JP4295385B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は空気入りタイヤに関し、詳しくは走行初期から中期、末期までタイヤのウエット操縦安定性(以下、単に操縦性という)及び振動乗り心地性(以下、単に乗り心地性という)に優れた空気入りタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動車の高馬力化、高機能化、高寿命化に伴って、タイヤにも操縦性、乗り心地性を高度に両立し、走行中期、末期に至るまで、これらの性能を維持することが求められている。特に、乗用車タイヤにおいては、バイアスタイヤからラジアルタイヤへ変化し、ラジアルタイヤでも偏平率を82から70、さらに65へと変化させるに伴って、操縦性は大きく向上するが乗り心地性は必ずしも改善されず、この両性能を高度に両立させることが強く要請されている。
【0003】
この解決法の一つとして、タイヤトレッド用の各種ゴム配合剤が検討されているが加硫促進剤に着目すれば、特開昭58−87138号公報では、特定の加硫促進剤と特定の老化防止剤を配合したゴム組成物が耐熱硬化性を改良し、タイヤ走行末期の外観を改善することが開示されているがタイヤの運動性能、乗り心地性については全く検討されていない。また、特開昭56−139542号公報では、特定の加硫促進剤を用いたゴム組成物がゴム練りにおける燒け(スコーチ性)を改良することを開示しているが、タイヤの性能に関しては記載もなく、示唆もない。
【0004】
本発明者らはゴム成分に特定の樹脂系軟化剤又は鉱物油系軟化剤と特定のジチオリン酸化合物系加硫促進剤又はベンゾチアゾール化合物系加硫促進剤(いずれも機能的には再架橋抑制剤)とを含むゴム組成物をトレッド部に用いた空気入りタイヤが走行初期から中期、末期までタイヤのウエット操縦安定性及び振動乗り心地性に優れていることを提案している(特願平9−186888号公報、特願平9−186889号公報)。しかし、この提案における走行末期におけるトレッドゴムの硬化、ヒステリシスロスの低下をさらに十分抑制し、タイヤのウエット操縦安定性及び振動乗り心地性を一層向上することが望まれる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の事実に鑑みてなされたもので、本発明の目的は、走行初期から末期までタイヤの操縦性及び乗り心地性に一層優れた空気入りタイヤを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、トレッドゴムに配合される各種配合剤特に軟化剤に着目し、鋭意検討の結果、下記の手段によって、課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、(1)本発明の空気入りタイヤは、トレッド部を有する空気入りタイヤにおいて、該トレッド部のゴムが、ゴム成分100重量部に対して、軟化剤を20重量部以上含有し、さらに、下記一般式(I)で表されるジチオリン酸金属塩、O,O’−ジアルキルジチオリン酸ジスルフィド及びO,O’−ジアルキルジチオリン酸テトラスルフィドからなる群より選択される少なくとも1種のジチオリン酸化合物系加硫促進剤をゴム成分100重量部に対して、0.2〜5.0重量部、および/または、下記一般式(III)、(IV)、(V)及び(VI)で表される各化合物からなる群より選択される少なくとも1種のベンゾチアゾール化合物系加硫促進剤をゴム成分100重量部に対して、0.5〜5.0重量部を含有し、該軟化剤重量部のうち5重量部以上が重量平均分子量2,000〜100,000の低分子量重合体であるジエン系単独重合体又はビニル芳香族炭化水素−ジエン系共重合体を含み、かつ該軟化剤重量部のうち55重量部以下が該低分子量重合体以外の軟化剤を含むゴム組成物からなることを特徴とする。
【0008】
【化7】
【0009】
(式中、R 1 及びR 2 はそれぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基を表す。このアルキル基は直鎖状、分枝鎖状、環状のいずれでもよい。M 1 はZn原子、Sb原子、Fe原子又はCu原子を表し、nは結合する金属の原子価の数を表す。)
【0010】
【化8】
【0011】
【化9】
【0012】
【化10】
【0013】
【化11】
【0014】
(式中、R 3 及びR 4 はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基を表す。但し、R 3 及びR 4 が同時に水素原子である場合を除く。R 5 は炭素数1〜8のアルキル基、アルケニル基又はシクロアルキル基を表し、R 6 は水素原子又は−N(R 7 )R 8 で表されるアミノ基を表し、R 7 及びR 8 はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数2〜4のアルキル基又はシクロヘキシル基を表す。但し、R 7 及びR 8 が同時に水素原子である場合を除く。R 9 及びR 10 はそれぞれ独立に炭素数1〜8のアルキル基、アルケニル基又はシクロアルキル基を表す。XはZn原子、Cu原子又は>N−R 13 で表されるアミノ基を表し、R 13 は炭素数2〜4のアルキル基又はシクロヘキシル基を表す。R 11 及びR 12 はR 9 と同義である。)
【0015】
(2)前記(1)項において、前記一般式(I) で表されるジチオリン酸金属塩は下記一般式(II)で表されるジチオリン酸化合物系加硫促進剤であることが好ましい。
【0016】
【化12】
【0017】
(式中、M 2 はZn原子又はSb原子を表し、nは結合する金属の原子価の数を表す。)
【0018】
(3)前記(1)項において、前記1項に記載の一般式(III)で表されるベンゾチアゾール化合物系加硫促進剤のR 3 及びR 4 はそれぞれ独立に、水素原子、メチル基、エチル基又はフェニル基である(但し、R 3 及びR 4 が同時に水素原子である場合を除く)ことが好ましい。
