JP4263756B2 - 未知系構造推定装置およびその方法 - Google Patents

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Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、未知系の構造を推定するための装置およびその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
共振特性を有する未知系の推定が必要となる場合が往々にしてある。例えば、インピーダンスが異なる媒質の縦列接続によりモデル化されるような未知系の構造を推定するという問題がある。この場合、共振は媒質の接続点での反射で起こり、その反射係数と媒質の厚さが推定対象となる。この特性推定手段として最も一般的な方法の一つは、媒質を無損失と仮定し、適応フィルタをラティス型とする線形予測分析を未知系出力に適用する方法である。しかし、この方法では未知系の入力を白色雑音とする仮定が必要になる。
【0003】
もう一つ、この仮定を必要としない方法としてシステム同定がある。このシステム同定は一般には非巡回型の適応フィルタを未知系に並列接続して行われる。しかし、その推定対象となる未知系が共振特性を含む場合、この方法ではラティス型への正確な変換のために必要となる適応フィルタのタップ数が過大になるという問題が生じる。この問題の解決は一般には、非巡回型の適応フィルタを未知系に縦続接続し、未知系の入力を望みの応答とするシステム同定の採用によってなされる。
【0004】
なお、ラティス型フィルタの反射係数の更新について記載した文献として、例えば、非特許文献1がある。
【非特許文献1】
藤井健作,川村新,伊藤良生,副井裕,”ラティスフィルタの係数更新法とそのシステム同定への適用”信学技報,DSP2000-45,pp.33-38(2000.06)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、その同定のためには線形予測分析法と同様、未知系出力すなわち媒質を通り抜けた信号が必要になる。従って、例えば未知系の入力と出力が大きく離れているようなシステム、あるいは、音響信号を資料に加えて得られた反射波から未知系の特性を推定するような例への適用は困難である。
【0006】
本願発明の目的は、このように未知系の出力が観測できず反射波だけが観測可能となる条件の下で未知系の共振特性を推定することができるような、未知系構造推定装置およびその方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本願発明に係る未知系構造推定装置は、入力信号を印加することによって反射波信号を得ることのできる未知系の構造を推定する未知系構造推定装置であって、適応型かつ巡回型のラティスフィルタを備え、該ラティスフィルタに用いられる適応アルゴリズムは、適応型FIRフィルタに用いることのできる適応アルゴリズムであり、該未知系への入力信号と同一の信号が該ラティスフィルタに入力信号として入力され、該未知系からの反射波信号と該ラティスフィルタからの反射波信号との誤差が、該適応アルゴリズムに誤差信号として与えられ、該適応アルゴリズムによって該ラティスフィルタの反射係数が更新される。
【0008】
また、上記未知系構造推定装置において、該適応アルゴリズムが学習同定法であってもよい。
【0009】
また上記課題を解決するため、本願発明に係る未知系構造推定方法は、入力信号を印加することによって反射波信号を得ることのできる未知系の構造を推定する未知系構造推定方法であって、適応型かつ巡回型のラティスフィルタに、未知系への入力信号と同一の信号を入力信号として入力する工程を有し、該ラティスフィルタに用いられる適応アルゴリズムは、適応型FIRフィルタに用いることのできる適応アルゴリズムであり、さらに、該未知系からの反射波信号と該ラティスフィルタからの反射波信号との誤差を、該適応アルゴリズムに誤差信号として与える工程と、該適応アルゴリズムによって該ラティスフィルタの反射係数を更新する工程とを有する。
【0010】
また、上記未知系構造推定方法において、該適応アルゴリズムが学習同定法であってもよい。
【0011】
本願発明の方法・装置によって、入力信号を入力することによって反射信号をそこから得ることができるような共振特性を有する未知系の構造を推定することができる。
