JP4273193B2 - 両面密着シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体装置の製造工程において、ウェハの裏面研削時のウェハ表面の回路パターン保護や、ウェハのダイシング(切断)時のウェハの固定等に使用される両面密着シートに関する。プリンターヘッドや、ガラス/エポキシ基板、ガラス、セラミックス等の硬質で脆い材料を小さなチップに切断するには、これらを硬質材料上に固定して切断が行なわれる。この際、被切断物を硬質材料上に固定するために使用される両面密着シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
IC、LSI等の半導体装置の製造工程においては、回路パターン形成後のウェハは、通常、その厚さを薄くするため、研削、エッチング等の処理が施される。更に、上記処理後のウェハはダイシングされてチップとなる。これらの工程では、通常種々の目的で粘着シートが使用される。即ち、研削等の際には、ウェハ表面の回路パターンを保護する目的で回路パターン面に粘着シートを貼着する。また、ダイシングの際には、ウェハ切断時にウェハを固定し、形成されるチップの飛散を防止する目的で、当該ウェハを粘着シートに貼着させて保持する。
【0003】
この粘着シートにおける粘着剤層の性能は、使用中にはウェハを充分に固定するために粘着力が強く、使用後にはウェハ(チップ)をシートから容易に剥離させるために粘着力が弱くなることが必要である。このため、近年、前記粘着シートとして、基材上に放射線の照射により重合反応を生じて硬化する粘着剤層が積層された放射線硬化性粘着シートが使用されている。
【0004】
前記放射線硬化性粘着シートは、通常、以下の如く使用される。即ち、まずウェハ等の加工される物品に当該シートを貼着し、この状態で物品に対して研削、ダイシング等の加工を施す。次いで、前記粘着シートに対して放射線を照射することによって、基材上の粘着剤層を硬化させて粘着性を失わせ、前記粘着シート上より加工後の物品を剥離する。
【0005】
このように、前記放射線硬化性粘着シートにおいて、その粘着剤層は放射線照射し硬化させた後では表面の粘着性が殆ど失われるように設計されている一方、放射線照射前では被着体に対する粘着性が非常に高くなるように設計されている。従って、当該粘着シートでは、その使用前後において所望の強さの粘着力が夫々達成されている。
【0006】
しかしながら、前記放射線硬化性粘着テープでは、放射線の照射前の粘着剤層表面において、高い粘着性に起因してべたつきが生じている。このため、誤って前記粘着シートを目的の被着体以外の物体に付着させてしまった場合、放射線の照射を行わずに剥ぎ取ろうとすると、前記物体に粘着剤物質の糊残りが起こる。特に、前記粘着シートを被着体である半導体ウェハ、セラミックス等に貼着する場合、当該粘着シートにおける粘着剤層の表面積は上記被着体の被着部分の面積に対してかなり大きいため、シート貼着に使用される治具、例えば、シートホルダ、被着体設置台、シート貼着用のゴムローラ、これらの自動化装置等の一部に前記粘着シートが貼着し、この部分に糊残りが生ずることがある。通常、このような糊残りによって被着体が汚染されないように、前記シート貼着用治具、装置の設計は配慮されている。しかし、例えば、この糊残り部分に前記粘着テープが再度付着した場合、該粘着シートは強固に貼着してしまうため、連続した粘着シートの貼着作業は次第に困難になる。
【0007】
この他、上述したような不要な貼着が発生した部分を剥離しようとすると、目的の被着体より粘着シートの一部が剥れたり、また粘着シートに伸び等の歪みを与えたりすることがあるため、該粘着シートの目的が充分に達成されなくなる。また、前記放射線硬化性粘着シートは、光を照射して硬化させたときに強い臭気を発生し、作業者に不快な気持ちを抱かせたり、健康衛生の面でも決して好ましいものとはいえなかった。
【0008】
