JP4293768B2 - 無段変速機の変速制御装置 - Google Patents

無段変速機の変速制御装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、Vベルト式無段変速機の変速制御装置に関するものであり、特にVベルトの滑りを検出することにより無段変速機の動作不良を防止することに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
Vベルト式無段変速機は、プライマリプーリとセカンダリプーリの二つのプーリの間に動力伝達要素としてVベルトを掛け渡し、これらプーリの溝幅を変化させることにより各プーリの回転速度比、すなわち変速比を変化させることにより変速動作を行うものである。
【0003】
このVベルトに何らかの原因で滑りが生じた場合、変速比が変動してしまい、運転状態に応じた所望の変速比(目標変速比)と実際の変速比(実変速比)との乖離が生じ、これが無段変速機自体の動作不良にも繋がるおそれがある。
【0004】
このVベルトの滑りを検出するものとして、従来、例えば、実変速比が変速機の機構上の最大または最小の変速比から外れた場合に、目標変速比と実変速比との偏差に基づいて求めた変速速度が変速機の機構上の最大変速速度から外れたときにベルト滑りが生じたと判断しているものがある(特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開昭62-68142号公報(第2〜5頁)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、実際には、実変速比が自動変速機の機構上の最大変速比以上または最小変速比以下になるほどの大きなベルト滑りは発生することはなく、実変速比が中間変速比のままで微小なベルト滑りが発生し、この微小なベルト滑りによってベルトの耐久性が低下することが判明している。そのため、フェイルセーフの観点から、より早期にベルトの滑りを検知する手段が必要とされている。
【0007】
本発明は、自動変速機の実変速比が中間変速比であっても、ベルトの滑りをより早期に、かつ確実に検知してこれに対処できるようにすることにより、ベルトの滑りによる変速機の動作不良を事前に回避して上記の問題点を解決することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
これらの目的のため、本発明による無段変速機の変速制御装置は、請求項1に記載の如く、
駆動源に直結する入力側のプライマリプーリおよび出力側のセカンダリプーリ間にVベルトを掛け渡し、
変速アクチュエータを目標変速比に対応した操作位置にすることで、ライン圧を元圧として作り出したプライマリプーリ圧およびセカンダリプーリ圧間の差圧により前記両プーリのV溝幅を変更して、前記プライマリプーリおよびセカンダリプーリそれぞれの回転数比より得られる実変速比が前記目標変速比となるようにしたVベルト式無段変速機において、
前記実変速比を10Hzのハイパスフィルタによりフィルタ処理を行い、当該フィルタ処理後の信号の実効値を算出して絶対値化し、この絶対値化された信号を平滑化処理して得られた信号値が所定値以上であるときに当該実変速比の高周波数の変動があると判定し、この実変速比の高周波数の変動が所定時間以上継続した場合に前記Vベルトに滑りが発生したと判断するベルト滑り検知手段と、このベルト滑り検知手段によりVベルトに滑りが発生したと判断された場合に、前記実変速比の高周波数の変動の継続時間を積算する積算手段とを具え、この積算手段による前記実変速比の高周波数の変動の継続時間の積算値が所定値以上となったとき、前記Vベルトが所定値以上のトルクを伝達することを規制するVベルト保護制御を行うことを特徴とするものである。
【0009】
【発明の効果】
本発明による無段変速機の変速制御装置は、Vベルト式無段変速機において、実変速比の高周波数の変動を検知し、この実変速比の変動が所定時間継続した場合にベルト滑りが生じたものと判断する。
【0010】
それによって、最大変速比と最小変速比との間の中間変速比における微小なベルト滑りを早期かつ確実に検知することができて、しかもそれに効果的に対処できるようになることから、変速機自体の動作不良をも事前に回避することが可能となる。
