JP4278956B2 - 多層状膨化食品の製造方法及び多層状膨化食品 - Google Patents

多層状膨化食品の製造方法及び多層状膨化食品 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、パイ、クロワッサン等に代表される多層状膨化食品に関するものであり、更に詳しくは良好な外観、ボリューム、口溶け、食感等を有する多層状膨化食品に関する。
【0002】
【従来の技術】
パイ、クロワッサン、デニッシュペストリー等の多層状膨化食品は、独特の食感を有しており、従来から非常に人気の高い食品の一つである。このような多層状膨化食品の製造方法は、通常、折り込み方式と練り方式に大別され、前者は、小麦粉等の澱粉質原料に食塩等の他の材料を加え、必要に応じて更に油脂を加えて加水混捏して生地を作り、この生地に折り込み用油脂(ロールイン油脂)を包み込み、圧延及び折りたたみ工程を繰り返して、多数の生地層と油脂層とが交互に積層された生地を調製し、焼成する方法である。一方、後者は、小麦粉等の澱粉質原料に食塩等の材料を加え、固形油脂を切り刻んで混合し、圧延及び折りたたみ工程を繰り返して、多数の生地層が積層された生地を調製し、焼成する方法である。
【0003】
上記のいずれの方法においても、生地中の油脂が水蒸気の散逸を適度に抑えることにより多層状構造が形成され、焼成した際に生地が充分膨化して、ボリューム、食感等に優れたものとなる。
【0004】
このように多層状膨化食品においては、油脂が重要な役割を果たしており、例えば、特許文献1には、口溶け、食感、浮き(ボリューム)が共に良好なクロワッサン、デニッシュ、パイなどの層状小麦粉膨化食品を製造するためのシート状油脂加工食品が開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、ボリュームが良く、火通りに優れ、食感が良好で、デザイン性に優れ、従来展延することが出来なかった風味のバラエティーに富んだ商品価値のあるパイ、クロワッサン、デニッシュペーストリー等の多層状食品を製造できる折り込み用油脂組成物が開示されている。
【0006】
また、特許文献3には、パイ又はペストリーを製造する際、作業性及び伸展性が良好であるパイ・ペストリー用折り込み油脂組成物が開示されている。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−238599号公報
【特許文献2】
特開平11−289978号公報
【特許文献3】
特開昭63−22133号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記公報に開示された油脂を用いても、得られる多層状膨化食品のボリューム、口溶け、食感等は充分満足できるものではなかった。
【0009】
また、従来の多層状膨化食品においては、ボリューム、口溶け、食感等を良好にするために多量の油脂を用いる必要があった。そのため、多層状膨化食品は非常にカロリーが高く、近年の健康指向の状況では、より低カロリー化が求められていた。
【0010】
更に、多量の油脂を含む場合、保存中における油脂の酸化による品質の劣化も問題となる。
【0011】
したがって、本発明の目的は、油脂の添加量に関らず、例えば、油脂含量を減らしても良好な外観、ボリューム、口溶け、食感等を有する多層状膨化食品の製造方法、及び良好な外観、ボリューム、口溶け、食感等を有する多層状膨化食品を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意研究を重ねた結果、生地に、糖類とグルコマンナンとを含む水溶液中に、内相にアルカリ水溶液を含むW/O型エマルジョンが分散しているpH4以上8未満である液状食品素材を配合することにより、油脂の添加量に関らず、良好な外観、ボリューム、口溶け、食感等を有する多層状膨化食品が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
すなわち、本発明の一つは、澱粉質原料を主原料とする生地を、圧延し、折りたたむ工程を繰り返して多層状に成形し、加熱処理する多層状膨化食品の製造方法において、糖類とグルコマンナンとを含む水溶液中に、内相にアルカリ水溶液を含むW/O型エマルジョンが分散しているpH4以上8未満である液状食品素材を、前記生地に添加することを特徴とする多層状膨化食品の製造方法である。
