JP4281269B2 - 化粧材及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築物の内装用の床タイルなどに用いられる化粧材に関するものである。
【0002】
さらに詳しくは、柔軟性、表面硬度、反り等の物性面において従来のポリ塩化ビニル樹脂製の化粧材と同等の性能を有しつつ、ポリ塩化ビニル樹脂を含有しないので燃焼時の有害物質発生の問題もなく、しかも安定した高い層間密着性を有し、耐候性や耐久性にも優れ、簡便且つ安定的に製造可能な化粧材に関するものである。
【0003】
【従来の技術】
従来、住宅や店舗、オフィスビル等の内装用の床タイルとしては、柔軟で加工し易く、しかも安価なポリ塩化ビニル樹脂製のものが最も多用されていた。
【0004】
しかしながら、ポリ塩化ビニル樹脂は燃焼時に塩化水素やダイオキシン等の毒性物質を発生するので、火災時の問題や使用後の焼却処分による環境汚染問題等が指摘され、内装材としての使用が問題視される様になっており、ポリ塩化ビニル樹脂に代わる材質のものでポリ塩化ビニル樹脂製のものと同等の性能を有する化粧材の出現が望まれていた。
【0005】
係る問題点に鑑み、本発明者らは既に、アクリレート系共重合体樹脂を主成分とするバッカー層からなる下層の上に、絵柄層やプライマー層を介して、アイオノマー樹脂からなる上層を積層してなる化粧材を提案した(特開平9−207276号公報、特開平10−315422号公報等参照)。
【0006】
この化粧材は、アイオノマー樹脂がポリ塩化ビニル樹脂と非常に近い機械的・熱的特性を有することを利用したもので、ポリ塩化ビニル樹脂製化粧材と同等の性能が得られることは勿論、同一の製造設備を使用して従来通りの工程で製造可能であり、また燃焼時の有害物質発生の問題もないという優れた利点を有するものである。
【0007】
ところが、上記化粧材は、絵柄層等を保護するための上層を構成するアイオノマー樹脂が、そのポリ塩化ビニル樹脂に近似した機械的・熱的特性の要因でもある、金属イオンを介したイオン結合による比較的緩い分子間の結合(架橋)構造のために、低分子量の化学物質(特に極性化学物質)に対する遮断性(バリアー性)に乏しいので、表面に付着した汚染物等に含有される低分子量の化学物質が、アイオノマー樹脂からなる上層内を浸透して、絵柄層やプライマー層に至り、これらを劣化ないし変質させる場合があることが判明した。
【0008】
例えば、内装用の床タイルは、その表面の保護や艶の保持のために、その表面にワックスを塗布したり、使用中に表面に付着した汚染物の除去等の目的で、洗浄剤を使用して表面を洗浄したりされる場合が多い。ところが、こうしたワックスや洗浄剤には、例えば有機溶剤や可塑剤、界面活性剤等、各種の低分子量の化学物質が含まれている場合が多く、こうした低分子量の化学物質が、アイオノマー樹脂からなる上層内を浸透して、絵柄層やプライマー層に至り、これらのバインダー樹脂を劣化させて微細な剥離を生じて、表面から変色として観察されたり、層間剥離強度が著しく低下して、上層のバッカー層からの剥離が発生したりする場合があることが判明した。
【0009】
特に、絵柄層は、着色のために顔料等の着色剤を含有し、相対的にバインダー樹脂分が少ないので、バインダー樹脂の劣化の影響を強く受けて、絵柄層内での凝集破壊により破断して内部に空隙を発生し、化粧材の表面から見た時の変色や、層間剥離強度の低下などの問題を発生し易い傾向にある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の技術における上記の如き問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、各種物性面において従来のポリ塩化ビニル樹脂製の化粧材と同等の性能を有しつつ、燃焼時の有害物質発生の問題がなく、安定した高い層間密着性を有し、表面から浸透した化学物質による変色や剥離の問題もなく、耐候性や耐久性に優れ、簡便且つ安定的に製造可能な化粧材を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の化粧材は、アクリレート系共重合体樹脂を主成分とする樹脂からなるバッカー層