JP4260907B2 - フィルム積層体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、フイルム積層体の製造方法に関する。さらに詳しくは、透明重合体フイルムまたはシート(以下透明重合体フイルムという)の表面平滑性を低下させることなく耐溶剤性に優れたガスバリア性、耐透湿性を有するフイルム積層体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリエチレンテレフタレートフイルムで代表される透明重合体フイルムは、包装材料、光学材料、照明材料、装飾材料、保護材料などとして多量に使用されている。しかし、ガスバリア性、耐透湿性に劣るため、該透明重合体フイルム単独では、スナック菓子包装、医薬品包装、炭酸飲料容器、EL表示素子保護材、液晶表示素子基材などには用いられない。
【0003】
これらの用途に上記透明重合体フイルムを供する場合には、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化エチレンなどの酸素透過度や水蒸気透過度が小さい重合体を主成分とする有機ガスバリア層をコーティングやラミネートにより積層して使用するか、あるいはケイ素、アルミニウムなどの金属酸化物を主成分にした無機ガスバリア層を、真空蒸着法、スパッタ法などにより積層して使用する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述の方法などにより積層されたガスバリア層を有する透明重合体フイルムは、一般に溶剤や薬品に対する耐久性に乏しく、溶剤に接触した場合に表面が白化したり、膨潤したりする。そのため、洗浄などのプロセスにおいて有機及び無機の溶剤に接触する用途においては、上記ガスバリア層を保護する目的で、さらにその外側に保護層を設ける必要がある。
【0005】
通常これらの保護層は、コーティング法などのウェット工程で積層されるが、ゴミの混入や表面の平滑性低下という短所があり、上記フィルム積層体を使った製品の歩留まりを低下させたり、精密な表面精度の要求される用途には使用できないという問題点があった。
【0006】
さらに、上述のような積層工程による製造では、透明重合体フイルムとガスバリア層、ガスバリア層と保護層の密着性を向上させる目的でさらにアンカーコート層やプライマー層が必要となり、層構成が複雑化するばかりでなく、溶剤を除去するための装置やそこで用いる熱エネルギーなどまでが必要になる。
本発明者らは、かかる問題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、本発明に到達した。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明のフイルム積層体の製造方法は、透明重合体フイルムの少なくとも片面に、金属酸化物を主成分とするガスバリア層及び架橋構造を有する有機物層が順次形成するようにしたフイルム積層体の製造方法において、前記架橋構造を有する有機物層が、前記透明重合体フイルムに形成した金属酸化物を主成分とするガスバリア層の表面に、10Torr以下の真空中で、エネルギーが0.5〜50Kvのイオンビームを照射しながら、ポリエステル、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリメチルメタクリレート又はポリテトラフルオロエチレンのシート成形物を蒸着材料として使用し、真空蒸着法、スパッタ法又はイオンプレーティング法を用いて形成されることを特徴とする。
上記の方法によって製造されたフイルム積層体は、透明重合体フイルムの表面平滑性を低下させることなく耐溶剤性に優れたガスバリア性、耐透湿性を有するフイルム積層体である。
【0008】
また、フイルム積層体の酸素透過度が10cc/m2・atm・day以下、水蒸気透過度が20g/m2・day以下であることができる。
このフイルム積層体は、ガスバリアー性が優れている。
【0009】
また、架橋構造を有する有機物層が、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、5%塩酸水溶液又は5%苛性ソーダの1又は複数の液体に接触した後も白化しないものであることができる。
この場合において、白化するかどうかの判定は、資料を40℃の雰囲気中で1時間保持した後、ピペットに採取した上記液体を該資料上に1ml滴下させ、10分間放置し、しかる後純水で洗浄し、80℃の雰囲気中で乾燥した後の資料と処理前の資料とを対比して判断する。
このフイルム積層体は、表面層が優れた耐溶剤性を有する。
【0010】
また、透明重合体フイルムが、ポリスチレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン又はポリアミドイミドの群より選ばれた重合体の1種又は2種以上からなるフイルムであることができる。
このフイルム積層体は、透明性、耐熱性が優れている。
【0012】
