JP4263258B2 - リーンバーンエンジンの燃料噴射制御装置 - Google Patents

リーンバーンエンジンの燃料噴射制御装置 Download PDF

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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジン運転状態に応じ空気過剰率の逆数で表される目標当量比を設定し、該目標当量比により燃料噴射量を補正してリーンバーンに適合する燃料噴射量を設定するリーンバーンエンジンの燃料噴射制御装置に関し、詳しくは、リーン限界に応じ上記目標当量比を補正して空燃比制御性を向上するリーンバーンエンジンの燃料噴射制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、低,中負荷領域においてリーン空燃比での運転を実施し、ポンピングロスの低減や理論熱効率の向上により燃費を向上するリーンバーンエンジンが知られている。
【0003】
また、通常、エンジンの排気系に介装される三元触媒は、空燃比リーン運転時において排気ガス中の窒素酸化物(以下、「NOx」と記する)を浄化できず、このため、リーンバーンエンジンにおいては、図19に示すように、NOx排出量の低下するリーン限界(空燃比リーンによる失火限界)付近に空燃比を制御する必要がある。このリーン限界はエンジン運転領域毎に異なり、また、エンジンの経時変化やエンジン個々のばらつきにより影響を受ける。従って、空燃比リーン運転時においてリーン限界を検出し、このリーン限界に応じて空燃比を制御する必要がある。
【0004】
これに対処するに、特開平5−248281号公報に開示の技術がある。すなわち、この開示技術は、エンジン回転変動量或いはトルク変動量の絶対値の所定期間における平均値を算出して、この平均値を基準レベルと比較し、燃焼不安定度(トルク変動)を示す上記変動量平均値が基準レベルを上回るとき、リーン限界に達したことによって燃焼が不安定化し出力変動が生じたと判断して、目標空燃比補正係数を所定値だけ減算補正し、そして、エンジン負荷及びエンジン回転数に基づいてマップ検索により設定されるその時の運転状態に対応して最大限に空燃比をリーン化し得る基本目標空燃比を、上記目標空燃比補正係数により補正して最終的な目標空燃比を算出し、この目標空燃比の逆数を、基本燃料噴射量に乗算して基本燃料噴射量を補正することで、空燃比をリッチ側に修正して燃焼を安定化させる。一方、上記変動量平均値が基準レベル以下のときには、燃焼が安定しており、更にリーン側への空燃比修正に余裕があると判断して、目標空燃比補正係数を所定値だけ加算補正することで、空燃比をリーン側に修正する。これによって、上記先行例においては、リーン限界での運転を可能としつつ、エンジン運転性の悪化及び排気エミッションの悪化を防止している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記先行例では、最大限にリーン設定されている基本空燃比を目標空燃比補正係数によって補正して目標空燃比を算出し、この目標空燃比の逆数を基本燃料噴射量に乗算して目標空燃比に相当する基本燃料噴射量に換算し、更に、この値に各種補正係数を乗算して燃料噴射量を算出しており、ダイナミックレンジすなわち領域間における変化量の大きい目標空燃比を直接的に燃料噴射量の補正項として採用し、この目標空燃比をリーン限界に応じて設定される目標空燃比補正係数によって直接補正している。
【0006】
このため、目標空燃比を修正設定するための上記目標空燃比補正係数では、運転領域毎に要求される目標空燃比が大きく異なる場合に、対応することができない。
【0007】
すなわち、例えば空燃比A/F=24の目標空燃比(基本空燃比)領域において設定された目標空燃比補正係数は、空燃比A/F=18の目標空燃比領域での補正量としては大き過ぎ、また、これに対応して該目標空燃比補正係数は変動量平均値と基準レベルとの比較結果に応じて修正されるものの、修正量を多く必要とし、リーン限界に対応して収束するまでに時間がかかり、エンジン運転状態の変化すなわちエンジン運転領域の移行に対応して要求される目標空燃比が大きく変化した場合には対応することができず、制御性が悪化する不都合がある。
【0008】
これに対処するに上記目標空燃比補正係数に対する1回当たりの修正量を大きくすると、制御が粗くなり、制御精度が悪化する不都合がある。また、各基本空燃比領域毎に対応して目標空燃比補正係数を複数設定することも考えられるが、この場合には、リーン限界に応じて目標空燃比を補正するための目標空燃比補正係数を複数設定するために、制御系が複雑化し、且つ、エンジン運転状態の変化に応じ目標空燃比が大きく相違する領域に移行した場合に、各目標空燃比補正係数間の移行に際し、該目標空燃比補正係数間に段差が生じ、従って、速い制御収束性が得られず適正なリーン空燃比での運転を行うことができない。
【0009】
また、空燃比センサによる空燃比フィードバック制御について考慮すると、空燃比センサの一例としてのリニア空燃比センサの出力特性は、空気過剰率λの逆数として表される当量比1/λを横軸とした図20に実線で示すセンサ新品時の初期特性或いは中心値特性に対し、経時変化やセンサの個々のばらつきにより、同図に破線で示すように、当量比1/λ=1.0のストイキオ(理論空燃比)対応の出力値(出力電圧)VO2は殆ど変化しないが、リーン及びリッチ方向への出力変化率(傾き)がずれる。
【0010】
しかし、上記先行例においては、エンジン運転状態に応じて設定される基本空燃比を一義的な目標空燃比補正係数によって一律に補正して目標空燃比を設定し、この目標空燃比により燃料噴射量を補正しているため、図21に示すように、実線の空燃比センサ新品時の初期特性或いは中央値特性に対し、経時変化が生じたりばらつきが有る場合には、同図に破線で示すように一義的にシフトして補正することとなり、実際の空燃比センサの出力特性変化に一致せず、従って、空燃比フィードバック制御に対応できない不都合がある。
【0011】
本発明は、上記事情に鑑み、運転領域毎に要求される目標空燃比が大きく相違してもリーン限界に対する空燃比補正を的確に行うことができ、空燃比制御性を向上することが可能なリーンバーンエンジンの燃料噴射制御装置を提供することを第1の目的とする。また、上記第1の目的に加え、空燃比センサの出力特性が経時変化やばらつきにより変化した場合においても、これに対応して適正に空燃比フィードバック制御を行うことが可能なリーンバーンエンジンの燃料噴射制御装置を提供することを第2の目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記第1の目的を達成するため、請求項1記載の発明は、エンジン運転状態に応じて燃料噴射量を補正し、リーンバーンに適合する燃料噴射量を設定するリーンバーンエンジンの燃料噴射制御装置において、図1(a)の基本構成図に示すように、燃焼圧力変動率に基づきリーン限界か否かを判別するリーン限界判別手段と、上記リーン限界の判別結果に応じてリーン限界補正値を設定するリーン限界補正値設定手段と、エンジン運転状態に基づいて設定した基本減量値上記リーン限界補正を乗算して目標リーン減量係数を設定する目標リーン減量係数設定手段と、エンジン運転状態に応じて設定される各種補正項を加算した加算項に対し上記目標リーン減量係数を減算項として与え、空気過剰率の逆数で表される目標当量比を算出する目標当量比算出手段と、エンジン運転状態に基づいて設定した燃料噴射量を上記目標当量比により補正してエンジンへ供給する最終的な燃料噴射量を設定する燃料噴射量設定手段とを備えたことを特徴とする。
【0013】
上記第2の目的を達成するため、請求項2記載の発明は、エンジン運転状態に応じて燃料噴射量を補正し、リーンバーンに適合する燃料噴射量を設定するリーンバーンエンジンの燃料噴射制御装置において、図1(b)の基本構成図に示すように、燃焼圧力変動率に基づきリーン限界か否かを判別するリーン限界判別手段と、上記リーン限界の判別結果に応じてリーン限界補正値を修正設定するリーン限界補正値設定手段と、エンジン運転状態に基づいて設定した基本減量値上記リーン限界補正値を乗算して目標リーン減量係数を設定する目標リーン減量係数設定手段と、エンジン運転状態に応じて設定される各種補正項を加算した加算項に対し上記目標リーン減量係数を減算項として与え、空気過剰率の逆数で表される目標当量比を算出する目標当量比算出手段と、空燃比センサの出力値に基づき排気当量比を検出する排気当量比検出手段と、上記目標当量比と排気当量比との比較結果に応じて空燃比フィードバック補正係数を設定する空燃比フィードバック補正係数設定手段と、エンジン運転状態に基づいて設定した燃料噴射量を上記目標当量比及び上記空燃比フィードバック補正係数により補正してエンジンへ供給する最終的な燃料噴射量を設定する燃料噴射量設定手段とを備えたことを特徴とする。
【0014】
請求項3記載の発明は、請求項1或いは請求項2記載の発明において、上記リーン限界補正値設定手段は、リーン限界と判別されたとき、上記リーン限界補正値を減少修正し、非リーン限界のとき、リーン限界補正値を増加修正することを特徴とする。
【0015】
請求項4記載の発明は、請求項1ないし請求項3の何れか一に記載の発明において、上記リーン限界判別手段および上記リーン限界補正値設定手段は、エンジン運転領域がリーンバーン領域外の時、過渡運転状態時、及び、自動変速機搭載車の場合には変速制御中の時、手動変速機搭載車の場合には変速操作中の時の少なくとも一つの条件が成立するとき、リーン限界の判別を中止し、リーン限界補正値の修正を中止することを特徴とする。
【0016】
請求項5記載の発明は、請求項1ないし請求項4の何れか一に記載の発明において、上記リーン限界判別手段は、最大燃焼圧力を得る所定クランク角毎に燃焼行程気筒の燃焼圧力をサンプリングし、この燃焼圧力を平均処理して燃焼圧力平均値を算出すると共に該燃焼圧力平均値に対する燃焼圧力分散値を算出し、この燃焼圧力平均値及び燃焼圧力分散値に基づき算出した燃焼圧力変動率がリーン限界を判定するための判定値を上回るとき、リーン限界と判別することを特徴とする。
【0017】
すなわち、請求項1記載の発明では、燃焼圧力変動率に基づいてリーン限界を判別し、この判別結果に応じてリーン限界補正値を設定する。そして、エンジン運転状態に基づいて設定した基本減量値上記リーン限界補正を乗算して目標リーン減量係数を設定し、エンジン運転状態に応じて設定される各種補正項を加算した加算項に対し上記目標リーン減量係数を減算項として与え空気過剰率の逆数として表される目標当量比を算出する。そして、この目標当量比によりエンジン運転状態に基づいて設定した燃料噴射量を補正して、エンジンへ供給する最終的な燃料噴射量を設定する。
【0018】
ここで、空気過剰率の逆数で表され燃料噴射量を空燃比補正するための目標当量比は、リーンバーンに対応して空燃比をリーン補正する目標リーン減量係数を、エンジン運転状態に応じて設定される各種補正項に対しマイナス項で与えて算出される。更に、この目標リーン減量係数は、エンジン運転状態に応じて設定された基本減量値、燃焼圧力変動率に基づくリーン限界判別結果に応じて設定されるリーン限界補正値を乗算して設定される。従って、ダイナミックレンジすなわち領域間における変化量の大きい目標空燃比を直接採用することなく実現でき、リーンバーンに対応して空燃比をリーン補正するための目標リーン減量係数を目標当量比の一つの補正項として目標当量比の演算式に組み込み、このリーン減量係数の設定に際して、基本減量値リーン限界に応じて設定されるリーン限界補正値を乗算して補正するため、目標空燃比全体をリーン限界に応じて補正するのと異なり、目標当量比の演算式中の一つの補正項によるダイナミックレンジの小さい部分的な補正で対応することが可能となり、運転領域毎に要求される目標空燃比が大きく相違してもリーン限界に対する空燃比補正を的確に行うことができ、制御収束性及び空燃比制御性を向上することが可能となる。