(4)前記(1)項において、前記1項に記載の一般式(III)で表されるベンゾチアゾール化合物系加硫促進剤は、ビス−(4−メチルベンゾチアゾリル−2)ジサルファイド、ビス−(5−メチルベンゾチアゾリル−2)ジサルファイド、メルカプト−4−メチルベンゾチアゾール及びメルカプト−5−メチルベンゾチアゾールからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0019】
(5)前記(1)項において、前記1項に記載の一般式(IV)、(V)及び(VI)で表されるベンゾチアゾール化合物系加硫促進剤のアルコキシ基の芳香族単環での位置は4位又は6位であることが好ましい。
【0020】
(6)前記(1)項において、前記1項に記載の一般式(IV)、(V)及び(VI)で表されるベンゾチアゾール化合物系加硫促進剤のアルコキシ基の芳香族単環での位置は4位であることが好ましい。
【0021】
(7)前記(1)項において、前記1項に記載の一般式(IV)、(V)及び(VI)で表されるベンゾチアゾール化合物系加硫促進剤のアルコキシ基はメトキシ基、エトキシ基及びブトキシ基からなる群より選ばれる基であることが好ましい。
【0022】
(8)前記(1)項において、前記1項に記載の一般式(IV)、(V)及び(VI)で表されるベンゾチアゾール化合物系加硫促進剤のアルコキシ基はエトキシ基であることが好ましい。
【0024】
本発明は上記のように特に、特定の低分子量重合体系軟化剤と低分子量重合体以外の軟化剤と特定の加硫促進剤とを併用することに大きな特徴がある。
【0025】
本発明における特定の低分子量重合体系軟化剤を用いない場合、つまり上記加硫促進剤のみが用いられている場合、タイヤは走行中期頃まではトレッドゴムの硬化、ヒステリシスロスの低下を抑制するが末期には次第に熱老化により硬化していく。本発明の特定の低分子量重合体系軟化剤が用いられた場合、すなわち本発明ではタイヤの走行末期において低分子量重合体系軟化剤が他部材(例えば、オイル量の少ないケース部材)へ移行しにくいことによるゴムの硬化、ヒステリシスロスの低下が抑制される。このため、本発明では特にタイヤの走行末期における操縦性及び乗り心地性の低下を抑制することができる。
【0026】
従来、軟化剤は通常の配合では芳香族系オイルが用いられることが多いが、この軟化剤は上記のような他部材へ移行し、移行することでトレッドゴムの硬化、ヒステリシスロスの低下が起こり、ひいてはタイヤの操縦性及び乗り心地性が悪化する。しかし、本発明における特定の低分子量重合体系軟化剤は他部材へ移行しにくいため、軟化剤量の減少よるゴムの硬化を大幅に抑制し、高度な低ヒステリシスロス性を維持できるという新知見を得、また走行末期において、上記加硫促進剤による熱老化現象に比べて、本発明における低分子量重合体系軟化剤の他部材への移行現象はゆっくり起こるため、低分子量重合体系軟化剤と特定の加硫促進剤の併用により、長期間にわたってゴムの硬化、ヒステリシスロスの低下を抑制できるという新知見を得るに至り、走行初期から末期まで優れた操縦性と乗り心地性を有する本発明の空気入りタイヤが得られたものである。
【0027】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられる軟化剤は少なくとも2種が使用される。1つは重量平均分子量が2,000〜100,000、好ましくは5,000〜50,000の低分子量重合体であるジエン系単独重合体又はビニル芳香族炭化水素−ジエン系共重合体(以下、低分子量重合体系軟化剤と言うことがある)であり、他の1つは該低分子量重合体以外の軟化剤である。
【0028】
低分子量重合体の重量平均分子量が2,000未満では低分子量重合体が他部材(例えば、ケ−ス部材)へ移行してしまい、効果が激減する。100,000を越えるとゴム成分との差がなくなり、軟化剤としての役割を果たさない。
【0029】
低分子量重合体のジエン系単独重合体としてはブタジエン重合体、イソプレン重合体を挙げることができる。
【0030】
また、該低分子量重合体以外の軟化剤としてはゴム工業で通常用いられる植物油系軟化剤、鉱物油系軟化剤を挙げることができる。
【0031】
本発明における軟化剤の量はゴム成分100重量部に対して20重量部以上、好ましくは30〜70重量部含まれる。20重量部未満ではオイルが移行しにくいことによるトレッドゴムの硬化抑制の好影響が小さくなるため、低分子量重合体を用いる効果が小さい。
【0032】
また低分子量重合体系軟化剤の量は軟化剤重量部のうち、5重量部以上、好ましくは10重量部〜全軟化剤重量部含まれる。5重量部未満では効果が小さい。
【0033】
さらに低分子量重合体以外の軟化剤の量は軟化剤重量部のうち、55重量部以下、好ましくは0〜20重量部含まれる。55重量部を越えると他部材へ著しく移行し、ゴムが硬化する。
【0034】
本発明では、ゴム成分100重量部中に、スチレンブタジエンゴム(SBR)を好ましくは50重量部以上、より好ましくは70重量部以上、さらに好ましくは90重量部以上含有することが好ましい。配合量が50重量部未満では操縦性、乗り心地性が劣るので好ましくない。このSBRについては、ゴム成分100重量部中に、スチレン含有量が30重量%以上であるSBRを30重量部以上含有することが好ましい。
【0035】
本発明に用いられるSBRは上記のような条件を満たすものであれば制限されないが、市販の乳化重合SBR、溶液重合SBR等を用いることができる。
【0036】
本発明における、ゴム成分としては本発明のSBRのほか、他のSBR、天然ゴム、合成ゴム、例えばイソプレンゴム,ブタジエンゴム,ブチルゴム(ハロゲン化ブチルゴムを含む)、エチレン−プロピレンゴム等を挙げることができる。
【0037】
本発明においてジチオリン酸化合物系加硫促進剤(機能的には再架橋抑制剤、つまり走行中にゴムの再架橋によるゲル化を抑制する配合剤)を用いる場合、この加硫促進剤は前記一般式(I) で表されるジチオリン酸金属塩、O,O’−ジアルキルジチオリン酸ジスルフィド及びO,O’−ジアルキルジチオリン酸テトラスルフィドからなる群より選択される少なくとも1種である。