【0014】
本発明の製造方法によれば、糖類とグルコマンナンとを含む水溶液中に、内相にアルカリ水溶液を含むW/O型エマルジョンが分散しているpH4以上8未満である液状食品素材を、澱粉質原料を主原料とする生地に添加することにより、生地を圧延し、折りたたむ工程を繰り返して多層状に成形する際に、カプセル化されたアルカリ水溶液が浸出してグルコマンナンがゲル化し、生地層におけるグルテン等のネットワークを包みこむような状態で取り囲み、生地層の水分をコントロールする。このため、油脂の添加量に関らず、良好な外観、ボリューム、口溶け、食感等を有する多層状膨化食品を得ることができる。
【0015】
上記の製造方法においては、前記液状食品素材は、pH4.5〜7.5であることが好ましい。この態様によれば、より良好な外観、ボリューム、口溶け、食感等を有する多層状膨化食品を得ることができる。
【0017】
また、前記液状食品素材の添加量が、澱粉質原料100質量部に対して、0.1〜50質量部であることが好ましい。この態様によれば、特に良好な外観、ボリューム、口溶け、食感等を有する多層状膨化食品を得ることができる。
【0018】
更に、油脂の添加量が、澱粉質原料100質量部に対して、210質量部以下であることが好ましい。この態様によれば、良好な外観、ボリューム、口溶け、食感等を有し、従来に比べて油脂含量の少ない低カロリーな多層状膨化食品を得ることができる。
【0019】
更にまた、前記多層状膨化食品は、パイ、クロワッサン、デニッシュペストリー、クラッカー又はビスケットから選ばれた1種であることが好ましい。
【0020】
例えば、前記多層状膨化食品がパイの場合、油脂の添加量が、澱粉質原料100質量部に対して、0.5〜100質量部であることが好ましい。
【0021】
また、前記多層状膨化食品がクロワッサンの場合、油脂の添加量が、澱粉質原料100質量部に対して、60質量部以下であることが好ましい。
【0022】
また、前記多層状膨化食品がデニッシュペストリーの場合、油脂の添加量が、澱粉質原料100質量部に対して、100質量部以下であることが好ましい。
【0023】
これらの態様によれば、外観、ボリューム、口溶け、食感等を損うことなく、従来に比べて油脂含量を低減したパイ、クロワッサン、デニッシュペストリーを得ることができる。
【0024】
また、本発明のもう一つは、上記の製造方法により得られた多層状膨化食品である。
【0025】
本発明の多層状膨化食品は、澱粉質原料を主原料とする生地に、糖類とグルコマンナンとを含み、pH4以上8未満である液状食品素材、好ましくは糖類とグルコマンナンとを含む水溶液中に、内相にアルカリ水溶液を含むW/O型エマルジョンが均一に分散した液状食品素材を添加しているので、上記のような理由により、油脂の添加量に関らず、良好な外観、ボリューム、口溶け、食感等を有する。そのため、油脂の添加量を減らすことも可能となり、多層状膨化食品の低カロリー化を図ることができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
本発明において、多層状膨化食品とは、澱粉質原料を主原料とする生地を、圧延し、折りたたむ工程を繰り返して多層状に成形し、加熱処理して得られる食品を意味し、例えば、パイ、クロワッサン、デニッシュペストリー、クラッカー、ビスケット、ブリオッシュ等が好ましく挙げられる。
【0027】
澱粉質原料としては、例えば、小麦粉、米粉、トウモロコシ粉、大麦粉、ライ麦粉等の穀粉類、馬鈴薯澱粉、小麦澱粉、タピオカ澱粉、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、ハイアミロースコーンスターチ、米澱粉、蓮根澱粉、甘薯澱粉、サゴ澱粉、それらの化工澱粉等の澱粉類を用いることができる。本発明においては、小麦粉を用いることが好ましく、必要に応じて他の穀粉や澱粉類を混合して用いてもよい。
【0028】
本発明で用いられる液状食品素材とは、糖類とグルコマンナンとを含み、pH4以上8未満、より好ましくはpH4.5〜7.5に調整されたものであり、更に好ましくは、糖類とグルコマンナンとを含む水溶液に、内相にアルカリ水溶液を含むW/O型エマルジョンが均一に分散した混合物が用いられる。このような液状食品素材は、以下の方法で調製することができるが、例えば、商品名「モアフレッシュ」(日本食品化工株式会社製)等の市販品を用いることもできる。