近年、ICカードの普及が進み、さらなる薄型化が望まれている。このため、従来は厚さが350μm程度であった半導体チップを、厚さ50〜100μmあるいはそれ以下まで薄くする必要が生じている。従来、半導体チップを製造する工程で、用いられる粘着シートの基材は、軟質基材が用いられていた。しかし、軟質基材を用いた粘着シートでは、貼付時にかける張力が残留応力として蓄積してしまう。ウエハが大口径の場合や極薄に研削すると、ウエハの強度よりも粘着シートの残留応力が優り、この残留応力を解消しようとする力によってウエハに反りが発生してしまっていた。また研削後にはウエハが脆いため、軟質基材では搬送時にウエハを破壊してしまうことがあった。このため、ガラス板あるいはアクリル板等の硬質材料に両面粘着シートを介してウエハを固定し、これを研削する方法が検討されている。
【0009】
また、プリンターヘッドや、ガラス/エポキシ基板、ガラス、セラミックス等の硬質で脆い材料を小さなチップに切断するには、これらを硬質材料上に固定して切断が行なわれる。この際、被切断物を硬質材料上に固定するためには、両面粘着シートが用いられている。しかし、従来の両面粘着シートで硬質材料同士を貼り合わせた物体を剥離することは極めて困難であり、ウエハなどの脆い材料を使用した場合には、破壊を免れることは不可能であった。
【0010】
このため、半導体ウエハや、上記した各種の被切断物を、硬質材料上に固定するのに好適な両面粘着シートまたは両面密着シートの出現が要望されている。また半導体ウエハの加工時には、裏面研削においては表面保護シート、ダイシングにおいてはウエハを固定するための粘着シートがそれぞれ必要であり、工程管理上煩雑であった。しかもウエハは脆いため、このような工程間の搬送時に破損することがある。
【0011】
したがって、このようなウエハの裏面研削、ダイシングおよび搬送の一連の工程を同一形態で行え、工程管理が容易であり、しかも破損防止が可能なプロセスの出現が要望されている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題点を解決するもので、半導体の製造工程で被着体以外に対する不要な粘着が防止され、被着体の貼着および貼着後の作業性を向上させ、光照射による粘着層の硬化時に発生する臭気の問題がない両面密着シートを提供するものである。さらに、薄膜のウエハやセラミックス等の被切断物を硬質材料上に固定し、精度良く効率的に加工することができる両面密着シートを提供するものである。しかも、本発明の両面密着シートは、ウエハの裏面研削とダイシングを同一形態で行うことが可能なプロセスに好適に使用することを可能とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の両面密着シートは、基材フィルムの両面に密着層が設けられたものであって、密着層が、両末端にのみビニル基を有する直鎖状ポリオルガノシロキサンからなるシリコーンと、両末端および側鎖にビニル基を有する直鎖状ポリオルガノシロキサンからなるシリコーンとから選ばれる少なくとも1種のシリコーンを架橋させてなるものからなる密着層であり、下記の要件を満足することを特徴とする。
A:密着シートの密着層面とSUS板研磨品との剪断力は、1.0N/cm 2 以上である。
(SUS板研磨品は、JIS−B0601−1994に基づく測定で、
表面粗さRa:長尺方向0.13μm、短尺方向0.18μm、
表面粗さRy:長尺方向1.0μm、短尺方向1.6μm、)
B:密着シートと厚み6μmのPETフィルムとを貼り合わせたものの剥離力は、10mN/12.7mm未満である。(剥離力の測定方法は、本願明細書の記載に基づく方法で測定したものである。)
さらに前記密着層の厚みが1.1〜100μmであることを特徴とする両面密着シートである。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明でいう両面密着シートとは、両面密着シートの密着層面と被着体とを張り合わせたものを、張り合わせた面と平行に両面密着シートをずらす力(以下剪断力と呼ぶ)は、高い値であるにもかかわらず(具体的には、1.0N/cm2以上の剪断力をもつもの)、両面密着シートを被着体から剥がす時の力は(以下剥離力と呼ぶ)10mN/12.7mm未満でほとんど0に近いものを指す。従って、一般に呼ばれる粘着シートのように、被着体に対して剪断力が高いと同時に剥離力もそこそこあるもの(具体的には、100mN/12.7mm以上の剥離力をもつ)粘着シートとは異なるものである。
【0015】