【0038】
前記一般式(I)で表されるジチオリン酸金属塩のR1 及びR2 はそれぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基であり、このアルキル基は直鎖状、分枝鎖状、環状のいずれでもよい。M1 はZn原子、Sb原子、Fe原子又はCu原子であり、nは結合する金属の原子価の数である。中でも、R1 及びR2 は、炭素数3〜4のアルキル基が好ましい。炭素数が2以下のアルキル基を有するジチオリン酸金属塩はゴムへの溶解性が低下する傾向があり、炭素数が5以上では効果のさらなる向上が得られず、経済的な観点からもこれ以上の炭素数の増大は必ずしも効果的ではない。また、金属としては、Zn原子又はSb原子が好ましい。つまり、前記式(II)に示すようなジチオリン酸金属塩が好ましい。
【0039】
すなわち、これらのジチオリン酸金属塩としては、例えばO,O’−ジプロピルジチオリン酸亜鉛、O,O’−ジイソプロピルジチオリン酸亜鉛、O,O’−ジ−n−ブチルジチオリン酸亜鉛、O,O’−ジ−sec−ブチルジチオリン酸亜鉛、O,O’−ジ−t−ブチルジチオリン酸亜鉛、O,O’−ジフェニルジチオリン酸亜鉛、O,O’−ジシクロヘキシルジチオリン酸亜鉛、O,O’−ジプロピルジチオリン酸アンチモン、O,O’−ジイソプロピルジチオリン酸アンチモン、O,O’−ジ−n−ブチルジチオリン酸アンチモン、O,O’−ジ−sec−ブチルジチオリン酸アンチモン、O,O’−ジ−t−ブチルジチオリン酸アンチモン、O,O’−ジフェニルジチオリン酸アンチモン、O,O’−ジシクロヘキシルジチオリン酸アンチモン等が挙げられ、中でも、O,O’−ジイソプロピルジチオリン酸亜鉛、O,O’−ジ−n−ブチルジチオリン酸亜鉛、O,O’−ジイソプロピルジチオリン酸アンチモン、O,O’−ジ−n−ブチルジチオリン酸アンチモンが好ましい。これらの加硫促進剤は単独で、又は2種以上の混合物で用いることができる。
【0040】
O,O’−ジアルキルジチオリン酸ジスルフィド又はO,O’−ジアルキルジチオリン酸テトラスルフィドのとしては、例えばO,O’−ジブチルジチオリン酸ジスルフィド、O,O’−ジイソプロピルジチオリン酸ジスルフィド、O,O’−ジプロピルジチオリン酸ジスルフィド、O,O’−ジエチルジチオリン酸ジスルフィド、O,O’−ジメチルジチオリン酸ジスルフィド、O,O’−ビス(2−エチルヘキシル)ジチオリン酸ジスルフィド、O,O’−ビス(4−メチルペンチル)ジチオリン酸ジスルフィド、O,O’−ジオクタデシルジチオリン酸ジスルフィド、O,O’−ジブチルジチオリン酸テトラスルフィド、O,O’−ジイソプロピルジチオリン酸テトラスルフィド、O,O’−ジプロピルジチオリン酸テトラスルフィド、O,O’−ジエチルジチオリン酸テトラスルフィド、O,O’−ジメチルジチオリン酸テトラスルフィド、O,O’−ビス(2−エチルヘキシル)ジチオリン酸テトラスルフィド、O,O’−ビス(4−メチルペンチル)ジチオリン酸テトラスルフィド、O,O’−ジオクタデシルジチオリン酸テトラスルフィド等が挙げられる。中でも効果の点から、O,O’−ジブチルジチオリン酸テトラスルフィド、O,O’−ジイソプロピルジチオリン酸テトラスルフィド、O,O’−ビス(2−エチルヘキシル)ジチオリン酸テトラスルフィドが好ましい。
【0041】
また、前記ジチオリン酸化合物系加硫促進剤はゴム成分100重量部に対して0.2〜5.0重量部含む。0.2重量部未満では走行後の操縦性及び乗り心地性向上効果が低く、5.0重量部を越えて配合しても、効果のさらなる向上は認められず、経済的な観点からもこれ以上の増量は効果的ではない。
【0042】
本発明においてベンゾチアゾール化合物系加硫促進剤(上記ジチオリン酸化合物系加硫促進剤と同様に、機能的には再架橋抑制剤)を用いる場合、この加硫促進剤は前記一般式(III)、(IV)、(V) 及び(VI)で表される各化合物からなる群より選択される少なくとも1種である。
【0043】
本発明に用いられる前記一般式(III)で表されるベンゾチアゾール化合物系加硫促進剤のR3 及びR4 は同時に水素原子である場合を除き、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール基であり、好ましくは、水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基又は炭素原子数6〜10のアリール基であり、それぞれ水素原子、メチル基、エチル基又はフェニル基であることがより好ましい。
【0044】
これらの加硫促進剤としては、例えば、2−メルカプト−4−メチルベンゾチアゾール、2−メルカプト−4−エチルベンゾチアゾール、2−メルカプト−5−メチルベンゾチアゾール、2−メルカプト−5−エチルベンゾチアゾール、2−メルカプト−6−メチルベンゾチアゾール、2−メルカプト−6−エチルベンゾチアゾール、2−メルカプト−4,5−ジメチルベンゾチアゾール、2−メルカプト−4,5−ジエチルベンゾチアゾール、2−メルカプト−4−フェニルベンゾチアゾール、2−メルカプト−5−フェニルベンゾチアゾール、2−メルカプト−6−フェニルベンゾチアゾール、ビス−(4−メチルベンゾチアゾリル−2)ジサルファイド、ビス−(4−エチルベンゾチアゾリル−2)ジサルファイド、ビス−(5−メチルベンゾチアゾリル−2)ジサルファイド、ビス−(5−エチルベンゾチアゾリル−2)ジサルファイド、ビス−(6−メチルベンゾチアゾリル−2)ジサルファイド、ビス−(6−エチルベンゾチアゾリル−2)ジサルファイド、ビス−(4,5−ジメチルベンゾチアゾリル−2)ジサルファイド、ビス−(4,5−ジエチルベンゾチアゾリル−2)ジサルファイド、ビス−(4−フェニルベンゾチアゾリル−2)ジサルファイド、ビス−(5−フェニルベンゾチアゾリル−2)ジサルファイド、ビス−(6−フェニルベンゾチアゾリル−2)ジサルファイド等が挙げられる。中でもビス−(4−メチルベンゾチアゾリル−2)ジサルファイド、ビス−(5−メチルベンゾチアゾリル−2)ジサルファイド、メルカプト−4−メチルベンゾチアゾール及びメルカプト−5−メチルベンゾチアゾールが好ましい。これらの加硫促進剤は単独で、又は2種以上の混合物で用いることができる。
