係合する複数の遊星歯車と、
   前記遊星歯車に係合する複数の第１のリング・ギヤにして、各々が共通の第１の部材に連結されている複数の第１のリング・ギヤと、
   前記遊星歯車に係合する複数の第２のリング・ギヤにして、各々が前記第１のリング・ギヤと異なる歯数を有している複数の第２のリング・ギヤと、
   環状ベアリング舌片と環状ベアリング溝を有するハウジングと
   を備える複合式差動遊星歯車アセンブリであって、
   前記第１および第２のリング・ギヤは軸方向スタック内に交互に、互いに隣接して配置され、
   各遊星歯車は、前記第１および第２のリング・ギヤとそれぞれ噛合い係合する、前記スタックの長さに沿った一定のギヤ歯断面を有しており、
   各リング・ギヤが、隣接するリング・ギヤに向かって延びる環状ベアリング舌片を有し、前記隣接するリング・ギヤが前記環状ベアリング舌片を受け入れる環状ベアリング溝を有しており、
   前記ハウジングに隣接した位置にあるリング・ギヤが、前記ハウジングの前記ベアリング舌片を受け入れる環状ベアリング溝を有し、前記ハウジングに隣接した位置にあるリング・ギヤが、前記ハウジングの前記環状ベアリング溝内に延びるようになっている環状ベアリング舌片を有しており、
   それにより、前記第１および第２のリング・ギヤの間を伝達される荷重が、前記スタックの長さに沿って交互の方向に作用する複合式差動遊星歯車アセンブリ。
2. 前記遊星歯車間に作動配置された少なくとも一つのセパレータ・リングをさらに備える、請求項１に記載の複合式差動遊星歯車アセンブリ。
3. 前記複数の第１のリング・ギヤが複数の第２のリング・ギヤと異なっている、請求項１に記載の複合式差動遊星歯車アセンブリ。
4. 前記第１および第２のリング・ギヤがそれぞれ異なる厚さである、請求項１に記載の複合式差動遊星歯車アセンブリ。
5. 前記第２のリング・ギヤの各々が共通の第２の部材に連結されている、請求項１に記載の複合式差動遊星歯車アセンブリ。