JP4284573B2 - デジタルカメラのオートホワイトバランス制御方法及びデジタルカメラ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はデジタルカメラのオートホワイトバランス制御方法及びデジタルカメラに係り、特にブラケティング撮影機能を有するデジタルカメラのオートホワイトバランス制御方法及びデジタルカメラに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、銀塩フイルムを使用するカメラでは、適正な露出値、該適正な露出値よりも露出アンダーとなる露出値、及び露出オーバーとなる露出値を含む複数の露出値でそれぞれ被写体を連続的に撮影(ブラケティング撮影)を行うものは知られている。
【0003】
また、近年、撮像デバイスとしてCCD等を用いるデジタルカメラにおいてもブラケティング撮影を行うものが提案されている(特開平11−4380号公報)。このデジタルカメラは、ブラケティング撮影が指示されると、1コマ撮影で得た画像データに対して、露出変更回路によって例えば、±1EV露出が異なった画像データを生成するようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平11−4380号公報に記載のデジタルカメラは、ブラケティング撮影時に露出を段階的に変えて複数回撮影するものではなく、1回の撮影で得た画像データをその後、露出変更回路によって露出補正するため、その1回の撮影時の露出が適正でない場合(例えば、露出オーバーとなってCCDの一部が飽和している場合)には、露出変更回路によって露出補正しても良好な画像データを得ることができないという問題がある。
【0005】
一方、ブラケティング撮影時に露出を段階的に変えて複数回撮影する場合、各撮影時に得られるカラー画像信号に対し、どのようにホワイトバランスを制御するかを開示した先行技術はないが、露出アンダーや露出オーバーとなる撮影時に得られたカラー画像信号からは、ホワイトバランス制御に好適な色情報の取得が難しいという問題がある。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、ブラケティング撮影時に得られる各カラー画像信号のホワイトバランスを良好に制御することができるデジタルカメラのオートホワイトバランス制御方法及びデジタルカメラを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本願請求項1に係る発明は、適正な露出値、該適正な露出値よりも露出アンダーとなる露出値、及び露出オーバーとなる露出値を含む複数の露出値でそれぞれ被写体を連続的に撮影するブラケティング撮影機能を有するデジタルカメラにおいて、ブラケティング撮影時に得られる複数枚分のカラー画像信号のうちの適正な露出値での撮影時に得られたカラー画像信号に基づいてホワイトバランス補正値を求め、該ホワイトバランス補正値に基づいて前記複数枚分のカラー画像信号をそれぞれホワイトバランス制御するようにしたことを特徴としている。
【0008】
本願請求項2に係る発明は、適正な露出値、該適正な露出値よりも露出アンダーとなる露出値、及び露出オーバーとなる露出値を含む複数の露出値でそれぞれ被写体を連続的に撮影するブラケティング撮影機能を有するデジタルカメラにおいて、ブラケティング撮影時に得られる複数枚分のカラー画像信号に基づいて複数の画像を画像表示手段に表示し、前記画像表示手段に表示された画像を見ながら最適な露出の画像を選択し、前記選択した画像のカラー画像信号に基づいてホワイトバランス補正値を求め、該ホワイトバランス補正値に基づいて前記複数枚分のカラー画像信号をそれぞれホワイトバランス制御するようにしたことを特徴としている。
【0009】