【0045】
これらの加硫促進剤の製造方法は特に制限されないが、例えば特開昭49−93361公報等を用いて容易に製造することができる。
【0046】
本発明に用いられる前記一般式(IV)、(V)又は(VI)で表されるベンゾチアゾール化合物系加硫促進剤はアルコキシ基含有2−メルカプトベンゾチアゾール化合物であり、単独又は二種以上の混合物で用いられる。
【0047】
式中、R5 は炭素数1〜8のアルキル基、アルケニル基又はシクロアルキル基を表し、R6 は水素原子又は−N(R7 )R8 で表されるアミノ基を表し、R7 及びR8 はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数2〜4のアルキル基又はシクロヘキシル基を表す(ただし、R7 及びR8 が同時に水素原子である場合を除く)。R9 及びR10はそれぞれ独立に炭素数1〜8のアルキル基、アルケニル基又はシクロアルキル基を表す。XはZn原子、Cu原子又は>N−R13で表されるアミノ基を表し、R13は炭素数2〜4のアルキル基又はシクロヘキシル基を表す。R11及びR12はR9 と同義である。
【0048】
これらの一般式において、アルコキシ基の−OR5 、−OR9 、−OR10、−OR11及び−OR12の各基はそれぞれ独立にメトキシ基、エトキシ基又はブトキシ基であることが効果の点から好ましく、さらにエトキシ基がより好ましい。
【0049】
一般式(IV)で表されるベンゾチアゾール化合物系加硫促進剤としては、例えば、4−メトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール、5−メトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール、6−メトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール、7−メトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール、4−エトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール、5−エトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール、6−エトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール、7−エトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール、4−ブトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール、5−ブトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール、6−ブトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール、7−ブトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール、N−tert−ブチル−4−メトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−tert−ブチル−5−メトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−tert−ブチル−6−メトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−tert−ブチル−7−メトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−tert−ブチル−4−エトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−tert−ブチル−5−エトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−tert−ブチル−6−エトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−tert−ブチル−7−エトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−tert−ブチル−4−ブトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−tert−ブチル−5−ブトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−tert−ブチル−6−ブトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−tert−ブチル−7−ブトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−エチル−4−メトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−エチル−5−メトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−エチル−6−メトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−エチル−7−メトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−エチル−4−エトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−