JP4280468B2 - 液体式画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
液体中に現像物質を含有する液体現像剤を用いて画像を形成する複写機、ファクシミリ、プリンタ等の液体式画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、感光体等の潜像担持体上に形成された潜像を現像する現像剤として、粉体トナー等の乾式現像剤と、液体中にトナー等の現像物質を含有する液体現像剤とが知られている。一般に、液体現像剤は乾式現像剤に比べてトナーの粒径を小さくすることができるため、高精細な画像を得ることができるという利点がある。よって、特に商用印刷と同等の画質が求められる場合には、乾式現像剤を用いる乾式画像形成装置よりも、液体現像剤を用いる液体式画像形成装置の方が適している。本出願人は、これまで、乾式画像形成装置よりも優れた画質が得られる液体式画像形成装置に係る発明を多数提案してきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、液体式画像形成装置においても、記録体の種類によっては、所望の画質が得られ難いという問題が残されていた。具体的には、商用印刷で広く用いられているアート紙に代表されるコート紙など、表面平滑性に優れた記録体に画像を形成する場合には、粒径の小さなトナーによって非常に高繊細な画像を形成することができる。その一方で、複写機に一般的に用いられているコピー用紙に代表される上質紙や普通紙など、表面平滑性に比較的劣る記録体に画像を形成すると、高繊細な精細な画像が得られなかったり、画像濃度が低くなったりする。これは、粒径の小さなトナーが上質紙等の繊維内に入り込むことにより、上質紙等の表面を十分に被覆できなくなるからである。そこで、上質紙等の表面を十分量のトナーで被覆すべく現像時の現像剤量を増やしたとする。すると、今度は逆に、コート紙等を使用した場合に画像つぶれが生じたり、紙面上のトナー量が過多になることによって十分な定着性が得られなかったりする。
【0004】
本発明は、以上の背景に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、使用される記録体の種類が変わることによる画質変化を抑えることができる液体式画像形成装置を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、潜像を担持する潜像担持体と、液体中に現像物質を含有する液体現像剤を用いて該潜像担持体上の潜像を現像する現像手段と、該潜像担持体上で現像された可視像を記録体に転写せしめる転写手段とを備え、且つ、表面に担持した液体現像剤によって該潜像を現像する現像部材と、該現像部材に液体現像剤を供給する剤供給手段とを該現像手段に有する液体式画像形成装置において、液体現像剤を保持するための複数の溝を具備する自らの表面に液体現像剤を担持しながら表面移動に伴って該液体現像剤を上記現像部材に塗布する複数の剤塗布部材によって上記現像部材に液体現像剤を供給するように、上記剤供給手段を構成し、それら複数の剤塗布部材として、単位面積あたりの溝形成数が互いに異なっていることで上記現像部材に対する単位面積あたりの現像剤塗布量が互いに異なっているものを用い、且つ、使用される上記記録体の種類情報を取得する種類情報取得手段と、少なくともそれら複数の剤塗布部材を切替作動させることで、上記剤供給手段による上記現像部材に対する単位表面積あたりの現像剤供給量を調整する量調整手段と、上記現像部材に現像電圧を供給する現像電圧供給手段と、該種類情報取得手段による取得結果に基づいて該現像電圧供給手段からの出力電圧値を制御する電圧制御手段とを設けたことを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の液体式画像形成装置であって、上記種類情報取得手段が、上記記録体の種類を判別する種類判別手段であることを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1の液体式画像形成装置であって、上記種類情報取得手段が、操作者による種類情報の入力操作がなされる種類情報入力手段であることを特徴とする。
これらの発明においては、量調整手段が、種類情報取得手段によって取得された記録体の種類情報に基づいて剤供給手段から現像部材への現像剤供給量を調整する。かかる調整では、操作者に剤供給手段(又はその一部)を交換させるといった手間を負わせることなく、使用される記録体の平滑性、紙繊維密度、コート層の有無などに応じて、現像剤供給量を適切に調整することが可能になる。具体的には、例えば上質紙等の表面平滑性に劣る記録体が使用される場合に、コート紙等の表面平滑性に優れた記録体が使用される場合よりも多くの液体現像剤を現像部材に供給して現像に寄与する現像剤量を増やすことが可能になる。そうすると、表面平滑性に劣る記録体の表面の画像部を十分量の現像物質で覆って、高精細な画像を得たり、画像濃度の低下を抑えたりすることができる。また例えば、表面平滑性に優れた記録体が使用される場合には、表面平滑性に劣る記録体が使用される場合よりも少量の液体現像剤を現像部材に供給して現像に寄与する現像剤量を減らすことも可能になる。そうすると、表面平滑性に優れた記録体の表面上における現像剤量の過多現象を軽減して、画像つぶれや定着性の悪化を抑えることができる。よって、操作者に対して剤供給手段(又はその一部)を交換させるといった手間を負わせることなく、使用される記録体の種類が変わることによる画質変化を抑えることができる。
また、記録体の種類に基づいて現像電圧を調整することで、剤供給手段による現像剤塗布量を変化させることによる現像率の低下や、無駄なエネルギー消費を回避することができる。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した液体式画像形成装置である電子写真方式の液体式プリンタ(以下、単にプリンタという)の実施形態について、反転現像によって画像を形成する場合を例にして説明する。
まず、実施形態に係るプリンタの基本的な構成について説明する。図1は、本プリンタの要部を示す概略構成図である。図において、このプリンタは、潜像担持体たるドラム状の感光体1の周りに様々な装置を備えている。帯電器20、露光Lを感光体1に照射する図示しない露光装置、現像装置100、中間転写ベルト31や転写ローラ32等によって構成される転写装置、除電ランプ40、ドラムクリーニング装置50などを備えている。
【0007】