【0012】
本願発明の方法は次のようにして使用することができる。つまり、本願発明の方法を実行する装置を未知系に接続した状態で、未知系に入力信号を入力しつつ、それと同時にそこからの反射信号と該入力信号とを該装置に入力して、該装置に組みこまれた適応アルゴリズムをリアルタイムで駆動させることによってフィルタ係数を収束させてゆくことができる。収束したフィルタ係数値は、未知系の構造を表している。
【0013】
このように本願発明の方法はリアルタイムで使用することもできるが、次のように使用することもできる。
【0014】
つまり、共振特性を有する未知系に対して入力信号を入力すると、そこから反射信号を得ることができる。よって、例えば2チャンネルのレコーダを使えば、一方のチャンネルに入力信号を、他方のチャンネルに反射信号を記録することができる。このようにレコーダで採取した入力信号のデータと反射信号のデータとを、例えばコンピュータに組み込まれた適応アルゴリズムに付与すれば、そのアルゴリズムによってフィルタ係数の収束値を得ることができる。収束したフィルタ係数値は、未知系の構造を表している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
まず、本実施形態の有効性を概説する。ここでは、(まえがき)(同定アルゴリズム)(シミュレーション)(媒質の厚さの特定)の順に説明する。
【0016】
(まえがき) 本実施形態では、インピーダンスが異なる媒質が継続接続された、図1aに示す未知系の構造を、反射波wjを利用して同定する方法および装置を提案する。ここで、jは時刻、xjは未知系入力、yjは未知系出力である。但し、その出力yjは観測できないものとする。
【0017】
(同定アルゴリズム) 図1aに示す未知系は一般にはラティス型フィルタでモデル化される。本実施形態では各媒質の通過による遅延を考慮し、ラティス型として図1bの構造を採用する。この場合、非特許文献1によれば、m段目の反射係数γ(m)は、次式により更新される。
【0018】
【数1】
Figure 0004263756
【0019】
(シミュレーション) 図1cは、未知系に与えた反射係数である。但し、その反射係数は正規乱数で、段数Mは512である。図1dは、未知系の段数を未知として適応フィルタの段数を1024と多めに与えて得た推定誤差の推移である。但し、入力信号には白色雑音、入力信号と外乱(白色雑音)のパワー比を40dB、μ=1としている。この図4の結果から、明らかに未知系の構造が特定できていることが分かる。本実施形態の方法・装置を、媒質の厚さの推定が必要な分野に応用することを考える。
【0020】
(媒質の厚さの特定) 未知系の反射係数として図1cを仮定する。ここで、反射係数の零が連続する区間は媒質の厚さに対応する。図1eは、媒質の厚さを推定するためにインパルスを印加して得られた未知系の応答(反射波)、図1fは本実施形態の方法・装置によって推定された未知系の構造である。明らかに、インパルス応答を利用する方法では2段目の媒質の厚さが推定困難となっているのに対して本実施形態の方法・装置では明確であり、反射係数も高い精度で同定できていることが分かる。このことから、本実施形態によって、インピーダンスが異なる媒質の縦列接続からなる未知系を有効に同定できること、特に、媒質の厚さを高い精度で推定できることがわかる。
【0021】
次に、本実施形態を詳細に説明する。以下、(1 想定する未知系の構造)(2 未知系のフィルタ構造)(2.1 遅延を上部にもつ構造)(2.2 遅延を上部と下部にもつ構造)(3 反射係数更新アルゴリズム)(4 シミュレーション)(5 応用例)(6 結論)の順に説明する。
【0022】
(1 想定する未知系の構造)
まず、反射波は極と零点を同時に持つ未知系の応答として得られること、従って、反射波に線形予測分析を適用する方法では未知系が同定できないことを示す。
【0023】
図2aは、媒質が縦続接続された、本実施形態で想定する未知系のモデルである。このモデルにおいて、特性観測用信号xj が時刻jにおいて未知系に印加され、各媒質で反射を繰り返してyj として出力される。このとき同時に、反射波wj が得られる。
【0024】
明らかに、この未知系の構造は再帰型モデルである。一般に、このような再帰型の特性推定は線形予測分析を出力yj に適用して行われる。
