JP4282655B2 - 無線送信機および増幅器 - Google Patents

無線送信機および増幅器 Download PDF

Info

Publication number
JP4282655B2
JP4282655B2 JP2005307433A JP2005307433A JP4282655B2 JP 4282655 B2 JP4282655 B2 JP 4282655B2 JP 2005307433 A JP2005307433 A JP 2005307433A JP 2005307433 A JP2005307433 A JP 2005307433A JP 4282655 B2 JP4282655 B2 JP 4282655B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
amplifier
signal
circuit
power
power amplifier
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2005307433A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2006311485A (ja
Inventor
藤 貴 之 加
田 弘 吉
戸 一 郎 瀬
口 恵 一 山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toshiba Corp filed Critical Toshiba Corp
Priority to JP2005307433A priority Critical patent/JP4282655B2/ja
Publication of JP2006311485A publication Critical patent/JP2006311485A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4282655B2 publication Critical patent/JP4282655B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02DCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN INFORMATION AND COMMUNICATION TECHNOLOGIES [ICT], I.E. INFORMATION AND COMMUNICATION TECHNOLOGIES AIMING AT THE REDUCTION OF THEIR OWN ENERGY USE
    • Y02D30/00Reducing energy consumption in communication networks
    • Y02D30/70Reducing energy consumption in communication networks in wireless communication networks

Landscapes

  • Amplifiers (AREA)
  • Transmitters (AREA)
  • Radio Transmission System (AREA)

