JP4298798B2 - 瘻孔器具 - Google Patents
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Description
本発明は、脱臭フィルターを有する、特に瘻孔バッグ(ostomy bag)を有する瘻孔器具(ostomy appliance)に関する。又、フィルター装置と、特に瘻孔機器、より詳細には瘻孔バッグの脱臭フィルターの入口開口部を覆うための疎水性で疎油性(oleophobic)である膜の使用とに関する。
発明の背景技術
幾つかの胃腸管に関する病気の手術と関連し、多くの場合、患者には、例えば結腸瘻孔、回腸瘻孔、又は尿道瘻孔(urostomy)等の腹部の小孔が、内臓内容物を排出するために腹壁に残される結果となる。腸内ガスを含む内臓内容物の排出は随意に調節することが出来ない。そしてこの目的のために、腸の開口部は、閉鎖手段、例えばタンポン、磁気クロージャー等で閉じられても良い。或いは、患者はこのような開口部からバッグに出てくる物質を集める器具に頼らなければならず、このバッグは後で適当な時に空にされるか、又は捨てられる、或いは、空にされて捨てられる。
体積で測った場合、腸内ガスの排出量は、固体及び液体の便の排出量を何百パーセントも上回る可能性がある。これ故、通常、腸又は収集バッグの連続的な又は頻繁なベントが必要である。普通、流出する腸内ガスは、適切なフィルターで脱臭される。一般に、活性フィルターは、粉末の活性炭であり、この粉末の活性炭が、腸内ガスの臭いの主成分であるH2Sを吸収する。
瘻孔器具のための様々な構成のフィルターが知られている。従来技術においてフィルターは、腸内ガスがフィルターを回避する可能性のあるバイパスがないことを確実にすることによって、腸内ガスの脱臭の高い確実性を得るように構成されている。そして、排出される固体の内臓内容物によってフィルターの入口が閉塞することに対してより高い安全性を得ることに関しては、幾つかの方法が検討されて来ている。フィルターの入口開口部が閉塞した場合、瘻孔器具の中へ排出されたガスは、様々な理由から非常に望ましくないバッグの風船様拡大をもたらす。風船様拡大は、バッグが膨れるため使用者を当惑させ、使用者が容認できない漏れの危険性を増す。新しい瘻孔器具を利用する場合は、バッグ内の真空が「パンケーキ」作用をもたらす可能性があるので、他の問題が発生する可能性がある。即ち、前壁と後壁が貼り付き、分離するのが非常に難しく、バッグ内への内臓内容物の排出を妨げる可能性がある。
フィルターの例が、米国特許第3804091号、同第3952727号、同第3759260号の明細書に記載されている。ここでは、活性炭の粒子がマット状に編まれた繊維(matted fibres)のフィルター本体内に存在し、腸内ガスが様々な経路でフィルターを通過するように、フィルター本体が配置される。しかしながら、これらの明細書で公知になっているフィルターの欠点は、フィルター本体とプラスチック製のガスが透過しないカバーシートとの間を接続する堅固な表面層がないことであり、このためにフィルター本体を通過しないで、従って脱臭されないでフィルターを通るガスの流れが起こる可能性がある。このことは、例えば患者が屈んだ際などに、フィルターが撓む又は曲がる結果として起こる可能性があり、患者が屈むことにより、フィルター本体と壁の1つとの間に、小さな隙間又は経路が形成され得る。
米国特許第4490145号の明細書には、脱臭フィルターを有する瘻孔ポーチ(ostomy pouch)が開示されている。このフィルターは、ポーチの外壁の外側又は内側へ添付され、前記ポーチの壁へ取付けられた高分子物質のフィルムカバーと、例えば上述した種類の1つのガス脱臭物質の挿入物とを有するフィルターエレメントから成る。ポーチの壁は、フィルターエレメントへ入る開口部を有しており、高分子物質のフィルムカバーは、脱臭されたガスを大気にベントするための開口部を有している。2つの開口部は互いから間隔をあけて設けられており、腸内ガスが脱臭物質の挿入物の全長を通過するようにする。米国特許第4490145号の明細書は、フィルターエレメントのためのフィルムカバーと脱臭物質の挿入物との間の積極的なシール接続について開示していないが、この米国特許に従って製造され、市販されている瘻孔ポーチ、「コンバテックス(ConvaTex)」では、脱臭物質の1つの面が外側のポーチの壁にシールされているのに対して、脱臭物質の反対側の面は高分子物質のフィルムカバーにシールされていない。従って、特にフィルターの曲っている場合には、脱臭物質とカバーとの間にはガスが自由に通過可能な空間がある。このことは、腸内ガスが、脱臭物質の厚さ、即ち約1、2mmを真直ぐ横切って通過することが可能であり、次いで上記物質と高分子物質のフィルムカバーとの間で形成される空間を通過することが可能であることを意味する。従って、十分な脱臭を達成することが出来ない。
類似のフィルター構成が、ドイツ実用新案第7525408号に開示されている。ここでは、フィルターエレメントは、ガスの入口及び出口のための開口部を有し、臭気吸収物質を含んでいるフィルターハウジングを有する。臭気吸収物質は、フィルターハウジングの片側に接続されても良く、2つの開口部は可能な限り互いから遠くなるように間隔を開けて設けられる。又、吸収物質の片側だけがハウジングの1つの壁に接続されているので、ガスが、壁と吸収物質との間を通る可能性があり、吸収物質を厚さ方向に真直ぐ通過した分の脱臭効果しか受けない可能性がある。
これらの欠点は、コロプラスト エイエス(Coloplast A/S)による英国特許第1571382号及び欧州特許第0089110号に記載されたフィルターによって克服される。ここでは、プラスチックの壁が、活性炭粒子を含浸させた連続気泡プラスチックで構成されたフィルター本体に接着又はホットシールされている。これらのフィルターは好ましくは、厚さ2〜3mm、直径25〜30mmの円板状に形成され、フィルター物質の中央で、壁の1つに配置される開口部を有し、腸内ガスが、壁の開口部を通って入り、開口部のエッジ部を通ってフィルター物質の中へ流れ、次いでフィルターを通って半径方向に流れて、その円柱状の外側エッジ部を通ってフィルターを出て行くようにする。
