JP4273628B2 - ドライエッチング方法及びこの方法に用いるドライエッチング装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ドライエッチング方法及びこの方法に用いるドライエッチング装置に関するもので、特に半導体加速度センサや半導体角速度センサ等の半導体力学量センサに用いて好適である。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体センサの製造にSOI基板を利用することが多くなりつつある。これは、可動電極や固定電極等からなる微細な構造体(センシング部)を作る過程で、SOI基板の埋め込み酸化膜(絶縁膜)をエッチング除去用の犠牲層として利用できるためである。
【0003】
従来では、SOI基板の酸化膜除去に、フッ酸等を用いたウェットエッチングが主に用いられてきたが、ウェットエッチングによると、液体の表面張力によって構造体同士がくっついてしまうといういわゆるスティッキング(固着)現象が発生しやすい。
【0004】
このスティッキング現象が発生することを避けるため、最近ではSOI基板の酸化膜除去に、プラズマを用いたドライエッチングが用いられるようになった。このドライエッチングでは、平行平板電極が設けられた処理室を有する装置を用意し、平板電極の一方の電極上にSOI基板を配置し、処理室内にエッチングガスを導入すると共に平行電極に高周波電力を印加してプラズマを発生させ、酸化膜を除去するようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ドライエッチングによってSOI基板の酸化膜除去を行うと、SOI基板面内においてエッチングレートが不均一になるという問題が発生した。
【0006】
このようなエッチングレートの不均一が生じると、シリコンと酸化膜とのエッチング選択比を十分に取ったとしてもシリコンがエッチングされるため、構造体が部分的にオーバエッチングされて可動電極と固定電極との間隔がばらつき、可動電極と固定電極との間隔によって決定される容量が設計位置から変化してしまう。
【0007】
本発明は上記点に鑑みて成され、基板の絶縁膜除去をドライエッチングで行う場合において、基板面内におけるエッチングレートの均一性を向上させることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、エッチングレートを不均一にする要因としてウェハに蓄積される電荷が関わっていると考え、ドライエッチング時に蓄積される電荷についての検討を行った。図3にドライエッチング装置の概略図を示す。以下、図3に基づきドライエッチング方法について説明する。
【0009】
まず、ドライエッチングを行うSOI基板100、すなわち活性層100aを選択的にエッチングすることによって可動電極や固定電極等からなる構造体を形成し、支持層100bを選択的にエッチングすることによって酸化膜100cまで達する開口部110dを形成したSOI基板100を用意する。
【0010】
このSOI基板100を石英板101に形成したザグリ内に配置する。このとき、支持層100b側が上部電極102側を向くようにする。そして、装置内にエッチングガスを導入すると共に、下部電極103に高周波電源(RF電源)104より高周波電力を印加してプラズマ105を発生させる。これにより、エッチングガスがイオンやラジカル(活性種)に分解され、酸化膜100cがドライエッチングされる。
【0011】
このような方法でドライエッチングを行っているが、SOI基板100をエッチングする場合、活性層100aと支持層100bが酸化膜100cによって絶縁されており、また、下部電極103に対してSOI基板100はSOI基板100の外縁部のみで接触していることからSOI基板100に蓄積された電荷が逃げにくく、チャージアップしやすい。
【0012】
さらに加速度センサや角速度センサのような微細な構造体では、可動電極と固定電極を各々絶縁してコンデンサを形成するべく、トレンチ100eによる絶縁分離を行っているため、トレンチ100eによって島状の微小領域に絶縁される。
【0013】
このため、図3のドライエッチング装置の等価回路は図4の回路構成で示される。すなわち、プラズマ105が抵抗R1、プラズマ105とSOI基板100との境界部となるいわゆるシース106がコンデンサC1とダイオードD1の並列回路、酸化膜100cがコンデンサC2、トレンチ100eがコンデンサC3に相当する回路構成となる。
【0014】