ここで、本発明に用いられる透明重合体フイルムは、ポリオレフィン、ポリメチルメタクリレート、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリサルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリレート、ポリアミドイミドなどの熱可塑性重合体、ポリマレイミド、ポリイミド、不飽和ポリエステル、エポキシなどの熱硬化性重合体からなるフイルムなどであるが、透明性、耐熱性の点からはポリスチレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、またはポリアミドイミドからなるフイルムが好ましい。なを、フイルムは無延伸、1軸延伸、2軸延伸のいずれのフイルムであってもよい。
【0013】
透明重合体フイルムのガラス転移点(Tg)もしくは熱変形温度は、60℃以上であるのが好ましく、さらに好ましくは120℃以上であり、よりさらに好ましくは150℃以上である。
【0014】
透明重合体フイルムの厚さは、25〜500ミクロンが好ましく、さらに好ましくは50〜200ミクロンである。
【0015】
また、透明重合体フイルムの全光線透過率は60%以上が好ましく、さらに好ましくは85%以上である。
【0016】
透明重合体フイルムの表面粗度は0.15ミクロン以下が好ましく、さらに好ましくは0.05ミクロン以下である。
【0017】
なお、透明重合体フイルムのレタデーション値は極端に小さいか、大きい場合が好ましく、小さい場合は30nm以下が好ましく、さらに好ましくは10nm以下である。大きい場合は、レタデーションの軸がそろっており、なおかつ1000nm以上であるのが好ましく、さらに好ましくは5000nm以上である。
【0018】
本発明でいう金属酸化物を主成分とするガスバリア層は、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化インジウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化カルシウム、酸化ジルコニウムなどから選ばれる1種又は2種以上から構成される。この中で好ましくは、酸化ケイ素もしくは酸化ケイ素と酸化アルミニウムとの混合物、あるいは化合物であり、さらに好ましくは酸化ケイ素薄膜の比重が1.8〜2.2、もしくは酸化ケイ素−酸化アルミニウム薄膜の比重が1.8〜3.3の範囲にあるものである。
【0019】
かかる金属酸化物を主成分とするガスバリア層の製膜には、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法などのPVD法(物理蒸着法)、あるいはCVD法(化学蒸着法)などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0020】
例えば、真空蒸着法においては、蒸着材料として酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化インジウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化カルシウム、酸化ジルコニウムのような酸化物や、アルミニウム、ケイ素、チタン、インジウム、マグネシウム、亜鉛、スズ、カルシウム、ジルコニウムのような金属のうち、これら酸化物や金属の単体もしくは混合物などが用いられる。
【0021】
また、真空蒸着時の加熱方式としては、抵抗加熱、高周波誘導加熱、電子ビーム加熱、レーザー加熱などを用いることができる。また、反応性ガスとして、酸素、窒素、水蒸気などを導入したり、オゾン添加、イオンアシストなどの手段を用いた反応性蒸着を用いても良い。また、透明重合体フイルムに直流、交流もしくは高周波バイアスなどを加えたり、透明重合体フイルム温度を上昇、あるいは冷却したりなど、本発明の目的を損なわない限りにおいて、作成条件を変更しても良い。
【0022】
スパッタ法においては、ターゲットとして酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化インジウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化カルシウム、酸化ジルコニウムのような酸化物や、アルミニウム、ケイ素、チタン、インジウム、マグネシウム、亜鉛、スズ、カルシウム、ジルコニウムのような金属のうち、これら酸化物や金属の単体もしくは混合物などが用いられる。また、スパッタ方式としては、イオンビームスパッタ法、直流/交流/高周波2極スパッタ法、熱陰極プラズマスパッタ法、マイクロ波スパッタ法、直流/高周波マグトロンスパッタ法、直流/高周波対向陰極スパッタ法、磁界圧着型スパッタ法などが用いられるが、これらのものに限定されるものではない。
【0023】
また、スパッタ法を行う際の雰囲気は、酸素、窒素、水蒸気などを導入したり、オゾン添加、イオンアシストなどの手段を用いた反応性スパッタを用いても良い。また、基材に直流、交流もしくは高周波バイアスなどを加えたり、基材温度を上昇、あるいは冷却したりなど、本発明の目的を損なわない限りにおいて、作成条件を変更しても良い。CVD法などの他の作成法でも同様である。
