JP4269383B2 - 金属細線及びその製造方法 - Google Patents

金属細線及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4269383B2
JP4269383B2 JP00804199A JP804199A JP4269383B2 JP 4269383 B2 JP4269383 B2 JP 4269383B2 JP 00804199 A JP00804199 A JP 00804199A JP 804199 A JP804199 A JP 804199A JP 4269383 B2 JP4269383 B2 JP 4269383B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
carbon
carbon tube
diameter
fine
nickel
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP00804199A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2000204471A (ja
Inventor
彰 富田
隆 京谷
クマール バーベンドラ プラドハン
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sony Corp filed Critical Sony Corp
Priority to JP00804199A priority Critical patent/JP4269383B2/ja
Publication of JP2000204471A publication Critical patent/JP2000204471A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4269383B2 publication Critical patent/JP4269383B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Chemical Vapour Deposition (AREA)
  • Conductive Materials (AREA)
  • Non-Insulated Conductors (AREA)
  • Optical Modulation, Optical Deflection, Nonlinear Optics, Optical Demodulation, Optical Logic Elements (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Carbon And Carbon Compounds (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属細線及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
軸比が大きく、微細な金属細線は、その特殊な形状から、電気伝導性材料、量子細線素子、超高速電気素子、超高密度磁気記録媒体、非線形光学材料等、様々な分野での利用が期待されている。
【0003】
一方、このような金属細線と同様に、カーボン製の微細なチューブについても、その特殊な形状から種々の応用が期待されている。かかるカーボンチューブは、グラファイト電極のアーク放電や、気相熱分解法などにより製造されるが、直径等、サイズの非常に小さいものしか製造できない。また、直径の大きなカーボンチューブを製造するために、耐炎火ポリアクリロニトリル(以下、PANと称する。)系炭素繊維を加熱処理し、中空にしたカーボンチューブも知られている(「炭素」1992年155号307頁等)。
【0004】
そして、新たな特性付与を目的として、カーボンチューブ内に細線状の異物質を析出させ、当該異物質をカーボンチューブ内に内包する試みがなされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、かかるカーボンチューブを、アーク放電や気相熱分解法等により製造する場合、均一な直径を有するものが得られにくく、また、チューブの直径を大きくすることは困難である。さらに、この方法により製造されるカーボンチューブは、チューブの両端が閉じた状態で得られるため、酸化処理等により、カーボンチューブの両端又は一端を開放した後に、異物質を析出させる必要があった。
【0006】
また、耐炎火PAN系炭素繊維を加熱処理することによりカーボンチューブを製造する場合、PAN系炭素繊維自体の直径がミクロンオーダーであるため、得られるカーボンチューブも直径がミクロンオーダーのものしか得ることができず、さらに、得られるカーボンチューブも、節のあるものしか得られない。