【0019】
請求項2記載の発明では、燃焼圧力変動率に基づいてリーン限界を判別し、この判別結果に応じてリーン限界補正値を修正設定する。そして、エンジン運転状態に基づいて設定した基本減量値上記リーン限界補正値を乗算して目標リーン減量係数を設定し、エンジン運転状態に応じて設定される各種補正項を加算した加算項に対し上記目標リーン減量係数を減算項として与え空気過剰率の逆数として表される目標当量比を算出する。また、空燃比センサの出力値に基づき排気当量比を検出し、上記目標当量比と排気当量比との比較結果に応じて空燃比フィードバック補正係数を設定する。そして、エンジン運転状態に基づいて設定した燃料噴射量を上記目標当量比及び上記空燃比フィードバック補正係数により補正してエンジンへ供給する最終的な燃料噴射量を設定する。
【0020】
すなわち、空気過剰率の逆数で表され燃料噴射量を空燃比補正するための目標当量比は、リーンバーンに対応して空燃比をリーン補正する目標リーン減量係数を、エンジン運転状態に応じて設定される各種補正項に対しマイナス項で与えて算出される。更に、この目標リーン減量係数は、エンジン運転状態に応じて設定された基本減量値を、燃焼圧力変動率に基づくリーン限界判別結果に応じて設定されるリーン限界補正値により補正して設定される。そして、この目標当量比と空燃比センサの出力値に基づいて検出した排気当量比との比較結果に応じ、燃料噴射量をフィードバック補正するための空燃比フィードバック補正係数を設定することで、空燃比センサの出力特性が経時変化やばらつき等によって変化し、空燃比フィードバックの初期目標値に対し目標値が変化しても、リーン限界補正により目標空燃比を得るための目標当量比が修正され、これに対応して空燃比フィードバック補正係数が修正される。従って、リーン限界検出制御による目標当量比の補正にて的確に対応されて、高い空燃比フィードバック制御精度を維持することが可能となり、経時変化やばらつき等による空燃比センサの出力特性の変化に対応して適正に空燃比フィードバック制御を行うことが可能となる。
【0021】
また、リーン限界補正値の設定に際し、請求項3記載の発明では、リーン限界と判別されたとき、上記リーン限界補正値を減少修正し、非リーン限界のとき、リーン限界補正値を増加修正する。
【0022】
さらに、請求項4記載の発明では、リーン限界検出条件を判断し、エンジン運転領域がリーンバーン領域外の時、過渡運転状態時、及び、自動変速機搭載車の場合には変速制御中の時、手動変速機搭載車の場合は変速操作中の時の少なくとも一つの条件が成立するとき、リーン限界の判別を中止し、上記リーン限界補正値の修正を中止する。
【0023】
また、請求項5記載の発明では、リーン限界の判別に際し、最大燃焼圧力を得る所定クランク角毎に燃焼行程気筒の燃焼圧力をサンプリングし、この燃焼圧力を平均処理して燃焼圧力平均値を算出すると共に該燃焼圧力平均値に対する燃焼圧力分散値を算出する。そして、この燃焼圧力平均値及び燃焼圧力分散値に基づき算出した燃焼圧力変動率がリーン限界を判定するための判定値を上回るとき、リーン限界と判別する。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の一形態を説明する。
【0025】
先ず、図14に基づいてエンジンの全体構成について説明する。同図において、符号1は自動車等の車輌用のリーンバーンエンジン(以下、単に「エンジン」と略記する)であり、図においては水平対向型4気筒ガソリンエンジンを示す。このエンジン1のシリンダブロック1aの左右両バンクには、シリンダヘッド2がそれぞれ設けられ、各シリンダヘッド2に吸気ポート2aと排気ポート2bが形成されている。
【0026】
このエンジン1の吸気系は、各吸気ポート2aにインテークマニホルド3が連通され、このインテークマニホルド3に各気筒の吸気通路が集合するエアチャンバ4を介してスロットルチャンバ5が連通されている。そして、このスロットルチャンバ5の上流側に吸気管6を介してエアクリーナ7が取り付けられ、このエアクリーナ7がエアインテークチャンバ8に連通されている。
【0027】
また、上記スロットルチャンバ5には、アクセルペダルに連動するスロットル弁5aが設けられている。上記吸気管6には、スロットル弁5aをバイパスするバイパス通路9が接続され、このバイパス通路9に、アイドル時にその弁開度によって該バイパス通路9を流れるバイパス空気量を調整することでアイドル回転数を制御するアイドル回転数制御弁(ISC弁)10が介装されている。
【0028】
更に、上記インテークマニホールド3の各気筒の吸気ポート2aの直上流に、吸気流方向に指向してインジェクタ11が配設されている。
【0029】
図15に示すように、上記吸気ポート2aはストレートポート形状に形成されており、吸入空気量の少ない低,中負荷時には、吸気ポート2aのストレート形状による吸気流によって、燃焼室12に流入する混合気に該燃焼室12に対して同図に矢印で示すように縦方向の渦流いわゆるタンブル流が生じ、リーン空燃比制御時には、このタンブル流により層状燃焼が可能となり、リーンバーンが行われる。また、吸入空気量の多い高負荷時には、燃焼室12に流入する混合気がタンブル流によって流動強化されて、燃焼性が向上し、これとストイキオ(理論空燃比)制御(リッチ空燃比制御を含む)によりエンジン出力が確保される。尚、図15において、符号13は吸気弁、14は排気弁である。
【0030】
上記インジェクタ11は燃料供給路15を介して燃料タンク16に連通されており、この燃料タンク16にはインタンク式の燃料ポンプ17が設けられている。この燃料ポンプ17からの燃料が、上記燃料供給路15に介装された燃料フィルタ18を経て上記インジェクタ11及びプレッシャレギュレータ19に圧送され、このプレッシャレギュレータ19から上記燃料タンク16にリターンされて上記インジェクタ11への燃料圧力が所定の圧力に調圧される。
【0031】
一方、上記シリンダヘッド2の各気筒毎に、先端の放電電極20aを上記燃焼室12に露呈する点火プラグ20が取り付けられ、この点火プラグ20に、各気筒毎に配設された点火コイル21を介してイグナイタ22が接続されている。
【0032】
また、エンジン1の排気系としては、上記シリンダヘッド2の各排気ポート2bに連通するエキゾーストマニホルド23の集合部に排気管24が連通され、この排気管24に触媒コンバータ25が介装されてマフラ26に連通されている。
【0033】
次に、エンジン運転状態を検出するためのセンサ類について説明する。上記吸気管6のエアクリーナ7の直下流に、ホットワイヤ或いはホットフィルム等を用いた熱式の吸入空気量センサ27が介装され、更に、上記スロットルチャンバ5に設けられたスロットル弁5aに、スロットル開度センサ28aとスロットル弁5aの全閉でONするアイドルスイッチ28bとを内蔵したスロットルセンサ28が連設されている。
【0034】
また、エンジン1のシリンダブロック1aにノックセンサ29が取り付けられていると共に、シリンダブロック1aの左右バンクを連通する冷却水通路30に冷却水温センサ31が臨まされ、また、上記触媒コンバータ25の上流に空燃比センサの一例として、空燃比に応じてリニアな出力特性を有するリニアO2センサ(リニア空燃比センサ)32が配設されている。
【0035】
さらに、シリンダヘッド2の点火プラグ20の周囲に燃焼室12に対向して、該燃焼室12内の筒内圧力を検出する筒内圧力センサ33が各気筒毎に配設されている。
【0036】
また、エンジン1のクランクシャフト34に軸着するクランクロータ35の外周に、クランク角センサ36が対設され、更に、クランクシャフト34に対して1/2回転するカムシャフト37に連設するカムロータ38に、気筒判別用のカム角センサ39が対設されている。
【0037】
上記クランクロータ35は、図16に示すように、その外周に突起35a,35b,35c,35dが形成され、これらの各突起35a,35b,35cが、各気筒(#1,#2気筒と#3,#4気筒)の圧縮上死点前(BTDC)θ1,θ2,θ3の位置に形成されており、更に、突起35dが各気筒の圧縮上死点後(ATDC)θ4の位置に形成されている。本形態においては、θ1=97°CA,θ2=65°CA,θ3=10°CA,θ4=10°CAである。
【0038】
また、図17に示すように、上記カムロータ38の外周には、気筒判別用の突起38a,38b,38cが形成され、突起38aが#3,#4気筒のATDCθ5の位置に形成され、突起38bが3個の突起で構成されて最初の突起が#1気筒のATDCθ6の位置に形成されている。更に、突起38cが2個の突起で形成され、最初の突起が#2気筒のATDCθ7の位置に形成されている。本形態においては、θ5=20°CA,θ6=15°CA,θ7=20°CAである。
【0039】
そして、図9のタイムチャートに示すように、エンジン運転に伴いクランクシャフト34及びカムシャフト37の回転により上記クランクロータ35及びカムロータ38が回転して、クランクロータ35の各突起が上記クランク角センサ36によって検出され、クランク角センサ41からθ1,θ2,θ3,θ4(BTDC97°,65°,10°CA,ATDC10°)の各クランクパルスがエンジン1/2回転(180°CA)毎に出力される。一方、θ4クランクパルスとθ1クランクパルスとの間で上記カムロータ38の各突起が上記カム角センサ39によって検出され、カム角センサ39から所定数のカムパルスが出力される。
【0040】
そして、後述する電子制御装置50(図18参照)において、上記クランク角センサ36から出力されるクランクパルスの入力間隔時間Tθに基づいてエンジン回転数NEを算出し、また、各気筒の燃焼行程順(例えば、#1気筒→#3気筒→#2気筒→#4気筒)と、上記カム角センサ39からのカムパルスをカウンタによって計数した値とのパターンに基づいて、燃焼行程気筒、燃料噴射対象気筒や点火対象気筒の気筒判別を行う。
【0041】
尚、クランクロータ35の突起35dによるATDCθ4(ATDC10°CA)のクランクパルスは、図9に示すように、各気筒において最大燃焼圧力が得られる時点で燃焼圧力の検出タイミングを与えるためのもので、換言すれば、上記突起35は、各気筒において最大燃焼圧力が得られるタイミング位置に形成される。そして、電子制御装置50において、ATDCθ4クランクパルスが入力したとき、その時の燃焼行程気筒の筒内圧力センサ33からの出力信号を入力し、燃焼圧力をサンプリングする。
【0042】
上記インジェクタ11、点火プラグ20、ISC弁10等のアクチュエータ類に対する制御量の演算、制御信号の出力、すなわち空燃比制御を含む燃料噴射制御、点火時期制御、アイドル回転数制御等のエンジン制御は、図18に示す電子制御装置(ECU)50によって行われる。
【0043】
上記ECU50は、CPU51、ROM52、RAM53、バックアップRAM54、カウンタ・タイマ群55、及びI/Oインターフェイス56がバスラインを介して互いに接続されるマイクロコンピュータを中心として構成され、各部に安定化電源を供給する定電圧回路57、上記I/Oインターフェイス56に接続される駆動回路58及びA/D変換器59等の周辺回路が内蔵されている。
【0044】
なお、上記カウンタ・タイマ群55は、フリーランカウンタ、カム角センサ信号(カムパルス)の入力計数用カウンタ等の各種カウンタ、燃料噴射用タイマ、点火用タイマ、定期割り込みを発生させるための定期割り込み用タイマ、クランク角センサ信号(クランクパルス)の入力間隔計時用タイマ、エンジン始動後の経過時間を計時する始動後時間計時用タイマ、及びシステム異常監視用のウオッチドッグタイマ等の各種タイマを便宜上総称するものであり、その他、各種のソフトウエアカウンタ・タイマが用いられる。
【0045】