【0024】
架橋構造を有する有機物層を形成するためには、10Torr以下の減圧下、好ましくは5Torr以下の減圧下で製膜するのが好ましい。減圧下で製膜する手法としては、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法がある。
【0025】
真空蒸着法で用いる加熱方式としては、抵抗加熱、高周波誘導加熱、電子ビーム加熱、レーザー加熱などを用いることができる。また、反応性ガスとして、酸素、窒素、水蒸気などを導入したり、オゾン添加などの手段を用いた反応性蒸着を用いたり、基材表面にイオンビームを照射しながら蒸着しても良い。この時のイオンビームのエネルギーは、0.05〜50KVの範囲内であることが好ましい。また、イオン種としては水素、酸素、メタンなどの活性ガスや、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガスから生成されるイオンを用いるのが好ましいが、特にこれらに限定されない。また、基板に直流、交流もしくは高周波バイアスなどを加えたり、基板温度を上昇、あるいは冷却したりなど、本発明の目的を損なわない限りにおいて、作成条件を変更しても良い。スパッタ法に関しても同様である。
【0027】
本発明でいう架橋構造を有する有機物層を、前述の方法などにより得るための原料としては、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法などの方法を用いる場合は、ポリエステル、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリメチルメタクリレート、ポリテトラフルオロエチレンなどのシート成形物を使用することが好ましいが、これらに限定されるものではない。
【0029】
上述の方法などにより得られた架橋構造を有する有機物層は耐溶剤性が優れており、その表面上にN−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、5%塩酸水溶液又は5%苛性ソーダ水溶液から選ばれた1又は複数の液体に接触した後も表面が白化したり、膨潤したりしない。このことから、耐溶剤性に優れた架橋構造をとっていることがわかる。
かかる、架橋構造を有する有機物層は、金属酸化物を主成分とするガスバリア層を外部からの引っ掻きなどを伴う摺動による傷から保護するのに適している。
【0030】
また、透明重合体フイルムとガスバリア層との積層体上に形成された上記有機物層の表面平滑性は透明重合体フイルムの表面平滑性と実質的に変わりがなく、コーティング法などのウェット工程により同等の膜厚の皮膜を形成した場合に対し、表面平滑性において明らかな優位性を示している。
【0031】
本発明の方法によって製造されたフイルム積層体は、上述のごとく、透明重合体フイルムの表面平滑性を低下させることなく耐溶剤性に優れたガスバリア性を有するという特性を有する。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のフイルム積層体の製造方法の実施の形態を実施例に基づいて説明する。
【0033】
参考例
透明重合体フイルムとして厚さ100μmのポリアリレートフィルムを用いた。このフィルムの全光線透過率は90%、Tg=190℃、表面平滑性は5nmである。
真空槽内の第1室でこのフィルムの片側に、Siターゲット(純度99.99%)上にAlチップ(純度99.99%)を用い、直流放電式反応性スパッタ法で、酸化アルミニウム酸化ケイ素薄膜を形成した。フィルム送り速度は5m/minとし、800Å厚の薄膜を作成した。アルゴン及び酸素ガスを供給し、酸素雰囲気スパッタリング時圧力を1.0×10−2 Torrに固定した。スパッタ電力は2.5kWとした。
次いでポリアリレートフィルム/酸化アルミニウム酸化ケイ素薄膜積層体を真空を破ることなく連続的に真空槽内の第2室に搬送し、ポリメチルメタクリレート(PMMA)成型体をターゲットに用い、高周波放電式スパッタ法により架橋構造を有する有機層を形成した。この時の高周波出力は4kWとし、5000Åの薄膜を形成した。この時のフィルム送り速度は第1室と同じ5m/minとし、真空槽内へはアルゴンを供給することにより、スパッタリング時圧力を5mTorrにした。このポリアリレートフィルムの裏面にも同様の手法により酸化アルミニウム酸化ケイ素薄膜/PMMAスパッタ膜を形成した。
以上のようにして作製した積層体のガスバリア性、耐透湿性を評価した。
その結果、酸素透過度0.1cc/m2・atm・day、水蒸気透過度0.2g/m2・dayという極めて優秀なガスバリア性、耐透湿性を示した。全光線透過率は90%、表面平滑性は5nmであり、透明重合体フイルムであるポリアリレートフィルムと同じ値であった。また、この積層体をN−メチル−2−ピロリドンによる耐溶剤性テストを行った後も白化することがなく、全光線透過率は90%であった。