潜像担持体たる上記感光体1は、その表面がアモルファスシリコン(a−Si)によって形成され、プリント時には図示しない駆動手段によって図中矢印方向に一定速度で回転駆動せしめられる。そして、上記帯電器20からのコロナ放電によって暗中にて例えば600[V]に一様帯電せしめられる。上記露光装置は、走査光学系を備えており、一様に帯電した感光体1の表面を、画像情報に基づいてLED光やレーザ光によって露光する。感光体1の露光部分は、電位が減衰せしめられて50[V]以下の静電潜像となる。この静電潜像は、キャリア液中に現像物質たるトナーを含有する液体現像剤を用いる現像器109によって可視像に現像される。なお、感光体として、有機感光体(OPC)を用いることもできる。また、帯電器20として、このようにコロナ放電による帯電を実現するものの他、感光体1に接触せしめた帯電ローラ等の帯電部材に所定の帯電バイアスを印加する方式のものなどを用いることもできる。
【0008】
上記転写装置は、中間転写ベルト31、これを張架する転写ローラ32や複数の張架ローラ33、転写ローラ32にトナーの帯電極性とは逆極性の転写バイアスを印加する図示しない電源などを備えている。そして、プリント時には中間転写ベルト31を図中矢印方向に無端移動させる。転写ローラ32は、中間転写ベルト31を介して感光体1を押圧して中間転写ニップを形成している。この中間転写ニップには、上記転写バイアスが印加される転写ローラ32と感光体1の表面との電位差によって転写電界が形成される。感光体1の回転に伴って中間転写ニップに進入した上記トナー像は、この転写電界やニップ圧の作用を受けて中間転写ベルト31上に中間転写される。なお、転写装置としては、このような転写ローラによる転写法を用いるものの他、コロナ放電、粘着、熱等による転写法を用いるものなどを採用することも可能である。なお、この転写装置は、後述の2次転写ローラなどとともに、記録体たる転写紙に可視像を転写する転写手段を構成している。
【0009】
上記中間転写ベルト31のおもて面(図中下側面)には、図示しない領域において2次転写ローラが当接して2次転写ニップを形成している。この2次転写ローラには、図示しない電源によって2次転写バイアスが印加されている。また、本第1実施形態に係るプリンタは、記録紙たる転写紙を複数枚収容する給紙カセットや、レジストローラ対などを図示しない領域に備えている。給紙カセットは、内部に収容している転写紙を所定のタイミングで上記レジストローラ対に向けて給紙する。上記レジストローラ対は、給紙カセットから送られてきた転写紙をローラ間に挟み込んだ後、タイミングを見計らって上記2次転写ニップに向けて送り出す。これにより、上記2次転写ニップにおいて、中間転写ベルト31上の可視像に転写紙が密着せしめられる。そして、上記2次転写バイアスやニップ圧の影響を受けて、中間転写ベルト31状の可視像が転写紙上に2次転写された後、加熱加圧定着、溶剤定着、UV定着等の定着方式を用いる図示しない定着装置に送られる。この定着装置の内部でトナー像が定着せしめられた転写紙は、排紙経路を経て機外へと排出される。
【0010】
上記中間転写ニップを通過した感光体1表面は、上記除電ランプ40によって残留電荷が除電された後、表面に残留している液体現像剤が上記ドラムクリーニング装置50によってクリーニングされる。このクリーニングにより、感光体1の表面は初期化せしめられ、次の作像を実現することが可能になる。
【0011】
上記現像装置100は、現像手段たる現像器109と、スイープ器112とから構成されている。現像器109は、タンク部101、攪拌スクリュー102、103、アニロクスローラ104、規制ブレード105、現像ローラ106、クリーニングブレード107、帰還部108等を有している。また、スイープ器112は、スイープローラ110、クリーニングブレード111等を有している。
【0012】
上記現像器109のタンク部101には、液体キャリア中に正極性に帯電したトナーを高濃度に含有する液体現像剤60が貯留されている。この液体現像剤60は、一般の現像装置に広く用いられている低粘性低濃度のものではなく、高粘性高濃度のものが使用されている。低粘性低濃度の液体現像剤とは、例えば、広く市場に出回っているIsopar(登録商標)と呼ばれる絶縁性液体キャリア中に、1[wt%]程度の濃度のトナーを含有する粘度1[cSt]程度のものである。これに対し、高粘性高濃度の液体現像剤は、例えば、シリコーンオイル、ノルマルパラフィン、IsoparM(登録商標)、植物油、鉱物油等の絶縁性液体キャリア中に、トナーを高濃度に含有している。具体的には、トナーを約5〜40[wt%]含有し、粘度が50〜5000[cSt]程度になっている。このような高粘性高濃度の液体現像剤60の揮発性あるいは不揮発性については、現像器109の現像特性やプリンタの作像特性などに合わせて調整されている。また、液体現像剤60中のトナーの粒径についても、これら現像特性や作像特性などに合わせてサブミクロンから6[μm]程度までの範囲で調整されている。
【0013】
上記現像器109の攪拌スクリュー102、103は、タンク部101内の液体現像剤60中に浸るように互いに平行配設され、図中矢印で示されるように、図示しない駆動手段によって互いに逆方向に回転駆動せしめられる。現像器109が現像動作に入ると、これらスクリュー102、103がこのように互いに逆回転し、タンク部101内の液体現像剤60が攪拌せしめられる。この攪拌により、液体現像剤60は、そのトナー濃度や粘度が均一化する。また、スクリュー102、103が互いに逆回転することで、両者の間で図示のように液体現像剤60の液面が盛り上がり、その上方に配設されたアニロクスローラ104に付着する。
【0014】
上記現像器109の剤塗布部材たる上記アニロクスローラ104は、図示しない駆動手段によって図中矢印方向に回転駆動せしめられながら、タンク部101内の液体現像剤60を汲み上げる。このアニロクスローラ104の周面には、図2(a)に示すようなスパイラル状の溝線パターンLdが100〜200[lpi]の細かさで彫刻されている。この溝線パターンLd内には、図2(b)に示すようなピラミッド型、図2(c)に示すような格子型、図2(d)に示すような傾斜型などの形状の凹部Cpが溝線方向に複数並ぶように形成されている。アニロクスローラ104によって汲み上げられる液体現像剤60の一部は、これら凹部Cp内に収容される。
【0015】
先に示した図1において、現像器109の規制部材たる上記規制ブレード105は、ステンレス等の金属で形成されている。そして、回転するアニロクスローラ104に当接することで、アニロクスローラ104によって汲み上げられた液体現像剤60の量を規制する。この規制により、アニロクスローラ104上の液体現像剤60の量が複数の凹部Cpの容量に応じた値に正確に計量される。なお、アニロクスローラ104による現像剤塗布量は、上記凹部Cpの容積、単位表面積あたりの上記凹部Cpの形成密度、アニロクスローラ104と現像ローラ107との速度比などに依存する。