上記定電圧回路57は、2回路のリレー接点を有する電源リレー60の第1のリレー接点を介してバッテリ61に接続され、バッテリ61に、上記電源リレー60のリレーコイルがイグニッションスイッチ62を介して接続されている。また、上記定電圧回路57は、直接、上記バッテリ61に接続されており、イグニッションスイッチ62がONされて電源リレー60の接点が閉となるとECU50内の各部へ電源を供給する一方、上記イグニッションスイッチ62のON,OFFに拘らず、常時、上記バックアップRAM54にバックアップ用の電源を供給する。更に、上記バッテリ61には、燃料ポンプリレー63のリレー接点を介して燃料ポンプ17が接続されている。なお、上記電源リレー60の第2のリレー接点には、上記バッテリ61から各アクチュエータに電源を供給するための電源線が接続されている。
【0046】
上記I/Oインターフェイス56の入力ポートには、アイドルスイッチ28b、ノックセンサ29、クランク角センサ36、カム角センサ39、車速を検出するための車速センサ40、エンジン始動状態を検出するためスタータスイッチ41が接続されており、また、自動変速機搭載車(AT車)において自動変速機を電子制御する変速機制御装置45からの変速信号ラインが接続されており(手動変速機搭載車、いわゆるMT車の場合は、ニュートラル状態を検出するニュートラルスイッチ、及びクラッチペダルの操作状態を検出するクラッチスイッチを用いる)、更に、上記A/D変換器59を介して、吸入空気量センサ27、スロットル開度センサ28a、冷却水温センサ31、リニアO2センサ32、及び筒内圧力センサ33が接続されると共に、バッテリ電圧VBが入力されてモニタされる。
【0047】
一方、上記I/Oインターフェイス56の出力ポートには、ISC弁10、インジェクタ11、及び、燃料ポンプリレー63のリレーコイルが上記駆動回路58を介して接続されると共に、イグナイタ22が接続されている。
【0048】
上記CPU51では、ROM52に記憶されている制御プログラムに従って、I/Oインターフェイス56を介して入力されるセンサ・スイッチ類からの検出信号、及びバッテリ電圧等を処理し、RAM53に格納される各種データ、及びバックアップRAM54に格納されている各種学習値データ,ROM52に記憶されている固定データ等に基づき、燃料噴射量、点火時期、ISC弁10に対する駆動信号のデューティ比等を演算し、空燃比制御を含む燃料噴射制御、点火時期制御、アイドル回転数制御等のエンジン制御を行う。
【0049】
このようなエンジン制御系において、ECU50では、燃焼圧力変動率に基づいてリーン限界を判別し、この判別結果に応じてリーン限界補正値KSURGEを設定する。そして、エンジン運転状態に基づいて設定した基本減量値KLNMAPを上記リーン限界補正値KSURGEにより補正して目標リーン減量係数KLEANを設定し、エンジン運転状態に応じて設定される各種補正項に対し上記目標リーン減量係数KLEANを減算項として与え空気過剰率λの逆数として表される目標当量比KTGTを算出する。そして、この目標当量比KTGTによりエンジン運転状態に基づいて設定した燃料噴射量を補正して、エンジンへ供給する最終的な燃料噴射量を定める燃料噴射パルス幅Tiを設定する。
【0050】
すなわち、空気過剰率の逆数で表され燃料噴射量を空燃比補正するための目標当量比KTGTを算出するに際し、リーンバーンに対応して空燃比をリーン補正する目標リーン減量係数KLEANをエンジン運転状態に応じて設定される各種補正項に対しマイナス項で与える。更に、この目標リーン減量係数KLEANは、エンジン運転領域に応じ適正リーン空燃比を得るための燃料減量率を定める基本減量値KLNMAPをエンジン運転状態に基づいて設定し、この基本減量値KLNMAPを、燃焼圧力変動率に基づくリーン限界判別結果に応じて設定されるリーン限界補正値KSURGEにより補正して設定される。
【0051】
従って、ダイナミックレンジすなわち領域間における変化量の大きい目標空燃比を直接採用することなく実現でき、リーンバーンに対応して空燃比をリーン補正するための目標リーン減量係数KLEANを、空気過剰率の逆数で表され燃料噴射量を空燃比補正するための目標当量比KTGTの一つの補正項として該目標当量比KTGTの演算式に組み込み、このリーン減量係数KLEANの設定に際して、基本減量値KLNMAPリーン限界に応じて設定されるリーン限界補正値KSURGEを乗算して補正するため、目標空燃比全体をリーン限界に応じて補正するのと異なり、目標当量比KTGTの演算式中の一つの補正項によるダイナミックレンジの小さい部分的な補正で対応することが可能となり、運転領域毎に要求される目標空燃比が大きく相違してもリーン限界に対する空燃比補正を的確に行うことができ、制御収束性及び空燃比制御性を向上することが可能となる。
【0052】
また、この燃料噴射制御に空燃比フィードバック制御を組み込み、リニアO2センサ32の出力電圧(出力値)VO2に基づいて排気当量比EXRを検出する。そして、上記目標当量比KTGTと排気当量比EXRとの比較結果に応じて空燃比フィードバック補正係数LAMBDAを設定し、エンジン運転状態に基づいて設定した燃料噴射量を上記目標当量比KTGT及び上記空燃比フィードバック補正係数LAMBDAによって補正してエンジンへ供給する最終的な燃料噴射量を定める燃料噴射パルス幅Tiを設定する。
【0053】
すなわち、空気過剰率λの逆数で表され燃料噴射量を空燃比補正するための目標当量比KTGTは、リーンバーンに対応して空燃比をリーン補正する目標リーン減量係数KLEANを、エンジン運転状態に応じて設定される各種補正項に対しマイナス項で与えて算出される。更に、この目標リーン減量係数KLEANは、エンジン運転状態に応じて設定された基本減量値KLNMAPを、燃焼圧力変動率に基づくリーン限界判別結果に応じて設定されるリーン限界補正値KSURGEにより補正して設定される。そして、この目標当量比KTGTとリニアO2センサ32の出力電圧VO2に基づいて検出した排気当量比EXRとの比較結果に応じ、燃料噴射量をフィードバック補正するための空燃比フィードバック補正係数LAMBDAを設定することで、リニアO2センサ32の出力特性が経時変化やばらつき等によって変化し、空燃比フィードバックの初期目標値に対し目標値が変化しても、リーン限界補正により目標空燃比を得るための目標当量比KTGTが修正され、この目標当量比KTGTとの比較結果に応じて設定される空燃比フィードバック補正係数LAMBDAが修正されて、その結果、目標とするリーン運転時空燃比を適切に得ることが可能となる。
【0054】
従って、リーン限界検出制御による目標当量比KTGTの補正にて的確に対応されて、高い空燃比フィードバック制御精度を維持することが可能となり、経時変化やばらつき等によるリニアO2センサ32の出力特性の変化に対応して適正に空燃比フィードバック制御を行うことが可能となる。
【0055】
すなわち、ECU50は、本発明に係るリーン限界判別手段、リーン限界補正値設定手段、目標リーン減量係数設定手段、目標当量比算出手段、燃料噴射量設定手段の機能を有し、更に、排気当量比検出手段、空燃比フィードバック補正係数設定手段としての機能をも実現する。
【0056】
より詳細には、本実施の形態においては、最大燃焼圧力を得る所定クランク角すなわちATDCθ4クランクパルス入力毎に燃焼行程気筒#nの燃焼圧力Pをサンプリングし、この燃焼圧力Pを平均処理して燃焼圧力平均値Paveを算出すると共に該燃焼圧力平均値Paveに対する燃焼圧力分散値Psigを算出する。そして、この燃焼圧力平均値Pave及び燃焼圧力分散値Psigに基づいて燃焼圧力変動率Pxを算出し、この燃焼圧力変動率Pxをリーン限界を判断するための判定値Pxsと比較することでリーン限界か否かを判別する。そして、燃焼圧力変動率Pxが判定値Pxsを上回るとき、リーン限界と判断して上記リーン限界補正値KSURGEを減少修正し、一方、燃焼圧力変動率Pxが判定値Pxs以下のとき、非リーン限界と判断してリーン限界補正値KSURGEを増加修正する。
【0057】
そして、エンジン運転状態に基づいて設定した基本減量値KLNMAPを上記リーン限界補正値KSURGEにより補正して目標リーン減量係数KLEANを設定し、エンジン運転状態に応じて設定される各種補正項に対し上記目標リーン減量係数KLEANを減算項として与え空気過剰率λの逆数として表される目標当量比KTGTを算出する。また、リニアO2センサ32の出力電圧VO2に基づいて排気当量比EXRを検出し、上記目標当量比KTGTと排気当量比EXRとの比較結果に応じて空燃比フィードバック補正係数LAMBDAを設定する。そして、エンジン運転状態に基づいて設定した基本燃料噴射量を定める基本燃料パルス幅Tpを、上記目標当量比KTGT及び上記空燃比フィードバック補正係数LAMBDAによって補正してエンジンへ供給する最終的な燃料噴射量を定める燃料噴射パルス幅Tiを設定する。
【0058】
さらに、本実施の形態においては、リーン限界検出に際して条件判断を行い、エンジン運転領域がリーンバーン領域外の時、過渡運転状態時、及び、自動変速機搭載車(AT車)の場合には変速制御中の時、手動変速機搭載車(MT車)の場合は変速操作中の時の少なくとも一つの条件が成立するとき、燃焼圧力の検出、及びリーン限界の判別を中止して、リーン限界補正値KSURGEの修正を中止する。
【0059】
以下、上記ECU50によって実行される本発明に係る燃料噴射制御処理について、図2〜図8に示すフローチャートに従って説明する。
【0060】
先ず、イグニッションスイッチ62がONされ、ECU50に電源が投入されると、システムがイニシャライズされ、バックアップRAM54に格納されている各種学習値等のデータを除く、各フラグ、各カウンタ類が初期化される。そして、スタータスイッチ41がONされてエンジン1が起動すると、クランク角センサ36からのクランクパルス入力毎に、図2に示す気筒判別/エンジン回転数算出ルーチンが実行される。
【0061】
この気筒判別/エンジン回転数算出ルーチンでは、エンジン運転に伴いクランクロータ35が回転してクランク角センサ36からのクランクパルスが入力されると、先ず、ステップS1で、今回入力されたクランクパルスがθ1,θ2,θ3,θ4の何れのクランク角に対応する信号かをカム角センサ39からのカムパルスの入力パターンに基づいて識別し、ステップS2で、クランクパルスとカムパルスとの入力パターンから燃焼行程気筒、点火対象気筒、及び燃料噴射対象気筒等の気筒判別を行う。
【0062】
すなわち、図9のタイムチャートに示すように、例えば、前回クランクパルスが入力してから今回クランクパルスが入力されるまでの間にカムパルス入力があれば、今回のクランクパルスはθ1クランクパルスであると識別でき、更に次回入力されるクランクパルスはθ2クランクパルスと識別できる。
【0063】
また、前回と今回とのクランクパルス入力間にカムパルス入力がなく、前々回と前回のクランクパルス入力間にカムパルス入力が有ったときには、今回のクランクパルスはθ2クランクパルスと識別でき、次回入力されるクランクパルスはθ3クランクパルスと識別できる。また、前回と今回との間、及び前々回と前回とのクランクパルス入力間に、何れもカムパルス入力が無いときには、今回入力されたクランクパルスはθ3クランクパルスと識別でき、次回入力されるクランクパルスはθ4クランクパルスと判別できる。
【0064】
また、クランクパルス入力間に3回連続してカムパルス入力が無いときには、今回入力されたクランクパルスはθ4クランクパルスと識別でき、次回入力されるクランクパルスはθ1クランクパルスと識別できる。
【0065】
さらに、前回と今回とのクランクパルス入力間にカムパルスが3個入力(突起38bに対応するθ6カムパルス)したときには、次の圧縮上死点は#3気筒であり、現在の燃焼行程気筒は#1気筒であって、次のθ4クランクパルス入力時点での燃焼行程気筒#nは#3気筒と判別することができ、また、点火対象気筒は#3気筒、燃料噴射対象気筒は、その2つ後の#4気筒と判別することができる。また、前回と今回のクランクパルス入力間にカムパルスが2個入力(突起38cに対応するθ7カムパルス)したときには、次の圧縮上死点は#4気筒であり、現在の燃焼行程気筒は#2気筒であって、次のθ4クランクパルス入力時点での燃焼行程気筒#nは#4気筒と判別でき、また、点火対象気筒は#4気筒、燃料噴射対象気筒は#3気筒と判別できる。