これらのフィルターは上手く機能し、特に瘻孔バッグに適する。これらは、フィルター物質内で小さなガス抵抗(gas resistance)を生ずるように、従って圧力降下が低くなるようにされている。上述した米国特許明細書により公知である構成についても同様のことが言える。圧力降下を低くする目的は、バッグが膨張して使用者の衣類の外側で目立ってしまうという明かに避けるべき事態が起こらないことを確実にすることである。
しかしながら、圧力降下が低過ぎると又、問題が生じる可能性がある。第1に、バッグ内のガスの全容量が漏れ出て、滑らかなプラスチックシート材料から成るバッグの壁が、互いに貼り付く可能性があり、又、瘻孔へも貼り付く可能性がある。この事は、瘻孔から大便がバッグの底へ落下することを妨げ、ガス抜き穴又はバッグの穴を詰まらせる危険性を高める可能性がある。この事は、早晩、容認できない膨れをもたらす結果となる。
第2に、速過ぎる流速でフィルターを通ることにより、結果として、フィルターを通過して出て行く腸内ガスへの脱臭効果が無くなってしまう可能性がある。
ポーチの内部でのガスの圧力の突然の低下を避ける問題は、上述の米国特許第4490145号において考慮に入れられており、そこでは、ガス脱臭物質を乾燥した状態に保つため、及びポーチから濾過エレメントの中へ通過可能なガスの速度を制御するために、入口及び/又は出口開口部を気体透過性であり液体不透過性の材料のバリヤー層で覆うことを提案している。しかしながら、上記バリヤー層は、ポーチ自体の幾らかの膨張を生じるだけでなく、ガス脱臭物質の挿入物と挿入物のポーチの壁にシールされていない面との間の拡張を生じる傾向があり、このためにガスが挿入物の長さに沿ってではなく、厚さ方向にだけを通るという上述した傾向を助長する。この事は、次にポーチの内部でのガスの圧力の低下を助長する。
欧州特許第0235928号には、瘻孔バッグ等のためのフィルターが開示されている。このフィルターでは、公知のフィルターより高い圧力降下が起きるが、この圧力降下は、バッグの過度の膨張を生じさせる程大きなものではなく、上述した公知の構成の欠点を克服し、瘻孔バッグ等のためにベントを設ける解決策を提供する。公知のフィルターより圧力降下が高いことにより、バッグが腸内ガスによって適度に膨張されて維持されることが確実になり、この腸内ガスはほぼ連続的に流れ、フィルターの反対側のバッグの壁が、反対の壁へ貼り付かないようにする。患者の衣類の外部からも明かにわかり、心理的な理由から明らかに避けるべきである圧力の上昇が与えられるが、いかなる場合においてもバッグの大きな膨張が生じる程大きなものではない。
欧州特許第0235928号は更に、腸内ガスの供給源に面するようにしたフィルター壁が、好ましくは、フィルター壁に接続されたプラスチックシート材料であって、この接続部の周囲の内側において、腸内ガスの通過のための開口部が設けられている一層のシート状材料によって覆われている場合、フィルターが回腸瘻孔機器との使用に適するようにされることを開示している。適宜に、例えば、幅が0.5〜1mmで長さが数ミリメートルのスリットであっても良いこれらの開口部は、フィルター本体の周囲のエッジの外側に位置しても良い。しかしながら、これらのスリットは、圧力が高い場合には、シート状材料の層を通して気体及び液体が自由に流れるように開口しても良い。変形例では、腸内ガスの供給源に面するようにされた面上に一層の液体吸収物質を有するフィルターハウジングを提供することが提案されている。吸収性物質の面積は、適宜に、フィルター本体の面積と同一であるか、又は多少大きいが、問題となる壁上の位置は、液体で液体吸収物質が飽和することにより、腸内ガスの通過が妨げられるかもしれないので、吸収性物質が脱臭される腸内ガスのための入口開口部を覆わないようにするべきである。更に、フィルターにカバーリングシートと吸収性の材料の層の両方を設けることによって、フィルターを特に回腸瘻孔機器のために有効にすることが提案されている。
欧州特許第0443728号は、フィルターと、フィルターの入口開口部を覆う介在膜とを有する、人体からの排出物を受容するバッグを開示しており、前記介在膜は、気体透過性であるが液体透過性ではない。この膜はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィルムに接着されたポリエステルフィルムを有していても良いということ、及び上記膜は水漏れがないことが示されたということが述べられている。回腸瘻孔からの排出物又は結腸瘻孔からの液体に曝された場合の漏れに対する安全性の記述はない。
英国特許第1571382号は、患者の皮膚と収集バッグとの間で、収集バッグの入口開口部を包囲して位置したベント装置を有する収集バッグを開示している。このベント装置が、気体透過性であって疎水性の材料又は疎水性の連続気泡プラスチック材料で作られたインナーリングを有していても良い。この文献では、上述した問題への解決策を提案していない。
英国特許第2259255号は、柔軟な材料の前壁と後壁を有する体からの排出物用の医療手術用収集バッグ(medico-surgical collection bag)を開示している。後壁はバッグの中への開口部を有している。この開口部によって排出物はバッグへ入ることが可能であって、一方の壁はベントとベントのためのシールとを有しており、シールが開いた時に、前壁が後壁から引き離されることが可能で、その時空気がベントを通して吸い込まれ、バッグ内に閉じ込められるようにする。バッグに閉じ込められた空気は、ベントを閉じている時、入口開口部の領域で前壁を後壁から離した状態に維持する。しかしながら、この方法は、第2の問題、つまり「パンケーキ」に対する解決策のみを提供し、ベントの開口部が閉じられた場合にのみ有効であって、バッグの排出された固体の内臓内容物によるフィルターの入口の閉塞については防止しない。