【0007】
そして、上記異物質として金属をこのようなカーボンチューブ内に析出させ、金属製の細線素材が当該カーボンチューブ内に内包された金属細線を得ようとしても、上述したような方法では、カーボンチューブ内の全体に亘って金属を均一に析出させることが困難であり、得られる細線素材も、節や折れを有するものや、長軸長が短く非常に微細なものばかりであった。
【0008】
さらに、この金属細線を上述したような用途に用いる場合、上記細線素材の結晶構造がその特性に大きく影響してくると思われるが、均一な結晶構造をもつものは未だ得られていなかった。
【0009】
本発明はこのような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、長軸長が長く大きな軸比を有するとともに、均一な結晶構造を有する細線素材を用いた金属細線及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の金属細線は、長軸方向に略垂直な断面の直径が1nm〜100nmであり、上記断面の直径と長軸長との比が50以上である細線素材を用い、細線素材は、ニケロセンを用いて、化学的気相成長法により生成され、ニッケルからなり、当該ニッケルの(111)面が、長軸方向と略平行であり、カーボン製のチューブで覆われたものである。
【0011】
また、本発明の金属細線の製造方法は、略直線状の細孔を有する無機物質の細孔内壁に筒状のカーボンを形成する第1の工程と、1の工程で筒状に形成されたカーボンの内部に、ニケロセンを用いて、化学的気相成長法により、ニッケルを析出させる第2の工程とを少なくとも有し、長軸方向に略垂直な断面の直径が1nm〜100nmであり、断面の直径と長軸長との比が50以上であり、ニッケルからなり、当該ニッケルの(111)面が、長軸方向と略平行である細線素材をカーボン製のチューブで覆った金属細線を製造する。
【0012】
上述したような本発明に係る金属細線の製造方法では、ニケロセンを用いて、化学的気相成長法により、長軸方向に略垂直な断面の直径が1nm〜100nmであり、断面の直径と長軸長との比が50以上であり、ニッケルからなり、当該ニッケルの(111)面が、長軸方向と略平行である細線素材を、均一に安定して、筒状のカーボン製のチューブ内に析出させることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る金属細線及びその製造方法について説明する。
【0014】
本発明に係る金属細線は、長軸方向に略垂直な断面の直径が1nm〜100nmであり、上記断面の直径と長軸長との比が50以上とされた細線素材が用いられている。そして、この細線素材は、カーボンチューブに内包されている。このカーボンチューブは、本発明者等の発明に係る特開平8−151207号公報に示されるものである。
【0015】
すなわち、上記細線素材を内包するカーボンチューブは、直径が10nm〜1μm、長さが1μm〜100μmとされている。そして、このカーボンチューブは、図1(a)に示されるような、略直線状の細孔1を有する無機物質2を型枠として用いて作製される。
【0016】
上述したような、カーボンチューブの型枠となる略直線状の細孔1を有する無機物質2としては、各種金属の陽極酸化皮膜、ゼオライト、セピオライト等の粘土鉱物等が挙げられる。ゼオライトとしてはタイプLのものが好適である。上記の物質のうち特に好ましいものとしては、アルミニウムの陽極酸化皮膜等が挙げられる。アルミニウム陽極酸化皮膜の細孔の直径の制御は、常法に従って行えばよく、その条件は、例えば、高電圧(高電流密度)で行うほど細孔の直径は大きくなる。また、アルミニウム陽極酸化皮膜を形成するのに使用される電解液としては、酸性、アルカリ性のいずれの電解液でも差し支えない。酸性の電解液としては、主に、硫酸、シュウ酸、クロム酸、リン酸等が使用され、この順で細孔1の直径が増加する。
【0017】
そして、図1(b)に示すように、上記無機物質2の細孔1の内壁にカーボンを形成させることにより、細孔1の内部にカーボンチューブ3が形成される。無機物質2の細孔1の内壁にカーボンを形成させる方法としては、細孔1の内壁を有機化合物で被覆した後、加熱によって当該有機化合物を炭化させる方法が挙げられる。
【0018】
この場合、用いられる有機化合物としては、液化できることが必要であり、液化する方法としては、温度を上げることや、溶媒に溶解すること等が挙げられる。有機化合物を溶解する溶媒として具体的には、フルフリルアルコール、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、酢酸ビニル、これらの一部重合物、石炭や石油等のピッチ、アセナフチレン等が挙げられる。