【0066】
また、前回と今回のクランクパルス入力間にカムパルスが1個入力(突起38aに対応するθ5カムパルス)し、前の圧縮上死点判別が#4気筒であったときには、次の圧縮上死点は#1気筒であり、現在の燃焼行程気筒は#4気筒であって、次のθ4クランクパルス入力時点での燃焼行程気筒#nは#1気筒と判別でき、また、点火対象気筒は#1気筒、燃料噴射対象気筒は#2気筒と判別できる。同様に、前回と今回のクランクパルス入力間にカムパルスが1個入力し、前の圧縮上死点判別が#3気筒であったときには、次の圧縮上死点は#2気筒であり、現在の燃焼行程気筒は#3気筒であって、次のθ4クランクパルス入力時点での燃焼行程気筒#nは#2気筒と判別でき、また、点火対象気筒は#2気筒、燃料噴射対象気筒は#1気筒と判別できる。
【0067】
その後、ステップS2からステップS3へ進み、前記クランクパルス入力間隔計時用タイマによって計時された前回のクランクパルス入力から今回のクランクパルス入力までの時間、すなわちクランクパルス入力間隔時間(θ1クランクパルスとθ2クランクパルスの入力間隔時間Tθ12、θ2クランクパルスとθ3クランクパルスの入力間隔時間Tθ23、θ3クランクパルスとθ4クランクパルスの入力間隔時間Tθ34、或いはθ4クランクパルスとθ1クランクパルスの入力間隔時間Tθ41)を読み出し、クランクパルス入力間隔時間Tθを検出する。
【0068】
次いで、ステップS4へ進み、今回識別したクランクパルスに対応するクランクパルス間角度を読み出し、このクランクパルス間角度と上記クランクパルス入力間隔時間Tθとに基づいて現在のエンジン回転数NEを算出し、RAM53の所定アドレスにストアしてルーチンを抜ける。なお、上記クランクパルス間角度は既知であり、予めROM52に固定データとして記憶されているものであり、本実施の形態においては、θ1クランクパルスとθ2クランクパルス間の角度は32°CAであり、θ2クランクパルスとθ3クランクパルス間の角度は55°CA、θ3クランクパルスとθ4クランクパルス間の角度は20°CA、θ4クランクパルスとθ1クランクパルス間の角度は73°CAである。
【0069】
一方、システムイニシャライズ後、図3に示すリーン限界検出条件判別ルーチンが所定時間毎に実行される。
【0070】
このリーン限界検出条件判別ルーチンは、リーン限界検出に際して条件判断を行い、エンジン運転領域がリーンバーン領域外の時、過渡運転状態時、及び、自動変速機搭載車(AT車)の場合には変速制御中の時、手動変速機搭載車(MT車)の場合は変速操作中の時の少なくとも一つの条件が成立するとき、リーン限界検出の中止、すなわち燃焼圧力Pの検出及び燃焼圧力変動率によるリーン限界の判別を中止して、リーン限界補正値KSURGEの修正を中止するためのものである。
【0071】
次に、このリーン限界検出条件判別ルーチンについて説明すると、先ずステップS11で、後述する図5の目標当量比算出ルーチンにおいて設定される基本減量値KLNMAPを参照し、現在の運転領域がリーンバーンを実行する領域にあるか否かを判断する。
【0072】
上記基本減量値KLNMAPは、エンジン運転領域に応じ適正リーン空燃比を得るための燃料減量率を定めるためのもので、エンジン回転数NEとエンジン負荷を表す基本燃料噴射パルス幅Tp(=K×Q/NE;Qは吸入空気量、Kはインジェクタ特性補正定数)とに基づいて基本減量値テーブルを検索することにより設定される。この基本減量値テーブルは、図11に示すように、極低負荷低回転域及び高負荷領域においては、空燃比をストイキオ(或いはリッチ)に制御する領域であり、基本減量値KLNMAPがKLNMAP=0に設定され、基本減量値KLNMAPによる燃料減量補正無しの状態に設定される。また、極低負荷低回転域及び高負荷域を除く低負荷域及び中負荷域がリーン空燃比によりリーンバーンを行うリーンバーン領域であり、この領域において上記基本減量値KLNMAPがKLNMAP>0に設定され、燃料減量補正が行われる。
【0073】
従って、上記ステップS11においてKLNMAP=0で、基本減量値KLNMAPによる燃料減量補正無しのときは、リーンバーン領域外のストイキオ制御時(リッチ制御を含む)であって、リーン限界(空燃比リーンによる失火限界)を検出する必要が無く、従って、この時にはリーン限界検出条件の不成立と判断し、ステップS15へジャンプする。
【0074】
尚、後述の図5の目標当量比算出ルーチンにおいて未だ基本減量値KLNMAPが設定されていないときは、システムイニシャライズにより基本減量値KLNMAPを含む各データがクリアされており、従って、この時にはKLNMAP=0によりステップS11からステップS15へジャンプする。
【0075】
また、ステップS11においてKLNMAP≠0で、現在のエンジン運転状態がリーンバーン領域にあるときには、ステップS12へ進み、目標当量比算出ルーチンにおいて設定されるフル増量係数KFULLを参照する。
【0076】
上記フル増量係数KFULLは、加速或いは高速運転等によりエンジン運転状態が高回転及び高負荷との少なくとも一方の状態のときに、燃料増量補正により触媒温度の異常上昇を防止して触媒を保護すると共にエンジン出力を確保するためのものである。
【0077】
従って、上記ステップS12においてKFULL≠0で、フル増量係数KFULLによる燃料増量補正中の時には、少なくとも空燃比リーン制御が行われていないため、同様に、リーン限界を検出する必要が無く、従って、この時にもリーン限界検出条件の不成立と判断し、ステップS15へジャンプする。
【0078】
また、上記ステップS12で、KFULL=0のフル増量係数KFULLによる燃料増量補正が行われていないときには、ステップS13へ進み、更に、燃料カット中か否かを判断する。すなわち、燃料カット中の時には燃料が噴射されておらず、換言すれば、燃料カットによる失火状態にあり、このときリーン限界を検出すると誤検出を生じる。従って、この時にもリーン限界検出条件の不成立と判断し、ステップS15へジャンプする。
【0079】
さらに、上記ステップS13において燃料カットが行われていないときには、ステップS14へ進み、自動変速機を電子制御する変速機制御装置45からの変速信号ラインを介しての変速制御信号に基づいて変速制御中か否かを判断する。すなわち、変速制御中で変速機が変速される時には、エンジン回転数NEが急変し、これに対応して燃焼圧力Pも急変するため、このとき燃焼圧力に基づいてリーン限界を検出すると、リーン限界の誤検出を生じる。従って、変速制御中の時にもリーン限界検出条件の不成立と判断し、ステップS15へジャンプする。
【0080】
尚、上記ステップS14は自動変速機搭載車(AT車)に対応しているが、手動変速機搭載車(MT車)の場合には、ニュートラル状態を検出するニュートラルスイッチ、及びクラッチペダルの操作状態を検出するクラッチスイッチを用い、これらスイッチの作動状態から変速操作中か否かを判断し、変速中のとき、リーン限界検出条件の不成立と判断し、ステップS15へジャンプする。
【0081】
そして、ステップS14において変速制御中でないとき(MT車の場合は変速操作中でないとき)、すなわち、エンジン運転領域がリーンバーン領域にあり、且つ、フル増量係数KFULLが設定される加速或いは燃料カット中の減速或いは変速機の変速時等の過渡運転状態を除くエンジン運転状態にあり、確実にリーンバーンに対応して空燃比リーン制御が行われているときのみリーン限界検出条件の成立と判断して、ステップS16へ進み、更に、ステップS16以降の処理によってリーン限界検出条件成立の継続時間を判断する。
【0082】
一方、上記ステップS11〜S14の何れかでリーン限界検出条件の不成立時には、該当するステップからステップS15へ進み、リーン限界検出許可フラグFPERMをクリアしてリーン限界の検出を禁止し(FPERM←0)、ステップS20で、リーン限界検出条件成立の継続時間を計時する継続時間カウント値CTMをクリアして(CTM←0)、ルーチンを抜ける。
【0083】
また、リーン限界検出条件の成立により上記ステップS14からステップS16へ進むと、リーン限界検出許可フラグFPERMを参照する。このリーン限界検出許可フラグFPERMは、上記ステップS11〜S14による全ての条件が成立しリーン限界検出条件成立状態が設定時間以上継続したとき、セットされる。
【0084】
従って、FPERM=1のときには、既にリーン限界検出条件の成立状態が設定時間以上継続しリーン限界検出が許可されているため、そのままルーチンを抜ける。
【0085】
また、上記ステップS16においてFPERM=0のときには、ステップS17へ進み、ステップS17,S18で、リーン限界検出条件の成立状態が設定時間以上継続したか否かを判断する。すなわち、ステップS17では、上記継続時間カウント値CTMをカウントアップし(CTM←CTM+1)、続くステップS18で、この継続時間カウント値CTMをエンジン定常運転状態と見なし得る設定時間に対応する設定値TMSと比較する。
【0086】
そして、CTM<TMSのときには、そのままルーチンを抜け、CTM≧TMSでリーン限界検出条件成立の継続時間が上記設定値TMSにより定まる設定時間に達したとき、ステップS18からステップS19へ進み、リーン限界検出許可フラグFPERMをセットしてリーン限界の検出を許可し(FPERM←1)、上記ステップS20を経て上記継続時間カウント値CTMをクリアして、ルーチンを抜ける。
【0087】
そして、θ4クランクパルス入力毎に実行される図4に示すリーン限界補正値算出ルーチンにおいて、上記リーン限界検出許可フラグFPERMが参照され、リーン限界検出が許可されているときのみ、燃焼圧力変動率Pxに基づいてリーン限界を判別し、この判別結果に応じて、エンジン運転領域に対応して適正リーン空燃比を得るための燃料減量率を定める基本減量値KLNMAPを補正するためのリーン限界補正値KSURGEを設定する。
【0088】
次に、図4のリーン限界補正値算出ルーチンについて説明する。
【0089】
このリーン限界補正値算出ルーチンは、最大燃焼圧力を得るθ4クランクパルス入力毎に実行され、先ずステップS31で、上記リーン限界検出条件判別ルーチンによって設定されたリーン限界検出許可フラグFPERMを参照し、FPERM=0で、リーン限界検出が禁止されているときには、ステップS32へ進み、燃焼圧力Pのサンプリング数CNがシフトレジスタによって可能なデータ取扱数に対応する設定数に達したときセットされる燃焼圧力変動率算出許可フラグFDATAをクリアし(FDATA←0)、続くステップS33で、上記サンプリング数CNをクリアして(CN←0)、ルーチンを抜ける。
【0090】
一方、上記ステップS31においてFPERM=1で、リーン限界検出が許可されているときには、ステップS34へ進み、本ルーチンが実行されるθ4クランクパルス入力時点における現在の燃焼行程気筒#nを、上記気筒判別/エンジン回転数算出ルーチンにおける燃焼行程気筒データから特定し、続くステップS35で、該当燃焼行程気筒#nの筒内圧力センサ33による筒内圧力すなわち燃焼圧力P#nを読み込む。
【0091】
次いでステップS36で、シフトレジスタに格納されている各燃焼圧力データを下位ビットから上位ビットにかけて、1データづつ順次シフトさせ、最下位ビットに今回読み込んだ上記燃焼圧力P#nを格納して(PN←PN-1,PN-1←PN-2,…,P3←P2,P2←P1,P1←P#n)、ステップS37へ進む。
【0092】
ステップS37では、上記燃焼圧力変動率算出許可フラグFDATAを参照し、燃焼圧力Pのサンプリング数CNがシフトレジスタによって可能なデータ取扱数に対応する設定数に達したか否か、すなわち順次サンプリングした燃焼圧力データによってシフトレジスタの全ての領域に燃焼圧力が格納されたか否かを判断する。