本願請求項3に係るデジタルカメラは、被写体を撮像し、被写体を示すカラー画像信号を出力する撮像手段と、被写体輝度を測定する輝度測定手段と、前記輝度測定手段によって測定された被写体輝度に基づいて適正な露出値を決定する第1の露出決定手段と、前記露出決定手段によって決定された適正な露出値と、該適正な露出値よりも露出アンダーとなる露出値及び露出オーバーとなる露出値を含む複数の露出値を決定する第2の露出決定手段と、前記撮像手段における露出を制御する露出制御手段であって、ブラケティング撮影時に前記第2の露出決定手段によって決定された複数の露出値に対応してそれぞれ連続的に露出を制御する露出制御手段と、前記ブラケティング撮影時に前記撮像手段から得られる複数枚分のカラー画像信号のうちの適正な露出値での撮影時に得られたカラー画像信号に基づいてホワイトバランス補正値を決定し、該ホワイトバランス補正値に基づいて前記複数枚分のカラー画像信号をそれぞれホワイトバランス制御するホワイトバランス制御手段と、を備えたことを特徴としている。
【0010】
前記ホワイトバランス制御手段は、本願請求項4に示すように前記輝度測定手段によって測定された被写体輝度と、前記適正な露出値で撮影されたカラー画像信号の色情報とに基づいてホワイトバランス補正値を求めることを特徴としている。
【0011】
本願請求項5に係るデジタルカメラは、被写体を撮像し、被写体を示すカラー画像信号を出力する撮像手段と、被写体輝度を測定する輝度測定手段と、前記輝度測定手段によって測定された被写体輝度に基づいて適正な露出値を決定する第1の露出決定手段と、前記露出決定手段によって決定された適正な露出値と、該適正な露出値よりも露出アンダーとなる露出値及び露出オーバーとなる露出値を含む複数の露出値を決定する第2の露出決定手段と、前記撮像手段における露出を制御する露出制御手段であって、ブラケティング撮影時に前記第2の露出決定手段によって決定された複数の露出値に対応してそれぞれ連続的に露出を制御する露出制御手段と、前記ブラケティング撮影時に前記撮像手段から得られる複数枚分のカラー画像信号に基づいて複数の画像を表示する画像表示手段と、前記画像表示手段に表示された複数の画像から最適な露出の画像を選択する画像選択手段と、前記画像選択手段によって選択された画像に対応するカラー画像信号に基づいてホワイトバランス補正値を決定し、該ホワイトバランス補正値に基づいて前記複数枚分のカラー画像信号をそれぞれホワイトバランス制御するホワイトバランス制御手段と、を備えたことを特徴としている。
【0012】
前記ホワイトバランス制御手段は、本願請求項6に示すように前記輝度測定手段によって測定された被写体輝度と、前記画像選択手段によって選択したカラー画像の色情報とに基づいてホワイトバランス補正値を求めることを特徴としている。
【0013】
前記第2の露出決定手段は、本願請求項7に示すようにブラケティング撮影時の露出補正量を任意に設定する設定手段を有し、該設定手段によって設定された露出補正量を前記適正な露出値に加算又は減算して適正な露出値よりも露出アンダーとなる露出値及び露出オーバーとなる露出値を含む複数の露出値を決定することを特徴としている。
【0014】
本願請求項8に示すように、前記ホワイトバランス制御手段によってホワイトバランス制御されたカラー画像信号を記録媒体に記録する記録手段を有することを特徴としている。
【0015】
即ち、本願請求項1、3に係る発明では、ブラケティング撮影時に得られる複数枚分のカラー画像信号に対し、同じホワイトバランス補正値に基づいてそれぞれホワイトバランス制御し、特に前記ホワイトバランス補正値は、適正な露出値での撮影時に得られたカラー画像信号に基づいて求めるようにしている。
【0016】
また、本願請求項2、5に係る発明では、画像表示手段に表示されたブラケティング撮影された複数の画像を見ながら最適な露出の画像を選択し、その選択した画像のカラー画像信号に基づいてホワイトバランス補正値を求めるようにしている。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下添付図面に従って本発明に係るデジタルカメラのオートホワイトバランス制御方法及びデジタルカメラの好ましい実施の形態について詳説する。
【0018】
図1は本発明に係るデジタルカメラの背面図であり、図2はカメラ上面に設けられたモードダイヤルの平面図である。
【0019】