【0029】
以下、液状食品素材の原料について説明する。
上記糖類としては、特に制限はなく、砂糖、ブドウ糖、異性化糖、マルトース、トレハロース、ソルビトール、マルチトール、ラクチトール、エリスリトール等の糖及び糖アルコール、各種オリゴ糖、及びそれらの混合物を用いることができる。上記オリゴ糖としては、マルトオリゴ糖(好ましくは重合度3〜7)、ニゲロオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、パノースオリゴ糖、ゲンチオオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、乳果オリゴ糖及びそれらのシラップ等が挙げられる。上記糖類は、目的に応じて、適宜選択して用いることができ、例えば、生地の冷凍耐性を向上させる場合にはマルトオリゴ糖や糖アルコールを用いることができる。
【0030】
グルコマンナンとしては、特に制限はなく、コンニャク芋を乾燥、粉末化して得られる通常のコンニャク粉、コンニャク粉を精製したコンニャク精粉等を用いることができるが、風味や色の点から、除蛋白したコンニャク粉が特に好ましく用いられる。このような除蛋白したコンニャク粉としては、例えば「レオレックスRS」(商品名、清水化学(株)製)等が挙げられる。
【0031】
また、上記糖類とグルコマンナンとを含む水溶液は、更に澱粉を含むことが好ましい。澱粉を含有することにより、冷凍・解凍した際のグルコマンナンゲルの離水を防ぐことができる。上記澱粉としては、例えば、馬鈴薯澱粉、小麦澱粉、タピオカ澱粉、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、ハイアミロースコーンスターチ、米澱粉、蓮根澱粉、甘薯澱粉、サゴ澱粉等やそれらの化工澱粉が好ましく、中でも架橋澱粉又は湿熱処理澱粉が特に好ましい。具体的には、ヒドロキシプロピル化架橋タピオカ澱粉、アセチル化架橋タピオカ澱粉、湿熱処理コーンスターチ等が挙げられる。
【0032】
次に、内相にアルカリ水溶液を含むW/O型エマルジョンについて説明する。
W/O型エマルジョンを形成する際に用いられる油脂としては、食用油脂であればいずれも使用できるが、中でも不飽和脂肪酸を50質量%以上含む油脂が好ましく、例えばサフラワー油、菜種油、オリーブ油、茶種子油、椿油等が挙げられる。このような油脂を用いることにより、液状食品素材を他の生地原料と混合して生地を調製、加工する際に、油脂相がより崩壊しやすくなり、グルコマンナンを均一にゲル化することができる。
【0033】
また、アルカリ水溶液としては、通常食品に用いられるアルカリ剤の水溶液であれば特に制限はなく用いることができる。このようなアルカリ剤としては、例えば炭酸ソーダ、重炭酸ソーダ、炭酸カルシウム、リン酸2ナトリウム、リン酸3ナトリウム、リン酸2カリウム、リン酸3カリウム、ポリリン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム等の塩基性塩類が挙げられる。
【0034】
また、上記W/O型エマルジョンは、更に乳化剤を含有することが好ましい。乳化剤を含有することにより、アルカリ水溶液を均一に乳化することができ、安定性の高いエマルジョンを得ることができる。上記乳化剤としては、HLB5以下のものが好ましく、例えばポリグリセリン脂肪酸エステル、ジエチルグリセルモノ脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、モノグリセリン脂肪酸エステル、ジグリセリン脂肪酸エステル等が挙げられ、中でもポリグリセリン脂肪酸エステルが好ましく用いられる。
【0035】
上記液状食品素材は、例えば以下のようにして得ることができる。
(1)グルコマンナンと水とを混合してグルコマンナン膨潤液(I)を調製する。
例えば、グルコマンナン1質量部に対して水20〜200質量部を加えて撹拌し、グルコマンナンを膨潤させることにより調製することができる。
【0036】
(2)油脂にアルカリ水溶液を混合してW/O型エマルジョン(II)を調製する。
例えば、油脂100質量部に対して、アルカリ水溶液50〜400質量部、より好ましくは50〜150質量部を加え、更に乳化剤等の他の原料を適宜加えて、ホモミキサー、ホモゲナイザー等の手段により均質化することにより調製することができる。
【0037】