【0093】
すなわち、上述のように上記燃焼圧力変動率算出許可フラグFDATAは、燃焼圧力Pのサンプリング数CNがシフトレジスタによって可能なデータ取扱数に対応する設定数に達したとき、セットされる。
【0094】
従って、FDATA=1のときには、既に順次サンプリングした燃焼圧力データによってシフトレジスタの全ての領域に燃焼圧力が格納されているため、ステップS42へジャンプして、ステップS42以降の処理により、シフトレジスタに格納されている各燃焼圧力Pを平均処理して燃焼圧力平均値Paveを算出すると共に該燃焼圧力平均値Paveに対する燃焼圧力分散値Psigを算出する。そして、この燃焼圧力平均値Pave及び燃焼圧力分散値Psigに基づいて燃焼圧力変動率Pxを算出し、この燃焼圧力変動率Pxをリーン限界を判断するための判定値Pxsと比較することでリーン限界か否かを判別する。そして、燃焼圧力変動率Pxが判定値Pxsを上回るとき、リーン限界と判断して上記リーン限界補正値KSURGEを減少修正し、また、燃焼圧力変動率Pxが判定値Pxs以下のとき、非リーン限界と判断してリーン限界補正値KSURGEを増加修正する。
【0095】
一方、上記ステップS37においてFDATA=0のときには、ステップS38へ進み、ステップS38,S39で、燃焼圧力Pのサンプリング数CNが、シフトレジスタによって可能なデータ取扱数に対応する設定数Nに達したか否かを判断する。すなわち、ステップS38では、上記サンプリング数CNをカウントアップし(CN←CN+1)、続くステップS39で、このサンプリング数CNを上記設定数Nと比較する。
【0096】
そして、CN<Nのときには、そのままルーチンを抜け、CN≧Nで燃焼圧力Pのサンプリング数CNが設定数Nに達し、順次サンプリングした燃焼圧力データによってシフトレジスタの全ての領域に燃焼圧力Pが格納されたとき、ステップS39からステップS40へ進み、燃焼圧力変動率算出許可フラグFDATAをセットし(FDATA←1)、続くステップS41で、上記サンプリング数CNをクリアして、ステップS42へ進む。
【0097】
そして、ステップS42で、シフトレジスタに格納されている全ての燃焼圧力Pを単純平均して燃焼圧力平均値Paveを算出し(Pave←(P1+P2+P3+…+PN-1+PN)/N)、ステップS43で、上記各燃焼圧力Pを用い、この燃焼圧力平均値Paveに対する燃焼圧力の分散度合いを表す燃焼圧力分散値Psigを、次式により算出する。
【0098】
【数1】
Figure 0004263258
次いでステップS44で、この燃焼圧力分散値Psigを上記燃焼圧力平均値Paveにより除算して燃焼圧力変動値Pxを算出して(Px←Psig/Pave)、ステップS45へ進む。
【0099】
ステップS45では、エンジン運転状態としてエンジン回転数NEとエンジン負荷を表す前記基本燃料噴射パルス幅Tpとに基づいて判定値テーブルを検索し補間計算によりリーン限界を判定するための判定値Pxsを設定する。
【0100】
上記判定値テーブルは、エンジン負荷を表す基本燃料噴射パルス幅Tpとエンジン回転数NEとによる領域毎に、空燃比リーンによる失火限界すなわちリーン限界での燃焼圧力変動率を予めシミュレーション或いは実験等により求め、このリーン限界での燃焼圧力変動率を判定値Pxsとして、基本燃料噴射パルス幅Tpとエンジン回転数NEとをパラメータとするテーブルとして設定し、ROM52の一連のアドレスにストアされているものである。
【0101】
上記判定値テーブルの一例を、図10に示す。この判定値テーブルには、基本燃料噴射パルス幅Tpが大きくエンジン回転数NEが高いほど、すなわち高負荷高回転であるほど、大きい値の判定値Pxsがメモリされている。
【0102】
すなわち、リーン限界はエンジン運転領域毎に異なり、また、燃焼圧力変動率Pxには、失火による燃焼圧力変動の他に、各気筒毎の燃焼圧力のばらつきが含まれている。この各気筒毎の燃焼圧力のばらつきは、吸入管形状の複雑化や気筒間の吸気干渉等による各気筒毎の吸気分配率の相違、冷却水による冷却順路によって生じる各気筒毎の燃焼圧力の相違、各気筒の燃焼室容積やピストン形状の製造上のばらつき、インジェクタの製造誤差等による燃料噴射量の違いから生じる各気筒の空燃比の僅かなばらつき、これらに起因して生じ、また、エンジン運転状態が高負荷高回転であるほど、これらによる影響が大きくなり、燃焼圧力のばらつきが大きくなる。
【0103】
従って、これに対応してエンジン運転状態が高負荷高回転であるほど、判定値Pxsを大きく設定することでリーン限界の誤判定を防止することが可能となる。
【0104】
次いでステップS46へ進み、上記ステップS44で算出した燃焼圧力変動率Pxを、エンジン運転状態に基づいて設定した上記判定値Pxsと比較する。
【0105】
そして、Px>Pxsで燃焼圧力変動率Pxが判定値Pxsを上回るとき、燃焼が不安定化して燃焼圧力変動が増大しリーン限界に達したと判断して、ステップS47へ進み、エンジン運転領域に応じ適正リーン空燃比を得るための燃料減量率を定める上記基本減量値KLNMAPをリーン限界に応じ補正するリーン限界補正値KSURGEから所定値SURG2を減算し、該リーン限界補正値KSURGEを減少修正して(KSURGE←KSURGE−SURG2)、ルーチンを抜ける。
【0106】
ここで、上記リーン限界補正値KSURGEは、後述の目標当量比算出ルーチンにおいて目標リーン減量係数KLEANの演算式に組み込まれ(図5のステップS55)、エンジン運転状態に応じて設定された基本減量値KLNMAPに該リーン限界補正値KSURGEを乗算して目標リーン減量係数KLEANが算出される。さらに、この目標リーン減量係数KLEANが目標当量比算出ルーチンで目標当量比KTGTの演算式においてマイナス項で与えられ(図5のステップS56)、この目標当量比KTGTが、燃料噴射量設定ルーチンにおいて燃料噴射量を定める燃料噴射パルス幅Tiの演算式に組み込まれることで(図8のステップS87)、燃料噴射量が上記所定値SURG2に対応する分、増量補正されて、空燃比が所定値SURG2による所定割合でリッチ側に修正され、空燃比リーンの度合いが減少される。これにより、リーン限界を超えたことによる燃焼状態の悪化や失火等が抑制され、リーンバーン時の燃焼状態の安定化が図られる。
【0107】
尚、ここで上記当量比は、空気過剰率λの逆数1/λであり、空気過剰率λは、λ=実空燃比/理論空燃比である。従って、上記目標当量比KTGTは、理論空燃比/目標空燃比として表される。
【0108】
一方、上記ステップS46においてPx≦Pxsで燃焼圧力変動率Pxが判定値Pxs以下の時には、非リーン限界でありリーン限界まで余裕があると判断して、ステップS48へ進み、上記リーン限界補正値KSURGEに所定値SURG1を加算し、該リーン限界補正値KSURGEを増加修正して(KSURGE←KSURGE+SURG1)、ルーチンを抜ける。
【0109】
その結果、非リーン限界時には、燃料噴射量が上記所定値SURG1に対応する分、更に減量補正されて、空燃比が所定値SURG1による所定割合でよりリーン側に修正され、空燃比リーンの度合いが増加される。これにより、リーン限界に余裕のあるときには、リーン限界に達するまで燃料減量補正され、リーンバーン時の燃焼状態の安定を維持しつつ、燃費の向上及び排気エミッションの改善(特に、NOxの低減)が図られる。
【0110】
従って、リーン限界に応じて上記リーン限界補正値KSURGEを修正することで、リーン限界に対応する適正なリーン空燃比での運転を行うことが可能となる。
【0111】
また、空気過剰率の逆数で表され燃料噴射量を空燃比補正するための目標当量比KTGTを算出するに際し、リーンバーンに対応して燃料噴射量を減量補正し空燃比をリーン補正するための目標リーン減量係数KLEANを、エンジン運転状態に応じて設定される各種補正項に対しマイナス項で与える。更に、この目標リーン減量係数KLEANは、エンジン運転領域に応じ適正リーン空燃比を得るための燃料減量率を定める基本減量値KLNMAPをエンジン運転状態に基づいて設定し、この基本減量値KLNMAPを、燃焼圧力変動率Pxに基づくリーン限界判別結果に応じて増減修正して設定されるリーン限界補正値KSURGEにより補正して設定される。
【0112】
従って、ダイナミックレンジすなわちエンジン領域間における変化量の大きい目標空燃比を直接採用することなく実現でき、リーンバーンに対応して空燃比をリーン補正するための目標リーン減量係数KLEANを、燃料噴射量を空燃比補正するための目標当量比KTGTの一つの補正項として該目標当量比KTGTの演算式に組み込み、この目標リーン減量係数KLEANの設定に際して、上記基本減量値KLNMAPリーン限界に応じて修正設定されるリーン限界補正値KSURGEを乗算して補正するため、目標当量比KTGTの演算式中の一つの補正項によるダイナミックレンジの小さい部分的な補正で対応することが可能となり、エンジン運転領域毎に要求される目標空燃比が大きく相違してもリーン限界に対する空燃比補正を的確に行うことができ、制御収束性及び空燃比制御性を向上することが可能となる。
【0113】
また、燃焼状態を表す直接的なパラメータである最大燃焼圧力を得る所定クランク角毎の燃焼圧力Pを採用し、且つ、上記設定数Nによる所定期間における各気筒の燃焼圧力Pを平均処理した燃焼圧力平均値Paveと、該燃焼圧力平均値Paveに対する燃焼圧力分散値Psigとにより燃焼圧力変動率Pxを算出し、この燃焼圧力変動率Pxに基づいてリーン限界を判断するので、的確に燃焼状態を判断することができ、且つ、一時的な燃焼圧力変動の影響を排除して適正にリーン限界を判断することが可能となる。更に、この判別結果に基づいて上記リーン限界補正値KSURGEを修正するため、リーンバーンに対応する空燃比リーン制御時には、常にリーン限界に相当する適正なリーン空燃比を得ることが可能となる。
【0114】
そして、以上のリーン限界補正値算出ルーチンにおいてリーン限界の判別結果に応じて増減修正されたリーン限界補正値KSURGEが、図5に示す目標当量比算出ルーチンにおいて読み出され、燃料減量により空燃比をリーンにするためのリーン減量係数KLEANの算出に用いられる。そして、このリーン減量係数KLEANが、目標当量比KTGTの演算式においてマイナス項で与えられ(図5のステップS56)、この目標当量比KTGTが、燃料噴射量設定ルーチンにおいて燃料噴射量を定める燃料噴射パルス幅Tiの演算式に組み込まれることで(図8のステップS87)、燃料噴射量が減量補正され、空燃比がリーンに制御される。
【0115】
次に、図5の目標当量比算出ルーチンについて説明する。
【0116】
この目標当量比算出ルーチンは、システムイニシャライズ後、所定周期毎に実行され、ステップS51で、エンジン回転数NEとエンジン負荷を表す基本燃料噴射パルス幅Tpとに基づいてROM52に格納されているフル増量係数テーブルを参照してフル増量係数KFULLを設定する。
【0117】
上記フル増量係数KFULLは、エンジン運転状態が高回転及び高負荷との少なくとも一方の状態のときに、燃料増量補正により触媒温度の異常上昇を防止して触媒を保護すると共にエンジン出力を確保するためのものである。
【0118】
上記フル増量係数テーブルの一例を、ステップS51中に示す。このフル増量係数テーブルにおいては、基本燃料噴射パルス幅Tpが大きいエンジン高負荷領域及びエンジン高回転領域との少なくとも一方の領域にあるとき、フル増量係数KFULLが、KFULL>0に設定される。そして、この領域がフル増量係数KFULLにより燃料増量補正が行われる、いわゆるフル増量領域となる。このフル増量領域外においては、フル増量係数KFULLが、KFULL=0に設定され、フル増量係数KFULLによる燃料増量補正は行われない。また、フル増量係数テーブルには、基本燃料噴射パルス幅Tpが大きくエンジン回転数NEが高いほど、すなわち高負荷高回転であるほど、大きい値のフル増量係数KFULLがメモリされている。
