JP4290968B2 - マイクロ波焼成炉 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、炉内にマイクロ波を照射することによって陶磁器材料やファインセラミックス材料などの被焼成物を自己発熱させて焼成を行うためのマイクロ波焼成炉に関するものである。
【0002】
【関連の技術】
従来、前述のような被焼成物の焼成の際には、電気炉やガス炉などが一般的に使用されている。しかしながら、このような外部加熱による焼成の場合には、被焼成物の表面と内部との間で温度差が大きくならないように、炉内温度を緩やかに上昇させることが必要であった。このため、焼成時間が長くなるという問題があった。
【0003】
そこで、この問題を解決するために、マイクロ波による被焼成物の焼成法が提案されている(例えば、特開平6−87663号公報)。
【0004】
この方法は、焼成時間の短縮や雰囲気の制御等に優れており、環境負荷低減の観点からも、将来の有力な焼成法として注目を集めている。
【0005】
マイクロ波焼成法は、従来の電気炉やガス炉などの外部加熱による方法とは異なり、被焼成物の誘電損を利用して被焼成物を自己発熱させる焼成方法である。すなわち、マイクロ波を吸収した被焼成物が、それ自身の分子運動によって発熱する。そのため、被焼成物の表面と内部とを区別なく一様に発熱させることができる。
【0006】
もっとも、実際には、被焼成物の表面は熱放散を生じるために、表面よりも内部の方が温度上昇が大きくなる。このような理由から、前記マイクロ波焼成は内部加熱ともいわれる。
【0007】
また、マイクロ波の照射により被焼成物を自己発熱させて焼成する場合、被焼成物と等価なマイクロ波吸収特性を有する耐火断熱材で被焼成物を囲み、それにより、被焼成物の表面からの熱放散により被焼成物の表面と内部との温度勾配が発生することを抑制することによって、被焼成物の均一な焼成が可能であることが報告されている。
【0008】
この方法においては、2.45GHzのマイクロ波を効率よく吸収する陶磁器材料を被焼成物としている。また、陶磁器材料と等価なマイクロ波吸収特性を持つムライト焼結体を発熱体とし、被焼成物を該発熱体で囲み、さらに、発熱体の周囲を断熱材で囲んでマイクロ波焼成炉を構成している。
【0009】
このように被焼成物と発熱体を同時に発熱させることで、均一で緻密な焼成体を得る方法が提案されている(高山定次、水野正敏、平井敏夫、島田忠、佐藤元泰、武藤敬、居田克己、下妻隆、井上徳之、江崎和弘:日本電磁波応用研究会第16回発表資料(2000))。
【0010】
この方法によると、被焼成物と発熱体との間に温度勾配を発生させることなく加熱することができる。その結果、被焼成物の内部と表面との間にも温度勾配が発生せず、従来のマイクロ波焼成技術よりも、より短時間に、均一で、効率の良い被焼成物の加熱を行うことができる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記方法のマイクロ波焼成炉の構成においては、発熱体であるムライト焼結体とそれの外側を囲む断熱材によるマイクロ波の消費割合が大きくなるため、被焼成物によるマイクロ波の消費割合が小さかった。
【0012】
従って、このマイクロ波焼成炉の構成において、限られた一定のマイクロ波出力の条件下では、被焼成物が少量であれば問題ないが、被焼成物の量が多くなると、被焼成物の発熱が不足し、所定の温度まで昇温させることが不可能であった。
【0013】
つまり、上記のマイクロ波焼成炉による構成で一度に焼成することができる被焼成物の処理量を増大させるためには、マイクロ波発振器の数などを増やすなどしてマイクロ波出力を増大させる以外に方法がなく、炉の設計を変更することを余儀なくされていた。
【0014】
また、被焼成物によるマイクロ波の消費割合を大きくするために、即ち、被焼成物以外の部分によるマイクロ波の消費割合を小さくするために、断熱材の厚みを小さくすると、断熱が不十分となり、放散によって外部へと失われる熱量が無視できなくなり、被焼成物とそれを囲んだ発熱体との間に温度勾配が発生してしまうという問題が生じた。
【0015】
更に、上記構成におけるマイクロ波焼成炉を運転すると、短時間での昇温、冷却による熱衝撃によって発熱体が割れてしまい、熱リーク等で炉の運転に支障を来すという問題があった。
【0016】