エチル−5−エトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−エチル−6−エトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−エチル−7−エトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−エチル−4−ブトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−エチル−5−ブトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−エチル−6−ブトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−エチル−7−ブトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−シクロヘキシル−4−メトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−シクロヘキシル−5−メトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−シクロヘキシル−6−メトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−シクロヘキシル−7−メトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−シクロヘキシル−4−エトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−シクロヘキシル−5−エトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−シクロヘキシル−6−エトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−シクロヘキシル−7−エトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−シクロヘキシル−4−ブトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−シクロヘキシル−5−ブトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−シクロヘキシル−6−ブトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−シクロヘキシル−7−ブトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N−ジシクロヘキシル−4−メトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N−ジシクロヘキシル−5−メトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N−ジシクロヘキシル−6−メトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N−ジシクロヘキシル−7−メトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N−ジシクロヘキシル−4−エトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N−ジシクロヘキシル−5−エトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N−ジシクロヘキシル−6−エトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N−ジシクロヘキシル−7−エトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N−ジシクロヘキシル−4−ブトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N−ジシクロヘキシル−5−ブトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N−ジシクロヘキシル−6−ブトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N,N−ジシクロヘキシル−7−ブトキシ−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、等が挙げられる。
【0050】
一般式(V)で表されるベンゾチアゾール化合物系加硫促進剤としては、例えばジ−4−メトキシ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド、ジ−5−メトキシ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド、ジ−6−メトキシ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド、ジ−7−メトキシ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド、ジ−4−エトキシ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド、ジ−5−エトキシ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド、ジ−6−エトキシ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド、ジ−7−エトキシ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド、ジ−4−ブトキシ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド、ジ−5−ブトキシ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド、ジ−6−ブトキシ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド、ジ−7−ブトキシ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド、等が挙げられる。