【0019】
かかる有機化合物を上述の無機物質2と接触させ、無機物質2の細孔1に充填する。なお、無機物質2の細孔1に有機化合物を充填する際には、予め減圧しておくと細孔中に有機化合物が入りやすく好ましい。
【0020】
そして、有機化合物が充填された無機物質2を加熱して当該有機化合物を炭化することにより、細孔1の内壁にカーボンチューブ3が生成される。有機化合物を炭化する際の加熱温度は、有機化合物の炭化は生じるが、無機物質2が破壊されたり、無機物質2と有機化合物とが反応したりするおそれのない範囲で選択すればよく、例えば、無機物質2としてアルミニウム陽極酸化皮膜を用いる場合には、500℃〜1300℃が好ましく、ゼオライトやセピオライトを用いる場合には、500℃〜1000℃が好ましい。この範囲より温度が低すぎると、有機化合物の炭化が進行しにくい。
【0021】
また、無機物質2の細孔1の内壁にカーボンを形成させる他の方法として、気体状の炭化水素を気相炭化させて、化学的気相成長法(CVD:chemical vapor deposition)によって細孔1の内壁に炭素皮膜を堆積させる方法が挙げられる。
【0022】
この場合、カーボンチューブ3の型枠として用いる無機物質2としては、板状のもの、薄膜状のものであって、略直線状の細孔1が厚さ方向に連続し、当該細孔1の両端が外部に開放したものを用いることが好ましい。このような形状の無機物質2を用いることで、気体状の炭化水素を細孔1の内部に通しやすくできる。このような無機物質2としては、例えば「Anodisc」(ホワットマンペーパー社製、アルミニウム陽極酸化皮膜)等が挙げられる。
【0023】
そして、気体状の炭化水素としては、メタン、エタン、プロパン、プロピレン、ベンゼン、エチレン等、常温で気体の炭化水素を用いることが好ましい。このような気体状の炭化水素は、通常、キャリアガスと共に無機物質2に接触させるように流通させる。このときの流量は、細孔1の長さ(薄膜の厚さ)、細孔1の径により異なるため特に限定されないが、気体状炭化水素の濃度が高い場合や、滞留時間が長い場合等に、カーボンチューブが得られなくなることがあるため、気体状の炭化水素流通条件は適宜調節することが好ましい。
【0024】
上述のようにして、無機物質2の細孔1の内壁にカーボンが析出されてカーボンチューブ3が得られる。そして、図1(c)に示されるように、無機物質2の細孔1内に形成されたカーボンチューブ3内に金属材料を析出させることにより、細線素材4がカーボンチューブ3に内包される。
【0025】
この細線素材4の材料としては、遷移金属が用いられる。特に、遷移金属の中でも鉄族の金属を用いることが好ましい。ここで、鉄族の金属とは、周期表における第VIII族元素のうち、第一遷移系列に属する金属であり、具体的には、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、が挙げられる。その中でも特にニッケルを用いることが好ましい。細線素材4の材料としてニッケルを用いることで、ニッケルの(111)面が、当該細線素材4の長手方向と略平行に配向され、当該細線素材4を磁性材料や電気導電性材料等として用いる際の特性を向上できる。
【0026】
カーボンチューブ3内に細線素材4を挿入する方法としては、金属材料を熱などによって気体状にして、金属 有機化学気相成長法(MOCVD:metal-organic chemical vapor deposition)によって当該金属材料をカーボンチューブ3内に被着させる方法が挙げられる。このような場合、たとえば金属のカルボニル錯体やメタロセンが用いられる。具体的には、ニッケルからなる細線素材4を得る場合、材料としてニケロセンが用いられる。
【0027】
また、上述したような方法以外にも、原料となる金属材料を液体状態にして、カーボンチューブ3と接触させ、カーボンチューブ3の内部に挿入させる方法が挙げられる。金属材料を液体状態にする方法としては、溶媒に溶解する方法や、溶融する方法等が挙げられる。
【0028】
金属材料を溶媒に溶解させる場合、用いられる金属材料は、硫酸鉛、硝酸塩、塩化物などの金属塩が挙げられる。また、当該金属塩を溶解する溶媒としては、水や有機溶媒等、用いる塩の種類により適宜選択される。また、この場合、金属塩の溶液をカーボンチューブ3内に挿入する際には、カーボンチューブ3内を予め減圧にしておくと、溶液を容易にカーボンチューブ3内に挿入することができる。
【0029】
また、金属材料を溶融させる場合、当該金属材料は、カーボンチューブ3(あるいは、型枠として共存する無機物質2)が変性しない程度の温度で溶融するものであることが必要である。
【0030】