米国特許第5549587号は、液体を収集する吸収性の材料で製造された気液分離装置を有する瘻孔バッグを開示している。このような解決策は、「パンケーキ」の問題を克服する可能性がある。しかしながら、フィルターの入口開口部へのアクセスが制限されておらず、詰りに対するフィルターの入口開口部の直接的な保護についての教示がない。
米国特許第5342434号は、強化された疎油性及び疎水性を有し、気体透過性のコーティングが施された多孔性膜を開示している。この膜は、ジイソシアネート(diisocyanate)コーティングされたポリテトラフルオロエチレンであっても良く、この膜は、防水性で通気性のある布、及び自動車機関内又はその近傍で使用される電子機器を保護するガスベント又はフィルターに有用であると述べられている。他の有用な用途は、ベントフィルターが必要とされる医療装置であり、又、オイルミストが存在し、ベントフィルターが必要とされる工業用濾過においてであると述べられている。コーティングされた製品は、ペアレンタルドリップボトル(parental drip bottles)において、油又は脂肪性物質がガスベントを詰まらせる場合に、医療用のベントにおけるフィルターとして有用であると述べられている。しかしながら、この文献には、瘻孔収集バッグの内臓内容物によって、瘻孔機具のためのフィルターが濡れることに対する安全性に関しては記載がない。この内容物は、消化器系からの生物学的活性合成物から成る非常に複雑な組成を有している。
米国特許第4490145号には、柔軟な材料の前壁と後壁とを有する瘻孔機具であって、後壁がバッグの中への開口部を有し、この開口部によって排出物がバッグに入ることが可能で、一方の壁が1つ以上のベントを有していて、このベントを通してガスがバッグから漏れ出ても良く、前記ベントを覆うフィルターを有し、前記フィルターが、気体及び液体不透過性の壁の間に配置される多孔性フィルター材料の、細長く、ほぼ平坦なフィルター本体を有していて、これらの壁が本体へ長手方向の側方エッジに沿ってシールされ、ガスの入口及び出口開口部が、フィルター材料に連通して、長手方向の各端部領域に近接して設けられ、両方の気体及び液体不透過性の壁がフィルター本体の上部及び下部表面へシールされ、使用において、ガスが入口開口部から出口開口部へフィルターを長手方向に通って流れるように構成され、上記ガスの流れが前記フィルターエレメントに制限され、入口開口部が水不透過性シートによって覆われている瘻孔機具を開示している。
米国特許第5342434号では、疎水性で疎油性である気体透過性の材料と、ペアレンタルドリップボトル(parental drip bottles)において、油又は脂肪性物質がガスベントを詰まらせる場合における、医療用ベントのフィルターのための上記材料の使用について開示している。更に、コーティングが、油がベントを詰まらせることを防止するので、空気、水蒸気又は内部領域からの他のガスをベントするためのベントとしての使用、及び、油の存在が材料の細孔を詰まらせる傾向がある場合に、周囲の空気流から粒状の不純物を濾過して取り除くベントとしての使用も開示されている。
このように、湿気又は瘻孔収集バッグの内臓内容物の他の液体成分によって引き起こされるフィルター材料の濡れを防止する方法、及び同時にフィルターの詰りを防止する方法は、まだ提案されていない。上記液体は、疎水性表面によって制御されず、フィルター材料の濡れを引き起こし、フィルターの閉塞を導く可能性があり、上述したようなバッグ内の望ましくない圧力の上昇を引き起こす。そして又、フィルターを通した液体の漏れ及び流出(break-through)を導く可能性が有り、患者の衣類を濡らし、又、不快な臭気を放つ可能性がある。更に、瘻孔機具のフィルターの入口開口部の閉塞と、瘻孔機具の「パンケーキ」を効果的に防止する方法の必要性が未だに存在する。
驚くべきことに、フィルター材料が濡れる危険性を低減し、同時に瘻孔機具のフィルターの入口開口部の閉塞の危険性を低減することが可能であることが見出された。更に、同時に「パンケーキ」の問題を克服することと腸内ガスがフィルターをバイパスすることの危険性を最小化することも又、可能である可能性があるということが見出された。
驚くべきことに、フィルターの入口開口部が微孔性の疎油性膜とプレフィルターで覆われる場合、上記の欠点を回避可能であることが見出された。
発明の簡単な説明
本願発明は、柔軟な材料の前壁と後壁とを有したバッグであって、前記後壁はバッグの中への開口部を有し、この開口部を通じて排出物がバッグに入ることが可能となっており、前記前壁が、バッグからのガスの排出を可能とする1つ以上のベントを有して成るバッグと、前記バッグの前壁の内面に取着され、前記1つ以上のベントを覆うフィルター装置とを具備する瘻孔機具において、前記フィルター装置が、多孔性フィルター材料から成り細長く概ね平坦なフィルター本体と、前記フィルター本体の長手方向の側縁、上面および下面に沿ってシールされ、前記フィルター本体を包囲する気体及び液体不透過性の壁と、前記フィルター装置において前記バッグの後壁に対面した前記気体及び液体不透過性の壁に形成されたガス入口開口部と、前記フィルター装置の他方の前記気体及び液体不透過性の壁に形成され、前記バッグの前壁に形成されたベントに流体連通するガス出口開口部とを具備しており、前記ガス入口開口部およびガス出口開口部は、前記フィルター本体の長手方向の各端部領域に近接して該フィルター本体に連通するように前記フィルター装置の気体及び液体不透過性の壁に配置されており、使用に際して、ガスが、前記ガス入口開口部から前記バッグの前壁の前記ベントへ向けて、前記フィルター本体を長手方向に通って流れ次いで前記ガス出口開口部を通って流れるようになっており、該瘻孔機具が、更に、前記フィルター装置の前記ガス入口開口部を覆う疎水性で疎油性である膜と、前記フィルター装置の気体及び液体不透過性の壁のうち前記ガス入口開口部を形成した方の壁の外側面に取着され前記疎水性で疎油性である膜を覆う壁であって、前記バッグからのガスの流入を可能ならしめる開口部を有した壁と、前記疎水性で疎油性である膜と前記壁との間に配設され、前記疎水性で疎油性である膜を覆うフォーム材料とを具備して成る瘻孔機具に関するものである。