上記のマイクロ波による焼成方法は、被焼成物の均一焼成および従来の外部加熱による焼成方法と比べた場合の省エネルギー化という点で、既にかなりの水準まで達している。
【0017】
しかしながら、マイクロ波焼成の主たる効果のひとつである省エネルギー化という点では、更なる改良が求められている。即ち、上記のマイクロ波による焼成方法においては、マイクロ波の出力を増大させることなく、限られた一定のマイクロ波出力の条件のもとで、より多くの被焼成物を焼成することが可能となるような、発熱機能と断熱機能を備えた材料が求められる。言い換えると、(1)マイクロ波吸収によって被焼成物と等価に発熱しながらも、熱放散によって発生する被焼成物との間の温度勾配をより小さくするような優れた断熱性を有し、(2)耐火断熱材としてのマイクロ波の消費割合がより小さく、(3)短時間での昇温および冷却という使用環境において優れた耐熱衝撃性を有する耐火断熱材が望まれる。
【0018】
本発明の目的は、マイクロ波の照射によって、自己発熱で被焼成物を焼成するマイクロ波焼成炉を改良することである。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本願発明者は、鋭意研究の結果、マイクロ波焼成炉の構成における発熱体のマイクロ波消費割合を減少させ、発熱体に耐熱衝撃性を付与し、かつ被焼成物と発熱体との間に温度勾配が生じることなく、所定の温度まで昇温することができるようにするため、発熱体を骨材と無機結合材からなる構成とし、骨材は、900℃よりも高い温度で焼成された焼成カオリンとした。さらに該発熱体と、該発熱体の熱放散を抑制する断熱機能を有する基材で耐火断熱材を形成することによって、前記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成させた。
【0020】
本発明の解決手段を例示すると、各請求項に記載のマイクロ波焼成炉である。
【0021】
本発明によるマイクロ波焼成炉に用いる発熱体は、好適には、骨材および無機結合材により構成し、骨材は900℃よりも高い温度で焼成された焼成カオリンであることを特徴とする。
【0022】
また、耐火断熱材は、好適には、前記発熱体と、無機繊維質材料を主成分とした基材により形成されていることが好ましい。
【0023】
【発明の実施の形態】
マイクロ波の吸収による発熱は、その物質の誘電損に起因する現象である。
【0024】
一般に、マイクロ波吸収による発熱は、その物質の誘電損失の値に比例して大きくなる。言い換えれば、誘電損失の大きい物質は、マイクロ波を吸収しやすく、発熱しやすい。
【0025】
また、一般に、材料のマイクロ波吸収は、材料の密度に大きく依存する。材料を構成する物質が同じであれば、密度が大きいほどマイクロ波を多く吸収するが、同時にマイクロ波の消費が多くなる。
【0026】
上記従来技術で用いられるムライト焼結体は緻密体であるため、上記のようにマイクロ波を吸収しやすい反面、マイクロ波の消費が多く、さらに短時間での昇温および冷却による熱衝撃に対する抵抗性(耐熱衝撃性)が小さかった。
【0027】
本発明では、骨材と無機結合材により発熱体を構成することにより、発熱体の密度を小さくすることで、マイクロ波焼成炉における、発熱体のマイクロ波消費割合を減少させる効果と、発熱体の耐熱衝撃性を向上させる効果を発現させている。
【0028】
本発明の発熱体の好適な実施態様では、骨材粒子が粒子同士の焼結によって緻密に結合している緻密体ではなく、骨材が無機結合材を介して発熱体自身の密度が小さくなるように結合させたものである。そのため、発熱体は、短時間での昇温および冷却による熱衝撃に対し大きな抵抗力を持つ。
【0029】
上記のムライト焼結体を発熱体とする方法、および本発明においても、被焼成物と発熱体との間に温度勾配が生じることなく加熱することが好ましい。
【0030】
本発明の好適な実施態様では、発熱体を骨材と無機結合材から構成する。この構成において、骨材は、900℃よりも高い温度で焼成された焼成カオリンであることが好ましい。
【0031】
マイクロ波を照射した際に、被焼成物とそれを囲む発熱体の表面温度を実質的に同一にすることを考えれば、発熱体の主成分となる骨材は、被焼成物と同一の材質とすることが適切であると考えることができる。
【0032】