本発明の密着シートは、基材フィルムの片面に、以下に説明する密着剤組成物から構成される密着層が積層される。
本発明に係るシリコーンの1形態としては、両末端にのみビニル基を有する直鎖状ポリオルガノシロキサンとは下記一般式(化1)で表せられる化合物である。
【0016】
【化1】
【0017】
(式中Rは下記有機基、mは整数を表す)
このビニル基以外のケイ素原子に結合した有機基(R)は異種でも同種でもよいが、具体例としてはメチル基、エチル基、プロピル基などのアルキル基、フェニル基、トリル基、などのアリール基、またはこれらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部または全部をハロゲン原子、シアノ基などで置換した同種または異種の非置換または置換の脂肪族不飽和基を除く1価炭化水素基で好ましくはその少なくとも50モル%がメチル基であるものなどが挙げられるが、このジオルガノポリシロキサンは単独でも2種以上の混合物であってもよい。
【0018】
本発明に係るもう1つのシリコーンの形態としては、両末端および側鎖にビニル基を有する直鎖状ポリオルガノシロキサンからなるシリコーンである。このシリコーンは、上記一般式(化1)中のRの一部がビニル基である化合物である。
【0019】
また、本発明に係るシリコーンの形態としては、剥離剤として特開平10−120992に開示されている、少なくとも両末端に炭素数が4以上のアルケニル基を有する直鎖状ポリオルガノシロキサンも入るものである。
【0020】
ここで架橋反応に用いる架橋剤は公知のものでよい。架橋剤の例として、オルガノハイドロジェンポリシロキサンが挙げられる。オルガノハイドロジェンポリシロキサンは1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも3個有するものであるが、実用上からは分子中に2個の≡SiH結合を有するものをその全量の50重量%までとし、残余を分子中に少なくとも3個の≡SiH結合を含むものとすることがよい。
【0021】
架橋反応に用いる白金系触媒は公知のものでよく、これには塩化第一白金酸、塩化第二白金酸などの塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール化合物、アルデヒド化合物あるいは塩化白金酸と各種オレフィンとの鎖塩などがあげられる。
【0022】
本発明の係るシリコーンの市販品の形状は、無溶剤型、溶剤型、エマルション型があるが、いずれの型も使用できる。中でも、無溶剤型は、溶剤を使用しないため、安全性、衛生性、大気汚染の面で非常に利点がある。また、密着層の塗布厚みは、1.1μmを超えることが必要であり、場合によっては、数10μmの厚みに設けることから、溶剤型シリコーンや、エマルション型シリコーンでは、塗工時の溶媒の乾燥に多大なエネルギーがかかり、不経済となるので、本発明に使用するシリコーンは、無溶剤型のシリコーンを用いるのがよい。
【0023】
密着層の厚みは、1.1〜100μmが好ましい。さらに好ましくは、1.1〜50μmであるとよい。密着層の厚みが、1.1μm未満であると、被着体に密着しにくくなり、被着体に対する密着シートの剪断力が1.0N/cm2未満となり、半導体ウエハの研削、ダンシング時にずれが発生する可能性が出てくる。密着層の厚みが、100μmを超えると、密着剤の使用量が多くなり、コスト上不経済となる。
【0024】
尚、同じ材質の被着体であっても、被着体の表面粗さによっては、密着層の厚みを変える必要がある。すなわち、被着体の表面粗さがガラス、アクリル樹脂板のような鏡面状態(JIS−0601−1994に基づいて測定した表面平均粗さRaが0.01μm以下)にあるものについては、密着層の厚みは、小さくても被着体とよく密着し、密着層としての前記機能を発揮するが、被着体の表面粗さが鏡面状態にないもの(例えば前記JISに基づいて測定した表面平均粗さRaが0.1〜0.2μm程度)については、密着層の厚みの下限値は、前記鏡面状態の被着体に要する密着層の厚みの下限値よりは、高くする必要がある。
【0025】