【0011】
また本発明による無段変速機の変速制御装置においては、ベルト滑り検知手段によりVベルトに滑りが発生したと判断された場合に、前記実変速比の変動の継続時間を積算する積算手段を具え、この積算手段による前記実変速比の変動の継続時間の積算値が所定値以上となったとき、前記Vベルトが所定値以上のトルクを伝達することを規制するVベルト保護制御を行うそれによって、Vベルトに滑りが生じた場合の変速機自体の動作不良と、それによる影響を確実に回避することができるようになる。
【0012】
さらに本発明による無断変速機の変速制御装置の好適な実施形態においては、請求項および請求項に記載の如く、前記Vベルト保護制御として、前記駆動源の出力トルクの上限値を規制する制御を行うこととしても良く、あるいは前記駆動源の回転数の上限値を規制する制御を行うこととしても良い。それによって、Vベルトに滑りが生じた場合の変速機自体の動作不良と、それによる影響をより確実に回避することができるようになる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について説明する。
【0014】
図1はVベルト式無段変速機1の構成を概略示すものであり、このVベルト式無段変速機1はプライマリプーリ2およびセカンダリプーリ3を、両者のV溝が整列するように配置し、これらプーリ2,3のV溝にVベルト4を掛け渡す。駆動源であるエンジン5をプライマリプーリ2と同軸に配置し、このエンジン5とプライマリプーリ2との間に、エンジン5の側から順次ロックアップトルクコンバータ6および前後進切り替え機構7を設ける。
【0015】
前後進切り替え機構7は、ダブルピニオン遊星歯車組7aを主たる構成要素とし、そのサンギヤをトルクコンバータ6を介してエンジン5に結合し、キャリアをプライマリプーリ2に結合する。前後進切り替え機構7は更に、ダブルピニオン遊星歯車組7aのサンギヤおよびキャリア間を直結する前進クラッチ7b、およびリングギヤを固定する後進ブレーキ7cを具え、前進クラッチ7bの締結時にエンジン5からトルクコンバータ6を経由した入力回転をそのままプライマリプーリ2に伝達し、後進ブレーキ7cの締結時にエンジン5からトルクコンバータ6を経由した入力回転を逆転減速下にプライマリプーリ2へ伝達するものとする。
【0016】
プライマリプーリ2への回転はVベルト4を介してセカンダリプーリ3に伝達され、セカンダリプーリ3の回転はその後、出力軸8、歯車組9およびディファレンシャルギヤ装置10を経て図示しない車輪へ伝達される。上記の動力伝達中にプライマリプーリ2とセカンダリプーリ3との間における回転伝動比(変速比)を変更可能にするために、プライマリプーリ2およびセカンダリプーリ3のV溝を形成するフランジのうち一方を固定フランジ2a,3aとし、他方のフランジ2b,3bを軸線方向へ変位可能な可動フランジとする。これら可動フランジ2b,3bはそれぞれ、詳しくは後述するごとくに制御するライン圧を元圧として作り出したプライマリプーリ圧Ppriおよびセカンダリプーリ圧Psecをプライマリプーリ室2cおよびセカンダリプーリ室3cに供給することにより固定フランジ2a,3aに向けて附勢し、これによりVベルト4をプーリフランジに摩擦係合させてプライマリプーリ2とセカンダリプーリ3との間での前記動力伝達を可能にする。なお本実施の形態においては特に、プライマリプーリ室2cおよびセカンダリプーリ室3cの受圧面積を同じにし、プーリ2,3の一方が大径になることのないようにし、これによりVベルト式無段変速機の小型化を図る。
【0017】
なお変速に際しては、後述のごとく目標変速比に対応させて発生させたプライマリプーリ圧Ppriおよびセカンダリプーリ圧Psec間の差圧により両プーリ2,3のV溝幅を変更して、これらプーリ2,3に対するVベルト4の巻き掛け円弧径を連続的に変化させることで目標変速比を実現することができる。
【0018】