【図面の簡単な説明】
本発明は、以下の図面を参照して、より詳細に開示される。
図1は本発明による瘻孔機具の第1の実施形態を示す。
図2は本発明による瘻孔機具の第2の実施形態を示す。
図3は本発明による瘻孔機具の第3の実施形態を示す。
図4は本発明の瘻孔機具の他の実施形態を示す。
図5は本発明の瘻孔機具の他の実施形態を示す。
図6は本発明のフィルター装置の実施形態を示す。
図7は図6の実施形態の矢視線a−aに沿った断面を示す。
図8は入口側から見た本発明によるフィルター装置の実施形態を示す。
図9は図8の実施形態の分解断面図を示す。
図10は入口側から見た本発明によるフィルター装置の他の実施形態を示す。
図11は図10の実施形態の分解断面図を示す。
発明の詳細な説明
第1の態様において、本発明は、柔軟な材料の前壁と後壁とを有する瘻孔機具に関し、後壁はバッグの中への開口部を有し、この開口部によって排出物がバッグに入ることが可能で、一方の壁が1つ以上のベント(3)を有していて、このベントを通してガスがバッグから漏れ出ても良く、前記ベントを覆うフィルターを有し、前記フィルターが、気体及び液体不透過性の壁の間に配置される多孔性フィルター材料の、細長く、ほぼ平坦なフィルター本体(10)を有していて、これらの壁が本体へ長手方向の側方エッジに沿ってシールされ、ガスの入口及び出口開口部が、フィルター材料に連通して、長手方向の各端部領域に近接して設けられ、両方の気体及び液体不透過性の壁がフィルター本体の上部及び下部表面へシールされ、使用において、ガスが入口開口部から出口開口部へフィルターを長手方向に通って流れるように構成され、上記ガスの流れが前記フィルターエレメントに制限され、入口開口部が水不透過性シートによって覆われていて、更に、前記瘻孔機具が、フィルター材料がフィルター装置(4)を構成する気体及び液体不透過性の壁(11、12)の間に配置され、このフィルター装置がフィルターと連通するガス入口(15)及び出口(16)開口部を有し、入口開口部(15)が微孔性の疎水性で疎油性である膜(17)で覆われていることと、フィルター装置(4)の出口開口部(16)とベント(3)が整合していることと、前記膜(17)が、前壁と後壁の間にフォーム材料(5)を配置するための空間を形成すると共にベントの入口開口部を覆っている壁(18)で覆われていることと、壁(18)がフォーム材料を有する空間の中へ導く1つ以上の入口開口部(7、20)を有することとを特徴とする。
本発明による瘻孔機具は、フィルターの入口の閉塞や濡れの危険性、フィルターを通した液体の流出及び瘻孔機具の「パンケーキ」作用の起こる危険性を低減させる。同時に、瘻孔機具に剛性が与えられ、機具の頂部が折り重なり、ベントの入口開口部を閉塞する傾向が避けられるように性能が改善される。従って、この機具は、全ての瘻孔の用途、結腸瘻孔、回腸瘻孔のための使用に大変適したものとなる。
瘻孔機具の1つの実施形態では、フィルターを覆っている疎油性膜が瘻孔機具の壁に、脱臭フィルターの入口開口部の周囲でシールされている。この実施形態は、フィルターが機具の外側に位置している場合に特に適する。
他の態様では、本発明は特に瘻孔機具等に適切な脱臭フィルター装置(9)に関し、フィルターが、気体及び液体不透過性の第1及び第2の壁の間に配置される多孔性フィルター材料の、細長く、ほぼ平坦なフィルター(10)本体を有していて、これらの壁が本体へ長手方向の側方エッジに沿ってシールされ、ガスの入口及び出口開口部が、フィルター材料に連通して、それぞれ第1及び第2の壁の長手方向の各端部領域に近接して設けられ、両方の気体及び液体不透過性の壁がフィルター本体の上部及び下部表面へシールされ、使用において、ガスが入口開口部から出口開口部へフィルターを長手方向に通って流れるように構成され、上記ガスの流れが前記フィルターエレメントに制限され、入口開口部が水不透過性シートによって覆われていて、更に、前記フィルター装置が、フィルターがフィルター装置(4)を構成する気体及び液体不透過性の壁(11、12)の間に組み付けられ、このフィルター装置がフィルターと連通するガス入口(15)及び出口(16)開口部を有していることと、入口開口部(15)が微孔性の疎水性で疎油性である膜(17)で覆われていることと、前記膜(17)が、入口開口部(15)を有する第1の壁(11)へ固定されると共に空間を形成する第3の壁(6、18)で覆われ、フォーム材料(5)が第3の壁と第1の壁との間に配置され、ベントの入口開口部を覆っていることと、第3の壁が、フォーム材料を有する空間へ導く1つ以上の入口開口部(7、20)を有することとを特徴とする。
フィルター装置は好ましくは、両端部に入口開口部を有しており、入口開口部を通ってフィルター装置の中へガスが自由に入り、フィルターを通って、最後には、脱臭されたガスがフィルター及びバッグの出口開口部を通って、自由に出て行くことを確実にする。フィルターパッケージは瘻孔機具の壁の1つに溶接によって固定されても良い。好ましくは、出口開口部は、機具の壁及びフィルターの背面シートを通し、フィルター材料の中へホットニードル等を使用して穴を開けることによって、フィルターパッケージが瘻孔機具の壁へ固定された後にのみ形成される。従って、フィルターパッケージの出口開口部と瘻孔機具の出口開口部との完璧な位置合わせが確実になる。