【0025】
本実施形態では、未知系出力が例えば遠方にあるために観測できず、反射波wj だけが観測できるとする。この場合、線形予測分析の適用は反射波wj に対して行う必要がある。一方、未知系は再帰型モデルである。従って、その特性推定を非巡回型フィルタによる線形予測分析で行うならば、媒質の厚さや反射係数を直接求めることはできない。そこで本実施形態では初めに、図2aの未知系モデルを直接表現するフィルタ構造として知られる図2bのラティスフィルタを、線形予測フィルタとする特性推定が可能かどうかを検討する。
【0026】
まず、次に M=64段として反射係数を図3のように正規乱数で与えて未知系とし、これに白色雑音を印加し、得られた反射波wj に線形予測分析を時間更新法によって実行したとき、線形予測フィルタの反射係数の収束特性は図4のように得られる。ここで、縦軸の推定誤差は、線形予測フィルタの反射係数
【0027】
【数2】
Figure 0004263756
【0028】
と未知系の反射係数
【0029】
【数3】
Figure 0004263756
【0030】
を用いて
【0031】
【数4】
Figure 0004263756
【0032】
と計算している。図4によれば、線形予測フィルタの反射係数は収束しておらず、推定できていない。また、図5は j=10,000 で推定された反射係数である。この図4と図5の比較からも明らかに、
【0033】
【数5】
Figure 0004263756
【0034】

【0035】
【数6】
Figure 0004263756
【0036】
は異なる。
【0037】
そこで、この反射係数が推定できていない原因を、図2bの反射波W(z)の伝達関数から考える。簡単のために、段数を例えば3段、M=3 としたときの入力X(Z)から反射波W(Z)を生成するシステムの伝達関数は
【0038】
【数7】
Figure 0004263756
【0039】
と得られる。ただし
【0040】
【数8】
Figure 0004263756
【0041】
である。この式(2)から明らかなように、Hw(Z)は全域通過型の特性を与える。このような全域通過型モデルの出力に、全極型の適応フィルタで線形予測分析を行う特性推定は不可能である。
【0042】
このように線形予測分析の適用が不可能となると、次に考えられる手段はxj を参照信号、wj を望みの応答とするシステム同定である。しかし、このシステム同定は通常、適応フィルタを非巡回型として行われる。この場合、得られた非巡回型フィルタの係数を図3の反射係数に変換する必要がある。この変換は高次の場合に現実的ではない。この問題の解決には、適応フィルタを極と零点を含む構造とするか、図2bの構造をもつ再帰型ラティスフィルタとする必要がある。
【0043】
(2 未知系のフィルタ構造)
次に、通常のラティス型構造では未知系出力を表現できないことを明らかにし、その表現が可能となる構造を示す。
【0044】
ここでは、このモデルを用いるシステム同定の適用の可能性を探る前に、図2bの構造をもつフィルタが図2aの未知系モデルを的確に表現しているか否かを確認しておく。その確認は、図2bのラティスフィルタの入力にインパルスを印加して得られる出力および反射波と、図2aの未知系モデルの入力にインパルスを印加して得られる出力yj および反射波をwj 比較し、図2bのフィルタが図2aの想定するモデルを表現しているか否かで行う。
【0045】
まず、図2bのY(z)として得られる出力と図2aのyj を比較する。図2aによれば、後者のyj は、入力xj が媒質0から媒質nまで透過した後に得られる。すなわち、伝搬による遅れ時間がある。一方、図2bのY(z)は、図2bの構造から分かるように全く遅延がなく最初の応答が得られる。すなわち、Y(z)と図2aのyj は対応していない。
【0046】
(2.1 遅延を上部にもつ構造)
そこで、このY(z)に遅延を与えるために、図2bに示す再帰型ラティスフィルタの下部にある遅延器を、上部に移動することを考える。すなわち、図6の回路を基本段とする図7に示す構造のフィルタを考える。この図7において出力Y(z)はMサンプル時間遅れて得られる。一方のyj はM層分の媒質を透過する時間だけ遅れて出力される。よって、図7のラティスフィルタの段数をMとすれば、図2aのyと図7のY(z)の遅延時間は対応する。