被焼成物である陶磁器材料の原料となるのは、カオリン粘土、長石および石英であり、一般的に、その配合比は、カオリン粘土4、長石3、石英3である。このうち、長石は、誘電特性に影響をおよぼすアルカリ金属酸化物成分を主成分として含んでおり、カオリン粘土、石英に比べて、大きなマイクロ波吸収特性を有すると考えられる。したがって、被焼成物のマイクロ波吸収による発熱は、主として、長石に依存していると考えることができる。
【0033】
したがって、長石成分のマイクロ波吸収に依存して発熱する被焼成物と実質的に等価に発熱する機能が発熱体に要求される。しかしながら、長石は昇温の過程で液相となるため、長石成分を含む陶磁器材料は昇温の過程で軟化する。したがって、陶磁器材料そのものを発熱体として使用することは不可能である。そこで、本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、焼成カオリンを発熱材の骨材として使用した場合、焼成カオリンの焼成温度が900℃よりも高い温度になると、得られる発熱体の発熱機能が著しく増大し、得られる発熱体が、長石成分に依存して発熱する陶磁器材料と実質的に等価な発熱機能を発現することを見出した。また、得られる発熱体は、昇温の過程で軟化をせず、発熱体としての使用において耐久性があることを見出したのである。
【0034】
カオリン粘土の主成分はカオリナイトという粘土鉱物である。カオリナイトは、一般的に、表1に示すように加熱にともなう相変化を起こすことが知られている。
【0035】
【表1】
900℃よりも高い温度で焼成された焼成カオリンを発熱体の骨材とした場合に、その発熱体の発熱機能が著しく増大したのは、加熱による相変化によって、カオリナイトが大きい誘電損失を有する物質に変化したことによるものと考えることができる。すなわち、900℃よりも高い温度で焼成された焼成カオリンを発熱体の骨材とした場合に、その発熱体の発熱機能が著しく増大したのは、表1に示すように、カオリナイトの加熱による相変化によって生成するAl−Siスピネルおよび遷移過程の状態を含むムライトが、カオリナイトよりも大きな誘電損失を有し、より大きなマイクロ波吸収特性を有することによるものと考えることができる。
【0036】
一方、被焼成物の温度が900℃よりも高い温度、特に約980℃よりも高い温度になると、被焼成物のカオリン成分も、同様に、表1に示すように相変化し、より大きなマイクロ波吸収特性を有する物質に変化する。したがって、被焼成物全体としてのマイクロ波吸収による発熱が増大する。このとき、発熱体よりも、被焼成物の発熱が大きくなり、発熱体と被焼成物との間に温度勾配が発生することが懸念される。しかしながら、後述する実施例に示すように、被焼成物は、短時間で均一に焼成することが可能であった。したがって、この場合に発生する温度勾配は、被焼成物の均一焼成という点において支障を来す程度のものではないと判断することができる。
【0037】
一方、発熱体を構成する無機結合材は、ケイ酸ソーダがより好ましい。
【0038】
本発明では、発熱体を骨材と無機結合材から形成し、発熱体の密度を小さくしたことによって、骨材粒子による発熱分は従来技術で使用したような焼結体に比べて不足する。また、焼結体に比べ、骨材粒子の周辺は、無機結合材または空間となりやすく、骨材粒子自身は発熱するものの、熱放散によって冷却されやすい状態となる。
【0039】
もし、ここで、無機結合材のマイクロ波吸収が小さければ、無機結合材を介して結合されている骨材の粒子が、マイクロ波を吸収して発熱しても、一方で、無機結合材による熱放散によって冷却されてしまい、発熱体としての発熱機能を全く発現しなくなる。
【0040】
本発明の好適な実施態様においては、無機結合材として、被焼成物よりも大きいマイクロ波吸収特性を有する物質を用いることによって、発熱体の密度を小さくしたことによる発熱の減少分を無機結合材の発熱によって補い、さらに、骨材粒子の熱放散による冷却を抑制するのである。このようにすれば、被焼成物と発熱体との間に温度勾配が生じることなく、マイクロ波による焼成ができる。
【0041】
また、無機結合材は、高温においても有機結合材のように焼失せず、安定に骨材粒子を結合させる役割を持つ。
【0042】
さらに、補強材として、本発明の発熱体に無機繊維を含ませると、耐熱衝撃性が向上して好ましいが、この場合、無機繊維を含ませることで発熱体の密度はより小さくなり、上記の如く発熱機能が低下するため、その分を被焼成物よりも大きなマイクロ波吸収特性を有する無機結合材で補うことが一層好ましい。