【0016】
上記現像器109の現像部材たる現像ローラ107は、液体現像剤60の量が規制された後のアニロクスローラ104表面に接触しながら、アニロクスローラ104の回転方向に対してカウンター方向に回転するように構成されている。現像ローラ107とアニロクスローラ104との接触位置では、両ローラが互いにカウンター方向に回転しながら接触する。そして、正確に計量された液体現像剤60が、現像ローラ107にまとわり付くことなく均一な厚みで塗布される。このような塗布により、現像ローラ107の表面には液体現像剤60からなる均一な厚みの現像剤薄層が形成される。かかる現像剤薄層を形成する現像器109においては、アニロクスローラ104や、これに回転駆動力を伝える駆動伝達系などにより、現像部材たる現像ローラ107に液体現像剤60を供給する剤供給手段が構成されている。
【0017】
上記現像ローラ107に塗布する現像剤量については、上記現像剤薄層1[cm2]当たりに換算して、0.5[mg]以上、1.5mg以下に設定することが望ましい。0.5[mg]よりも少なくすると、十分量のトナー顔料成分を感光体1の静電潜像に付着させることができず、十分な画像濃度が得られなくなるおそれがあるからである。また、1.5[mg]よりも多くすると、現像ニップ通過後の感光体1の非画像部に残留させるカブリトナー量が多くなり、後述のカブリトナーをスィープローラ110によって十分に除去することができなくなるからである。現像ローラ107上に形成する現像剤薄層の厚みについては、3〜15[μm]に設定するとよい。5〜12[μm]に設定すると更に良好である。
【0018】
現像ローラ107は、その周面に導電性のウレタンゴム等からなる導電弾性層を備えており、感光体1と等速に回転しながらこれに接触して現像ニップを形成している。また、図示しない現像バイアス電源回路から現像バイアスが印加される。この現像バイアスは、トナーの帯電極性と同じ正極性で且つ感光体1の一様帯電電位よりも小さい値(例えば500V)に設定されている。現像ニップでは、現像ローラ107、感光体1の地肌部、静電潜像がそれぞれトナーと同極性の電位を帯びる。加えて、地肌部、現像ローラ107、静電潜像の順で値が小さくなる(600V、500V、50V)。このため、上記地肌部と現像ローラ107との間では、トナーに対して電位のより小さい現像ローラ107に向けて静電的に移動させるような非現像ポテンシャルが作用する(600V←500V)。また、現像ローラ107と静電潜像との間では、トナーを電位のより低い静電潜像に向けて移動させるような現像ポテンシャルが作用する(500V→50V)。よって、現像ニップにおいては、上記現像剤薄層中のトナーが、現像ローラ107と上記地肌部との間で現像ローラ107の表面に向けて電気泳動して集結する。この一方で、現像ローラ107と静電潜像との間で静電潜像に向けて電気泳動して付着する。そして、この付着によって静電潜像が現像されて可視像となる。
【0019】
上記現像器109のクリーニングブレード107は、金属やゴム等の部材から構成され、上記現像ニップを通過した後の現像ローラ107の表面に当接して残留現像剤を掻き取り除去する。この除去により、現像ローラ107の表面が初期化せしめられる。除去された残留現像剤は、上記帰還部108を経由して上記タンク部101に戻る。
【0020】
現像器109の上記現像ニップにおいて、現像ローラ107と感光体1の地肌部との間に位置するトナーは、現像ローラ107の表面に向けて上記現像剤薄層中を電気泳動して集結するため、基本的には地肌部に付着しない。しかし、通常よりも帯電量の少ないトナーが他のトナーよりも遅れて電気泳動するなどして、地肌部に付着していわゆるカブリ(地汚れともいう)という現象を引き起こす場合がある。上記スイープ器112は、かかるカブリを引き起こしたカブリトナーを感光体1から除去するためのものである。具体的には、スイープ器112の上記スイープローラ110は、その周面に導電性のウレタンゴム等からなる導電弾性層が設けられており、感光体1と等速に回転しながらこれに接触して除去ニップを形成している。この除去ニップには、図示しない電源からトナーの帯電極性と同極性の除去バイアスが印加されるスイープローラ110と、感光体1との電位差によってスイープ電界が形成される。具体的には、この除去ニップにおいては、スイープローラ110、上記地肌部及び静電潜像がそれぞれトナーと同極性の電位を帯び、その値が地肌部、スイープローラ110、静電潜像の順に低くなっている。このため、上記現像ニップで現像ローラ107の表面に集結しきれなかったカブリトナーが、上記地肌部とスイープローラ110との間でスイープローラ110に向けて電気泳動して感光体1表面から除去される。
【0021】
上記スイープ器112のクリーニングブレード111は、金属やゴム等の部材から構成され、上記除去ニップを通過した後のスイープローラ110の表面に当接することで、残留現像剤を掻き取り除去する。この除去により、スイープローラ110表面が初期化せしめられる。なお、現像器109のクリーニングブレード107、スイープ器112のクリーニングブレード111に代えて、それぞれローラ方式など他の方式によるクリーニング手段を設けてもよい。
【0022】
上記現像ローラ107、スイープローラ110には、それぞれコーティングやチューブ被覆などによって導電性且つ弾性の表面層(例えばウレタンゴム表面層)が形成されている。この表面層の材料については、JIS−A硬度で50[度]以下のものを用いることが望ましい。所望の幅の上記現像ニップや除去ニップを確保するためには、表面層を50[度]以下の硬度で形成して自在に変形させる必要があるからである。幅広い現像ニップや除去ニップを形成させれば、トナーを十分に電気泳動させ得る時間を確保することができる。表面層の材種については、導電性のウレタンゴムに限らず、導電性を発揮し且つ液体キャリアによって膨潤したり溶解したりするおそれのないものであればよい。なお、弾性に富む表面層を現像ローラ107やスィープローラ110に設けるのではなく、感光体1に設けてもよい。また、感光体1を無端ベルト状部材で構成して幅広い現像ニップを確保するようにしてもよい。現像ローラ107やスイープローラ110に弾性に富む表面層を設ける代わりに、弾性に富む下層を設けてもよい。但し、かかる下層を設ける場合には、表層を導電性で且つ液体キャリアによって膨潤したり溶解したりしない材料で構成し、上記現像バイアスやスイープバイアスをこれらローラの軸部ではなく、この表層に印加する必要がある。また、表面層又は下層を弾性材料で構成しなくても所望の幅の現像ニップや除去ニップを得ることができれば、非弾性材料で構成してもよい。