Description

本発明は、無線通信システムに用いられる無線送信機および増幅器に関する。
近年、無線通信システムにおけるデータ伝送速度を向上させるために、様々な技術が提案されている。その中の1つにMIMO(Multi-Input, Multi-Output)と呼ばれる技術がある。
MIMOは、各々アンテナを含む複数のアナログ送信系を使用して電波を送信し、同様に複数の受信系を使用して電波を受信して通信する技術であり、空間中を電波が伝播する際に建物などで電波が乱反射されるマルチパスフェージングと呼ばれる現象を利用することで伝送速度を向上させることが出来る。
一例として、従来用いられている送信系を2系統有するMIMO送信機の構成は、ベースバンド部と、ベースバンド部から出力されるベースバンド変調信号を変調する第1の変調部および第2の変調部、第1の変調部および第2の変調部から出力される変調信号をそれぞれ電力増幅する第1の電力増幅器および第2の電力増幅器、第1の電力増幅器および第2の電力増幅器から出力される信号を電波として放射する第1のアンテナおよび第2のアンテナを含む。
MIMOは、先に述べたようにマルチパスフェージングと呼ばれる現象を利用して伝送速度を向上させる技術であるため、見通しの良い開けた場所に送信機と受信機がある場合には、伝送速度が向上しない場合もある。このような場合、MIMOを利用せずに1つの送信系のみを用いて通信を行った方が動作回路が少なくなるため消費電力の観点からも有効である場合もある。また、従来のシステムが提供されているエリアにおいて、従来のシステムで通信している各端末に対して今から自機がMIMO送信を行う由を通知する必要がある場合も考えられる。そのような場合には、複数の送信系を有するMIMO用送信機であっても、1つの送信系のみを動作させて通信ができる機能も要求される。なお以後の説明では、説明を簡略化させるためにMIMO用送信機が複数の送信系を用いてMIMO送信する時を「MIMO送信時」、1つの送信系のみを動作させて信号を送信する時を「非MIMO送信時」と呼ぶことにする。
非MIMO送信時でも、受信機側で受信される信号レベルをMIMO送信時と同一にするためには、送信機から出力する電力レベルをMIMO送信時と非MIMO送信時で同一レベルにする必要がある。このような場合、MIMO送信機を構成する複数の送信系に備えられる電力増幅器のうち、非MIMO送信時に使用するものについては、送信機が出力すべき電力レベルの信号を無線通信システムが規定する歪みの仕様範囲内で出力できる能力が要求される。
今、送信機が出力すべき最大出力電力レベルをX[W]とし、MIMO送信時にN個の送信系を使用する場合には、非MIMO送信時に使用する電力増幅器は無線システムが規定する歪み仕様を満たしながらX[W]の出力で信号を出力することができなければならない。一方、MIMO送信時に各電力増幅器が出力すべき最大出力電力レベルは、同一の電力増幅器を利用する場合にはX/N[W]となる。MIMO送信機が、非MIMO送信しない(MIMO送信する)場合を考えると、各電力増幅器は無線通信システムが規定する歪み仕様を満たしながら最大X/N[W]の出力で信号を出力できればよいことになり、非MIMO送信する場合としない場合とで、1つの電力増幅器の最大出力レベルの差は、(N-1)*X/N[W]になる。
すなわち、N個の送信系を有するMIMO送信機において、非MIMO送信する場合には電力増幅器はMIMO送信時のN倍の信号レベルで信号を出力できることが要求される。
一般に電力増幅器は、出力レベルが飽和出力レベルに近づくに従って動作効率が上昇するが、歪み特性は劣化する。逆に出力レベルが飽和レベルよりも小さくなるにつれて、歪み特性は改善されるが動作効率が劣化する。歪み特性を満たすために、電力増幅器の出力レベルを飽和出力レベルより下げて動作させることを「バックオフさせる」と言い、飽和出力レベルと実際に出力しているレベルとの差を「バックオフ量」と言う。電力増幅器は、バックオフ動作をさせると動作効率が劣化するため、上述のように非MIMO送信するMIMO送信機においては、MIMO送信する場合に電力増幅器は非効率な動作をすることになる。
電力増幅器のバックオフ量と動作効率の関係を分かり易くするため、上述した従来のMIMO送信機(ベースバンド部、第1および第2の変調部、第1および第2の電力増幅器、第1および第2のアンテナ)を例に挙げ、無線通信システムが要求する送信機の送信電力が18dBm(63mW)であり、送信機の満たすべき歪み仕様が-30dBc以下である場合を具体的に説明する。
MIMO送信時は、第1の電力増幅器および第2の電力増幅器が両方とも動作しており、2つの電力増幅器は送信機が送信すべき電力の半分の電力で信号を出力する。よって、18dBmの半分すなわち15dBm(32mW)の送信電力で2つの電力増幅器は信号を出力することになる。さらにこの時、第1の電力増幅器および第2の電力増幅器は、歪みレベルが-30dBc以下である必要がある。
一方、非MIMO送信時に例えば第1の変調部、第1の電力増幅器、第1のアンテナから構成される1つの送信系のみを用いるとすれば、第1の電力増幅器は非MIMO送信時に18dBmの電力で信号を出力できることが要求される。また、この時、第1の電力増幅器の歪みレベルは-30dBc以下でなければならない。
現在、無線通信端末用の小型電力増幅器には一般的にAB級またはB級増幅器がよく用いられている。ここでは、説明に使用する増幅器がAB級増幅器であってもB級増幅器であってもどちらでも支障はないため、以後B級増幅器を例に挙げて説明する。B級増幅器は、理論的に飽和出力レベルにおける動作効率が最も高く、出力レベルが下がるに従って動作効率が低下するという特性を持つ。一方、出力レベルが飽和出力レベルに近づくにつれ、歪みレベルは増加する。
先に述べたように、電力増幅器は歪みレベルを仕様値以下に抑えるためにバックオフ動作させる必要があるが、所要バックオフ量は送信機が送信する変調信号の変調方法にも依存する。ここでは説明をわかりやすく簡略化するために、歪みレベルが-30dBc以下であるという仕様を満たすための具体的なバックオフ量を10dBと仮定して説明する。
今、非MIMO送信する際の電力レベルは18dBmであり、仕様を満たす歪み特性を得るために必要なバックオフ量は10dBであるため、第1の電力増幅器に必要な飽和出力レベルは28dBmとなる。図16に、飽和出力レベルが28dBmであり、飽和出力時の動作効率が45%であるB級アンプの出力電力対効率の理論特性を示す。横軸が出力電力レベル、縦軸が動作効率である。この場合、第1の電力増幅器が18dBmの出力レベルで動作している時の動作効率は14%となる。
一方、MIMO送信時には、第1の電力増幅器は出力レベルが15dBmとなるために図16に示す特性から、動作効率は10%となり、18dBmで出力している場合に比べて4%動作効率が劣化する。また、第2の電力増幅器も第1の電力増幅器と同一のものを使用した場合には、第2の電力増幅器の動作効率も同様に10%となる。
以上で説明したように、MIMO送信用の送信機において非MIMO送信する必要がある場合には、飽和出力レベルの高い電力増幅器を備える必要があり、MIMO送信時における電力増幅器のバックオフ量が増加することで動作効率が劣化し、送信機の消費電力が増加してしまうという問題が生じる。
特開2004-179822公報 High-Linearity RF Amplifier Design (Peter B. Kenington著) マイクロウェーブ技術入門講座(基礎編) 森栄二著 CQ出版社 Junghyun KIM, et al., "A Highly-Integrated Doherty Amplifier for CDMA Handset Applications Using an Active Phase Splitter", IEEE Microwave and Wireless Components Letters, vol. 15, No. 5, MAY 2005.
以上で説明したように、MIMO送信用の送信機において、1つの送信系のみを使用して信号を送信することが可能となるようにする場合、飽和出力レベルの高い電力増幅器を備える必要が生じ、MIMO送信時における送信機の消費電力が増加してしまうという問題が生じる。
本発明は、1つの送信系のみを利用した送信、および複数の送信系を利用した送信のいずれの場合においても低消費電力で送信可能な無線送信機、および増幅器を提供する。
本発明の一態様としての無線送信機は、各々入力信号を変調して変調信号を生成する第1および第2の変調部と、各々変調信号を電力増幅して電力増幅信号を生成する第1および第2の電力増幅器と、各々電力増幅信号を空間中に電波として放射する第1および第2のアンテナと、を備え、さらに、前記第1の変調部からの変調信号を前記第1の電力増幅器へ出力し前記第2の変調部からの変調信号を前記第2の電力増幅器へ出力する第1の経路と、前記第1の変調部からの変調信号を分離して一方の変調信号を前記第1の電力増幅器へ他方の変調信号を第2の電力増幅器へ出力する第2の経路と、前記第1および第2の経路を切り換える経路切替手段と、を有する第1の回路と、前記第1の電力増幅器からの電力増幅信号を前記第1のアンテナに出力し前記第2の電力増幅器からの電力増幅信号を前記第2のアンテナに出力する第3の経路と、前記第1および第2の電力増幅器からの電力増幅信号を合成点において合成して前記第1または第2のアンテナに出力する、前記第1の電力増幅器からの電力増幅信号が前記合成点に向かう経路上においてインピーダンス変換手段を含む第4の経路と、前記第3および第4の経路を切り換える経路切替手段と、を有する第2の回路と、前記第1および第2の変調部の両方を用いる第1の通信を行う場合は、前記第1の回路を前記第1の経路に設定する制御信号を前記第1の回路の経路切替手段に供給し、前記第2の回路を前記第3の経路に設定する制御信号を前記第2の回路の経路切替手段に供給し、一方、前記第1および第2の変調部のうち前記第1の変調部のみを用いる第2の通信を行う場合は、前記第1の回路を前記第2の経路に設定する制御信号を前記第1の回路の経路切替手段に供給し、前記第2の回路を前記第4の経路に設定する制御信号を前記第2の回路の経路切替手段に供給する、制御部と、を備える。