図2に示すようにモードダイヤル1は、ダイヤル上のアイコン1A〜1FがマークMに合うように回転させることにより、連写/ブラケティングモード、マニュアル撮影モード、オート撮影モード、人物モード、風景モード、及び夜景モードのうちのいずれかの撮影モードに設定できるようになっている。尚、図2上では、連写/ブラケティングモードが設定されている。また、モードダイヤル1の中央には、半押し時にONするスイッチS1と、全押し時にONするスイッチS2とを有するシャッタボタン2が設けられている。
【0020】
このデジタルカメラの背面には、図1に示すようにファインダ接眼部3、シフトキー4、表示キー5、撮影モード/再生モード切替えレバー6、キャンセルキー7、実行キー8、マルチファンクションの十字キー9、及び液晶モニタ52が設けられている。
【0021】
図3は図1に示したデジタルカメラの内部構成を示すブロック図である。
【0022】
同図において、撮影レンズ10及び絞り12を介して固体撮像素子(CCD)14の受光面に結像された被写体像は、各センサで光の入射光量に応じた量の信号電荷に変換される。このようにして蓄積された信号電荷は、CCD駆動回路16から加えられるリードゲートパルスによってシフトレジスタに読み出され、レジスタ転送パルスによって信号電荷に応じた電圧信号として順次読み出される。尚、このCCD14は、蓄積した信号電荷をシャッタゲートパルスによって掃き出すことができ、これにより電荷の蓄積時間(シャッタスピード)を制御する、いわゆる電子シャッタ機能を有している。
【0023】
CCD14から順次読み出された電圧信号は、相関二重サンプリング回路(CDS回路)18に加えられ、ここで各画素ごとのR、G、B信号がサンプリングホールドされ、A/D変換器20に加えられる。A/D変換器20は、CDS回路18から順次加えられるR、G、B信号を10ビット(0〜1023)のデジタルのR、G、B信号に変換して出力する。尚、CCD駆動回路16、CDS回路18及びA/D変換器20は、タイミング発生回路22から加えられるタイミング信号によって同期して駆動されるようになっている。
【0024】
前記A/D変換器20から出力されたR、G、B信号は、一旦メモリ24に格納され、その後、メモリ24に格納されたR、G、B信号は、デジタル信号処理回路26に加えられる。デジタル信号処理回路26は、同時化回路28、ホワイトバランス調整回路30、ガンマ補正回路32、YC信号作成回路34、及びメモリ36から構成されている。
【0025】
同時化回路28は、メモリ24から読み出された点順次のR、G、B信号を同時式に変換し、R、G、B信号を同時にホワイトバランス調整回路30に出力する。ホワイトバランス調整回路30は、R、G、B信号のデジタル値をそれぞれ増減するための乗算器30R、30G、30Bから構成されており、R、G、B信号は、それぞれ乗算器30R、30G、30Bに加えられる。乗算器30R、30G、30Bの他の入力には、中央処理装置(CPU)38からホワイトバランス制御するためのホワイトバランス補正値(ゲイン値)Rg、Gg、Bgが加えられており、乗算器30R、30G、30Bはそれぞれ2入力を乗算し、この乗算によってホワイトバランス調整されたR’、G’、B’信号をガンマ補正回路32に出力する。尚、CPU38からホワイトバランス調整回路30に加えられるホワイトバランス補正値Rg、Gg、Bgの詳細については後述する。
【0026】
ガンマ補正回路32は、ホワイトバランス調整されたR’、G’、B’信号が所望のガンマ特性となるように入出力特性を変更し、また、10ビットの信号が8ビットの信号となるように変更し、YC信号作成回路34に出力する。YC信号作成回路34は、ガンマ補正されたR、G、B信号から輝度信号Yとクロマ信号Cr、Cbとを作成する。これらの輝度信号Yとクロマ信号Cr、Cb(YC信号)は、メモリ24と同じメモリ空間のメモリ36に格納される。
【0027】
撮影時にメモリ36に格納されたYC信号は、圧縮/伸長回路54によって所定のフォーマットに圧縮されたのち、記録部56にてメモリカードなどの記録媒体に記録される。
【0028】