本発明によるフィルター装置は又、人工瘻を持つ人(ostomate)が煩わされる程の厚さを有することなく、閉塞及び「パンケーキ」に関する従来技術の機具の欠点を克服する。
好ましくは、フィルター装置の壁は、フィルター装置を瘻孔機具に固定するのに適している外側リム又はフランジを残している大きさである。装置は、適切な手段、例えば溶接又は接着によって固定され、シールされても良い。
フィルター装置は、瘻孔機具を作製する従来の方法の適切な段階において、瘻孔機具の壁へ固定されても良い。そして、フィルター装置を固定した後で、例えば、機具の壁及びフィルター装置を通した穴を切り抜く又は穴あけすることによって入口穴を作ることは本発明の範囲内に含まれる。
上記フィルター装置は、瘻孔機具又は回腸瘻孔機具の内部からのフィルターを通る液体の漏洩に対して安全性が改善された、欧州特許第0235928号で開示されている装置の利点を兼備している。
好ましくは、フィルター本体の厚さは0.25から3.0mmであり、入口開口部と出口開口部との間の距離は、最も近いエッジ間で測定した場合に、少なくとも10mmであり、フィルターでの圧力降下によって、より好ましくは30mm、或いはそれ以上である。
フィルターハウジングを共に形成する上述の2つの壁は、通常、瘻孔機器、詳細には瘻孔バッグに関して使用される任意のプラスチックシート材料であっても良い。唯一の条件は、この材料が、少なくとも、好ましくはフィルターが位置する側の領域において、問題となる瘻孔機器が製造されるプラスチック材料と適合性があるべきであるということである。瘻孔バッグの場合には、フィルターは好ましくは、バッグの内部に配置される。例えば、欧州特許第0188376号に記載されたようにタンポンと共に使用される場合、特に図5〜7を参照すると、それは、使用者の身体に面するカバーシートの側面、又は身体から離れたカバーシートの側面に配置されて良い。本発明によるフィルター装置が、使用において身体から離れたバッグ又はカバーシートの側面に配置される時、バッグ又はシートには、腸内ガスがフィルターハウジングの入口開口部へ流れることを可能とする開口部が有り、フィルターがバッグ又はカバーシートの内側に配置される場合には、好ましくはそこに、フィルターハウジングの出口開口部に連通する開口部が存在する。普通、瘻孔バッグ又は他の瘻孔機器への取付けは、ヒートシール、接着又は類似の手段によって行われる。
フィルター本体は、様々な方法で形成されて良く、有利には、高活性炭を含浸された圧縮フォームプラスチック(即ちその細孔内に含んでいる)で構成されても良い。これは、例えば金属塩によって、特に重金属塩によって活性化されても良い。この種の適した材料は、「エルアール96 チャコールインプレグネイティドフォーム(LR96 Charcoal impregnated Foam)」の商品名で、イングランド、ハリファックスのボンディナインダストリアルグリートランド(Bondina Industrial Greetland)により提供されている。他の実施形態では、フィルター本体は活性炭素繊維材料で構成されている。上記炭素繊維材料は、例えば、ピー・エヌ・チェリミソノフ(P.N.Cherimisonoff)とエフ・エラブシュ(F.Elabsh)の「炭素吸収ハンドブック」(1978年)の22章の中のリチャード・ビー・マクネアー(Richard B. Macnair)とギルバート・アロンズ(Gilbert Arons)による論文、「活性炭素繊維を含む吸収性繊維システム」により知られている。
この材料は、例えば「チャコールクロス(Charcoal Cloth)」、「シーテック アクティベイティッドカーボンテキスタイル(C-Tec activated Carbon Textile)」、「アールケーカーボンファイバー(RK Carbon fibres)」という様々な名前で市販用として知られている。これらは、繊維、より糸、又は織布或いは編物から、温度500℃までの不活性雰囲気内で炭素へ熱分解することによって製造され、その後、より高い温度、約1000℃で、例えば二酸化炭素又は過熱蒸気等の酸化性雰囲気内で活性化(細孔と表面領域の形成)される。上記材料は、小さな細孔の構成のため、250から1200m2/gのオーダーの大きな表面積を有している。最新情報によると、熱分解を受けやすい繊維、より糸又は織物は、溶融せずに炭化するポリマーのものである。
シーブゴルマン(Siebe Gorman)のリーフレットには、「シーテックス アクティベイティッドカーボンテキスタイル(C-Tex Activated Carbon Textile)」について、このような材料が、結腸瘻孔バッグのフィルターのために使用されることが述べられているが、詳細については記載されていない。
好ましくは、フィルター材料の表面領域全体は、例えば、接着、ヒートシール又はその他の適切な手段によって壁へシールされ、そのエッジについても、フィルター本体の長手方向の端部に近接する部分を除き、同じことが言える。シールすることが難しい場合があるかもしれないが、例えば炭素繊維材料は、例えば、後に容易にプラスチック壁に熱溶接され得るナイロンの不織繊維のいわゆるホットメルトフィルムによって、表面処理(surface fixed)されても良い。適した材料は、英国のボンディナ(Bondina)の「ワンダーウェッブ(Wonder-Web)」である。
腸内ガスの入口及び脱臭された腸内ガスの出口のためのフィルター本体の部位は、実際問題として最も都合が良いのは、フィルター本体の長手方向の端部のエッジであるが、代替的には、例えば端部のエッジに緊密に接している表面領域部であっても良い。