本発明の一態様としての増幅器は、第1および第2の電力増幅器と、第1の入力信号を前記第1の電力増幅器へ出力し第2の入力信号を前記第2の電力増幅器へ出力する第1の経路と、前記第1の入力信号を分離し一方の分離入力信号を前記第1の電力増幅器へ他方の分離入力信号を第2の電力増幅器へ出力する第2の経路と、前記第1および第2の経路を切り換える第1の経路切替手段と、前記第1および第2の電力増幅器から入力される前記第1および第2の電力増幅信号をそれぞれ出力する第3の経路と、インピーダンス変換手段を介した前記第1の電力増幅信号および第2の電力増幅信号を合成点において合成して出力する第4の経路と、前記第3および第4の経路を切り換える第2の経路切替手段と、を備える。
本発明により、1つの送信系のみを利用した送信、および複数の送信系を利用した送信のいずれの場合においても低消費電力で送信可能となる。
まず、本発明者らが本発明をなすに至った経緯について説明する。
背景技術で述べたアンプのバックオフ動作時の効率劣化を低減させる技術として、例えば非特許文献1(High-Linearity RF Amplifier Design (Peter B. Kenington著))に示すドハティアンプが知られている。
ドハティアンプは、メインアンプとサブアンプを備え、メインアンプとサブアンプに電力を分配するための電力分配器(分波器)と、メインアンプに対する負荷インピーダンスを変換させるためのインピーダンス変換回路と、サブアンプから出力される信号の位相を調整するための位相調整回路と、メインアンプとサブアンプの出力を合成するための電力合成器(合波器)とを用いて構成される。図8に1つのメインアンプと1つのサブアンプを持つドハティアンプの構成の例を示す。図中、81は電力分配器、82は電力合成器、83はメインアンプ、84はサブアンプ、85は1/4波長線路(位相調整回路として使用)、86は1/4波長線路(インピーダンス変換回路として使用)、87は制御回路、88は可変減衰器、89は電力検出器(検波器)、90はバイアス回路、91は信号入力端子、92は信号出力端子である。1/4波長線路85は、1/4波長線路86の挿入による位相のずれを調整するためのものである。制御回路87は、電力検出器89で検出される信号レベルに応じて、サブアンプ84のバイアスおよびサブアンプへの入力信号レベルを調整するための可変減衰器88の減衰量を制御するためのものである。なお、制御回路87、電力検出器89、可変減衰器88及びバイアス回路90はサブアンプ84をC級バイアスすることで不要とすることができる。原理的にはアンプの数が図8に示すような2つではなく、3つ以上であってもドハティアンプを実現する事は可能である。しかし、本説明では説明を分かり易くするために2つのアンプを持つドハティアンプを例に挙げて説明する。
ドハティアンプは、出力信号レベルが小さい時にはメインアンプのみが動作し、出力電力が大きくなるにつれてサブアンプが動作し始めるという動作を行うため、出力レベルが小さいときの消費電力を低減することができ、電力増幅器がバックオフ動作している時の動作効率劣化を低減することができる。さらにドハティアンプの出力電力はメインアンプとサブアンプの出力電力の和となるため、メインアンプおよびサブアンプが出力できる電力レベルの和のレベルまで出力レベルを上げる事が可能である。以下、このようなドハティアンプの動作原理について説明する。
ドハティアンプの基本動作は、入力された信号レベルがある値以下である場合には、メインアンプのみを動作させて増幅動作を行い、ある値以上になった場合にはサブアンプも動作させるというものである。なお、サブアンプが動作しはじめる信号レベルについては、後述の詳細な動作説明のなかで説明する。すなわち、同サイズ(飽和レベルが等しい)のトランジスタをメインアンプおよびサブアンプに使用した場合には、信号入力レベルが低い時には実質半分のサイズのトランジスタを使用し、入力信号レベルが高い時にはトランジスタサイズを倍に増やすような動作をすることになる。このように低出力時にはトランジスタサイズを見かけ上小さくすることによりトランジスタの動作効率を上げ、高出力時には飽和出力を上げるためにトランジスタサイズを見かけ上大きくするように動作する。
さらにドハティアンプでは、サブアンプが動作し始めて出力負荷に対して電力を供給し始めると、メインアンプに対する出力負荷が見かけ上変化して観測される「アクティブロードプル効果」と呼ばれる効果が得られる。この効果により、メインアンプは低出力時には動作効率が高い高インピーダンス負荷で動作し、サブアンプが動作し始める高出力時では、高出力が得られる低インピーダンス負荷で増幅動作することができる。
以下では、ドハティアンプの動作をさらに詳細に説明する。
図8に示すドハティアンプは、検波器89を用いて信号入力レベルを検出し、入力された信号のレベルがある値以上になった時にサブアンプ84をON状態にして、メインアンプ83およびサブアンプ84の両アンプで増幅動作を行う。しかし、上記のような構成でサブアンプ84に対するバイアス条件を入力信号レベルに応じて変化させる事は、複雑な制御を必要するだけでなく回路規模も大きくなるため、特にサブアンプのON/OFF制御を正確に行う必要がある場合以外には上記構成はほとんど利用されない。近年では、専らサブアンプをC級にバイアスさせておき、入力信号レベルが高くなるにつれて自動的にON状態にさせる方法が用いられている。しかし、サブアンプのバイアス制御を自動的に行うか、あるいは入力信号レベルをモニタリングして行うかの違いだけで、基本的な動作は同じであるため、以下では図8に示す構成のドハティアンプについて動作を説明する。以下の説明において、両アンプ83、84のサイズは等しいものとする。すなわち、両アンプ83、84が動作している最大出力時には、両アンプ83、84はそれぞれ等しいレベルの信号を出力するものとする。
まず、メインアンプ83のみが動作し、サブアンプ84がOFF状態となっている信号入力レベルの低い時の動作について説明する。
信号入力端子91より信号が入力され、電力分配器81によって経路1および経路2に信号が等分配される。信号入力レベルはサブアンプ84がONする必要のない低いレベルであるとする。この時、サブアンプ84はOFF状態であり、信号増幅動作はしない。よって、バイアス回路90からはサブアンプ84に対してOFF状態にするバイアス電圧(通常、0V)が供給され、また減衰器88の減衰量は-30dB程度の十分大きな減衰量に設定される。図8に示す電力分配器81には、ハイブリッド型や抵抗分配器などが使用できるが、ここでは1例として分布定数線路を用いた電力分配器を用いることにする。
図9に分布定数線路を用いた電力分配器の例を示す。図9に示す分布定数線路の電力分配器は、具体的には所望の周波数において1/4波長の長さとなる伝送線路93である。R1は入力信号端子側に接続される回路を表す負荷(当該回路のインピーダンスに等しい値をもつ)、R2はメインアンプ83を表す負荷(メインアンプの入力インピーダンスに等しい値をもつ)、R3は1/4波長線路85を表す負荷(1/4波長線路の特性インピーダンスに等しい値をもつ)である。
減衰器88に入力された信号は、熱となって消費される。一方、メインアンプ83に入力された信号は、メインアンプ83により電力増幅され、1/4波長線路86および電力合成器82を介して信号出力端子92より出力される。
ここで、メインアンプ83の出力負荷を考える。図9に示す電力分配器は、入出力を逆にすれば電力合成器としても使用できるため、図8に示す電力合成器82は、図9に示す1/4波長線路の電力分配器と同じものを使用する。図10に示すように、図8のB点から右側を見込んだメインアンプ83に対する出力負荷は、信号出力端子92に接続される負荷抵抗R4のインピーダンスが、2つの1/4波長線路94、86を介したもの(仮にXΩとする)として観測される。よって、信号入力レベルが低く、サブアンプ84がOFF状態である場合には、メインアンプ83に対する出力負荷はXΩとなる。
次に、メインアンプ83が飽和状態となりサブアンプ84が増幅動作をする場合について説明する。
信号入力端子91から入力された信号が電力分配器81により経路1および経路2に等分配される。減衰器88の減衰量は、入力信号レベルが増加するに伴って小さくなり、最終的には十分小さな減衰量となるように制御される。また、サブアンプ84に対するバイアスは、入力信号レベルに応じて制御され、最終的にはメインアンプ83と同じバイアス条件になるように制御される。
メインアンプ83およびサブアンプ84に入力された信号はそれぞれ増幅され、電力合成器82によって合成された後、信号出力端子92より出力される。
ここで、メインアンプ83およびサブアンプ84に対する出力負荷条件について説明する。今、メインアンプ83およびサブアンプ84の出力側の負荷条件は、図11に示すようになっている。
メインアンプ83に対する出力負荷は、メインアンプ83のみが動作しておりサブアンプ84から信号が出力されていない場合、低出力時の動作の時と同様に図10で説明したようにXΩである。しかし、サブアンプ84が動作し始め、信号出力端子92に接続された負荷R4に対してサブアンプ84が信号を供給し始めると、メインアンプ83に対する出力負荷はXΩから徐々に下がり始める。そして、最終的にサブアンプ84がメインアンプ83と同じ出力電力で信号を出力するようになったとき、すなわち信号出力端子92に接続された出力負荷R4に対して同じレベルの信号を供給するようになった時には、メインアンプ83に対する出力負荷はあたかもXΩの半分であるかのように観測される。このような出力負荷の変化により、メインアンプ83はサブアンプ84が動作し始めると飽和状態を維持しながら高い動作効率のまま出力電力レベルを上げることが可能となる。