このような回路構成となるため、トレンチ100eによる容量(トレンチ100eと等価なコンデンサC3)がチャージアップされると、プラズマで生成される正電荷や負電荷の偏りから、SOI基板100の面内のチャージアップ(電荷の帯電)に分布が生じ、プラズマ105によって分解されたイオンの入射量がSOI基板100の面内でばらつき、エッチレート均一性が悪化すると考えられる。
【0015】
そこで、請求項1に記載の発明では、平行平板電極(3、4)を設けた処理室(2)内の平行平板電極間のうちの一方の電極(3)上に絶縁膜(20c)を備えた基板(20)を配置し、処理室内にエッチングガスを導入すると共に平行平板電極に高周波電力を印加することにより絶縁膜を除去するドライエッチング方法において、処理室内にエッチングガスを導入すると共に高周波電力を制御し、絶縁膜をドライエッチングするエッチング工程と、ドライエッチング時に基板に帯電された電荷の分布を制御する帯電分布制御工程とを含み、エッチング工程と帯電分布制御工程とを交互に繰り返し、エッチング工程と帯電分布制御工程とでは、平行平板電極間の基板に平行な面内の磁束密度の分布とを変化させることを特徴としている。
【0016】
これにより、磁束密度の分布を変化させることによりプラズマ中のイオン量の分布を制御し、基板に帯電される電荷の量を部分的に制御することができるため、基板面内におけるエッチングレートの均一性を向上させることができる。
【0017】
なお、ここでは、磁場を印加していない状態から印加した場合、あるいは磁場を印加した状態から印加を停止する場合も、磁束密度が変化したものとする。
【0018】
このエッチング工程と帯電分布制御工程とにおける磁束密度の分布は、請求項2に記載の発明のように、ドライエッチング時に基板に帯電される電荷の分布に基づいて決定することができる。
【0019】
具体的には、基板の中央部分では電荷が逃げ難く、基板の中央部分における帯電量が大きくなる傾向があるため、請求項3に記載の発明のように、エッチング工程では、基板に平行な面内のうち基板の中央部分に対向する部分の磁束密度が、基板に平行な面内のうち基板の周辺部分に対向する部分の磁束密度よりも大きくなるようにし、帯電分布制御工程では、基板に平行な面内のうち基板の中央部分に対向する部分の磁束密度が、基板に平行な面内のうち基板の周辺部分に対向する部分の磁束密度よりも小さくなるようにすると良い。
【0020】
これにより、エッチング工程においては、基板の中央部分におけるイオンやラジカルの密度が大きくなるが、ある程度基板に帯電されるまで基板の中央部分のエッチングレートを高くすることができる。その後、帯電分布制御工程において、基板の中央部分におけるイオンやラジカルの密度を小さくすることにより、エッチング工程を行うことによって基板の中央部分で大きくなった電荷を低減させることができる。
【0021】
また、一般に、基板における帯電は基板の中央部分と周辺部分で異なることが多いため、請求項4に記載の発明のように、基板の中央部分を中心として基板に平行な面内で同心円状になるように磁石を配置することにより、各々の磁石から異なる磁束密度を発生させ、好適に基板の中央部分と周辺部分で磁束密度を変えることができ、エッチング工程と帯電分布制御工程における磁束密度の分布を制御することができる。
【0022】
また、請求項5に記載の発明のように、磁石を平行平板電極のうちの基板が配置された側の電極に対して基板とは反対側に配置すると、基板と磁石との距離が近く基板上の磁束密度を大きくすることができるため好適である。
【0023】
また、請求項1乃至5のいずれか1つに示したドライエッチング方法は、請求項6に示すように、絶縁膜(20c)の一面側に活性層(20a)が配置されていると共に、他面側に支持層(20b)が配置されたSOI基板(20)を用意した後、活性層を選択的にエッチングすることによりトレンチ(20e)を形成し、力学量測定のための可動電極と固定電極とを有した構造体を構成する工程と、支持層を選択的にエッチングすることにより絶縁膜に達する開口部(20d)を形成する工程と、絶縁膜をドライエッチングし、構造体をリリースする工程と、を含んでなる半導体力学量センサの製造方法において、絶縁膜をドライエッチングする際に適用すると好適である。
【0024】