【0023】
以上の構成の本プリンタにおいて、上記現像ニップにおける静電潜像の現像濃度や、転写紙上に転写される上記トナー像の画像濃度は、現像ローラ107上に塗布される現像剤量に依存する。
【0024】
ところで、一般に、電子写真方式の画像形成装置の現像装置は、十分なトナーを感光体に対向する現像位置に搬送すべく、現像ローラの表面移動速度が感光体の表面移動速度よりも速めに設定されている。かかる設定では、現像ローラ上のトナーが感光体表面よりも早く移動するため、現像位置にてトナーと感光体上の静電潜像との位置関係が逐次変化する。そして、このことのより、画像の先端がかすれたり、縦線画像と横線画像とのバランスが悪くなったりすることがある。これらかすれやバランスの悪化は、乾式画像形成装置だけでなく、液体式画像形成装置でも起こり得る。そこで、本プリンタでは、現像ローラ107の線速と、感光体1の線速とを等速に設定し、現像ローラ107上のトナーに対して感光体1上の静電潜像との接線方向における相対的な速度ベクトル差を発生させていない。このことにより、線速差による画像の先端かすれや、縦線画像と横線画像とのバランスの悪化を回避している。
【0025】
次に、実施形態に係るプリンタの特徴的な構成を説明する前に、参考形態に係るプリンタについて説明する。
現像装置100の現像器109は、プリンタ本体に対して着脱可能に構成されており、コート紙用、普通紙用という2種類のものが用意されている。但し、プリンタ本体にセットされるのは図1に示したように1つだけである。現像器109の種類の違いは、次の表1に示すようにアニロクスローラ104の違いによるものである。
【表1】
第1参考形態に係るプリンタでは、表1のように、現像ローラ線速、アニロクスローラ線速がそれぞれ300、400[mm/sec]に設定されている。このような線速設定において、コート紙用現像器のアニロクスローラ(104)は、その溝線パターンLdが120[lpi]の密度で形成され、現像ローラ107に対する現像剤塗布量が0.7[mg/cm2]になっている。これに対し、普通紙用現像器のアニロクスローラ(104)は、その溝線パターンLdが140[lpi]の密度で形成され、現像ローラ107に対する現像剤塗布量が1.0[mg/cm2]になっている。普通紙用現像器のアニロクスローラ(104)の方が、コート紙用現像器のものよりも単位面積あたりにおける凹部形成密度が高いことで、現像剤塗布量が多くなっているのである。
【0026】
図3は、本プリンタの電気回路の一部を示すブロック図である。図3において、制御部200は、図示しないCPU等の演算手段と、RAMやROM等からなるデータ記憶手段とを備えており、操作タッチパネル201が接続されている。この操作タッチパネル201は、液晶タッチパネル等からなり、ユーザーに対して所定の情報をディスプレイ表示しながら、タッチパネルにフィンガータッチされることでユーザーからの入力情報を受け付ける。この操作タッチパネル201に対しては、ユーザーにより、上記給紙カセット内にセットされた転写紙について普通紙又はコート紙の何れであるかを示す紙種情報が入力される。制御部200は、その記憶手段に紙種情報を記憶しており、ユーザーによるタッチパネル入力操作に基づいて記憶手段内の紙種情報を変更する。かかる構成の操作タッチパネル201は、ディスプレイ表示によって操作者たるユーザーに対して所定の情報を報知する情報報知手段として機能する。また、ユーザーからのタッチパネル操作入力によって転写紙の種類情報たる紙種情報を取得する種類情報取得手段(種類情報入力手段)としても機能する。
【0027】
図4は、上記制御部(200)によって実施される紙種情報変更制御のフローを示すフローチャートである。この紙種情報変更制御は、ユーザーによって上記操作タッチパネル(201)に入力された紙種情報と、それまで上記制御部(200)の上記記憶手段に記憶されていた紙種情報とが異なった場合に実施される。そして、まず、上記記憶手段内の紙種情報が新たに入力されたものに更新された後(ステップ1:以下、ステップを「S」と記す)、更新後の紙種情報について「コート紙」であるか否かが判断される(S2)。ここで、更新後の紙種情報が「コート紙」であった場合には(S2でY)、上記制御部(200)はコート紙用文字情報を上記操作タッチパネル(201)に表示させる(S3)。このコート紙用文字情報は、プリンタ本体にセットされている上記現像器(109)を普通紙用のものからコート紙用のものに交換する作業をユーザーに促し得る文字情報である。例えば、「プリンタ本体にセットされている現像器をコート紙用のものに交換してください。」や、「コート紙にはコート紙用現像器が適しています。」などといった文字情報である。一方、更新後の紙種情報が「コート紙」でなかった場合には(S2でN)、上記制御部(200)は普通紙用文字情報を上記操作タッチパネル(201)に表示させる(S4)。この普通紙用文字情報は、プリンタ本体にセットされている上記現像器(109)をコート紙用のものから普通紙用のものに交換する作業をユーザーに促し得る文字情報である。例えば、「プリンタ本体にセットされている現像器を普通紙用のものに交換してください。」や、「普通紙には普通紙用現像器が適しています。」などといった文字情報である。
【0028】
第1参考形態に係るプリンタにおいては、ユーザーのタッチパネル入力操作に基づいて上記紙種情報が「普通紙」から「コート紙」に更新されると、上記操作タッチパネル(201)にコート紙用文字情報を表示する。表示されたコート紙用文字情報に基づいてユーザーが上記現像器(109)を普通紙用のものからコート紙用のものに交換すれば、上記現像ニップにそれまでよりも少量の液体現像剤を搬送することができる。そして、このことにより、表面平滑性に優れたコート紙の表面上における現像剤量の過多現象を軽減して、画像つぶれや定着性の悪化を抑えることができる。一方、本プリンタは、ユーザーのタッチパネル入力操作に基づいて上記紙種情報が「コート紙」から「普通紙」に更新されると、上記操作タッチパネル(201)に普通紙用文字情報を表示する。表示された普通紙用文字情報に基づいてユーザーが上記現像器(109)をコート紙用のものから普通紙用のものに交換すれば、上記現像ニップにそれまでよりも多くの液体現像剤を搬送することができる。そして、このことにより、表面平滑性に劣る普通紙の画像部を十分量のトナーで覆って、高精細な画像を得たり、画像濃度の低下を抑えたりすることができる。以上のような現像器交換作業により、使用される転写紙の種類が変わることによる画質変化を抑えることができる。
【0029】