【0051】
一般式(VI)で表されるベンゾチアゾール化合物系加硫促進剤としては、例えば、4−メトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール亜鉛塩、5−メトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール亜鉛塩、6−メトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール亜鉛塩、7−メトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール亜鉛塩、4−エトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール亜鉛塩、5−エトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール亜鉛塩、6−エトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール亜鉛塩、7−エトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール亜鉛塩、4−ブトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール亜鉛塩、5−ブトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール亜鉛塩、6−ブトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール亜鉛塩、7−ブトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール亜鉛塩、4−メトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール銅塩、5−メトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール銅塩、6−メトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール銅塩、7−メトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール銅塩、4−エトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール銅塩、5−エトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール銅塩、6−エトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール銅塩、7−エトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール銅塩、4−ブトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール銅塩、5−ブトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール銅塩、6−ブトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール銅塩、7−ブトキシ−2−メルカプトベンゾチアゾール銅塩、N−エチル−(4−メトキシ−2−ベンゾチアゾリル)スルフェンイミド、N−エチル−(5−メトキシ−2−ベンゾチアゾリル)スルフェンイミド、N−エチル−(6−メトキシ−2−ベンゾチアゾリル)スルフェンイミド、N−エチル−(7−メトキシ−2−ベンゾチアゾリル)スルフェンイミド、N−t−ブチル(4−メトキシ−2−ベンゾチアゾリル)スルフェンイミド、N−t−ブチル(5−メトキシ−2−ベンゾチアゾリル)スルフェンイミド、N−t−ブチル(6−メトキシ−2−ベンゾチアゾリル)スルフェンイミド、N−t−ブチル(7−メトキシ−2−ベンゾチアゾリル)スルフェンイミド、N−シクロヘキシル(4−メトキシ−2−ベンゾチアゾリル)スルフェンイミド、N−シクロヘキシル(5−メトキシ−2−ベンゾチアゾリル)スルフェンイミド、N−シクロヘキシル(6−メトキシ−2−ベンゾチアゾリル)スルフェンイミド、N−シクロヘキシル(7−メトキシ−2−ベンゾチアゾリル)スルフェンイミド、N−エチル−(4−エトキシ−2−ベンゾチアゾリル)スルフェンイミド、N−エチル−(5−エトキシ−2−ベンゾチアゾリル)スルフェンイミド、N−エチル−(6−エトキシ−2−ベンゾチアゾリル)スルフェンイミド、N−エチル−(7−エトキシ−2−ベンゾチアゾリル)スルフェンイミド、N−t−ブチル(4−エトキシ−2−ベンゾチアゾリル)スルフェンイミド、N−t−ブチル(5−エトキシ−2−ベンゾチアゾリル)スルフェンイミド、N−t−ブチル(6−エトキシ−2−ベンゾチアゾリル)スルフェンイミド、N−t−ブチル(7−エトキシ−2−ベンゾチアゾリル)スルフェンイミド、N−シクロヘキシル(4−エトキシ−2−ベンゾチアゾリル)スルフェンイミド、N−シクロヘキシル(5−エトキシ−2−ベンゾチアゾリル)スルフェンイミド、N−シクロヘキシル(6−エトキシ−2−ベンゾチアゾリル)スルフェンイミド、N−シクロヘキシル(7−エトキシ−2−ベンゾチアゾリル)スルフェンイミド、N−エチル−(4−ブトキシ−2−ベンゾチアゾリル)スルフェンイミド、N−エチル−(5−ブトキシ−2−ベンゾチアゾリル)スルフェンイミド、N−エチル−(6−ブトキシ−2−ベンゾチアゾリル)スルフェンイミド、N−エチル−(7−ブトキシ−2−ベンゾチアゾリル)スルフェンイミド、N−t−ブチル(4−ブトキシ−2−ベンゾチアゾリル)スルフェンイミド、N−t−ブチル(5−ブトキシ−2−ベンゾチアゾリル)スルフェンイミド、N−t−ブチル(6−ブトキシ−2−ベンゾチアゾリル)スルフェンイミド、N−t−ブチル(7−ブトキシ−2−ベンゾチアゾリル)スルフェンイミド、N−シクロヘキシル(4−ブトキシ−2−ベンゾチアゾリル)スルフェンイミド、N−シクロヘキシル(5−ブトキシ−2−ベンゾチアゾリル)スルフェンイミド、N−シクロヘキシル(6−ブトキシ−2−ベンゾチアゾリル)スルフェンイミド、N−シクロヘキシル(7−ブトキシ−2−ベンゾチアゾリル)スルフェンイミド、等が挙げられる。