CPU38は、図1に示したモードダイヤル1、シャッタボタン2等を含むカメラ操作部40からの入力に基づいて各回路を統括制御するとともに、オートフォーカス、自動露光制御、オートホワイトバランス等の制御を行う。このオートフォーカス制御は、例えばG信号の高周波成分が最大になるように撮影レンズ10を移動させるコントラストAFであり、シャッタボタン2の半押し時にG信号の高周波成分が最大になるように駆動部42を介して撮影レンズ10を合焦位置に移動させる。
【0029】
また、自動露光制御は、図4に示すように予め決めた露出▲1▼〜▲4▼にて最大4回R、G、B信号を取り込み、これらのR、G、B信号を積算した積算値に基づいて被写体輝度(撮影EV値)を求め、この撮影EV値に基づいて撮影時の絞り値とシャッタスピードを最終的に決定する。
【0030】
そして、シャッタボタンの全押し時に前記決定した絞り値になるように絞り駆動部44を介して絞り12を駆動し、また、決定したシャッタスピードとなるように電子シャッタによって電荷の蓄積時間を制御する。
【0031】
次に、図5に示すフローチャートを参照しながらオートホワイトバランス制御方法について説明する。尚、ストロボ46からストロボ光を発光する場合には、ストロボ光に対して良好なホワイトバランスを行うためのホワイトバランス補正値Rg、Gg、Bgがホワイトバランス調整回路30に加えられるため、以下、ストロボが発光しない場合のホワイトバランス制御について説明する。
【0032】
まず、シャッタボタンの半押し時に求めた撮影EV値を取得する(ステップS10)。
【0033】
続いて、シャッタボタンの全押し時にA/D変換器20から出力された1画面分のR、G、B信号は一旦メモリ24に格納されているが、この1画面を複数のエリア(8×8)に分割し、各分割エリアごとにR、G、B信号の色別の平均積算値を求め、R信号の積算値とG信号の積算値との比R/G、及びB信号の積算値とG信号の積算値との比B/Gを求める(ステップS12)。
【0034】
上記のようにして各分割エリアごとに求められるR/G、B/Gは、その分割エリアが、図6のグラフ上に表された検出枠のうちのいずれの検出枠内に入るかを判別するために使用される。尚、図6上における日陰−曇り検出枠、昼光色検出枠等の検出枠は、光源種などの色分布の範囲を規定するものである。
【0035】
尚、各分割エリアごとのR、G、B信号の平均積算値は、図3の積算回路48によって算出され、CPU38に加えられている。また、積算回路48とCPU38との間には乗算器50R、50G、50Bが設けられており、乗算器50R、50G、50Bには、機器のバラツキを調整するための調整ゲイン値が加えられるようになっている。
【0036】
次に、日陰−曇りの評価値、蛍光灯(昼光色、昼白色−白色、温白色)の評価値、及びタングステン電球の評価値を、次式、
【0037】
【数1】
日陰−曇りの評価値=F(屋外らしさ)×F(日陰−曇りらしさ)×F(青空)
【0038】
【数2】
昼光色の評価値=F1(屋内らしさ)×F(昼光色蛍光灯らしさ)
【0039】
【数3】
昼白色−白色の評価値=F1(屋内らしさ)×F(昼白色−白色蛍光灯らしさ)
【0040】
【数4】
温白色の評価値=F1(屋内らしさ)×F(温白色蛍光灯らしさ)×F(肌)
【0041】
【数5】
電球の評価値=F2(屋内らしさ)×F(電球らしさ)×F(肌)
に基づいて算出する。
【0042】
上記〔数1〕式において、F(屋外らしさ)は、図7に示すように撮影EV値を変数とする屋外らしさを表すメンバシップ関数の値であり、ステップS10で取得した撮影EV値に基づいて求めることができる。
【0043】
また、〔数2〕式乃至〔数4〕式におけるF1(屋内らしさ)は、図10に示すように撮影EV値を変数とする屋内(蛍光灯)らしさを表すメンバシップ関数の値であり、〔数5〕式におけるF2(屋内らしさ)は、図10に示すように撮影EV値(カッコ内の数値)を変数とする屋内(タングステン電球)らしさを表すメンバシップ関数の値である。
【0044】