これは、密着力が、非常に近接した合い対する固体分子間におけるファンデルワールス力に起因する力であるところからきている。(「摩擦の科学」裳華房発行、56〜65頁や「接着の基礎理論」高分子刊行会発刊、116〜120頁による。)ファンデルワールス力の届く分子間の距離は、約0.05μmと考えられている。また、ファンデルワールス力は、合い対する物質の接触面における互いの分子間の距離の7乗に反比例するものである。従って、図1に示すように、被着体の表面粗さが大きく、密着層の厚みが小さい場合には、密着シートを被着体に合わせて加圧しても、密着層は、被着体の表面の凸凹の凹部にくい込んで密着しにくくなり、おのずと被着体と密着層の間に隙間が発生し、ファンデルワールス力は、ほとんど発生しなくなる。密着層の厚みが被着体の凸凹に対して、充分厚みがある場合であっても密着層が硬い材質であって、密着層が、被着体の凸凹に沿うことができなければ、同じようにファンデルワールス力は、発生しない。図2に示すように、被着体の表面粗さが大きくても密着層の厚みが充分厚く、密着層が柔軟な材質の場合には、密着層と被着体とを圧着することにより、被着体と密着層間の間隙は、極めて小さくなり、ファンデルワールス力が発生することになる。
【0026】
以上の説明の通り、本発明の目的にかなう密着層の性状としては、柔軟性があって、密着層の表面は、0.01μm長さ単位での塑性変形が可能であり、被着体の表面の凸凹に対しても密着層の面が凸凹に沿い、ファンデルワールス力が発生することが求められる。さらに剥離の際には、小さい剥離力で、容易に剥離できることが求められる。ゴムのような柔軟性が必要であってもシリコーンゴムのような柔らかいもの(具体的には、JIS K 6301−1975の試験機A形で測定した硬度が50以下程度のゴムをいう。)を密着層として形成された両面密着シートでは、ウエハの加工時に密着層自体が層の平行方向に振動し、正確な加工がしにくいものとなって本発明の用途の両面密着シートとしては適さない。
【0027】
本発明者らは、鋭意研究の結果、前記の密着層の性状にかなう組成物としては、数千種類(信越化学工業株式会社のホームページでは、「4800種以上のシリコーン製品を製造、販売しています。」と記載されている。)と言われる多くの品種があるシリコーンの中でも、シリコーン両末端にのみビニル基を有する直鎖状ポリオルガノシロキサンからなるシリコーンと、両末端および側鎖にビニル基を有する直鎖状ポリオルガノシロキサンからなるシリコーンとから選ばれる少なくとも1種のシリコーンを架橋させてなるものが、最適な組成物であることをつきとめたのである。
【0028】
基材フィルムの両面に設ける密着層の各々の厚みは、前記の説明のように、2つの密着層に密着するそれぞれの被着体の表面粗さによって設定すればよいもので、同じ厚みであってもよいし、異なる厚みであっても良い。
【0029】
尚、本発明に係る2種の形態のシリコーンは、一般工業製品では、粘着シートに重ね合わせる剥離紙用の剥離剤として使用されるものである。例えば、特開平10−140099には、本発明に係る2種の形態のシリコーンを剥離紙用の剥離剤として使用されていることが記載されている。しかしながら、剥離紙用シリコーンの塗布量は、「シリコーンハンドブック」(日刊工業発刊)の519頁で記載されているように、表面固形分で0.1〜1.0g/m2(厚さ0.1〜1.0μm)程度と非常に少ないものである。従って、本発明に係る2種の形態のシリコーンを剥離剤として基材の両面に塗布した剥離紙ないし剥離シートは、本発明の両面密着シートとして使用することは、塗布厚みが少ないことから使用できないものである。
本発明に係る基材フィルムは、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ウレタン、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニルなどからなる1層または多層構造のフィルムを使用することができる。基材フィルムの厚みは、通常5〜300μmであり、好ましくは10〜200μmである。
【0030】
基材フィルムの表面に密着層との密着性を向上させるため、コロナ放電処理、プラズマ処理、ブラスト処理、ケミカルエッチング処理、プライマー層塗工等を施してもよい。
本発明に係るシリコーンの塗工方法としては、3本オフセットグラビアコーターや5本ロールコーターに代表される多段ロールコーター、ダイレクトグラビアコーター、バーコーター、エアナイフコーター等が適宜使用される。