プライマリプーリ圧Ppriおよびセカンダリプーリ圧Psecの出力は、前進走行レンジの選択時に締結すべき前進クラッチ7bおよび後進走行レンジの選択時に締結すべき後進ブレーキ7cの締結油圧の出力と共に変速制御油圧回路11により制御し、この変速制御油圧回路11は変速機コントローラ12からの信号に応答して当該制御を行うものとする。このため変速機コントローラ12には、プライマリプーリ回転数Npriを検出するプライマリプーリ回転センサ13からの信号と、セカンダリプーリ回転数Nsecを検出するセカンダリプーリ回転センサ14からの信号と、セカンダリプーリ圧Psecを検出するセカンダリプーリ圧センサ15からの信号と、アクセルペダル踏み込み量APOを検出するアクセル開度センサ16からの信号と、インヒビタスイッチ17からの選択レンジ信号と、変速作動油温TMPを検出する油温センサ18からの信号と、エンジン5の制御を司るエンジンコントローラ19からの変速機入力トルクに関した信号(エンジン回転数や燃料噴時間)とを入力する。
【0019】
変速制御油圧回路11および変速機コントローラ12は図2に示すごときもので、先ず変速制御油圧回路11について以下に説明する。この回路は、エンジン駆動されるオイルポンプ21を具え、これから油路22への作動油を媒体として、これをプレッシャレギュレータ弁23により所定のライン圧PLに調圧する。油路22のライン圧PLは、一方で減圧弁24により調圧されセカンダリプーリ圧Psecとしてセカンダリプーリ室3cに供給され、他方で変速制御弁25により調圧されプライマリプーリ圧Ppriとしてプライマリプーリ室2cに供給される。なお、プレッシャレギュレータ弁23は、ソレノイド23aへの駆動デューティーによりライン圧PLを制御し、減圧弁24は、ソレノイド24aへの駆動デューティーによりセカンダリプーリ圧Psecを制御するものとする。
【0020】
変速制御弁25は、中立位置25aと、増圧位置25bと、減圧位置25cとを有し、これら弁位置を切り換えるために変速制御弁25を変速リンク26の中程に連結し、該変速リンク26の一端に、変速アクチュエータとしてのステップモータ27を、また他端にセカンダリプーリの可動フランジ2bを連結する。ステップモータ27は、基準位置から目標変速比に対応したステップ数Stepだけ進んだ操作位置にされ、かかるステップモータ27の操作により変速リンク26が可動フランジ2bとの連結部を支点にして揺動することにより、変速制御弁25を中立位置25aから増圧位置25bまたは減圧位置25cとする。これにより、プライマリプーリ圧Ppriがライン圧PLを元圧として増圧されたり、またはドレンにより減圧され、セカンダリプーリ圧Psecとの差圧が変化することでHi側変速比へのアップシフトまたはLo側変速比へのダウンシフトを生じ、目標変速比に向けての変速動作が行われる。
【0021】
当該変速の進行は、プライマリプーリの可動フランジ2cを介して変速リンク26の対応端にフィードバックされ、変速リンク26がステップモータ27との連結部を支点にして、変速制御弁25を増圧位置25bまたは減圧位置25cから中立位置25aに戻す方向へ揺動する。これにより、目標変速比が達成される時に変速制御弁25が中立位置25aに戻され、目標変速比を保つことができる。
【0022】
プレッシャレギュレータ弁23のソレノイド駆動デューティー、減圧弁24のソレノイド駆動デューティー、およびステップモータ27への変速指令(ステップ数Step)は、図1に示す前進クラッチ7bおよび後進ブレーキ7cへ締結油圧を供給するか否かの制御と共に変速機コントローラ12により決定し、このコントローラ12を図2に示すように圧力制御部12aおよび変速制御部12bで構成する。圧力制御部12aは、プレッシャレギュレータ弁23のソレノイド駆動デューティー、および減圧弁24のソレノイド駆動デューティーを決定し、変速制御部12bは以下のようにしてステップモータ27の駆動ステップ数Astepを決定する。
【0023】
つまり変速制御部12bは先ず、セカンダリプーリ回転数Nsecから求め得る車速およびアクセルペダル踏み込み量APOを用いて予定の変速マップを基に目標入力回転数を求め、これをセカンダリプーリ回転数Nsecで除算することにより、運転状態(車速およびアクセルペダル踏み込み量APO)に応じた目標変速比を求める。次いで、プライマリプーリ回転数Npriをセカンダリプーリ回転数Nsecで除算することにより実変速比を演算し、上記目標変速比に対する実変速比の偏差に応じて外乱補償しながら実変速比を目標変速速度で目標変速比に漸近させるための変速比指令を求める。そして、この変速比指令を実現するためのステップモータ27のステップ数(ステップモータ27の動作位置)Astepを求め、これをステップモータ27に指令することで前記の変速動作により目標変速比を達成することができる。