上述したように、このフィルターは、公知のフィルターの圧力降下よりも大きいが、バッグの望ましくない大きな膨張をもたらす程は大きくない圧力降下を提供すべきである。フィルターの厚さと、可能な幅と、開口部間の距離との相対的大きさを適切に決定することにより、実際問題として、フィルターを介した圧力降下は、フィルター本体が、重金属塩によって高度に活性化された炭素を含浸された圧縮フォームプラスチックを有する種類の場合であって、流量が、ガス又はガス混合物で50ml/分の場合で、少なくとも294Pa(30mm water column)、多くとも1.72kPa(175mm water column)であることが好ましい。フィルター本体が、炭素繊維材料で構成されている場合、圧力降下は一般に幾らか高く、例えば、25ml/分のガス又はガス混合物の流れにおいて、0.74から2.45kPa(75〜250mm water column)である。
実際問題として、フィルター本体及び壁の構成は、変化して良い。1つの有利な実施形態では、腸内ガスの入口及び脱臭された腸内ガスの出口は、外側に隣接する壁又はまさに外側の壁に位置し、フィルター本体の両端のエッジにあって、フィルター本体の長さは少なくとも15mm、好ましくは少なくとも20mmであって、得策であるのは25から50mmである。これにより、腸内ガスは一方の端部エッジを通ってフィルターに入り、脱臭の後、他方から出て行く。2つの開口部がほぼ同一であり、フィルター本体の端部エッジ全体をほぼ横切って延設されているならば、フィルターの活性な断面積を決定するのは、開口部の幅及び厚さではなく、開口部は、フィルターを通る圧力降下を決定することに対して重要な要因ではない。幅が少なくとも約5mm、長さが30mm、厚さが含浸されたフォームプラスチックの場合は約1.5mm、炭素繊維材料の場合は約0.5mmのフィルター本体の場合、好ましい実施形態では、上述した好ましい範囲の圧力降下が得られる。
本発明によると、疎水性シート及び疎油性膜は、別々のユニットであっても良く、又は、それぞれの特性を有する2つの層の積層物を構成しても良い。1つの層は、例えば、疎水性又は疎油性の特性を示すように処理されているガラス繊維で製造されても良い。しかしながら、本発明によると、入口開口部を覆う疎水性シートは又、疎油性であることが好ましい。この好ましい実施形態は、2つの層の第1番目を通過可能な成分が2つの層の間の空間に蓄積されないようにするので、凝固に対し最も高い安全性を示す。
好ましくは疎油性膜は、フィルター装置の壁にシールされ、漏れに対してより高い安全性を有する、より単純なアプリケーションを提供する。好ましくは任意の壁又は層が、膜を壁にヒートシールする時にフィルター装置の壁を壊すのを避けるために脱臭フィルター入口開口部を包囲する。
好ましい実施形態では、入口開口部を覆う疎油性シートは、不織材料の層と、疎油性の特性を提供するように処理されたポリテトラフルオロエチレン材料の層とを有している。上記シートは、疎水性特性及び疎油性特性と、十分な物理的強度及びヒートシール、熱溶接、又は接着のために適した特性を兼備している。
現在の状況においては、「疎油性」という用語は、純水の表面張力(約70mN/m)より低い表面張力、例えば70mN/mより低い、好ましくは15−70mN/mの表面張力を有する液体をはじく表面の特性を有する材料を示すのに使用される。
前壁と後壁との間に配置され、ベントの入口開口部を覆っているフォーム材料は、好ましくは、非吸収性ディスタンスピースにより構成されている。
瘻孔機具のディスタンスピースとしての使用に適するフォーム材料は、瘻孔からの内臓内容物の排出という厳しい環境に耐性が有り、有害物質の遊離を生じない連続気泡フォーム材料である。適する材料の例は、連続気泡ポリエーテルフォーム、又は連続気泡ポリウレタンフォームである。
好ましくはフォーム材料は、1から10mmの厚さ、より好ましくは3から5mmの厚さを有しており、フォーム材料を有する瘻孔機具が、人工瘻を持つ人を煩わせる程の厚さを有することなく、閉塞や「パンケーキ」に関して、従来技術の機具の欠点を克服することを確実にする。
フォーム材料が、それ自体が疎水性であるか、又は疎水性にされているならば、瘻孔からの内臓内容物の排出物に対する駆散作用のために、閉塞の危険性が低減するため特に好ましい。フォーム材料が疎水性にされているか、又はシリコーンコンパウンドでの処理によってより疎水性にされている場合、シリコーンコンパウンドが消泡作用を示すので特に有利である。
本発明の好ましい実施形態では、フォーム材料は又、フィルターの閉塞に対する耐性を更に向上する疎油性にされている。
本発明による瘻孔機具は、結腸瘻孔、回腸瘻孔、尿道瘻孔(urostomy)と関連した使用に適する開放型又は閉止型機具(an open or a closed appliance)であっても良い。それは、ワンピース型機具、又は、身体側瘻孔部材(body side ostomy member)と別体の収集バッグとを有するツーピース型機具であっても良い。別体の収集バッグは、任意の便利な方法、例えば連結リング、又は接着剤を塗ったフランジによって、身体側瘻孔部材へ取付けられても良い。
本発明による瘻孔機具は、この分野において本質的に知られている方法で瘻孔機具の作製に従来から使用されている材料で製造されても良い。
本発明の他の好ましい実施形態によると、カバーリングシートは、ディスタンスピースと、この開口部によって排出物がバッグに入ることが可能なバッグの中への開口部との間に配置され、排出物が多孔性材料へ直接入ることを防止し、閉塞に対する安全性を向上する。
好ましくはカバーリングシートは、閉塞に対する安全性を向上するディスタンスピースを有する空間を形成するように、機具の壁へベント開口部の周囲で固定される。
他の態様では、本発明は、柔軟な材料の前壁と後壁とを有する瘻孔機具の中へ挿入するためのディスタンスピースに関し、この後壁は、バッグの中への開口部を有していて、この開口部によって排出物がバッグへ入ることが可能であり、壁の1つが一つ以上のベントを有し、このベントを通ってガスがバッグから漏れ出ても良く、前記ディスタンスピースは、前壁と後壁との間に配置され、ベントの入口開口部を覆うようにされる。