【0119】
続くステップS52では、始動後増量係数KASを設定する。この始動後増量係数KASは、エンジン始動直後のエンジン回転数の安定性を確保するためエンジン始動直後から所定期間燃料増量補正を行うためのもので、冷却水温センサ31による冷却水温度TWに基づいて初期値を設定し、ステップS52中に示すように、スタータスイッチ41のOFFによるエンジン始動後、KAS=0になるまで漸次的に減少される。
【0120】
次いでステップS53で、冷却水温度TWに基づいてテーブル参照により水温増量係数KTWを設定する。この水温増量係数KTWは、エンジン冷態時の運転性を確保するための燃料増量率を定めるものであり、ステップS53中に示すように、冷却水温度TWが低いほど、大きい値の水温増量係数KTWがテーブルにストアされている。
【0121】
そして、ステップS54で、エンジン運転状態としてエンジン負荷を表す基本燃料噴射パルス幅Tpとエンジン回転数NEとに基づいて基本減量値テーブルを検索し、エンジン運転領域に応じ適正リーン空燃比を得るための燃料減量率を定める基本減量値KLNMAPを設定する。
【0122】
上記基本減量値テーブルは、エンジン負荷を表す基本燃料噴射パルス幅Tpとエンジン回転数NEとによる領域毎に、適正空燃比を得るに的確な燃料減量率を予めシミュレーション或いは実験等により求め、この燃料減量率に対応し当量比に対する減算値を基本減量値KLNMAPとして、基本燃料噴射パルス幅Tpとエンジン回転数NEとをパラメータとするテーブルとして設定し、ROM52の一連のアドレスにストアされているものである。
【0123】
上記基本減量値テーブルの一例を、図11に示す。同図に示すように、極低負荷低回転領域及び高負荷領域においては、空燃比をストイキオ(或いはリッチ)に制御する領域であり、基本減量値KLNMAPが、KLNMAP=0に設定され、基本減量値KLNMAPによる燃料減量補正無しの状態に設定される。また、極低負荷低回転領域及び高負荷領域を除く低負荷及び中負荷領域がリーン空燃比によりリーンバーンを行うリーンバーン領域であり、この領域において上記基本減量値KLNMAPが、KLNMAP>0に設定されて、燃料減量補正が行われ空燃比がリーンに制御される。
【0124】
すなわち、リーンバーンを行うリーンバーン領域においては、上記リーン限界補正値KSURGEの補正対象となる基本減量値KLNMAPが、KLNMAP=0.31〜0.40の範囲で設定され、目標空燃比よりもダイナミックレンジが著しく狭い。
【0125】
従って、エンジン運転領域毎に要求される目標空燃比が大きく相違しても、このリーン限界補正値KSURGEによるリーン限界に対する空燃比補正が迅速且つ的確に行われ、エンジン運転領域の移行により目標空燃比が変化しても早期に追従し制御収束性及び空燃比制御性の向上を図ることが可能となる。
【0126】
次いでステップS55へ進み、上記リーン限界補正値算出ルーチンによりリーン限界に応じて修正設定されたリーン限界補正値KSURGEを読み出し、上記ステップS54においてエンジン運転状態に基づいて設定した基本減量値KLNMAPに上記リーン限界補正値KSURGEを乗算して、該基本減量値KLNMAPを上記リーン限界補正値KSURGEにより補正し目標リーン減量係数KLEANを設定する(KLEAN←KLNMAP×KSURGE)。
【0127】
そして、ステップS56で、エンジン運転状態に応じて設定された各種補正項に対し上記目標リーン減量係数KLEANを減算項として与え空気過剰率λの逆数として表される目標当量比KTGTを算出する。すなわち、上記フル増量係数KFULL、始動後増量係数KAS、水温増量係数KTW、及び上記目標リーン減量係数KLEANによって、目標空燃比を得るための補正係数として空気過剰率の逆数として表される目標当量比KTGTを次式により算出し、ルーチンを抜ける。
【0128】
KTGT←1+KFULL+KAS+KTW−KLEAN
また、図6及び図7に示す空燃比フィードバック補正係数設定ルーチンにおいて、リニアO2センサ32の出力電圧VO2に基づいて実空気過剰率の逆数としての排気当量比EXRを検出し、この排気当量比EXRと上記目標当量比KTGTとの比較結果に応じて空燃比フィードバック補正係数LAMBDAを設定する。そして、エンジン運転状態に基づいて設定した基本燃料噴射量を定める基本燃料パルス幅Tpを、上記目標当量比KTGT及び上記空燃比フィードバック補正係数LAMBDAによって補正してエンジンへ供給する最終的な燃料噴射量を定める燃料噴射パルス幅Tiを設定する。
【0129】
次に、図6及び図7の空燃比フィードバック補正係数設定ルーチンについて説明する。
【0130】
この空燃比フィードバック補正係数設定ルーチンは、システムイニシャライズ後、所定周期毎に実行され、先ず、ステップS61〜S63で、空燃比フィードバック条件が成立しているか否かを判断する。この空燃比フィードバック条件は、ステップS61で初期条件を判断し、NE≠0のエンジン回転状態で、且つスタータスイッチ41がOFF、且つ前記始動後時間計時用タイマにより計時されるスタータスイッチ41のOFFによるエンジン始動後の時間が設定時間(例えば、4sec)以上経過しており、初期条件が非成立のとき、且つ、ステップS62でリニアO2センサ32の出力電圧VO2が設定値以上或いは所定範囲の状態が設定時間以上継続しておりリニアO2センサ32が活性状態と判断され、且つ、ステップS63でクランプ条件非成立のエンジン定常運転状態のとき、空燃比フィードバック条件成立と判断する。
【0131】
上記ステップS61で、NE=0のエンジン非回転状態、或いはスタータスイッチ41がONのエンジンクランキング時、或いはエンジン始動後の時間が設定時間に達しておらず、初期条件の成立時、或いはステップS62でリニアO2センサ32が不活性状態のときには、ステップS64へ進み、空燃比フィードバック補正係数LAMBDAを、LAMBDA=1.0に固定してルーチンを抜ける。また、上記ステップS63で、加減速中、燃料カット中等、エンジン過渡運転状態のクランプ条件の成立時には、ステップS65へ進み、空燃比フィードバック補正係数LAMBDAを所定値(通常、1.0)にクランプしてルーチンを抜ける。その結果、空燃比フィードバック条件の非成立時には、空燃比オープンループ制御となる。
【0132】
一方、上記ステップS61〜S63の判断により空燃比フィードバック条件の成立時には、ステップS66へ進み、ステップS66以下の処理によりリニアO2センサ32の出力電圧に基づき検出した排気当量比EXRと上記目標当量比算出ルーチンにおいて算出された目標当量比KTGTとの比較結果に応じ比例積分制御(PI制御)によって空燃比フィードバック補正係数LAMBDAを設定する。
【0133】
ステップS66では、リニアO2センサ32の出力電圧VO2を読み込み、リニアO2センサ出力電圧VO2に基づいてテーブル参照等によって排気当量比EXRを検出する。
【0134】
すなわち、リニアO2センサ32の出力特性は、図12に示すように、排気当量比EXR=1/λ(=理論空燃比/実空燃比)に対しリニアな出力電圧VO2を出力する。従って、同図の実線で示すリニアO2センサ32の初期特性、中央値特性におけるリニアO2センサ出力電圧VO2に対応する排気当量比EXRを、予め実験等により求め、ステップS66中に示すように、リニアO2センサ出力電圧VO2をパラメータとするテーブルとして設定し、ROM52の一連のアドレスにメモリしておくことで、リニアO2センサ出力電圧VO2に基づいてテーブル参照により容易に排気当量比EXRを検出することが可能となる。
【0135】
尚、このリニアO2センサ32の出力特性は経時変化やばらつき等によって変化するが、このリニアO2センサ32の出力電圧VO2に基づく排気当量比EXRと上記目標当量比KTGTとの比較結果に応じて空燃比フィードバック補正係数LAMBDAを設定することで補償される。
【0136】
すなわち、上記目標当量比KTGTにおいて、リーンバーンに対応して空燃比をリーン補正する目標リーン減量係数KLEANがエンジン運転状態に応じて設定される各種補正項に対してマイナス項で与えられる(図5のステップS56)。更に、この目標リーン減量係数KLEANは、エンジン運転状態に応じて設定される基本減量値KLNMAPを、燃焼圧力変動率Pxに基づくリーン限界判別結果に応じて設定されるリーン限界補正値KSURGEによって補正して設定される。そして、この目標当量比KTGTとリニアO2センサ32の出力電圧VO2に基づいて検出した排気当量比EXRとの比較結果に応じ、燃料噴射量をフィードバック補正するための空燃比フィードバック補正係数LAMBDAを設定することで、リニアO2センサ32の出力特性が、図12に実線で示す初期特性、中央値特性に対し、同図に破線で示すように、経時変化やばらつき等によって変化し、空燃比フィードバックの初期目標値に対し目標値が変化しても、リーン限界補正により目標空燃比を得るための目標当量比KTGTが修正され、この目標当量比KTGTとの比較結果に応じて設定される空燃比フィードバック補正係数LAMBDAが修正される。その結果、図12に示すように、空燃比フィードバックの初期目標値とこのリーン限界補正後の目標値とにおいて、目標とするリーン運転時空燃比が一致し、目標とするリーン運転時空燃比を適切に得ることが可能となる。
【0137】
従って、リーン限界検出制御による目標当量比KTGTの補正にて的確に対応されて、この目標当量比KTGTとリニアO2センサ32の出力電圧VO2による排気当量比EXRとの比較結果に応じて空燃比フィードバック補正係数LAMBDAを設定することで、高い空燃比フィードバック制御精度を維持することが可能となり、経時変化やばらつき等によるリニアO2センサ32の出力特性の変化に対応して適正に空燃比フィードバック制御を行うことが可能となる。
【0138】
そして、ステップS67で、上記目標当量比算出ルーチンにおいて設定された目標当量比KTGTを読み出し、上記ステップS66で検出した排気当量比EXRを、該目標当量比KTGTと比較する。
【0139】
そして、EXR>KTGTで、目標当量比KTGTにより定まる目標空燃比に対して排気当量比EXRによる実空燃比がリッチのときには、ステップS68へ進み、反転初回判別フラグFRを参照する。
【0140】
この反転初回判別フラグFRは、目標当量比KTGTと排気当量比EXRとの比較により排気当量比EXRが目標当量比KTGTを横切った初回、すなわち目標当量比KTGTにより定まる目標空燃比に対し排気当量比EXRによる実空燃比がリーンからリッチに反転した初回、或いはリッチからリーンに反転した初回を判断するためのフラグであり、EXR≦KTGTからEXR>KTGTとなった後、すなわち目標空燃比に対し実空燃比がリーンからリッチに反転した後に0→1とされ、EXR>KTGTからEXR≦KTGTとなり目標空燃比に対し実空燃比がリッチからリーンに反転した後に1→0とされる。
【0141】
従って、EXR>KTGTで、且つFR=0のときには、目標空燃比に対し実空燃比がリーンからリッチに反転した初回であるため、上記ステップS68からステップS69へ進み、エンジン回転数NEとエンジン負荷を表す基本燃料噴射パルス幅Tpとに基づいてテーブル参照により空燃比フィードバック補正係数LAMBDAをマイナス方向にスキップさせるためのPI制御の比例定数PDを設定する。
【0142】
ステップS69中に示すように、上記テーブルには、基本燃料噴射パルス幅Tpが増加しエンジン回転数NEが高いほど、すなわち高負荷高回転であるほど、大きい値の比例定数PDがメモリされている。
【0143】
すなわち、エンジン運転状態が高負荷高回転であるほど、比例定数PDを大きくすることで、排気当量比EXRの目標当量比KTGTに対する収束性を向上し、逆に、低負荷低回転であるほど、比例定数PDを小さくすることで、低負荷低回転域での空燃比フィードバック制御による過補正を防止すると共に空燃比の安定性を向上する。