からなる下層と、アイオノマー樹脂からなる上層との間に、ポリオレフィン樹脂フィルム又はポリエステル樹脂フィルムからなる厚さが10〜100μmの中間層を挟持してなる化粧材であって、前記中間層は、上面にホットメルト型接着剤層、下面に絵柄層及び/又はプライマー層が設けられていることを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明の化粧材は、アクリレート系共重合体樹脂を主成分とする樹脂からなるバッカー層からなる下層と、アイオノマー樹脂からなる上層との間に、ポリオレフィン樹脂フィルム又はポリエステル樹脂フィルムからなる厚さが10〜100μmの中間層とアイオノマー樹脂からなる第二中間層を積層した中間積層体を挟持してなる化粧材であって、前記中間層に下面に絵柄層及び/又はプライマー層が設けられていることを特徴とするものである。
【0013】
また、請求項2に記載の化粧材の製造方法であって、前記第二中間層と前記中間層とを積層した中間積層体を形成し、次に、前記中間積層体の中間層下面に、絵柄層及び30〜50℃で溶解するプライマー層を形成した後、前記中間積層体の第二中間層面に前記上層を、前記30〜50℃で溶解するプライマー層面に下層を、それぞれ重ね合わせて熱圧着することを特徴とするものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、詳細に説明する。図1及び図2は、本発明の化粧材の実施の形態を示す側断面図である。
【0015】
本発明の化粧材は、図1に例示する様に、バッカー層からなる下層1の上に、絵柄層3及び/又はプライマー層2と、ポリオレフィン樹脂又はポリエステル樹脂からなる中間層5と、アイオノマー樹脂からなる上層8とが少なくとも順次積層されて構成されるものである。
【0016】
中間層5より上のアイオノマー樹脂からなる層は、2層以上の任意の数の層から構成されていても良く、例えば図2に示す様に、中間層5の上に、いずれもアイオノマー樹脂からなる第二中間層7及び上層8が順次積層された構成とすることもできる。また、上層8の表面には、必要に応じてエンボス加工による凹部9が設けられていても良い。
【0017】
なお、絵柄層3及びプライマー層2に関しては、本発明においては、その少なくとも一方が少なくとも1層設けられていればよく、それらの各々の層数やそれら相互の積層順序については、本発明において特に限定されるものではない。
【0018】
例えば、必要に応じて、プライマー層2を絵柄層3の下側に設ける代わりに、絵柄層3の上側にプライマー層4として設けたり、或いは、絵柄層3の上側のプライマー層2と下側のプライマー層4とを併設したりしても良い(図2)。これらの詳細については後述する。
【0019】
本発明に使用されるアイオノマー樹脂とは、一般に有機及び無機の成分が共有結合とイオン結合によって結合されている樹脂のことである。本発明に特に好ましく使用されるアイオノマー樹脂としては、共重合体の分子間を金属イオンで架橋した樹脂が挙げられる。
【0020】
この場合の共重合体としてはアクリレート系共重合体、例えばエチレン−メタクリル酸共重合体などが挙げられる。金属イオンとしては、例えばナトリウム、カリウム、マグネシウム、亜鉛等のイオンが挙げられる。
【0021】
アイオノマー樹脂を得るには、例えば、カルボキシル基を側鎖に有する単量体(例えばアクリル酸)を共重合させたエチレン系のポリマーに、ナトリウム、カリウム、マグネシウム又は亜鉛等の金属の水酸化物、アルコキシド又は低級脂肪酸塩等を適当量添加して酸基を中和する方法が挙げられる。
【0022】
これにより、分子鎖に沿って分布するカルボキシル陰イオンが分子鎖間に存在する金属陽イオンと静電的に結合して一種の架橋を形成し、共重合体の分子間を金属イオンで完全に又は部分的に架橋した構造のアイオノマー樹脂が得られる。
【0023】
本発明に好ましく使用されるアイオノマー樹脂は、上述の共重合体樹脂であるため、その共重合組成によってシートの硬さが任意に選択でき、また金属イオンによる架橋結合は加熱により結合力が弱められ、冷却すると結合力が回復するというポリ塩化ビニル樹脂と非常に良く似た性質を有している。
【0024】