本発明によるディスタンスピースは、瘻孔機具を製造する際に単純に挿入されても良く、任意に、機具の前壁又は後壁、或いは両方の壁へ、例えば溶接によって固定されても良い。
更に別の態様では、本発明は、柔軟な材料の前壁と後壁とを有する瘻孔機具の中へ挿入するためのディスタンスピースとしての一片のフォーム材料の使用に関し、この後壁は、バッグの中への開口部を有していて、この開口部によって排出物がバッグへ入ることが可能であり、壁の1つが一つ以上のベントを有し、このベントを通ってガスがバッグから漏れ出ても良く、前記ディスタンスピースは、前壁と後壁との間に配置され、ベントの入口開口部を覆う。
本発明の他の好ましい実施態様では、フィルター本体は湾曲した形態を有し、この湾曲した形態が本体の表面へより適合し、より長いフィルターの使用を可能にする。「バナナ形状」を有する上記フィルターは、H2Sの吸収に関してより高い能力を提供し、例えば患者が屈んだ場合等に、フィルターが曲がる又は捩じれる結果として、フィルター本体と壁の1つとの間に小さな隙間又は経路(channels)が形成される危険性を低減する。上記経路は非常に多くの場合、直線状である。
本発明の更に他の実施形態では、瘻孔機具は、ワンピース型の機具により構成されており、このワンピース型の機具は、これを人工瘻を持つ人の腹部へ固定するための接着プレートを有していて、接着プレートは円形ではないが、円形の下部と、より「平坦」である非円形の上部とを有している。接着プレートの上部の非円形部分は、細長い外形を有していても良く、好ましくは卵形又は楕円形である。この実施形態は、接着プレートをバッグの頂部へより近付けて配置することを可能とし、瘻孔機具の頂部の折重なる危険性を低減させて、ベントの閉塞の危険性を低減し、更に、入口穴部をバッグの頂部のより近くに配置しても良いので、バッグの容量を増加する。
好ましくは、この実施形態は又、非円形の瘻孔へより適合するように、同様なほぼ非円形形状を有する切除されている案内部(cutting guide)を有している。他の実施形態では、機具の入口穴部は、非円形、好ましくは卵形であり、バッグをより容易に非円形瘻孔、及び、特に多くの場合、切除を全く必要としない、いわゆる「ループ瘻孔(loop ostomy)」に適合するようにする。
他の態様では、本発明は、瘻孔機器のための、詳細には瘻孔バッグのための脱臭フィルターの入口開口部を覆うための疎水性で疎油性の膜の使用に関する。
図面の詳細な説明
本発明は、図面を参照し、より詳細に開示される。図1は、本発明の開放型瘻孔機具(open ostomy appliance)の実施形態を示しており、この瘻孔機具は、柔軟な材料の前壁及び後壁を有していて、前記後壁はバッグの中への開口部1を有し、この開口部1によって、排出物はバッグに入ることが可能である。開口部は、身体側部材に配置された対応する連結リングに係合するための連結リング2を有している。更に、機具は前壁にベント開口部3を有し、前記ベント開口部はフィルター装置4で覆われ、フィルターの入口は、保護層で覆われた微孔性の疎水性で疎油性の膜によって覆われる。前壁の内側には、フォーム材料の一片5により構成される保護層がある。機具は又、入口開口部とフォーム材料との間に配置されたシート6を有する。
疎水性で疎油性の膜は、フィルター材料が濡れる危険性を低減させ、フォーム材料は、直接的な経路が瘻孔機具の入口開口部を構成していてフィルターの入口開口部が遮られるというような閉塞に対する安全性を向上する。バッグに入る物は、シートによってフィルター装置から離れて案内され、更に、フィルターの入口への経路は、大きな入口面積を有するフォーム材料で満たされ、フィルター自体の狭い入口開口部より閉塞され難い。
図2は、本発明による機具の他の実施形態を示し、参照番号1から6は、図1と同じ意味を有している。この実施形態では、フォーム材料5とシート6は、バッグの入口開口部を覆っていない。シートは、後壁又は前壁へ、閉塞の危険性を低減させるために、例えば接着によって、又は好ましくは溶接によって固定されても良い。
シートは、任意の適切な材料、好ましくは、瘻孔機具の作製のために通常使用される材料であって良い。
図1及び図2に示されている機具は、開放型(open)であり、主として、通常、比較的液状物質を分泌する回腸瘻孔に関して使用する。
図3に示された本発明の実施形態は、閉止型(closed)瘻孔機具である。参照番号1から6は、図1と同じ意味を有している。この実施形態では、フィルターは後壁に固定され、シートは比較的短く、下部エッジの大きい方の部分に沿って後壁へ固定される。この事によりフォーム材料を有する空間又は区画8の中へ導く開口部7が残される。
この実施形態では、閉止型バッグが主として、通常比較的固体物質を分泌する結腸瘻孔のために使用される場合、閉塞の危険性はかなり低減される。
図4、5は、それぞれ近位側から見た、腹部の左側及び右側で使用する、本発明による瘻孔機具の他の実施形態を示している。図4は、機具の壁へ固定される本発明のフィルター装置9を有する本発明の開放型瘻孔機具を示している。この実施形態では、接着プレートは円形ではないが、円形の下部と、非円形の卵形又は楕円形の上部とを有している。図5は、機具の壁へ固定される本発明のフィルター装置9を有する本発明の閉止型瘻孔機具を示す。フィルター装置は、必要に応じて前壁又は後壁へ固定されても良く、好ましくは、本質的に知られている溶接によって壁へ固定される。
図6は、不透過性材料の前方シートと背面シートとを有する本発明によるフィルター装置を示す。フィルターは、端部を開放した状態で、2つのエッジに沿って溶接されているシートの1つに固定される。図7から明かなように、パッケージ内の空間はフォーム材料で満たされている。前方シート及び背面シートは、任意の適切な材料、好ましくは、瘻孔機具の作製に通常使用される材料、又は上記材料へ接着又は溶接されても良い材料であっても良い。