なお、文字情報に代えて画像情報を表示させたり、音声情報を発信させたりしてもよい。また、上記コート紙用文字情報や普通紙用文字情報として、上記現像器(109)の交換ではなく、上記アニロクスローラ(104)の交換をユーザーに促し得る情報を、上記操作タッチパネル(201)に表示させるようにしてもよい。少なくとも剤供給手段の一部である上記アニロクスローラ(104)が交換されれば、上記現像ローラ(107)への現像剤塗布量(ひいては上記現像ニップへの現像剤搬送量)が適切に調整されるからである。但し、この場合、ユーザーは、プリンタ本体に対する現像器(109)の着脱作業に加えて、現像器(109)に対するアニロクスローラ(104)の着脱という非常に厄介な作業を行う必要がある。
【0030】
また、現像剤塗布量を溝線パターン形成密度(単位面積あたりにおける凹部形成密度)の違いによって異ならせた各アニロクスローラについて説明したが、各凹部(Cp)の深さの違いによって異ならせても良い。このようにして現像剤塗布量を異ならせた2つのアニロクスローラの例を次の表2に示す。
【表2】
【0031】
表2に示すように、アニロクスローラ▲1▼は、上記溝線パターン(Ld)内の凹部容量が27.54[cm3/cm2]に設定されており、現像剤塗布量が0.7[mg/cm2]になる。これに対し、アニロクスローラ▲2▼は、凹部容量が35.00[cm3/cm2]に設定されており、現像剤塗布量が1.0[mg/cm2]になる。両者の溝線パターン形成密度はともに120[lpi]で、凹部深さの違いによってそれぞれの凹部容量が異なっている。アニロクスローラ▲1▼における凹部(Cp)の方が、アニロクスローラ▲2▼のものよりも浅くなっているのである。
【0032】
次に、第2参考形態のプリンタについて説明する。なお、このプリンタの基本的な構成については、第1参考形態のプリンタのものと同様であるので説明を省略する。
図5は、第2参考形態に係るプリンタの電気回路の一部を示すブロック図である。図において、アニロクスモータ204は、上記アニロクスローラ(104)の動力源である。このアニロクスモータ204には、電源202からの電気がインバータ回路203を介して供給される。制御部200は、その制御信号によってインバータ回路203からの出力周波数を変化させることで、アニロクスモータ204の回転速度を変化させる。アニロクスモータ204の回転速度が変化すれば、当然ながら上記アニロクスローラ(104)の回転速度が変化する。そして、これに伴って上記現像ローラ(107)に対する現像剤塗布量が変化する。制御部200は、このようにして上記現像ローラ(107)に対する現像剤塗布量を調整することができる。なお、操作タッチパネル201は、上記第1参考形態のプリンタのものと同様に、種類情報入力手段として機能する。
【0033】
図6は、上記制御部(200)によって実施される紙種情報変更制御のフローを示すフローチャートである。この紙種情報変更制御は、ユーザーによって上記操作タッチパネル(201)に入力された紙種情報と、それまで上記制御部(200)の上記記憶手段に記憶されていた紙種情報とが異なった場合に実施される。そして、まず、上記記憶手段内の紙種情報が新たに入力されたものに更新された後(S1)、更新後の紙種情報について「コート紙」であるか否かが判断される(S2)。ここで、更新後の紙種情報が「コート紙」であった場合(S2でY)、上記制御部(200)は、上記アニロクスモータ204の回転速度を低速設定した後に(S3)、一連の制御フローを終える。このようにして制御フローを終えた制御部(200)は、以降の画像形成プロセスにおいて、上記アニロクスローラを低速回転させるような制御信号を上記インバータ回路(203)に出力する。一方、更新後の紙種情報が「コート紙」でなかった場合(S2でN)、上記制御部(200)は、上記アニロクスモータ204の回転速度を高速設定した後に(S4)、一連の制御フローを終える。このようにして制御フローを終えた制御部(200)は、以降の画像形成プロセスにおいて、上記アニロクスローラを高速回転させるような制御信号を上記インバータ回路(203)に出力する。
【0034】
第2参考形態に係るプリンタにおいては、上記電源(202)、インバータ回路(203)等が、上記現像ローラ(107)に対する現像剤供給量(現像剤塗布量)を調整する量調整手段として機能している。また、上記制御部(200)が、種類情報取得手段たる上記操作タッチパネル(201)による紙種情報の取得結果に基づいて量調整手段を制御する量調整制御手段として機能している。そして、紙種情報に基づいて上記アニロクスローラ(104)の回転速度を変化させることで、上記現像ローラ(107)に対する現像剤塗布量を調整制御する。詳しくは、ユーザーのタッチパネル入力操作に基づいて上記紙種情報が「普通紙」から「コート紙」に更新されると、画像形成プロセスで上記アニロクスローラ(104)を低速回転させる。この低速回転により、上記現像ニップにそれまでよりも少量の液体現像剤が搬送されるようになる。そして、このことにより、表面平滑性に優れたコート紙の表面上における現像剤量の過多現象が軽減されて、画像つぶれや定着性の悪化が抑えられる。一方、ユーザーのタッチパネル入力操作に基づいて上記紙種情報が「コート紙」から「普通紙」に更新されると、画像形成プロセスにおいて上記アニロクスローラ(104)が高速回転される。この高速回転により、上記現像ニップにそれまでよりも多くの液体現像剤が搬送されるようになる。そして、このことにより、表面平滑性に劣る普通紙の画像部が十分量のトナーで覆われて、高精細な画像が得られたり、画像濃度の低下が抑えられたりする。このような現像剤塗布量の調整制御により、ユーザーに対してアニロクスローラや現像器の交換作業という厄介な手間を負わせることなく、使用される転写紙の種類が変わることによる画質変化を抑えることができる。
【0035】
図7は、互いに上記凹部(Cp)の深さが異なる2つのアニロクスローラA,Bの回転速度と、現像剤塗布量との関係を示すグラフである。図において、アニロクスローラAは、その上記凹部(Cp)の深さがアニロクスローラBのものよりも小さくなっている。両ローラの溝線パターン形成密度は同じである。両ローラともに、上記現像ローラ(107)よりも低い回転速度で回転すると、現像ローラ表面に塗布ムラを発生させることがわかる。よって、アニロクスローラ(104)については、上記現像ローラよりも速い速度領域(線速領域)で回転速度変化させることが望ましい。但し、注目すべき点は、回転速度450[mm/sec]を超えた領域において、両アニロクスローラの現像剤塗布量が逆転することである。このことより、上記凹部(Cp)の深さが大きくなるほど、高速回転領域における液体現像剤の塗布効率が悪くなることがわかる。従って、アニロクスローラ(104)の回転速度変化によって現像剤塗布量を調整する場合には、高速回転領域での塗布効率の低下を抑えるべく、できるだけ上記凹部(Cp)の深さを小さくしたアニロクスローラ(104)を用いることが望ましい。