そして、溶融状態の金属材料をカーボンチューブ3と接触させ、カーボンチューブ3の内部に金属材料を挿入させる。カーボンチューブ3の内部に金属材料を挿入させる方法としては、予め減圧にした状態で、カーボンチューブ3と溶融金属材料とを接触させて、細孔1の内に挿入させる方法が挙げられる。
【0031】
また、金属材料とカーボンチューブ3との接触を良くするために、挿入する金属材料を、蒸着やスパッタリング等でカーボンチューブ3上に予め堆積させておき、その後、金属材料の融点以上に温度を上げることにより、毛細管現象によって金属材料をカーボンチューブ3の内部に挿入させる方法も用いることができる。
【0032】
最後に、図1(d)に示されるように、カーボンチューブ3の型枠となった上記無機物質2を、当該無機物質2を溶解可能な溶媒によって溶解除去する。具体的には、例えば無機物質2としてアルミニウム陽極酸化被膜を用いた場合、水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液によって当該アルミニウム陽極酸化被膜を溶解除去することができる。ここで、この溶媒は、カーボンチューブ3や、細線素材4に影響を与えないものであることが必要である。
【0033】
このようにして、細線素材4がカーボンチューブ3に内包された金属細線が得られる。
【0034】
また、後処理によって、カーボンチューブ3に内包された細線素材4の状態を変化させてもよい。後処理としては、目的とする最終内包物によって適宜実施される。例えば、最終の内包物が金属状態のものを得たい場合において、液体状態の金属を容易には得にくい場合などは、はじめに金属塩などの金属化合物の状態で挿入し、その後、還元処理を行うことによって、金属状態に変化させる。また、最終の内包物が、金属炭化物あるいは炭素固溶物にしたい場合は、挿入された金属化合物あるいは金属と、周囲の炭素とが反応、あるいは炭素の金属中への溶解がおきて、炭化物あるいは炭素の固溶物となるような、例えば非酸化雰囲気下で所定の温度で熱処理を行う。
【0035】
このようにして得られた細線素材4は、節や折れが無く、カーボンチューブ3内部に均一に析出されている。そして、この細線素材4は、長軸方向に略垂直な断面の直径が1nm〜100nmであり、上記断面の直径と長軸長との比が50以上であり、微細でありながら非常に大きな軸比を有するものである。また、細線材料としてニッケルを用いた場合には、結晶配向が制御されたものとなり、優れた金属細線とすることができる。
【0036】
ここで、上述した説明では、細線素材4をカーボンチューブ3内に挿入する工程と、型枠となる無機物質2を溶解除去する工程と、挿入した細線素材4の状態を変化させる後処理の工程とをこの順に行う場合を例に挙げたが、本発明はこれに限定されるものではなく、目的とする細線素材4の状態によって、その順序や後処理の内容を適宜変えることが好ましい。
【0037】
例えば、後処理によって金属材料を変化させる場合、処理条件によっては、型枠の無機物質2と、カーボンチューブ3の炭素又は金属材料とが反応する場合は、金属材料をカーボンチューブ3内に挿入した後、型枠となる無機物質2を溶解して除去し、その後、後処理により金属材料の状態を変化させる。すなわち、この場合には、挿入→除去→後処理の順番となる。
【0038】
逆に、金属材料を、後処理によって溶解液と反応しない状態に変化させることができる場合には、細線素材4をカーボンチューブ3内に挿入した後、後処理を行って細線素材4を溶解液と反応しない状態に変化させた後に、型枠の無機物質2を溶解除去する。すなわち、この場合には、挿入→後処理→除去の順番となる。
【0039】
また、後処理の有無に関わらず、無機物質2を溶解除去する工程が、細線素材4を挿入する工程の後の場合、又は、細線素材4と、無機物質2を溶解させるための溶解液等とが反応、溶解する場合には、溶解液と反応しない物質で、細孔1の開口部を被覆することが必要である。例えば、蒸着又は気相炭化法などで細孔1の開口部を炭素で被覆して内包物の溶解を防止する。
【0040】
また、カーボンチューブ3が単独の状態で、細線素材4を挿入できる場合は、予め型枠の無機物質2を溶解除去した後に細線素材4の挿入を行ってもよい。
【0041】
【実施例】
以下、本発明を適用した具体的な実施例について説明する。
【0042】
まず、カーボンチューブの型枠となる、略直線状の細孔を有する無機物質として、アルミニウム陽極酸化被膜を用いた。このアルミニウム陽極酸化被膜は、図2に示すような装置を用い、以下のように作製した。
【0043】
まず、陽極酸化するアルミニウム板10を、一方の面10aが電解液11と接触し、他方の面10bがイオン交換水12と接触するように配置した。ここで、電解液11には20%硫酸水溶液を用いた。また、上記アルミニウム板10と対向するように、電解液11中に別のアルミニウム板13を配した。ここで、アルミニウム板10が陽極となり、アルミニウム板13が陰極となる。