上記アルカリ水溶液の濃度は、特に限定されず、最終製品(液状食品素材)のpHが4以上8未満(好ましくはpH4.5〜7.5)になるように、アルカリ水溶液の使用量によって適宜選択できるが、通常、0.5〜20質量%が好ましい。
【0038】
油脂100質量部に対するアルカリ水溶液の配合割合が50質量部未満であるとW/O型エマルジョン(II)の添加量を多くしなければならず、最終製品(液状食品素材)中の油脂含量が高くなり過ぎ、400質量部超であると安定なエマルジョンを得ることができない。
【0039】
なお、乳化剤の添加量は、適宜選択できるが、通常、油脂100質量部に対して0.05〜1質量部が好ましく、0.2〜0.4質量部がより好ましい。上記油脂100質量部に対する乳化剤の添加量が0.05質量部未満であると安定なエマルジョンを得ることができず、1質量部超であると風味が悪くなる。
【0040】
(3)上記グルコマンナン膨潤液(I)と上記W/O型エマルジョン(II)を混合して、W/O/W型エマルジョン(III)を調製する。
例えば、上記グルコマンナン膨潤液(I)100質量部に対して、上記W/O型エマルジョン(II)1〜50質量部を加え、必要に応じて澱粉等の他の原料を加え、ホモミキサー等の手段により混合することにより調製することができる。
【0041】
上記グルコマンナン膨潤液(I)100質量部に対する上記W/O型エマルジョン(II)の配合割合が1質量部未満であるとグルコマンナンを充分にゲル化することが困難になり、50質量部超であるとアルカリ剤が過剰となり、食品の風味に悪影響を与えたり、最終製品(液状食品素材)中の油脂含量が高くなり過ぎる場合がある。
【0042】
(4)糖液と上記W/O/W型エマルジョン(III)とを混合して、pH4以上8未満の混合物(液状食品素材)を調製する。
例えば、糖液100質量部に対して、上記W/O/W型エマルジョン(III)5〜250質量部を加え、ホモジナイザー等の手段により混合することにより調製することができる。上記のようにして得られる混合物(液状食品素材)は、特にpH調整をしなくてもpH4以上8未満になるが、本発明においては、pH4.5〜7.5に調整することがより好ましい。
【0043】
上記糖液は、上述した糖類の水溶液が用いられ、シラップの場合はそのまま用いることもできる。糖液の濃度は特に限定されないが、通常、50〜85質量%が好ましい。糖液の濃度が50質量%未満であると製品の保存安定性に劣り、85質量%超であると糖の種類によっては結晶が析出したり、粘度が高くなり作業性が悪くなる。なお、上記糖液として、例えば、砂糖、乳糖等のpHの高い(pH6.0〜7.5)糖類の水溶液(シラップも含む)を用いた場合、上記グルコマンナン膨潤液(I)を調製する際に、該糖液を混合してもよい。
【0044】
上記糖液と上記W/O/W型エマルジョン(III)との配合割合が上記範囲外であると該エマルジョン(III)を均一に溶解することができなかったり、得られる混合物のpHが所定の範囲にならず、また、多層状膨化食品に良好な外観、ボリューム、口溶け、食感等を付与できない。
【0045】
この液状食品素材は、糖類とグルコマンナンとを含む水溶液に、油脂でカプセル化されたアルカリ剤を分散させることにより、グルコマンナンのゲル化を遅延させているので、低粘度で、容易に他の生地原料と均一に混合することができる。そして、他の生地原料と混合して生地を調製、加工する際に、カプセル化されたアルカリ水溶液が浸出してグルコマンナンがゲル化して、生地層におけるグルテン等のネットワークを包みこむような状態で取り囲み、生地層の水分のコントロールに寄与するものと考えられる。その結果、油脂の添加量に関らず、良好な外観、ボリューム、口溶け、食感等を有する多層状膨化食品を得ることができる。
【0046】
本発明の製造方法においては、澱粉質原料に、上記液状食品素材及びその他の生地原料を添加して、常法に従って混捏して生地を調製し、この生地を圧延し、折りたたむ工程を繰り返して多層状に成形して加熱処理すればよい。加熱処理の方法は特に限定されず、例えば、焼成、油ちょう、レンジ加熱等の方法が挙げられる。
【0047】
例えば、折り込み方式の場合、小麦粉等の澱粉質原料に、上記液状食品素材、食塩等を加え、必要に応じて更に油脂を加えて加水混捏して生地を作り、この生地に折り込み用油脂を包み込み、圧延及び折りたたみ工程を繰り返して、多数の生地層と油脂層とが交互に積層された生地を調製し、加熱処理すればよい。また、練り方式の場合、小麦粉等の澱粉質原料に、上記食品素材、食塩等の材料を加え、固形油脂を切り刻んで混合し、圧延及び折りたたみ工程を繰り返して、多数の生地層が積層された生地を調製し、加熱処理すればよい。また、練り方式の場合、小麦粉等の澱粉質原料に、上記食品素材、食塩等の材料を加え、固形油脂を切り刻んで混合し、圧延及び折りたたみ工程を繰り返して、多数の生地層が積層された生地を調整し、加熱処理すればよい。
【0048】
本発明において、上記液状食品素材の添加量は、澱粉質原料100質量部に対して、0.1〜50質量部が好ましく、1〜30質量部がより好ましい。液状食品素材の添加量が上記より少ないと、良好な外観、ボリューム、口溶け、食感等を有する多層状膨化食品を得ることができず、添加量が多すぎると得られる多層状膨化食品の食感が低下してしまう場合がある。
【0049】
また、生地に添加する油脂の量は、特に制限はなく、各多層状膨化食品における一般的な添加量とすることができる。一方、低カロリー化を図る場合は、油脂の添加量を減らす、あるいは油脂を全く添加しなくてもよい。
【0050】
本発明において、澱粉質原料100質量部に対する油脂の添加量は、300質量部以下、より好ましくは210質量部以下、特に好ましくは0.1〜180質量部である。具体的には、例えば、パイの場合、澱粉質原料100質量部に対して300質量部以下、より好ましくは150質量部以下、特に好ましくは0.5〜100質量部である。また、クロワッサンの場合は、澱粉質原料100質量部に対して180質量部以下、より好ましくは60質量部以下、特に好ましくは0.1〜30質量部である。また、デニッシュペストリーの場合は、澱粉質原料100質量部に対して300質量部以下、より好ましくは100質量部以下、特に好ましくは0.1〜40質量部である。なお、上記油脂の添加量は、折り込み用油脂及び練り込み用油脂の添加量を意味し、上記液状食品素材に含まれる油脂の量は含まない。
【0051】
上記油脂としては食用油脂であれば特に制限なく使用できる。油脂の原料としては、大豆油、綿実油、コーン油、サフラワー油、パーム油、菜種油、カポック油、ヤシ油等の植物性油脂類、バター、牛脂、ラード、魚油、鯨油等の動物性油脂類、マーガリン、ショートニング等の上記油脂類の混合物等が例示できる。油脂原料は1種類のみを単独で使用してもよく、複数種を併用してもよい。
【0052】
また、上記原料の他に、多層状膨化食品において通常使用されている原料、例えば、食塩、砂糖、乳製品、卵、乳化剤、香辛料、イースト、膨張剤、調味料等を適宜用いることができる。例えば、折り込み式のパイの場合、澱粉質原料100質量部に対して、食塩0〜2質量部、砂糖0〜5質量部、乳製品0〜5質量部、卵0〜10質量部、乳化剤0〜2部を用いることが好ましい。
【0053】
【実施例】
以下、実施例を挙げて、本発明を具体的に説明する。なお、以下の例においては、液状食品素材として、商品名「モアフレッシュ21」(日本食品化工株式会社製)を用いた。
【0054】
実施例1〜3
表1に示す配合割合で、各原料を混合して、常法にしたがってパイを作った。すなわち、小麦粉(中力粉)に、食塩、マーガリン、冷水及び液状食品素材を加えて、立型ミキサー(関東混合機工業株式会社製)で混練した(低速2分、練り上がり生地温度20〜21℃)後、生地を冷蔵庫でねかした。
【0055】
生地を約6℃によく冷やした後、この生地にロールイン油脂(商品名「アートピア300」、不二製油株式会社製)を76.6、53.6又は38.3質量部のせて包み込んで、4mmの厚さに圧延し、それを3つ折りに折り込み、再び4mmの厚さに圧延し、4つ折りに折り込んだ。そして、5℃で30分間ねかした後、同様の操作を再度繰り返し、合計144層(3つ折り2回、4つ折り2回)、厚さ4mmのシート状にした。このシート状生地より80mmφに型抜きした生地を200℃にコントロールされたオーブン中で16分間焼成してパイを作った。
【0056】
比較例
液状食品素材を添加しなかったこと以外は、実施例と同様にしてパイを作った。
【0057】
【表1】
Figure 0004278956
【0058】
得られた各パイについて、その高さ(cm)を測定し、平均高さ(n=10)を求めると共に、ロールイン油脂添加量76.6質量部の比較例のパイの高さ(容積)を1としたときの他のパイの高さ(容積)の相対値を計算した。それらの結果を表2に示す。また、得られた各パイの外観を図1に示す。