【0052】
これらベンゾチアゾール化合物系加硫促進剤の中で、一般式(IV)、(V)及び(VI)に含まれるアルコキシ基の芳香族単環での位置が4位又は6位であることが好ましく、4位であることがさらに好ましい。さらに付記すれば、芳香族単環の4位又は6位にアルコキシ基を有するベンゾチアゾール化合物が原材料の入手の容易さ、合成の容易さの点で好ましい。また芳香族単環の4位又は6位にアルコキシ基を有するベンゾチアゾリルスルフェンアミド、ベンゾチアゾリルジスルフィド、及びベンゾチアゾリルスルフェンイミドもスコーチ性の点で好ましい。さらに、芳香族単環の4位にアルコキシ基を有する化合物がゴム組成物の熱老化中の硬化を抑制するので、より好ましい。
【0053】
これらの加硫促進剤の製造方法は特に制限されないが、例えば特開昭49−93361号公報等を用いて容易に製造することができる。
【0054】
本発明に用いられるベンゾチアゾール化合物系加硫促進剤の配合量はゴム成分100重量部に対して0.5〜5.0重量部であるが、配合量が0.5重量部未満では十分な効果が得られず、5.0重量部を越えると、それ以上の効果が得られないのみならず、スコーチ性などの作業性が低下する。
【0055】
本発明に用いられるこれらの加硫促進剤は、この他に汎用加硫促進剤である2−メルカプトベンゾチアゾリルジスルフィド、N−t−ブチルベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−シクロヘキシルベンゾチアゾリルスルフェンアミドのようなチアゾール類加硫促進剤やテトラ(2−エチルヘキシル)チウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィドのようなチウラム類加硫促進剤を適宜配合できる。
【0056】
本発明の空気入りタイヤ用ゴム組成物として前記成分と共に通常用いられる、カーボンブラック、シリカ、酸化亜鉛、ステアリン酸、老化防止剤、WAX、シランカップリング剤、加硫剤等の成分を本発明の効果を損なわない範囲において適宜配合することができる。
【0057】
加硫剤としては、硫黄等が挙げられ、この使用量は、ゴム成分100重量部に対して0.1〜5重量部、好ましくは1〜2重量部である。0.1重量部未満では加硫ゴムの破壊強度、耐摩耗性が低下し、5重量部を越えるとゴム弾性が損なわれる傾向がある。
【0058】
本発明の空気入りタイヤ用ゴム組成物は、ロール、インターナルミキサー、バンバリーミキサー等の混練機を用いて混練りすることによって得られ、成形加工後、加硫を行い、タイヤトレッド等に用いられる。
【0059】
【実施例】
以下に実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明の主旨を越えない限り、本実施例に限定されるものではない。
【0060】
各種の測定は下記の方法によった。
【0061】
(1)低分子量スチレンブタジエン共重合体及び低分子量ブタジエン重合体の重量平均分子量(Mw)
重量平均分子量の測定はゲルパーミエイションクロマトグラフィ(GPC、東ソー製HLC−8020、カラム:東ソー製GMH−XL(2本直列))により行い、示差屈折率(RI)を用いて、単分散ポリスチレンを標準としてポリスチレン換算で行った。
【0062】
(2)低分子量スチレンブタジエン共重合体中の結合スチレン含有量
NMRスペクトルの芳香族プロトンの吸収強度により求めた。
【0063】
(3)低分子量スチレンブタジエン共重合体及び低分子量ブタジエン重合体中のブタジエン部分のビニル含有量
赤外法(D.Morero et al,Chem.e.Ind.,41,758(1959))によって求めた。
【0064】
(4)タイヤの操縦性評価
テストコースにて、FF4ドアセダンを用いて、ウエットアスファルト路面にて、実車走行を行い、駆動性、制動性、ハンドル応答性、操舵時のコントロール性をテストドライバーが総合評価して、新品タイヤの(走行前)操縦性の評価とした。さらに、同一のタイヤを一般市場を2万km及び4万km走行させ、それぞれ走行中期操縦性及び走行末期操縦性の評価とした。
【0065】
(5)タイヤの乗り心地性評価
テストコースにて、FF4ドアセダンを用いて、乾燥アスファルト路面にて、実車走行を行い、テストドライバーのフィーリングにより総合評価した。これも新品タイヤ、2万km走行後及び4万km走行後のタイヤにて評価を行った。
【0066】
尚、タイヤの性能評価結果としては、2つの方法で表示した。第1の方法は操縦性、乗り心地性とも、実施例1、2、3、4及び比較例2、3、4、5及び6いずれも比較例1の走行前、走行中期、走行末期をコントロールとして、コントロールとの差を±の数値で示した。第2の方法は操縦性、乗り心地性とも、実施例1、2、3、4及び比較例2、3、4、5及び6、及び比較例1の走行中期、走行末期いずれも比較例1の走行前をコントロールとして、コントロールとの差を±の数値で示した。+の数値が大きい程、性能が優れていることを示す。ここで、±0とはテストドライバーがコントロールタイヤ対比の性能差を検知できないこと、+1とはテストドライバーがコントロールタイヤ対比で有意に性能差を検知できる程度に性能が優れていること、+2とはテストドライバーが明確に性能差を感知できる程度に性能が優れていること、+3とはテストドライバーが非常に明確に性能差を感知できる程度に性能が優れていること、+4とは一般ドライバーが明確に性能差を感知できる程度に性能が優れていること、+5とは一般ドライバーが非常に明確に性能差を感知できる程度に性能が優れていること、を示す。中間値0.5は前後の整数値の中間の性能を表す。また、−の数値が大きいほど、性能が劣っていることを示す。−1、−2、−3、−4、−5、中間値の劣っている程度は上記+の数値に対応して「優れている」を「劣っている」と読み代えたものとする。