【0044】
そして、このような構成の装置を用いて、アルミニウム板10の陽極酸化を行った。陽極酸化は、直流の定電圧を20Vとし、温度を0℃〜5℃として、陽陰極間に2時間電圧を印加することにより行い、アルミニウム板10の表面10aに陽極酸化被膜を形成した。次いで、陽極と陰極との電圧を逆にし、定電流が0.3Aとなるように、陽陰極間に電圧を10分間印加して、陽極酸化被膜を剥離させた。
【0045】
この段階での陽極酸化被膜中の細孔は、電圧印加側が閉じた形状であり、細孔を貫通孔とするために、この陽極酸化被膜を20%硫酸に1時間浸漬することにより、閉口側を溶解させて開口して貫通孔とした。そして、得られた陽極酸化被膜中の細孔の直径はほぼ30nmであった。
【0046】
次に、図3に示すような構成の装置を用いて、上記の陽極酸化被膜の細孔中にカーボンを堆積させた。具体的には、この陽極酸化被膜20を1枚、内径2cmの石英反応管内21に配されたガラス繊維集合体22上に置き、この石英反応管21ごと、ヒータ23を備えた炉中に設置した。このヒータ23の温度は800℃とした。
【0047】
次に、上記の石英反応管21に、プロピレン濃度が1.3体積%となるように混合したプロピレンと窒素との混合ガスを、200ml/分(標準状態)で3時間導入することにより気相炭化を行った。
【0048】
この後、図3に示す装置を用い、上記のようにして、カーボンが形成された陽極酸化被膜20を2枚(100mg)、石英反応管内21に設置された石英ガラス繊維集合体22の上に置き、水素ガス直流下で、石英反応管21ごと、ヒータ23を備えた炉中に設置した。このときのヒータ23の温度は275℃とした。
【0049】
そして、細線素材の反応原料24としてニケロセンを、オイルバス25で加熱して揮発させ、気体状のニケロセンをキャリアーガスの水素に乗せて反応させた。このとき、反応原料の流通系での冷却析出を防止するために、流通系を加熱帯26で加温した。そして、ニケロセンの分圧を1.95toor.とし、2時間反応させた。
【0050】
この後、オートクレープを行い、150℃に保たれた10規定の水酸化ナトリウム水溶液浸漬下で6時間保持して、アルミニウム陽極酸化被膜を溶解させた。最後に、ろ過、洗浄、乾燥を行うことにより、ニッケル細線素材がカーボンチューブに内包された金属細線を得た。
【0051】
このようにして得られた金属細線の透過電子顕微鏡(TEM:transmission electron microscope)写真を、図4、図5及び図6に示す。なお、図4、図5及び図6は、金属細線を、倍率を変えて撮影したものである。
【0052】
図4、図5及び図6から観察されるように、本発明により得られたニッケル細線素材は、カーボンチューブ内に均一に析出され、極めて軸比が大きく、かつ、長範囲に結晶方位がそろった結晶性の優れたものであることが確認された。また、図6からは、面心立方晶のニッケルの(111)面の配列が確認でき、ニッケルの(111)軸面は、金属細線の長軸方向と略平行であることがわかる。
【0053】
【発明の効果】
本発明では、微細でありながら、ニケロセンを用いて、化学的気相成長法により生成した、長軸方向に略垂直な断面の直径が1nm〜100nmであり、断面の直径と長軸長との比が50以上であり、大きな軸比を有し、ニッケルからなり、当該ニッケルの(111)面が、長軸方向と略平行である細線素材をカーボン製のチューブで覆った金属細線を実現することができる。そして、本発明により得られる金属細線は、新規な複合材料、電気伝導性材料、量子細線素子、超高速電気素子、超高密度磁気記録媒体、非線形光学材料等として大きく期待されるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る金属細線の製造プロセスを模式的に示す図であり、図1(a)は、型枠となる無機物質を示した図である。また、図1(b)は、無機物質の細孔内にカーボンが形成された状態を示す図である。また、図1(c)は、カーボン内に金属細線が挿入された状態を示す図である。また、図1(d)は、型枠の無機物質が溶解除去された状態を示す図である。
【図2】図1(a)に示されるような無機物質を製造する製造装置の一例を示した図である。
【図3】本発明にかかる金属細線を製造する製造装置の一例を示した図である。
【図4】本発明により作製された金属細線を拡大して示す電子顕微鏡写真である。
【図5】図4に示された金属細線をさらに拡大して示す電子顕微鏡写真である。
【図6】図5に示された金属細線をさらに拡大して示す電子顕微鏡写真である。
【符号の説明】
1 細孔、 2 無機物質、 3 カーボンチューブ、 4 金属細線