〔数1〕式におけるF(日陰−曇りらしさ)は、分割エリアのEV値Eviが12以下の分割エリアであって、図8に示すように日陰−曇り検出枠内に入る分割エリアの個数を変数とする日陰−曇りらしさを表すメンバシップ関数の値であり、F(青空)は、分割エリアのEV値Eviが12.5を越えるエリアであって、図9に示すように屋外晴れ検出枠内に入る分割エリアの個数を変数とする青空を表すメンバシップ関数の値である。
【0045】
尚、F(青空)は、青空検出枠に入るエリアの個数が多い程、日陰らしさの評価値を下げる方向に作用する値をとる。また、上記各分割エリアの輝度(EV値Evi)は、次式、
【0046】
【数6】
Evi=Ev+log2(Gi/45)
但し、Ev:撮影EV値
Gi:各エリアのGの平均積算値
に基づいて計算する。上記式中の45は、A/D変換後の値の中での適正値である。
【0047】
同様に、〔数2〕式乃至〔数5〕式におけるF(昼光色蛍光灯らしさ)、F(昼白色−白色蛍光灯らしさ)、F(温白色蛍光灯らしさ)及びF(電球らしさ)は、それぞれ図6に示した昼光色検出枠、昼白色−白色検出枠、温白色検出枠、及びタングステン電球検出枠内に入るエリアの個数を変数とする、図11に示す電球・蛍光灯らしさを表すメンバシップ関数の値である。
【0048】
また、〔数4〕式及び〔数5〕式におけるF(肌)は、図6に示した肌色検出枠内に入るエリアの個数を変数とする、図12に示す肌色を表すメンバシップ関数の値である。尚、F(肌)は、肌色検出枠内のエリア数が多くなるにしたがって電球らしさの評価値を下げるように作用する。これは、肌色があるシーンで、タングステン電球色に対するホワイトバランス制御を強くかけると、赤味が飛んで白っぽくなり顔色が悪くなるからである。
【0049】
さて、日陰−曇りの評価値、及び昼光色の評価値、昼白色−白色の評価値、温白色の評価値、電球の評価値が算出されると、これらの5つの評価値のうちの最大値が、0.4以上か否かを判別する(図5のステップS16)。そして、最大値が0.4以上の場合には、その最大値をとる評価値の光源色に適したホワイトバランス補正値に基づくホワイトバランス制御を行う(ステップS18)。
【0050】
一方、最大値が、0.4未満の場合には、デーライト(晴れ)と判別し、デーライトに適したホワイトバランス補正値に基づくホワイトバランス制御を行う(ステップS20)。
【0051】
ここで、上記ホワイトバランス補正値は、次式、
【0052】
【数7】
ホワイトバランス補正値=(オート設定値−晴れ)×評価値+晴れ
だたし、晴れは、1.0である。また、オート設定値は、各光源色ごとに予め準備されている。尚、日陰−曇り、昼白色−白色、及びタングステン電球のオート設定値は、次のようにして選択される。
【0053】
(1)日陰−曇りが選択された場合
図6に示す曇り検出枠内に入る分割エリアの個数と、日陰検出枠内に入る分割エリアの個数とを比べ、個数の多い方のオート設定値を採用する。または、2つのオート設定値に対し、個数の多い領域に重みを大きくしてオート設定値を算出する。
【0054】
(2)昼白色−白色が選択された場合
図6に示す6領域に分割された昼白色−白色検出枠内に入る分割エリアの個数を比べ、一番個数の多い領域のオート設定値を採用する。または、6つのオート設定値に対し、個数の多い順に重みを大きくしてオート設定値を算出する。
【0055】
(3)タングステン電球が選択された場合
図6に示す2領域に分割されたタングステン検出枠内に入る分割エリアの個数を比べ、個数の多い方のオート設定値を採用する。または、2つのオート設定値に対し、個数の多い領域に重みを大きくしてオート設定値を算出する。
【0056】
〔数7〕によって求めたホワイトバランス補正値をRg、Gg、Bg、補正する信号をR、G、Bとすると、前記ホワイトバランス調整回路30での補正結果をR’、G’、B’とすると、R’、G’、B’は、次式、
【0057】
【数8】
R’=Rg×R
G’=Gg×G
B’=Bg×B
によって表される。
【0058】
次に、本発明に係るブラケティング撮影時におけるオートホワイトバランス制御方法について説明する。
【0059】