従って、上記アイオノマー樹脂を使用した本発明の化粧材は、例えば熱ラミネーション及びエンボス加工により製造されていた従来の塩化ビニル製の化粧材の製造設備を使用して、従来通りの工程で製造可能であるという利点がある。
【0025】
本発明の化粧材は、表面側の樹脂層が上述のアイオノマー樹脂からなるが、このアイオノマー樹脂からなる上層8や第二中間層7は、アイオノマー樹脂に必要に応じて例えば紫外線吸収剤や光安定剤、熱安定剤等の適宜の添加剤を添加したものを、例えば押出し法、カレンダー法又はインフレーション法等の適宜の方法で、シート状に成形することにより得られる。
【0026】
アイオノマー樹脂からなる層(上層8、第二中間層7)の総厚は、本発明において特に限定されるものではないが、通常は100〜1000μm程度の厚さが適当である。
【0027】
中間層5は、表面側のアイオノマー樹脂からなる層(上層8、第二中間層7)中を浸透してきた低分子量の化学物質が、絵柄層3やプライマー層2、4に到達して劣化、破壊させるのを防止するために、これら化学物質に対する遮断層として設けられるものである。
【0028】
アイオノマー樹脂は、そのイオン架橋構造に起因して、石油系等の非極性化学物質に対する抵抗性は比較的に強いが、例えばアルコール類やグリコール類、エステル類、ケトン類、有機酸類、アミド類等の極性化学物質に対する抵抗性が比較的に弱いので、中間層5は、これら極性化学物質に対する抵抗性の強い樹脂から構成する必要がある。
【0029】
そこで、本発明においては、中間層5の構成材料として、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン−1、ポリ−4−メチルペンテン−1等のポリオレフィン樹脂、又は、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂を使用する。
【0030】
なお、中間層5の構成材料として、上記ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂を使用する場合には、化学物質に対する抵抗性に特に優れた二軸延伸フィルムを使用することが望ましい。
【0031】
中間層5の厚さは、薄過ぎると各種化学物質に対する遮断性が不足し、厚過ぎるとアイオノマー樹脂からなる層(上層8、第二中間層7)の柔軟性や弾力性を減殺して化粧材の特性を損なうので、通常10〜100μm程度の範囲内とすることが望ましい。
【0032】
バッカー層からなる下層1は、本発明の化粧材の支持体となるものであり、従来の類似の化粧材においてバッカー層として使用されていたものと同様のものを使用すれば良い。
【0033】
具体的には、表面側に積層したアイオノマー樹脂からなる層(上層8、第二中間層7)との、硬度や熱伸縮性等のバランスから、例えばエチレン−アクリル酸メチル共重合体樹脂(EMA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体樹脂(EEA)、エチレン−メタクリル酸共重合体樹脂(EMAA)、エチレン−アクリル酸共重合体樹脂(EAA)、アイオノマー樹脂、またはそれらの混合物等のアクリレート系共重合体樹脂を主成分とするものを使用することが望ましい。
【0034】
係る共重合体樹脂は、共重合組成によりシートの硬さが任意に変えられる利点があるので、本発明の化粧材に使用するのに適当である。
【0035】
特に、シートの硬さと柔軟性とのバランスを考慮すると、エチレン−アクリル酸メチル共重合体樹脂(EMA)を使用することが最も好ましい。
【0036】
バッカー層からなる下層1は、上記の様に、アクリレート系共重合体樹脂を主成分とするものであるが、必要に応じて例えば充填材や着色剤等の適宜の添加剤を含有させることは任意である。
【0037】
下層1の厚みは特に限定されず任意であるが、化粧材全体の厚み等を考慮すると、通常2〜5mm程度の厚さが適当である。
【0038】
中間層5と下層1との層間には、絵柄層3及び/又はプライマー層2、4が設けられる。一般的には、印刷等による所望の絵柄の意匠を付与するために、少なくとも絵柄層3が設けられる場合が多い。
【0039】