図12にサブアンプ84が動作し始めた時のメインアンプ83の負荷の動きと出力電流および出力電圧を示す。L1はサブアンプ84がOFF時の負荷線、L2は両アンプが最大出力で動作している時の負荷線を示す。I11はサブアンプ84がOFF時の出力電流、I12は両アンプが最大出力で動作している時の出力電流を示す。図12に示すように、メインアンプ83は出力負荷が高いインピーダンスから低いインピーダンスへと変化することにより、出力電圧振幅は一定の飽和状態のまま出力電流の振幅を大きくすることで出力電力レベルを増加させることが可能となる。サブアンプ84がOFFの状態から、メインアンプ83と同じ信号レベルを出力する状態になるまでに、メインアンプ83が出力する電流の振幅は2倍となる。よって、最終的にメインアンプ83およびサブアンプ84が同レベルで信号を出力する時の出力信号レベルは、メインアンプ83のみが動作している時に出力される信号レベルの4倍となる。
一方、逆にサブアンプ84に対する出力負荷は、1/4波長線路86を介して接続されているメインアンプ83の出力インピーダンスと、1/4波長線路94を介して接続されている負荷R4との並列になる。しかし、サブアンプ84が信号出力端子92に接続されたR4負荷に対して供給する信号レベルが増加すると、サブアンプ84に対する出力負荷は徐々に大きなインピーダンスとして観測されるようになり、最終的にサブアンプ84がメインアンプ83と同じ出力電力で信号を出力するようになった時にはサブアンプが動作していない時のインピーダンスと比べて高いインピーダンスに観測される。
上記で説明したような、1つの出力負荷に対して2つの信号源から信号が入力されると、あたかも出力負荷のインピーダンスが変化して観測される現象は、「アクティブロードプル効果」と呼ばれる。アクティブロードプル効果とは、図13に示すように1つの出力負荷R0に対して1つの信号源(図13中、電流源1)から信号を供給している時に、もう1つの信号源(図13中、電流源2)から同じ出力負荷R0に対して信号を供給すると、電流源1に対する出力負荷は増加し、電流源2に対する出力負荷は減少するように観測される効果である。
つまり、図13において、電流源1に対する出力負荷R11は、
R11=V1/I1=R0*(I1+I2)/I1=R0+R0*I2/I1であり、よって、I2が増加するとR11は増加する。また、電流源2に対する出力負荷R12は、
R12=V2/I2=R0*(I1+I2)/I2=R0+R0*I1/I2であり、よって、I2が増加するとR12は減少する。
ドハティアンプは、このアクティブロードプル効果と1/4波長線路86とにより、メインアンプに対する出力負荷を低出力時には高いインピーダンスとして高効率動作をさせ、高出力時には逆に低いインピーダンスとすることで低歪み動作をさせる。
ここで、図14に、図16に特性を示したB級アンプの半分の飽和出力レベル、すなわち25dBmの飽和出力レベルを持つ2つのB級アンプをメインアンプおよびサブアンプに使用したドハティアンプの動作効率の理論特性を示す。横軸が出力電力、縦軸が動作効率である。なお、図14に示した効率特性は、入力信号がCW(continuous wave)波(変調されていない波)である場合のものである。実際の無線通信システムでは変調された信号が用いられるため、図14に示した効率特性は、変調信号の種類に応じて変わるが、通常のB級アンプに比べてドハティアンプの方がバックオフ動作時に動作効率が優れていることに変わりはない。よって、ここではCW波の効率特性を用いて説明する。比較のために、図16に示したB級アンプの動作効率を破線で示してある。図14より、10dBバックオフ時の動作効率が、B級アンプに比べてドハティアンプの方が12%程度高いことがわかる。先に説明したように、最終的にメインアンプおよびサブアンプが飽和状態となる出力レベルは、メインアンプのみが飽和状態となった時の出力レベルの4倍すなわち6dB高い値であるため、メインアンプおよびサブアンプに同じサイズのトランジスタを用い、メインアンプに対する出力負荷が2倍の大きさに変化するようなドハティアンプでは、図14に示すような効率特性となる。
この効率特性には2つのピークが存在するが、この理由は以下の通りである。一般的に、トランジスタは飽和動作に近づくほど動作効率が高くなる。よって、ドハティアンプでは、メインアンプが飽和動作に近づいた時に一度効率のピークを迎え、さらにメインアンプおよびサブアンプの両方が動作し、両アンプが飽和状態となった時に再度効率のピークを迎える。
以上のように、ドハティアンプでは通常のシングルエンドのアンプよりも低出力時の動作効率を向上させることができる。
しかし、MIMO送信機の電力増幅器にドハティアンプをそのまま利用した場合、電力増幅器のサイズが非常に大型になるため、送信機の無線部の大型化や高価格化を招くことになる。例えば、1つのメインアンプと1つのサブアンプで構成されるドハティアンプを2つの送信系を有するMIMO送信機の電力増幅器として用いた場合、使用するアンプの合計数は4つとなり、また、ドハティアンプで使用する電力分配器やインピーダンス変換器、位相調整器は2個づつ必要となるため、電力増幅器の回路サイズは約2倍に増加してしまう。
そこで、本発明者らは、機器の大型化および高価格化を可及的に抑えつつも、1つの送信系のみを利用した送信、および複数の送信系を利用した送信のいずれの場合においても低消費電力で送信可能な無線送信機を実現することを試み、努力を重ねた結果、本発明を着想するにいたった。以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の無線送信機の実施形態を示す。図中、1は第1の変調部、2は第1の電力増幅器、3は第1のアンテナ、4は第2の変調部、5は第2の電力増幅器、6は第2のアンテナ、7は第1の回路、8は第2の回路、9はベースバンド部、10は制御信号である。本実施の形態では制御信号をベースバンド9が与えることとしているが、制御信号を与える制御部を別途設け、制御部から与えるようにしてもよい。
本実施形態は、2つ送信系を有するMIMO送信機において、1つの送信系のみを用いて信号を送信する必要がある場合には、2つの電力増幅器を用いてドハティアンプを構成し、1つの変調部と1つのアンテナとを用いて信号を送信することを特徴とする。
以下では、送信信号の周波数が2GHzであり、送信機から出力する信号の出力レベルが18dBmである無線通信システムを例に挙げて、MIMO送信する場合と1つの送信系のみを用いて送信する場合とついて、本発明形態の具体的動作を説明する。
また、本実施形態において、第1の変調部1と第2の変調部4の出力インピーダンスは50Ωとし、また、第1の電力増幅器2の入出力インピーダンスも50Ωであるとし、さらに第1のアンテナ3および第2のアンテナ6の入力インピーダンスも50Ωであるとする。なお、第2の電力増幅器5については、第1の電力増幅器2と同じ動作条件であるMIMO送信時では入出力インピーダンスが50Ωであるが、ドハティアンプのサブアンプとして動作する1つの送信系のみを用いて送信する場合には、入力インピーダンスは50Ωであるが出力インピーダンスは50Ωに比べて十分高い値であるとする。
まず、送信機がMIMO送信する場合について説明する。
ベースバンド部9からベースバンド変調信号が第1の変調部1および第2の変調部4に入力される。第1の変調部1および第2の変調部4では、入力されたベースバンド変調信号を送信機が送信すべき2GHzのRF変調信号に変換して出力する。ここで、信号の変調に使用される変調方式については本発明の本質ではないために具体的に指定しないが、近年、無線通信システムにて用いられている16QAMやOFDMなどの変調方式が考えられる。
本実施形態における第1の変調部1および第2の変調部4に対して共通な具体的構成の1例を図2に示す。図中、31はローパスフィルタ、32は直交変調器、33はバンドパスフィルタ、34はドライバアンプ、35は制御信号分配手段である。ベースバンド部9にて変調がかけられたベースバンド信号が、ローパスフィルタ31を介して直交変調器32に入力され、2GHzの無線周波数までアップコンバートされた後、バンドパスフィルタ33を介してドライバアンプ34に入力され、増幅されて出力される。なお、第1の変調部1および第2の変調部における、ローパスフィルタ31、直交変調器32、およびドライバアンプ34は、ベースバンド部9より与えられる制御信号が制御信号分配手段35を介して供給され、送信機がMIMO送信する場合には第1の変調部1および第2の変調部4の両方が動作状態となり、送信機が非MIMO送信する場合には前記回路7および前記回路8の構成に依存して第1の変調部1または第2の変調部4のどちらかが休止状態となるように制御される。本実施例の構成の場合、第2の変調部4が休止状態となるように制御される。制御信号分配手段35は、例えばシリアルデータとしてベースバンド部9から制御信号が与えられる場合には、制御信号を記憶しておき、トリガ信号が与えられると各部に制御信号を分配供給するレジスタが考えられる。本実施形態では、説明を分かり易くするために第1の変調部1および第2の変調部4から出力される信号レベルを具体的に5dBmとする。
第1の変調部1および第2の変調部4から出力された信号は、前記回路7に入力される。図3に前記回路7の1例を示す。41、42は特性インピーダンス35Ωの1/4波長線路、43は特性インピーダンス50Ωの1/4波長線路(1/4+n波長線路(nは0または任意の自然数))、44、45はスイッチである。スイッチ44、45はベースバンド部9から出力される制御信号により制御される。