まず、モードダイヤル上のアイコン1AをマークMに合わせ(図2参照)、撮影モードを連写/ブラケティングモードに設定し、続いて実行キー8を押すと、液晶モニタ52上には、図1に示すような露出の振れ幅を選択するための表示がされる。ここで、十字キー9の上下キーを操作することにより、ブラケティング撮影時の露出の振れ幅を設定する。尚、図1に示すように例えば振れ幅を0.6とすると、適正露出(撮影EV値)での撮影の他に、撮影EV値よりも±0.6EVだけアンダー露出、及びオーバー露出の3枚のブラケティング撮影が行われる。また、振れ幅が0の場合には連写モードとなる。
【0060】
さて、図13において、上記のようにしてブラケティングモードが設定され、シャッタボタン2が半押し(スイッチS1がON)されると、撮影EV値が取得され、その後、シャッタボタン2が全押し(スイッチS2がON)されると、ブラケティング撮影が行われる(ステップS30〜S36)。
【0061】
このブラケティング撮影では、ステップS32で取得した撮影EV値に基づいて適正露出となる絞り値とシャッタスピードを決定するとともに、前記適正露出よりも予め設定した露出の振れ幅分だけアンダー露出及びオーバー露出となる絞り値とシャッタスピードを決定する。
【0062】
そして、上記アンダー露出、適正露出及びオーバー露出の順で順次連続的に撮影し、これらの3回の撮影で得た生のR、G、B信号を一旦メモリ24に格納する(ステップS38〜S42)。尚、アンダー露出、適正露出、オーバー露出の順に露出を変化させる理由は、虹彩絞りなどで露出を変化させる場合に、バックラッシュの影響が生じないように常に一定の方向から(例えば、小径の絞り側から大径の絞り側に向かって)絞りを駆動制御する必要があるからである。従って、絞りを大径側から小口径側に駆動して絞り制御するシステムの場合には、オーバー露出、適正露出、アンダー露出の順に露出を変化させる。
【0063】
続いて、メモリ24に格納されたR、G、B信号のうちの適正露出のR、G、B信号に基づいて図5のフローチャート等で説明したようにホワイトバランス補正値を算出する(ステップS44)。
【0064】
ステップS44で求めたホワイトバランス補正値は、ホワイトバランス調整回路30(図3参照)に加えられ、一方、メモリ24に格納されたアンダー露出時に取得したR、G、B信号は、同時化回路28を介してホワイトバランス調整回路30に加えられ、ここでホワイトバランスが調整される。同様に、適正露出時及びオーバー露出時に取得したR、G、B信号も上記と同じホワイトバランス補正値に基づいてホワイトバランスが調整される(ステップS46)。
【0065】
その後、これらのホワイトバランス調整されたR、G、B信号は、ガンマ補正及びYC変換されてメモリ36に格納される。そして、メモリ36に格納されたYC信号に基づいて液晶モニタ52の液晶画面にアンダー露出、適正露出及びオーバー露出の3枚の画像が表示される(ステップS48)。
【0066】
撮影者は、これらの3枚の画像を記録する場合には実行キー8を押し、記録しない場合にはキャンセルキー7を押す(ステップS50)。実行キー8を押すと、メモリ36に格納された3枚分のYC信号は、所定のフォーマットに圧縮されてメモリカードなどの記録媒体に記録される(ステップS52)。
【0067】
次に、ブラケティング撮影時におけるオートホワイトバランス制御方法の他の実施の形態について、図14及び図15を参照しながら説明する。尚、図14及び図15において、図13と共通するステップには同一のステップ番号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0068】
図14に示すようにアンダー露出、適正露出及びオーバー露出でのブラケティング撮影時に得られた生のR、G、B信号は、一旦メモリ24に格納されている(ステップS38〜S42)。続いて、メモリ24に格納された3枚分のR、G、B信号をデジタル信号処理回路26を介してデジタル信号処理し、アンダー露出、適正露出及びオーバー露出の画像を液晶モニタ52に表示させる(ステップS60)。尚、このときのホワイトバランス制御は、モニタ用の所定のホワイトバランス補正値に基づいて行ってもよいし、ホワイトバランス制御を行わずにアンダー露出、適正露出及びオーバー露出の画像をモノクロ画像として表示してもよい。