絵柄層3のなす絵柄の種類は特に限定されず、例えば木目柄、石目柄、布目柄、砂目柄、抽象柄、幾何学図形、文字又は記号、或いはそれらの組み合わせ等、所望により任意である。
【0040】
絵柄層3に使用する印刷インキの種類は特に限定されず、従来より係る化粧材に使用されている任意の印刷インキを使用することができる。
【0041】
具体的には、例えばポリ塩化ビニル樹脂系、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂系、ブチラール系、アクリル系、ウレタン系、ポリエステル系、エポキシ系、アルキド系、ポリアミド系等のバインダー樹脂に、有機又は無機の染料又は顔料や、必要に応じて体質顔料、充填剤、粘着付与剤、分散剤、消泡剤、安定剤その他の添加剤を適宜添加し、適当な希釈溶剤で所望の粘度に調整してなる、従来公知の任意の印刷インキが使用可能である。
【0042】
プライマー層2、4は、中間層5と絵柄層3、絵柄層3と下層1、若しくは中間層5と下層を、相互に強固に接着させるために設けられるものである。従って、絵柄層3自体に中間層5と下層1とを強固に接着させる機能があれば、プライマー層2、4は設けなくても良い。
【0043】
しかし、中間層5と下層1とは相異なる材質からなる場合が多く、その際には、絵柄層3を両者に良好に接着させて、目的の化粧材に必要な層間密着性を得るためには、印刷インキの選択の幅が狭くなり、意匠的にも制約されてしまう。
【0044】
これに対し、中間層5と絵柄層3との間及び/又は絵柄層3と下層1との間に、各種の樹脂に対する接着性に優れた樹脂からなるプライマー層2及び/又は4を設ければ、絵柄層3に任意の一般の印刷インキを使用しつつ、中間層5と下層1との間に良好な層間密着性を確保することができる。
【0045】
また、絵柄層3を設けない場合にも、中間層5と下層1とを良好に接着させるために、1層以上のプライマー層2又は4を設けることが望ましい。
【0046】
プライマー層2、4の材質は特に限定されず、中間層5、絵柄層3、下層1の構成材料との接着性を勘案して適宜選定すれば良い。
【0047】
本発明においては、中間層5はポリオレフィン樹脂又はポリエステル樹脂からなっているので、中間層5と絵柄層3との間に設けるプライマー層4としては、イソシアネート系硬化剤を含有する2液反応型ウレタン系樹脂などが適している。
【0048】
一方、絵柄層3と下層1との間に設けるプライマー層2としては、後述する様に中間層5と下層1との接着は通常熱ラミネーション法により行われることを考慮すると、熱により接着性を発現するホットメルト型の材質であることが好ましい。
【0049】
具体的には、下層1として通常アクリレート系共重合体樹脂を主成分とするバッカー層が用いられることを考慮すると、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)、オレフィン系樹脂、またはそれらの混合物を主成分とした樹脂等が好ましく、特に30〜50℃で溶解する性質を有するものが好ましい。
【0050】
また特に、前記オレフィン系樹脂として、末端に例えば水酸基、アミノ基又はカルボキシル基等の官能基を有する樹脂を使用すると、これら官能基が、プライマー層2及び/又は絵柄層3を構成する樹脂や、下層1としてのバッカー層を構成するアクリレート系共重合体樹脂に含有される、水酸基やカルボキシル基、カルボニル基等の極性官能基との間に、水素結合やアミド結合、エステル結合等の化学結合を生成し、接着性を飛躍的に向上することができるので好適である。
【0051】
プライマー層2、4や絵柄層3の形成方法は特に限定されず、従来公知の任意の塗工方法や印刷方法を適宜適用して形成することができる。
【0052】
具体的には、塗工方法としては例えばグラビアコート法、ロールコート法、ナイフコート法、エアナイフコート法、バーコート法、ディップコート法、キスコート法、スプレーコート法、ダイコート法等、印刷方法としては例えばグラビア印刷法、オフセット印刷法、凸版印刷法、スクリーン印刷法、転写印刷法、静電印刷法、無版印刷法等が適用可能であるが、化粧材の分野ではグラビア印刷法が最も一般的である。
【0053】