【0067】
[実施例1〜4、比較例1〜6]
実験に用いた低分子量重合体の分子構造を表1に示す。
【0068】
【表1】
【0069】
下記の表2、3に示す配合処方に従って、混練配合を行い、このトレッドゴム配合物を用いて、195/60R14サイズのタイヤを試作し、タイヤの性能を測定した。結果を表2、3に示す。
【0070】
【表2】
【0071】
【表3】
【0072】
表2及び3中の付番の説明を下記に示す。
1)SBR1500(スチレンブタジエンゴム、スチレン含有率23.5重量%、日本合成ゴム社製)
2)SBR0120(スチレンブタジエンゴム、スチレン含有率35重量%、37.5%油展、日本合成ゴム社製)
3)カーボンブラック:ISAF、シースト7H(東海カーボン社製)
4)TMDQ:2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合物
5)IPPD:N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン
6)MBTS:ビス−(ベンゾチアゾリル−2)ジサルファイド
7)DPG:ジフェニルグアニジン
8)MMBTS:ビス−(4−メチルベンゾチアゾリル−2)ジサルファイド
9)TBBS:N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド
10) DIPDPZn:O,O’−ジイソプロピルジチオリン酸亜鉛
表2、3に示されるように、本発明の空気入りタイヤは、走行前の操縦性、乗り心地性に対して、走行中期、末期まで操縦性、乗り心地性を一層高度に維持することができる。
【0073】
各種の加硫促進剤を用いても、本発明に係わる低分子量重合体系軟化剤を用いない場合(比較例1〜4)、本発明外の分子量を有する低分子量重合体系軟化剤を用いた場合(比較例5、6)はいずれも効果が十分に得られない。比較例5の場合、特に走行末期での効果が不良である。比較例6の場合、初期性能が悪化する。一方、本発明に係わる特定の低分子量重合体系軟化剤を用いた場合、乗り心地性の効果が認められ、本発明に係わる特定の低分子量重合体系軟化剤と、さらに特定の加硫促進剤とを併用した場合(実施例1〜4)、極めて優れた効果を発現することがわかる。
【0074】
【発明の効果】
本発明の空気入りタイヤは、上記のような構成としたので、走行初期から中期、末期まで操縦性及び乗り心地性を一層高度に維持するという優れた効果を奏する。
Claims (8)
- トレッド部を有する空気入りタイヤにおいて、
該トレッド部のゴムが、ゴム成分100重量部に対して、軟化剤を20重量部以上含有し、さらに、下記一般式(I)で表されるジチオリン酸金属塩、O,O’−ジアルキルジチオリン酸ジスルフィド及びO,O’−ジアルキルジチオリン酸テトラスルフィドからなる群より選択される少なくとも1種のジチオリン酸化合物系加硫促進剤をゴム成分100重量部に対して、0.2〜5.0重量部、および/または、下記一般式(III)、(IV)、(V)及び(VI)で表される各化合物からなる群より選択される少なくとも1種のベンゾチアゾール化合物系加硫促進剤をゴム成分100重量部に対して、0.5〜5.0重量部を含有し、
該軟化剤重量部のうち5重量部以上が重量平均分子量2,000〜100,000の低分子量重合体であるジエン系単独重合体又はビニル芳香族炭化水素−ジエン系共重合体を含み、
かつ該軟化剤重量部のうち55重量部以下が該低分子量重合体以外の軟化剤を含むゴム組成物からなることを特徴とする空気入りタイヤ。
- 前記請求項1に記載の一般式(III)で表されるベンゾチアゾール化合物系加硫促進剤のR 3 及びR 4 がそれぞれ独立に、水素原子、メチル基、エチル基又はフェニル基である(但し、R 3 及びR 4 が同時に水素原子である場合を除く)ことを特徴とする請求項1記載の空気入りタイヤ。
- 前記請求項1に記載の一般式(III)で表されるベンゾチアゾール化合物系加硫促進剤が、ビス−(4−メチルベンゾチアゾリル−2)ジサルファイド、ビス−(5−メチルベンゾチアゾリル−2)ジサルファイド、メルカプト−4−メチルベンゾチアゾール及びメルカプト−5−メチルベンゾチアゾールからなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載の空気入りタイヤ。
- 前記請求項1に記載の一般式(IV)、(V)及び(VI)で表されるベンゾチアゾール化合物系加硫促進剤のアルコキシ基の芳香族単環での位置が4位又は6位であることを特徴とする請求項1記載の空気入りタイヤ。
- 前記請求項1に記載の一般式(IV)、(V)及び(VI)で表されるベンゾチアゾール化合物系加硫促進剤のアルコキシ基の芳香族単環での位置が4位であることを特徴とする請求項1記載の空気入りタイヤ。
- 前記請求項1に記載の一般式(IV)、(V)及び(VI)で表されるベンゾチアゾール化合物系加硫促進剤のアルコキシ基がメトキシ基、エトキシ基及びブトキシ基からなる群より選ばれる基であることを特徴とする請求項1記載の空気入りタイヤ。
- 前記請求項1に記載の一般式(IV)、(V)及び(VI)で表されるベンゾチアゾール化合物系加硫促進剤のアルコキシ基がエトキシ基であることを特徴とする請求項1記載の空気入りタイヤ。
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