【0024】
次に図3は、本発明におけるベルト滑り検出とそれに対処するための変速制御を行う処理手順を示すフローチャートである。以下、その手順を説明する。
【0025】
まずステップS101において、変速機に対する変速比制御がフィードバック(F/B)制御により行われているか否かを判断する。具体的には、1)変速比、すなわちプライマリプーリ2の回転数Npriをセカンダリプーリ3の回転数Nsecで除算することにより求められる実変速比の制御が行われているか否か、2)実変速比を検出できているか否か、3)各プーリが回転しているか否か、を判断することにより、フィードバック制御が行われているか否かを判断する。換言すれば、本ステップでは変速機に対して正しく変速制御が行われている状態か否かを判断するものである。もし、フィードバック制御が行われていないと判断した場合には処理を終了し、フィードバック制御が行われていると判断した場合には次のステップS102へ進む。
【0026】
続くステップS102では、実変速比に高周波数の変動が生じているか否かを判断する。もし、高周波数の変動が発生していないと判断した場合には処理を終了するが、高周波数の変動が発生していると判断した場合にはステップS103へ進む。なお、この高周波数の変動の発生を検知するための処理手順については後に詳述する。
【0027】
ステップS103では、実変速比に高周波数の変動が発生していると判断した場合に、その振動が継続している時間が所定時間(ここでは0.2秒)を上回っているか否かを判断する。ここで、高周波数の変動の継続時間が所定時間以下であった場合には、微小なベルト滑り以外の原因、例えば悪路を走行したことによって発生した高周波数の変動であると判断し、処理を終了する。一方、高周波数の変動の継続時間が所定時間を上回っていた場合には、微小なベルト滑りが生じていると判断し、ステップS104へ進む。
【0028】
ステップS104では、実変速比に生じた高周波数の変動の継続時間(但し、前述のように0.2秒を上回っていた場合)を積算し、その値が所定積算時間以上となったか否かを判断する。この高周波数の変動の継続時間を積算するのは、過剰に走行性能を低下させないためである。すなわち、微小なベルト滑りを検知した時に、後述するステップS105におけるベルトの保護制御をいきなり行った場合、ベルトの伝達トルクを規制する程度にはベルトの耐久性が低下していないため、過剰に走行性が悪化してしまうこととなる。そこで、所定積算時間という閾値を設定することで、ベルトの耐久性がある程度低下したときに、ベルトの保護制御を行うこととし、過剰に動力性能が低下するのを防止している。なお、この所定積算時間は、走行性と安全性を両立できる積算時間を予め実験的に求めることにより設定するものとし、例えば2秒程度に設定する。そして、積算値が所定積算時間を下回っていた場合には、ベルトのダメージがそれほど蓄積していないと判断して処理を終了する。一方、積算値が所定積算時間以上であった場合には、ベルトの耐久性が低下したと判断し、ステップS105へ進む。
【0029】
そしてステップS105では、ベルト滑りが発生しているとの判断結果に基づき、ベルト保護制御としてエンジントルク上限制限要求値をエンジンコントローラ19(図1参照)へ送信する。それによって、この上限値よりも大きなトルクが出力されている場合にはエンジントルクの低下(トルクダウン)が行われる。その後、処理を終了する。
【0030】
図4は、図3の処理中のステップS102、すなわちベルトに高周波数の変動が発生したことを検知するための処理手順の詳細を示すフローチャートである。次に、この手順について説明する。
【0031】
まずステップS201では、実変速比を検出し、検出した信号をハイパスフィルタを通してフィルタ処理を行う。ここで用いるフィルタは2次で10Hzのものとする。
【0032】
次にステップS202では、前のステップS201でフィルタ処理を行った信号の実効値を算出し、信号の絶対値を求める。さらにステップS203では1次で4Hzのフィルタを用いて信号の平滑化処理を行う。
【0033】