なお、プライマー層2として上述の様にホットメルト型の材質を使用する場合には、プライマー層2の形成はホットメルトコーティング法によるのが最も適当である。
【0054】
すなわち、樹脂の固形分比NVを5〜30%程度に調整した塗液を加温させながら塗工する。塗工方法は、上掲した従来公知の任意の手段を任意に適用して行うことができる。
【0055】
また、上記絵柄層3やプライマー層2、4の形成に先立ち、その印刷面又は塗工面に、例えばコロナ放電処理やグロー放電処理、電子線照射処理、イオンビーム照射処理、プラズマ処理、オゾン処理、フレーム処理、酸処理又はアルカリ処理等の表面処理を施すと、これによって樹脂表面に形成された水酸基やカルボキシル基等の活性水素基の作用により、絵柄層3やプライマー層2、4との間により強固な密着性が得られるので、非常に好適である。
【0056】
各プライマー層2、4の塗布量(乾燥後)は、0.1〜10g/m2程度が適当であるが、勿論この範囲に限定されるものではない。
【0057】
次に、本発明の化粧材の製造方法について説明すると、基本的には従来のポリ塩化ビニル樹脂製の化粧材の場合と同様、熱ラミネーション法によって製造することができる。
【0058】
具体的には、図1に示した例に関して言えば、下層1の上に、予め下面に絵柄層3及び/又はプライマー層2を形成した中間層5と、上層8との3層を重ね合わせて、これら全層を熱ラミネーション法により同時に貼り合わせて一体化した積層体を作製すれば良い。
【0059】
熱ラミネーションの方法としては一般に、枚葉による多段プレス方式か、又は熱ロールを使用した連続熱ラミネーション方式が採用され、本発明の化粧材の製造にはいずれの方式も適用可能であるが、連続熱ラミネーション方式の方が生産性に優れ好適である。
【0060】
但し、アイオノマー樹脂からなる上層8と、ポリオレフィン樹脂又はポリエステル樹脂からなる中間層5とは、そのまま熱ラミネーション法で貼り合わせても、十分な層間密着強度を得ることが困難であるので、これらの層間にホットメルト型接着剤等からなる接着剤層6を介在させる必要が発生する。
【0061】
しかも、この接着剤層6を予めアイオノマー樹脂からなる上層8の下面に形成しておき、未処理のポリオレフィン樹脂又はポリエステル樹脂からなる中間層5と熱ラミネートしたのでは、やはり十分な層間密着強度を得ることが困難であるので、接着剤層6は予め中間層5の上面に形成しておく必要が発生する。
【0062】
ところが、係る如くして中間層5の上面には接着剤層6、下面には下層1との熱接着性に優れた絵柄層3又はプライマー層2を形成すると、中間層5はその両面に接着性に富む樹脂層が形成されることになり、ブロッキングが発生し易いために巻取りでの取扱が困難になるという問題が発生する。
【0063】
この問題を回避するためには、図2に示す様に、表面側のアイオノマー樹脂からなる層を上層8と第二中間層7との2層に分割し、予め中間層5と第二中間層7とを積層した中間積層体としておき、これを下層1と上層8との間に挟持して、熱ラミネーション法により積層する手法を採用するとよい。
【0064】
こうすれば、第二中間層7と上層8とは同じアイオノマー樹脂であるから、これらの層間にホットメルト型接着剤等を介する必要なく、熱ラミネーション法で良好に接着可能であり、中間積層体の巻取り保存時にブロッキングが発生する心配もないので、作業性良く安定的に本発明の化粧材を製造することができる。
【0065】
上記手法において、第二中間層7の厚みは10〜100μm程度でよい。中間層5と第二中間層7とは、例えばイソシアネート硬化型ポリエステル系接着剤等のドライラミネート用接着剤からなる接着剤層6を介したドライラミネーション法、或いは、直接若しくは不飽和カルボン酸変性オレフィン系樹脂又はオレフィン−(メタ)アクリレート共重合体樹脂等の接着性樹脂層を介した共押出法ラミネーション法等、従来公知の方法により積層することができる。
【0066】
こうして得た中間積層体は、厚みが高々200μm以下と十分に薄くできるので、積層後にその下面に絵柄層3及び/又はプライマー層2、4を印刷又は塗工形成することも容易に可能である。
【0067】