また、この積層体をN−メチル−2−ピロリドン耐溶剤性テストと同様にγ−ブチロラクトン、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、5%塩酸水溶液、5%苛性ソーダ水溶液によりそれぞれ耐溶剤性テストを行った後も白化することはなかった。
また上述の耐溶剤性テスト後も酸素透過度、水蒸気透過度、全光線透過率、表面平滑性とも変化することはなかった。
以上より、該積層体は光学特性、ガスバリア性、耐透湿性、表面平滑性、耐溶剤性に極めて優れていることがわかった。
【0034】
比較例1
参考例と同様のポリアリレートフィルムの両面に、参考例と同じ手法により、酸化アルミニウム酸化ケイ素薄膜を形成した。ただし、PMMAスパッタ膜を積層することは行わなかった。この積層体のガスバリア性、耐透湿性を評価した。
その結果、酸素透過度1.0cc/m2・atm・day、水蒸気透過度5.0g/m2・dayであり、ガスバリア性、耐透湿性ともに不十分であった。また、この積層体をN−メチル−2−ピロリドンによる耐溶剤性テストを行ったところ白化し、全光線透過率は55%であった。
また、この積層体をN−メチル−2−ピロリドン耐溶剤性テストと同様にγ−ブチロラクトン、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、5%塩酸水溶液、5%苛性ソーダ水溶液によりそれぞれ耐溶剤性テストを行った後も白化した。
以上より本積層体は、耐溶剤性が十分でないことがわかった。
【0035】
実施例1
透明重合体フイルムとして厚さ125μmのポリカーボネートフィルムを用いた。このフィルムの全光線透過率は90%、表面平滑性は4nmである。
真空槽内の第1室でこのフィルムの片側に、SiO2ターゲット(純度99.99%)を用い、高周波放電式反応性スパッタ法で、酸化ケイ素薄膜を形成した。この時、高周波として13.56MHz、フィルム送り速度は、5m/minとし、400Å厚の薄膜を作成した。アルゴン及び酸素ガスを供給し、酸素雰囲気スパッタリング時圧力を5.0×10−3Torrに固定した。スパッタ投入電力は5.0kWとした。ポリカーボネートフィルム/酸化ケイ素薄膜積層体を真空を破ることなく連続的に真空槽内の第2室に搬送し、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を蒸着材料とし、加熱方式として抵抗加熱方式を用いて、PFTE蒸着膜を積層した。この蒸着時に、ポリカーボネートフィルム/酸化ケイ素薄膜積層体上に45度の角度でイオンビームを照射した。イオン種としてHeイオンを用い、イオン加速電圧は1kVとした。この時、1μm厚の薄膜を形成し、フィルム送り速度は第1室と同じ5m/minとし、蒸着時圧力は5×10−4Torrにした。このポリカーボネートフィルムの裏面にも同様の手法により酸化ケイ素薄膜/PTFE蒸着膜を形成した。以上のようにして作製した積層体のガスバリア性、耐透湿性を評価した。
その結果、酸素透過度0.15cc/m2・atm・day、水蒸気透過度0.1g/m2・dayという極めて優秀なガスバリア性、耐透湿性を示した。全光線透過率は90%、表面平滑性は4nmであり、透明樹脂フィルム基材であるポリカーボネートフィルムと同じ値であった。
また、この積層体をN−メチル−2−ピロリドンによる耐溶剤性テストを行った後も白化することがなく、全光線透過率は90%であった。また、この積層体をN−メチル−2−ピロリドン耐溶剤性テストと同様にγ−ブチロラクトン、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、5%塩酸水溶液、5%苛性ソーダ水溶液によりそれぞれ耐溶剤性テストを行った後も白化することはなかった。
また、上述の耐溶剤性テスト後も酸素透過度、水蒸気透過度、全光線透過率、表面平滑性とも変化することはなかった。
以上より、該積層体は光学特性、ガスバリア性、耐透湿性、表面平滑性、耐溶剤性に極めて優れていることがわかった。
【0036】
比較例2
実施例1と同様のポリカーボネートフィルムの両面に、実施例1と同じ手法により、酸化ケイ素薄膜を形成した。さらに、PTFE蒸着膜を積層したが、この際にHeイオンビームの照射は行わなかった。この積層体のガスバリア性、耐透湿性を評価した。
その結果、酸素透過度3.0cc/m2・atm・day、水蒸気透過度5g/m2・dayであり、ガスバリア性、耐透湿性ともに十分であった。
また、この積層体をN−メチル−2−ピロリドンによる耐溶剤性テストを行ったところ白化し、全光線透過率は45%であった。
また、この積層体をN−メチル−2−ピロリドン耐溶剤性テストと同様にγ−ブチロラクトン、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、5%塩酸水溶液、5%苛性ソーダ水溶液によりそれぞれ耐溶剤性テストを行った後も白化した。
以上より本積層体は、耐溶剤性が十分でないことがわかった。
【0037】
実施例2