今、送信機はMIMO送信しているため、前記回路7は、第1の変調部1および第2の変調部4から出力された信号をそれぞれ第1の電力増幅器2および第2の電力増幅器5へ出力するように動作する。本実施形態では、スイッチ44では端子Aと端子Bが接続され、端子Cと端子Dが接続される。スイッチ45では、端子Gと端子Fが接続され、端子Eと端子Hは開放になるように動作する。
この時、第1の変調部1から、前記回路7側をみこんだインピーダンスを考える。交点Iに接続されている特性インピーダンス50Ωの1/4波長線路43の交点Iにおけるインピーダンスは、スイッチ44の端子Cで線路の他端が短絡されているため開放となる。また、第1の電力増幅器2の入力インピーダンス50Ωは、特性インピーダンス35Ωの1/4波長線路42により25Ωに変換されるが、さらにもう1つの特性インピーダンス35Ωの1/4波長線路41によりもとの50Ωに変換される。よって、第1の変調部1から、前記回路7側をみこんだインピーダンスは、第1の電力増幅器2の入力インピーダンス50Ωに等しくなり、前記回路7を第1の変調部1と第1の電力増幅器2の間に設けても、第1の変調部1と第1の電力増幅器2を直結した場合と同じようにインピーダンスミスマッチによる電力損失なしに第1の変調部1から出力された信号は第1の電力増幅器2へ入力される。
一方、第2の変調部4から前記回路7側をみこんだインピーダンスは、スイッチ44の端子Aと端子Bが接続されているために第2の電力増幅器5の入力インピーダンス50Ωに等しくなる。
かくして、第1の変調部1および第2の変調部4から出力された信号は、それぞれ第1の電力増幅器2および第2の電力増幅器5へ入力される。
ここで前記回路7における、挿入損失を考える。第1の変調部1から入力された信号は、2つの特性インピーダンス35Ωの1/4波長線路と1つのスイッチを通過して、第1の電力増幅器2へ入力される。また第2の変調部4から入力された信号は、1つのスイッチを通過して第2の電力増幅器5へ入力される。1/4波長線路はセラミック基板上などに形成した場合、挿入損失は2GHzで0.2dB程度であり、スイッチの挿入損失は1〜2dB程度である。よって1/4波長線路の挿入損失よりもスイッチの挿入損失の方が支配的であり、前記回路7が形成する2つの信号経路における挿入損失はほぼ等しく1〜2dB程度となる。仮に1/4波長線路の挿入損失が無視できない場合には、スイッチ44の出力に1/2波長線路を挿入することで2つの信号経路間の挿入損失の差を補正することが可能である。なお、本実施形態では動作の説明を簡単にするため、前記回路7の挿入損失は無いものとする。仮に前記回路7の挿入損失が2dBあったとする場合でも、第1の電力増幅器2および第2の電力増幅器5の利得をそれぞれ2dB高い値として説明することで説明に矛盾が生じることはない。
第1の電力増幅器2および第2の電力増幅器5に入力された信号は、第1のアンテナ3および第2のアンテナ6から所望の送信電力である15dBmの電力まで増幅される。今、第1の変調部1および第2の変調部4から出力される信号レベルは5dBmであるため、第1の電力増幅器2および第2の電力増幅器5の電力利得は具体的にはそれぞれ10dBである。すなわち、ベースバンド部9から与えられる制御信号により、第2の電力増幅器5は第1の電力増幅器2と同じ利得を持つようなバイアス条件に設定される。
本実施形態における第1の電力増幅器2と第2の電力増幅器5の1例をそれぞれ図6、図7に示す。図6中、60は入力整合回路、61はエミッタフォロアを用いたベースバイアス回路、62はコレクタバイアス回路、63はエミッタ接地増幅回路、64は出力整合回路である。また図7中、70は入力整合回路、71は制御信号で制御されるエミッタフォロアを用いたベースバイアス回路、72はコレクタバイアス回路、73はエミッタ接地増幅回路、74は出力整合回路である。
本実施形態では、第1の電力増幅器2と第2の電力増幅器5の構成は基本的に同じである。ただし、エミッタ接地増幅回路63および73に対してベースバイアス電流を供給するエミッタフォロアを用いたベースバイアス回路が制御信号にて制御されるか否かのみ異なる。
本実施形態では、MIMO送信する場合には、第1の電力増幅器2と第2の電力増幅器5はそれぞれAB級動作をしており、非MIMO送信時は第1の電力増幅器2はAB級で動作し、第2の電力増幅器5はC級で動作する。すなわち、図6に示す第1の電力増幅器2のベースバイアス電流はMIMO送信時でも非MIMO送信時でも同一である。一方、図7に示す第2の電力増幅器5のベースバイアス電流は、ベースバンド部9より与えられる制御信号により、エミッタフォロアを用いたベースバイアス回路71がエミッタ接地増幅回路73に供給するベースバイアス電流がMIMO送信時にはエミッタ接地増幅回路73がAB級で動作するように供給され、非MIMO送信時にはエミッタ接地増幅回路73がC級で動作するように供給される。図7に示した本実施形態の第2の電力増幅器5用のエミッタフォロアを用いたベースバイアス回路71は、ベースバンド部9により与えられる制御信号の電圧値そのものによりエミッタ接地増幅回路73に供給するベースバイアス電流を制御する事が可能である。よって具体的には、エミッタフォロアを用いたベースバイアス回路71に供給する制御電圧をMIMO送信時の電圧値より下げることでエミッタ接地増幅回路73の動作をAB級からC級へと変化させることができる。
かくして、第1の電力増幅器2および第2の電力増幅器5から出力された信号は、前記回路8へ入力される。
図4に前記回路8の1例を示す。図中、50は特性インピーダンス50Ωの1/4波長線路(1/4+n波長線路(nは0または任意の自然数))、51、52は特性インピーダンス35Ωの1/4波長線路、53、54、55はスイッチである。スイッチ53、54、55はベースバンド部9から出力される制御信号により制御される。
送信機はMIMO送信しているため、前記回路8は、第1の電力増幅器2および第2の電力増幅器5から出力された信号をそれぞれ第1のアンテナ3および第2のアンテナ6へ出力するように動作する。本実施形態では、スイッチ53では端子Jと端子Lが接続され、端子Mと端子Kは開放される。また、スイッチ54では端子Qと端子Rが接続され、スイッチ55では端子Pと端子Oが接続され、端子Nは開放される。
この時、第1の電力増幅器2から、前記回路8側をみこんだインピーダンスを考える。交点Tに接続されている特性インピーダンス50Ωの1/4波長線路50の交点Tにおけるインピーダンスは、スイッチ55の端子Pと端子Oが接続されているため線路の他端が短絡状態となり、開放となる。そして、スイッチ54の端子Qと端子Rが接続されるために、第1の電力増幅器2から前記回路8側をみこんだインピーダンスは、第1のアンテナ3の入力インピーダンス50Ωに等しくなる。
一方、第2の電力増幅器5から前記回路8側をみこんだインピーダンスを考える。交点Sは、スイッチ53における端子Kおよびスイッチ55における端子Nが開放となっているため、特性インピーダンス35Ωの1/4波長線路2つが接続されていることになる。また、第2のアンテナ6の入力インピーダンス50Ωは、特性インピーダンス35Ωの1/4波長線路52により25Ωに変換されるが、さらにもう1つの特性インピーダンス35Ωの1/4波長線路51によりもとの50Ωに変換されるので、第2のアンテナ6の入力インピーダンス50Ωひ等しくなる。よって、第2の電力増幅器5から前記回路8側をみこんだインピーダンスは、第1のアンテナ6の入力インピーダンス50Ωに等しくなり、前記回路8を第2の電力増幅部5と第2のアンテナ6の間に設けても、第2の電力増幅器5と第2のアンテナ6を直結した場合と同じようにインピーダンスミスマッチによる電力損失なしに第2の電力増幅器5から出力された信号は第2のアンテナ6へ入力される。
また、ここで前記回路7の場合と同様に前記回路8の挿入損失を考える。第1の電力増幅器2から入力された信号は、1つのスイッチを通過して第1のアンテナ3へ入力される。また第2の電力増幅器5から入力された信号は、2つの特性インピーダンス35Ωの1/4波長線路と1つのスイッチを通過して、第2のアンテナ6へ入力される。前記回路7の場合と同様に、1/4波長線路の挿入損失よりもスイッチの挿入損失の方が支配的であり、前記回路8が形成する2つの信号経路における挿入損失はほぼ等しく1〜2dB程度となる。仮に1/4波長線路の挿入損失が無視できない場合には、スイッチ54の入力に1/2波長線路を挿入することで2つの信号経路間の挿入損失の差を縮めることが可能である。なお、前記回路7の場合と同様に、説明を簡単にするために前記回路8の挿入損失は無いものとする。
以上のようにして、第1のアンテナ3および第2のアンテナ6からそれぞれ出力レベル15dBmの信号が出力され、送信機全体としては18dBmの出力レベルで信号が出力される。
次に1つの送信系のみを利用して信号を送信する場合、すなわち2つの電力増幅器を用いてドハティアンプを構成し、1つの変調部と1つのアンテナとを用いて信号を送信する場合の動作について説明する。
本実施形態では、変調部は第1の変調部1、アンテナは第2のアンテナ6を使用するものとする。ベースバンド部9から前記回路7に信号が入力されるまでの動作は、先に説明したMIMO送信時の第1の変調部1の動作と同様である。第1の変調部1から出力された信号は、前記回路7へ入力される。
ここで、まず前記回路7の動作について説明する。
図3において、前記回路7は、ベースバンド部9から与えられる制御信号に応じて、第1の変調部1から入力された信号を第1の電力増幅器2と第2の電力増幅器5に分配するための電力分配回路として動作するように制御される。具体的には、スイッチ44では端子Bと端子Cが接続され、端子Aと端子Dは開放される。スイッチ45では、端子Eと端子Fが接続され、端子Gと端子Hが接続されるように動作する。