【0036】
なお、上記インバータ回路(203)からの出力周波数によって上記アニロクスローラ(104)の回転速度(表面移動速度)を調整する例について説明したが、他の方法による調整を採用してもよい。例えば、上記アニロクスモータ(204)から上記アニロクスローラ(104)に駆動力を伝える駆動伝達系のギヤ比を変化させることによる回転速度の調整であってもよい。また例えば、上記アニロクスモータ(204)としてステッピングモータを用い、これを駆動させるモータドライバからのステップパルス数を変化させることによる回転速度の調整であってもよい。
【0037】
次に、本発明を適用した実施形態に係るプリンタについて説明する。
液体式画像形成装置においては、先に図7に示したように、上記アニロクスローラ(104)の回転速度を低め過ぎると、上記現像ローラ(107)への塗布ムラを引き起こすことが知られている。また、図7では500[mm/sec]の回転速度までしか示していないが、回転速度を高め過ぎても、その表面から液体現像剤を飛散させるなどして塗布ムラを引き起こしてしまう。よって、塗布ムラを回避しつつ、アニロクスローラ(104)の回転速度変化によって現像剤塗布量を調整する場合には、その調整範囲が限られてしまう。すると、紙種の変化に十分に対応することができなくなるおそれがある。そこで、実施形態に係るプリンタは、アニロクスローラ(104)の回転速度の変化によらず、現像剤塗布量を調整するよう構成されている。
【0038】
図8は、実施形態に係るプリンタにおける現像器109と感光体1とを示す要部構成図である。図において、現像手段たる現像器109は、アニロクスローラとして、第1アニロクスローラ104aと、第2アニロクスローラ104bとの2つを有している。また、規制部材たる規制ブレードとして、これらに個々に対応する第1規制ブレード105aと、第2規制ブレード105bとの2つを有している。
【0039】
第1アニロクスローラ104aは、先に表1に示したコート紙用現像器のアニロクスローラと同様の構成である。また、第2アニロクスローラ104bは、先に表1に示した普通紙用現像器のアニロクスローラと同様の構成である。これら第1アニロクスローラ104a、第2アニロクスローラ104bは、図示しないローラ接離機構によってそれぞれ感光体1に対して別々に接離せしめられる。図8では、第1アニロクスローラ104aが感光体1に接触して塗布動作を行う一方で、第2アニロクスローラ104bが感光体1から離間して塗布動作を行わない例を示している。第1規制ブレード105a、第2規制ブレード105bは、それぞれ対応する方のアニロクスローラがローラ接離動作によって動いてもそのアニロクスローラとの当接状態を維持するように、ブレード支持部材を中心に回動する。
【0040】
図9は、実施形態に係るプリンタの電気回路の一部を示すブロック図である。図示しないCPU等の演算手段と、RAMやROM等からなるデータ記憶手段とを備えている制御部200には、第1接離ソレノイド113、第2接離ソレノイド114などが接続されている。また、紙種判別手段206、現像バイアス電源回路205なども接続されている。
【0041】
上記第1接離ソレノイド113、第2接離ソレノイド114は、それぞれ上記現像ローラ(107)に対してアニロクスローラ(104a,b)を接離させる上記ローラ接離機構の一部を構成している。第1接離ソレノイド113が制御部200の制御によって作動(又は停止)すると、上記第1アニロクスローラ(104a)が上記現像ローラ(107)に対して接触(又は離間)する。また、第2接離ソレノイド114が作動(又は停止)すると、上記第2アニロクスローラ(104b)が上記現像ローラ(107)に対して接触(又は離間)する。
【0042】
上記現像バイアス電源回路205は、上記現像ローラ(107)に現像電圧たる現像バイアスを供給する回路であり、現像電圧供給手段としての機能を発揮する。制御部200は、この現像バイアス電源回路205に制御信号を送信することで、上記現像ローラ(107)への現像バイアスの出力値(現像バイアス値)や、その出力のON/OFFを制御することができる。
【0043】
上記紙種判別手段206は、上記給紙カセット内に収容されている転写紙の種類を判別してその信号を制御部200に出力する。このような紙種判別手段としては、上記給紙カセット内の転写紙のセット位置に基づいて紙種を判別するものなどが挙げられる。具体的には、例えばA4サイズ同士など、同じサイズの転写紙であっても、上記給紙カセット内における平面的なセット位置の違いを検知する位置検知センサ等が挙げられる。カセット左隅、カセット右隅などというセット位置をユーザーが紙種に応じて異ならせ、紙種判別手段206がその違いに基づいて普通紙、コート紙などといった紙種の違いを判別するのである。また例えば、上記給紙カセットに数[cm]の厚みでセットされる転写紙束の側面に印刷された紙種情報のバーコードを読み取るものでもよい。本変形例装置は、このような紙種判別手段206を備えることにより、ユーザーに対して紙種情報を入力させるといった手間を負わせることなく、紙種に応じて現像剤塗布量を調整することができる。一方、上記操作タッチパネル(201)などを用いてユーザーの入力操作に基づいて紙種情報を取得するものでは、センサでは検知することのできないきめ細かい情報も取得することができる。例えば、平滑性の度合いや紙繊維密度などといった情報でも取得が可能である。
【0044】
図10は、上記現像器(109)の現像特性を示すグラフである。このグラフにおける縦軸、横軸は、それぞれ現像率[%]、現像バイアス値を示している。グラフには2つの曲線が描かれているが、一方は、上記現像ローラ(107)に対する現像剤塗布量が0.7[mg/cm2]のとき、即ち上記第1アニロクスローラ(104a)だけが塗布動作を行うときの特性を示している。また、もう一方は、上記現像ローラ(107)に対する現像剤塗布量が1.0[mg/cm2]のとき、即ち上記第2アニロクスローラ(104b)だけが塗布動作を行うときの特性を示している。図示のように、現像バイアス値が同じであっても、現像剤塗布量が異なるとそれに応じて現像特性が異なってくる。具体的には、現像剤塗布量が多くなるほど、100[%]近くの現像率を得るためにより高い現像バイアス値が必要になる。図示の例においては、現像バイアス値が500[V]以上に設定されれば、0.7、1.0[mg/cm2]の何れの現像剤塗布量でも100[%]近くの現像率を実現することができる。換言すれば、500[V]以上であれば、何れのアニロクスローラが使用されたとしても、100[%]近くの現像率を実現することができる。しかしながら、現像剤塗布量が0.7[mg/cm2]である場合、即ち第1アニロクスローラ(104a)だけが塗布動作を行う場合には、400[V]程度の現像バイアス値で十分である。それにもかかわらず500[V]の現像バイアスを上記現像ローラ(107)に印加してしまうと、エネルギーを無駄に消費してしまうことになる。