図8、9を参照すると、これらの図は瘻孔機具等のための本発明によるフィルター装置9の実施形態の原理を示しており、フィルター装置は、気体及び液体不透過性の壁11、12の間に配置される多孔性フィルター材料の、細長く、ほぼ平坦なフィルター本体10を有しており、これらの壁11、12は、本体に長手方向の側方エッジ13、14に沿って固定され、ガスの入口15及び出口16開口部が、フィルター材料に連通して、長手方向の各端部領域に近接して設けられ、両方の気体及び液体不透過性の壁が、フィルター本体の上部及び下部表面へシールされていて、使用において、ガスが入口開口部から出口開口部へフィルターを長手方向に通って流れるように構成され、上記ガスの流れが前記フィルターエレメントに制限され、入口開口部が疎水性シート17で覆われていて、このシートは微孔性の疎油性膜である。この微孔性の疎油性膜は、壁18に覆われ、この壁は物理的閉塞を防ぐためにフォーム材料を配置する空間を形成し、フィルターの壁11又は瘻孔機具の任意の層19へ固定される。壁18は、例えばポリオレフィン等の適切なプラスチック材料、例えばポリエチレンから製造されても良く、側方を開放してフィルターの入口の上方及び下方に固定されても良いし、又は、開口部の周囲に固定されても良く、ガスが瘻孔機具から入ることを可能とする入口開口部を有している。
膜17がフィルターの最終組立の前に層19へ固定されても良いので、任意の層19によりフィルター装置の製造が単純化される。層19は、フィルターの範囲を超えて伸び、瘻孔機具の壁へ直接固定されても良い。
図10、11を参照すると、これらの図は、壁18によって形成される空間にフォームを有する、本発明によるフィルター装置9の他の実施形態の原理を示している。この実施形態では、大きな区画が2つの壁18、19によって形成され、これらの壁はそのエッジに沿ってシールされ、前記区画は、フォーム材料5を有している。壁には、瘻孔機具の内部からのガスを通すための1つ以上の開口部20がある。壁19は、壁11へ固定され、入口穴15に連通する穴21を有し、この経路内に疎水性で疎油性の膜が配置され、壁へ固定される。
実験部分
例
本発明によるフィルター装置のフィルター部分の作製
幅7mm、長さ40mm、厚さ2mmのフィルター本体が、4つの層、即ち、エチレン/酢酸ビニルコポリマー(EVA)ホイルと、ポリ二塩化ビニル(PVDC)ホイルと、EVA接着剤(EVA binder)と、塩素化ポリエチレンとEVAのコポリマーとを有する2つのサンドイッチ層の間に配置される。
2つの層は、互いに熱溶接され、ホイル上のEVA層のためにフィルター本体へ固着される。この新しい本体は「フィルターパッケージ」として特徴付けられる。
第3のホイルが、疎水性で疎油性の膜へ熱溶接される。溶接されたホイルと膜は、フィルターパッケージへ溶接される。
次いで、フィルターは、バッグの内側へ熱溶接される。
フィルター装置は、任意の瘻孔機具と共に使用されても良く、又、該当する用途に適すると思われるように、瘻孔機具の内側又は外側、機具の前側又は後ろ側に配置されても良い。
Claims (5)
- 瘻孔機具において、
柔軟な材料の前壁と後壁とを有したバッグであって、前記後壁はバッグの中への開口部(1)を有し、この開口部を通じて排出物がバッグに入ることが可能となっており、前記前壁が、バッグからのガスの排出を可能とする1つ以上のベント(3)を有して成るバッグと、
前記バッグの前壁の内面に取着され、前記1つ以上のベント(3)を覆うフィルター装置(4)とを具備し、
前記フィルター装置が、
多孔性フィルター材料から成り細長く概ね平坦なフィルター本体(10)と、
前記フィルター本体(10)の長手方向の側縁、上面および下面に沿ってシールされ、前記フィルター本体を包囲する気体及び液体不透過性の壁(11、12)と、
前記フィルター装置において前記バッグの後壁に対面した前記気体及び液体不透過性の壁に形成されたガス入口開口部(15)と、
前記フィルター装置の他方の前記気体及び液体不透過性の壁に形成され、前記バッグの前壁に形成されたベント(3)に流体連通するガス出口開口部(16)とを具備しており、
前記ガス入口開口部およびガス出口開口部(15、16)は、前記フィルター本体(10)の長手方向の各端部領域に近接して該フィルター本体に連通するように前記フィルター装置の気体及び液体不透過性の壁(11、12)に配置されており、使用に際して、ガスが、前記ガス入口開口部(15)から前記バッグの前壁の前記ベント(3)へ向けて、前記フィルター本体(10)を長手方向に通って流れ次いで前記ガス出口開口部(16)を通って流れるようになっており、
該瘻孔機具は、更に、
前記フィルター装置(4)の前記ガス入口開口部(15)を覆う疎水性で疎油性である膜(17)と、
前記フィルター装置の気体及び液体不透過性の壁のうち前記ガス入口開口部(15)を形成した方の壁(11)の外側面に取着され前記疎水性で疎油性である膜(17)を覆う壁(18)であって、前記バッグからのガスの流入を可能ならしめる開口部を有した壁(18)と、
前記疎水性で疎油性である膜(17)と前記壁(18)との間に配設され、前記疎水性で疎油性である膜(17)を覆うフォーム材料(5)とを具備して成る瘻孔機具。 - 前記フォーム材料が疎水性にされていることを特徴とする請求項1に記載の瘻孔機具。
- 前記フォーム材料がシリコーン油での処理によって疎水性にされていることを特徴とする請求項2に記載の瘻孔機具。
- 前記フォーム材料が疎油性にされていることを特徴とする請求項2に記載の瘻孔機具。
- 前記フィルター本体が湾曲した形態を有することを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の瘻孔機具。
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