【0069】
次に、液晶モニタ52に表示されたアンダー露出、適正露出及びオーバー露出の画像を見ながら最適な露出の画像を十字キー9等を使用して選択する(図15のステップS62)。そして、アンダー露出の画像を選択した場合には、アンダー露出のR、G、B信号に基づいてホワイトバランス補正値を算出し(ステップS64)、適正露出の画像を選択した場合には、適正露出のR、G、B信号に基づいてホワイトバランス補正値を算出し(ステップS66)、オーバー露出の画像を選択した場合には、オーバー露出のR、G、B信号に基づいてホワイトバランス補正値を算出する(ステップS68)。ステップS64、S66及びS68のいずれかで求めたホワイトバランス補正値は、ホワイトバランス調整回路30に加えられ、一方、メモリ24に格納されたアンダー露出時に取得したR、G、B信号は、同時化回路28を介してホワイトバランス調整回路30に加えられ、ここでホワイトバランスが調整される。同様に、適正露出時及びオーバー露出時に取得したR、G、B信号も上記と同じホワイトバランス補正値に基づいてホワイトバランスが調整される(ステップS46)。
【0070】
尚、ホワイトバランス補正値の求め方は、この実施の形態に限定されない。
【0071】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、ブラケティング撮影時にホワイトバランス補正値を固定するため、各コマのホワイトバランスが変化せず、特に適正露出の画像データ又は撮影者がモニタ画像から選んだ画像の画像データからホワイトバランス補正値を求め、該ホワイトバランス補正値に基づいてホワイトバランス制御を行うため、良好な画像が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るデジタルカメラの背面図
【図2】図1に示したデジタルカメラの上面に設けられたモードダイヤルの平面図
【図3】図1に示したデジタルカメラの内部構成を示すブロック図
【図4】撮影EV値の求め方を説明するために用いた図
【図5】オートホワイトバランス制御方法を説明するために用いたフローチャート
【図6】光源種などの色分布の範囲を示す検出枠を示すグラフ
【図7】屋外らしさを表すメンバシップ関数を示すグラフ
【図8】日陰−曇りらしさを表すメンバシップ関数を示すグラフ
【図9】青空を表すメンバシップ関数を示すグラフ
【図10】屋内らしさを表すメンバシップ関数を示すグラフ
【図11】電球・蛍光灯らしさを表すメンバシップ関数を示すグラフ
【図12】肌色を表すメンバシップ関数を示すグラフ
【図13】ブラケティング撮影時におけるオートホワイトバランス制御方法の実施の形態を説明するために用いたフローチャート
【図14】ブラケティング撮影時におけるオートホワイトバランス制御方法の他の実施の形態を説明するために用いたフローチャート
【図15】ブラケティング撮影時におけるオートホワイトバランス制御方法の他の実施の形態を説明するために用いたフローチャート
【符号の説明】
1…モードダイヤル、2…シャッタボタン、8…実行キー、9…十字キー、10…撮影レンズ、12…絞り、14…固体撮像素子(CCD)、24、36…メモリ、26…デジタル信号処理回路、30…ホワイトバランス調整回路、30R、30G、30B…乗算器、38…中央処理装置(CPU)、48…積算回路、52…液晶モニタ、54…圧縮/伸長回路、56…記録部
Claims (8)
- 適正な露出値、該適正な露出値よりも露出アンダーとなる露出値、及び露出オーバーとなる露出値を含む複数の露出値でそれぞれ被写体を連続的に撮影するブラケティング撮影機能を有するデジタルカメラにおいて、
ブラケティング撮影時に得られる複数枚分のカラー画像信号のうちの適正な露出値での撮影時に得られたカラー画像信号に基づいてホワイトバランス補正値を求め、該ホワイトバランス補正値に基づいて前記複数枚分のカラー画像信号をそれぞれホワイトバランス制御するようにしたことを特徴とするデジタルカメラのオートホワイトバランス制御方法。 - 適正な露出値、該適正な露出値よりも露出アンダーとなる露出値、及び露出オーバーとなる露出値を含む複数の露出値でそれぞれ被写体を連続的に撮影するブラケティング撮影機能を有するデジタルカメラにおいて、