【0045】
図11は、上記制御部(200)によって実施される紙種情報変更制御のフローを示すフローチャートである。このフローチャートにおいて、S2までの制御は図6に示したものと同様である。但し、S2において「コート紙」であると判断されると(S2でY)、上記第2接離ソレノイド(114)がOFF設定された後(S3)、上記第1接離ソレノイド(113)がON設定される(S4)。そして、現像バイアス値が400[V]に設定された後(S5)、一連の制御フローが終了する。このようにして制御フローを終えた上記制御部(200)は、それ以降、図示しない主電源がONされている限り、上記第1接離ソレノイド(113)をONするとともに、上記第2接離ソレノイド(114)をOFFする。更に、現像動作中には、500[V]よりも低い400[V]の現像バイアスを上記現像ローラ(107)に印加させる。よって、以降の画像形成プロセスにおいて、2つのアニロクスローラのうち、上記第1アニロクスローラ(104a)だけが塗布動作を行って、液体現像剤を0.7[mg/cm2]の塗布量で上記現像ローラ(107)に塗布する。更に、上記現像ローラ(107)に400[V]の現像バイアスが印加されながら現像動作が行われる。このような現像バイアスの印加では、先に図9に示したように、100[%]近い現像率を実現しながら、必要以上に現像バイアス値を高くすることによる無駄なエネルギー消費を回避することができる。
【0046】
一方、上記S2において、変更後の紙種情報が「コート紙」でないと判断されると(S2でN)、上記第1接離ソレノイド(113)がOFF設定された後(S6)、上記第2接離ソレノイド(114)がON設定される(S7)。そして、現像バイアス値が500[V]に設定された後(S8)、一連の制御フローが終了する。このようにして制御フローを終えた上記制御部(200)は、それ以降、図示しない主電源がONされている限り、上記第1接離ソレノイド(113)をOFFするとともに、上記第2接離ソレノイド(114)をONする。更に、現像動作中には、500[V]の現像バイアスを上記現像ローラ(107)に印加させる。よって、以降の画像形成プロセスにおいて、2つのアニロクスローラのうち、上記第2アニロクスローラ(104b)だけが塗布動作を行って、液体現像剤を1.0[mg/cm2]の塗布量で上記現像ローラ(107)に塗布する。更に、上記現像ローラ(107)に500[V]の現像バイアスが印加されながら現像動作が行われる。このような現像バイアスの印加では、図9に示したように、1.0[mg/cm2]の現像剤塗布量であっても、100[%]近い現像率を実現することができる。このことにより、現像剤塗布量に見合った十分な値の現像バイアスが供給されないことによる現像率の低下が回避される。
【0047】
以上の構成を有する実施形態に係るプリンタにおいては、上記第1アニロクスローラ(104a)、第2アニロクスローラ(104b)、ローラ接離機構(各接離ソレノイドを含む)等が量調整手段として機能している。また、上記制御部(200)が、現像電圧供給手段たる上記現像バイアス電源回路(203)からの出力電圧値を制御する電圧制御手段としても機能している。そして、2つのアニロクスローラの切替作動によって現像剤塗布量を調整することで、アニロクスローラの回転速度変化だけで現像剤塗布量を調整する場合に比べ、より広範囲の調整を行うことが可能になる。
【0048】
なお、アニロクスローラの切替作動と、アニロクスローラの回転速度変化とを併用してもよい。そうすると、現像剤塗布量を更に広範囲に調整することが可能になる。また、2つのアニロクスローラ(104a、104b)を切替作動させる例について説明したが、3つ以上のアニロクスローラを切替作動させるようにしてもよい。このようにしても、現像剤塗布量を更に広範囲に調整することが可能になる。また、アニロクスローラではなく、上記現像器(109)を切替作動させるようにしてもよい。具体的には、上記現像器(109)として、互いに単位面積あたりの現像剤塗布量の異なるアニロクスローラ104を有する複数のものを設ける。更に、上記紙種情報に基づいて、それぞれの現像器(厳密には現像器の現像ローラ)を上記感光体(1)に対して個別に接離させる現像器接離機構も設ければよい。但し、この場合、複数の現像器(109)を設けることで、プリンタを大型化することに加えて、プリンタ本体をコスト高にしてしまう。
【0049】
これまで、剤塗布部材としてローラ方式のアニロクスローラを用いた例について説明したが、塗布ベルトなど他の方式のものを用いてもよい。または、塗布部材による塗布方式ではなく、スプレー方式などの他の方式によって液体現像剤を上記現像ローラ(107)に供給させるようにしてもよい。また、潜像担持体としてベルト方式の感光体1を設けた例について説明したが、感光体ベルトなど、他の方式のものを用いてもよい。また、現像部材として現像ローラ106を設けた例について説明したが、現像ベルトなど、ローラ方式とは異なる現像剤担持体を設けてもよい。また、種類情報取得手段が種類情報入力手段たる上記操作タッチパネル(201)である例について説明したが、上記給紙カセットに収容されている転写紙の紙種情報を何らかの方法によって判別する種類判別手段であってもよい。
【0050】
以上、第1参考形態のプリンタにおいては、上記操作タッチパネル(201)によって取得した上記紙種情報に基づいて、ユーザーに対して上記現像器(109)の交換作業を促し得る情報を報知している。かかる構成では、ユーザーに対して上記アニロクスローラ(104)の着脱という非常に厄介な作業を負わせることなく、使用される転写紙の種類が変わることによる画質変化を抑えることができる。
また、第2参考形態や実施形態に係るプリンタにおいては、種類情報取得手段として、上記操作タッチパネル(201)や紙種判別手段(206)を備えている。更に、上記ローラ接離機構等からなる量調整手段、量調整制御手段たる上記制御部(200)なども備えている。かかる構成では、上記第1参考形態のプリンタとは異なり、ユーザーに対して現像器やアニロクスローラの着脱という厄介な作業を負わせることなく、使用される転写紙の種類が変わることによる画質変化を抑えることができる