この時、交点Iには、他端が短絡状態にある特性インピーダンス35Ωの1/4波長線路42と、他端が出力インピーダンス50Ωの第1の変調部1に接続された特性インピーダンス35Ωの1/4波長線路41と、入力インピーダンス50Ωの第1の電力増幅器2と、他端が出力インピーダンス50Ωの第2の電力増幅器5に接続された特性インピーダンス50Ωの1/4波長線路43が接続されることになる。
交点Iにおけるインピーダンス整合の状態を考えると、他端が短絡状態にある特性インピーダンス35Ωの1/4波長線路42のインピーダンスは、十分開放状態とみなせるくらい大きなインピーダンスとなり、他端が出力インピーダンス50Ωの第1の変調部1に接続された特性インピーダンス35Ωの1/4波長線路41は25Ωとなり、これに入力インピーダンス50Ωの第1の電力増幅器2と、他端が出力インピーダンス50Ωの第2の電力増幅器5に接続された特性インピーダンス50Ωの1/4波長線路43が接続されることになるため、インピーダンス25Ωで整合が取れる状態となる。結果として、第1の変調部1から出力された信号が、第1の電力増幅器2と第2の電力増幅器5へ分配され、かつ、第2の電力増幅器5に入力される信号の位相は第1の電力増幅器2へ入力される信号の位相に比べて90°位相が遅れるような電力分配器が形成される。
かくして、前記回路7から出力された信号は、第1の電力増幅器2および第2の電力増幅器5へ分配されて入力される。
次に、前記回路8の動作について説明する。
図4において、前記回路8は、ベースバンド部9から与えられる制御信号に応じて、第1の電力増幅器2および第2の電力増幅器5から出力された信号を第2のアンテナ6へ出力するように動作するように制御される。具体的には、スイッチ53では端子Jと端子Kが接続され、端子Lと端子Mが接続される。スイッチ54では、端子Qと端子Rが開放される。スイッチ55では、端子Pと端子Nが接続され、端子Oは開放されるように動作する。
この時、交点Sには、他端が短絡状態にある特性インピーダンス35Ωの1/4波長線路51と、他端が出力インピーダンス50Ωの第1の電力増幅器2に接続された特性インピーダンス50Ωの1/4波長線路50と、他端が入力インピーダンス50Ωの第2のアンテナ6に接続された特性インピーダンス35Ωの1/4波長線路52と出力インピーダンスが50Ωの第2の電力増幅器5が接続されることになる。
交点Sにおけるインピーダンス整合の状態を考えると、他端が短絡状態にある特性インピーダンス35Ωの1/4波長線路51のインピーダンスは、十分開放状態とみなせるくらい大きなインピーダンスとなり、他端が出力インピーダンス50Ωの第1の電力増幅器2に接続された特性インピーダンス50Ωの1/4波長線路50は50Ωであり、これに出力インピーダンスが50Ωに対して十分大きな値である第2の電力増幅器5と、他端が出力インピーダンス50Ωの第2のアンテナ6に接続された特性インピーダンス35Ωの1/4波長線路52が接続されることになる。このとき、第2の電力増幅器5の出力インピーダンスが本実施形態では50Ωに比べて十分大きいとしているため、上記の状態では交点Sではインピーダンス整合が取れていない状態となるが、ドハティアンプでは「アクティブロードプル効果」によりサブアンプから信号が出力される時には、電力増幅器に対する出力負荷が変化して観測される影響を考慮する必要があるため、「アクティブロードプル効果」により交点Sにおいてインピーダンス整合が取れるように設計すれば問題ない。結果として、第1の電力増幅器2から出力された信号は第2の電力増幅器5から入力される信号に比べて位相が90°遅れた状態となった後、第1の電力増幅器2および第2の電力増幅器5から出力された信号が足しあわされるような電力合成器が形成される。
ここで、以上で説明してきた本実施形態における非MIMO送信時の前記回路7、第1の電力増幅器2、第2の電力増幅器5および前記回路8により形成される回路を図示すると図5のようになる。図5と図8を比較すると、第1の電力増幅器2をメインアンプ83、第2の電力増幅器5をサブアンプ84、前記回路7における特性インピーダンス35Ωの1/4波長線路41を電力分配器81、特性インピーダンス50Ωの1/4波長線路43を1/4波長線路85、前記回路8における特性インピーダンス50Ωの1/4波長線路50を1/4波長線路86、特性インピーダンス35Ωの1/4波長線路52を電力合成器82としたドハティアンプの回路構成と同じである。特性インピーダンス50Ωの1/4波長線路(位相調整手段)43は、特性インピーダンス50Ωの1/4波長線路50の挿入による位相の遅延を調整するためのものである。交点Sは例えば合成点に相当する。なお先に述べたように、本実施形態ではサブアンプにC級バイアスされたアンプを使用するため、図8における制御回路87、電力検出器89、可変減衰器88およびバイアス回路90は不要となる。
よって、第2の電力増幅器5に対してベースバンド部9より第2の電力増幅器5がC級バイアスされるように制御信号が送られることで、前記回路7と第1の電力増幅器2と第2の電力増幅器5と前記回路8により形成される回路は、前記変調部1から出力される信号を増幅するドハティアンプとして動作する。
ドハティアンプは、入力される信号レベルが小さい時にはメインアンプのみが動作しており、入力される信号レベルが増加するに伴ってサブアンプが動作し始める。本実施形態では、サブアンプとして使用する第2の電力増幅器5をC級アンプとし、入力信号が増加するに伴って徐々にバイアス電流が上昇し、利得を持つON状態となるように動作させる。また、メインアンプのみが動作している時のメインアンプに対する出力負荷は、高効率動作するような高い値となっているが、サブアンプが動作し始めるとメインアンプとサブアンプに対する出力負荷の値がそれぞれ変化するように観測される「アクティブロードプル効果」と呼ばれる現象が生じ、本実施形態のように1/4波長線路50をインピーダンス変換器に用いている場合には、メインアンプに対する出力負荷の値は下がり、より高出力動作が可能となるようになる。
上記のようなドハティアンプの基本的な動作原理に関しては、引用文献1に詳細が記載されており、また背景技術の欄においても説明した。よって、ここでは第1の電力増幅器2および第2の電力増幅器5が、それぞれ最大出力レベルである15dBmで信号を出力する場合の、前記回路7と第1の電力増幅器2と第2の電力増幅器5と前記回路8により形成されるドハティアンプの動作に関してのみ説明する。
第1の変調部1から入力された信号は、前記回路7が形成する電力分配器によって第1の電力増幅器2および第2の電力増幅器5に分配される。
本実施形態における第1の電力増幅器2および第2の電力増幅器5の利得は、MIMO送信時でも、非MIMO送信時でも、同じ10dBの利得を有するものとする。すなわち、非MIMO送信時には、C級バイアスされた第2の電力増幅器5の利得は10dBとなる特性を有する。このとき、第1の変調部1から出力される信号レベルは具体的には8dBmである。
本実施形態では第1の電力増幅器2および第2の電力増幅器5の利得をMIMO送信時と非MIMO送信時とで等しい値としている。そのため、第1の変調部1の出力電力レベルはMIMO送信する場合に比べて非MIMO送信時では3dB高くなる。これは、本実施形態のように電力増幅器の利得がMIMO送信時でも非MIMO送信時でも同じである場合には従来の送信機でも同様である。つまり、従来の送信機と本実施形態とにおいて、第1の変調部1の出力レベルが3dB高くなることによる消費電力の増加に関しては同じである。
本実施形態では、上記のように第1の電力増幅器2および第2の電力増幅器5は同一の利得を有するとしているため、第1の電力増幅器2および第2の電力増幅器5にはそれぞれ同じレベルの信号が等分配されるものとしている。すなわち、第1の電力増幅器2および第2の電力増幅器5にはそれぞれ5dBmの信号が入力される。
第1の電力増幅器2および第2の電力増幅器5に入力された信号は電力増幅され、それぞれ15dBmの出力レベルで前記回路8へ出力される。このとき、第1の電力増幅器2および第2の電力増幅器5は、先に説明したMIMO送信時と同じレベルの信号が入力され、同じレベルの信号を出力する。よって、第1の電力増幅器2および第2の電力増幅器5の動作効率はMIMO送信時と同じになる。
そして前記回路8では、電力合成器が形成されているため、第1の電力増幅器2および第2の電力増幅器5から出力された信号は足しあわされ、18dBmの出力レベルの信号として第2のアンテナ6に入力される。
以上のようにして、第2のアンテナ6から出力レベル18dBmの信号が出力され、送信機としてはMIMO送信するときと同じ18dBmの出力レベルで信号が出力される。
図15は、第1の回路7の他の構成例を示す。この第1の回路100は、出力端子間のアイソレーションが確保でき、かつ出力信号間に90度の位相差が生じるアイソレーション回路101を備えている。
これにより、第1の回路100において、2つの出力端子間のアイソレーションが確保できる。よって、第1の電力増幅器2と第2の電力増幅器5の入力端子間のアイソレーションも確保され、結果として第1の電力増幅器2と第2の電力増幅器5を用いてドハティアンプを構成する場合に2つの電力増幅器の入力インピーダンス同士が影響を及ぼしあわないため、電力増幅器の入力整合回路等の設計が比較的容易にできる。
また、第1の回路100は、出力信号間に90度の位相差を付けるため、図3の第1の回路7における特性インピーダンス35Ωの1/4波長線路41と特性インピーダンス50Ωの1/4波長線路43で構成される電力分配器と等価の働きを実現する。
以下このような第1の回路100についてさらに詳細に説明する。