【0043】
上記特性を有する無機結合材として、ケイ酸ソーダを好ましく使用することができる。ケイ酸ソーダは、被焼成物である陶磁器材料よりも誘電損失が大きく、より大きなマイクロ波吸収特性を有する物質である。また、ケイ酸ソーダは、固体粉末の状態での使用の他に、水ガラスと呼ばれる溶液の状態での使用も汎用的であり、骨材粒子と均一に混合することが容易である。従って、ケイ酸ソーダは、マイクロ波吸収によって発熱した骨材の熱放散を抑制すると同時に、発熱体の密度の低下による発熱機能の低下を補うことができる。
【0044】
補強材の役割を果たす無機繊維としては、例えば、アルミナシリカ繊維、アルミナ繊維、ムライト繊維が好ましい。特に、ムライト繊維を好ましく使用することができる。ムライトは陶磁器材料に普遍的に含まれている結晶相のひとつであり、陶磁器材料に近いマイクロ波吸収特性を有する。そのため、補強材として使用する無機繊維もムライト質であることが特に好ましい。
【0045】
本発明の発熱体は、スラリーまたはセメント状の、不定形のコート材によって形成することが好適である。コート材によって発熱体を形成する場合、骨材と無機結合材の他に、増粘剤および水を適宜使用することができる。
【0046】
また、無機繊維質材料を基材とし、その基材の片面に前記発熱体を設けた構造体は、マイクロ波焼成炉用耐火断熱材として好適である。
【0047】
前記の発熱体が設けられる基材は、マイクロ波の透過が可能であり、高い断熱性を有している材料を好ましく使用することができる。マイクロ波が基材に吸収され、基材によるマイクロ波の消費割合が大きくなってしまうと、結果として、被焼成物の焼成に必要なエネルギー量が著しく増大してしまう。
【0048】
また、放射冷却による発熱体の温度降下を抑制するために、基材は高い断熱性を有することが好ましい。さらに、基材は、耐熱衝撃性に優れていることが好ましい。
【0049】
このような特性を満たす基材としては、例えば、アルミナシリカ繊維を主成分とするセラミックファイバボードを挙げることができる。セラミックファイバボードは、マイクロ波の透過が可能であると共に、優れた断熱性および耐熱性と、高い耐熱衝撃性を有しており、好ましく使用することができる。
【0050】
【実施例】
次に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
【0051】
所定の温度で焼成した焼成カオリン100重量部、水ガラス4号13重量部、ムライト繊維9重量部、水57重量部、無機増粘剤1重量部を配合し、これをミキサーにて攪拌・混練して発熱体を形成するための不定形のコート材を得た。焼成カオリンの焼成温度は、500〜1500℃の範囲で10種を設定した。焼成カオリンの焼成温度を、コート材の配合組成とあわせて表2に示す。
【0052】
【表2】
まず、得られた発熱体の発熱機能の評価を行った。評価方法を以下に記す。
【0053】
得られたコート材を、肉厚25mmのセラミックファイバボード(東芝モノフラックス株式会社製FMX−16CV)の片面に2mmの厚さで塗布した。その後、それを110℃で3時間乾燥させて、本発明の発熱体を設けた耐火断熱材を得た。ただし、比較例4は、2mm厚のムライト焼結体を発熱体とし、これを前記セラミックファイバボードの片面に設置して耐火断熱材を得た。
【0054】
次に、この耐火断熱材を用いて、発熱体を設けた面を内側にして40×40×25mmの閉空間を炉内に作成した。
【0055】
発熱体の発熱機能の評価は、この閉空間内の温度を測定することによって行った。すなわち、この閉空間内の温度を測定するための温度履歴センサーのペレット(JFCC製リファサーモ)を設置し、小型マイクロウェーブオーブンを用いて、出力500Wにて周波数2.45GHzのマイクロ波を90分照射した。
【0056】
温度履歴センサーによって測定された、閉空間内の温度を表2に示す。
【0057】
また、実施例1〜7および比較例1〜4により得られた、発熱体の骨材である焼成カオリンの焼成温度と、マイクロ波照射によって昇温した発熱体で囲まれた閉空間内の温度測定値との関係を図1に示す。
【0058】