【0047】
この図7の出力Y(z)とW(z)を与えるシステムの伝達関数は M=3 の場合に
【0048】
【数9】
Figure 0004263756
【0049】
【数10】
Figure 0004263756
【0050】
となる。ただし、係数a1からa4は、式(3)と同じである。一方、図2bの出力Y(z)を与えるシステムの伝達関数は
【0051】
【数11】
Figure 0004263756
【0052】
である。
【0053】
式(4)と式(6)を比較すれば、図7の出力Y(z)は、図2bの出力Y(z)が段数Mだけ遅れて出力されるだけでその特性は同じであることが分かる。また、式(5)と式(2)を比較すれば、図7の出力W(z)は、図2bの出力W(z)と全く同じ特性をもった出力であることが分かる。
【0054】
次に、図7の出力W(z)と図2aの出力wを比較する。図2aの出力wは媒質を通過する往復分の遅延後に得られる。しかし、図7では、媒質を通過する復路分の遅延がないので、W(z)とwは対応しない。
【0055】
(2.2 遅延を上部と下部にもつ構造)
その復路分の遅延を与えるためには、図6の下部にも遅延器が必要になる。そのような遅延器を上部にももつ再帰型ラティスフィルタの基本段は図8となり、その構造は図9のようになる。また、その M=3 の場合の伝達関数は
【0056】
【数12】
Figure 0004263756
【0057】
【数13】
Figure 0004263756
【0058】
のようになる。
【0059】
明らかに、反射波の伝達関数を表す式(8)は、遅延器z-2 を上部にもつ図10の構造の再帰型ラティスフィルタの反射波の伝達関数と等しい。このことから、図9の構造のフィルタは、媒質の単位伝搬時間を2とした構造であることが分かる。よって、媒質の単位伝搬時間を1とすれば、図9の反射波W(z)は、図7の反射波W(z)と等しくなる。すなわち、図9の反射波W(z)をもって、図2aの反射波wj を表すことができる。
【0060】
さらに前述のように、図2aの出力yj は図7の出力Y(z)に等しい。よって、図2aの想定するモデルを表現するフィルタとして、図7の上部にのみ遅延器をもつ再帰型ラティスフィルタが適当である。
【0061】
ここで、図7は、減衰係数が1の無損失伝送路を表している。しかし、一般には損失は零ではない。この場合、右端から無損失で反射するのではなく、最終段M において反射係数γ(M)で反射して戻ると考えるべきである。すなわち、未知系を表すフィルタは図11である。図11において、減衰係数はγ(M)である。
【0062】
(3 反射係数更新アルゴリズム)
次に、適応フィルタを巡回型ラティスフィルタとする場合の反射係数の更新法を提案する。
【0063】
問題は反射係数を推定する適応アルゴリズムである。本実施形態では、ある時刻jにおいてWj を構成する成分に着目する。「田中正明,藤井健作,笹岡直人,伊藤良生,副井裕,”適応ラティスフィルタによるシステム同定の高速化”,信学技報,US2003-115,Jan.2004」によれば、それは図12から分かるように、γ(m)とfj(m)からなる。一方、−γ(m)は、bj(m)と乗算された後、fj-1(m-1)と加算され、各段のタップ入力fj(m)を構成する。そのため−γ(m)は、直接Wj を構成する成分には入っていない。よって、図12の実線部分で示されたFIRフィルタの出力として得られると分かる。時刻jにおいてWj を構成する成分だけに着目すると、それはすなわち、ある時刻jにおいてWj を構成する成分はM個の前向き予測誤差fj(M-m+1)と反射係数γj(m)となっていることが分かる。この構造を式により表すと、
【0064】
【数14】
Figure 0004263756
【0065】
となる。このように、FIRフィルタの出力
【0066】
【数15】
Figure 0004263756
【0067】
を未知系出力として得られる場合、各γj(m)は wj−Wj を最小化する係数として推定することができる。さらに ej=wj−Wj の最小化は、図13のシステム同定において通常用いるFIRフィルタに適用される適応アルゴリズムにより実現される。その適応アルゴリズムを学習同定法とすれば、その第mタップの反射係数は未知系の反射波と適応フィルタの反射波の誤差ej を用いて