ブラケティング撮影時に得られる複数枚分のカラー画像信号に基づいて複数の画像を画像表示手段に表示し、前記画像表示手段に表示された画像を見ながら最適な露出の画像を選択し、前記選択した画像のカラー画像信号に基づいてホワイトバランス補正値を求め、該ホワイトバランス補正値に基づいて前記複数枚分のカラー画像信号をそれぞれホワイトバランス制御するようにしたことを特徴とするデジタルカメラのオートホワイトバランス制御方法。 - 被写体を撮像し、被写体を示すカラー画像信号を出力する撮像手段と、
被写体輝度を測定する輝度測定手段と、
前記輝度測定手段によって測定された被写体輝度に基づいて適正な露出値を決定する第1の露出決定手段と、
前記露出決定手段によって決定された適正な露出値と、該適正な露出値よりも露出アンダーとなる露出値及び露出オーバーとなる露出値を含む複数の露出値を決定する第2の露出決定手段と、
前記撮像手段における露出を制御する露出制御手段であって、ブラケティング撮影時に前記第2の露出決定手段によって決定された複数の露出値に対応してそれぞれ連続的に露出を制御する露出制御手段と、
前記ブラケティング撮影時に前記撮像手段から得られる複数枚分のカラー画像信号のうちの適正な露出値での撮影時に得られたカラー画像信号に基づいてホワイトバランス補正値を決定し、該ホワイトバランス補正値に基づいて前記複数枚分のカラー画像信号をそれぞれホワイトバランス制御するホワイトバランス制御手段と、
を備えたことを特徴とするデジタルカメラ。 - 前記ホワイトバランス制御手段は、前記輝度測定手段によって測定された被写体輝度と、前記適正な露出値で撮影されたカラー画像信号の色情報とに基づいてホワイトバランス補正値を求めることを特徴とする請求項3のデジタルカメラ。
- 被写体を撮像し、被写体を示すカラー画像信号を出力する撮像手段と、
被写体輝度を測定する輝度測定手段と、
前記輝度測定手段によって測定された被写体輝度に基づいて適正な露出値を決定する第1の露出決定手段と、
前記露出決定手段によって決定された適正な露出値と、該適正な露出値よりも露出アンダーとなる露出値及び露出オーバーとなる露出値を含む複数の露出値を決定する第2の露出決定手段と、
前記撮像手段における露出を制御する露出制御手段であって、ブラケティング撮影時に前記第2の露出決定手段によって決定された複数の露出値に対応してそれぞれ連続的に露出を制御する露出制御手段と、
前記ブラケティング撮影時に前記撮像手段から得られる複数枚分のカラー画像信号に基づいて複数の画像を表示する画像表示手段と、
前記画像表示手段に表示された複数の画像から最適な露出の画像を選択する画像選択手段と、
前記画像選択手段によって選択された画像に対応するカラー画像信号に基づいてホワイトバランス補正値を決定し、該ホワイトバランス補正値に基づいて前記複数枚分のカラー画像信号をそれぞれホワイトバランス制御するホワイトバランス制御手段と、
を備えたことを特徴とするデジタルカメラ。 - 前記ホワイトバランス制御手段は、前記輝度測定手段によって測定された被写体輝度と、前記画像選択手段によって選択したカラー画像の色情報とに基づいてホワイトバランス補正値を求めることを特徴とする請求項5のデジタルカメラ。
- 前記第2の露出決定手段は、ブラケティング撮影時の露出補正量を任意に設定する設定手段を有し、該設定手段によって設定された露出補正量を前記適正な露出値に加算又は減算して適正な露出値よりも露出アンダーとなる露出値及び露出オーバーとなる露出値を含む複数の露出値を決定することを特徴とする請求項3乃至6のいずれかに記載のデジタルカメラ。
- 前記ホワイトバランス制御手段によってホワイトバランス制御されたカラー画像信号を記録媒体に記録する記録手段を有する請求項3乃至7のいずれかに記載のデジタルカメラ。
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