また、これらにおいては、上記現像器(109)が、剤塗布部材たる上記アニロクスローラ(104)と、その表面に担持された現像剤薄層の層厚を規制する規制部材たる上記規制ブレード(105)とを有している。そして、このアニロクスローラ(104)は、その表面に液体現像剤を保持するための複数の上記凹部(Cp)を有している。かかる構成では、上記アニロクスローラ(104)の表面に担持される液体現像剤の量を、複数の凹部(Cp)の容量に応じた値に正確に計量することができる。そして、このことにより、上記現像ローラ(107)への現像剤塗布量を正確に計量することができる。
また、第2参考形態のプリンタにおいては、剤塗布部材の表面移動速度であるアニロクスローラ回転速度を変化させることで、上記現像ローラ(107)に対する現像剤供給量(現像剤塗布量)を調整している。かかる構成では、上記ローラ接離機構や現像器接離機構といった機構を設けてプリンタの構成を複雑にすることなく、紙種情報に応じて現像剤塗布量を調整することができる。
また、実施形態に係るプリンタにおいては、互いに単位面積あたりにおける現像剤塗布量の異なる複数の上記アニロクスローラ(104)を有している。そして、これらのアニロクスローラ(104)を切替作動させて現像剤塗布量を調整している。かかる構成では、アニロクスローラの回転速度変化だけで現像剤塗布量を調整する第1参考形態のプリンタに比べて、現像剤塗布量をより広範囲に調整することができる。
また、実施形態に係るプリンタにおいては、互いに現像剤塗布量の異なるアニロクスローラとして、それぞれ互いに単位面積あたりの溝線パターン形成密度の異なる第1アニロクスローラ104a、第2アニロクスローラ104bを備えている。かかる構成では、互いに凹部深さの異なる複数のアニロクスローラを備えるものに比べ、アニロクスローラの高速回転領域における塗布効率の低下を抑えることができる。
また、実施形態に係るプリンタにおいては、種類情報取得手段として、種類判別手段である上記紙種判別手段(206)を備えている。かかる構成では、ユーザーに対して紙種情報を入力させるといった手間を負わせることなく、紙種に応じて現像剤塗布量を調整することができる。
また、第1参考形態や第2参考形態のプリンタにおいては、種類情報取得手段として、種類情報入力手段たる上記操作タッチパネル(201)を備えている。かかる構成では、平滑性の度合いや紙繊維密度などといったセンサでは検知することのできないきめ細かい紙種情報でも取得することができる。そして、このことにより、上記紙種判別手段(206)によってのみ紙種情報を取得する場合に比べて、よりきめ細かい紙種の変化に対応することができる。
また、実施形態に係るプリンタにおいては、現像電圧供給手段たる上記現像バイアス電源回路205と、これからの出力電圧値を上記紙種判別手段(206)による判別結果に基づいて制御する電圧制御手段たる上記制御部(200)とを備えている。かかる構成では、アニロクスローラによる現像剤塗布量を変化させることによる現像率の低下や、無駄なエネルギー消費を回避することができる。
【0051】
【発明の効果】
請求項1、2又は3の発明によれば、使用される記録体の種類が変わることによる画質変化を抑えることができるという優れた効果がある。
また、記録体の種類に基づいて現像電圧を調整することで、剤供給手段による現像剤塗布量を変化させることによる現像率の低下や、無駄なエネルギー消費を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施形態に係るプリンタの要部を示す概略構成図。
【図2】 (a)は同プリンタのアニロクスローラを示す平面図。
(b)から(d)はそれぞれ同アニロクスローラの凹部を示す模式図。
【図3】 第1参考形態に係るプリンタの電気回路の一部を示すブロック図。
【図4】 同プリンタの制御部によって実施される紙種情報変更制御のフローを示すフローチャート。
【図5】 第2参考形態に係るプリンタの電気回路の一部を示すブロック図。
【図6】 同プリンタの制御部によって実施される紙種情報変更制御のフローを示すフローチャート。
【図7】 互いに凹部の深さが異なる2つのアニロクスローラA,Bの回転速度と、現像剤塗布量との関係を示すグラフ。
【図8】 実施形態に係るプリンタにおける現像器と感光体とを示す要部構成図。
【図9】 同プリンタの電気回路の一部を示すブロック図。
【図10】 同プリンタの現像器の現像特性を示すグラフ。
【図11】 同プリンタの制御部によって実施される紙種情報変更制御のフローを示すフローチャート。
【符号の説明】
1:感光体(潜像担持体)
104:アニロクスローラ(剤塗布部材)
105:ブレード(規制部材)
107:現像ローラ(現像部材)
109:現像器(現像手段)
200:制御部(調整制御手段及び電圧制御手段)
201:操作タッチパネル(種類情報入力手段及び情報報知手)
205:現像バイアス電源回路(現像電圧供給手段)
206:紙種判別手段(種類判別手段)
Cp:凹部
Claims (3)
- 潜像を担持する潜像担持体と、液体中に現像物質を含有する液体現像剤を用いて該潜像担持体上の潜像を現像する現像手段と、該潜像担持体上で現像された可視像を記録体に転写せしめる転写手段とを備え、且つ、表面に担持した液体現像剤によって該潜像を現像する現像部材と、該現像部材に液体現像剤を供給する剤供給手段とを該現像手段に有する液体式画像形成装置において、
液体現像剤を保持するための複数の溝を具備する自らの表面に液体現像剤を担持しながら表面移動に伴って該液体現像剤を上記現像部材に塗布する複数の剤塗布部材によって上記現像部材に液体現像剤を供給するように、上記剤供給手段を構成し、
それら複数の剤塗布部材として、単位面積あたりの溝形成数が互いに異なっていることで上記現像部材に対する単位面積あたりの現像剤塗布量が互いに異なっているものを用い、
且つ、使用される上記記録体の種類情報を取得する種類情報取得手段と、少なくともそれら複数の剤塗布部材を切替作動させることで、上記剤供給手段による上記現像部材に対する単位表面積あたりの現像剤供給量を調整する量調整手段と、上記現像部材に現像電圧を供給する現像電圧供給手段と、該種類情報取得手段による取得結果に基づいて該現像電圧供給手段からの出力電圧値を制御する電圧制御手段とを設けたことを特徴とする液体式画像形成装置。 - 請求項1の液体式画像形成装置であって、
上記種類情報取得手段が、上記記録体の種類を判別する種類判別手段であることを特徴とする液体式画像形成装置。 - 請求項1の液体式画像形成装置であって、
上記種類情報取得手段が、操作者による種類情報の入力操作がなされる種類情報入力手段であることを特徴とする液体式画像形成装置。
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