【0068】
【数16】
Figure 0004263756
【0069】
と更新することができる。
【0070】
(4 シミュレーション)
次に、上記で提案した更新法の有効性をシュミレーションにより確認する。
【0071】
一般に未知系の段数Munk は未知である。従って、未知系の段数Munk に対して、適応フィルタの段数MADF が短い場合と長い場合がある。ここではその2つの場合における動作をシミュレーションによって確認する。
【0072】
まず、未知系の段数をMunk=512 とし、反射係数を図14のように与える。ただし、反射係数には正規乱数を与え、その2乗和が1になるように正規化している。この未知系に対して、適応フィルタの段数をMADF=1024 とした場合の本方式によって推定された特性が図15である。ここで、入力は白色雑音、外乱は白色雑音を入力対外乱比(SNR)40dB、Iteration(反復回数)は 1,500,000、適応フィルタに用いるステップサイズをμ=1.0、未知系と適応フィルタの構造は図11とし、適応フィルタの反射係数の更新には、後向き反射係数の更新を学習同定法、前向き反射係数の更新を後向き反射係数の複製を用いている。また図16とは、未知系の反射係数と適応フィルタの反射係数の差を
【0073】
【数17】
Figure 0004263756
【0074】
と計算して得られる推定誤差の推移である。
【0075】
図16に示す結果から、未知系の特性が推定できていることが確認できる。次に、適応フィルタの段数が未知系の段数よりも短いときのシミュレーションを行う。
【0076】
図17は、適応フィルタの段数をMADF=256 とし、その他を図15と同じ条件として得られた適応フィルタの反射係数である。ただし、図17のIteration は、10,000回としている。
【0077】
この結果から、実践で示す未知系の反射係数と比較して、誤差がかなり大きいことが確認できる。これは、未知系のμADF=256 以上の成分が外乱として働くためである。このような場合には図18のようにステップサイズを小さく設定するか、段数を大きくする必要がある。
【0078】
(5 応用例)
本手法を適用する応用例の1つとして、未知系にインパルスを印加して得られる反射波から媒質の厚さを測る手段として用いたときの効果についてシミュレーションを行う。図19(下図)は、未知系の段数を Munk=512、その反射係数として図14を与えたときのインパルス応答である。
【0079】
図19の結果から、62から112段目までの部分は未知系の反射係数が小さいことから、この部分に均質の媒質があること、またその厚さが 50×標本化周期×音速 として推定できる。また、362から412段目までの均質部分は、その存在を予想することは難しい。さらに、62から112段目までの部分も、その間隔が例えば5段と狭ければ、その部分の厚さを推定することは難しい。しかし、本手法によれば正確に想定することができる。また図19は、反射波を未知系出力とするシステム同定を適応フィルタとしてFIR型を用いた場合にそのタップ数が非常に多くなること。本手法によれば短くなることを例証している。実際、本手法と同じ -35dB 程度の推定誤差で同定するためにはシミュレーションで確認したところによれば、1024段のタップ数が必要である。また、このときの収束特性は、図20のようになる。よって、適応フィルタにFIR型を用いた場合、本手法よりも多くの段数を必要とする。しかし、本手法の方が遅いことも確認できる。
【0080】
(6 結論)
上記では、インピーダンスの異なる媒質が縦続接続した構造をもつ未知系に対して、反射波を用いて媒質の特性や厚さを推定できる方法・装置を示した。
【0081】
上記実施形態においては、適応アルゴリズムとして学習同定法を用いたが、本願発明において用いる適用アルゴリズムは、適応FIRフィルタに用いることのできるものであれば、いかなるタイプのものであってもよい。例えば、LMSアルゴリズムやRLSアルゴリズムを用いることもできる。
【0082】
本願の未知系同定方法・装置を用いることにより、未知系を通過した出力信号の取得の可否にかかわらず、未知系の構造の推定が可能となるので、例えば電気音響の技術分野において有益である。
【0083】