以上の様にして得た下層1から上層8までの積層体の表面、すなわち上層8の表面には、意匠性の向上又は滑り止め等の目的で、エンボスを施して凹部9を形成してもよい。
【0068】
エンボスを施す方法としては、凹凸面を有するエンボス版又はエンボスロールを使用して加熱しつつ加圧する、従来公知のエンボス方法を用いることができる。
【0069】
なお、エンボスは上述の熱ラミネーションとは別工程で行うこともできるが、熱ラミネーションと同時に行うと、製造工程が短縮でき、熱エネルギーの無駄も低減できて、生産性が向上し製造原価が低減できるので有利である。
【0070】
本発明の化粧材は上述の様に、熱ラミネーション法により容易に製造することが出来るが、その製造設備としては、例えば熱ラミネーション及びエンボス加工により製造される従来のポリ塩化ビニル樹脂製の化粧材の製造設備等をそのまま適用することも可能であり、製造工程にも大きな変更はないから、新規設備投資の必要もなく容易且つ安価に製造可能である。
【0071】
【実施例】
以下に、本発明の化粧材の実施例及び比較例を示し、本発明をより詳細に説明する。
【0072】
<実施例1>
厚さ40μmのアイオノマー樹脂フィルム(三井デュポンポリケミカル社製「ハイミラン」)と、厚さ40μmの無延伸ポリプロピレン樹脂フィルム(二村化学工業社製「太閤FC」)とを、ドライラミネーション法により積層して、中間積層体を作製した。
【0073】
次に、上記中間積層体のポリプロピレン樹脂面に、イソシアネート系硬化剤を3%添加した2液反応型ウレタン系プライマー(東洋インキ製造社製、商品名ラミスターメジウム)を使用してグラビアコート法により乾燥後の塗布量1g/m2に塗工したプライマー層と、ウレタン系印刷インキ(東洋インキ製造社製、商品名ラミスター)を使用してグラビア印刷法により印刷した絵柄層と、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)を主成分とするプライマー(大日精化社製、商品名TMR−2686)を使用してグラビアコート法により乾燥後の塗布量1g/m2に塗工したプライマー層とを順次形成した。
【0074】
しかる後、上記中間積層体のアイオノマー樹脂面に、厚さ200μmのアイオノマー樹脂シート(三井デュポンポリケミカル社製「ハイミラン」)を、反対面にエチレン−アクリル酸メチル樹脂(EMA)を主成分(EMA/フィラー=3/7重量比)とした厚さ3mmのバッカーシートをそれぞれ重ね合わせ、ラミネート温度120℃の条件で連続ラミネーション方式により積層して貼り合わせると同時に、出来た積層体の表面にエンボスロールをラミネート温度と同じ120℃で加圧してエンボスを施し、凹凸模様を付与することにより、本発明の化粧材を作製した。
【0075】
<実施例2>
上記実施例1において、中間積層体における厚さ40μmの二軸延伸ポリプロピレン樹脂フィルムに代えて、厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム(帝人社製「テイジンテトロンフィルム」)を使用し、その他は上記実施例1と同一の要領で本発明の化粧材を作製した。
【0076】
<比較例1>
上記実施例1において、厚さ40μmのアイオノマー樹脂フィルムと厚さ40μmの二軸延伸ポリプロピレン樹脂フィルムとの積層シートに代えて、厚さ80μmのアイオノマー樹脂フィルムを使用し、その他は上記実施例1と同一の要領で化粧材を作製した。
【0077】
<性能比較>
上記実施例1〜2及び比較例1の3種の化粧材のそれぞれについて、その表面であるアイオノマー樹脂面に、床タイルの艶出し剤用剥離剤(株式会社アイン製「アインリムーバー」)を滴下し、乾燥しないように時計皿にて被覆した状態で放置したところ、比較例1の化粧材は約10日経過後から変色及び膨れの発生が認められたのに対し、実施例1〜2の化粧材は、3ヶ月経過後も異常は見られなかった。また、この試験にて3ヶ月経過後の各化粧材について、層間剥離強度を評価したところ、結果は下記の表の通りであった。
【0078】
Figure 0004281269
【0079】