【0031】
本発明の両面密着シートを半導体ウエハ製造工程のウエハと台座の間に介して圧着したものは、台座面と密着層面およびウエハ面と密着層面とは、強い密着力が働く。両面密着シートと被着体とを密着面に平行にずらす剪断力は、1.0N/cm2以上あるため、裏面の研削加工時には、ウエハは外れることはない。またウエハのダイシング工程においても、両面密着シートを介して加工すれば、ウエハの両面密着シートからの剥離等による欠けやずれのよる形状不良が発生しない。
【0032】
前記加工後、切断形成されたチップは、両面密着シートの基材フィルム側よりニードルで突き上げてピックアップし、ダイパット上に固定させるが、本発明の両面密着シートは、ウエハと両面密着シートとの剥離力が10mN/12.7mm以下の極小値のためチップの破損がなくピックアップすることが出来る。
【0033】
また、本発明の両面密着シートは、従来の放射線硬化性粘着シートのように放射線照射時に強い臭気を発生することのないもので、衛生管理上好ましいものである。
【0034】
ウエハを厚さ50〜100μmあるいはそれ以下まで薄く加工する場合、従来の粘着シートでは、粘着剤層は、柔らかいためウエハを粘着剤層面とのずれはないものの、ウエハの加工時に粘着剤層が僅かに粘着面と平行に動くことによる加工精度が下がる問題が発生する可能性があったが、本発明の両面密着シートの密着層は、シリコーンが架橋されたもので、粘着剤層にくらべ硬い層で、上記の問題が発生することはない。
【0035】
ウエハの研削工程で使用する両面密着シートと、ダイシング工程で使用する両面密着シートは、連続の工程のなかで、同一のものを引き続いて使用してもよいし、別々に用意して使用しても良い。これは、製造工程の内容の違いによって、任意に選択される。
【0036】
プリンターヘッドや、ガラス/エポキシ基板、ガラス、セラミックス等の硬質で脆い材料を小さなチップに切断するには、これらを厚さ0.1〜1.0mm程度のガラス板あるいはアクリル板等の硬質材料上に固定して切断が行なわれる。この際、被切断物を硬質材料上に固定するためには、本発明の両面密着シートを用いることにより、切断を、正確に行うことができ、切断後の切断物は、簡単な操作により、容易に剥離することが出来る。
【0037】
【実施例】
本発明を下記実施例によってさらに具体的に説明するが、勿論本発明の範囲はこれらによって限定されるものではない。各実施例中「部」は特に断らない限り、「重量部」を示すものである。
実施例1〜15
表1〜3の成分を厚み100μmのPETフィルムの両面に同一の厚みで、表中の塗布厚みの密着層を設けた後、オーブンにて150℃、100秒で架橋させて両面密着シートを作製した。
表1 (部)
【0038】
表2 (部)
【0039】
表3 (部)
【0040】
実施例1〜15の両面密着シートを以下の方法で、被着体として、ガラス板、アクリル板、SUS304板に対する剪断力と剥離力を測定した。被着体のSUS板は、SUS板の表面を研磨して、2つのレベルの表面粗さのSUS板を用いた。SUS板の表面粗さ(Ra)(Ry)は、JIS−B0601−1994に基づき、表面粗さ測定器(株式会社小坂研究所製サーフコーダーSE3500)を用いて測定した。測定器の触針の半径は、2.0μmで、荷重は0.3mNである。被着体の表面粗さは、表4の通りである。被着体のサイズは、40mm×150mm×2.0mm(厚み)のものを使用した。
【0041】
表4
【0042】
剪断力の測定方法
各両面密着シートサンプルを1cm角の大きさにカットする。図3のように測定台上に、被着体を載せ、両面密着シートの密着層面と重ね合わせる。両面密着シートと上質紙は、両面接着シートを介して貼り合わせる。プレス棒にて、両面密着シート部を13.1MPaの圧力で10秒間圧着させる。圧着を解放直後より、上質紙(幅12mm)をつかんで引張りをスタートする。引張り速度は、180mm/minである。引張り時の最大の力を読む。各サンプル毎に5回測定した値の平均値を記録した。
剥離力の測定方法