ステップS204では、得られた信号の値が所定値以上であるか否かを判断する。ここで所定値を例えば0.01とし、この値以上であれば実変速比に高周波数の変動が発生していると判定する。したがって、平滑化後の信号が所定値未満であれば高周波数の変動が生じていないと判断して処理を終了し、所定値以上であれば高周波数の変動が発生していると判断し、次のステップS205で高周波数の変動を検知したと判定して処理を終了する。
【0034】
図5は、無段変速機における実変速比の高周波数の変動、すなわち微小なベルト滑りの発生と、それに基づく図3および図4に示す処理手順による信号処理ならびにベルト滑り発生を判定するまでの過程を示すタイムチャートである。次に、これについて説明する。なお、図では、上から変速比の変動、検知した変速比変動を平滑化処理した後の信号、変速比変動(高周波数の変動)の継続時間の積算値の時間変化と、処理結果に基づくフェール(微小なベルト滑りによる耐久性の低下)判定フラグの変化を示すものである。
【0035】
まず変速比ipを見ると、実変速比は目標変速比の変化に追随して時々刻々変化しているが、その間、すなわち期間t1〜t2,t3〜t4およびt5〜t6の期間で変動が発生していることが判る。
【0036】
そこで、これら各期間における変動を平滑化処理を行い、その値(絶対値)が所定値、ここでは0.01以上であった場合には高周波数の変動が発生していると判断する。さらに高周波数の変動の継続時間、すなわち先の期間t1〜t2,t3〜t4およびt5〜t7を積算するが、ここでは期間t1〜t2は所定値(0.2秒)未満であったため、微小なベルト滑りが発生していないと判断して積算時間には含めないこととしている。一方、期間t3〜t4およびt5〜t7については所定値以上であるとして積算時間に含めている。
【0037】
そして、積算時間が所定値(例えば前述のように2秒程度)を上回った場合にはベルトの耐久性が低下したものと判断する。なお、図では期間t5〜t7の間の途中時間t6で積算時間が所定積算時間を上回ったことを示している。
【0038】
この結果に基づき、積算時間が所定積算時間を上回った瞬時t6においてベルトの耐久性がある程度低下したと判断し、フェール判定フラグの値を0から1の値とする。このフェール判定フラグの値に基づいて、エンジンコントローラに対してエンジンへのトルク上限制限要求値の送信、すなわちトルクダウン指令が出され、トルクダウンが行われることとなる。
【0039】
図6は本発明におけるベルト滑り検出と、それに対処するための変速制御を行う他の処理手順を示すフローチャートである。この処理においては、ステップS301〜S304までは前述した図3のフローチャートのステップS101〜S104と同様の処理を行っているが、ステップS305において、ベルト保護制御として、図3のステップS105のトルク上限制限要求値の送信に代えてエンジン回転上限制限要求値を送信している。このエンジン回転上限制限要求値に基づいてエンジン回転数の上限値が制限される。その後、処理を終了する。
【0040】
この場合、ベルトの耐久性が低下したときにエンジン回転数の上限値を制限することとしているため、駆動源であるエンジンのトルクを確実に規制することが可能となり、ベルトが所定値以上のトルクを伝達することがなく、無断変速機の安全性を確保することができ、信頼性も向上する。
【0041】
以上説明したように、本発明による無段変速機の変速制御装置においては、実変速比の高周波数の変動に基づいてベルト滑りを検知することから、最大変速比と最小変速比との間の中間変速比における微小なベルト滑りを早期かつ確実に検知することができて、しかもそれに効果的に対処できるようになることから、変速機自体の動作不良をも事前に回避することが可能となる。
【0042】
特に本発明においては実変速比の高周波数の変動が所定時間継続したときに微小なベルト滑りが発生したと判断しているため、例えば悪路の走行時にも瞬間的に実変速比に高周波数の変動が発生するが、この変動を微小なベルト滑りの発生と判断してしまう可能性を低下させることができ、誤検知が生じる可能性を防ぐことが可能となる。
【0043】
また、ベルトの高周波数の変動の積算時間が所定積算時間を超えた時に、ベルトが所定値以上のトルクを伝達することを規制するベルト保護制御としてエンジントルクの上限、またはエンジン回転数の上限を制限することとしているため、車両の走行性を過剰に低下させることなく、走行性と安全性の両立を図ることが可能となる。