図15中、101は出力端子間のアイソレーションが取れ、かつ、出力信号間に90度の位相差を付けるアイソレーション回路、102は第1のスイッチ回路、103は第2のスイッチ回路、104は終端器である。
アイソレーション回路101には、たとえば非特許文献2(マイクロウェーブ技術入門講座(基礎編) 森栄二著 CQ出版社)に記載の3dBブランチラインカプラが使用できる。3dBブランチラインカプラの構成や設計方法については非特許文献2に記載されている。3dBブランチラインカプラを使用した場合、非特許文献2によれば1.5GHzで出力端子間のアイソレーションが30dB以上確保できる。
また、アイソレーション回路101には、例えば非特許文献3(Junghyun KIM, et al., ”A Highly-Integrated Doherty Amplifier for CDMA Handset Applications Using an Active Phase Splitter”, IEEE Microwave and Wireless Components Letters, vol. 15, No. 5, MAY 2005.)に記載の、半導体トランジスタで構成される位相器も使用できる。非特許文献3によれば、10dB以上確保できる。
第1の回路100を備えた送信機の動作は、第1の回路100の動作以外は、第1の回路7を備えた送信機の場合と同様である。よって、以下では、第1の回路100の動作を中心に説明する。
まず、第1の回路100を備えた送信機が非MIMIO送信する場合について説明する。図15において、第1の回路100は、ベースバンド部9から与えられる制御信号に応じて、第1の変調部1から入力された信号を第1の電力増幅器2と第2の電力増幅器5に分配するための電力分配回路として動作するように制御される。具体的には、第1のスイッチ回路102では端子Aと端子C、および端子Fと端子Eが接続され、第2のスイッチ回路103では、端子Gと端子Iが接続されるように動作する。
かくして、第1の変調部1から入力された信号は、アイソレーション回路101によって同一電力レベルで互いに90度の位相差がつけられ2つの信号に分波され、第1の電力増幅器2と第2の電力増幅器5に入力される。
一方、上記送信機がMIMO送信する場合には、第1の回路100は、ベースバンド部9から与えられる制御信号に応じて、第1の変調部1から入力された信号を第1の電力増幅器2へ出力し、第2の変調部4から入力された信号を第2の電力増幅器5へ出力するように動作する。具体的には、第1のスイッチ回路102では端子Aと端子B、端子Dと端子Eがそれぞれ接続され、第2のスイッチ回路103では、端子Hと端子Iが接続されるように動作する。
かくして、第1の変調部1から入力された信号は、第1の電力増幅器2に出力され、第2の変調部4から入力された信号は、第2の電力増幅器5へ出力される。
以上で説明した第1の回路100の動作以外の、送信機を構成する回路の動作は、非MIMO送信する場合とMIMO送信する場合の両方において、第1の回路7を備えた送信機の場合と同様である。
以上のように、本実施形態ではMIMO送信時と非MIMO送信時とで、送信機内に備えた第1の電力増幅器2および第2の電力増幅器5は、各々動作効率が等しくなる。よって、従来のMIMO送信機では、同一の電力増幅器を使用した場合に非MIMO送信時には電力増幅器の動作効率が劣化してしまうという問題があったが、本発明を実施する事によりこの問題を回避することが可能となる。
また、本実施形態では1つの送信系のみを利用して信号を送信することが必要とされるMIMO用送信機において、各送信系に備える電力増幅器の飽和レベルをMIMO送信時に必要とされる飽和レベルに等しくすることが可能となる。結果として、MIMO送信時の電力増幅器のバックオフ量を増加させる必要がなくなるために、MIMO送信時の消費電力が低減できる。
さらに、本実施形態では、1つの送信系のみを利用して信号を送信する場合には、送信機の備える複数の電力増幅器でドハティアンプを構成するため、送信機は無線通信システムが規定する歪みレベルを満たしながら出力すべき送信レベルを満たすことが可能となる。
以上のような効果により、1つの送信系のみを利用して信号を送信することが必要となるMIMO送信機を小型、低価格で実現できる。
なお本実施形態では、インピーダンス変換手段および位相調整手段の1例として特性インピーダンス50Ωの1/4波長線路を例にあげ、信号経路切り替え手段としてスイッチを例にあげて説明したが、インピーダンス変換手段および信号経路切り替え手段が1/4波長線路およびスイッチと同じ効果を有する他の回路であってもかまわないし、変換前および変換後のインピーダンスの値が本実施形態と異なる場合であってもかまわない。
また、第1の回路7および第2の回路8の動作説明をする際に、「インピーダンス整合が取れる」という表記を用いたが、完全にインピーダンス整合が取れている状態でなくとも、送信機が無線通信を行ううえで支障が生じない程度(例えば、回路間の電圧定在波比(VSWR)が2以下程度)にインピーダンス整合が取れているような状態であっても問題ない。
また、第2の電力増幅器5はC級バイアス状態の時に出力インピーダンスが50Ωより十分高くなる場合を例に挙げて説明したが、第2の電力増幅器5の出力インピーダンスが十分高くない場合であっても、第1の回路7および第2の回路8に使用する1/4波長線路の特性インピーダンスの値およびその長さを適当に選択することによりドハティアンプが実現できるため問題ない。
また、第1の変調部1および第2の変調部4が図2に示されるような構成でなくても、すなわち変調された無線周波数の信号を出力できる機能を有する回路であれば図2に示される構成と異なる構成であってもかまわない。
また、第2の電力増幅器5は、1つの送信系のみで送信する場合にはC級バイアスとなるようにベースバンド部9から与えられる制御信号により制御される例を挙げて説明したが、第2の電力増幅器5が、ドハティアンプのサブアンプとして機能するように、入力された信号のレベルに応じてベースバンド部9から与えられる制御信号によりバイアス電圧およびドライブレベルが調整されるような電力増幅器であってもかまわない。
また、第1の電力増幅器2と第2の電力増幅器5に対して、第1の変調部1から出力された信号が等分配される例を挙げて説明したが、分配比率が等しくない場合であっても問題ない。
また、第1の電力増幅器2または第2の電力増幅器5の利得が等しい場合を例に挙げて説明したが、第1の電力増幅器2および第2の電力増幅器5の利得が等しくない場合に、第1の電力増幅器2と第2の電力増幅器5の両方もしくは片方にゲインアンプや減衰器などの利得を補正する機能を備えても良い。
さらに、送信機の送信電力を信号伝播路の状況に応じて変化させる送信電力制御を行う場合には、第1の変調部1および第2の変調部4において出力電力を可変とするための可変利得増幅器など回路を有することで実現できる。
また、本実施形態では2つの送信系を有するMIMO送信機を用いているが、3つの送信系を有するMIMO送信機に本発明を実施する場合も同様に、第1の回路および第2の回路と3つの送信系が備える3つの電力増幅器とを用い、かつ、これら3つの電力増幅器を1つのメインアンプと2つのサブアンプとして用いることによりドハティアンプを構成することが可能であり、MIMO送信時の電力増幅器の動作効率劣化を回避することが可能となる。
また、本実施形態において、各電力増幅器は、バイアス電圧またはバイアス電流や環境温度などの動作条件が等しい条件下において同一レベルで信号を出力する場合、歪み特性や雑音特性などに代表される無線通信システムが規定する高周波特性が、互いに等しいレベルであることが好ましい。
また、本実施形態において、第1の回路または第2の回路またはこれらの両方が、半導体プロセスで作られたインダクタとキャパシタ、または積層セラミックコンデンサや薄膜インダクタなどのチップ部品のインダクタとキャパシタで構成される集中定数回路と、スイッチとで構成されてもよい。
また、本実施形態において、第1の回路と、第2の回路と、複数の電力増幅器とが、同一の半導体プロセスで作られるMMICであってもよい。
また、本実施形態において、第1の回路と、第2の回路と、複数の電力増幅器との各々が、またはこれらの任意の組み合わせにおける各組み合わせが、同一のセラミック基板または樹脂基板上において、配線パターンやチップ部品などを用いて実現されたモジュールであってもよい。
本発明を実施形態としての送信機の構成を示す図。 第1の変調部および第2の変調部の一例を示す図。 第1の回路の一例を示す図。 第2の回路の一例を示す図。 1つの送信系のみで信号を送信する場合に、第1の回路と第2の回路と第1の電力増幅器と第2の電力増幅器によってドハティアンプが形成されることを説明する図。 第1の電力増幅器の一例を示す図。 第2の電力増幅器の一例を示す図。 既知のドハティアンプの構成を示す図。 1/4波長分布定数線路を用いた電力分配器を示す図。 メインアンプのみが動作している時のメインアンプの出力負荷を説明する図。 メインアンプおよびサブアンプが動作している時の両アンプの出力負荷を説明する図。 メインアンプの出力電流の変化を説明する図。 アクティブロードプル効果を説明する図。 B級アンプの半分の飽和出力レベルを持つ2つのB級アンプで構成したドハティアンプの動作効率の理論特性を示す図。 第1の回路の他の構成例を示す図。 飽和出力レベルが28dBmであり、飽和出力時の動作効率が45%であるB級アンプの出力電力対効率特性を理論値により示す図。
符号の説明
1: 第1の変調部 2: 第1の電力増幅器
3: 第1のアンテナ 4: 第2の変調部
5: 第2の電力増幅器 6: 第2のアンテナ
7: 第1の回路
8: 第2の回路
9: ベースバンド部 10: 制御信号