請求項7に記載の発明は、請求項1に示したドライエッチング方法に用いるドライエッチング装置であって、平行平板電極(3、4)と、該平行平板電極を設けた処理室(2)とを有し、処理室内の平行平板電極間のうちの一方の電極(3)における他方の電極(4)側に石英板(3a)を配置し、該石英板(3a)のうち一方の電極(3)と反対側に、絶縁膜(20c)を備えた基板(20)を配置し、処理室内にエッチングガスを導入すると共に平行平板電極に高周波電力を印加することで、絶縁膜を除去するようになっているドライエッチング装置において、処理室内に、絶縁膜をドライエッチングする際に、該ドライエッチングによって基板に帯電される電荷の分布を制御するための磁石(91〜93)を配置していることを特徴としている。このドライエッチング装置を用いれば、請求項1乃至3に示したドライエッチングを好適に行うことができる。
【0025】
また、請求項8に記載の発明は、請求項7の発明において、磁石を基板の中央部分を中心として、基板に平行な面内で同心円状になるように配置することを特徴としている。これにより、請求項4の発明と同様の効果を発揮することができる。
【0026】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0027】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
以下、本発明を図に示す実施形態について説明する。図1に、ドライエッチング方法の実施に用いるエッチング装置1の断面構成を示す。また、図2に、ドライエッチングが施されるSOI基板20の断面構成を示し、(a)はドライエッチングが施される前の状態を示し、(b)はドライエッチングが施された後の状態を示す。
【0028】
図2(a)に示すSOI基板20は半導体力学量センサ(例えば、半導体加速度センサや半導体角速度センサ)の製造工程途中のものである。すなわち、このSOI基板20は、半導体力学量センサの製造工程のうち、活性層20aに可動電極及び固定電極等からなる構造体を構成する工程と、支持層20bに酸化膜(絶縁膜)20cまで達する開口部20dを形成する工程とを施したものである。
【0029】
例えば、活性層20aを選択的にエッチングし、酸化膜20cまで達するトレンチ20eを形成することによって構造体が構成され、支持層20bをKOH水溶液等によって選択的にエッチングすることで、酸化膜20cまで達する開口部20dが形成される。このような構造のSOI基板20の酸化膜20cを図1に示すエッチング装置1によりドライエッチングする。
【0030】
図1に示すように、このエッチング装置1には処理室2が備えられている。この処理室2内でSOI基板20のドライエッチングが行われる。処理室2には、平行平板電極3、4が配置されており、この平行平板電極3、4は、ドライエッチングを施すSOI基板20(図2(a)で示されるSOI基板20)が配置される下部電極(請求項でいう一方の電極)3と、この下部電極3と対向するように配置された上部電極4からなる。
【0031】
下部電極3には、上部電極4側に石英板3aが備えられており、この石英板3aに形成されたザグリ3b内にSOI基板20が配置されている。下部電極3には、高周波電源5より例えば13.56MHzの高周波電力(RF電力)が印加できるようになっている。上部電極4はSOI基板20と対向する側において等間隔に配置された複数のガス供給孔4aを有しており、エッチングガスをシャワー状に流せるように構成されている。これら下部電極3と上部電極4は、図示しない冷却水によって冷却可能となっている。
【0032】
また、エッチング装置1には、各種ガスを供給するためのガス導入口6が設けられている。このガス導入口6は上部電極4の上方に配置され、ガス導入口6より供給された各種ガスが上部電極4のガス供給孔4aを通じて処理室2内に供給されるようになっている。ガス導入口6にはガス導入管7が接続されており、このガス導入管7には、複数種類(本実施形態では3種類)のガスの供給源8に接続された複数本(本実施形態では3本)のガス導入管8aが接続されている。また、これら各ガス導入管8aには、ガス流量調節のためのマスフローコントローラ8bが備えられている。
【0033】
一方、処理室2の下部には、下部電極3におけるSOI基板20が配置される側とは反対側において磁石91〜93が配置されている。この磁石91〜93は特にこの位置に配置するように限定するものではないが、この位置に配置すると、SOI基板20と磁石91〜93との距離が近いためにSOI基板20上の磁束密度を大きくすることができる。
【0034】