【0144】
そして、ステップS70で、空燃比フィードバック補正係数LAMBDAを上記比例定数PDによりマイナス方向へスキップさせ(LAMBDA←LAMBDA−PD)、ステップS71で、反転初回判別フラグFRをセットして(FR←1)、ルーチンを抜ける。
【0145】
また、上記ステップS67,S68において、EXR>KTGTで目標当量比KTGTにより定まる目標空燃比に対して排気当量比EXRによる実空燃比がリッチで、且つFR=1のときには、既に空燃比フィードバック補正係数LAMBDAに対し比例定数PDによるマイナス方向へのスキップが実行されているため上記ステップS68からステップS72へ進み、エンジン回転数NEとエンジン負荷を表す基本燃料噴射パルス幅Tpとに基づいてテーブル参照により空燃比フィードバック補正係数LAMBDAを漸次的に減少させるためのPI制御の積分定数IDを設定する。
【0146】
ステップS72中に示すように、このテーブルには、基本燃料噴射パルス幅Tpが増加しエンジン回転数NEが高いほど、すなわち高負荷高回転であるほど、大きい値の積分定数IDがメモリされている。
【0147】
すなわち、上記比例定数PDと同様に、エンジン運転状態が高負荷高回転であるほど、積分定数IDを大きくすることで、排気当量比EXRの目標当量比KTGTに対する収束性を向上し、逆に、低負荷低回転であるほど、積分定数IDを小さくすることで、低負荷低回転域での空燃比フィードバック制御による過補正を防止すると共に空燃比の安定性を確保する。
【0148】
そして、ステップS73で、空燃比フィードバック補正係数LAMBDAを上記積分定数IDによりルーチン実行毎に漸次減少させ(LAMBDA←LAMBDA−ID)、上記ステップS71を経てルーチンを抜ける。
【0149】
一方、上記ステップS67において、EXR≦KTGTで目標当量比KTGTにより定まる目標空燃比に対して排気当量比EXRによる実空燃比がリーンのときには、ステップS74へ分岐し、同様に反転初回判別フラグFRを参照する。そして、目標空燃比に対し実空燃比がリーンで、且つFR=1のときには、目標空燃比に対し実空燃比がリッチからリーンに反転した初回であるため、上記ステップS74からステップS75へ進み、エンジン回転数NEと基本燃料噴射パルス幅Tpとに基づいてテーブル参照により空燃比フィードバック補正係数LAMBDAをプラス方向にスキップさせるためのPI制御の比例定数PUを設定する。
【0150】
ステップS75中に示すように、上記テーブルには、上述のマイナス方向へのスキップを行わせるための比例定数PDと同様に、基本燃料噴射パルス幅Tpが増加しエンジン回転数NEが高いほど、すなわち高負荷高回転であるほど、大きい値の比例定数PUがメモリされている。
【0151】
そして、ステップS76で、空燃比フィードバック補正係数LAMBDAを上記比例定数PUによりプラス方向へスキップさせ(LAMBDA←LAMBDA+PU)、ステップS77で、反転初回判別フラグFRをクリアして(FR←0)、ルーチンを抜ける。
【0152】
また、上記ステップS67,S74において、EXR≦KTGTで目標当量比KTGTにより定まる目標空燃比に対して排気当量比EXRによる実空燃比がリーンで、且つFR=0のときには、既に空燃比フィードバック補正係数LAMBDAに対し比例定数PUによるプラス方向へのスキップが実行されているため上記ステップS74からステップS78へ進み、エンジン回転数NEと基本燃料噴射パルス幅Tpとに基づいてテーブル参照により空燃比フィードバック補正係数LAMBDAを漸次的に増加させるためのPI制御の積分定数IUを設定する。
【0153】
ステップS78中に示すように、上記テーブルには、上述のマイナス方向への積分定数IDと同様に、基本燃料噴射パルス幅Tpが増加しエンジン回転数NEが高いほど、すなわち高負荷高回転であるほど、大きい値の積分定数IUがメモリされている。
【0154】
そして、ステップS79で、空燃比フィードバック補正係数LAMBDAを上記積分定数IUによりルーチン実行毎に漸次増加させ(LAMBDA←LAMBDA+IU)、上記ステップS77を経てルーチンを抜ける。
【0155】
以上の排気当量比EXRと目標当量比KTGTとの比較結果に対する空燃比フィードバック補正係数LAMBDAの設定関係を、図13のタイムチャートに示す。
【0156】
すなわち、比例積分制御によって、EXR>KTGTで目標当量比KTGTにより定まる目標空燃比に対して排気当量比EXRによる実空燃比がリッチのときには、空燃比フィードバック補正係数LAMBDAが減少され、EXR≦KTGTで目標空燃比に対し実空燃比がリーンのときには空燃比フィードバック補正係数LAMBDAが増加される。そして、この空燃比フィードバック補正係数LAMBDAが、燃料噴射パルス幅Tiの演算式に組み込まれることで(図8のステップS87)、EXR>KTGTで目標空燃比に対し実空燃比がリッチのときには燃料噴射量が空燃比フィードバック補正係数LAMBDAによって減量補正され、また、EXR≦KTGTで目標空燃比に対して実空燃比がリーンのときには燃料噴射量が増量補正され、これによって排気当量比EXRが目標当量比KTGTに収束するよう、すなわち、排気当量比EXRによる実空燃比が、目標当量比KTGTにより定まる目標空燃比に収束するよう制御される。
【0157】
そして、上記目標当量比KTGT、及び上記空燃比フィードバック補正係数LAMBDAに応じて、図8に示す燃料噴射量設定ルーチンにおいて、気筒毎にエンジンに供給する最終的な燃料噴射量を定める燃料噴射パルス幅Tiが設定される。
【0158】
この燃料噴射量算出ルーチンは、所定周期(例えば、180°CA)毎に実行され、ステップS81で、エンジン回転数NEと吸入空気量センサ27からの出力信号に基づく吸入空気量Qとから、基本燃料噴射量を定める基本燃料噴射パルス幅Tpを算出し(Tp←K×Q/NE;Kはインジェクタ特性補正定数)、ステップS82,S83で、それぞれ上記目標当量比KTGT、空燃比フィードバック補正係数LAMBDAを読み出す。
【0159】
続くステップS84では、エンジン回転数NEとエンジン負荷を表す基本燃料噴射パルス幅Tpとに基づいてバックアップRAM54の一連のアドレスからなる空燃比学習値テーブルを参照して空燃比学習値KLRを検索し、補間計算により空燃比学習補正係数KBLRCを設定して、ステップS85へ進む。この空燃比学習補正係数KBLRCの基となる空燃比学習値KLRは、周知のように、エンジン回転数NEとエンジン負荷を表す基本燃料噴射パルス幅Tpとによるエンジン運転領域毎に、上記空燃比フィードバック補正係数LAMBDAの所定周期における平均値の基準値に対するずれに応じて学習され、吸入空気量センサ27等の吸入空気量計測系、及びインジェクタ11等の燃料供給系の生産時のバラツキや経時劣化等を補正するためのものである。
【0160】
そして、ステップS85へ進み、吸入空気量Q、冷却水温度TW、及びエンジン回転数NEに基づいて、燃料付着補正係数Kxを設定する。この燃料付着補正係数Kxは、周知のように、インジェクタ11からの噴射燃料の一部が吸気ポート壁面に付着することによる付着燃料量分を補償するためのもので、冷却水温度TWにより基本燃料付着率をテーブル参照等により設定し、この基本燃料付着率をエンジン回転数NEに基づき補正して燃料付着率を求め、更に、この燃料付着率と吸入空気量の加重平均値とによって該燃料付着補正係数Kxが設定される。
【0161】
次いでステップS86で、バッテリ電圧VBに基づきテーブル参照によりインジェクタ11の無効噴射時間を補償する電圧補正パルス幅TSを設定する。そして、ステップS87で、上記基本燃料噴射パルス幅Tpに、上記目標当量比KTGT及び空燃比フィードバック補正係数LAMBDAを乗算して空燃比補正すると共に、空燃比学習補正係数KBLRCを乗算して学習補正し、また、上記燃料付着補正係数Kxを乗算して燃料付着補正を行い、更に上記電圧補正パルス幅TSを加算して電圧補正し、エンジンへ供給する最終的な燃料噴射量を定める燃料噴射パルス幅Tiを算出する(Ti←Tp×KTGT×LAMBDA×KBLRC×Kx+TS)。
【0162】
そして、ステップS88で、上記燃料噴射パルス幅Tiを燃料噴射対象気筒の噴射タイマにセットしてルーチンを抜ける。
【0163】
その結果、所定タイミングで上記噴射タイマがスタートされ、上記燃料噴射パルス幅Tiの駆動パルス信号が燃料噴射対象気筒のインジェクタ11へ出力され、該インジェクタ11から所定に計量された燃料が噴射される。
【0164】
ここで、エンジン運転状態が低負荷及び中負荷のリーンバーン領域にあるときには、燃料減量率を定める基本減量値KLNMAPが、KLNMAP>0に設定される。また、このリーンバーン領域においてリーン限界を検出し、このリーン限界に応じてリーン限界補正値KSURGEが増減修正される。
【0165】
そして、上記基本減量値KLNMAPに該リーン限界補正値KSURGEを乗算して目標リーン減量係数KLEANが算出される。さらに、この目標リーン減量係数KLEANが、目標当量比算出ルーチンにおいてエンジン運転状態に応じて設定されるフル増量係数KFULL、始動後増量係数KAS、及び水温増量係数KTW等の各種補正項に対し、目標当量比KTGTの演算式においてマイナス項で与えられる(図5のステップS56)。そして、この目標当量比KTGTが、燃料噴射量設定ルーチンにおいて燃料噴射量を定める燃料噴射パルス幅Tiの演算式に組み込まれることで(図8のステップS87)、エンジン運転状態がリーンバーン領域にあるときには、燃料噴射量が減量補正され、空燃比がリーンに制御される。
【0166】
また、この空燃比リーン運転時において、燃焼圧力変動率Pxを算出し、該燃焼圧力変動率Pxが判定値Pxsを上回り、リーン限界に達したときには、上記リーン限界補正値KSURGEが所定値SURG2により減少修正される。その結果、燃料噴射量が上記所定値SURG2に対応する分、増量側に補正されて、空燃比が所定値SURG2による所定割合でリッチ側に修正され、空燃比リーンの度合いが減少される。これにより、リーン限界を超えたことによる燃焼状態の悪化や失火等が抑制され、リーンバーン時の燃焼状態の安定化が図られる。
【0167】
また、燃焼圧力変動率Pxが判定値Pxs以下で、リーン限界まで余裕があるときには、上記リーン限界補正値KSURGEが所定値SURG1により増加修正される。その結果、このときには、燃料噴射量が上記所定値SURG1に対応する分、更に減量補正されて、空燃比が所定値SURG1による所定割合でよりリーン側に修正され、空燃比リーンの度合いが増加される。これにより、リーン限界に余裕のあるときには、リーン限界に達するまで燃料減量補正され、リーンバーン時の燃焼状態の安定を維持しつつ、燃費の向上及び排気エミッションの改善が図られ、NOxの低減が可能となる。
【0168】
尚、本発明は、上記実施の形態に限定されず、例えば、上記形態においてはエンジン負荷として基本燃料噴射量を定める基本燃料噴射パルス幅Tpを採用しているが、エンジン負荷を表すものであればよく、これに限定されない。
【0169】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載の発明によれば、燃焼圧力変動率に基づいてリーン限界を判別し、この判別結果に応じてリーン限界補正値を設定する。そして、エンジン運転状態に基づいて設定した基本減量値上記リーン限界補正を乗算して目標リーン減量係数を設定し、エンジン運転状態に応じて設定される各種補正項を加算した加算項に対し上記目標リーン減量係数を減算項として与え空気過剰率の逆数として表される目標当量比を算出する。そして、この目標当量比によりエンジン運転状態に基づいて設定した燃料噴射量を補正して、エンジンへ供給する最終的な燃料噴射量を設定するので、リーンバーンに対応して空燃比をリーン補正するための目標リーン減量係数を目標当量比の一つの補正項として目標当量比の演算式に組み込み、このリーン減量係数の設定に際して、基本減量値リーン限界に応じて設定されるリーン限界補正値を乗算して補正するため、目標空燃比を直接採用することなく実現でき、この目標空燃比全体をリーン限界に応じて補正するのと異なり、目標当量比の演算式中の一つの補正項によるダイナミックレンジの小さい部分的な補正で対応することが可能となり、運転領域毎に要求される目標空燃比が大きく相違してもリーン限界に対する空燃比補正を的確に行うことができ、制御収束性及び空燃比制御性を向上することができる。