各両面密着シートサンプルを12.7mm×50mmにカットする。厚み6μmのPETフィルムを12.7mm×130mmにカットして、両面密着シートの密着面を合わせる。JIS Z 0237に記載された手動式圧着装置を用いて、サンプルの上から毎分約300mmの速さで1往復させて圧着する。圧着してから40分間放置後、厚さ6μmのPETフィルムの遊びの部分を180度折り返し、図4のように測定台にサンプルを置き、毎分300mmの速さで引き剥がす。側長50mmの間の剥離力の平均値を読む。各サンプル毎に2回測定した値の平均値を記録した。
【0043】
尚、PETフィルムを引き剥がす途中で、PETフィルム自身で、剥離帯電し、180度折り返したPETフィルムと、密着層と密着しているPETフィルムが引っ付く現象が生じる。このPETフィルムどうしが引っ付くと剥離力値が上がって、正確な測定ができない。そこで、携帯除電器(株式会社石山製作所)を使って引き剥がしているPETフィルムに向けて除電処理を行いながら引き剥がした。
【0044】
JIS K 6854で規定される接着剤のはく離接着強さ試験方法は、被着体SUSに対して両面密着シートを貼りつけ、両面密着シートを引き剥がして測定するものである。ところが、本発明の両面密着シートの剥離力は、極小値のため前記JISの方法でSUS板に密着させた両面密着シートの遊びの部分を180度折り返ししようとすると基材フィルムの腰の強さで一瞬にして両面密着シート全体が剥離してしまい、測定することができなかった。よって、上記の方法のように、両面密着シートを剥離する方法をとらないで、便宜上、フィルムの腰の弱い厚み6μmのPETフィルムを両面密着シートに密着させて剥離する方法をとった。
測定結果を表5に示す。
【0045】
表5
【0046】
剪断力は、1.0N/cm2以上が実用範囲である。
【0047】
【発明の効果】
表5の通り、実施例1〜15の両面密着シートは、各被着体に対して、いずれも剪断力は、1.0N/cm2以上であり、剥離力は、2.1mN/12.7mm以下で極めて小さい力で剥離が可能なものである。したがって、本発明の両面密着シートを半導体の製造工程で、使用すると被着体以外に対する不要な粘着が防止され、被着体の貼着および貼着後の作業性を向上させ、光照射による粘着層の硬化時に発生する臭気の問題がない両面密着シートを提供するものである。さらに、薄膜のウエハやセラミックス等の被切断物を硬質材料上に固定し、精度良く効率的に加工することができる両面密着シートを提供するものである。しかも、本発明の両面密着シートは、ウエハの裏面研削とダイシングを同一形態で行うことが可能なプロセスに好適に使用することを可能とするものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】被着体の表面粗さに対して密着層の厚みが薄い密着シートを密着させた図
【図2】被着体の表面粗さに対して密着層の厚みが充分厚い密着シートを密着させた図
【図3】剪断力の測定方法の説明図である。
【図4】剥離力の測定方法の説明図である。
【符号の説明】
1:両面密着シート
2:密着層
3:基材フィルム
4:被着体
5:両面接着テープ
6:測定台
7:上質紙
8:プレス棒
9:PETフィルム(6μm厚)
Claims (2)
- 基材フィルムの両面に密着層が設けられた両面密着シートにおいて、該密着層が、両末端にのみビニル基を有する直鎖状ポリオルガノシロキサンからなるシリコーンと、両末端および側鎖にビニル基を有する直鎖状ポリオルガノシロキサンからなるシリコーンとから選ばれる少なくとも1種のシリコーンを架橋させてなるものからなる密着層であり、下記の要件を満足することを特徴とする両面密着シート。
A:密着シートの密着層面とSUS板研磨品との剪断力は、1.0N/cm 2 以上である。
(SUS板研磨品は、JIS−B0601−1994に基づく測定で、
表面粗さRa:長尺方向0.13μm、短尺方向0.18μm、
表面粗さRy:長尺方向1.0μm、短尺方向1.6μm、)
B:密着シートと厚み6μmのPETフィルムとを貼り合わせたものの剥離力は、10mN/12.7mm未満である。(剥離力の測定方法は、本願明細書の記載に基づく方法で測定したものである。) - 前記密着層の厚みが1.1〜100μmであることを特徴とする請求項1記載の両面密着シート。
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