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
【発明の効果】
【0084】
本願発明の未知系同定方法・装置によれば、未知系を通過した出力信号の取得の可否にかかわらず、未知系の構造の推定が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1a】 未知系の構造を示す図である。
【図1b】 ラティス型の構造を示す図である。
【図1c】 未知系に与えたγ(m)を示す図である。
【図1d】 収束特性を示す図である。
【図1e】 未知系にインパルスを印加して得られた応答を示す図である。
【図1f】 推定(同定)された未知系の構造を示す図である。
【図2a】 想定する未知系モデル図である。
【図2b】 未知系モデルを等価的に表現するフィルタ構造図である。
【図3】 未知系モデルを等価的に表現するフィルタ構造に与えた反射係数を示す図である。
【図4】 反射波wjに線形予測分析を適用したときの推定誤差を示す図である。
【図5】 線形予測フィルタの反射係数を示す図である。
【図6】 遅延器を上部にもつ再帰型ラティスフィルタの基本段の構造図である。
【図7】 遅延器を上部にもつ再帰型ラティスフィルタの構造図である。
【図8】 遅延器を上部にももつIIR型ラティスフィルタの基本段の構造図である。
【図9】 遅延器を上部にももつIIR型ラティスフィルタの構造図である。
【図10】 遅延器を上部にももつIIR型ラティスフィルタと等価なフィルタ構造図である。
【図11】 未知系と対応する提案IIR型ラティスフィルタの構造図である。
【図12】 提案IIR型ラティスフィルタの出力Wを構成する成分に着目した構造図である。
【図13】 システム同定の構造図である。
【図14】 未知系の反射係数h(b)の値(1未満の正規乱数)を示す図である。
【図15】 適応フィルタの段数が未知系の段数よりも長いときの適応フィルタの反射係数を示す図である。
【図16】 適応フィルタの段数が未知系の段数よりも長いときの推定誤差を示す図である。
【図17】 適応フィルタの段数が短い場合の未知系と適応フィルタの対応する反射係数の値の比較(μ=1.0)を示す図である。
【図18】 適応フィルタの段数が短い場合の未知系と適応フィルタの対応する反射係数の値の比較(μ=0.1)を示す図である。
【図19】 インパルス応答に対応する未知系の反射係数(上図)と反射波のインパルス応答(下図)を示す図である。
【図20】 反射波を未知系の出力とした場合のFIRの収束特性を示す図である。
【符号の説明】
【0086】
j 未知系入力
j 未知系出力
j 反射波

Claims (4)

  1. 入力信号を印加することによって反射波信号を得ることのできる未知系の構造を推定する未知系構造推定装置であって、
    適応型かつ巡回型のラティスフィルタを備え、
    該ラティスフィルタに用いられる適応アルゴリズムは、適応型FIRフィルタに用いることのできる適応アルゴリズムであり、
    該未知系への入力信号と同一の信号が該ラティスフィルタに入力信号として入力され、
    該未知系からの反射波信号と該ラティスフィルタからの反射波信号との誤差が、該適応アルゴリズムに誤差信号として与えられ、
    該適応アルゴリズムによって該ラティスフィルタの反射係数が更新される、未知系構造推定装置。
  2. 該適応アルゴリズムが学習同定法である、請求項1記載の未知系構造推定装置。
  3. 入力信号を印加することによって反射波信号を得ることのできる未知系の構造を推定する未知系構造推定方法であって、
    適応型かつ巡回型のラティスフィルタに、未知系への入力信号と同一の信号を入力信号として入力する工程を有し、
    該ラティスフィルタに用いられる適応アルゴリズムは、適応型FIRフィルタに用いることのできる適応アルゴリズムであり、
    さらに、該未知系からの反射波信号と該ラティスフィルタからの反射波信号との誤差を、該適応アルゴリズムに誤差信号として与える工程と、
    該適応アルゴリズムによって該ラティスフィルタの反射係数を更新する工程とを有する、未知系構造推定方法。
  4. 該適応アルゴリズムが学習同定法である、請求項3記載の未知系構造推定方法。
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