【0059】
【表2】
Figure 0004278956
【0060】
表2及び図1から、実施例1〜3のパイは、比較例のパイに比べて高さ(ボリューム)があり、良好な外観を有していることが分かる。また、実施例のパイはロールイン油脂の添加量に関らず、充分に膨化しているが、比較例のパイは、ロールイン油脂の添加量が減少するにしたがって高さが低くなっており、充分に膨化していないことが分かる。
【0061】
また、訓練された5人のパネラーにより、パイの層の状態、サク味、口溶け、表面の層のぼろつきについて官能評価を行なった。それらの結果を表3〜6に示す。なお、表中、○○:非常に良好、○:良好、△:普通、×:やや劣っている、××:劣っている、を表す。
【0062】
【表3】
Figure 0004278956
【0063】
表3から、実施例1〜3のパイは、ロールイン油脂の添加量に関らず、薄い生地層が積層された多層状構造が明瞭に形成されていることが分かる。一方、比較例のパイは、ロールイン油脂の添加量が減少するにしたがって、多層状構造が形成されにくくなっていることが分かる。
【0064】
【表4】
Figure 0004278956
【0065】
【表5】
Figure 0004278956
【0066】
【表6】
Figure 0004278956
【0067】
表4〜6から、ロールイン油脂の添加量に関らず、実施例1〜3のパイは、比較例のパイに比べて良好な食感を有していることが分かる。
【0068】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、澱粉質原料を主原料とする生地に、糖類とグルコマンナンとを含み、pH4以上8未満である液状食品素材、好ましくは糖類とグルコマンナンとを含む水溶液中に、内相にアルカリ水溶液を含むW/O型エマルジョンが均一に分散した液状食品素材を添加し、この生地を圧延し、折りたたむ工程を繰り返して多層状に成形し、加熱処理することにより、油脂の添加量に関らず、良好な外観、ボリューム、口溶け、食感等を有する多層状膨化食品を得ることができる。また、油脂の添加量を減らしても、外観、ボリューム、口溶け、食感等が損われることがないので、多層状膨化食品の低カロリーを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例及び比較例のパイの外観を示す図である。

Claims (9)

  1. 澱粉質原料を主原料とする生地を、圧延し、折りたたむ工程を繰り返して多層状に成形し、加熱処理する多層状膨化食品の製造方法において、
    糖類とグルコマンナンとを含む水溶液中に、内相にアルカリ水溶液を含むW/O型エマルジョンが分散しているpH4以上8未満である液状食品素材を、前記生地に添加することを特徴とする多層状膨化食品の製造方法。
  2. 前記液状食品素材は、pH4.5〜7.5である、請求項1に記載の多層状膨化食品の製造方法。
  3. 前記液状食品素材の添加量が、澱粉質原料100質量部に対して、0.1〜50質量部である、請求項1又は2に記載の多層状膨化食品の製造方法。
  4. 油脂の添加量が、澱粉質原料100質量部に対して、210質量部以下である、請求項1〜のいずれか一つに記載の多層状膨化食品の製造方法。
  5. 前記多層状膨化食品は、パイ、クロワッサン、デニッシュペストリー、クラッカー又はビスケットから選ばれた1種である、請求項1〜のいずれか一つに記載の多層状膨化食品の製造方法。
  6. 前記多層状膨化食品はパイであって、油脂の添加量が、澱粉質原料100質量部に対して、0.5〜100質量部である、請求項1〜のいずれか一つに記載の多層状膨化食品の製造方法。
  7. 前記多層状膨化食品はクロワッサンであって、油脂の添加量が、澱粉質原料100質量部に対して、60質量部以下である、請求項1〜のいずれか一つに記載の多層状膨化食品の製造方法。
  8. 前記多層状膨化食品はデニッシュペストリーであって、油脂の添加量が、澱粉質原料100質量部に対して、100質量部以下である、請求項1〜3のいずれか一つに記載の多層状膨化食品の製造方法。
  9. 請求項1〜のいずれか一つに記載の製造方法により得られた多層状膨化食品。
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