また、これらの磁石91〜93はSOI基板20の中央部分を中心とし、SOI基板20に平行な面内で同心円状になるように配置され、各々の磁石91〜93が独立して磁場の強度(磁束密度)を変化できるようになっている。具体的には、中央に円柱状の磁石91を配置し、この磁石91を中心として円筒状の径の異なる2つの磁石92、93が配置されている。一般に、SOI基板における帯電はSOI基板の中央部分と周辺部分で異なることが多いため、磁石91〜93をこのように配置することにより、各々の磁石91〜93から異なる磁束密度を発生させ、SOI基板20の中央部分と周辺部分で磁束密度を変えることができる。また、本実施形態では、磁石91〜93として電磁石を用いている。
【0035】
また、処理室2の下部には、排気管11が接続されている。この排気管11を通じて、処理室2内を真空ポンプ等の真空引き手段12によって減圧できるようになっている。このような構成により、ガス供給源8からガスを供給した状態で、処理室2内を例えば1.33Pa〜133Pa(10mTorr〜1Torr)程度の真空度に保持できるようになっている。
【0036】
このように構成されたドライエッチング装置を用い、以下のようにしてドライエッチングを行う。ドライエッチングは、エッチング工程と帯電分布制御工程とを交互に繰り返すことにより行われる。
【0037】
〔エッチング工程〕
まず、処理室2内に各種ガスの供給源8からエッチングガスを導入する。このとき、マスフローコントローラ8bによって各ガスの流量を制御する。また、真空引き手段12によって処理室2内のガス圧力を所望の値に設定する。
【0038】
また、磁石91〜93を作動させ、上部電極4と下部電極3との間においてSOI基板20に平行な面内に磁束密度の分布を設ける。この磁束密度の分布は、SOI基板20に帯電される電荷の分布(チャージアップの分布)に基づいて決定され、本実施形態では、SOI基板20における中央部分(以下、単に基板中央部という)とSOI基板における周辺部分(以下、単に基板周辺部という)とのチャージアップ分布が異なるため、以下のような磁束密度分布にする。
【0039】
SOI基板20に平行な面内のうち、基板中央部に対向する部分における電極間の磁束密度(以下、単に基板中央部の磁束密度という)が、基板周辺部に対向する部分における電極間の磁束密度(以下、単に基板周辺部の磁束密度という)よりも大きくなるようにする。具体的には、各々の磁石91〜93を独立して同心円状に配置しているため、中央の磁石91の磁場の強さをその他の磁石92、93よりも強くすれば良い。このとき、電極間のうち特にSOI基板20上において、基板中央部と基板周辺部との磁束密度の差が大きくなるようにすると望ましい。
【0040】
そして、高周波電源5より例えば13.56MHzの高周波電力を下部電極3に印加し、RFパワーが例えば2.5kWとなるようにする。これにより、上部電極4と下部電極3との間にプラズマが発生し、プラズマによって各種ガスがイオンやラジカルに分解され、SOI基板20の酸化膜20cがドライエッチングされる。このようなエッチング工程を数分程度行う。
【0041】
一般に、磁場中のプラズマは磁束密度が大きいほどプラズマの密度が高くなるり、プラズマの密度が高いほどプラズマ中のイオンやラジカルの量が多くなる。また、基板に帯電される電荷の量は、プラズマ中のイオンが基板に到達する量とプラズマへ電荷が逃げる量とのバランスで決定される。
【0042】
このエッチング工程では、基板中央部の磁束密度を基板周辺部の磁束密度よりも大きくしているため、基板中央部におけるイオンやラジカルの発生量が多くなり、基板中央部におけるエッチングレートが大きくなる。しかし、時間の経過とともに、イオンがSOI基板20に到達するのべ量が増加するためチャージアップが進行し、特に基板中央部は電荷が逃げ難いため、基板中央部におけるチャージアップが増加し、基板中央部におけるエッチングレートが遅くなる。そこで、このようなチャージアップの分布を制御して均一化(解消)するために、次の帯電分布制御工程を行う。
【0043】
〔帯電分布制御工程〕
この工程では、エッチング工程における磁束密度の分布のみを変化させる。この工程における分布も、SOI基板20に帯電されるチャージアップの分布に基づいて決定され、上記エッチング工程で基板中央部におけるチャージアップが増加しているため、基板中央部の磁束密度が基板周辺部の磁束密度よりも小さくなるようにする。具体的には、中央の磁石91の磁場の強さをその他の磁石92、93よりも弱くすれば良い。このとき、エッチング工程と同様に、電極間のうち特にSOI基板20上において、基板中央部と基板周辺部との磁束密度の差が大きくなるようにすると望ましい。このような帯電分布制御工程を数分程度行う。
【0044】