Claims (8)

  1. 長軸方向に略垂直な断面の直径が1nm〜100nmであり、上記断面の直径と長軸長との比が50以上である細線素材を用い
    上記細線素材は、ニケロセンを用いて、化学的気相成長法により生成され、ニッケルからなり、当該ニッケルの(111)面が、上記長軸方向と略平行であり、カーボン製のチューブで覆われている金属細線。
  2. 上記カーボン製のチューブは、長軸方向に略垂直な断面の直径が10nm〜1μmであり、長軸長が1μm〜100μmである請求項1記載の金属細線。
  3. 略直線状の細孔を有する無機物質の細孔内壁に筒状のカーボンを形成する第1の工程と、
    上記第1の工程で筒状に形成された上記カーボンの内部に、ニケロセンを用いて、化学的気相成長法により、ニッケルを析出させる第2の工程とを少なくとも有し、
    長軸方向に略垂直な断面の直径が1nm〜100nmであり、上記断面の直径と長軸長との比が50以上であり、ニッケルからなり、当該ニッケルの(111)面が、上記長軸方向と略平行である細線素材をカーボン製のチューブで覆った金属細線を製造する金属細線の製造方法。
  4. 上記第1の工程と上記第2の工程との間、又は上記第2の工程を行った後に、上記無機物質を溶解除去する第3の工程を有する請求項記載の金属細線の製造方法。
  5. 上記第1の工程において、上記無機物質の細孔内壁に有機化合物を被覆し、加熱して当該有機化合物を炭化することにより、上記無機物質の細孔内壁にカーボンを形成する請求項記載の金属細線の製造方法。
  6. 上記第1の工程において、上記無機物質の細孔中に気体状の炭化水素を気相炭化させ、細孔内壁に炭素薄膜を堆積させることにより、上記無機物質の細孔内壁にカーボンを形成する請求項記載の金属細線の製造方法。
  7. 上記略直線状の細孔を有する無機物質が、金属陽極酸化被膜、ゼオライト、セピオライトのいずれかである請求項記載の金属細線の製造方法。
  8. 上記カーボン製のチューブは、長軸方向に略垂直な断面の直径が10nm〜1μmであり、長軸長が1μm〜100μmである請求項3記載の金属細線の製造方法。
JP00804199A 1999-01-14 1999-01-14 金属細線及びその製造方法 Expired - Fee Related JP4269383B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP00804199A JP4269383B2 (ja) 1999-01-14 1999-01-14 金属細線及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP00804199A JP4269383B2 (ja) 1999-01-14 1999-01-14 金属細線及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2000204471A JP2000204471A (ja) 2000-07-25
JP4269383B2 true JP4269383B2 (ja) 2009-05-27