なお、比較例1の化粧材の断面の電子顕微鏡観察により、この化粧材は上記試験後には絵柄層が層内剥離を発生していることが確認された。また、当該絵柄層からは化学分析により、上記試験に使用した艶出し剤用剥離剤に含まれている成分である、ベンジルアルコール、2−フェノキシエタノール、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等の低分子量の化学物質が検出されたが、実施例1及び実施例2の化粧材の上記試験後の絵柄層からは、係る低分子量の化学物質は検出されなかった。
【0080】
【発明の効果】
以上詳細に説明した様に、本発明の化粧材は、バッカー層からなる下層と、アイオノマー樹脂からなる上層との間に、絵柄層及び/又はプライマー層が挟持されてなる化粧材において、前記上層と前記絵柄層及び/又は前記プライマー層との間に、ポリオレフィン樹脂又はポリエステル樹脂からなる中間層を挟持させたことにより、当該化粧材の表面からアイオノマー樹脂内に低分子量の化学物質が浸透してきても、これが中間層によって遮断されて絵柄層やプライマー層中に達することがないので、浸透してきた化学物質の作用による絵柄層やプライマー層の劣化、変質又は破壊により変色や層間剥離を発生することがなく、良好な意匠性及び強度を長期間に亘り維持することのできる、耐候性や耐久性に優れた化粧材である。
【0081】
特に、前記上層と前記中間層との間に、アイオノマー樹脂からなる第二中間層を挟持した構成とすることにより、まず第二中間層と中間層とを積層した中間積層体の中間層面に絵柄層及び/又はプライマー層を形成し、これの第二中間層面に上層を、中間層面に下層をそれぞれ重ね合わせて熱ラミネーション法により積層することにより、絵柄層及び/又はプライマー層の印刷及び/又は塗工済みのフィルムの巻取り保存時にブロッキング等の問題を発生することなく、良好な層間密着性を有する高強度の化粧材を、従来の類似の化粧材と同様の熱ラミネーション法を用いて容易に製造することが可能となる。
【0082】
以て、例えば柔軟性や表面硬度、反り等の物性面において従来のポリ塩化ビニル樹脂製の化粧材と同等の性能を有しつつ、ポリ塩化ビニル樹脂を含有しないので火災時や焼却処分時等の燃焼時に塩化水素やダイオキシン等の有害物質を発生することもなく、従来のポリ塩化ビニル樹脂製の化粧材と同一の製造設備を使用して同様の製造工程で簡便かつ安定的に製造可能であり、しかも安定した高い層間密着性を有し耐候性や耐久性にも優れた化粧材を提供することができるという優れた利点を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の化粧材の実施の形態を示す側断面図である。
【図2】本発明の化粧材の実施の形態を示す側断面図である。
【符号の説明】
1・・下層
2・・プライマー層
3・・絵柄層
4・・プライマー層
5・・中間層
6・・接着剤層
7・・第2中間層
8・・上層
9・・凹部

Claims (3)

  1. アクリレート系共重合体樹脂を主成分とする樹脂からなるバッカー層からなる下層と、アイオノマー樹脂からなる上層との間に、ポリオレフィン樹脂フィルム又はポリエステル樹脂フィルムからなる厚さが10〜100μmの中間層を挟持してなる化粧材であって、前記中間層は、上面にホットメルト型接着剤層、下面に絵柄層及び/又はプライマー層が設けられていることを特徴とする化粧材。
  2. アクリレート系共重合体樹脂を主成分とする樹脂からなるバッカー層からなる下層と、アイオノマー樹脂からなる上層との間に、ポリオレフィン樹脂フィルム又はポリエステル樹脂フィルムからなる厚さが10〜100μmの中間層とアイオノマー樹脂からなる第二中間層を積層した中間積層体を挟持してなる化粧材であって、前記中間層に下面に絵柄層及び/又はプライマー層が設けられていることを特徴とする化粧材。
  3. 請求項2に記載の化粧材の製造方法であって、前記第二中間層と前記中間層とを積層した中間積層体を形成し、次に、前記中間積層体の中間層下面に、絵柄層及び30〜50℃で溶解するプライマー層を形成した後、前記中間積層体の第二中間層面に前記上層を、前記30〜50℃で溶解するプライマー層面に下層を、それぞれ重ね合わせて熱圧着することを特徴とする化粧材の製造方法。
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