このように、エッチング工程の磁場分布と逆に基板中央部の磁束密度を小さくすることにより、基板中央部におけるプラズマ密度が小さくなりプラズマ中のイオンの量が少なくなる。その結果、基板中央部においてSOI基板20に到達するイオンの量が減少し、エッチング工程において基板中央部で増加したチャージアップを減少させることができる。
【0045】
なお、この帯電分布制御工程は、チャージアップの分布を制御することを主目的とするものであり、ドライエッチングも行われている。
【0046】
この後、上記エッチング工程と帯電分布制御工程を交互に繰り返し、チャージアップの分布を均一化させながら、酸化膜20cが除去されるまでドライエッチングを行う。これにより、図2(b)に示すように、活性層20aに形成された可動電極や固定電極からなる構造体がリリースされ、半導体力学量センサが製造される。
【0047】
このように、エッチング工程と帯電分布制御工程を交互に行うことにより、SOI基板20の面内におけるエッチングレート均一性を向上させ、エッチングレートのばらつきが非常に小さいドライエッチングを行うことができる。このため、可動電極や固定電極の間隔が均一となり、良好な特性の半導体力学量センサを製造することができる。
【0048】
また、帯電分布制御工程においては、基板中央部の磁束密度を小さくしプラズマ密度を小さくすることによりチャージアップの分布を制御しているが、プラズマ密度を小さくすることによりラジカルの発生量も低下し、基板中央部におけるエッチングレートが低下してしまう可能性がある。しかし、エッチング工程において、基板中央部におけるプラズマ密度を大きくするようにしているため、基板中央部におけるラジカルの発生量を増加させ、チャージアップが進行するまでのエッチングレートを高めるようにしているため、好適にエッチングレートを確保することができる。
【0049】
また、磁石91〜93としては電磁石を用いているため、上述のようにエッチング工程におけるエッチングに適した磁場と、帯電分布制御工程における帯電分布を制御するのに適した磁場を交互に容易に発生させることができる。
【0050】
(他の実施形態)
上記第1実施形態では常に磁場を印加しているが、エッチング工程または帯電分布制御工程の一方において磁場を印加する方法を採用してもよい。
【0051】
例えば、まず、磁場を印加せずにエッチング工程を行う。これにより、電荷の逃げ難い基板中央部におけるチャージアップが特に増大する。その後、帯電分布制御工程において、基板中央部の磁束密度が基板周辺部の磁束密度よりも小さくなるように磁場を印加することにより、基板中央部において増大したチャージアップが減少するようにチャージアップ分布を制御する。そして必要に応じて、この様なエッチング工程と帯電分布制御工程を繰り返して、SOI基板のエッチングを行う。
【0052】
また、他の方法としては、まず、基板中央部の磁束密度が基板周辺部の磁束密度よりも大きくなるように磁場を印加した状態でエッチング工程を行う。これにより、始めは基板中央部のエッチングレートが大きいが、次第に基板中央部におけるチャージアップが大きくなり、基板中央部におけるエッチングレートが小さくなる。その後、帯電分布制御工程において磁場の印加を停止することにより、相対的に基板中央部の磁束密度が低下するため、チャージアップの分布を制御することができる。
【0053】
このように、磁場を印加しない工程を含めても、チャージアップの分布を制御してSOI基板面内におけるエッチングレートの均一性を向上させることができる。なお、磁場を印加していない状態から印加した場合、あるいは磁場を印加した状態から印加を停止する場合も、磁束密度が変化したものとする。
【0054】
また、上記第1実施形態及び上述の磁場を印加しない工程を含めたエッチング方法では、基板中央部においてチャージアップが増加する場合においてエッチングレートの均一化を図るものであったが、この場合に限らず、チャージアップがどのような分布になるものについても、そのチャージアップの分布に基づいて磁束密度の分布を決定することにより、チャージアップの分布を制御し、エッチングレートの均一性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係るドライエッチングの実施に用いるエッチング装置の断面構成を示す図である。
【図2】ドライエッチングが施されるSOI基板の断面構成を示す図である。
【図3】従来のドライエッチングの概略を示した図である。
【図4】図3に示すドライエッチングを行ったときの様子を等価回路で示した図である。
【符号の説明】
1…エッチング装置、2…処理室、3…下部電極、4…上部電極、
5…高周波電源、6…ガス導入口、7…ガス導入管、8…ガスの供給源、