図1に示すように、発熱体の骨材である焼成カオリンの焼成温度が900℃以下であると、発熱体で囲まれた閉空間内の温度は600℃未満であり、発熱体としての発熱機能が低かった。しかしながら、発熱体の骨材である焼成カオリンの焼成温度が900℃よりも高い温度であると、発熱体で囲まれた閉空間内の温度は1100℃以上であり、発熱体の発熱機能が高くなった。
【0059】
また、ムライト焼結体を発熱体とした比較例4においても前記条件でマイクロ波照射を行ったが、発熱体に囲まれた閉空間内の温度は、照射時間90分では600℃以下であった。
【0060】
次に、陶土製容器の焼成実験を行った。
【0061】
表2の配合組成によって得られたコート材を、肉厚40mmのセラミックファイバボード(東芝モノフラックス株式会社製FMX−17SR)に2mmの厚さで塗布した。その後、それを110℃で3時間乾燥させ、前述の発熱体を設けた耐火断熱材を得た。ただし、比較例4は、市販のムライト焼結体を発熱体とし、これを前記セラミックファイバボードに設置して耐火断熱材を得た。
【0062】
次に、この耐火断熱材を用いて、発熱体を内側にして、300×300×150mmの閉空間を作った。
【0063】
次に、被焼成物として、外径85mm、内径75mm、高さ85mmの寸法を有するカップ形状の陶土製容器を用意した。この陶土製容器を、前述の閉空間内に置いて、周波数2.45GHzのマイクロ波を照射した。
【0064】
陶土製容器の焼成実験の結果を表2に示す。陶土製容器の焼成は、○が焼成可能、×が焼成不可能であることを示す。
【0065】
実施例1〜7の発熱体を設けた場合は、発熱体および被焼成物の表面付近の温度は実質的に同一であり、約100分で1300℃まで昇温し、短時間での昇温が可能であった。しかしながら、比較例1〜3の発熱体を設けた場合は、閉空間内が昇温せず、陶土製容器の焼成を行うことができなかった。また、比較例4のムライト焼結体を発熱体とした場合は、陶土製容器の焼成は可能であったものの、1300℃までの昇温に約180分を要し、実施例1〜7の場合よりも、昇温に多くの時間が必要であった。さらに、比較例4の発熱体には、熱衝撃による亀裂の発生が見られた。
【0066】
【発明の効果】
本発明のマイクロ波焼成炉によれば、限られた一定のマイクロ波出力の条件下で、より多くの被焼成物を焼成することが可能となると共に、被焼成物と発熱体の表面温度が実質的に同一となり、熱衝撃による被焼成物の割れを発生させることなく、被焼成物を均一に短時間で焼成することが可能となる。さらに、耐火断熱材は、熱衝撃で割れることがないので、炉の運転に支障をきたすことがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 発熱体の骨材である焼成カオリンの焼成温度と、マイクロ波照射によって昇温した発熱体で囲まれた閉空間内の温度測定値との関係を示す。
Claims (3)
- 発熱体で囲まれた閉空間が形成されており、マイクロ波の照射によって閉空間内の被焼成物を自己発熱で焼成するためのマイクロ波焼成炉であって、被焼成物は、長石成分を含む陶磁器材料であり、発熱体は、骨材と無機結合材により構成することにより、発熱体の密度を小さくして、発熱体のマイクロ波消費割合を減少させる効果と、発熱体の耐熱衝撃性を向上させる効果を発現させ、かつ、骨材は、粒子同士の焼結によって緻密に結合している緻密体ではなく、無機結合材を介して発熱体自身の密度が小さくなるように結合させたものであり、しかも、焼成カオリンを骨材として使用し、焼成カオリンの焼成温度を900℃よりも高い温度にすることにより、得られる発熱体の発熱機能を増大させ、さらに、得られる発熱体が、長石成分に依存して発熱する陶磁器材料と実質的に等価な発熱機能を発現するようにし、かつ、昇温の過程で軟化をせず、発熱体としての使用において耐久性を有し、さらに、被焼成物よりも大きいマイクロ波吸収特性を有する無機結合材としてケイ酸ソーダを用いて、発熱体の密度を小さくしたことによる発熱の減少分を無機結合材の発熱によって補い、さらに、骨材の粒子の熱放散による冷却を抑制して、被焼成物と発熱体との間に温度勾配が生じることなく、マイクロ波による焼成を行なえるようにしたことを特徴とするマイクロ波焼成炉。
- 補強材として無機繊維を含んでいることを特徴とする請求項1に記載のマイクロ波焼成炉。
- 無機繊維がムライト繊維であることを特徴とする請求項2に記載のマイクロ波焼成炉。
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