透明重合体フイルムとして厚さ100μmのポリアミドイミドフィルムを用いた。このフィルムの全光線透過率は90%、Tg=290℃、表面平滑性は5nmである。
真空槽内の第1室でこのフィルムの片側に、Siターゲット(純度99.99%)上にAlチップ(純度99.99%)を用い、直流放電式反応性スパッタ法で、酸化アルミニウム酸化ケイ素薄膜を形成した。フィルム送り速度は、10m/minとし、200Å厚の薄膜を作成した。アルゴン及び酸素ガスを供給し、酸素雰囲気スパッタリング時圧力を10mTorrに固定した。スパッタ電力は5.0kWとした。
このポリアミドイミドフィルム/酸化アルミニウム酸化ケイ素薄膜積層体を真空を破ることなく連続的に真空槽内の第2室に搬送し、プラズマ重合法を用いてポリアミドイミドフィルム/酸化アルミニウム酸化ケイ素薄膜積層体の上部に5000Åのポリアミドイミド薄膜層を形成した。該ポリアミドイミド層を製膜するために、重合法モノマーとしてトリメリット酸無水物及びイソホロンジイソシアネートを用い、真空槽内への両モノマーの供給量がなどモルとなるようにした。この時のフィルム送り速度は第1室と同じ10m/min、圧力を0.5Torr、印可高周波は13.56MHz、印可電力は2.0kW、基板温度は100℃にした。
以上のようにして作製した積層体のガスバリア性、耐透湿性を評価した。
その結果、酸素透過度0.2cc/m2・atm・day、水蒸気透過度0.3g/m2/dayという極めて優秀なガスバリア性、耐透湿性を示した。全光線透過率は90%、表面平滑性は5nmであり、透明樹脂フィルム基材であるポリアミドイミドフィルムと同じ値であった。
また、この積層体をN−メチル−2−ピロリドンによる耐溶剤性テストを行った後も白化することがなく、全光線透過率は90%であった。
また、この積層体をN−メチル−2−ピロリドン耐溶剤性テストと同様にγ−ブチロラクトン、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、5%塩酸水溶液、5%苛性ソーダ水溶液によりそれぞれ耐溶剤性テストを行った後も白化することはなかった。
また上述の耐溶剤性テスト後も酸素透過度、水蒸気透過度、全光線透過率、表面平滑性とも変化することはなかった。
以上より、該積層体は光学特性、ガスバリア性、耐透湿性、表面平滑性、耐溶剤性に極めて優れていることがわかった。
【0038】
比較例3
実施例2と同様のポリアミドイミドフィルムの両面に、実施例2と同じ手法により、酸化アルミニウム酸化ケイ素薄膜を形成した。第2室の圧力を20Torrにする以外は実施例2と同様の方法によりポリアミドイミド薄膜層を積層した。
その結果得られたポリアミドイミド薄膜は、着色しており、基材に対する付着力も脆く剥がれ落ちてしまった。
【0039】
【発明の効果】
請求項1記載の発明の方法によって製造されたフイルム積層体は、透明重合体フイルムの表面平滑性を低下させることなく優れた耐溶剤性、ガスバリア性、耐透湿性を有する。
請求項2記載の発明の方法によって製造されたフイルム積層体は、特に優れたガスバリア性、耐透湿性を有する。
請求項3記載の発明の方法によって製造されたフイルム積層体は、特に表面が強靱な耐溶剤性を有する。
請求項4記載の発明の方法によって製造されたフイルム積層体は、特に優れた透明性、耐熱性を有する。
Claims (4)
- 透明重合体フイルムの少なくとも片面に、金属酸化物を主成分とするガスバリア層及び架橋構造を有する有機物層が順次形成するようにしたフイルム積層体の製造方法において、前記架橋構造を有する有機物層が、前記透明重合体フイルムに形成した金属酸化物を主成分とするガスバリア層の表面に、10Torr以下の真空中で、エネルギーが0.5〜50Kvのイオンビームを照射しながら、ポリエステル、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリメチルメタクリレート又はポリテトラフルオロエチレンのシート成形物を蒸着材料として使用し、真空蒸着法、スパッタ法又はイオンプレーティング法を用いて形成されることを特徴とするフイルム積層体の製造方法。
- フイルム積層体の酸素透過度が10cc/m2・atm・day以下、水蒸気透過度が20g/m2・day以下であることを特徴とする請求項1記載のフイルム積層体の製造方法。
- 架橋構造を有する有機物層が、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、5%塩酸水溶液又は5%苛性ソーダ水溶液から選ばれた1又は複数の液体に接触した後も白化しないことを特徴とする請求項1又は2記載のフイルム積層体の製造方法。
- 透明重合体フイルムが、ポリスチレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン又はポリアミドイミドの群より選ばれた1又は2以上の重合体からなるフイルムであることを特徴とする請求項1、2又は3記載のフイルム積層体の製造方法。
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