8a…ガス導入管、8b…マスフローコントローラ、11…排気管、
12…真空引き手段、20…SOI基板、20a…活性層、20b…支持層、
20c…酸化膜、20d…開口部、20e…トレンチ、91〜93…磁石。
Claims (8)
- 平行平板電極(3、4)が設けられた処理室(2)内の前記平行平板電極間のうちの一方の電極(3)上に絶縁膜(20c)が備えられた基板(20)を配置し、前記処理室内にエッチングガスを導入すると共に前記平行平板電極に高周波電力を印加することにより前記絶縁膜を除去するドライエッチング方法において、
前記処理室内にエッチングガスを導入すると共に前記高周波電力を制御し、前記絶縁膜をドライエッチングするエッチング工程と、
前記ドライエッチング時に前記基板に帯電された電荷の分布を制御する帯電分布制御工程とを含み、
前記エッチング工程と前記帯電分布制御工程とを交互に繰り返し、
前記エッチング工程と前記帯電分布制御工程とでは、前記平行平板電極間の前記基板に平行な面内の磁束密度の分布を変化させることを特徴とするドライエッチング方法。 - 前記エッチング工程と前記帯電分布制御工程とにおける磁束密度の分布を、ドライエッチング時に前記基板に帯電される電荷の分布に基づいて決定することを特徴とする請求項1に記載のドライエッチング方法 。
- 前記エッチング工程では、前記基板に平行な面内のうち前記基板の中央部分に対向する部分の磁束密度が、前記基板に平行な面内のうち前記基板の周辺部分に対向する部分の磁束密度よりも大きくなるようにし、
前記帯電分布制御工程では、前記基板に平行な面内のうち前記基板の中央部分に対向する部分の磁束密度が、前記基板に平行な面内のうち前記基板の周辺部分に対向する部分の磁束密度よりも小さくなるようにすることを特徴とする請求項1または2に記載のドライエッチング方法。 - 前記基板の中央部分を中心として、前記基板に平行な面内で同心円状になるように磁石を配置し、該磁石によって前記エッチング工程と前記帯電分布制御工程における前記磁束密度の分布を制御することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載のドライエッチング方法。
- 前記磁石を、前記平行平板電極のうちの前記基板が配置された側の電極に対して前記基板とは反対側に配置することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つに記載のドライエッチング方法。
- 絶縁膜(20c)の一面側に活性層(20a)が配置されていると共に、他面側に支持層(20b)が配置されたSOI基板(20)を用意した後、
前記活性層を選択的にエッチングすることによりトレンチ(20e)を形成し、力学量測定のための可動電極と固定電極とを有した構造体を構成する工程と、
前記支持層を選択的にエッチングすることにより前記絶縁膜に達する開口部(20d)を形成する工程と、
前記絶縁膜をドライエッチングし、前記構造体をリリースする工程と、を含んでなる半導体力学量センサの製造方法において、
前記絶縁膜をドライエッチングする際に、請求項1乃至5のいずれか1つに記載のドライエッチング方法を適用することを特徴とする半導体力学量センサの製造方法。 - 平行平板電極(3、4)と、該平行平板電極が設けられた処理室(2)とを有し、
前記処理室内の前記平行平板電極間のうちの一方の電極(3)における他方の電極(4)側に石英板(3a)を配置し、前記石英板(3a)のうち前記一方の電極(3)と反対側に、絶縁膜(20c)が備えられた基板(20)を配置し、前記処理室内にエッチングガスを導入すると共に前記平行平板電極に高周波電力を印加することで、前記絶縁膜を除去するようになっているドライエッチング装置において、
前記処理室内に、前記絶縁膜をドライエッチングする際に、該ドライエッチングによって前記基板に帯電される電荷の分布を制御するための磁石(91〜93)が配置されていることを特徴とするドライエッチング装置。 - 前記磁石は、前記基板の中央部分を中心として、前記基板に平行な面内で同心円状になるように配置されていることを特徴とする請求項7に記載のドライエッチング装置。
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JP2000126162A JP4273628B2 (ja) | 2000-04-26 | 2000-04-26 | ドライエッチング方法及びこの方法に用いるドライエッチング装置 |
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