【0044】
この場合、駆動源であるエンジンのトルクを確実に規制することができ、ベルトが所定値以上のトルクを伝達することがなく、無断変速機自体の安全性の確保と信頼性の向上が可能となる。
【0045】
なお、上述した実施形態においては、駆動源としてエンジンを用いて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の駆動源として電動モータを用いた場合であっても、あるいは電動モータとエンジンを併用した場合であっても適用できることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る変速制御装置を具えたVベルト式無段変速機を、その変速制御システムと共に示す略線図である。
【図2】 図1の変速制御システムの詳細を示すブロック線図である。
【図3】 本発明におけるベルト滑り検出とそれに対処するための制御を行う処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図4】 図3におけるベルトの高周波数の変動発生を検知するためのサブルーチンの処理手順を示すフローチャートである。
【図5】 変速比の変動と、それに基づく図3に示す処理手順による信号処理ならびにベルト滑り発生を判定するまでの過程を示すタイムチャートである。
【図6】 本発明におけるベルト滑り検出とそれに対処するための制御を行う処理手順の他の例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 Vベルト式無段変速機
2 プライマリプーリ
3 セカンダリプーリ
4 Vベルト
5 エンジン
6 ロックアップトルクコンバータ
7 前後進切り替え機構
8 出力軸
9 歯車組
10 ディファレンシャルギヤ装置
11 変速制御油圧回路
12 変速機コントローラ
13 プライマリプーリ回転センサ
14 セカンダリプーリ回転センサ
15 セカンダリプーリ圧センサ
16 アクセル開度センサ
17 インヒビタスイッチ
18 油温センサ
19 エンジンコントローラ
21 オイルポンプ
23 プレッシャレギュレータ弁
24 減圧弁
25 変速制御弁
26 変速リンク
27 ステップモータ(変速アクチュエータ)

Claims (3)

  1. 駆動源に直結する入力側のプライマリプーリおよび出力側のセカンダリプーリ間にVベルトを掛け渡し、
    変速アクチュエータを目標変速比に対応した操作位置にすることで、ライン圧を元圧として作り出したプライマリプーリ圧およびセカンダリプーリ圧間の差圧により前記両プーリのV溝幅を変更して、前記プライマリプーリおよびセカンダリプーリそれぞれの回転数比より得られる実変速比が前記目標変速比となるようにしたVベルト式無段変速機において、
    前記実変速比を10Hzのハイパスフィルタによりフィルタ処理を行い、当該フィルタ処理後の信号の実効値を算出して絶対値化し、この絶対値化された信号を平滑化処理して得られた信号値が所定値以上であるときに当該実変速比の高周波数の変動があると判定し、この実変速比の高周波数の変動が所定時間以上継続した場合に前記Vベルトに滑りが発生したと判断するベルト滑り検知手段と、
    このベルト滑り検知手段によりVベルトに滑りが発生したと判断された場合に、前記実変速比の高周波数の変動の継続時間を積算する積算手段とを具え、
    この積算手段による前記実変速比の高周波数の変動の継続時間の積算値が所定値以上となったとき、前記Vベルトが所定値以上のトルクを伝達することを規制するVベルト保護制御を行うことを特徴とする無段変速機の変速制御装置。
  2. 請求項記載の装置において、
    前記Vベルト保護制御として、前記駆動源の出力トルクの上限値を規制する制御を行うことを特徴とする無断変速機の変速制御装置。
  3. 請求項記載の装置において、
    前記Vベルト保護制御として、前記駆動源の回転数の上限値を規制する制御を行うことを特徴とする無断変速機の変速制御装置。
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