【0170】
また、1つのリーン限界補正値を全運転領域に反映することができ、制御系を簡素にして実現することが可能となり、エンジン運転状態の変化に伴い運転領域が移行し要求される目標空燃比が大きく変化した場合であっても、1つのリーン限界補正値によってリーン限界に応じて適切に空燃比補正を行うことができる。
【0171】
請求項2記載の発明によれば、燃焼圧力変動率に基づいてリーン限界を判別し、この判別結果に応じてリーン限界補正値を修正設定する。そして、エンジン運転状態に基づいて設定した基本減量値上記リーン限界補正値を乗算して目標リーン減量係数を設定し、エンジン運転状態に応じて設定される各種補正項を加算した加算項に対し上記目標リーン減量係数を減算項として与え空気過剰率の逆数として表される目標当量比を算出する。また、空燃比センサの出力値に基づき排気当量比を検出し、上記目標当量比と排気当量比との比較結果に応じて空燃比フィードバック補正係数を設定する。そして、エンジン運転状態に基づいて設定した燃料噴射量を上記目標当量比及び上記空燃比フィードバック補正係数により補正してエンジンへ供給する最終的な燃料噴射量を設定するので、空燃比センサの出力特性が経時変化やばらつき等によって変化し、空燃比フィードバックの初期目標値に対し目標値が変化しても、上記リーン限界補正値によるリーン限界補正によって目標空燃比を得るための目標当量比が修正され、この目標当量比との比較結果に応じて設定される空燃比フィードバック補正係数が修正される。その結果、空燃比フィードバックの初期目標値とこのリーン限界補正後の目標値とにおいて、目標とするリーン運転時空燃比が一致し、目標とするリーン運転時空燃比を適切に得ることができる。
【0172】
従って、上記請求項1記載の発明の効果に加え、リーン限界検出制御による目標当量比の補正にて的確に対応されて、この目標当量比と空燃比センサの出力値に基づき検出した排気当量比との比較結果に応じ空燃比フィードバック補正係数を設定することで、高い空燃比フィードバック制御精度を維持することが可能となり、経時変化やばらつき等による空燃比センサの出力特性の変化に対応して適正に空燃比フィードバック制御を行うことができる効果を有する。
【0173】
その際、請求項3記載の発明では、リーン限界補正値の設定に際し、リーン限界と判別されたとき、上記リーン限界補正値を減少修正し、非リーン限界のとき、リーン限界補正値を増加修正するので、上記請求項1或いは請求項2記載の発明の効果に加え、リーン限界のときには、リーン限界補正値の減少修正によって燃料噴射量がリッチ側に修正され空燃比リーンの度合いが減少されて、リーン限界を超えたことによる燃焼状態の悪化や失火等が抑制され、リーンバーン時の燃焼状態の安定化を図ることができる。また、非リーン限界のときには、リーン限界補正値の増加修正によって燃料噴射量が更に減量補正されリーン側に修正されて、空燃比リーンの度合いが増加され、従って、リーン限界に余裕のあるときには、リーン限界に達するまで燃料減量補正され、リーンバーン時の燃焼状態の安定を維持しつつ、燃費の向上及び排気エミッションの改善を図ることができる。
【0174】
請求項4記載の発明によれば、リーン限界検出条件を判断し、エンジン運転領域がリーンバーン領域外の時、過渡運転状態時、及び、自動変速機搭載車の場合には変速制御中の時、手動変速機搭載車の場合は変速操作中の時の少なくとも一つの条件が成立するとき、リーン限界の判別を中止し、リーン限界補正値の修正を中止するので、上記請求項1ないし請求項3の何れか一に記載の発明の効果に加え、エンジン運転領域がリーンバーン領域外、或いは過渡運転状態時におけるリーン限界補正値の誤修正を防止することができ、また、変速制御中或いは変速操作中においてエンジン回転数が急変し燃焼圧力変動率が急変することに起因するリーン限界の誤検出を防止して未然にリーン限界補正値の誤修正を防止することができる効果を有する。
【0175】
また、請求項5記載の発明では、リーン限界の判別に際し、最大燃焼圧力を得る所定クランク角毎に燃焼行程気筒の燃焼圧力をサンプリングし、この燃焼圧力を平均処理して燃焼圧力平均値を算出すると共に該燃焼圧力平均値に対する燃焼圧力分散値を算出する。そして、この燃焼圧力平均値及び燃焼圧力分散値に基づき算出した燃焼圧力変動率がリーン限界を判定するための判定値を上回るとき、リーン限界と判別するので、上記請求項1ないし請求項4の何れか一に記載の発明の効果に加え、燃焼状態を表す直接的なパラメータである最大燃焼圧力を得る所定クランク角毎の燃焼圧力を採用し、この燃焼圧力の平均値と該燃焼圧力平均値に対する燃焼圧力分散値とにより燃焼圧力変動率を算出し、この燃焼圧力変動率に基づいてリーン限界が判断されるため、的確にエンジン燃焼状態を判断することができ、且つ、一時的な燃焼圧力変動の影響を排除して適正にリーン限界を判断することができる。また、この判別結果に基づいて上記リーン限界補正値が修正されるため、リーンバーンに対応する空燃比リーン制御時には、常にリーン限界に相当する適正なリーン空燃比を得ることができる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基本構成図
【図2】気筒判別/エンジン回転数算出ルーチンのフローチャート
【図3】リーン限界検出条件判別ルーチンのフローチャート
【図4】リーン限界補正値算出ルーチンのフローチャート
【図5】目標当量比算出ルーチンのフローチャート
【図6】空燃比フィードバック補正係数設定ルーチンのフローチャート
【図7】空燃比フィードバック補正係数設定ルーチンのフローチャート(続き)
【図8】燃料噴射量設定ルーチンのフローチャート
【図9】クランクパルス、カムパルス、燃焼行程気筒、各気筒の筒内圧力、点火信号、及びインジェクタ駆動信号の関係を示すタイムチャート
【図10】判定値テーブルの説明図
【図11】基本減量値テーブルの説明図
【図12】リニアO2センサの出力特性を示す説明図
【図13】目標当量比と排気当量比との比較結果による空燃比フィードバック補正係数の設定状態を示すタイムチャート
【図14】エンジンの全体概略図
【図15】吸気系の要部詳細を示す説明図
【図16】クランクロータとクランク角センサの正面図
【図17】カムロータとカム角センサの正面図
【図18】電子制御系の回路構成図
【図19】従来例に係り、空燃比によるNOx排出量、燃費、及び燃焼圧力変動率の関係を示す説明図
【図20】同上、リニア空燃比センサの出力特性を示す説明図
【図21】同上、空燃比フィードバック制御を行った場合の補正状態を示す説明図
【符号の説明】
1 リーンバーンエンジン
11 インジェクタ
33 筒内圧力センサ
36 クランク角センサ
50 電子制御装置(リーン限界判別手段、リーン限界補正値設定手段、目標リーン減量係数設定手段、目標当量比算出手段、燃料噴射量設定手段、排気当量比検出手段、空燃比フィードバック補正係数設定手段)
Px 燃焼圧力変動率
KSURGE リーン限界補正値
KLNMAP 基本減量値
KLEAN 目標リーン減量係数
KFULL フル増量係数(各種補正項)
KAS 始動後増量係数(各種補正項)
KTW 水温増量係数(各種補正項)
λ 空気過剰率
KTGT 目標当量比
Tp 基本燃料噴射パルス幅(基本燃料噴射量)
Ti 燃料噴射パルス幅(最終的な燃料噴射量)
VO2 リニアO2センサ出力電圧(空燃比センサの出力値)
EXR 排気当量比
LAMBDA 空燃比フィードバック補正係数
#n 燃焼行程気筒
P 燃焼圧力
Pave 燃焼圧力平均値
Psig 燃焼圧力分散値
Pxs 判定値

Claims (5)

  1. エンジン運転状態に応じて燃料噴射量を補正し、リーンバーンに適合する燃料噴射量を設定するリーンバーンエンジンの燃料噴射制御装置において、
    燃焼圧力変動率に基づきリーン限界か否かを判別するリーン限界判別手段と、
    上記リーン限界の判別結果に応じてリーン限界補正値を設定するリーン限界補正値設定手段と、
    エンジン運転状態に基づいて設定した基本減量値上記リーン限界補正を乗算して目標リーン減量係数を設定する目標リーン減量係数設定手段と、
    エンジン運転状態に応じて設定される各種補正項を加算した加算項に対し上記目標リーン減量係数を減算項として与え、空気過剰率の逆数で表される目標当量比を算出する目標当量比算出手段と、
    エンジン運転状態に基づいて設定した燃料噴射量を上記目標当量比により補正してエンジンへ供給する最終的な燃料噴射量を設定する燃料噴射量設定手段とを備えたことを特徴とするリーンバーンエンジンの燃料噴射制御装置。
  2. エンジン運転状態に応じて燃料噴射量を補正し、リーンバーンに適合する燃料噴射量を設定するリーンバーンエンジンの燃料噴射制御装置において、
    燃焼圧力変動率に基づきリーン限界か否かを判別するリーン限界判別手段と、
    上記リーン限界の判別結果に応じてリーン限界補正値を修正設定するリーン限界補正値設定手段と、
    エンジン運転状態に基づいて設定した基本減量値上記リーン限界補正値を乗算して目標リーン減量係数を設定する目標リーン減量係数設定手段と、
    エンジン運転状態に応じて設定される各種補正項を加算した加算項に対し上記目標リーン減量係数を減算項として与え、空気過剰率の逆数で表される目標当量比を算出する目標当量比算出手段と、
    空燃比センサの出力値に基づき排気当量比を検出する排気当量比検出手段と、
    上記目標当量比と排気当量比との比較結果に応じて空燃比フィードバック補正係数を設定する空燃比フィードバック補正係数設定手段と、
    エンジン運転状態に基づいて設定した燃料噴射量を上記目標当量比及び上記空燃比フィードバック補正係数により補正してエンジンへ供給する最終的な燃料噴射量を設定する燃料噴射量設定手段とを備えたことを特徴とするリーンバーンエンジンの燃料噴射制御装置。
  3. 上記リーン限界補正値設定手段は、リーン限界と判別されたとき、上記リーン限界補正値を減少修正し、非リーン限界のとき、リーン限界補正値を増加修正することを特徴とする請求項1或いは請求項2記載のリーンバーンエンジンの燃料噴射制御装置。
  4. 上記リーン限界判別手段および上記リーン限界補正値設定手段は、エンジン運転領域がリーンバーン領域外の時、過渡運転状態時、及び、自動変速機搭載車の場合には変速制御中の時、手動変速機搭載車の場合には変速操作中の時の少なくとも一つの条件が成立するとき、リーン限界の判別を中止し、リーン限界補正値の修正を中止することを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れか一に記載のリーンバーンエンジンの燃料噴射制御装置。
  5. 上記リーン限界判別手段は、最大燃焼圧力を得る所定クランク角毎に燃焼行程気筒の燃焼圧力をサンプリングし、この燃焼圧力を平均処理して燃焼圧力平均値を算出すると共に該燃焼圧力平均値に対する燃焼圧力分散値を算出し、この燃焼圧力平均値及び燃焼圧力分散値に基づき算出した燃焼圧力変動率がリーン限界を判定するための判定値を上回るとき、リーン限界と判別することを特徴とする請求項1ないし請求項4の何れか一に記載のリーンバーンエンジンの燃料噴射制御装置。
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