31: ローパスフィルタ
32: 直交変調器 33: バンドパスフィルタ
34: ドライバアンプ 35: 制御信号分配手段

41、42: 特性インピーダンス35Ωの1/4波長線路
43: 特性インピーダンス50Ωの1/4波長線路
44、45: スイッチ

50: 特性インピーダンス50Ωの1/4波長線路
51、52: 特性インピーダンス35Ωの1/4波長線路
53、54、55: スイッチ

60: 入力整合回路 61: エミッタフォロアを用いたベースバイアス回路
62: コレクタバイアス回路 63: エミッタ接地増幅回路
64: 出力整合回路

70: 入力整合回路
71: 制御信号で制御されるエミッタフォロアを用いたベースバイアス回路
72: コレクタバイアス回路 73: エミッタ接地増幅回路
74: 出力整合回路

81: 電力分配器 82: 電力合成器 83: メインアンプ
84: サブアンプ 85、86: 1/4波長線路 7: 制御回路
88: 可変減衰器 89: 電力検出器

90: バイアス回路 91: 信号入力端子 92: 信号出力端子
93、94: 1/4波長線路

100: 第1の回路 101: アイソレーション回路
102: 第1のスイッチ回路 103: 第2のスイッチ回路

Claims (17)

  1. 各々入力信号を変調して変調信号を生成する第1および第2の変調部と、
    各々変調信号を電力増幅して電力増幅信号を生成する第1および第2の電力増幅器と、
    各々電力増幅信号を空間中に電波として放射する第1および第2のアンテナと、を備え、
    さらに、
    前記第1の変調部からの変調信号を前記第1の電力増幅器へ出力し前記第2の変調部からの変調信号を前記第2の電力増幅器へ出力する第1の経路と、前記第1の変調部からの変調信号を分離して一方の変調信号を前記第1の電力増幅器へ他方の変調信号を第2の電力増幅器へ出力する第2の経路と、前記第1および第2の経路を切り換える経路切替手段と、を有する第1の回路と、
    前記第1の電力増幅器からの電力増幅信号を前記第1のアンテナに出力し前記第2の電力増幅器からの電力増幅信号を前記第2のアンテナに出力する第3の経路と、前記第1および第2の電力増幅器からの電力増幅信号を合成点において合成して前記第1または第2のアンテナに出力する、前記第1の電力増幅器からの電力増幅信号が前記合成点に向かう経路上においてインピーダンス変換手段を含む第4の経路と、前記第3および第4の経路を切り換える経路切替手段と、を有する第2の回路と、
    前記第1および第2の変調部の両方を用いる第1の通信を行う場合は、前記第1の回路を前記第1の経路に設定する制御信号を前記第1の回路の経路切替手段に供給し、前記第2の回路を前記第3の経路に設定する制御信号を前記第2の回路の経路切替手段に供給し、
    一方、前記第1および第2の変調部のうち前記第1の変調部のみを用いる第2の通信を行う場合は、前記第1の回路を前記第2の経路に設定する制御信号を前記第1の回路の経路切替手段に供給し、前記第2の回路を前記第4の経路に設定する制御信号を前記第2の回路の経路切替手段に供給する、
    制御部と、
    を備えた無線送信機。
  2. 前記制御部は、前記第2の電力増幅器のバイアス電圧またはバイアス電流を制御するバイアス制御信号を前記第2の電力増幅器に供給することを特徴とする請求項1に記載の無線送信機
  3. 前記制御部は、前記第1の通信が実行される場合は、前記第2の電力増幅器をAB級増幅させるバイアス制御信号を前記第2の電力増幅器に供給し、前記第2の通信が実行される場合は、前記第2の電力増幅器をC級増幅させるバイアス制御信号を前記第2の電力増幅器に供給することを特徴とする請求項2に記載の無線送信機。
  4. 前記第1の電力増幅器はAB級増幅を行うことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の無線送信機。
  5. 前記第2の経路は、前記他方の変調信号の経路上において位相調整手段を含むことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の無線送信機。
  6. 前記位相調整手段は、1/4+n波長線路 (nは0または任意の自然数)であることを特徴とする請求項5に記載の無線送信機。
  7. 前記第1の回路における第2の経路は、前記変調信号を分離する機能および前記位相調整手段として、入力された変調信号を位相差が互いに90°となるように2つに分離するハイブリッド型電力分配器を含むことを特徴とする請求項5または6に記載の無線送信機。
  8. 前記第2の回路における第4の経路上のインピーダンス変換手段は、1/4+n波長線路 (nは0または任意の自然数)であることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の無線送信機。
  9. 前記第1の回路における経路切替手段または前記第2の回路における経路切替手段は、スイッチによって構成されたことを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の無線送信機。
  10. 前記第1の回路または前記第2の回路またはこれらの両方は、集中定数回路とスイッチとで構成されたことを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の無線送信機。
  11. 第1および第2の電力増幅器と、
    第1の入力信号を前記第1の電力増幅器へ出力し第2の入力信号を前記第2の電力増幅器へ出力する第1の経路と、
    前記第1の入力信号を分離し一方の分離入力信号を前記第1の電力増幅器へ他方の分離入力信号を第2の電力増幅器へ出力する第2の経路と、
    前記第1および第2の経路を切り換える第1の経路切替手段と、
    前記第1および第2の電力増幅器から入力される前記第1および第2の電力増幅信号をそれぞれ出力する第3の経路と、
    インピーダンス変換手段を介した前記第1の電力増幅信号および第2の電力増幅信号を合成点において合成して出力する第4の経路と、
    前記第3および第4の経路を切り換える第2の経路切替手段と、
    を備えた増幅器。
  12. 前記第1の電力増幅器はAB級増幅を行うことを特徴とする請求項11に記載の増幅器。
  13. 前記第2の経路は、前記他方の分離信号の経路上において位相調整手段を含むことを特徴とする請求項11または12に記載の増幅器。
  14. 前記位相調整手段は、1/4+n波長線路 (nは0または任意の自然数)であることを特徴とする請求項13に記載の増幅器。
  15. 前記第2の経路は、前記入力信号を分離する機能および前記位相調整手段として、入力された信号を位相差が互いに90°となるように2つに分離するハイブリッド型電力分配器を含むことを特徴とする請求項13または14に記載の増幅器。
  16. 前記第4の経路上のインピーダンス変換手段は、1/4+n波長線路 (nは0または任意の自然数)であることを特徴とする請求項11ないし15のいずれかに記載の増幅器。
  17. 前記第1の経路切替手段または前記第2の経路切替手段は、スイッチによって構成されたことを特徴とする請求項11ないし16のいずれかに記載の増幅器。
JP2005307433A 2005-03-30 2005-10-21 無線送信機および増幅器 Expired - Fee Related JP4282655B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005307433A JP4282655B2 (ja) 2005-03-30 2005-10-21 無線送信機および増幅器

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005097911 2005-03-30
JP2005307433A JP4282655B2 (ja) 2005-03-30 2005-10-21 無線送信機および増幅器

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006311485A JP2006311485A (ja) 2006-11-09
JP4282655B2 true JP4282655B2 (ja) 2009-06-24

Family

ID=37477772

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005307433A Expired - Fee Related JP4282655B2 (ja) 2005-03-30 2005-10-21 無線送信機および増幅器

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4282655B2 (ja)

Families Citing this family (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5049562B2 (ja) * 2006-11-17 2012-10-17 株式会社日立国際電気 電力増幅器
WO2009004733A1 (ja) * 2007-07-05 2009-01-08 Panasonic Corporation Mimo送信装置
JP2009100429A (ja) * 2007-10-19 2009-05-07 Hitachi Kokusai Electric Inc ドハティ増幅器
DE102010034067A1 (de) * 2010-08-12 2012-02-16 Rohde & Schwarz Gmbh & Co. Kg Hochfrequenzleistungsverstärker mit Doherty-Erweiterung
JP5444173B2 (ja) * 2010-09-08 2014-03-19 株式会社東芝 増幅器及びアンプ制御方法
US9118391B2 (en) 2010-10-15 2015-08-25 Freescale Semiconductor, Inc. Integrated circuit device, wireless communication unit and method of manufacture therefor
JP5958309B2 (ja) * 2012-12-03 2016-07-27 富士通株式会社 無線通信装置、ドハティ増幅器及び無線通信装置の制御方法
US9118279B2 (en) * 2013-10-03 2015-08-25 Freescale Semiconductor, Inc. Power amplifiers with signal conditioning
JP2021184526A (ja) 2020-05-21 2021-12-02 住友電気工業株式会社 ドハティ増幅器
WO2023058414A1 (ja) * 2021-10-06 2023-04-13 株式会社村田製作所 高周波回路および通信装置

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11112362A (ja) * 1997-10-02 1999-04-23 Kokusai Electric Co Ltd 電力合成方法と電力増幅装置
JP2000068902A (ja) * 1998-08-26 2000-03-03 Hitachi Denshi Ltd 電力増幅器
JP2001352220A (ja) * 2000-06-07 2001-12-21 Matsushita Electric Ind Co Ltd 電力増幅器
JP4094239B2 (ja) * 2001-02-19 2008-06-04 富士通株式会社 増幅器
KR100553252B1 (ko) * 2002-02-01 2006-02-20 아바고테크놀로지스코리아 주식회사 휴대용 단말기의 전력 증폭 장치

Also Published As

Publication number Publication date
JP2006311485A (ja) 2006-11-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7489910B2 (en) Wireless transmitter and amplifier
JP4282655B2 (ja) 無線送信機および増幅器
US9768732B2 (en) Asymmetric multilevel backoff amplifier with radio-frequency splitter
US6262629B1 (en) High efficiency power amplifier having reduced output matching networks for use in portable devices
US7279971B2 (en) Composite power amplifier
JP6265129B2 (ja) 電力増幅器及び電力増幅方法
US8417199B2 (en) Method and apparatus for improving efficiency in a power supply modulated system
KR20030063473A (ko) 고효율 신호 송신기용 e 등급 도허티 증폭기 토포로지
US9698731B2 (en) Power amplifier, transceiver, and base station
JP7279391B2 (ja) 電力増幅回路及びアンテナ装置
JP2010021719A (ja) ドハティ増幅器
JP2008017072A (ja) 増幅器
US20220255508A1 (en) Load modulated doherty power amplifiers
EP1714393B1 (en) Radio transmitter with reduced power consumption
JP2006129482A (ja) 高効率増幅器
JP2009055515A (ja) 増幅器
JP2006166141A (ja) ドハティ増幅器
KR101066640B1 (ko) 2단 연결 바이어스 혼합 전력 증폭 장치
JP5754362B2 (ja) 増幅器
JP2001274633A (ja) 電力増幅装置
KR100983517B1 (ko) 기지국 출력 향상을 위한 고출력 파워엠프
KR101686351B1 (ko) 3-웨이 도허티 전력증폭기 장치
JP7292529B1 (ja) ドハティ増幅器
US20240079998A1 (en) Combiners for doherty power amplifier systems
US20240080005A1 (en) Doherty power amplifier systems with envelope controlled state

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070129

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090220

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090227

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090317

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 4282655

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120327

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130327

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130327

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140327

Year of fee payment: 5

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees