JP4289730B2 - 清酒熟度判定方法および清酒熟度判定装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、清酒の熟度の判定を行うための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
清酒は、一般的には、醸造された後に火入れ処理され、火入れ処理後にタンクに貯蔵され(生酒の場合には醸造後に火入れ処理を行わずに貯蔵される)、適度な熟度になったころに容器に詰められて出荷される。
【0003】
このような工程によって清酒の製造、出荷する工場等では、貯蔵している清酒が出荷可能な熟度に達しているか否かを判定する必要がある。
【0004】
この熟度判定は、従来から、官能検査、即ち、専門の検査員が実際に清酒を味見することによって行なっていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記官能検査では、一人の検査員が判定できるサンプル数に限界がある。即ち、清酒の官能検査では、判定対象の清酒を口に含むだけで飲み込むことはしないが、実際には体内に微量ずつアルコールが吸収されてしまう。このため、判定対象のサンプル数があまり多くなると検査員が酔ってしまい、識別力が低下して正確な判定が行なえなくなる。
【0006】
また、検査員の識別力に個人差があり熟度の判定結果にバラツキが生じる。
【0007】
本発明は、この問題を解決して、官能検査に頼らずに、清酒の熟度を正確に把握できるようにした清酒熟度判定方法および清酒熟度判定装置を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明の請求項1の清酒熟度判定方法は、
醸造された直後の清酒のサンプルに、両親媒性物質を含む分子膜を浸漬して該分子膜の電位を初期値として測定する段階と、
前記サンプルを実際に熟成させるときの貯蔵温度より高い温度で保存し熟成を早めた状態で前記分子膜の電位の測定を行い、該測定された電位の前記初期値からの変化量を求め、該変化量のうち実際に出荷に適した熟度に達したときの変化量を判定基準値と決定する段階と、
醸造された直後の判定対象の清酒に、前記分子膜を浸漬して該分子膜の電位を測定する段階と、
前記醸造後の熟成が進行する通常環境下で時間が経過した清酒に、前記分子膜を浸漬して該分子膜の電位を測定する段階と、
前記醸造直後の清酒について測定した電位と、熟成が進行する環境下で時間が経過した清酒について測定した電位との差を求める段階と、
該求めた差と前記判定基準値とを比較し、該比較結果から前記判定対象の清酒が出荷に適した熟度に達したか否かを判定する段階とを含むことを特徴としている。
【0010】
また、本発明の請求項2の清酒熟度判定装置は、
参照電極と、両親媒性物質を含む分子膜とを有するプローブ(22)と、
前記プローブの参照電極と分子膜との間の電位差を検出する電圧検出手段(35)と、
醸造された直後の清酒のサンプルに前記プローブを浸漬したときに前記電圧検出手段で得られた電位差を初期値として記憶し、且つ前記サンプルが実際に熟成するときの貯蔵温度より高い温度で保存されて熟成が早められた状態における前記プローブによる測定値の前記初期値からの変化量のうち、出荷に適した熟度に達したときの変化量を判定基準値として記憶している手段(37a)と、
前記プローブを判定対象の清酒に浸漬したときに前記電圧検出手段によって検出された電位差と前記初期値との差を求める減算手段(37)と、
前記減算手段で得られた差と前記判定基準値とを比較し、その比較結果から前記判定対象の清酒の熟度が出荷に適した熟度に達したか否かを判定する判定手段(37)とを備えたことを特徴としている。
【0011】
また、本発明の請求項3の清酒熟度判定装置は、請求項2記載の清酒熟度判定装置において、
前記分子膜は、両親媒性物質と、可塑材と、高分子材とを混合して得られたものであり、前記両親媒性物質は、極性を有し、その膜中の濃度が1〜7パーセントの範囲にあることを特徴としている。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を説明する。
図1は、清酒の熟度を判定するための清酒熟度判定装置20の構成を示す図である。
【0013】
図1において、清酒熟度判定装置20は、基準液や判定対象の清酒を入れるための容器21と、プローブ22と、プローブ22の出力電圧を検出する電圧検出器35と、電圧検出器35の出力をディジタル値に変換するA/D変換器36と、A/D変換器36の出力に対する演算処理や判定処理を行う演算装置37と、演算装置37の処理結果を出力する出力装置38によって構成されている。
【0014】
プローブ22は、容器21に入れた液体に漬けて使用するものであり、測定の基準電位を出力するための参照電極23と、両親媒性物質または苦み物質を含む分子膜25とを有している。
【0015】
参照電極23の表面は、液体内の脂質に反応しないように、塩化カリウム3.3mole/lを寒天で固定した緩衝層24で覆われており、リード線22aが接続されている。
【0016】
分子膜25は、アクリル等の基材26の表面に一面側を露呈させた状態で固定されており、分子膜25の反対面には、参照電極23の緩衝層24と同等の緩衝層27を介して電極28が設けられ、この電極28にはリード線22bが接続されている。
【0017】
分子膜25は、無極性で疎水性を有する部分と有極性で親水性を有する部分とを有する両親媒性物質が、その親水性部分を表面側に向けた状態で膜をなすように一体化されたものであり、液に漬けたときにその膜の電位が液中の成分に応じて変化する。
【0018】
この模式的な構造を図2に示す。図2において、各分子31は、球状の親水基31aと、親水基31aから原子配列が長く延びる炭化水素鎖31bとからなり、これらの各分子群が、その親水基31a側が表面側に並ぶように、膜部材32(後述の高分子と可塑剤からなる)の表面のマトリクス33(表面構造、平面的な広がりをもつミクロな構造)の中に、一部はマトリクス内部に溶け込んだ形(例えば分子31′)で収容されている。
【0019】
分子膜25は、脂質分子と、ベースとなる高分子と、可塑剤とを所定の割合で混合して作製されたものである。
【0020】
その一例を示すと、高分子にはポリ塩化ビニル(PVC)を用い、可塑剤としてフタル酸ジオクチル(DOP)、ジオクチルフェニルフォスフォネート(DOPP)、リン酸トリクレシル(TCP)あるいはニトロフェニルオクチルエーテル(NPOE)を用いて上記の脂質分子と混合したもの800mgを、THF10ccに溶解し、平底の容器(例えば85mmφのシャーレ)に移し、それを均一な加熱された板上で約30度Cに2時間保って、THFを揮散させることで厚さ約200μmの分子膜を得ることができる。なお、高分子と可塑剤の混合比は1対1程度であるが、後述するように高分子と可塑剤に対して脂質分子の濃度はかなり低くなっている。
【0021】
本願発明者らは、種々の実験からこの分子膜25の両親媒性物質の濃度を選ぶことによって、清酒の熟度に対して顕著な相関性を示す出力が得られることを見いだした。
【0022】
即ち、分子膜25を形成する脂質等の両親媒性物質として、極性を有するものを用い、その濃度を1〜7パーセントの範囲にすることで清酒の熟度に対して顕著に相関する出力が得られ、しかもその相関は、両親媒性物質の種類にほとんど依存しないことが判明した。
【0023】
実験は下記の(a)〜(e)の5つのパラメータで、計36種類の分子膜を作製し、清酒の熟度と感度の関係を調査した。
【0024】
(a)脂質の種類(トリオクチルアンモニウムクロライド、ジオクチルフォスフェート、オレイン酸、フォスファチジルセリン、オレイルアミン)
(b)可塑剤の種類(DOPP、NPOE、TDA)
(c)脂質の濃度
(d)可塑剤の濃度
(e)脂質の混合比
【0025】
また、清酒は、熟成過程に入る直前のもの(一般の清酒では醸造後に火入れ処理された直後のものであり、生酒の場合には醸造直後のものであるが、以下の説明では、この熟成過程に入る直前のものを火入れ処理を含めて醸造直後のものと記す)、醸造されてから40度の環境で1週間単位に、1〜5週間熟成したものを用いた。
【0026】
官能検査の結果では、40度で1週間から2週間で熟度が確実に増加していることが判った。
【0027】
そこで、熟度に対する感度は、各3種類の清酒に対して、初期から第1週間と第2週間の変化の大きさ(計6サンプルのセンサの変化量の絶対値の平均)で評価した。ここで、絶対値を用いたのは、膜の極性により、出力がプラスに変化するものとマイナスに変化するものとがあるからである。
【0028】
測定は3回ずつ行い、測定誤差の小さいものを20種類選択した。その20種類の膜の熟度に対する感度と、極性のある両親媒性物質の膜中の濃度の関係を図3に示す。
【0029】
図3に示しているように、熟度に対する感度は、極性のある両親媒性物質の膜中の濃度に依存して変化することが発見できた。
【0030】
なお、可塑剤に含まれる不純物は、可塑剤の製造過程において数パーセントの含有量で混入する物質で、極性のある両親媒性物質を含んでおり、極性のある両親媒性物質の膜中の濃度には可塑剤中のものも含んでいる。
【0031】
今回の実験では、分析の結果、NPOE自体に2パーセント、DOPP自体に2パーセント、TDA自体に0.5パーセント含まれていた。
【0032】
図3から明らかなように、可塑剤中のものを含んだ膜中の両親媒性物質の濃度が1〜7パーセントの範囲では、誤差に比較して優位な感度があり、熟度に相関する出力が得られており、1〜4パーセントの範囲では感度が2倍近く得られ、さらに、1.5〜3パーセントの範囲では、より高い感度が得られている。
【0033】
なお、清酒内のどの物質に両親媒性物質が感応しているかは現在のところ特定されていないが、味の測定等に従来使用されていた分子膜のように両親媒性物質の濃度が10〜20パーセントのものでは、清酒の熟度に相関を示すような出力は得られておらず、この分子膜25の両親媒性物質の濃度の低さから清酒中の微量物質に感応していると見られ、熟成が進むほどこの微量物質の濃度が高くなるものと予想される。
【0034】
このように、極性を有し、可塑剤に含まれるものを含めた両親媒性物質の膜中の濃度を1〜7パーセントの範囲にすることで、清酒の熟度の判定に適した分子膜を得ることができる。
【0035】
上記の分子膜25と参照電極23とからなるプローブ22を液体に漬ける際には、測定条件が変わらないように、参照電極23と分子膜25の間隔を一定にするが、支持材29によって参照電極23と基材26とを一定の間隔で支持してもよい。
【0036】
プローブ22のリード線22a、22bは、電圧検出器35に接続されている。電圧検出器35は、例えば差動増幅器によって構成され、参照電極23の電位と分子膜25の電位の差(電圧)を検出してA/D変換器36に出力する。
【0037】
A/D変換器36は電圧検出器35の出力電圧をディジタル値に変換して演算装置37に出力する。
【0038】
演算装置37は、マイクロコンピュータによって構成され、図示しない操作部等から記憶指示Mを受けるとA/D変換器36の出力値をメモリ37aに記憶し、演算指令Cを受けるとメモリ37aの記憶値およびA/D変換器36の出力値に基づいて、清酒の熟度判定のために必要な演算処理や判定処理を行い、その結果を出力装置38に出力する。
【0039】
出力装置38は、ランプ、ブザー、表示器、プリンタあるいは他装置との通信装置等によって構成され、演算装置37の処理結果を、点灯、点滅、アラーム音で出力したり、表示出力、印刷出力あるいは他装置へ送信する。
【0040】
この測定システムを用いて清酒の熟度を判定するためには、清酒の熟度と前記した分子膜25の出力との関係を予め把握しておく必要がある。
【0041】
この関係を求めるために、発明者らは3種類の清酒A〜Cについて、醸造直後のものと、醸造後に熟成が進行する環境下で時間が経過したものを、図4に示す手順で測定した。
【0042】
ここで、清酒Aはアミノ酸が非常に少なく淡麗な酒質の清酒、清酒Bは一般的な酒質の醸造酒、清酒Cは一般的な酒質の吟醸酒であり、各清酒A〜Cについて、醸造後のもの(実際には醸造直後に0〜5°Cの間の熟成が進行しない温度環境下で保存したもの)、醸造から40°Cで1週間、2週間、3週間、4週間、5週間熟成させたものを第1〜第6のサンプルとして予め用意する。
【0043】
そして、図4に示しているように、基準液にプローブ22を漬けてそのときの出力電圧Vr(n)をメモリ37aに記憶してから、第nのサンプルにプローブ22を漬けてそのときの出力電圧V(n)をメモリ37aに記憶し、その電圧差Vs(n)=V(n)−Vr(n)を求めてメモリ37aに記憶し、プローブ22を洗浄するという処理を各清酒A〜Cの第1〜第6のサンプルについて行い、これらの測定結果から熟度判定の基準値を決定する。
【0044】
なお、ここで分子膜25としては、可塑剤としてNPOEを1000ml、高分子としてPVC800mg、脂質としてTOMA10mgを混合して作製されたものを用いており、可塑剤中の脂質濃度が2パーセント(膜中換算で1パーセント)、TOMAの膜中換算濃度が0.5パーセントであり、膜中の脂質の総濃度は1.5パーセントである。
【0045】
また、基準液としては、味を清酒に近づけるためのコハク酸30mM、導電率を清酒に近づけるための塩化カリウム(KCl)30mM、アルコール度を清酒に近づけるためのエタノール15パーセントの溶液を用いている。
【0046】
また、洗浄液としては、分子膜25にマイナス極性の両親媒性物質を用いている場合には、アルカリ性のKOH(水酸化カリウム)10mMとエタノール30パーセントの溶液を用い、分子膜25にプラス極性の両親媒性物質を用いている場合には、酸性のHCl(塩酸)10mMとエタノール30パーセントの溶液を用いている。
【0047】
また、ここでは測定時間を短縮するために、実際の工場の貯蔵温度(15°C程度)に比べて格段に高い40°Cという温度で保存して熟成を早めたサンプルを用いている。
【0048】
図5は、上記の測定で得られた各サンプル毎の電圧Vs(1)〜Vs(6)を、醸造直後のサンプルの電圧Vs(1)からの変化量で表したものである。
【0049】
図5から明らかなように、各清酒A〜Cとも、醸造直後から2週間までは、電圧が同一方向(図では減少方向)に単調変化しており、2週間以降はほぼ平坦になる。
【0050】
実際に官能検査で各サンプルを判定した結果、清酒A〜C全体としては、醸造直後から1週間までのものは熟成が足らず味が若く、1週間を超える頃からまろやかさが徐々に増し、3週間を超えるとひね香(劣化の味)がでてきて出荷できない品質となるとの評価が出ている。
【0051】
また、官能検査においては、清酒の種類によって、熟度の度合いがかなり違っている点、清酒Cの場合保存時間の違いによる熟成の度合いの差がはっきりでている点が確認されており、これらの点は図5の測定結果と良く符号している。
【0052】
以上のことから、熟度のひとつの判定基準として、出荷に適した熟度か否かを判定する場合、出荷された清酒が実際に飲まれるまでの期間を考慮して、清酒Aについては醸造直後の電圧からおよそ1.0〜1.2mV低下したものを出荷対象とし、清酒Bについては醸造直後の電圧からおよそ1.5〜1.7mV低下したものを出荷対象とし、清酒Cについては醸造直後の電圧からおよそ1.9〜2.1mV低下したものを出荷対象とすればよく、これらの各値を判定のための基準値として決定する。
【0053】
そして、これら3種の清酒A〜Cが出荷に適した熟度に達したか否かを判定する場合、その清酒についての醸造直後の測定値Vs(1)と、判定の基準値Rx、Ry(清酒AであればRx=1.0、Ry=1.2)とを予め演算装置37のメモリ37aに記憶しておけば、清酒が出荷に適した熟度に達しているか否かを容易に把握することができる。
【0054】
即ち、図6のフローチャートに示しているように、基準液の測定値Vrと判定対象の清酒の測定値Vとの差Vsを求め、この差Vsと醸造直後の電圧Vs(1)との差ΔVを求め、この差ΔVと基準値Rx、Ryとを比較し、差ΔVが基準値Rx、Ryの間にあれば、その清酒が出荷に適した熟度に達していると判定し、差ΔVが基準値Rxより小の場合には、その清酒は熟成不足と判定し、差ΔVが基準値Ryより大の場合には、その清酒が出荷に適した熟度を超えてしまっていると判定する。そして、これらの判定結果を出力装置38から出力することにより、その清酒が出荷に適した熟度に達しているか否かを容易に把握することができる。
【0055】
なお、上記説明では、清酒が出荷に適した熟度に達しているか否かあるいは超えているか否かを判定するようにしているが、予め熟度をより多段階にランク分けし、各ランク毎に基準値を設定し、判定対象の清酒を測定したとき測定値からその清酒がどの熟成段階にあるかを判定してもよい。
【0056】
このように、実施形態の清酒熟度判定方法および装置は、両親媒性物質を含む分子膜25を清酒に浸漬したときの電位が、その清酒の熟度の程度に対応して変化することを利用して、清酒の熟度を判定しているので、官能検査のように検査人の識別力に左右されることなく、再現性が高く正確な判定が行なえる。
【0057】
また、分子膜を形成する脂質等の両親媒性物質として、極性を有するものを用い、その濃度を1〜7パーセントの範囲にすることで、清酒の熟度に対して顕著に相関する出力が得られ、この分子膜を用いることで、清酒の熟度の判定を容易に行なうことができる。
【0058】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の清酒熟度判定方法および装置は、両親媒性物質を含む分子膜を清酒に浸漬したときの電位が、その清酒の熟度の程度に対応して変化することを利用したものであり、醸造された直後の清酒のサンプルに、その分子膜を浸漬したときの電位を初期値とし、サンプルを実際に熟成させるときの貯蔵温度より高い温度で保存し熟成を早めた状態で分子膜で測定された電位の初期値からの変化量を求め、その変化量のうち実際に出荷に適した熟度に達したときの変化量を判定基準値と決定し、醸造された直後の判定対象の清酒に分子膜を浸漬したときの電位と、醸造後の熟成が進行する通常環境下で時間が経過した清酒に分子膜を浸漬したときの電位との差を求め、その差と判定基準値とを比較し、その比較結果から判定対象の清酒が出荷に適した熟度に達したか否かを判定しているので、官能検査のように検査人の識別力に左右されることなく、再現性が高く且つ効率的な測定が行える。
【0059】
また、分子膜を形成する脂質等の両親媒性物質として、極性を有するものを用い、その濃度を1〜7パーセントの範囲にすることで、清酒の熟度に対して顕著に相関する出力が得られ、この分子膜を用いることで、清酒の熟度を容易に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の清酒熟度判定装置の構成を示す図
【図2】分子膜の模式的な構造を示す図
【図3】 膜中の両親媒性物質の濃度と熟度に対する感度との関係を示す図
【図4】分子膜の出力と清酒の熟度との相関を求めるための手順の一例を示すフローチャート
【図5】銘柄が異なる清酒の貯蔵時間の長さに対する分子膜の出力変化を示す図
【図6】清酒の熟度を判定するための手順の一例を示すフローチャート
【符号の説明】
20 清酒熟度判定装置
22 プローブ
23 参照電極
25 分子膜
35 電圧検出器
36 A/D変換器
37 演算装置
37a メモリ
38 出力装置
Claims (3)
- 醸造された直後の清酒のサンプルに、両親媒性物質を含む分子膜を浸漬して該分子膜の電位を初期値として測定する段階と、
前記サンプルを実際に熟成させるときの貯蔵温度より高い温度で保存し熟成を早めた状態で前記分子膜の電位の測定を行い、該測定された電位の前記初期値からの変化量を求め、該変化量のうち実際に出荷に適した熟度に達したときの変化量を判定基準値と決定する段階と、
醸造された直後の判定対象の清酒に、前記分子膜を浸漬して該分子膜の電位を測定する段階と、
前記醸造後の熟成が進行する通常環境下で時間が経過した清酒に、前記分子膜を浸漬して該分子膜の電位を測定する段階と、
前記醸造直後の清酒について測定した電位と、熟成が進行する環境下で時間が経過した清酒について測定した電位との差を求める段階と、
該求めた差と前記判定基準値とを比較し、該比較結果から前記判定対象の清酒が出荷に適した熟度に達したか否かを判定する段階とを含む清酒熟度判定方法。 - 参照電極と、両親媒性物質を含む分子膜とを有するプローブ(22)と、
前記プローブの参照電極と分子膜との間の電位差を検出する電圧検出手段(35)と、
醸造された直後の清酒のサンプルに前記プローブを浸漬したときに前記電圧検出手段で得られた電位差を初期値として記憶し、且つ前記サンプルが実際に熟成するときの貯蔵温度より高い温度で保存されて熟成が早められた状態における前記プローブによる測定値の前記初期値からの変化量のうち、出荷に適した熟度に達したときの変化量を判定基準値として記憶している手段(37a)と、
前記プローブを判定対象の清酒に浸漬したときに前記電圧検出手段によって検出された電位差と前記初期値との差を求める減算手段(37)と、
前記減算手段で得られた差と前記判定基準値とを比較し、その比較結果から前記判定対象の清酒の熟度が出荷に適した熟度に達したか否かを判定する判定手段(37)とを備えたことを特徴とする清酒熟度判定装置。 - 前記分子膜は、両親媒性物質と、可塑材と、高分子材とを混合して得られたものであり、前記両親媒性物質は、極性を有し、その膜中の濃度が1〜7パーセントの範囲にあることを特徴とする請求項2記載の清酒熟度判定装置。
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