Family

ID=11682274

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP00804199A Expired - Fee Related JP4269383B2 (ja) 1999-01-14 1999-01-14 金属細線及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4269383B2 (ja)

Families Citing this family (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001089116A (ja) * 1999-09-16 2001-04-03 Osaka Gas Co Ltd 金属内包炭素複合体およびその製造方法
KR100598751B1 (ko) 2002-03-15 2006-07-11 오사까 가스 가부시키가이샤 철-탄소 복합체, 이 철-탄소 복합체를 포함하는 탄소질재료 및 그의 제조 방법
JP4860913B2 (ja) * 2004-05-14 2012-01-25 富士通株式会社 カーボンナノチューブ複合材料及びその製造方法、並びに、磁性材料及びその製造方法
US7335408B2 (en) 2004-05-14 2008-02-26 Fujitsu Limited Carbon nanotube composite material comprising a continuous metal coating in the inner surface, magnetic material and production thereof
JP2007268692A (ja) * 2006-03-31 2007-10-18 Fujitsu Ltd カーボンナノチューブ連結体及びその製造方法、並びに、標的検出素子及び標的検出方法
KR100773151B1 (ko) * 2006-04-05 2007-11-02 금호전기주식회사 탄소나노계 물질을 이용한 전계방출램프용의 음극선제조방법
CN100355649C (zh) * 2006-06-09 2007-12-19 清华大学 一种原位共生铁纳米线填充在薄壁碳纳米管的方法
DE102006041515B4 (de) * 2006-08-28 2008-10-30 Leibniz-Institut Für Festkörper- Und Werkstoffforschung Dresden E.V. Verfahren zur Herstellung von ein- oder mehrwandigen, mit einem oder mehreren Übergangsmetallen beschichteten Kohlenstoff-Nanoröhren
JP2013170101A (ja) * 2012-02-21 2013-09-02 National Institute Of Advanced Industrial Science & Technology ナノワイヤ及びその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2000204471A (ja) 2000-07-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6129901A (en) Controlled synthesis and metal-filling of aligned carbon nanotubes
US7252749B2 (en) Deposition method for nanostructure materials
US8628748B2 (en) Purification method for carbon material containing carbon nanotubes, carbon material produced by the same method, and resin molding, fiber, heat sink, slider, material for field electron emission source, conduction aid for electrode, catalyst support
CN1331740C (zh) 碳纳米管复合材料、磁性材料及其制备方法
Gao et al. Diamond-based supercapacitors: realization and properties
Huczko Template-based synthesis of nanomaterials
TWI478185B (zh) 超級電容器及其製造方法
JP3886082B2 (ja) ナノ構造体及びその製造方法
US7794784B2 (en) Forming nanostructures
US20070007142A1 (en) Methods for assembly and sorting of nanostructure-containing materials and related articles
US20080176058A1 (en) Vertical carbon nanotube device in nanoporous templates
JP4269383B2 (ja) 金属細線及びその製造方法
US20100298135A1 (en) Porous aluminum oxide templates
JP3402032B2 (ja) 異物質を内包したカーボンチューブ及びその製造法
JP4915778B2 (ja) カーボンナノチューブ複合材料及びその製造方法
JP4860913B2 (ja) カーボンナノチューブ複合材料及びその製造方法、並びに、磁性材料及びその製造方法
Han et al. 3-Orders-of-magnitude density control of single-walled carbon nanotube networks by maximizing catalyst activation and dosing carbon supply
JP3440591B2 (ja) カーボンチューブの製造方法
KR100434282B1 (ko) 탄소나노튜브 합성방법
US7799374B2 (en) Method for manufacturing field emission cathode
KR100827951B1 (ko) 니켈 포일에 직접 탄소나노튜브를 합성하는 방법
Hosseinabadi et al. Developing Cu pore-filling percentage in hard anodized anodic aluminum oxide templates with large diameters
JP2003034528A (ja) 長尺状金属酸化物結晶の製造方法および長尺状金属酸化物結晶
Mehmood et al. Electrochemically fabricated Fe–Ni alloy nanowires and their structural characterization
Hekmat et al. Effect of Template on the Structure of Carbon Nanotubes Grown by Catalytic Chemical Vapor Deposition Method

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060112

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080715

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080729

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080929

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090203

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090216

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120306

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120306

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees