JP4259017B2 - 内燃機関の可変動弁装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は内燃機関の可変動弁機構に関するものであり、特に始動時や異常時におけるバルブ特性を調整する可変動弁装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関の吸気バルブのバルブ作用角とバルブリフト量とを運転状態に応じて調整するために、吸気カムのノーズの高さが軸方向に次第に高くなっている3次元カムを設けたカムシャフトを、軸方向に移動させる可変動弁装置が知られている(特開平10−121925号公報)。このような可変動弁装置を利用して、3次元カムの形状を、全くバルブ作用角及びバルブリフト量が無い、あるいはほとんど無い状態から最大の状態までを実現できるようにすることで、スロットルバルブによらずに吸気バルブで吸入空気量を調整するシステムが考えられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような吸入空気量調整システムに3次元カムを利用した場合には、始動時において困難な問題が生じる。すなわち、バルブ作用角及びバルブリフト量を変更するために3次元カムのカム面には軸方向に対して傾斜が設けられているが、この傾斜により、3次元カムのカム面に当接しているバルブリフタ側から、3次元カムがバルブ作用角及びバルブリフト量を小さくする方向のスラスト力を受ける。このため、内燃機関の停止に伴ってカムシャフトを移動させる油圧アクチュエータが停止した場合には、このスラスト力によりカムシャフトが自然に移動して、バルブ作用角及びバルブリフト量が最小の位置となる。したがって、始動時には最小のバルブ作用角及びバルブリフト量にてクランキングされることになる。
【0004】
又、内燃機関停止中には最小のバルブ作用角及びバルブリフト量に戻っていなくても、始動時のクランキングにより、3次元カムは前記スラスト力を強く受けて、やはり最小のバルブ作用角及びバルブリフト量に戻ってしまう。油圧アクチュエータは、内燃機関の駆動力により生じる油圧により機能しているので、始動時には油圧がほとんど無く、油圧アクチュエータにて適切なバルブ作用角及びバルブリフト量に調整することはできない。
【0005】
このため、吸入空気量が不十分な状態あるいは全く得られない状態で、クランキングが行われることになり、燃焼が良好に行われず始動性に問題が生じる。特に、冷間時では始動性の悪化が顕著となる。
【0006】
このような問題は、3次元カムを用いた可変動弁装置のみでなく、他の構成にてバルブ作用角とバルブリフト量との一方又は両方を連続的に可変とする可変動弁装置にも同様に生じる。
【0007】
更に、バルブ作用角やバルブリフト量ばかりでなく、バルブタイミングを連続的に可変とする可変動弁装置においても、同様に始動性に問題を生じる。すなわち、このバルブタイミングを連続的に可変とする可変動弁装置の場合は、3次元カムに限らず、通常の平カムも用いられるが、いずれにしても、バルブリフタ側からバルブタイミングを遅角する方向のスラスト力を強く受けて、少なくとも内燃機関始動時には最遅角の状態となる。このような最遅角の状態では、例えば吸気バルブの場合では閉弁タイミングが遅くなり、燃焼室内の吸気が再度吸気バルブから吸気管に戻って、十分に体積効率が上昇せずに、始動が困難となるおそれがある。
【0008】
更に、始動時ばかりでなく、上述した可変動弁装置における作動に異常が生じた場合にも、吸入空気量が十分に得られなくなったり、バルブタイミングが最遅角に固定されたり、あるいは吸入空気量やバルブタイミングが不適切な状態となったりして、退避走行自体が困難あるいは不可能となるおそれがある。
【0009】
本発明は、バルブ作用角、バルブリフト量あるいはバルブタイミングを連続的に可変とする可変動弁装置にあって、上述したごとくの始動性の悪化を抑制すること及び異常時における内燃機関の運転継続を確保することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
(1)請求項1に記載の発明は、吸気バルブのバルブ作用角及びバルブリフト量の少なくとも一方を連続的に変更する可変動弁機構と、前記吸気バルブのバルブ作用角及びバルブリフト量の少なくとも一方が最小値以外のものとなる前記可変動弁機構の状態について、機関始動時にこれを維持する始動時リフト調整手段とを備える内燃機関の可変動弁装置において、前記可変動弁機構は、クランクシャフトにより駆動されて前記吸気バルブを開閉するカムシャフトと、このカムシャフトとは別のものであって、機関本体に対する軸方向への移動が許容されるコントロールシャフトと、このコントロールシャフトに対する揺動が許容される状態で同シャフトにより支持されて、前記カムシャフトの回転を通じて前記コントロールシャフトに対して揺動し、この揺動を通じて前記吸気バルブを開弁側に駆動するものであって、前記カムシャフトのカムから力が付与される入力部と、開弁側に駆動する力を前記吸気バルブに付与する出力部とを備えるとともに、前記コントロールシャフトの軸方向への移動を通じて前記入力部と前記出力部との回転位相の差である相対位相差が変更される仲介駆動機構と、液圧シリンダに対してピストンを移動させるものであって、このピストンの移動を通じて前記コントロールシャフトを軸方向へ移動させることにより前記仲介駆動機構の相対位相差を変更するアクチュエータとを含めて構成されるとともに、前記仲介駆動機構の相対位相差の変更を通じて前記吸気バルブのバルブ作用角及びバルブリフト量の少なくとも一方を変更するものであり、前記始動時リフト調整手段は、前記吸気バルブのバルブ作用角及びバルブリフト量の少なくとも一方が前記最小値となる前記仲介駆動機構の相対位相差を最小相対位相差として、機関始動時に前記コントロールシャフトの軸方向への移動を規制して前記仲介駆動機構の相対位相差を前記最小相対位相差以外のところに維持し、これにより前記吸気バルブのバルブ作用角及びバルブリフト量の少なくとも一方が前記最小値以外のものとなる前記可変動弁機構の状態を維持するものであることを要旨としている。
【0011】
このように、始動時リフト調整手段により、少なくとも内燃機関始動時には、前記可変動弁機構を、バルブ作用角とバルブリフト量との一方又は両方が最小値以外となる状態にしているので、始動時における吸入空気量が改善される。このため始動性の悪化を抑制することができる。
また、可変動弁機構が前記カムシャフト及び前記仲介駆動機構及び前記アクチュエータを備える構成においても、始動時リフト調整手段にて、少なくとも内燃機関始動時には、アクチュエータにより仲介駆動機構の入力部と出力部との相対位相差を、前記最小値以外となる状態としている。このため始動時における吸入空気量が改善され、始動性の悪化を抑制することができる。
また、このように液圧シリンダの液圧を制御することによりコントロールシャフトを軸方向に移動させることで、入力部と出力部との相対位相差を可変とすることができる。したがってコントロールシャフトの移動を規制することで、容易に前記位相差が最小値以外となる状態とすることができる。
【0039】
(2)請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の内燃機関の可変動弁装置において、前記始動時リフト調整手段は、前記仲介駆動機構の相対位相差を前記最小相対位相差に向けて変更する前記コントロールシャフトの移動方向を縮小方向とし、この縮小方向において前記コントロールシャフトが移動することのできる位置の限界である移動位置限界について、これを設定するサブアクチュエータを備えることを要旨としている。
【0040】
このようにサブアクチュエータを設けることにより、少なくとも始動時にはサブアクチュエータの限界設定機能により前記最小値側へのコントロールシャフトの移動位置の限界を設定して始動を容易にすることができる。そして始動後の適切なタイミングにおいてサブアクチュエータの限界設定機能を停止することによりコントロールシャフトに対する規制を解いて、バルブ作用角、バルブリフト量あるいは入力部と出力部との相対位相差を内燃機関の運転状態に適合させて広範囲に設定することができるようになる。
【0041】
(3)請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の内燃機関の可変動弁装置において、前記始動時リフト調整手段は、機関始動時に前記サブアクチュエータを通じて前記移動位置限界を設定することにより前記吸気バルブのバルブ作用角及びバルブリフト量の少なくとも一方が前記最小値以外のものとなる前記可変動弁機構の状態を維持することを要旨としている。
【0042】
(4)請求項4に記載の発明は、請求項2または3に記載の内燃機関の可変動弁装置において、前記始動時リフト調整手段は、前記サブアクチュエータにより前記移動位置限界が設定された状態と前記サブアクチュエータによる前記移動位置限界の設定がなされていない状態とを切り替えることを要旨としている。
【0043】
(5)請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の内燃機関の可変動弁装置において、前記始動時リフト調整手段は、機関始動時に前記サブアクチュエータにより前記移動位置限界が設定された状態を維持し、これにより前記吸気バルブのバルブ作用角及びバルブリフト量の少なくとも一方が前記最小値以外のものとなる前記可変動弁機構の状態を維持するものであり、機関始動後に前記サブアクチュエータによる前記移動位置限界の設定がなされていない状態への切り替えを行い、これにより前記吸気バルブのバルブ作用角及びバルブリフト量の少なくとも一方が前記最小値となる前記可変動弁機構の状態の設定を許容するものであることを要旨としている。
【0044】
(6)請求項6に記載の発明は、請求項2〜5のいずれか一項に記載の内燃機関の可変動弁装置において、前記サブアクチュエータは、サブ液圧シリンダ内に設けられたサブピストンについて、これを付勢手段により前記縮小方向とは反対側である拡大方向へ移動させて前記コントロールシャフトに係合させることにより前記移動位置限界を設定するとともに、前記サブピストンを前記付勢手段の力に抗して前記縮小方向へ移動させるための液圧について、これを液圧供給経路により前記サブ液圧シリンダに供給することを要旨としている。
【0045】
このようにサブアクチュエータが構成されていることにより、液圧供給経路によりサブ液圧シリンダに液圧が供給されていない時は、サブピストンが付勢手段により移動されてコントロールシャフトに係合してコントロールシャフトの前記最小値側への移動位置限界が設定される。したがって容易に、バルブ作用角、バルブリフト量あるいは前記位相差を最小値以外となる状態とすることができる。
【0046】
そして液圧供給経路によりサブ液圧シリンダに液圧が供給されると、サブピストンが付勢手段に抗して移動されてコントロールシャフトに係合しなくなり、コントロールシャフトの前記最小値側への移動位置限界が解消される。したがってバルブ作用角、バルブリフト量あるいは前記位相差を内燃機関の運転状態に適合させて広範囲に設定することができるようになる。
【0047】
(7)請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の内燃機関の可変動弁装置において、前記サブ液圧シリンダに対する前記サブピストンの位置について、これを前記仲介駆動機構の相対位相差が前記最小相対位相差以外にある状態で固定するロック手段をさらに備えることを要旨としている。
【0048】
このようにロック手段にてサブピストンの位置を固定することにより、コントロールシャフトが前記最小値以外となる状態を安定化でき、安定した始動を可能とすることができる。
【0049】
(8)請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の内燃機関の可変動弁装置において、前記ロック手段は、ロック油圧室に対する液圧の供給及び同油圧室からの液圧の排出を通じてロックピンを移動させることにより、前記サブ液圧シリンダに対する前記サブピストンの位置の固定及び解除を行うとともに、前記液圧供給経路による前記サブ液圧シリンダへの液圧の供給が可能となる状態及び禁止される状態について、これを液圧調整手段により切り替えるものであり、前記ロックピンは、前記ロック油圧室に液圧が供給されるときに前記サブ液圧シリンダに対する前記サブピストンの位置を固定し、前記ロック油圧室から液圧が排出されるときに前記サブ液圧シリンダに対する前記サブピストンの位置の固定を解除するものであり、前記液圧調整手段は、前記ロックピンが前記サブピストンの位置を固定する状態にあるときに前記サブ液圧シリンダへの液圧の供給が可能となる状態を維持し、前記ロックピンが前記サブピストンの位置の固定を解除する状態にあるときに前記サブ液圧シリンダへの液圧の供給が禁止される状態を維持するものであることを要旨としている。
【0050】
したがって液圧が消滅することでサブピストンが付勢手段により移動されてコントロールシャフトの前記最小値側への移動位置限界を設定すると、ロックピンはサブピストンの位置固定を行って安定した始動を可能とすることができる。
【0051】
そして、サブピストンの位置固定解除時には、ロックピンがサブピストンの位置固定を解除した後に、初めて液圧供給経路によるサブ液圧シリンダへの液圧供給が可能となる。このためロックピンがサブピストンの位置固定を完全に解除する前にサブピストンに液圧が作用することがなく、サブピストンがロックピンを囓ることが防止される。
【0052】
(9)請求項9に記載の発明は、請求項6〜8のいずれか一項に記載の内燃機関の可変動弁装置において、前記液圧シリンダ及び前記サブ液圧シリンダは内燃機関の駆動により発生する液圧が作動圧として供給されるものであり、機関始動の開始後に前記内燃機関の駆動により発生する液圧が安定するまでは前記サブ液圧シリンダの液圧を排出する液圧排除手段をさらに備えることを要旨としている。
【0053】
このように液圧排除手段が、内燃機関始動時以後、液圧が安定するまでサブ液圧シリンダの液圧を排除することにより、液圧が生じていてもまだ不安定である期間においては、バルブ作用角、バルブリフト量あるいは前記位相差を最小値以外となる状態に維持することができる。したがって一層安定した始動を可能とすることができる。
【0054】
(10)請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の内燃機関の可変動弁装置において、機関始動の開始後に前記液圧シリンダ及び前記サブ液圧シリンダに供給される液圧が安定するまでの期間は、スロットルバルブの制御を通じて内燃機関の吸入空気量を調整し、前記液圧シリンダ及び前記サブ液圧シリンダに供給される液圧が安定した後は、前記スロットルバルブを全開に保持するとともに前記可変動弁機構の制御を通じて内燃機関の吸入空気量を調整する吸入空気量調整手段をさらに備えることを要旨としている。
【0055】
特に、可変動弁機構が吸気バルブを可変対象とすることにより吸入空気量を調量する場合には、始動時以後に安定した液圧が供給されるまでの期間は液圧排除手段がサブ液圧シリンダの液圧を排除しているので、バルブ作用角、バルブリフト量あるいは前記位相差を最小値以外となる状態に維持することができる。これと共に吸入空気量調整手段がスロットルバルブを駆動して内燃機関の吸入空気量を調整しているので、より一層安定した内燃機関の始動を可能とすることができる。
【0056】
そして安定した液圧が供給されるようになればスロットルバルブを全開として吸気バルブによる吸入空気量調整を実行しているので、ポンピング損失を少なくして燃費が良好な内燃機関運転が可能となる。
【0057】
(11)請求項11に記載の発明は、請求項1〜10のいずれか一項に記載の内燃機関の可変動弁装置において、前記始動時リフト調整手段は、機関始動時に前記吸気バルブのバルブ作用角及びバルブリフト量の少なくとも一方が前記最小値以外のものとなる前記可変動弁機構の状態として、前記吸気バルブのバルブ作用角及びバルブリフト量の少なくとも一方が最小値と最大値との間のものとなる状態を維持することを要旨としている。
【0058】
このように始動時リフト調整手段が構成されていることにより、内燃機関始動時における吸入空気量が改善される。このため始動性の悪化を抑制することができる。
【0059】
(12)請求項12に記載の発明は、請求項1〜10のいずれか一項に記載の内燃機関の可変動弁装置において、前記始動時リフト調整手段は、機関始動時に前記吸気バルブのバルブ作用角及びバルブリフト量の少なくとも一方が前記最小値以外のものとなる前記可変動弁機構の状態として、前記吸気バルブのバルブ作用角及びバルブリフト量の少なくとも一方が最大値となる状態を維持することを要旨としている。
【0060】
このように始動時リフト調整手段が構成されていることにより、内燃機関始動時における吸入空気量が最大限確保される。このため始動性の悪化を抑制することができる。
【0061】
(13)請求項13に記載の発明は、吸気バルブのバルブタイミングを連続的に変更する可変動弁機構と、前記吸気バルブのバルブタイミングが最遅角時期以外のものとなる前記可変動弁機構の状態について、機関始動時にこれを維持する始動時バルブタイミング調整手段とを備える内燃機関の可変動弁装置において、前記可変動弁機構は、液圧シリンダに対するピストンの移動を通じて前記吸気バルブのカムシャフトを軸方向へ移動させることにより同カムシャフトをクランクシャフトに対して回転させるアクチュエータを含めて構成され、クランクシャフトの回転位相に対する前記カムシャフトの回転位相であるカム回転位相について、これを前記アクチュエータを通じて変更することにより前記吸気バルブのバルブタイミングを変更するもの、すなわち前記アクチュエータを通じて駆動される被駆動部材としての前記カムシャフトの移動により前記吸気バルブのバルブタイミングを変更するものであり、前記始動時バルブタイミング調整手段は、前記吸気バルブのバルブタイミングが前記最遅角時期となる前記カム回転位相を最遅角位相とし、この最遅角位相が得られる前記カムシャフトの軸方向の位置を最遅角位置として、機関始動時における前記カムシャフトの軸方向の位置を前記最遅角位置以外のところに維持し、これにより前記吸気バルブのバルブタイミングが最遅角時期以外のものとなる前記可変動弁機構の状態を維持するものであって、これを前記カムシャフトの周面に対向して設けられた係合部と、前記カムシャフトの周面に設けられたガイド部と、機関始動時にこれら係合部及びガイド部を係合させる始動時係合手段との協働により実現するものであり、前記係合部は、内燃機関の非回転部材に設けられて前記ガイド部に係合するピンを含めて構成されるものであり、前記ガイド部は、前記カムシャフトの軸方向の位置が前記最遅角位置以外のいずれかにあるときに前記係合部のピンが係合する態様で前記カムシャフトの周面に設けられたリング状溝と、前記カムシャフトの周面に螺旋状に形成されて前記係合部のピンが係合するものであって、この係合したピンを前記カムシャフトの回転にともない前記リング状溝に誘導する誘導溝とを含めて構成されるものであり、前記始動時係合手段は、機関始動時に前記係合部のピンを前記カムシャフトに接触させる状態と、機関始動後に前記係合部のピンを前記カムシャフトに接触させない状態とを切り替えるものであり、前記係合部及び前記ガイド部及び前記始動時係合手段との協働による前記最遅角位置以外への前記カムシャフトの維持の態様は、前記始動時係合手段により前記係合部のピンが前記カムシャフトに接触させられることを通じて前記係合部のピンと前記ガイド部の誘導溝とが係合した状態が得られ、この状態においての前記カムシャフトの回転にともない前記ピン及び前記誘導溝の係合に基づいて前記カムシャフトが前記ガイド部のリング溝を前記ピンに近づける方向へ移動し、この移動を通じて前記ピンと前記リング溝とが係合することにより前記カムシャフトの軸方向の位置が前記最遅角位置以外のものに維持される態様であることを要旨としている。
【0062】
このように、始動時バルブタイミング調整手段により、少なくとも内燃機関始動時には、可変動弁機構を、バルブタイミングを最遅角タイミング以外となる状態にしている。このため、特に、吸気バルブにおいては閉弁タイミングが遅くなるのを防止できるので、特に吸気バルブの場合、吸気行程時に燃焼室内に流入した吸気が再度開弁状態の吸気バルブから吸気管に戻るのを抑制できる。したがって、十分に体積効率を上昇させることができ、始動時における吸入空気量が改善され、始動性の悪化を抑制することができる。
【0063】
前記可変動弁機構としては、例えば、上述した液圧シリンダを用いた構成を挙げることができる。この構成において始動時バルブタイミング調整手段により、始動時における吸入空気量が改善され、始動性の悪化を抑制することができる。
始動時バルブタイミング調整手段を上述した構成にすることにより、少なくとも内燃機関始動時には、始動時係合手段により、前記係合部と前記ガイド部とは係合状態とされる。このことにより、始動時のクランキングによりカムシャフトが回転すると、ガイド部は、カムシャフトをバルブタイミングが最遅角タイミング以外となる軸方向位置に誘導する。したがって、始動時における吸入空気量が改善され、始動性の悪化を抑制することができる。
【0064】
より具体的には、係合部、ガイド部及び始動時係合手段は上述のごとく構成することができる。このことにより、始動時係合手段は、少なくとも内燃機関始動時にはピンを、カムシャフトに当接させている。このことにより、誘導溝が、カムシャフトの回転時にリング状溝にピンを誘導し、バルブタイミングが最遅角タイミング以外となる。したがって、始動時における吸入空気量が改善され、始動性の悪化を抑制することができる。
更に、始動時係合手段は、内燃機関始動後においてはピンをカムシャフトに当接しないようにしている。このため、始動後には、可変動弁機構を用いて内燃機関の運転状態に応じてバルブタイミングを連続的に可変とすることができる。
【0065】
(14)請求項14に記載の発明は、吸気バルブのバルブタイミングを連続的に変更する可変動弁機構と、前記吸気バルブのバルブタイミングが最遅角時期以外のものとなる前記可変動弁機構の状態について、機関始動時にこれを維持する始動時バルブタイミング調整手段とを備える内燃機関の可変動弁装置において、前記可変動弁機構は、クランクシャフトに連動して回転する回転連動部材及び前記吸気バルブのカムシャフトのそれぞれに対してスプライン機構を介して噛み合う噛合部材について、これを液圧シリンダに対するピストンの移動を通じて前記カムシャフトの軸方向へ移動させることにより同カムシャフトをクランクシャフトに対して回転させるアクチュエータを含めて構成され、クランクシャフトの回転位相に対する前記カムシャフトの回転位相であるカム回転位相について、これを前記アクチュエータを通じて変更することにより前記吸気バルブのバルブタイミングを変更するもの、すなわち前記アクチュエータを通じて駆動される被駆動部材としての前記噛合部材の移動により前記吸気バルブのバルブタイミングを変更するものであり、前記始動時バルブタイミング調整手段は、前記吸気バルブのバルブタイミングが前記最遅角時期となる前記カム回転位相を最遅角位相とし、この最遅角位相が得られる前記噛合部材の軸方向の位置を最遅角位置として、機関始動時における前記噛合部材の軸方向の位置を前記最遅角位置以外のところに維持し、これにより前記吸気バルブのバルブタイミングが最遅角時期以外のものとなる前記可変動弁機構の状態を維持するものであって、これを前記噛合部材の周面に対向して設けられた係合部と、前記噛合部材の周面に設けられたガイド部と、機関始動時にこれら係合部及びガイド部を係合させる始動時係合手段との協働により実現するものであり、前記係合部は、内燃機関の非回転部材に設けられて前記ガイド部に係合するピンを含めて構成されるものであり、前記ガイド部は、前記噛合部材の軸方向の位置が前記最遅角位置以外のいずれかにあるときに前記係合部のピンが係合する態様で前記噛合部材の周面に設けられたリング状溝と、前記噛合部材の周面に螺旋状に形成されて前記係合部のピンが係合するものであって、この係合したピンを前記噛合部材の回転にともない前記リング状溝に誘導する誘導溝とを含めて構成されるものであり、前記始動時係合手段は、機関始動時に前記係合部のピンを前記噛合部材に接触させる状態と、機関始動後に前記係合部のピンを前記噛合部材に接触させない状態とを切り替えるものであり、前記係合部及び前記ガイド部及び前記始動時係合手段との協働による前記最遅角位置以外への前記噛合部材の維持の態様は、前記始動時係合手段により前記係合部のピンが前記噛合部材に接触させられることを通じて前記係合部のピンと前記ガイド部の誘導溝とが係合した状態が得られ、この状態においての前記噛合部材の回転にともない前記ピン及び前記誘導溝の係合に基づいて前記噛合部材が前記ガイド部のリング溝を前記ピンに近づける方向へ移動し、この移動を通じて前記ピンと前記リング溝とが係合することにより前記噛合部材の軸方向の位置が前記最遅角位置以外のものに維持される態様であることを要旨としている。
【0066】
尚、可変動弁機構は、カムを軸方向に移動しない構成としても良い。すなわち、前記回転連動部材とカムシャフトとにそれぞれスプライン機構にて噛み合う噛合部材を軸方向に移動させ、この移動によって前記スプライン機構の機能によりカムをクランクシャフトに対して相対回転させる。このことにより、バルブタイミングを連続的に可変とする構成としても良い。このような構成でも、始動時バルブタイミング調整手段により、少なくとも内燃機関始動時には、可変動弁機構をバルブタイミングが最遅角タイミング以外にある状態にするので、始動時における吸入空気量が改善され、始動性の悪化を抑制することができる。
【0067】
前記可変動弁機構としては、例えば、上述した液圧シリンダを用いた構成を挙げることができる。この構成において始動時バルブタイミング調整手段により、始動時における吸入空気量が改善され、始動性の悪化を抑制することができる。
始動時バルブタイミング調整手段を上述した構成にすることにより、少なくとも内燃機関始動時には、始動時係合手段により、前記係合部と前記ガイド部とは係合状態とされる。このことにより、始動時のクランキングにより噛合部材が回転すると、ガイド部は、噛合部材をバルブタイミングが最遅角タイミング以外となる軸方向位置に誘導する。したがって、始動時における吸入空気量が改善され、始動性の悪化を抑制することができる。
【0068】
より具体的には、係合部、ガイド部及び始動時係合手段は上述のごとく構成することができる。このことにより、始動時係合手段は、少なくとも内燃機関始動時にはピンを、噛合部材に当接させている。このことにより、誘導溝が、噛合部材の回転時にリング状溝にピンを誘導し、バルブタイミングが最遅角タイミング以外となる。したがって、始動時における吸入空気量が改善され、始動性の悪化を抑制することができる。
更に、始動時係合手段は、内燃機関始動後においてはピンを噛合部材に当接しないようにしている。このため、始動後には、可変動弁機構を用いて内燃機関の運転状態に応じてバルブタイミングを連続的に可変とすることができる。
【0069】
(15)請求項15に記載の発明は、請求項13または14に記載の内燃機関の可変動弁装置において、前記始動時係合手段は、前記被駆動部材に向けて押す力を前記ピンに付与するスプリングと、内燃機関の駆動により生じる液圧を前記スプリングの力に抗する態様で前記ピンに付与する液圧アクチュエータとを備えることを要旨としている。
【0070】
始動時係合手段は、上述のごとく構成することができる。このことにより内燃機関の停止時には液圧が消失するため、液圧アクチュエータが作用せず、スプリングの付勢力によりピンを被駆動部材(カムシャフト又は噛合部材)に当接させる。このため、少なくとも、始動時のクランキングにおいて、ピンは誘導溝内に落ち込み係合する。このことにより、ピンが誘導溝によりリング状溝へ誘導されるようになるので、被駆動部材(カムシャフト又は噛合部材)の回転により、カムシャフト又は噛合部材はバルブタイミングが最遅角タイミング以外となる軸方向位置へ誘導される。したがって、始動時における吸入空気量が改善され、始動性の悪化を抑制することができる。
【0071】
更に、内燃機関の始動後には液圧が上昇するので、液圧アクチュエータはスプリングの付勢力に抗する液圧にて、ピンを被駆動部材(カムシャフト又は噛合部材)に当接しないようにすることができる。このため、始動後には、可変動弁機構を用いて、内燃機関の運転状態に応じてバルブタイミングを連続的に可変とすることができる。
【0072】
(16)請求項16に記載の発明は、吸気バルブのバルブタイミングを連続的に変更する可変動弁機構と、前記吸気バルブのバルブタイミングが最遅角時期以外のものとなる前記可変動弁機構の状態について、機関始動時にこれを維持する始動時バルブタイミング調整手段とを備える内燃機関の可変動弁装置において、前記可変動弁機構は、液圧シリンダに対するピストンの移動を通じて前記吸気バルブのカムシャフトを軸方向へ移動させることにより同カムシャフトをクランクシャフトに対して回転させるアクチュエータを含めて構成され、クランクシャフトの回転位相に対する前記カムシャフトの回転位相であるカム回転位相について、これを前記アクチュエータを通じて変更することにより前記吸気バルブのバルブタイミングを変更するもの、すなわち前記アクチュエータを通じて駆動される被駆動部材としての前記カムシャフトの移動により前記吸気バルブのバルブタイミングを変更するものであり、前記始動時バルブタイミング調整手段は、前記吸気バルブのバルブタイミングが前記最遅角時期となる前記カムシャフトのカム回転位相を最遅角位相とし、この最遅角位相が得られる前記カムシャフトの軸方向の位置を最遅角位置として、機関始動時における前記カムシャフトの軸方向の位置を前記最遅角位置以外のところに維持し、これにより前記吸気バルブのバルブタイミングが最遅角時期以外のものとなる前記可変動弁機構の状態を維持するものであって、これを前記カムシャフトの軸方向において同シャフトを互いに反対の方向に付勢しあう第1スプリング及び第2スプリングの協働により実現するもの、すなわちこれら第1スプリング及び第2スプリングにより前記カムシャフトに生じる軸方向の力並びに前記可変動弁機構により前記カムシャフトに生じる軸方向の力について、機関始動時に前記カムシャフトの軸方向の位置が前記最遅角位置以外のところにあるときにつりあう態様でこれら力が予め設定されるものであることを要旨としている。
【0073】
このように、始動時バルブタイミング調整手段により、少なくとも内燃機関始動時には、可変動弁機構を、バルブタイミングを最遅角タイミング以外となる状態にしている。このため、特に、吸気バルブにおいては閉弁タイミングが遅くなるのを防止できるので、特に吸気バルブの場合、吸気行程時に燃焼室内に流入した吸気が再度開弁状態の吸気バルブから吸気管に戻るのを抑制できる。したがって、十分に体積効率を上昇させることができ、始動時における吸入空気量が改善され、始動性の悪化を抑制することができる。
【0074】
また、始動時バルブタイミング調整手段は上述のごとく構成することができる。始動時においては、第1スプリングの付勢力、第2スプリングの付勢力及び可変動弁機構によりカムシャフトに生じる軸方向の力の関係が、バルブタイミングが最遅角タイミング以外となるカムシャフトの軸方向位置にてバランスするように設定してある。このため、始動時における吸入空気量が改善され、始動性の悪化を抑制することができる。特に、対抗する付勢力を生じる第1スプリングと第2スプリングとの2つのスプリングを用いているので、より確実に、始動時に、カムシャフトをバルブタイミングが最遅角タイミング以外となる軸方向位置に移動させることができる。
【0075】
(17)請求項17に記載の発明は、吸気バルブのバルブタイミングを連続的に変更する可変動弁機構と、前記吸気バルブのバルブタイミングが最遅角時期以外のものとなる前記可変動弁機構の状態について、機関始動時にこれを維持する始動時バルブタイミング調整手段とを備える内燃機関の可変動弁装置において、前記可変動弁機構は、液圧シリンダに対するピストンの移動を通じて前記吸気バルブのカムシャフトを軸方向へ移動させることにより同カムシャフトをクランクシャフトに対して回転させるアクチュエータを含めて構成され、クランクシャフトの回転位相に対する前記カムシャフトの回転位相であるカム回転位相について、これを前記アクチュエータを通じて変更することにより前記吸気バルブのバルブタイミングを変更するもの、すなわち前記アクチュエータを通じて駆動される被駆動部材としての前記カムシャフトの移動により前記吸気バルブのバルブタイミングを変更するものであり、前記始動時バルブタイミング調整手段は、前記吸気バルブのバルブタイミングが前記最遅角時期となる前記カムシャフトのカム回転位相を最遅角位相とし、この最遅角位相が得られる前記カムシャフトの軸方向の位置を最遅角位置として、機関始動時における前記カムシャフトの軸方向の位置を前記最遅角位置以外のところに維持し、これにより前記吸気バルブのバルブタイミングが最遅角時期以外のものとなる前記可変動弁機構の状態を維持するものであって、これを前記カムシャフトの軸方向において同シャフトを付勢するスプリングにより実現するもの、すなわちこのスプリングにより前記カムシャフトに生じる軸方向の力並びに前記可変動弁機構により前記カムシャフトに生じる軸方向の力について、機関始動時に前記カムシャフトの軸方向の位置が前記最遅角位置以外のところにあるときにつりあう態様でこれら力が予め設定されるものであることを要旨としている。
【0076】
このように、始動時バルブタイミング調整手段により、少なくとも内燃機関始動時には、可変動弁機構を、バルブタイミングを最遅角タイミング以外となる状態にしている。このため、特に、吸気バルブにおいては閉弁タイミングが遅くなるのを防止できるので、特に吸気バルブの場合、吸気行程時に燃焼室内に流入した吸気が再度開弁状態の吸気バルブから吸気管に戻るのを抑制できる。したがって、十分に体積効率を上昇させることができ、始動時における吸入空気量が改善され、始動性の悪化を抑制することができる。
【0077】
また、始動時バルブタイミング調整手段は上述のごとく構成することができる。始動時においては、スプリングの付勢力及び可変動弁機構によりカムシャフトに生じる軸方向の力の関係が、バルブタイミングが最遅角タイミング以外となるカムシャフトの軸方向位置にてバランスするように設定してある。このため、比較的簡易な構成で、始動時における吸入空気量が改善でき、始動性の悪化を抑制することができる。
【0078】
(18)請求項18に記載の発明は、吸気バルブのバルブタイミングを連続的に変更する可変動弁機構と、前記吸気バルブのバルブタイミングが最遅角時期以外のものとなる前記可変動弁機構の状態について、機関始動時にこれを維持する始動時バルブタイミング調整手段とを備える内燃機関の可変動弁装置において、前記可変動弁機構は、クランクシャフトに連動して回転する回転連動部材及び前記吸気バルブのカムシャフトのそれぞれに対してスプライン機構を介して噛み合う噛合部材について、これを液圧シリンダに対するピストンの移動を通じて前記カムシャフトの軸方向へ移動させることにより同カムシャフトをクランクシャフトに対して回転させるアクチュエータを含めて構成され、クランクシャフトの回転位相に対する前記カムシャフトの回転位相であるカム回転位相について、これを前記アクチュエータを通じて変更することにより前記吸気バルブのバルブタイミングを変更するもの、すなわち前記アクチュエータを通じて駆動される被駆動部材としての前記噛合部材の移動により前記吸気バルブのバルブタイミングを変更するものであり、前記始動時バルブタイミング調整手段は、前記吸気バルブのバルブタイミングが前記最遅角時期となる前記カムシャフトのカム回転位相を最遅角位相とし、この最遅角位相が得られる前記噛合部材の軸方向の位置を最遅角位置として、機関始動時における前記噛合部材の軸方向の位置を前記最遅角位置以外のところに維持し、これにより前記吸気バルブのバルブタイミングが最遅角時期以外のものとなる前記可変動弁機構の状態を維持するものであって、これを前記噛合部材の軸方向において同噛合部材を互いに反対の方向に付勢しあう第1スプリング及び第2スプリングの協働により実現するもの、すなわちこれら第1スプリング及び第2スプリングにより前記噛合部材に生じる軸方向の力並びに前記可変動弁機構により前記噛合部材に生じる軸方向の力について、機関始動時に前記噛合部材の軸方向の位置が前記最遅角位置以外のところにあるときにつりあう態様でこれら力が予め設定されるものであることを要旨としている。
【0079】
このように、始動時バルブタイミング調整手段により、少なくとも内燃機関始動時には、可変動弁機構を、バルブタイミングを最遅角タイミング以外となる状態にしている。このため、特に、吸気バルブにおいては閉弁タイミングが遅くなるのを防止できるので、特に吸気バルブの場合、吸気行程時に燃焼室内に流入した吸気が再度開弁状態の吸気バルブから吸気管に戻るのを抑制できる。したがって、十分に体積効率を上昇させることができ、始動時における吸入空気量が改善され、始動性の悪化を抑制することができる。
【0080】
また、始動時バルブタイミング調整手段は上述のごとく構成することができる。始動時においては、第1スプリングの付勢力、第2スプリングの付勢力及び噛合部材の噛み合いによりに生じる軸方向の力の関係が、バルブタイミングが最遅角タイミング以外となる噛合部材の軸方向位置にてバランスするように設定してある。このため、始動時における吸入空気量が改善され、始動性の悪化を抑制することができる。特に、対抗する付勢力を生じる第1スプリングと第2スプリングとの2つのスプリングを用いているので、より確実に、始動時に、噛合部材をバルブタイミングが最遅角タイミング以外となる軸方向位置に移動させることができる。
【0081】
(19)請求項19に記載の発明は、吸気バルブのバルブタイミングを連続的に変更する可変動弁機構と、前記吸気バルブのバルブタイミングが最遅角時期以外のものとなる前記可変動弁機構の状態について、機関始動時にこれを維持する始動時バルブタイミング調整手段とを備える内燃機関の可変動弁装置において、前記可変動弁機構は、クランクシャフトに連動して回転する回転連動部材及び前記吸気バルブのカムシャフトのそれぞれに対してスプライン機構を介して噛み合う噛合部材について、これを液圧シリンダに対するピストンの移動を通じて前記カムシャフトの軸方向へ移動させることにより同カムシャフトをクランクシャフトに対して回転させるアクチュエータを含めて構成され、クランクシャフトの回転位相に対する前記カムシャフトの回転位相であるカム回転位相について、これを前記アクチュエータを通じて変更することにより前記吸気バルブのバルブタイミングを変更するもの、すなわち前記アクチュエータを通じて駆動される被駆動部材としての前記噛合部材の移動により前記吸気バルブのバルブタイミングを変更するものであり、前記始動時バルブタイミング調整手段は、前記吸気バルブのバルブタイミングが前記最遅角時期となる前記カムシャフトのカム回転位相を最遅角位相とし、この最遅角位相が得られる前記噛合部材の軸方向の位置を最遅角位置として、機関始動時における前記噛合部材の軸方向の位置を前記最遅角位置以外のところに維持し、これにより前記吸気バルブのバルブタイミングが最遅角時期以外のものとなる前記可変動弁機構の状態を維持するものであって、これを前記噛合部材の軸方向において同噛合部材を付勢するスプリングにより実現するもの、すなわちこのスプリングにより前記噛合部材に生じる軸方向の力並びに前記可変動弁機構により前記噛合部材に生じる軸方向の力について、機関始動時に前記噛合部材の軸方向の位置が前記最遅角位置以外のところにあるときにつりあう態様でこれら力が予め設定されるものであることを要旨としている。
【0082】
このように、始動時バルブタイミング調整手段により、少なくとも内燃機関始動時には、可変動弁機構を、バルブタイミングを最遅角タイミング以外となる状態にしている。このため、特に、吸気バルブにおいては閉弁タイミングが遅くなるのを防止できるので、特に吸気バルブの場合、吸気行程時に燃焼室内に流入した吸気が再度開弁状態の吸気バルブから吸気管に戻るのを抑制できる。したがって、十分に体積効率を上昇させることができ、始動時における吸入空気量が改善され、始動性の悪化を抑制することができる。
【0083】
また、始動時バルブタイミング調整手段は上述のごとく構成することができる。始動時においては、スプリングの付勢力及び噛合部材の噛み合いにより生じる軸方向の力の関係が、バルブタイミングが最遅角タイミング以外となる噛合部材の軸方向位置にてバランスするように設定してある。このため、比較的簡易な構成で、始動時における吸入空気量が改善でき、始動性の悪化を抑制することができる。
【0085】
(20)請求項20に記載の発明は、請求項16〜19のいずれか一項に記載の内燃機関の可変動弁装置において、前記始動時バルブタイミング調整手段は、前記被駆動部材の周面に対向して設けられた係合部と、前記被駆動部材の周面に設けられた被係合部と、機関始動時にこれら係合部及び被係合部が係合した状態を維持して、これにより前記被駆動部材の軸方向への移動を規制する始動時係合手段とを備えることを要旨としている。
【0086】
上記発明によれば、少なくとも始動時には、始動時係合手段により係合部と被係合部とが係合状態となり被駆動部材(カムシャフト又は噛合部材)の軸方向位置が固定される。したがって、クランキング時に軸方向の力が変動したとしても、被駆動部材(カムシャフト又は噛合部材)の軸方向位置が安定化して、バルブタイミングが安定する。このため、吸気バルブの場合では、始動時における吸入空気量が安定するので、始動性の悪化を効果的に抑制することができる。
【0087】
(21)請求項21に記載の発明は、請求項16〜19のいずれか一項に記載の内燃機関の可変動弁装置において、前記可変動弁機構のアクチュエータは、液圧シリンダに対してピストンを移動させるものであって、このピストンの移動を通じて前記被駆動部材を軸方向へ移動させるものであり、前記始動時バルブタイミング調整手段は、前記ピストンの周面に対向して設けられた係合部と、前記ピストンの周面に設けられた被係合部と、機関始動時にこれら係合部及び被係合部が係合した状態を維持して、これにより前記被駆動部材の軸方向への移動を規制する始動時係合手段とを備えるものであることを要旨としている。
【0088】
可変動弁機構が前記液圧シリンダを有する構成であれば、始動時バルブタイミング調整手段の係合部は液圧シリンダ内部のピストン周面に対向して液圧シリンダに設けられたものとし、被係合部はピストンの周面に設けられて係合部が係合した場合にはカムシャフト又は噛合部材の軸方向への移動を規制するものとし、始動時係合手段は少なくとも内燃機関始動時に係合部と被係合部とを係合状態にするものとすることができる。
【0089】
このことにより、少なくとも内燃機関始動時には、液圧シリンダ内でピストンが軸方向について固定される。このことによりカムシャフト又は噛合部材の軸方向位置も固定される。したがって、クランキング時にカムシャフト又は噛合部材に生じる軸方向の力が変動したとしても、カムシャフト又は噛合部材の軸方向位置が安定化して、バルブタイミングが安定する。このため、吸気バルブの場合では、始動時における吸入空気量が安定するので、始動性の悪化を効果的に抑制することができる。又、液圧シリンダに対して始動時バルブタイミング調整手段を配置することで構成でき、内燃機関全体の大型化を抑制できる。
【0090】
(22)請求項22に記載の発明は、請求項21に記載の内燃機関の可変動弁装置において、前記可変動弁機構のアクチュエータは、前記液圧シリンダと前記ピストンとの間が2つのシールリングによりシールされるものであって、このシールリングによるシールの間隔が前記係合部の幅以上の大きさに設定されることを要旨としている。
【0091】
2つのシールリングを上述のごとく配置しているので、係合部は同時に2つのシールに位置することはなく、両方のシール性を同時に阻害することはない。このため、液圧シリンダに対して始動時バルブタイミング調整手段を配置しても、ピストンと液圧シリンダとの間のシール性低下を防止できる。
【0092】
(23)請求項23に記載の発明は、吸気バルブのバルブタイミングを連続的に変更する可変動弁機構と、前記吸気バルブのバルブタイミングが最遅角時期以外のものとなる前記可変動弁機構の状態について、機関始動時にこれを維持する始動時バルブタイミング調整手段とを備える内燃機関の可変動弁装置において、前記可変動弁機構は、液圧シリンダに対するピストンの移動を通じて前記吸気バルブのカムシャフトを軸方向へ移動させることにより同カムシャフトをクランクシャフトに対して回転させるアクチュエータを含めて構成され、クランクシャフトの回転位相に対する前記カムシャフトの回転位相であるカム回転位相について、これを前記アクチュエータを通じて変更することにより前記吸気バルブのバルブタイミングを変更するもの、すなわち前記アクチュエータを通じて駆動される被駆動部材としての前記カムシャフトの移動により前記吸気バルブのバルブタイミングを変更するものであり、前記始動時バルブタイミング調整手段は、前記吸気バルブのバルブタイミングが前記最遅角時期となる前記カム回転位相を最遅角位相とし、前記カム回転位相をこの最遅角位相に向けて変更する前記カムシャフトの移動方向を遅角方向として、この遅角方向において前記カムシャフトが移動することのできる位置の限界である移動位置限界について、これを設定するサブアクチュエータを備えるものであって、機関始動時にこのサブアクチュエータを通じて前記移動位置限界を設定することにより前記カムシャフトの軸方向への移動を規制して前記カム回転位相を前記最遅角位相以外のところに維持し、これにより前記吸気バルブのバルブタイミングが最遅角時期以外のものとなる前記可変動弁機構の状態を維持するものであることを要旨としている。
【0093】
(24)請求項24に記載の発明は、吸気バルブのバルブタイミングを連続的に変更する可変動弁機構と、前記吸気バルブのバルブタイミングが最遅角時期以外のものとなる前記可変動弁機構の状態について、機関始動時にこれを維持する始動時バルブタイミング調整手段とを備える内燃機関の可変動弁装置において、前記可変動弁機構は、クランクシャフトに連動して回転する回転連動部材及び前記吸気バルブのカムシャフトのそれぞれに対してスプライン機構を介して噛み合う噛合部材について、これを液圧シリンダに対するピストンの移動を通じて前記カムシャフトの軸方向へ移動させることにより同カムシャフトをクランクシャフトに対して回転させるアクチュエータを含めて構成され、クランクシャフトの回転位相に対する前記カムシャフトの回転位相であるカム回転位相について、これを前記アクチュエータを通じて変更することにより前記吸気バルブのバルブタイミングを変更するもの、すなわち前記アクチュエータを通じて駆動される被駆動部材としての前記噛合部材の移動により前記吸気バルブのバルブタイミングを変更するものであり、前記始動時バルブタイミング調整手段は、前記吸気バルブのバルブタイミングが前記最遅角時期となる前記カム回転位相を最遅角位相とし、前記カム回転位相をこの最遅角位相に向けて変更する前記噛合部材の移動方向を遅角方向として、この遅角方向において前記噛合部材が移動することのできる位置の限界である移動位置限界について、これを設定するサブアクチュエータを備えるものであって、機関始動時にこのサブアクチュエータを通じて前記移動位置限界を設定することにより前記噛合部材の軸方向への移動を規制して前記カム回転位相を前記最遅角位相以外のところに維持し、これにより前記吸気バルブのバルブタイミングが最遅角時期以外のものとなる前記可変動弁機構の状態を維持するものであることを要旨としている。
【0094】
上記各発明のようにして噛合部材の移動を規制することで、容易にバルブタイミングを最遅角タイミング以外にある状態とすることができる。
また、このようにサブアクチュエータを設けることにより、少なくとも始動時にはサブアクチュエータの限界設定機能により前記最遅角タイミング側への被駆動部材(カムシャフト又は噛合部材の移動位置の限界を設定して始動を容易にすることができる。そして始動後の適切なタイミングにおいてサブアクチュエータの限界設定機能を停止することにより被駆動部材(カムシャフト又は噛合部材に対する規制を解いて、バルブタイミングを内燃機関の運転状態に適合させて広範囲に設定することができるようになる。
【0095】
(25)請求項25に記載の発明は、請求項23または24に記載の内燃機関の可変動弁装置において、前記サブアクチュエータは、サブ液圧シリンダ内に設けられたサブピストンについて、これを付勢手段により前記遅角方向とは反対側である進角方向へ移動させて前記被駆動部材に係合させることにより前記移動位置限界を設定するとともに、前記サブピストンを前記付勢手段の力に抗して前記縮小方向へ移動させるための液圧について、これを液圧供給経路により前記サブ液圧シリンダに供給することを要旨としている。
【0096】
このようにサブアクチュエータが構成されていることにより、液圧供給経路によりサブ液圧シリンダに液圧が供給されていない時は、サブピストンが付勢手段により移動されてカムシャフト又は噛合部材に係合してカムシャフト又は噛合部材の最遅角タイミング側への移動位置限界が設定される。したがって容易に、バルブタイミングを最遅角タイミング以外となる状態とすることができる。
【0097】
そして液圧供給経路によりサブ液圧シリンダに液圧が供給されると、サブピストンが付勢手段に抗して移動されてカムシャフト又は噛合部材に係合しなくなりカムシャフト又は噛合部材の最遅角タイミング側への移動位置限界が解消される。したがってバルブタイミングを内燃機関の運転状態に適合させて広範囲に設定することができるようになる。
【0098】
(26)請求項26に記載の発明は、請求項25に記載の内燃機関の可変動弁装置において、前記サブ液圧シリンダに対する前記サブピストンの位置について、これを前記カム回転位相が前記最遅角位相以外にある状態で固定するロック手段をさらに備えることを要旨としている。
【0099】
このようにロック手段にてサブピストンの位置を固定することにより、カムシャフト又は噛合部材が最遅角タイミング以外となる状態を安定化でき、安定した始動を可能とすることができる。
【0100】
(27)請求項27に記載の発明は、請求項26に記載の内燃機関の可変動弁装置において、前記ロック手段は、ロック油圧室に対する液圧の供給及び同油圧室からの液圧の排出を通じてロックピンを移動させることにより、前記サブ液圧シリンダに対する前記サブピストンの位置の固定及び解除を行うとともに、前記液圧供給経路による前記サブ液圧シリンダへの液圧の供給が可能となる状態及び禁止される状態について、これを液圧調整手段により切り替えるものであり、前記ロックピンは、前記ロック油圧室に液圧が供給されるときに前記サブ液圧シリンダに対する前記サブピストンの位置を固定し、前記ロック油圧室から液圧が排出されるときに前記サブ液圧シリンダに対する前記サブピストンの位置の固定を解除するものであり、前記液圧調整手段は、前記ロックピンが前記サブピストンの位置を固定する状態にあるときに前記サブ液圧シリンダへの液圧の供給が可能となる状態を維持し、前記ロックピンが前記サブピストンの位置の固定を解除する状態にあるときに前記サブ液圧シリンダへの液圧の供給が禁止される状態を維持するものであることを要旨としている。
【0101】
液圧が消滅することでサブピストンが付勢手段により移動されてカムシャフト又は噛合部材の最遅角タイミング側への移動位置限界を設定すると、ロックピンはサブピストンの位置固定を行って安定した始動を可能とすることができる。
【0102】
そしてサブピストンの位置固定解除時には、ロックピンがサブピストンの位置固定を解除した後に、初めて液圧供給経路によるサブ液圧シリンダへの液圧供給が可能となる。このためロックピンがサブピストンの位置固定を完全に解除する前にサブピストンに液圧が作用することがなく、サブピストンがロックピンを囓ることが防止される。
【0103】
(28)請求項28に記載の発明は、請求項25〜27のいずれか一項に記載の内燃機関の可変動弁装置において、前記液圧シリンダ及び前記サブ液圧シリンダは、内燃機関の駆動により発生する液圧が作動圧として供給されるものであり、機関始動の開始後に前記内燃機関の駆動により発生する液圧が安定するまでは前記サブ液圧シリンダの液圧を排出する液圧排除手段をさらに備えることを要旨としている。
【0104】
このように液圧排除手段が、内燃機関始動時以後、液圧が安定するまでサブ液圧シリンダの液圧を排除することにより、液圧が生じていてもまだ不安定である期間においては、バルブタイミングを最遅角タイミング以外となる状態に維持することができる。したがって一層安定した始動を可能とすることができる。
【0105】
(29)請求項29に記載の発明は、請求項13〜28のいずれか一項に記載の内燃機関の可変動弁装置において、前記始動時バルブタイミング調整手段は、機関始動時に前記吸気バルブのバルブタイミングが前記最遅角時期以外のものとなる前記可変動弁機構の状態として、前記吸気バルブのバルブタイミングが最遅角時期と最進角時期との間のものとなる状態を維持することを要旨としている。
【0106】
このように始動時バルブタイミング調整手段が構成されていることにより、内燃機関始動時における吸入空気量が改善される。このため始動性の悪化を抑制することができる。
【0107】
(30)請求項30に記載の発明は、請求項13〜28のいずれか一項に記載の内燃機関の可変動弁装置において、前記始動時バルブタイミング調整手段は、機関始動時に前記吸気バルブのバルブタイミングが前記最遅角時期以外のものとなる前記可変動弁機構の状態として、前記吸気バルブのバルブタイミングが最進角時期となる状態を維持することを要旨としている。
【0108】
このように始動時バルブタイミング調整手段が構成されていることにより、内燃機関始動時における吸入空気量が改善される。このため始動性の悪化を抑制することができる。
【0109】
(31)請求項31に記載の発明は、吸気バルブのバルブ作用角及びバルブリフト量の少なくとも一方を連続的に変更する第1の可変動弁機構と、吸気バルブのバルブタイミングを連続的に変更する第2の可変動弁機構とを備える内燃機関の可変動弁装置において、前記第1の可変動弁機構として請求項1〜12のいずれか一項に記載の可変動弁機構を備え、前記第2の可変動弁機構として請求項13〜30のいずれか一項に記載の可変動弁機構を備え、さらに請求項1〜12のいずれか一項に記載の始動時リフト調整手段及び請求項13〜30のいずれか一項に記載の始動時バルブタイミング調整手段を備えることを要旨としている。
【0110】
このように、始動時にバルブ作用角とバルブリフト量との一方又は両方を最小値以外となる状態にする構成に加えて、更に始動時にバルブタイミングを最遅角タイミング以外となる構成を加えているため、一層効果的に内燃機関始動時における吸入空気量が改善され、始動性の悪化を抑制することができる。
【0111】
(32)請求項32に記載の発明は、請求項31に記載の内燃機関の可変動弁装置において、前記始動時リフト調整手段は、機関始動時に前記吸気バルブのバルブ作用角を最大作用角に維持するものであり、前記始動時バルブタイミング調整手段は、機関始動時に前記吸気バルブのバルブタイミングを最進角時期に維持するものであることを要旨としている。
【0112】
このように、バルブ作用角を最大値となる状態にし、バルブタイミングを最進角タイミングとなるようにしても良い。この構成により、吸気バルブの場合では、バルブ作用角を最大値としたことにより吸気行程の最期に開弁状態の吸気バルブから吸気が戻るのを、バルブタイミングを最大進角にすることにより抑制できる。したがって一層効果的に内燃機関始動時における吸入空気量が改善され、始動性の悪化を抑制することができる。
【0210】
【発明の実施の形態】
[実施の形態1]
図1は、上述した発明が適用された可変動弁装置を備えた内燃機関としてのガソリンエンジン(以下、「エンジン」と略す)2及びその制御系統の概略構成を表すブロック図である。
【0211】
エンジン2は、自動車走行駆動用として自動車に搭載されているものである。このエンジン2は、シリンダブロック4、ピストン(図示略)及びシリンダブロック4上に取り付けられたシリンダヘッド8等を備えている。シリンダブロック4には、複数の気筒、ここでは例えば4つの気筒2aが形成され、各気筒2aには、シリンダブロック4、ピストン及びシリンダヘッド8にて区画された燃焼室10が形成されている。
【0212】
そして各燃焼室10には、それぞれ第1吸気バルブ12a、第2吸気バルブ12b、第1排気バルブ16a及び第2排気バルブ16bの4バルブが配置されている。そして、第1吸気バルブ12aは第1吸気ポート14aを、第2吸気バルブ12bは第2吸気ポート14bを、第1排気バルブ16aは第1排気ポート18aを、第2排気バルブ16bは第2排気ポート18bを開閉する。
【0213】
各気筒2aの第1吸気ポート14a及び第2吸気ポート14bは吸気マニホールド30内に形成された吸気通路30aを介してサージタンク32に接続されている。各吸気通路30aにはそれぞれフューエルインジェクタ34が配置されて、第1吸気ポート14a及び第2吸気ポート14bに対して必要な量の燃料を噴射可能としている。
【0214】
又、サージタンク32は吸気ダクト40を介してエアクリーナ42に連結されている。尚、吸気ダクト40内にはスロットルバルブは配置されていない。アクセルペダル74の操作やアイドルスピードコントロール時のエンジン回転数NEに応じた吸入空気量制御は、第1吸気バルブ12a及び第2吸気バルブ12bのバルブ作用角あるいはバルブリフト量を調整することによりなされる。尚、本実施の形態1では、吸入空気量制御は、第1吸気バルブ12a及び第2吸気バルブ12bのバルブ作用角及びバルブリフト量の両方を同時に調整することによりなされる。
【0215】
これら吸気バルブ12a,12bのバルブリフト量の調整は、図2に示すリフト可変アクチュエータ100により、吸気カムシャフト45に転がり軸受部103aを介して接続されている補助シャフト103を軸方向に移動することによりなされる。吸気カムシャフト45は、一端に設けられたタイミングスプロケット(タイミングギアやタイミングプーリでも良い)109を介してエンジン2のクランクシャフトの回転と連動するが、転がり軸受部103aは、吸気カムシャフト45の回転に対して補助シャフト103が連動して回転しないようにするものであり、補助シャフト103の軸方向の移動に対してのみ吸気カムシャフト45が連動するように設けられている。尚、吸気カムシャフト45と接続しているタイミングスプロケット109は、エンジン2のシリンダブロック4に対して回転可能にかつ軸方向へは移動しないように支持されているが、吸気カムシャフト45とは中心部にてストレートスプライン機構109aにより接続されていることにより、軸方向に吸気カムシャフト45の移動を許している。
【0216】
ここで吸気カムシャフト45に設けられた吸気カム45aは軸方向にプロフィールの異なる3次元カムとして構成され、このプロフィールの違いにより図3に示すごとくバルブ作用角とバルブリフト量とを同時に可変としている。尚、バルブ作用角及びバルブリフト量の最小は「0」(あるいは、わずかに開いた状態)、すなわち、吸気カム45aが回転しても吸気バルブ12a,12bを閉じたまま、あるいはほとんど閉じている状態にすることができる。
【0217】
尚、各気筒2aの第1排気ポート18aを開閉している第1排気バルブ16a、及び第2排気ポート18bを開閉している第2排気バルブ16bは、エンジン2の回転に伴う排気カムシャフト(図示略)に設けられた排気カムの回転により、一定のバルブ作用角とバルブリフト量とで開閉されている。そして、各気筒2aの第1排気ポート18a及び第2排気ポート18bは排気マニホルド48に連結されている。このことにより排気を触媒コンバータ50を介して外部に排出している。
【0218】
電子制御ユニット(以下、ECUと称する)60は、デジタルコンピュータからなり、双方向性バスを介して相互に接続されたCPU(マイクロプロセッサ)、ROM(リードオンリメモリ)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、各種ドライバー回路、入力ポート及び出力ポート等の構成を備えている。
【0219】
ECU60の入力ポートへは、アクセル開度センサ76により出力されるアクセルペダル74の踏み込み量(以下、「アクセル開度ACCP」と称する)に比例した出力電圧、クランク角センサ82によりクランクシャフトが30°回転する毎に出力されるパルス(尚、このパルスは1回転に1回、上死点を表すために欠ける)、吸入空気量センサ84により出力される吸気ダクト40を流れる吸入空気量GAに対応した出力電圧、エンジン2のシリンダブロック4に設けられた水温センサ86により出力されるエンジン2の冷却水温度THWに応じた出力電圧、排気マニホルド48に設けられた空燃比センサ88により出力される空燃比に応じた出力電圧、リフト可変アクチュエータ100により移動する吸気カムシャフト45の軸方向変位を検出するシャフト位置センサ90により出力される軸方向変位に応じた出力電圧、吸気バルブ12a,12bを駆動する吸気カム45aのカム角を検出するカム角センサ92からの出力パルスが入力している。尚、ECU60ではクランク角センサ82の出力パルスとカム角センサ92のパルスとに基づいて現在のクランク角が計算され、クランク角センサ82の出力パルスの頻度からエンジン回転数NEが計算される。
【0220】
尚、これ以外にECU60の入力ポートには、各種の信号が入力されているが、本実施の形態1では説明上重要でないので図示省略している。
又、ECU60の出力ポートは、対応する駆動回路を介して各フューエルインジェクタ34に接続され、ECU60はエンジン2の運転状態に応じて各フューエルインジェクタ34の開弁制御を行い、燃料噴射時期制御や燃料噴射量制御を実行している。更にECU60の出力ポートは駆動回路を介してオイルコントロールバルブ(以下、「OCV」と略す)104に接続され、ECU60は要求吸入空気量等のエンジン2の運転状態に応じてOCV104による油圧制御によりリフト可変アクチュエータ100を制御している。
【0221】
ここで吸気バルブ12a,12bの可変動弁機構であるリフト可変アクチュエータ100について説明する。図2ではリフト可変アクチュエータ100は、縦断面図で表されている。ここでリフト可変アクチュエータ100は、油圧式リフト可変アクチュエータとして構成され、エンジン2から駆動力を受けて機能するオイルポンプPからの油圧を、OCV104を介して、ECU60が調整することにより作動する。
【0222】
OCV104は、電磁ソレノイド式4ポート3位置切替弁である。図2に示されたごとく、電磁ソレノイドの消磁状態(以下、「低リフト駆動状態」と称する)では、第1圧力室101e内の作動油は排出通路107を介してオイルパン108内へ戻される。第2圧力室101f内へは供給通路106を介してオイルポンプPから高圧の作動油が供給される。又、電磁ソレノイドが100%励磁された状態(以下、「高リフト駆動状態」と称する)では、第1圧力室101e内へは供給通路106を介してオイルポンプPから作動油が供給される。第2圧力室101fの作動油は排出通路107を介してオイルパン108内へ戻される。更に、電磁ソレノイドへの給電を中程度の状態(以下、「中立状態」と称する)に制御すると、圧力室101e,101fは供給通路106にも排出通路107にも接続されずに密封される。したがって、OCV104を低リフト駆動状態にすることにより、シャフト移動用ピストン101bをスプリング101gの付勢力と共にシリンダチューブ101a内にて図2の左側へ移動させることができる。このことにより、補助シャフト103及び転がり軸受部103aを介して吸気カムシャフト45を図2における左側に移動させて、吸気カム45aに対するカムフォロア45bの接触位置を、バルブ作用角とバルブリフト量とが共に小さいプロフィール側に移動させ、吸気バルブ12a,12bのバルブ作用角とバルブリフト量とを小さくできる。
【0223】
又、逆にOCV104を高リフト駆動状態にすることにより、シャフト移動用ピストン101bをスプリング101gの付勢力に抗してシリンダチューブ101a内にて図2の右側へ移動させることができる。このことにより、吸気カム45aに対するカムフォロア45bの接触位置を、バルブ作用角とバルブリフト量とが共に大きいプロフィール側に移動させ、吸気バルブ12a,12bのバルブ作用角とバルブリフト量とを大きくできる。
【0224】
又、電磁ソレノイドの給電制御によりOCV104を中立状態にすると、両圧力室101e,101fともに内部が密封されて作動油の移動が禁止される。このことにより、シャフト移動用ピストン101bはシリンダチューブ101a内にて固定されるので、スプリング101gの付勢力や、カムフォロア45bの押圧により吸気カム45aに生じるスラスト力を受けていても、吸気カムシャフト45は軸方向での位置が固定される。すなわち吸気バルブ12a,12bのバルブ作用角とバルブリフト量とが一定に維持される。
【0225】
次に、始動時リフト調整機構110について説明する。始動時リフト調整機構110は、吸気カムシャフト45側に設けられているものであり、図4(A)に詳細を示す。始動時リフト調整機構110は、吸気カムシャフト45に溝状に形成されたガイド部130及びシリンダヘッド8側に設けられた始動時係合機構140から構成されている。
【0226】
ガイド部130は、吸気カムシャフト45の周方向に形成されたリング状溝132と、このリング状溝132の両側に軸方向に螺旋状に設けられた誘導溝134,136とを有している。尚、誘導溝134と誘導溝136とは逆方向の螺旋状に形成されている。ここでは、図示矢印のごとく吸気カムシャフト45が回転しているので、誘導溝134は左ネジタイプであり、誘導溝136は右ネジタイプである。始動時係合機構140(始動時係合手段に相当)は、油圧アクチュエータ142(液圧アクチュエータに相当)とスプリング144とを有している。油圧アクチュエータ142はシリンダヘッド8に設けられている油圧シリンダ146と、この油圧シリンダ146内にてガイド部130に対して突出後退可能なピストン148とを有している。ピストン148は先端にピン148a(係合部に相当)を形成している。このピン148aは油圧シリンダ146を貫通してガイド部130側に突出できるように設けられており、ピストン148がガイド部130側に突出した場合には、リング状溝132又は誘導溝134,136に先端が挿入可能とされている。油圧シリンダ146内部空間の内、ピストン148よりもガイド部130側は、油圧室146aを形成しており、エンジン2の回転により駆動されるオイルポンプPが発生する油圧の供給を受けている。スプリング144はピストン148とは反対側に配置されて、ピストン148をガイド部130側に付勢している。尚、図示していないがスプリング144が配置されている空間は大気側に開放されている。
【0227】
ここで、エンジン2が駆動していてオイルポンプPからの高圧作動油が供給されていて、油圧室146a内の油圧が十分に高い場合には、ピストン148はスプリング144の付勢力に抗して後退する。このため、図4(A)に示したごとく、ピストン148の先端に設けられたピン148aは、吸気カムシャフト45の周面から離れて接触することはない。したがって、図4(B)に示すごとく、ガイド部130とピン148aとは係合することはない。このため、ECU60がOCV104により、リフト可変アクチュエータ100を介して吸気カムシャフト45を軸方向の任意の位置に移動させることができる。こうして、吸気カム45aの軸方向位置の調整により任意のバルブ作用角とバルブリフト量とを実現でき、アクセル開度ACCP等に基づいて、吸気バルブ12a,12bにより吸入空気量を調整することができる。
【0228】
一方、エンジン2の停止時には、オイルポンプPが停止することにより、リフト可変アクチュエータ100への作動油の油圧が無くなり、シャフト移動用ピストン101bの位置を調整するための油圧が無くなる。したがって、吸気カム45aのカム面とカムフォロア45bとの接触により生じる図4(B)の左方向へのスラスト力と、スプリング101gによる付勢力とにより、吸気カム45aは、吸気バルブ12a,12bのバルブ作用角とバルブリフト量とが最低となる位置に移動する。この状態を図5に示す。
【0229】
又、オイルポンプPの停止により始動時係合機構140においても油圧室146aの油圧が無くなる。このため、スプリング144の付勢力により、ピストン148は吸気カムシャフト45側に突出する。したがって、ピン148aの先端は、吸気カムシャフト45の周面に当接するか、あるいはリング状溝132よりも図示右側にある誘導溝136内に落ち込む。図5の例は、ピン148aの先端が、吸気カムシャフト45の周面に当接した状態を示している。
【0230】
停止中は、図5に示す状態であるが、始動時となり、クランキングにより吸気カムシャフト45が回転されると、図6に示すごとくピン148aの先端は、吸気カムシャフト45の周面から、誘導溝136内に落ち込む。そして、以後の吸気カムシャフト45の回転では、ピン148aは誘導溝136内に落ち込んだままとなる。誘導溝136は、吸気カムシャフト45の回転によりピン148aを次第にリング状溝132へ誘導する螺旋状に形成されている。しかし、ピン148aは軸方向には移動不能であるため、反作用として吸気カムシャフト45側が、リング状溝132がピン148aに位置するように、図示右側へ軸方向移動する。このことは、エンジン停止時において既にピン148aが誘導溝136内に落ち込んでいる場合も同じである。
【0231】
そして、図7に示すごとくピン148aがリング状溝132に到達すると、ピン148aはリング状溝132から出ることはなく、吸気カムシャフト45の軸方向移動は停止する。リング状溝132は、ピン148aが誘導されて来た場合には、吸気カム45aを、バルブ作用角とバルブリフト量とが最小値以外となる状態に配置する位置に形成されている。このため、始動初期のクランキング時においては、吸気カム45aをバルブ作用角とバルブリフト量とが最小値になるのを防止できる。このため、始動時において、吸気バルブ12a,12bは十分大きく開けることができる。
【0232】
尚、何らかの現象によりエンジン停止時に、ピン148aが誘導溝136とは反対側の誘導溝134側に対向した状態のままとなった場合においても、誘導溝134は、誘導溝136とは螺旋方向が逆であるため、吸気カムシャフト45の回転によりピン148aを次第にリング状溝132へ誘導する。したがって、吸気カムシャフト45は、リング状溝132がピン148aに位置するように、図示左側へ軸方向移動する。このことにより、始動時において、吸気バルブ12a,12bは十分大きく開けることができる。
【0233】
エンジン2の始動後に、オイルポンプPの供給油圧が十分に上昇すると、始動時係合機構140の油圧室146aの油圧が上昇し、スプリング144の付勢力に抗して、ピストン148を後退させ、ピン148aの先端をリング状溝132から抜き取る。このことにより、吸気カムシャフト45の軸方向移動は規制されなくなる。したがって、以後、ECU60によりOCV104を介して、リフト可変アクチュエータ100を駆動することにより、吸気バルブ12a,12bのバルブ作用角及びバルブリフト量により吸入空気量を任意に調整できる。
【0234】
以上説明した本実施の形態1によれば、以下の効果が得られる。
(イ).始動時リフト調整機構110により、少なくともエンジン始動時には、リフト可変アクチュエータ100を、バルブ作用角とバルブリフト量とが最小値以外となる状態、ここでは図7に示す状態にしている。このため3次元カムである吸気カム45aによるバルブ作用角とバルブリフト量とが適切な値にて始動が可能となり、始動時における吸入空気量が十分に確保される。このため始動性の悪化を抑制することができる。
【0235】
(ロ).始動時係合機構140は、油圧アクチュエータ142とスプリング144とから構成され、ガイド部130は、リング状溝132と螺旋状の誘導溝134,136とから構成されている。油圧アクチュエータ142のピストン148に取り付けられているピン148aを、ガイド部130側に突出させれば、ガイド部130の各溝132,134,136の形状により、自ずと吸気カムシャフト45はバルブ作用角及びバルブリフト量が最小値以外となる軸方向位置に誘導される。したがって、比較的簡易な構成で、始動時における吸入空気量が改善され、始動性の悪化を抑制することができる。
【0236】
(ハ).エンジン2の停止時には、オイルポンプPによる油圧が消失するため油圧アクチュエータ142が作用せず、スプリング144の付勢力によりピン148aをガイド部130に当接させることができる。このため、上述したごとく吸気カムシャフト45は吸気カム45aがバルブ作用角とバルブリフト量とが最小値以外となる軸方向位置へ誘導される。そして、エンジン2の始動後には、オイルポンプPがエンジン2により駆動されて油圧が上昇するため、油圧アクチュエータ142はスプリング144の付勢力に抗する油圧にて、ピン148aを吸気カムシャフト45に当接しないようにすることができる。このため、始動後には、リフト可変アクチュエータ100を用いて、エンジン2の運転状態に応じてバルブ作用角とバルブリフト量とを連続的に可変とすることができる。
【0237】
このように、始動時のみ吸気カムシャフト45をバルブ作用角とバルブリフト量とを最小値以外となる軸方向位置へ誘導する処理を、制御装置に依存せずに行える。したがって、ECU60の始動時のプログラムが簡素化する。
【0238】
[実施の形態2]
本実施の形態2は、前記実施の形態1に示すごとくの始動時リフト調整機構110は存在せず、リフト可変アクチュエータ200が図8に示すごとくの構成である点が、前記実施の形態1とは異なる。これ以外の構成は、特に説明しない限り前記実施の形態1と同じである。
【0239】
リフト可変アクチュエータ200において、前記実施の形態1との大きな違いは、第1圧力室201eと第2圧力室201fとの両方にそれぞれスプリング201g,201hが配置されている点である。そして、第1スプリング201h及び第2スプリング201gの付勢力と、吸気カム45aを押圧するカムフォロア45bにより吸気カムシャフト45に生じるスラスト力とが、図8に示す吸気カムシャフト45の軸方向位置にてバランスして停止するように設定されている。
【0240】
すなわち、第1スプリング201hの付勢力Fs1、第2スプリング201gの付勢力Fs2、及び吸気カム45aを押圧するカムフォロア45bにより吸気カムシャフト45に生じる平均スラスト力Fcの関係が、図8に示した位置で次式1の関係を有するように設定してある。
【0241】
【数1】
Fs1 ≒ Fs2 + Fc … [式1]
尚、吸気カムシャフト45の回転位相に応じてカムフォロア45bによる吸気カムシャフト45に生じるスラスト力は周期的に変動する。このため、1回転分の平均スラスト力Fcを用いている。
【0242】
このようにバランスした位置は、始動時に吸気バルブ12a,12bにより必要な吸入空気量が確保できる位置である。すなわち、ここでは、リフト可変アクチュエータ200内に第1スプリング201hと第2スプリング201gとを設けて、前記式1の関係に設定した構成が始動時リフト調整手段に相当する。
【0243】
したがって、エンジン2が駆動していて、オイルポンプPから十分に高い油圧が、OCV104を介して第1圧力室201e及び第2圧力室201fに供給できる場合には、シャフト移動用ピストン201bを必要に応じて移動させて、吸気バルブ12a,12bのバルブ作用角とバルブリフト量とを任意に設定できる。しかし、始動時にはリフト可変アクチュエータ200には油圧が供給されていないので、前記式1の関係を満足する位置に吸気カムシャフト45が自ずと移動して、始動時に必要な吸入空気量が確保される。
【0244】
以上説明した本実施の形態2によれば、以下の効果が得られる。
(イ).始動時において前記式1の関係が満足されて、始動時に必要な吸入空気量が確保される。このため、簡易な構成で、始動時における吸入空気量が改善され、始動性の悪化を抑制することができる。特に、対抗する付勢力を生じている第1スプリング201hと第2スプリング201gとの2つのスプリングを用いているので、確実に、始動時に、吸気カムシャフト45を吸気カム45aがバルブ作用角とバルブリフト量とを最小値以外となる軸方向位置に移動させることができる。
【0245】
[実施の形態3]
本実施の形態3は、リフト可変アクチュエータ300において図9に示すごとく、第2圧力室301f側に第2スプリングが存在せず、第1圧力室301e側にのみ第1スプリング301hが存在する点が、前記実施の形態2とは異なる。これ以外の構成は、特に説明しない限り前記実施の形態2と同じである。
【0246】
リフト可変アクチュエータ300においては、第1スプリング301hの付勢力と、吸気カム45aを押圧するカムフォロア45bにより吸気カムシャフト45に生じるスラスト力とが、図9に示す位置で、バランスするように設定されている。
【0247】
すなわち、第1スプリング301hの付勢力Fs1と、吸気カム45aを押圧するカムフォロア45bにより吸気カムシャフト45に生じる平均スラスト力Fcとが、図9に示した位置で次式2の関係を有するように設定してある。
【0248】
【数2】
Fs1 ≒ Fc … [式2]
このバランス位置は始動時に吸気バルブ12a,12bにより必要な吸入空気量が確保できる位置である。すなわち、リフト可変アクチュエータ300内に第1スプリング301hのみを設けて、前記式2の関係に設定した構成が始動時リフト調整手段に相当する。
【0249】
したがって、エンジン2が駆動していて、オイルポンプPから十分に高い油圧が、OCV104を介して第1圧力室301e及び第2圧力室301fに供給できる場合には、シャフト移動用ピストン301bを必要に応じて移動させて、吸気バルブ12a,12bのバルブ作用角とバルブリフト量とを任意に設定できる。しかし、始動時には、前記式2の関係を満足する位置に吸気カムシャフト45が自ずと移動して、始動時に必要な吸入空気量が確保される。
【0250】
以上説明した本実施の形態3によれば、以下の効果が得られる。
(イ).前記実施の形態2に比較して、更に第2スプリングを省略している。このため、部品点数を少なくできてコストが抑制できるとともに、比較的簡易な構成で、始動時における吸入空気量が改善でき、始動性の悪化を抑制することができる。
【0251】
[実施の形態4]
本実施の形態4のリフト可変アクチュエータ400は、図10(A)に示すごとく、前記実施の形態2又は前記実施の形態3のリフト可変アクチュエータ200,300の構成に対して、更に始動時リフト固定機構410が加わっているものである。この始動時リフト固定機構410は、係合部420及び被係合部430から構成されている。
【0252】
係合部420はシリンダチューブ401a側に形成されており、油圧アクチュエータ422を備えている。油圧アクチュエータ422は、油圧シリンダ422a、ピストン422b及びスプリング422cを備えており、油圧シリンダ422aの内、ピストン422bよりもシリンダチューブ401a側には油圧室422dが設けられている。この油圧室422dへはオイルポンプPから油圧が供給されている。ピストン422bの先端にはピン424が設けられている。ピン424は、シリンダチューブ401aの周壁に形成された貫通孔422eを通して、シリンダチューブ401a内部に突出可能とされている。
【0253】
被係合部430は、シリンダチューブ401a内部のシャフト移動用ピストン401bの周面に設けられたリング状溝として形成されている。シャフト移動用ピストン401bの移動により、被係合部430がピン424の突出位置に移動した場合に、オイルポンプPからの油圧が低いためにスプリング422cの付勢力によりピン424が突出すると、図10(C)に示すごとくピン424は被係合部430に挿入される。このことで、シャフト移動用ピストン401bは軸方向への移動が規制されるので、吸気カムシャフト45の軸方向位置を固定することができる。
【0254】
尚、シャフト移動用ピストン401bの周面には、被係合部430を挟むようにして、2つのシールリング440,442が設けられている。
本実施の形態4では上述したごとく前記実施の形態2又は3と同じ構成を備えているので、図10(A)に示した位置で、前記式1又は前記式2の関係を有し、吸気バルブ12a,12bにより必要な吸入空気量が確保できる。したがって、エンジン2が停止している場合には、前述したスプリングとスラスト力とのバランスにより、例えば、図10(B)に示した状態、あるいは図10(C)に示した状態となっている。
【0255】
図10(B)に示した状態は、図10(A)とは少しずれた位置にシャフト移動用ピストン401bが停止し、ピン424はシャフト移動用ピストン401bの周面の内、被係合部430から外れた位置で当接している。又、図10(C)に示した状態は、図10(A)に示したと同じ位置でシャフト移動用ピストン401bが停止し、ピン424は被係合部430に挿入されている。
【0256】
例えば、図10(B)に示したエンジン停止状態からエンジン始動がなされると、吸気カムシャフト45が回転して、カムフォロア45bが接触する吸気カム45aのカム面の角度が変動するため、図10(A)の位置を中心としてシャフト移動用ピストン401bが軸方向に振動する。始動時においてはオイルポンプPの供給油圧はほとんど無いので、被係合部430とピン424との位置が一致した時に、スプリング422cの付勢力により、図10(C)に示したごとく、ピン424は被係合部430に挿入される。こうしてシャフト移動用ピストン401bの軸方向への振動が停止する。このため、吸気カムシャフト45は、吸気バルブ12a,12bにより必要な吸入空気量が確保できる軸方向位置に固定された状態で、回転を継続することになる。
【0257】
又、エンジン停止時に既に、図10(C)の状態になっていれば、始動時の最初から、吸気カムシャフト45は、吸気バルブ12a,12bにより必要な吸入空気量が確保できる軸方向位置に固定されて回転を行う。
【0258】
以後、エンジン2が始動して十分にオイルポンプPの油圧が上昇すれば、ピストン422bがスプリング422cの付勢力に抗して、ピン424を後退させ、係合部420と被係合部430との係合は解かれる。したがって、シャフト移動用ピストン401bを必要に応じて移動させて、吸気バルブ12a,12bのバルブ作用角とバルブリフト量とを任意に設定できる。
【0259】
尚、図11(A)に示すごとく、貫通孔422eの直径以上に、シールリング440,442間の幅dsが設定されている。このため、エンジン2の始動後において、シャフト移動用ピストン401bがシリンダチューブ401a内を移動して、図11(A),(B)に示すごとくシールリング440,442の一方が貫通孔422eの位置に来ると、その一方のシールリングについては、シール性が悪化するが、シールリング440,442の内の他方は十分にシール性能を発揮する。
【0260】
以上説明した本実施の形態4によれば、以下の効果が得られる。
(イ).前記実施の形態2,3に比較して、更に始動時リフト固定機構410が存在することにより、始動時には、シャフト移動用ピストン401bの軸方向位置が固定され、吸気カムシャフト45の軸方向位置も固定される。したがって、クランキング時に吸気カム45aの回転に伴うスラスト力の変動にかかわらず、吸気バルブ12a,12bのバルブ作用角やバルブリフト量が安定する。このため、始動時における吸入空気量が安定するので、始動性の悪化を効果的に抑制することができる。
【0261】
又、リフト可変アクチュエータ400に対して始動時リフト固定機構410を組み込んでいるので、全体としてエンジン全体の大型化を抑制できる。
(ロ).幅dsで設けられた2つのシールリング440,442が存在するので、貫通孔422eが同時に2つのシールリング440,442によるシールを阻害することはない。このため、リフト可変アクチュエータ400に始動時リフト固定機構410を組み込んでも、第1圧力室401eと第2圧力室401fとのシール性が悪化せず、吸気バルブ12a,12bによる吸入空気量制御の応答性などが悪化することを防止できる。
【0262】
[実施の形態5]
本実施の形態5では、前記実施の形態2〜4とは異なり、図12(A)に示すごとく、吸気バルブ12a,12bのバルブ作用角及びバルブリフト量が仲介駆動機構520にて調整される構成である。他の構成については特に説明しない限り前記実施の形態2〜4のいずれかの構成と同じである。
【0263】
ここで、仲介駆動機構520の1つを図16,図17に示す。図16は斜視図、図17(A)は平面図、図17(B)は正面図、図17(C)は右側面図を示している。仲介駆動機構520は、図示中央に設けられた入力部522、図示左に設けられた第1揺動カム524(「出力部」に相当する)および図示右に設けられた第2揺動カム526(「出力部」に相当する)を備えている。これら入力部522のハウジング522aおよび揺動カム524,526の各ハウジング524a,526aはそれぞれ外径が同じ円柱状をなしている。
【0264】
各ハウジング522a,524a,526aを水平に破断した斜視図を図18に示す。ここで、入力部522のハウジング522aは内部に軸方向に空間を形成し、この空間の内周面には軸方向に右ネジの螺旋状に形成されたヘリカルスプライン522bを形成している。また外周面からは2つのアーム522c,522dが平行に突出して形成されている。これらアーム522c,522dの先端には、アーム522c,522d間にシャフト522eが掛け渡されている。このシャフト522eはハウジング522aの軸方向と平行であり、ローラ522fが回転可能に取り付けられている。
【0265】
第1揺動カム524のハウジング524aは内部に軸方向に空間を形成し、この内部空間の内周面には軸方向に左ネジの螺旋状に形成されたヘリカルスプライン524bを形成している。尚、この内部空間は径の小さい中心孔を有するリング状の軸受部524cにて左端が覆われている。また外周面からは略三角形状のノーズ524dが突出して形成されている。このノーズ524dの一辺は凹状に湾曲するカム面524eを形成している。
【0266】
第2揺動カム526のハウジング526aは内部に軸方向に空間を形成し、この内部空間の内周面には軸方向に左ネジの螺旋状に形成されたヘリカルスプライン526bを形成している。尚、この内部空間は径の小さい中心孔を有するリング状の軸受部526cにて右端が覆われている。また外周面からは略三角形状のノーズ526dが突出して形成されている。このノーズ526dの一辺は凹状に湾曲するカム面526eを形成している。
【0267】
第1揺動カム524および第2揺動カム526は、軸受部524c,526cを外側にして入力部522の両端から各端面を同軸上で接触させるように配置され、全体が図16に示したごとく内部空間を有する略円柱状となる。
【0268】
入力部522および2つの揺動カム524,526から構成される内部空間には、スライダギア528が配置されている。スライダギア528は略円柱状をなし、外周面中央には右ネジの螺旋状に形成された入力用ヘリカルスプライン528aが形成されている。この入力用ヘリカルスプライン528aの左側端部には小径部528bを挟んで左ネジの螺旋状に形成された第1出力用ヘリカルスプライン528cが形成されている。また、入力用ヘリカルスプライン528aの右側端部には小径部528dを挟んで左ネジの螺旋状に形成された第2出力用ヘリカルスプライン528eが形成されている。尚、これら出力用ヘリカルスプライン528c,528eは、入力用ヘリカルスプライン528aに対して外径が小さく形成されている。
【0269】
スライダギア528の内部には中心軸方向に貫通孔528fが形成されている。そして一方の小径部528dには貫通孔528f内部を外周面に開放するための長孔528gが形成されている。この長孔528gは周方向に長く形成されている。
【0270】
スライダギア528の貫通孔528f内には、図19に示すごとくの支持パイプ530が周方向に摺動可能に配置されている。ここで図19(A)は平面図、図19(B)は正面図、図19(C)は右側面図である。この支持パイプ530は、図20のエンジン平面図に示すごとく、すべての仲介駆動機構520(ここでは4つ)に共通の1本が設けられている。尚、支持パイプ530には各仲介駆動機構520毎に軸方向に長く形成された長孔530aが開口している。
【0271】
更に、支持パイプ530内には、軸方向に摺動可能にコントロールシャフト532が貫通している。このコントロールシャフト532も支持パイプ530と同様にすべての仲介駆動機構520に共通の1本が設けられている。尚、コントロールシャフト532には各仲介駆動機構520毎に係止ピン532aが突出している。この係止ピン532aは支持パイプ530に形成されている軸方向の長孔530aを貫通して形成されている。更にコントロールシャフト532の係止ピン532aは、スライダギア528に形成された周方向の長孔528g内にも先端が挿入されている。
【0272】
支持パイプ530に形成された軸方向の長孔530aにより、コントロールシャフト532の係止ピン532aは、支持パイプ530がシリンダヘッド8に対して固定されていても、軸方向に移動することでスライダギア528を軸方向に移動させることができる。更に、スライダギア528自体は、周方向の長孔528gにて係止ピン532aに係止していることにより、係止ピン532aにて軸方向の位置は決定されるが軸周りについては揺動可能となっている。
【0273】
そして、スライダギア528の内で、入力用ヘリカルスプライン528aは入力部522内部のヘリカルスプライン522bに噛み合わされている。また第1出力用ヘリカルスプライン528cは第1揺動カム524内部のヘリカルスプライン524bに噛み合わされ、第2出力用ヘリカルスプライン528eは第2揺動カム526内部のヘリカルスプライン526bに噛み合わされている。
【0274】
このように構成された各仲介駆動機構520は、揺動カム524,526の軸受部524c,526c側にて、図20に示したごとく、シリンダヘッド8に形成された立壁部536,538に挟まれて、軸周りには揺動可能であるが軸方向に移動するのが阻止されている。この立壁部536,538には、軸受部524c,526cの中心孔に対応した位置に孔が形成され、支持パイプ530を貫通させ固定している。したがって支持パイプ530はシリンダヘッド8に対しては固定されて軸方向に移動したり回転したりすることはない。
【0275】
また、支持パイプ530内のコントロールシャフト532は支持パイプ530内を軸方向に摺動可能に貫通し、一端側にて前記実施の形態2〜4のリフト可変アクチュエータ200,300,400のいずれかと同一の構成であるリフト可変アクチュエータ500に対して補助シャフト503の代わりに連結されている。このリフト可変アクチュエータ500によりコントロールシャフト532は軸方向の変位が調整可能とされている。
【0276】
すなわち、リフト可変アクチュエータ500により、コントロールシャフト532の軸方向位置を調整することで、コントロールシャフト532とスライダギア528とを介して、入力部522のローラ522fと揺動カム524,526のノーズ524d,526dとの相対位相差が調整できる。すなわち、リフト可変アクチュエータ500の駆動により、図12〜図15に示すごとく吸気バルブ12a,12bのバルブ作用角及びバルブリフト量を連続的に可変とすることができる。
【0277】
ここで、図12は、リフト可変アクチュエータ500によりコントロールシャフト532を図16,18に示す矢印SのF方向へ最大量移動させた状態の仲介駆動機構520を示している。尚、図12〜図15では第2揺動カム526が第1吸気バルブ12aを駆動する機構を示しているが、第1揺動カム524が第2吸気バルブ12bを駆動する機構についても同じであるので、第1揺動カム524および第2吸気バルブ12bの符号も併記して以下説明する。
【0278】
図12(A)では吸気カム45aのベース円部分(ノーズ45cを除いた部分)が、仲介駆動機構520における入力部522のローラ522fに接触している。尚、図示していないがローラ522fはスプリングにより吸気カム45a側に常に接触するように付勢されている。このとき、揺動カム524,526のノーズ524d,526dはロッカーアーム13のローラ13aには接触しておらず、ノーズ524d,526dに隣接したベース円部分が接触している。このため、吸気バルブ12a,12bは閉弁状態にある。
【0279】
吸気カムシャフト45が回転して吸気カム45aのノーズ45cが入力部522のローラ522fを押し下げると、仲介駆動機構520内では入力部522からスライダギア528を介して揺動カム524,526に揺動が伝達されて、揺動カム524,526はノーズ524d,526dを押し下げるように揺動する。このことによりノーズ524d,526dに設けられた湾曲状のカム面524e,526eが直ちにロッカーアーム13のローラ13aに接触して、図12(B)に示すごとく、カム面524e,526eの全範囲を使用してロッカーアーム13のローラ13aを押し下げる。このことにより、ロッカーアーム13はアジャスタ13bにて支持されている基端部13c側を中心に揺動し、ロッカーアーム13の先端部13dは大きくステムエンド12cを押し下げる。こうして吸気バルブ12a,12bは最大のバルブ作用角及びバルブリフト量にて吸気ポート14a,14bを開放状態とする。
【0280】
図13はリフト可変アクチュエータ500によりコントロールシャフト532を図12の状態から少しR方向へ移動させた場合の仲介駆動機構520の状態を示している。
【0281】
図13(A)では吸気カム45aのベース円部分が、仲介駆動機構520における入力部522のローラ522fに接触している。このとき、揺動カム524,526のノーズ524d,526dはロッカーアーム13のローラ13aには接触しておらず、図12の場合に比較して少しノーズ524d,526dから離れたベース円部分が接触している。このため、吸気バルブ12a,12bは閉弁状態にある。これは仲介駆動機構520内でスライダギア528が少しR方向に移動したため、入力部522のローラ522fと揺動カム524,526のノーズ524d,526dとの相対位相差が小さくなったためである。
【0282】
吸気カムシャフト45が回転して吸気カム45aのノーズ45cが入力部522のローラ522fを押し下げると、仲介駆動機構520内では入力部522からスライダギア528を介して揺動カム524,526に揺動が伝達されて、揺動カム524,526はノーズ524d,526dを押し下げるように揺動する。
【0283】
上述したごとく、図13(A)の状態ではロッカーアーム13のローラ13aにはノーズ524d,526dから離れたベース円部分が接触している。このため、揺動カム524,526が揺動しても、しばらくはロッカーアーム13のローラ13aはノーズ524d,526dに設けられた湾曲状のカム面524e,526eに接触することなくベース円部分に接触した状態を継続する。その後、湾曲状のカム面524e,526eがローラ13aに接触して、図13(B)に示すごとくロッカーアーム13のローラ13aを押し下げる。このことにより、ロッカーアーム13は基端部13cを中心に揺動する。しかし、ロッカーアーム13のローラ13aが当初、ノーズ524d,526dから離れている分、カム面524e,526eの使用範囲は少なくなってロッカーアーム13の揺動角度は小さくなり、ロッカーアーム13の先端部13dによるステムエンド12cの押し下げ角度幅及び押し下げ量、すなわちバルブ作用角及びバルブリフト量は少なくなる。こうして吸気バルブ12a,12bは最大量よりも小さいバルブ作用角及びバルブリフト量にて吸気ポート14a,14bを開放状態とする。
【0284】
図14はリフト可変アクチュエータ500のピストン500bを図13の状態から更にR方向へ移動させた状態の仲介駆動機構520の状態を示している。したがって、カム面524e,526eの使用範囲は更に少なくなってロッカーアーム13の揺動角度は更に小さくなり、ロッカーアーム13の先端部13dによるステムエンド12cの押し下げ角度幅及び押し下げ量、すなわちバルブ作用角及びバルブリフト量はかなり少なくなる。こうして吸気バルブ12a,12bは最大量よりもかなり小さいバルブ作用角及びバルブリフト量にて吸気ポート14a,14bを開放状態とする。
【0285】
図15はリフト可変アクチュエータ500によりコントロールシャフト532を最もR方向へ移動させた場合の仲介駆動機構520の状態を示している。そして、図15(A)の状態ではロッカーアーム13のローラ13aにはノーズ524d,526dから大きく離れたベース円部分が接触している。このため、揺動の全期間、ロッカーアーム13のローラ13aはノーズ524d,526dに設けられた湾曲状のカム面524e,526eに接触することなくベース円部分に接触した状態を継続する。すなわち、図15(B)に示すごとく、吸気カム45aのノーズ45cが入力部522のローラ522fを最大に押し下げても、湾曲状のカム面524e,526eはロッカーアーム13のローラ13aを押し下げるために使用されることはない。このことにより、ロッカーアーム13は基端部13cを中心に揺動することがなくなり、ロッカーアーム13の先端部13dによるステムエンド12cの押し下げ角度幅及び押し下げ量、すなわちバルブ作用角及びバルブリフト量は0となる。こうして吸気バルブ12a,12bは吸気ポート14a,14bの閉鎖状態を維持する。
【0286】
このようにリフト可変アクチュエータ500により、コントロールシャフト532の軸方向位置を調整することにより、前記実施の形態1の図3のグラフに示したごとく、吸気バルブ12a,12bのバルブ作用角及びバルブリフト量が連続的に調整可能となる。
【0287】
以上説明した本実施の形態5によれば、以下の効果が得られる。
(イ).本実施の形態5のリフト可変アクチュエータ500では、吸気カムシャフト45が回転する場合には、ノーズ45cにより入力部522のアーム522cは押し下げる力を受け、揺動カム524,526のノーズ524d,526dがロッカーアーム13から反力を受ける。このことにより、始動時のごとくオイルポンプPからの供給油圧が存在しない場合には、図15に示したごとくのバルブ作用角及びバルブリフト量が0となるように仲介駆動機構520の状態が変化する。
【0288】
しかし、本実施の形態5においてはリフト可変アクチュエータ500には、前記実施の形態2のスプリング201h,201gあるいは前記実施の形態3のスプリング301hが存在する。あるいは、更に前記実施の形態4の始動時リフト固定機構410が加えられている。このことにより、始動時においては、オイルポンプPからの供給油圧がなくても、コントロールシャフト532を適切な軸方向位置に設定することができる。したがって、前記実施の形態2〜4のいずれかの効果を生じさせることができる。
【0289】
[実施の形態6]
本実施の形態6は図21に示すごとくであり、前記実施の形態1とは次のような構成が異なる。すなわち、吸気カム645aは軸方向にプロフィールが一定の平カムである。そして、吸気カムシャフト645と接続しているタイミングスプロケット609は、エンジンのシリンダブロックに対して回転可能にかつ軸方向へは移動しないように支持されているが、吸気カムシャフト645とは中心部にてヘリカルスプライン機構609aにより接続されていることにより、軸方向に吸気カムシャフト645の移動を許している。このヘリカルスプライン機構609aは、本実施の形態6では右ネジタイプに形成されている。このことにより、ECU660は、バルブタイミング可変アクチュエータ600をOCV104にて駆動することによりにより、軸方向に吸気カムシャフト645を図示左側に移動させると、吸気カム645aはタイミングスプロケット609に対して遅角方向に、図示右側に移動させると進角方向に相対回転する。すなわち、バルブタイミング可変アクチュエータ600は、軸方向に吸気カムシャフト645を移動させることによりバルブ作用角及びバルブリフト量は変更させないが、バルブタイミングを、図22に破線で示す最遅角位置から一点鎖線で記す最進角位置まで変更させることができるアクチュエータである。
【0290】
又、始動時バルブタイミング調整機構610の基本的構成は、図4〜7にて説明した前記実施の形態1の始動時リフト調整機構110と同じであり、始動時には特定の軸方向位置にてクランキングがなされる。ただし、この特定の軸方向位置は、始動時に適切なバルブタイミング(例えば、図22に実線で示すバルブタイミング)が実現される軸方向位置にてクランキングされるようにリング状溝132の位置が設定されている。これ以外の構成は、特に説明しない限り前記実施の形態1と同じである。
【0291】
尚、実施の形態6においては、バルブタイミング可変アクチュエータ600とヘリカルスプライン機構609aとの組み合わせが、可変動弁機構に、始動時バルブタイミング調整機構610が始動時バルブタイミング調整手段に相当する。
【0292】
以上説明した本実施の形態6によれば、以下の効果が得られる。
(イ).始動時バルブタイミング調整機構610により、エンジン始動時には吸気カムシャフト645が予め設定されている軸方向位置に移動される。この移動によりヘリカルスプライン機構609aが吸気カムシャフト645をタイミングスプロケット609に対して相対回転させて、最遅角タイミングでないバルブタイミング(本実施の形態6では、図22に実線で示した進角位置)を実現する。
【0293】
このため、吸気バルブ12a,12bにおいては閉弁タイミングが遅くなるのを防止できるので、燃焼室内に流入した吸気が再度、開放状態の吸気バルブ12a,12bから吸気マニホールド30側に戻るのを抑制できる。したがって、十分に体積効率を上昇させることができ、始動時における吸入空気量が改善され、始動性の悪化を抑制することができる。
【0294】
[実施の形態7]
本実施の形態7は図23に示すごとくであり、前記実施の形態6とは次のような構成が異なる。すなわち、バルブタイミング可変アクチュエータ700は、シリンダチューブ701a(回転連動部材に相当)にてタイミングスプロケット709と一体に形成されている。シリンダチューブ701a内には、シャフト相対回転用ピストン701bが配置されている。このシャフト相対回転用ピストン701bにより、シリンダチューブ701a内は軸方向に、第1圧力室701eと第2圧力室701fとに区画されている。第1圧力室701e側には第1スプリング701hが、第2圧力室701f側には第2スプリング701gが配置されて、それぞれ、シャフト相対回転用ピストン701bを逆方向に付勢している。
【0295】
更に、第2圧力室701f側には、シャフト相対回転用ピストン701bから第1スプライン部701i(噛合部材に相当)及び第2スプライン部701j(噛合部材に相当)が軸方向に円筒状に突出して設けられている。この内、径方向外側の第1スプライン部701iは、シリンダチューブ701aの内周面に形成されている右ネジタイプのヘリカルスプライン部702に噛み合っている。又、径方向内側の第2スプライン部701jは、バルブタイミング可変アクチュエータ700を貫通している吸気カムシャフト745の外周面に形成されているストレートスプライン部703に噛み合っている。尚、吸気カムシャフト745は、エンジンに対して回転可能に支持されているが軸方向には移動しないようにされている。他の構成は、特に説明しない限り前記実施の形態6と同じである。
【0296】
このような構成により、ECU760がOCV104を介して第1圧力室701eに作動油を供給し、第2圧力室701fの作動油を排出すれば、シャフト相対回転用ピストン701bが図示左側に移動する。この移動により、第1スプライン部701iとヘリカルスプライン部702との噛み合わせにより、シャフト相対回転用ピストン701bは回転する。この回転は、第2スプライン部701jとストレートスプライン部703との噛み合わせにより、吸気カムシャフト745を回転させて、吸気カム745aをタイミングスプロケット709に対して遅角側に相対回転させる。逆に、第1圧力室701eの作動油を排出し、第2圧力室701fへ作動油を供給すれば、シャフト相対回転用ピストン701bが図示右側に移動する。この移動により、第1スプライン部701iとヘリカルスプライン部702との噛み合わせにより、シャフト相対回転用ピストン701bは回転する。この回転は、第2スプライン部701jとストレートスプライン部703との噛み合わせにより、吸気カムシャフト745を回転させて、吸気カム745aをタイミングスプロケット709に対して進角側に相対回転させる。
【0297】
このような構成により、エンジンが駆動していてオイルポンプPから十分な油圧が供給されている場合には、ECU760はエンジン運転状態に応じて吸気バルブ12a,12bのバルブタイミングを調整できる。
【0298】
このようなバルブタイミング可変アクチュエータ700では、吸気カム745aがカムフォロア745bから受ける回転抵抗力が、第1スプライン部701iとヘリカルスプライン部702との噛み合わせによりシャフト相対回転用ピストン701bを図示左側に移動させるスラスト力に変化する。このスラスト力の回転平均値をFhとすると、第1スプリング701hの付勢力Fs1、第2スプリング701gの付勢力Fs2、及び前記平均スラスト力Fhは、シャフト相対回転用ピストン701bの特定の軸方向位置で次式3の関係となってバランスするように設定してある。
【0299】
【数3】
Fs1 + Fh ≒ Fs2 … [式3]
このバランス位置は始動時に吸気バルブ12a,12bにより適切な吸入空気量が確保できるバルブタイミングとなる位置である。すなわち、バルブタイミング可変アクチュエータ700内に第1スプリング701hと第2スプリング701gとを設けて、前記式3の関係に設定した構成が始動時バルブタイミング調整手段に相当する。
【0300】
したがって、エンジンが駆動していて、オイルポンプPから十分に高い油圧が、OCV104を介して第1圧力室701e及び第2圧力室701fに供給できる場合には、シャフト相対回転用ピストン701bを必要に応じて移動させて、吸気バルブ12a,12bのバルブタイミングを任意に設定できる。しかし、オイルポンプPからの油圧が無い始動時には、前記式3の関係を満足する位置にシャフト相対回転用ピストン701bが自ずと移動して、特定のバルブタイミングとなる。
【0301】
以上説明した本実施の形態7によれば、以下の効果が得られる。
(イ).エンジン始動時には、オイルポンプPからの油圧が無く、OCV104によるバルブタイミング可変アクチュエータ700に対する油圧制御は実行されていない。このため、前記式3の関係から、シャフト相対回転用ピストン701bは、吸気バルブ12a,12bにより適切な吸入空気量が確保できるバルブタイミングとなる位置に自ずと移動して安定する。
【0302】
このため、吸気バルブ12a,12bにおいては閉弁タイミングが最遅角となるのを防止できるので、燃焼室内に流入した吸気が再度、開放状態の吸気バルブ12a,12bから吸気マニホールド30側に戻るのを抑制できる。したがって、十分に体積効率を上昇させることができ、始動時における吸入空気量が改善され、始動性の悪化を抑制することができる。
【0303】
[実施の形態8]
本実施の形態8は図24に示すごとくであり、前記実施の形態7とは次のような構成が異なる。すなわち、前記バルブタイミング可変アクチュエータ700と基本的に同一のバルブタイミング可変アクチュエータ800が吸気カムシャフト845に対して設けられている。ただし、第1圧力室801e内には第1スプリングは存在せず、第2圧力室801f内のみにスプリング801gが存在し、シャフト相対回転用ピストン801bを図示右側(進角側)に付勢している。このスプリング801gの付勢力は強いので、始動時には吸気カムシャフト845は、クランクシャフトに対して吸気カム845aを最大に進角する。すなわち、始動時にはバルブタイミングは最大進角値となる。
【0304】
又、吸気カムシャフト845の図示右端側にはリフト可変アクチュエータ900が設けられている。この構成は、基本的には前記実施の形態3におけるリフト可変アクチュエータ300と同じである。ただし、スプリング301hの付勢力が強く、始動時においては、吸気カムシャフト845を図示の最も右側に移動させる。すなわち、始動時には吸気バルブ12a,12bのバルブ作用角及びバルブリフト量は最大となる。
【0305】
したがって、エンジンが駆動していてオイルポンプPから十分に高い油圧が供給されている場合には、ECU860は、OCV104,105を介してバルブタイミング可変アクチュエータ800及びリフト可変アクチュエータ900を制御できる。このことにより吸気カムシャフト845をクランクシャフトに対して相対回転させたり、軸方向に移動させて、吸気バルブ12a,12bのバルブタイミング、バルブ作用角及びバルブリフト量を任意に調整できる。しかし、オイルポンプPから油圧供給が無い始動時には、シャフト相対回転用ピストン801bとシャフト移動用ピストン301bとが、スプリング801g,301hの付勢力により自ずと移動して、特定のバルブタイミング、バルブ作用角及びバルブリフト量となる。ここでは、バルブタイミングは最進角となり、バルブ作用角及びバルブリフト量は最大となる。
【0306】
以上説明した本実施の形態8によれば、以下の効果が得られる。
(イ).エンジン始動時には、オイルポンプPからの油圧が無く、OCV104,105によるバルブタイミング可変アクチュエータ800及びリフト可変アクチュエータ900に対する油圧制御は実行されていない。このため、上述したごとく、バルブタイミングは最進角となり、バルブ作用角及びバルブリフト量は最大となる。
【0307】
このように吸気バルブ12a,12bにおいてはバルブ作用角及びバルブリフト量は最大となるため始動に十分な開弁期間が確保できると共に、バルブ作用角が最大に拡大しても、最進角となっていることにより閉弁タイミングが遅くなるのを防止できる。このため、燃焼室内に大量に流入した吸気が再度、開放状態の吸気バルブ12a,12bから吸気マニホールド30側に戻るのを抑制できる。したがって、十分に体積効率を上昇させることができ、始動時における吸入空気量が改善され、始動性の悪化を抑制することができる。
【0308】
(ロ).バルブタイミングも、バルブ作用角及びバルブリフト量も、始動時に中間位置に維持されるのではなく、最進角及び最大値に維持される構成であるので、バルブタイミングも、バルブ作用角及びバルブリフト量も、調整が一層確実なものとなる。
【0309】
[実施の形態9]
本実施の形態においては、前記実施の形態1においてリフト可変アクチュエータ100(図2)及び始動時リフト調整機構110(図2)の代わりに、あるいは前記実施の形態5においてリフト可変アクチュエータ500(図20)の代わりに、図25に示すリフト可変アクチュエータ1300、始動時リフト調整機構1400及びロック機構1410を用いている点が異なる。又、図1に示したエンジン2の構成において、吸入空気量センサ84とサージタンク32との間の吸気ダクト40には使用条件を限定して用いられるスロットルバルブが配置され、モータを介してECUによりスロットルバルブの開度が必要に応じて制御されている。これ以外は特に説明しない限り前記実施の形態1あるいは前記実施の形態5と同じである。
【0310】
リフト可変アクチュエータ1300は、始動時リフト調整機構1400を介してシリンダヘッド8に固定されている。このリフト可変アクチュエータ1300は、補助シャフト103又はコントロールシャフト532を軸方向において図示矢印のL方向に移動させることにより吸気バルブのバルブリフト量とバルブ作用角とを減少させることができ、図示矢印のR方向に移動させることによりバルブリフト量とバルブ作用角とを増加させることができる。この動作のためにリフト可変アクチュエータ1300にはメイン油圧シリンダ1302が設けられて、内部にメインピストン1304が配置されている。メインピストン1304にはシャフト103,532の先端が取り付けられている。
【0311】
メインピストン1304のシャフト103,532側には第1圧力室1302aが、反対側には第2圧力室1302bが形成されている。これらの圧力室1302a,1302bへはOCV104を介してオイルポンプPが発生する油圧が供給されている。前記実施の形態1にて述べたように、ECUからOCV104へのOCV信号を操作することにより、図25に示したごとく油圧が供給通路106を介して第1圧力室1302a側に供給され、第2圧力室1302b側の作動油が排出通路107を介してオイルパン108へ排出されるようにすることができる。この状態ではメインピストン1304は図示R方向へ移動し、これに伴ってシャフト103,532もR方向へ移動するのでバルブリフト量及びバルブ作用角が増加する。
【0312】
又、OCV信号を切り替えて、油圧が供給通路106を介して第2圧力室1302b側に供給され、第1圧力室1302a側の作動油が排出通路107を介してオイルパン108へ排出されるようにすると、メインピストン1304は図示L方向へ移動し、これに伴ってシャフト103,532もL方向へ移動するのでバルブリフト量及びバルブ作用角が減少する。
【0313】
又、OCV信号により、第1圧力室1302aと第2圧力室1302bとを密閉して、シャフト103,532の軸方向移動を停止させることもできる。
尚、第1圧力室1302a内にはメインピストン1304をR方向へ付勢するアシストスプリング1306が設けられている。他の実施の形態にて述べたごとくシャフト103,532には常にL方向へのスラスト力が作用しているので、このスラスト力に対抗する付勢力をアシストスプリング1306にて発生させることにより、特にバルブリフト量及びバルブ作用角を増加する際の応答性を高めるようにしている。
【0314】
リフト可変アクチュエータ1300の先端にはシャフト位置センサ90が設けられている。前記実施の形態1では吸気カムシャフト45の途中に設けられているが、本実施の形態ではリフト可変アクチュエータ1300の先端に設けられて、ECUにシャフト位置信号を出力している。
【0315】
リフト可変アクチュエータ1300とシリンダヘッド8との間には始動時リフト調整機構1400がシリンダヘッド8に固定されて設けられている。始動時リフト調整機構1400(サブアクチュエータに相当)は、サブ油圧シリンダ1402(サブ液圧シリンダに相当)とサブピストン1404と備えている。サブピストン1404はリング状に形成されて、サブ油圧シリンダ1402内においてはサブピストン1404の中央貫通孔1404aをシャフト103,532が油密状態で摺動可能に貫通している。この中央貫通孔1404aの外周側に隣接してナット当接部1404bが、ナット当接部1404bの外周側に隣接してバネ受け部1404cが、バネ受け部1404cの外周側に隣接して円筒状の摺動外周部1404dが設けられている。
【0316】
このようなサブピストン1404によりサブ油圧シリンダ1402内はスプリング収納室1402aと油圧室1402bとに区画されている。そしてシャフト103,532は、油圧室1402b側においてナット1406が取り付けられている。このためシャフト103,532がL方向へ移動する場合、最終的にナット1406がサブピストン1404のナット当接部1404bに当接することになる。又、スプリング収納室1402a内には圧縮状態の2つのスプリング1405a,1405bが配置され、サブピストン1404を油圧室1402b側に付勢している。
【0317】
サブ油圧シリンダ1402にはサブピストン1404に対するロック機構1410が設けられている。ロック機構1410は、サブピストン1404の摺動方向とは直交する方向に形成された摺動孔1412a,1412bと、この摺動孔1412a,1412b内にて摺動可能に配置されたロックピン1414から構成されている。ロックピン1414は小径部1414aと大径部1414bとからなり、小径部1414aは小径摺動孔1412a内に、大径部1414bは大径摺動孔1412b内に油密状態で軸方向に摺動可能に配置されている。
【0318】
小径摺動孔1412aを形成しているパイプ状の小径摺動孔形成部材1416とロックピン1414の大径部1414bとの間にはロックピン油圧室1418が形成されている。又、このロックピン1414には圧縮状態のスプリング1420が配置されて、ロックピン油圧室1418を縮小する方向の付勢力をロックピン1414に与えている。
【0319】
前記ロックピン油圧室1418へはオイルスイッチングバルブ(以下、「OSV」と略す)1430を介してオイルポンプPが発生する油圧が供給されている。OSV1430はECUが出力するOSV信号により、ソレノイドが励磁された場合には図25に示したごとくオイルポンプPからの油圧をロックピン油圧室1418に供給するが、ソレノイドが励磁されない場合にはロックピン油圧室1418内部の作動油はオイルパン108へ排出される。
【0320】
ロックピン油圧室1418に油圧が供給された時には、ロックピン1414はスプリング1420の付勢力に抗してサブピストン1404から離れるようにサブ油圧シリンダ1402の外方向へ移動する。ロックピン油圧室1418内の作動油が排出された時には、ロックピン1414はスプリング1420の付勢力によりサブピストン1404側へ移動する。
【0321】
ロックピン油圧室1418からは、更に作動油供給経路1418aが形成されて、始動時リフト調整機構1400の油圧室1402bへ油圧を供給している。ロックピン油圧室1418に対する作動油供給経路1418aの開口部1418bは、ロックピン1414がスプリング1420の付勢力によりサブピストン1404側へ移動する途中で、ロックピン1414の大径部1414bにより完全に閉塞状態となり、ロックピン油圧室1418から始動時リフト調整機構1400の油圧室1402bへの油圧供給は停止する。逆にロックピン1414がロックピン油圧室1418の油圧によりスプリング1420の付勢力に抗してサブピストン1404から離れる方向に移動する途中で、開口部1418bはロックピン1414の大径部1414bから開放されて、ロックピン油圧室1418から始動時リフト調整機構1400の油圧室1402bへの油圧供給が開始される。
【0322】
次にECUが実行する吸入空気量制御処理を図26,27に示す。本処理は上述したOCV104、OSV1430及び前述したスロットルバルブに対する制御を表している。本処理は短時間周期で繰り返し実行される。
【0323】
本処理が開始されると、まずエンジン停止時か否かが判定される(S110)。ここでイグニッションキーのオフや自動停止処理によりエンジンの停止処理が実行された場合には(S110で「YES」)、次にOSV1430のOSV信号は「OFF」にされる(S120)。このことによりOSV1430は図28に示すごとくに切り替わり、始動時リフト調整機構1400の油圧室1402b内の作動油を作動油供給経路1418a及びロックピン油圧室1418を介して排出する。このため油圧室1402bの圧力が低下して、サブピストン1404はスプリング1405a,1405bの付勢力により図示R方向へ移動するようになる。
【0324】
そしてOCV104に対するOCV信号をデューティDuty=100%とする(S130)。このデューティDuty=100%はOCV104を図28に示した状態(図25も同じ)にするので、リフト可変アクチュエータ1300の第1圧力室1302aに油圧を供給し、第2圧力室1302b内の作動油は排出する状態となる。したがってアシストスプリング1306と共にエンジン停止時に供給通路106に存在する残圧により、メインピストン1304は図示R方向、すなわち高リフト側に移動する。
【0325】
そしてスロットルバルブ開度は0°、すなわち全閉とされる(S140)。こうして一旦本処理を終了する。
その後、エンジンの回転停止により作動油の残圧が無くなるにつれて、メインピストン1304はアシストスプリング1306のみでは吸気カムや仲介駆動機構により生じるシャフト103,532のスラスト力により対抗できずL方向に戻ろうとする。しかし、スプリング1405a,1405bの付勢力により図示R方向へ移動するサブピストン1404のナット当接部1404bに、ナット1406が図示左側から当接されるので、メインピストン1304はR方向への移動が継続される。そして図28に示したごとくメインピストン1304がR方向での限界位置に近い中間位置となると、サブピストン1404がサブ油圧シリンダ1402内の端面に当接するので、メインピストン1304はサブピストン1404と共に停止する。このためエンジン停止時には、シャフト103,532に連動する吸気カムや仲介駆動機構は、バルブリフト量とバルブ作用角とが最大に近い状態で停止することになる。
【0326】
そして残圧が完全になくなると、図29に示すごとくロックピン1414がスプリング1420の付勢力によりロックピン油圧室1418を縮小してスプリング収納室1402a側に移動し、小径部1414aのテーパ状先端部が摺動外周部1404dのテーパ状の図示左側端部に当接する。このことによりサブピストン1404が確実に固定される。又、作動油供給経路1418aの開口部1418bは、ロックピン1414の大径部1414bにより閉塞される。したがって、以後、エンジンが停止している限り、シャフト103,532は吸気バルブのバルブリフト量とバルブ作用角とが最大に近い状態に確実に維持されることになる。
【0327】
次にイグニッションキーによるスタータ操作や自動始動処理によりエンジン始動処理が実行された場合には(S110で「NO」、S150で「YES」)、次にOSV信号は「OFF」にされる(S160)。このことにより、図30に示すごとく、エンジン停止時と同じくOSV1430はロックピン油圧室1418内の作動油を排出する状態に設定する。この時、前述したごとく既にロックピン1414はサブピストン1404の摺動外周部1404dに当接した状態であり、作動油供給経路1418aの開口部1418bは、ロックピン1414の大径部1414bにより閉塞された状態であるので、サブピストン1404はエンジン停止時の位置をエンジン始動時においても維持することになる。
【0328】
そしてOCV信号をデューティDuty=保持状態とする(S170)。このデューティDuty=保持状態は、図30に示したごとくOCV104が第1圧力室1302a及び第2圧力室1302bを密封する。このためエンジンのクランキングによりオイルポンプPが回転を開始して油圧を発生しても、第1圧力室1302a及び第2圧力室1302b内の油圧は変化せず、メインピストン1304に油圧によるスラスト力は生じさせない。尚、ステップS170ではOCV信号を保持以下のデューティとしても良く、この時に油圧によりL方向のスラスト力が生じてもサブピストン1404はロックピン1414にてロックされているので、サブピストン1404の位置は安定している。
【0329】
次にECUにより前述したスロットルバルブに対して開度制御を実行する(S180)。すなわち、始動時ではまずスロットルバルブを始動時に必要な開度に開き、始動後は、エンジン回転数をアイドル回転数に調整するために必要な開度に次第に移行する処理が開始される。こうして一旦本処理を終了する。
【0330】
以後、始動が完了し、且つ始動完了後にオイルポンプPからの発生油圧が安定化するための待機時間が経過するまで、ステップS150にて「YES」と判定されて、前述したステップS160〜S180の処理が繰り返される。
【0331】
このようにステップS150にて「YES」と判定されている期間は、吸気バルブのバルブリフト量とバルブ作用角とはほぼ最大の状態が維持され、モータによるスロットルバルブの開度調整により燃焼室内への吸入空気量の調整が継続される。
【0332】
始動完了後の待機時間が経過すると(S110で「NO」、S150で「NO」)、次にリフト可変アクチュエータ1300の応答性が正常であるか否かが判定される(S190)。リフト可変アクチュエータ1300についてはこれから駆動するので、最初は「YES」と判定されて、次にOSV信号に「ON」が出力される(S200)。このことによりOSV1430は図31に示すごとく、ロックピン油圧室1418に油圧を供給するので、最初にロックピン1414がスプリング1420の付勢力に抗してサブピストン1404から離れる方向に移動して、サブピストン1404の摺動外周部1404dに対するロック状態を解除する。このロック解除直後は作動油供給経路1418aの開口部1418bは、まだロックピン1414の大径部1414bにより閉塞された状態のままであるので、サブピストン1404はエンジン始動時の位置を維持している。尚、OCV104ではオイルポンプPからの作動油をオイルパン108側にそのまま戻す状態となっているが、この状態のOCV104は図示していない内部の絞りやリリーフ弁などが働いて、OSV1430側への供給油圧は十分に高い油圧が維持されているものとする。
【0333】
その後、図32に示すごとくロックピン1414が更にサブピストン1404とは反対側に移動することで、大径部1414bが作動油供給経路1418aの開口部1418bを開放する。このことにより油圧がOSV1430、ロックピン油圧室1418及び作動油供給経路1418aを介して、サブ油圧シリンダ1402の油圧室1402bに供給される。したがってサブピストン1404はL方向へ移動できるようになる。このように完全にロックピン1414がサブピストン1404から離れてから油圧がサブ油圧シリンダ1402の油圧室1402bに供給されるので、サブピストン1404はロックピン1414の先端を囓ることなくL方向へ移動できるようになる。
【0334】
次にOSV信号=「ON」に切り替わった後、待機時間が経過したか否かが判定される(S210)。この待機時間は、上述したごとく開口部1418bが開放されてサブピストン1404が図25に示したごとく完全にL方向の限界位置まで達するまでの時間待ちのために設けられている。
【0335】
待機時間が経過していなければ(S210で「NO」)、次にOCV信号をデューティDuty=保持状態あるいは保持以上の状態とする(S220)。そしてステップS180にて説明したスロットルバルブ開度制御を継続させて(S230)、一旦本処理を終了する。以後、待機時間が経過するまでは(S210で「NO」)、ステップS200,S220,S230の処理が継続する。
【0336】
待機時間が経過すれば(S210で「YES」)、始動時リフト調整機構1400とロック機構1410とは図25の状態に戻ったことになるので、OCV信号のデューティDutyには、別個行われているスライド量制御によるデューティDuty演算fの結果が設定される(S240)。すなわち、エンジンの運転状態により得られる目標スライド量とシャフト位置センサ90から得られる実スライド量とに基づいて実スライド量を目標スライド量に近づけるデューティDutyの演算がなされて、その演算結果がOCV信号のデューティDutyに設定される。
【0337】
そしてスロットルバルブを全開にして(S250)、本処理を一旦終了する。以後、リフト可変アクチュエータ1300の応答性が正常である限り(S110で「NO」、S150で「NO」、S190で「YES」)、ステップS200,S240,S250の処理が継続する。したがって燃焼室への吸入空気量は吸気バルブのバルブリフト量及びバルブ作用角により調整されることになる。
【0338】
尚、リフト可変アクチュエータ1300の応答性の検出は、例えば、シャフト位置センサ90にて検出される実スライド量が目標スライド量に達するのが基準とする時間より遅い場合やスライド量の変化速度が基準速度より遅い場合に応答性が正常でないと判定する。このような応答性の低下は、例えば、作動油温が低くて作動油の粘度が高い場合、作動油温が高すぎること等により十分に油圧を上昇できない時に生じるので、油温センサにより作動油温を検出して基準温度領域よりも低すぎたり高すぎたりした場合にリフト可変アクチュエータ1300の応答性が低いと判断しても良い。又、直接、油圧センサを設けて、作動油の圧力が基準圧力よりも低い場合に、リフト可変アクチュエータ1300の応答性が低いと判断しても良い。
【0339】
リフト可変アクチュエータ1300の応答性が正常でない場合には(S110で「NO」、S150で「NO」、S190で「NO」)、次にOSV1430のOSV信号を「OFF」にする(S260)。そしてOCV104に対するOCV信号をデューティDuty=100%とする(S270)。
【0340】
このことによりOSV1430は、始動時リフト調整機構1400の油圧室1402b内の作動油を作動油供給経路1418a及びロックピン油圧室1418を介して排出する。このためサブピストン1404は油圧室1402bの圧力が低下するので、スプリング1405a,1405bの付勢力により図示R方向へ移動する。そしてサブピストン1404がR方向の限界位置まで到達すると、ロックピン油圧室1418内の油圧がほぼ無くなるので、スプリング1420の付勢力によりロックピン1414がサブピストン1404側に移動して、図29に示したごとくサブピストン1404の位置をロックする。したがって吸気バルブのバルブリフト量・バルブ作用角はほぼ最大で開閉するように規制される。
【0341】
そして、ステップS270の次にはスロットルバルブ開度制御が実行される(S230)。このことにより、スロットルバルブにより吸入空気量が運転状態に適合させて調量されるようになる。
【0342】
その後、リフト可変アクチュエータ1300の応答性が回復すれば(S190で「YES」)、ステップS200,S240,S250の処理が行われるようになり、吸気バルブのバルブリフト量・バルブ作用角の調整にて、吸入空気量の調量がなされる状態に復帰する。
【0343】
上述した構成において、始動時リフト調整機構1400がサブアクチュエータに、ロック機構1410がロック手段に、ロックピン1414の大径部1414bと作動油供給経路1418aの開口部1418bとの位置関係が液圧調整手段に相当する。又、ステップS120,S130が始動時リフト調整手段としての処理に、ステップS160が液圧排除手段としての処理に、ステップS180,S200,S240,S250が吸入空気量調整手段としての処理に相当する。又、ステップS190による応答性の判断が異常判定手段としての処理に、ステップS260,S270が異常時リフト調整手段としての処理に、ステップS230,S200,S240,S250が異常の有無に対応した吸入空気量調整手段としての処理に相当する。
【0344】
以上説明した本実施の形態9によれば、以下の効果が得られる。
(イ).始動時リフト調整機構1400は、上述した構成及び機能により、少なくもと始動時にはサブピストン1404が最小バルブリフト量・最小バルブ作用角側への補助シャフト103又はコントロールシャフト532の移動位置の限界を設定するのでエンジン始動を容易にすることができる。すなわち作動油供給経路1418aからサブ油圧シリンダ1402の油圧室1402bに油圧が供給されていない時は、サブピストン1404は、スプリング1405a,1405bの付勢力により移動されてシャフト103,532のナット1406に係合し、シャフト103,532と共に図示R方向の限界位置まで移動する。このことによりシャフト103,532はバルブリフト量・バルブ作用角が図29に示したごとく最大位置に近い位置に設定されている中間位置に移動位置限界が設定され、この中間位置よりもバルブリフト量・バルブ作用角は小さくされることはない。
【0345】
そしてエンジン始動後の適切なタイミングにおいて作動油供給経路1418aにより油圧室1402bに油圧が供給されると、サブピストン1404がスプリング1405a,1405bに抗して移動されて、サブピストン1404はシャフト103,532に係合しなくなり、シャフト103,532に対する移動位置限界が解消される。したがってバルブリフト量・バルブ作用角をエンジンの運転状態に適合させて広範囲に設定することができるようになる。
【0346】
(ロ).シャフト103,532に対して移動位置限界が設定されると、ロックピン1414がサブピストン1404に係合してサブピストン1404の位置を固定している。このためシャフト103,532に対する移動位置限界が安定化でき、安定したエンジン始動を可能とすることができる。
【0347】
(ハ).ロックピン1414がサブピストン1404の位置固定を解除する場合には、作動油供給経路1418aの開口部1418bを開放する前に、サブピストン1404の位置固定を解除している。その後、作動油供給経路1418aの開口部1418bを開放しているので、サブピストン1404の位置固定解除時にサブピストン1404がロックピン1414を囓ることが防止される。
【0348】
(ニ).ステップS150の処理により、エンジン始動時以後、オイルポンプPが発生する油圧が安定するまで、OSV信号を「OFF」にして、始動時リフト調整機構1400及びロック機構1410に対する油圧を排除している。
【0349】
このようにエンジン始動が完了しても油圧が不安定である期間は、エンジン運転状態に応じたリフト可変アクチュエータ1300の制御を実行せず、バルブリフト量・バルブ作用角を最小値以外(ここではほぼ最大値)となる状態に維持することができるので、一層安定したエンジン始動を可能とすることができる。
【0350】
(ホ).シャフト103,532に対して移動位置限界を設定することによりバルブリフト量・バルブ作用角をほぼ最大値としている期間においては(S150で「YES」)、スロットルバルブを駆動してエンジンの吸入空気量を調整している(S180)ので、より一層安定したエンジン始動を可能とすることができる。そして始動時リフト調整機構1400及びロック機構1410に対して安定した油圧が供給されるようになれば(S150で「NO」、S190で「YES」、S200)、吸気バルブのバルブリフト量・バルブ作用角の調整により吸入空気量調整を行い(S240)、スロットルバルブを全開としている(S250)ので、ポンピング損失の少ない燃費が良好なエンジン運転が可能となる。
【0351】
尚、OSV信号を「ON」に設定した直後も待機時間経過前は(S210で「NO」)、OCV104を保持状態あるいはバルブリフト量・バルブ作用角を大きくする方にして(S220)、スロットルバルブを駆動してエンジンの吸入空気量を調整している(S230)。このためサブピストン1404がL方向の限界位置まで移動した後に、吸気バルブによる吸入空気量調整(S240,S250)に移行することになるので、より一層安定したエンジン始動を可能とすることができる。
【0352】
(ヘ).リフト可変アクチュエータ1300の応答性が正常でない場合には(S190で「NO」)、OSV信号を「OFF」にしてサブピストン1404によるシャフト103,532に対する移動位置限界を設定している(S260)。そしてOCV信号をデューティDutyを100%にして吸気バルブのバルブリフト量・バルブ作用角を最大にし(S270)、スロットルバルブを駆動してエンジンの吸入空気量を調整している(S230)。このためリフト可変アクチュエータ1300の動作が鈍化している時あるいは異常時においても吸入空気量が確保されるとともに、吸入空気量の調整もなされるため、リフト可変アクチュエータ1300の応答性復帰又は修理工場に至るまでの円滑な退避走行が可能となる。
【0353】
[実施の形態10]
本実施の形態においては、前記実施の形態9の構成に対して図33に示すごとく、OCV104及びOSV1430に油圧を供給する供給通路106の途中にフェイル用OSV1432を備えたものである。したがってECUがフェイル用OSV1432に対してOSVf信号として「ON」を出力している場合に前記実施の形態9に示したごとくの制御が可能である。しかし後述する異常時処理によりOSVf信号として「OFF」を出力している場合には、リフト可変アクチュエータ1300、始動時リフト調整機構1400及びロック機構1410の機構からは作動油が排出されて始動時と同様な状態にされる。
【0354】
ECUにより実行される異常時処理を図34に示す。本処理は吸入空気量制御処理(図26,27)と同周期で繰り返し実行される。これ以外の処理については前記実施の形態9における処理と同じである。
【0355】
異常時処理(図34)が実行されると、まずフェイル用OSV1432を除いた構成又はこれらの構成を制御するECUの処理が異常か否かが判定される(S310)。例えば、OSV信号を「ON」にして(図27:S200)、OCV104にてエンジン運転状態に応じてシャフト103,532の軸方向位置を制御している(図27:S240)にもかかわらず、シャフト位置センサ90による出力が変化しなければ、リフト可変アクチュエータ1300、始動時リフト調整機構1400、ロック機構1410、OCV104あるいはOSV1430が固着していたり、オイルポンプPやシャフト位置センサ90が故障していたり、又はECUの演算処理が異常であると推定できる。
【0356】
したがって、このような異常が生じていないと推定される場合には(S310で「NO」)、OSVf信号として「ON」を出力する(S320)。このことによりフェイル用OSV1432は図33に示したごとくの状態となり、OCV104及びOSV1430側にオイルポンプPからの油圧を供給することができる。こうして一旦本処理を終了する。
【0357】
このように異常でない場合には、ECUはOCV104及びOSV1430に油圧が供給されているので、前記実施の形態9に述べたごとく前記吸入空気量制御処理(図26,27)により吸入空気量を適切に制御できる。
【0358】
一方、異常であると判断される場合には(S310で「YES」)、OSVf信号として「OFF」を出力する(S330)。このことによりフェイル用OSV1432は図35に示したごとくの状態となり、OCV104及びOSV1430に対するオイルポンプPからの油圧を遮断する。こうして一旦本処理を終了する。
【0359】
このように異常である場合には、OCV104及びOSV1430への油圧供給がなくなるので、例えば図35に示す状態でOCV104及びOSV1430が固着したとしても、フェイル用OSV1432が供給通路106内の作動油を排出することになる。このためサブ油圧シリンダ1402の油圧室1402b内の油圧が消失し、同時にメイン油圧シリンダ1302の第2圧力室1302b内の油圧も消失する。このためサブピストン1404はスプリング1405a,1405bの付勢力により、ナット1406に当接してシャフト103,532を図36に示す位置までR方向に移動させる。そしてロックピン1414によりサブピストン1404にロックがなされる。このことにより異常時には吸気バルブはバルブリフト量・バルブ作用角を最大に近い状態に固定される。
【0360】
このような固着異常が、エンジン始動時から始動完了後待機時間経過時点までの期間であった場合を考える。この時、吸入空気量制御処理(図26,27)のステップS150にて「YES」と判定されて、ステップS160,S170においてOSV1430及びOCV104に対する制御が実行される。OSV1430及びOCV104に対する制御はOSV1430及びOCV104が固着しているため実質的には意味をなさないが、異常時処理(図34)のステップS330にてOSV1430及びOCV104側の作動油が排除されるので、前述したごとく吸気バルブはバルブリフト量・バルブ作用角を最大に近い状態に固定される。そして、ステップS180のスロットルバルブ開度制御が行われることで、エンジン始動における吸入空気量が適切なものとされる。
【0361】
又、始動完了後待機時間経過時以後は(S150で「NO」)、ステップS190にて応答性が正常か否かが判定されるが、異常時処理(図34)のステップS310で異常と判定されると、本実施の形態のステップS190では連動して正常でない(S190で「NO」)と判定されるように設定されている。したがってステップS260,S270が実行される。しかしここでもOSV1430及びOCV104が固着しているため実質的には意味をなさないが、異常時処理(図34)のステップS330にてOSV1430及びOCV104側の作動油が排除されるので、前述したごとく吸気バルブはバルブリフト量・バルブ作用角を最大に近い状態に固定される。そしてステップS230のスロットルバルブ開度制御が行われることで、退避走行時の吸入空気量が適切なものとされる。
【0362】
上述した構成において、ステップS310が異常判定手段としての処理に、ステップS330が液圧排除手段としての処理に相当する。
以上説明した本実施の形態10によれば、以下の効果が得られる。
【0363】
(イ).異常時処理(図34)において異常時には(S310で「YES」)、フェイル用OSV1432を排出側に切り替える(S330)ことにより、メイン油圧シリンダ1302及びサブ油圧シリンダ1402の油圧を共に排除している。このことにより油圧が生じていてもバルブリフト量・バルブ作用角をほぼ最大となる状態に維持することができる。したがってスロットルバルブ開度制御により(S180,S230)、安定した退避走行が可能となる。
【0364】
(ロ).前記実施の形態9の(イ)〜(ヘ)の効果を生じる。
[その他の実施の形態]
・前記実施の形態4において、エンジン停止時に図10(B)に示したごとく、ピン424が被係合部430から外れていた場合には、始動時のスラスト力の変動によりシャフト移動用ピストン401bが軸方向に振動し、この振動により、ピン424が被係合部430に落ち込んだ。これ以外に、図37(A)に示すごとく、シャフト移動用ピストン401bの周面に、被係合部430を軸方向前後から挟むようにして誘導用テーパ430a,430bを設けても良い。
【0365】
このような構成において、エンジン停止後にオイルポンプPからの油圧が無くなることによりピン424がシャフト移動用ピストン401b側に突出した時に、図37(B)に示すごとく、ピン424が被係合部430から外れている場合を考える。このような場合は、ピン424の先端はスプリング422cにより誘導用テーパ430a(逆方向に外れている場合は誘導用テーパ430b)を強く押圧する。このことにより、シャフト移動用ピストン401bは被係合部430がピン424の先端に位置するように軸方向に移動し、図37(C)に示すごとく、ピン424の先端は被係合部430に嵌り込む。
【0366】
このことによりエンジン停止中に吸気カムシャフトを適切な位置に移動させておくことができる。このため、始動時初期から適切な吸入空気量が得られ、始動性が一層改善される。
【0367】
・前記実施の形態4や図37の例においては、始動時リフト固定機構410はシリンダチューブ401aに設けたが、これ以外に、図38に示すごとく始動時リフト固定機構910をシリンダチューブ401a外の補助シャフト103に設けても良い。この例では、軸受103bに取り付けられて軸受103bとともに補助シャフト103を軸方向に移動可能に支持するキャップ103c内に、係合部920が形成されている。係合部920は、油圧シリンダ922a、ピストン922b及びスプリング922cからなる油圧アクチュエータと、ピン924とを備えている。そして、補助シャフト103側には、吸気カムシャフト45が始動時に適切な軸方向位置に来た場合には、ピン924が嵌り込むことが可能な位置に穴状の被係合部930が設けられている。被係合部930の周縁部は、ピン924を被係合部930へ誘導するためのテーパ930aが形成されている。このことにより、図37に示した例と同様な作用により始動性が一層改善される。そして、シリンダチューブ401a内部のシャフト移動用ピストンの周面に被係合部を設けなくても良いので、シャフト移動用ピストンのシールリングは1つで済む。
【0368】
又、図39に示すごとく、始動時リフト固定機構1010を吸気カムシャフト45に設けても良い。この例では、吸気カムシャフト45のジャーナル軸受1103bに取り付けられてジャーナル軸受1103bとともに吸気カムシャフト45を、回転可能かつ軸方向に移動可能に支持するベアリングキャップ1103c内に、係合部1020が形成されている。係合部1020は、油圧シリンダ1022a、ピストン1022b及びスプリング1022cからなる油圧アクチュエータと、ピン1024とを備えている。そして、吸気カムシャフト45側には、吸気カムシャフト45が始動時に適切な軸方向位置に来た場合には、ピン1024が嵌り込むことが可能な位置にリング溝状の被係合部1030が設けられている。被係合部1030の軸方向前後には、テーパ1030a,1030bが形成されている。このことにより、図38に示した例と同様に始動性が一層改善され、シリンダチューブ401a内部のシャフト移動用ピストンの周面に被係合部を設けなくても良いので、シールリングは1つで済む。
【0369】
・前記実施の形態1〜5,8〜10については、リフト可変アクチュエータにより、バルブ作用角とバルブリフト量との両方が同時に調整されるものであったが、吸気カムのプロフィールの設定により、バルブ作用角は一定でバルブリフト量のみが調整されるものであっても良い。これとは逆にノーズ部分でのバルブリフト量は一定でバルブ作用角のみが調整されるものであっても良い。
【0370】
・前記実施の形態1〜4,6,8〜10(ただし実施の形態9,10については補助シャフト103を駆動する場合に限る)については、軸受部103aを設けて吸気カムシャフトと共にシャフト移動用ピストンが回転しないようにしていたが、軸受部103aを省略して吸気カムシャフトと共にシリンダチューブ内部にてシャフト移動用ピストンが回転する構成としても良い。
【0371】
・前記実施の形態1〜4,6については、リフト可変アクチュエータはタイミングスプロケット(あるいはタイミングギア、タイミングプーリ)とは別個に設けたが、リフト可変アクチュエータをタイミングスプロケット(あるいはタイミングギア、タイミングプーリ)と一体化して設けても良い。例えば、前記実施の形態3のリフト可変アクチュエータをタイミングスプロケットと一体化した例を図40に示す。ここにおいてタイミングスプロケット1209と一体に形成されているシリンダチューブ1201a内には、吸気カムシャフト45に固定されているシャフト移動用ピストン1201bが配置されている。このシャフト移動用ピストン1201bにより、シリンダチューブ1201a内は軸方向に、第1圧力室1201eと第2圧力室1201fとに区画されている。第1圧力室1201e側にはスプリングは配置されていないが、第2圧力室1201f側にはスプリング1201hが配置されて、シャフト移動用ピストン1201bを図示右方向に付勢している。
【0372】
更に、第2圧力室1201f側には、シャフト移動用ピストン1201bからスプライン部1201iが軸方向に円筒状に突出して設けられている。このスプライン部1201iは、シリンダチューブ1201aの内周面に形成されているストレートスプライン部1202に噛み合っている。他の構成は、特に説明しない限り前記実施の形態3と同じである。
【0373】
したがって、エンジンが駆動していて、オイルポンプPから十分に高い油圧が、OCV104を介して第1圧力室1201e及び第2圧力室1201fに供給できる場合には、シャフト移動用ピストン1201bを必要に応じて軸方向に移動させて、吸気バルブ12a,12bのバルブ作用角とバルブリフト量とを任意に設定できる。しかし、始動時には、前記式2の関係を満足する位置にシャフト移動用ピストン1201bが自ずと移動して、始動時に必要な吸入空気量が確保される。
【0374】
・前記実施の形態1〜5においては、始動時にバルブ作用角及びバルブリフト量を最小と最大との中間となるように設定していたが、始動時にバルブ作用角及びバルブリフト量を最大となるようにしても良い。
【0375】
・前記実施の形態6,7については、始動時にバルブタイミングを最遅角と最進角との中間となるように設定していたが、始動時にバルブタイミングを最進角となるようにしても良い。
【0376】
・前記実施の形態9,10においては、始動時及び異常時にバルブ作用角及びバルブリフト量をほぼ最大となるようにしていたが完全に最大となるようにして良い。又、バルブ作用角及びバルブリフト量を最大と最小との中央に近い中間値となるように、あるいは最小近くの中間値に設定しても良い。
【0377】
・前記実施の形態6では、吸気カムシャフト645を軸方向に移動するに応じて、タイミングスプロケット609と吸気カムシャフト645とを相対回転させることにより、バルブタイミングを調整した。これ以外に、吸気カムに、ノーズが軸方向で螺旋状に変化する3次元カムを採用することにより、吸気カムシャフトを軸方向に、タイミングスプロケットに対して相対回転させることなく移動させることによって、バルブタイミングを調整するようにしても良い。
【0378】
・前記実施の形態6,7のごとく、ヘリカルスプラインを利用してバルブタイミングを調整する構成において、前記実施の形態1のような始動時リフト調整機構を採用して、始動時の吸入空気量を安定したものとしても良い。
【0379】
・前記実施の形態6においては始動時バルブタイミング調整機構610を用いずに、前記実施の形態7と同様に2つのスプリングにてシャフト移動用ピストン101bを付勢するようにしても良い。又、図40のごとく1つのスプリングにてシャフト移動用ピストン101bを付勢するようにしても良い。
【0380】
・前記実施の形態6〜8においても、前記実施の形態4に示した始動時リフト固定機構410を備えても良い。又、前記実施の形態4に示したシールリング440,442の配置状態を採用しても良い。
【0381】
・前記実施の形態1の始動時リフト調整機構110はオイルポンプPにより発生する油圧とスプリング144の付勢力とにより駆動したが、これ以外に電磁ソレノイドを利用しても良い。この場合には、特に吸気が問題となる冷間時のみで始動時リフト調整機構110を機能させるようにすることもできる。
【0382】
・前記実施の形態1の始動時リフト調整機構110により、始動時に吸気カムシャフト45が適切な位置に移動している最中に、ECU60からOCV104へOCV信号のオン・オフを繰り返すことにより、圧力室101e,101fに発生する正圧や負圧を逃すことができる。このことにより、シャフト移動用ピストン101bの移動を円滑にでき、ガイド部130の信頼性も向上し、適切な位置での保持も確実となる。他の実施の形態において、始動時リフト調整機構あるいは始動時バルブタイミング調整機構にて、始動時に吸気カムシャフトを適切な位置に移動させる場合も同様である。
【0383】
・始動時リフト調整機構あるいは始動時バルブタイミング調整機構は、直接、カムシャフトやスプライン部に設けたり作用させたりするのではなく、カムシャフトやスプライン部に取り付けられている付加部材に設けたり作用させたりしても良い。
【0384】
・前記実施の形態1〜5においても、前記実施の形態10と同様に、異常時にリフト可変アクチュエータ100,200,300,400,500、始動時リフト調整機構110あるいは始動時リフト固定機構410における作動油を排出して、油圧を消滅させることにより、始動時と同様にバルブ作用角及びバルブリフト量を最小ならないようにして吸入空気量を確保しても良い。そして使用条件を限定して用いられるスロットルバルブを設けることにより、スロットルバルブ開度制御により円滑な退避走行が可能となる。図37〜40の構成に対しても同様である。
【0385】
・前記実施の形態10では、図33に示したごとくフェイル用OSV1432はOCV104を介してリフト可変アクチュエータ1300内の作動油を排出し、OSV1430を介して始動時リフト調整機構1400及びロック機構1410内の作動油を排出したが、直接、リフト可変アクチュエータ1300あるいは始動時リフト調整機構1400及びロック機構1410内の作動油を排出しても良い。
【0386】
・前記実施の形態6のごとくバルブタイミングを調整する機構においても、バルブタイミング可変アクチュエータ600及び始動時バルブタイミング調整機構610の代わりに、前記実施の形態9の図25に示したごとくのアクチュエータ1300、調整機構1400、ロック機構1410及びOSV1430を適用しても良い。このことにより、バルブタイミングについてもOSV1430により任意のタイミングで規制したり解除したりすることができる。
【0387】
又、前記実施の形態7のごとくバルブタイミングを調整する機構及び前記実施の形態8のごとくバルブタイミング、バルブ作用角及びバルブリフト量を調整する機構においても、後述する図41,42に示すごとく、バルブタイミング可変アクチュエータ700,800のシャフト相対回転用ピストン701b,801bの一部を、シリンダチューブ701aとは同軸かつ油密状態でシリンダチューブ701aから外部に突出させ、この突出部分に、図25にて示した調整機構1400及びロック機構1410と同じ機構を設けることにより、実施の形態7,8に対してもOSV1430により任意のタイミングでバルブタイミングを規制したり解除したりすることができる。
【0388】
尚、バルブタイミング規制・規制解除処理の例としては、吸入空気量制御処理(図26,27)において、スロットルバルブ開度制御(S140,S180,S230,S250)のみ除いた処理にて実行可能である。
【0389】
ここで図41,42に前記実施の形態7(図23)の構成に対して図25に示した始動時リフト調整機構1400、ロック機構1410及びOSV1430と実質的に同一のバルブタイミング調整機構1500、ロック機構1510及びOSV1530を設けた構成を示す。尚、図41,42に示すバルブタイミング可変アクチュエータ710は、図23に示した構成とは第1スプリング701hが存在せず、第2スプライン部711jがシリンダチューブ711aから図示左方向の外側に油密を維持して突出し、且つバルブタイミング調整機構1500内に油密を維持して挿入されている点である。この構成において、図41に示したごとくECUがOSV1530に対して「ON」信号を出力している状態では、サブピストン1504は図示の最も左側に存在するので、第2スプライン部711jがシリンダチューブ711a内にて最も左側の位置、すなわち吸気バルブ12a,12bのバルブタイミングが最遅角状態となることを許している。
【0390】
しかし、図42に示したごとくECUがOSV1530に対して「OFF」信号を出力している状態では、サブピストン1504はスプリング1505a,1505bの付勢力により図示の右側に移動する。この時、サブピストン1504が移動途中で第2スプライン部711jに係合すれば、サブピストン1504は第2スプライン部711jと共に図示右側に移動する。図42に示した位置でサブピストン1504が停止すると、この位置で第2スプライン部711jの軸方向位置が規制されて、吸気バルブ12a,12bのバルブタイミングが最進角〜最進角に近い状態の間に限定される。そして、ロックピン1514がサブピストン1504を固定し、サブピストン1504の位置が安定する。この構成は、前記実施の形態8のバルブタイミング可変アクチュエータ800に対しても同様にして適用できる。
【0391】
更に、前記実施の形態6〜8について、図33に示したフェイル用OSV1432を設けて、図34の異常時処理を実行しても良い。このことにより異常時においてバルブタイミングの規制を実行することができる。
【0392】
尚、このようなバルブタイミングの規制及び規制の解除は、前記実施の形態6〜8に対して前記実施の形態1,4の始動時リフト調整機構110や始動時リフト固定機構410を組み合わせた構成あるいは本欄にて上述した他の構成を組み合わせた構成においても同様に適用できる。
【0393】
・前記実施の形態9,10ではロック機構1410を設けたが、スプリング1405a,1405bが付勢力が十分にあれば、ロック機構1410は設けなくても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1としてのエンジンおよびその制御系統の概略構成を表すブロック図。
【図2】実施の形態1のリフト可変アクチュエータの構成説明図。
【図3】実施の形態1のリフト可変アクチュエータにより調節される吸気バルブのバルブ作用角及びバルブリフト量の変化を示すグラフ。
【図4】実施の形態1の始動時リフト調整機構の構成説明図。
【図5】同じく始動時リフト調整機構の動作説明図。
【図6】同じく始動時リフト調整機構の動作説明図。
【図7】同じく始動時リフト調整機構の動作説明図。
【図8】実施の形態2のリフト可変アクチュエータの構成説明図。
【図9】実施の形態3のリフト可変アクチュエータの構成説明図。
【図10】実施の形態4のリフト可変アクチュエータの構成及び動作説明図。
【図11】実施の形態4のリフト可変アクチュエータの動作説明図。
【図12】実施の形態5の仲介駆動機構の構成及び動作説明図。
【図13】同じく仲介駆動機構の動作説明図。
【図14】同じく仲介駆動機構の動作説明図。
【図15】同じく仲介駆動機構の動作説明図。
【図16】同じく仲介駆動機構の斜視図。
【図17】同じく仲介駆動機構の構成図。
【図18】同じく仲介駆動機構の部分破断斜視図。
【図19】同じく仲介駆動機構に用いられる支持パイプおよびコントロールシャフトの組み合わせ状態説明図。
【図20】同じくエンジン全体に対するリフト可変アクチュエータ及び仲介駆動機構の配置状態を示す説明図。
【図21】実施の形態6のバルブタイミング可変アクチュエータの構成説明図。
【図22】同じくバルブタイミング可変アクチュエータにより調節される吸気バルブのバルブタイミング変化を示すグラフ。
【図23】実施の形態7のバルブタイミング可変アクチュエータの構成説明図。
【図24】実施の形態8のバルブタイミング可変アクチュエータ及びリフト可変アクチュエータの構成説明図。
【図25】実施の形態9のリフト可変アクチュエータ及び始動時リフト調整機構を示す断面図。
【図26】実施の形態9にてECUが実行する吸入空気量制御処理のフローチャート。
【図27】実施の形態9にてECUが実行する吸入空気量制御処理のフローチャート。
【図28】実施の形態9におけるリフト可変アクチュエータ及び始動時リフト調整機構の作動状態を示す説明図。
【図29】同じくリフト可変アクチュエータ及び始動時リフト調整機構の作動状態を示す説明図。
【図30】同じくリフト可変アクチュエータ及び始動時リフト調整機構の作動状態を示す説明図。
【図31】同じくリフト可変アクチュエータ及び始動時リフト調整機構の作動状態を示す説明図。
【図32】同じくリフト可変アクチュエータ及び始動時リフト調整機構の作動状態を示す説明図。
【図33】実施の形態10のリフト可変アクチュエータ及び始動時リフト調整機構を示す断面図。
【図34】実施の形態10にてECUが実行する異常時処理のフローチャート。
【図35】実施の形態10におけるリフト可変アクチュエータ及び始動時リフト調整機構の作動状態を示す説明図。
【図36】同じくリフト可変アクチュエータ及び始動時リフト調整機構の作動状態を示す説明図。
【図37】前記実施の形態4の変形例を示すリフト可変アクチュエータの構成説明図。
【図38】前記実施の形態4の変形例を示すリフト可変アクチュエータの構成説明図。
【図39】前記実施の形態4の変形例を示すリフト可変アクチュエータの構成説明図。
【図40】前記実施の形態3の変形例を示すリフト可変アクチュエータの構成説明図。
【図41】前記実施の形態7の変形例を示すバルブタイミング可変アクチュエータ及びバルブタイミング調整機構の断面図。
【図42】前記実施の形態7の変形例の作動状態説明図。
【符号の説明】
2…エンジン、2a…気筒、4…シリンダブロック、8…シリンダヘッド、10…燃焼室、12a,12b…吸気バルブ、12c…ステムエンド、13…ロッカーアーム、13a…ローラ、13b…アジャスタ、13c…基端部、13d…先端部、14a,14b…吸気ポート、16a,16b…排気バルブ、18a,18b…排気ポート、30…吸気マニホールド、30a…吸気通路、32…サージタンク、34…フューエルインジェクタ、40…吸気ダクト、42…エアクリーナ、45…吸気カムシャフト、45a…吸気カム、45b…カムフォロア、45c…ノーズ、48…排気マニホルド、50…触媒コンバータ、60…ECU、74…アクセルペダル、76…アクセル開度センサ、82…クランク角センサ、84…吸入空気量センサ、86…水温センサ、88…空燃比センサ、90…シャフト位置センサ、92…カム角センサ、100…リフト可変アクチュエータ、101a…シリンダチューブ、101b…シャフト移動用ピストン、101e,101f…圧力室、101g…スプリング、103…補助シャフト、103a…軸受部、103b…軸受、103c…キャップ、104,105…OCV、106…供給通路、107…排出通路、108…オイルパン、109…タイミングスプロケット、109a…ストレートスプライン機構、110…始動時リフト調整機構、130…ガイド部、132…リング状溝、134,136…誘導溝、140…始動時係合機構、142…油圧アクチュエータ、144…スプリング、146…油圧シリンダ、146a…油圧室、148…ピストン、148a…ピン、200…リフト可変アクチュエータ、201a…シリンダチューブ、201b…シャフト移動用ピストン、201e,201f…圧力室、201g,201h…スプリング、300…リフト可変アクチュエータ、301a…シリンダチューブ、301b…シャフト移動用ピストン、301e,301f…圧力室、301h…スプリング、400…リフト可変アクチュエータ、401a…シリンダチューブ、401b…シャフト移動用ピストン、401e,401f…圧力室、410…始動時リフト固定機構、420…係合部、422…油圧アクチュエータ、422a…油圧シリンダ、422b…ピストン、422c…スプリング、422d…油圧室、422e…貫通孔、424…ピン、430…被係合部、430a,430b…誘導用テーパ、440,442…シールリング、500…リフト可変アクチュエータ、500b…ピストン、503…補助シャフト、520…仲介駆動機構、522…入力部、522a…ハウジング、522b…ヘリカルスプライン、522c,522d…アーム、522e…シャフト、522f…ローラ、524…第1揺動カム、524a…ハウジング、524b…ヘリカルスプライン、524c…軸受部、524d…ノーズ、524e…カム面、526…第2揺動カム、526a…ハウジング、526b…ヘリカルスプライン、526c…軸受部、526d…ノーズ、526e…カム面、528…スライダギア、528a…入力用ヘリカルスプライン、528b…小径部、528c…第1出力用ヘリカルスプライン、528d…小径部、528e…第2出力用ヘリカルスプライン、528f…貫通孔、528g…長孔、530…支持パイプ、530a…長孔、532…コントロールシャフト、532a…係止ピン、536,538…立壁部、600…バルブタイミング可変アクチュエータ、609…タイミングスプロケット、609a…ヘリカルスプライン機構、610…始動時バルブタイミング調整機構、645…吸気カムシャフト、645a…吸気カム、660…ECU、700…バルブタイミング可変アクチュエータ、701a…シリンダチューブ、701b…シャフト相対回転用ピストン、701e,701f…圧力室、701g,701h…スプリング、701i,701j…スプライン部、702…ヘリカルスプライン部、703…ストレートスプライン部、709…タイミングスプロケット、710…バルブタイミング可変アクチュエータ、711j…第2スプライン部、711a…シリンダチューブ、745…吸気カムシャフト、745a…吸気カム、745b…カムフォロア、760…ECU、800…バルブタイミング可変アクチュエータ、801b…シャフト相対回転用ピストン、801e,801f…圧力室、801g…スプリング、845…吸気カムシャフト、845a…吸気カム、900…リフト可変アクチュエータ、910…始動時リフト固定機構、920…係合部、922a…油圧シリンダ、922b…ピストン、922c…スプリング、924…ピン、930…被係合部、930a…テーパ、1010…始動時リフト固定機構、1020…係合部、1022a…油圧シリンダ、1022b…ピストン、1022c…スプリング、1024…ピン、1030…被係合部、1030a,1030b…テーパ、1103b…ジャーナル軸受、1103c…ベアリングキャップ、1201a…シリンダチューブ、1201b…シャフト移動用ピストン、1201e…第1圧力室、1201f…第2圧力室、1201h…スプリング、1201i…スプライン部、1202…ストレートスプライン部、1209…タイミングスプロケット、1300…リフト可変アクチュエータ、1302…メイン油圧シリンダ、1302a,1302b…圧力室、1304…メインピストン、1306…アシストスプリング、1400…始動時リフト調整機構、1402…サブ油圧シリンダ、1402a…スプリング収納室、1402b…油圧室、1404…サブピストン、1404a…中央貫通孔、1404b…ナット当接部、1404c…バネ受け部、1404d…摺動外周部、1405a,1405b…スプリング、1406…ナット、1410…ロック機構、1412a,1412b…摺動孔、1414…ロックピン、1414a…小径部、1414b…大径部、1416…小径摺動孔形成部材、1418…ロックピン油圧室、1418a…作動油供給経路、1418b…開口部、1420…スプリング、1430…OSV、1432…フェイル用OSV、1500…バルブタイミング調整機構、1504…サブピストン、1505a,1505b…スプリング、1510…ロック機構、1514…ロックピン、1530…OSV、P…オイルポンプ。

Claims (32)

  1. 吸気バルブのバルブ作用角及びバルブリフト量の少なくとも一方を連続的に変更する可変動弁機構と、前記吸気バルブのバルブ作用角及びバルブリフト量の少なくとも一方が最小値以外のものとなる前記可変動弁機構の状態について、機関始動時にこれを維持する始動時リフト調整手段とを備える内燃機関の可変動弁装置において、
    前記可変動弁機構は、
    クランクシャフトにより駆動されて前記吸気バルブを開閉するカムシャフトと、
    このカムシャフトとは別のものであって、機関本体に対する軸方向への移動が許容されるコントロールシャフトと、
    このコントロールシャフトに対する揺動が許容される状態で同シャフトにより支持されて、前記カムシャフトの回転を通じて前記コントロールシャフトに対して揺動し、この揺動を通じて前記吸気バルブを開弁側に駆動するものであって、前記カムシャフトのカムから力が付与される入力部と、開弁側に駆動する力を前記吸気バルブに付与する出力部とを備えるとともに、前記コントロールシャフトの軸方向への移動を通じて前記入力部と前記出力部との回転位相の差である相対位相差が変更される仲介駆動機構と、
    液圧シリンダに対してピストンを移動させるものであって、このピストンの移動を通じて前記コントロールシャフトを軸方向へ移動させることにより前記仲介駆動機構の相対位相差を変更するアクチュエータと
    を含めて構成されるとともに、前記仲介駆動機構の相対位相差の変更を通じて前記吸気バルブのバルブ作用角及びバルブリフト量の少なくとも一方を変更するものであり、
    前記始動時リフト調整手段は、前記吸気バルブのバルブ作用角及びバルブリフト量の少なくとも一方が前記最小値となる前記仲介駆動機構の相対位相差を最小相対位相差として、機関始動時に前記コントロールシャフトの軸方向への移動を規制して前記仲介駆動機構の相対位相差を前記最小相対位相差以外のところに維持し、これにより前記吸気バルブのバルブ作用角及びバルブリフト量の少なくとも一方が前記最小値以外のものとなる前記可変動弁機構の状態を維持するものである
    ことを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。
  2. 請求項1に記載の内燃機関の可変動弁装置において、
    前記始動時リフト調整手段は、前記仲介駆動機構の相対位相差を前記最小相対位相差に向けて変更する前記コントロールシャフトの移動方向を縮小方向とし、この縮小方向において前記コントロールシャフトが移動することのできる位置の限界である移動位置限界について、これを設定するサブアクチュエータを備える
    ことを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。
  3. 請求項2に記載の内燃機関の可変動弁装置において、
    前記始動時リフト調整手段は、機関始動時に前記サブアクチュエータを通じて前記移動位置限界を設定することにより前記吸気バルブのバルブ作用角及びバルブリフト量の少なくとも一方が前記最小値以外のものとなる前記可変動弁機構の状態を維持する
    ことを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。
  4. 請求項2または3に記載の内燃機関の可変動弁装置において、
    前記始動時リフト調整手段は、前記サブアクチュエータにより前記移動位置限界が設定された状態と前記サブアクチュエータによる前記移動位置限界の設定がなされていない状態とを切り替える
    ことを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。
  5. 請求項4に記載の内燃機関の可変動弁装置において、
    前記始動時リフト調整手段は、機関始動時に前記サブアクチュエータにより前記移動位置限界が設定された状態を維持し、これにより前記吸気バルブのバルブ作用角及びバルブリフト量の少なくとも一方が前記最小値以外のものとなる前記可変動弁機構の状態を維持するものであり、機関始動後に前記サブアクチュエータによる前記移動位置限界の設定がなされていない状態への切り替えを行い、これにより前記吸気バルブのバルブ作用角及びバルブリフト量の少なくとも一方が前記最小値となる前記可変動弁機構の状態の設定を許容するものである
    ことを特徴とする内燃機関の可変動弁機構。
  6. 請求項2〜5のいずれか一項に記載の内燃機関の可変動弁装置において、
    前記サブアクチュエータは、サブ液圧シリンダ内に設けられたサブピストンについて、これを付勢手段により前記縮小方向とは反対側である拡大方向へ移動させて前記コントロールシャフトに係合させることにより前記移動位置限界を設定するとともに、前記サブピストンを前記付勢手段の力に抗して前記縮小方向へ移動させるための液圧について、これを液圧供給経路により前記サブ液圧シリンダに供給する
    ことを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。
  7. 請求項6に記載の内燃機関の可変動弁装置において、
    前記サブ液圧シリンダに対する前記サブピストンの位置について、これを前記仲介駆動機構の相対位相差が前記最小相対位相差以外にある状態で固定するロック手段をさらに備える
    ことを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。
  8. 請求項7に記載の内燃機関の可変動弁装置において、
    前記ロック手段は、ロック油圧室に対する液圧の供給及び同油圧室からの液圧の排出を通じてロックピンを移動させることにより、前記サブ液圧シリンダに対する前記サブピストンの位置の固定及び解除を行うとともに、前記液圧供給経路による前記サブ液圧シリンダへの液圧の供給が可能となる状態及び禁止される状態について、これを液圧調整手段により切り替えるものであり、
    前記ロックピンは、前記ロック油圧室に液圧が供給されるときに前記サブ液圧シリンダに対する前記サブピストンの位置を固定し、前記ロック油圧室から液圧が排出されるときに前記サブ液圧シリンダに対する前記サブピストンの位置の固定を解除するものであり、
    前記液圧調整手段は、前記ロックピンが前記サブピストンの位置を固定する状態にあるときに前記サブ液圧シリンダへの液圧の供給が可能となる状態を維持し、前記ロックピンが前記サブピストンの位置の固定を解除する状態にあるときに前記サブ液圧シリンダへの液圧の供給が禁止される状態を維持するものである
    ことを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。
  9. 請求項6〜8のいずれか一項に記載の内燃機関の可変動弁装置において、
    前記液圧シリンダ及び前記サブ液圧シリンダは内燃機関の駆動により発生する液圧が作動圧として供給されるものであり、
    機関始動の開始後に前記内燃機関の駆動により発生する液圧が安定するまでは前記サブ液圧シリンダの液圧を排出する液圧排除手段をさらに備える
    ことを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。
  10. 請求項9に記載の内燃機関の可変動弁装置において、
    機関始動の開始後に前記液圧シリンダ及び前記サブ液圧シリンダに供給される液圧が安定するまでの期間は、スロットルバルブの制御を通じて内燃機関の吸入空気量を調整し、前記液圧シリンダ及び前記サブ液圧シリンダに供給される液圧が安定した後は、前記スロットルバルブを全開に保持するとともに前記可変動弁機構の制御を通じて内燃機関の吸入空気量を調整する吸入空気量調整手段をさらに備える
    ことを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。
  11. 請求項1〜10のいずれか一項に記載の内燃機関の可変動弁装置において、
    前記始動時リフト調整手段は、機関始動時に前記吸気バルブのバルブ作用角及びバルブリフト量の少なくとも一方が前記最小値以外のものとなる前記可変動弁機構の状態として、前記吸気バルブのバルブ作用角及びバルブリフト量の少なくとも一方が最小値と最大値との間のものとなる状態を維持する
    ことを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。
  12. 請求項1〜10のいずれか一項に記載の内燃機関の可変動弁装置において、
    前記始動時リフト調整手段は、機関始動時に前記吸気バルブのバルブ作用角及びバルブリフト量の少なくとも一方が前記最小値以外のものとなる前記可変動弁機構の状態として、前記吸気バルブのバルブ作用角及びバルブリフト量の少なくとも一方が最大値となる状態を維持する
    ことを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。
  13. 吸気バルブのバルブタイミングを連続的に変更する可変動弁機構と、前記吸気バルブのバルブタイミングが最遅角時期以外のものとなる前記可変動弁機構の状態について、機関始動時にこれを維持する始動時バルブタイミング調整手段とを備える内燃機関の可変動弁装置において、
    前記可変動弁機構は、液圧シリンダに対するピストンの移動を通じて前記吸気バルブのカムシャフトを軸方向へ移動させることにより同カムシャフトをクランクシャフトに対して回転させるアクチュエータを含めて構成され、クランクシャフトの回転位相に対する前記カムシャフトの回転位相であるカム回転位相について、これを前記アクチュエータを通じて変更することにより前記吸気バルブのバルブタイミングを変更するもの、すなわち前記アクチュエータを通じて駆動される被駆動部材としての前記カムシャフトの移動により前記吸気バルブのバルブタイミングを変更するものであり、
    前記始動時バルブタイミング調整手段は、前記吸気バルブのバルブタイミングが前記最遅角時期となる前記カム回転位相を最遅角位相とし、この最遅角位相が得られる前記カムシャフトの軸方向の位置を最遅角位置として、機関始動時における前記カムシャフトの軸方向の位置を前記最遅角位置以外のところに維持し、これにより前記吸気バルブのバルブタイミングが最遅角時期以外のものとなる前記可変動弁機構の状態を維持するものであって、これを前記カムシャフトの周面に対向して設けられた係合部と、前記カムシャフトの周面に設けられたガイド部と、機関始動時にこれら係合部及びガイド部を係合させる始動時係合手段との協働により実現するものであり、
    前記係合部は、内燃機関の非回転部材に設けられて前記ガイド部に係合するピンを含めて構成されるものであり、
    前記ガイド部は、前記カムシャフトの軸方向の位置が前記最遅角位置以外のいずれかにあるときに前記係合部のピンが係合する態様で前記カムシャフトの周面に設けられたリング状溝と、前記カムシャフトの周面に螺旋状に形成されて前記係合部のピンが係合するものであって、この係合したピンを前記カムシャフトの回転にともない前記リング状溝に誘導する誘導溝とを含めて構成されるものであり、
    前記始動時係合手段は、機関始動時に前記係合部のピンを前記カムシャフトに接触させる状態と、機関始動後に前記係合部のピンを前記カムシャフトに接触させない状態とを切り替えるものであり、
    前記係合部及び前記ガイド部及び前記始動時係合手段との協働による前記最遅角位置以外への前記カムシャフトの維持の態様は、前記始動時係合手段により前記係合部のピンが前記カムシャフトに接触させられることを通じて前記係合部のピンと前記ガイド部の誘導溝とが係合した状態が得られ、この状態においての前記カムシャフトの回転にともない前記ピン及び前記誘導溝の係合に基づいて前記カムシャフトが前記ガイド部のリング溝を前記ピンに近づける方向へ移動し、この移動を通じて前記ピンと前記リング溝とが係合することにより前記カムシャフトの軸方向の位置が前記最遅角位置以外のものに維持される態様である
    ことを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。
  14. 吸気バルブのバルブタイミングを連続的に変更する可変動弁機構と、前記吸気バルブのバルブタイミングが最遅角時期以外のものとなる前記可変動弁機構の状態について、機関始動時にこれを維持する始動時バルブタイミング調整手段とを備える内燃機関の可変動弁装置において、
    前記可変動弁機構は、クランクシャフトに連動して回転する回転連動部材及び前記吸気バルブのカムシャフトのそれぞれに対してスプライン機構を介して噛み合う噛合部材について、これを液圧シリンダに対するピストンの移動を通じて前記カムシャフトの軸方向へ移動させることにより同カムシャフトをクランクシャフトに対して回転させるアクチュエータを含めて構成され、クランクシャフトの回転位相に対する前記カムシャフトの回転位相であるカム回転位相について、これを前記アクチュエータを通じて変更することにより前記吸気バルブのバルブタイミングを変更するもの、すなわち前記アクチュエータを通じて駆動される被駆動部材としての前記噛合部材の移動により前記吸気バルブのバルブタイミングを変更するものであり、
    前記始動時バルブタイミング調整手段は、前記吸気バルブのバルブタイミングが前記最遅角時期となる前記カム回転位相を最遅角位相とし、この最遅角位相が得られる前記噛合部材の軸方向の位置を最遅角位置として、機関始動時における前記噛合部材の軸方向の位置を前記最遅角位置以外のところに維持し、これにより前記吸気バルブのバルブタイミングが最遅角時期以外のものとなる前記可変動弁機構の状態を維持するものであって、これを前記噛合部材の周面に対向して設けられた係合部と、前記噛合部材の周面に設けられたガイド部と、機関始動時にこれら係合部及びガイド部を係合させる始動時係合手段との協働により実現するものであり、
    前記係合部は、内燃機関の非回転部材に設けられて前記ガイド部に係合するピンを含めて構成されるものであり、
    前記ガイド部は、前記噛合部材の軸方向の位置が前記最遅角位置以外のいずれかにあるときに前記係合部のピンが係合する態様で前記噛合部材の周面に設けられたリング状溝と、前記噛合部材の周面に螺旋状に形成されて前記係合部のピンが係合するものであって、この係合したピンを前記噛合部材の回転にともない前記リング状溝に誘導する誘導溝とを含めて構成されるものであり、
    前記始動時係合手段は、機関始動時に前記係合部のピンを前記噛合部材に接触させる状態と、機関始動後に前記係合部のピンを前記噛合部材に接触させない状態とを切り替えるものであり、
    前記係合部及び前記ガイド部及び前記始動時係合手段との協働による前記最遅角位置以外への前記噛合部材の維持の態様は、前記始動時係合手段により前記係合部のピンが前記噛合部材に接触させられることを通じて前記係合部のピンと前記ガイド部の誘導溝とが係合した状態が得られ、この状態においての前記噛合部材の回転にともない前記ピン及び前記誘導溝の係合に基づいて前記噛合部材が前記ガイド部のリング溝を前記ピンに近づける方向へ移動し、この移動を通じて前記ピンと前記リング溝とが係合することにより前記噛合部材の軸方向の位置が前記最遅角位置以外のものに維持される態様である
    ことを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。
  15. 請求項13または14に記載の内燃機関の可変動弁装置において、
    前記始動時係合手段は、前記被駆動部材に向けて押す力を前記ピンに付与するスプリングと、内燃機関の駆動により生じる液圧を前記スプリングの力に抗する態様で前記ピンに付与する液圧アクチュエータとを備える
    ことを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。
  16. 吸気バルブのバルブタイミングを連続的に変更する可変動弁機構と、前記吸気バルブのバルブタイミングが最遅角時期以外のものとなる前記可変動弁機構の状態について、機関始動時にこれを維持する始動時バルブタイミング調整手段とを備える内燃機関の可変動弁装置において、
    前記可変動弁機構は、液圧シリンダに対するピストンの移動を通じて前記吸気バルブのカムシャフトを軸方向へ移動させることにより同カムシャフトをクランクシャフトに対して回転させるアクチュエータを含めて構成され、クランクシャフトの回転位相に対する前記カムシャフトの回転位相であるカム回転位相について、これを前記アクチュエータを通じて変更することにより前記吸気バルブのバルブタイミングを変更するもの、すなわち前記アクチュエータを通じて駆動される被駆動部材としての前記カムシャフトの移動により前記吸気バルブのバルブタイミングを変更するものであり、
    前記始動時バルブタイミング調整手段は、前記吸気バルブのバルブタイミングが前記最遅角時期となる前記カムシャフトのカム回転位相を最遅角位相とし、この最遅角位相が得られる前記カムシャフトの軸方向の位置を最遅角位置として、機関始動時における前記カムシャフトの軸方向の位置を前記最遅角位置以外のところに維持し、これにより前記吸気バルブのバルブタイミングが最遅角時期以外のものとなる前記可変動弁機構の状態を維持するものであって、これを前記カムシャフトの軸方向において同シャフトを互いに反対の方向に付勢しあう第1スプリング及び第2スプリングの協働により実現するもの、すなわちこれら第1スプリング及び第2スプリングにより前記カムシャフトに生じる軸方向の力並びに前記可変動弁機構により前記カムシャフトに生じる軸方向の力について、機関始動時に前記カムシャフトの軸方向の位置が前記最遅角位置以外のところにあるときにつりあう態様でこれら力が予め設定されるものである
    ことを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。
  17. 吸気バルブのバルブタイミングを連続的に変更する可変動弁機構と、前記吸気バルブのバルブタイミングが最遅角時期以外のものとなる前記可変動弁機構の状態について、機関始動時にこれを維持する始動時バルブタイミング調整手段とを備える内燃機関の可変動弁装置において、
    前記可変動弁機構は、液圧シリンダに対するピストンの移動を通じて前記吸気バルブのカムシャフトを軸方向へ移動させることにより同カムシャフトをクランクシャフトに対して回転させるアクチュエータを含めて構成され、クランクシャフトの回転位相に対する前記カムシャフトの回転位相であるカム回転位相について、これを前記アクチュエータを通じて変更することにより前記吸気バルブのバルブタイミングを変更するもの、すなわち前記アクチュエータを通じて駆動される被駆動部材としての前記カムシャフトの移動により前記吸気バルブのバルブタイミングを変更するものであり、
    前記始動時バルブタイミング調整手段は、前記吸気バルブのバルブタイミングが前記最遅角時期となる前記カムシャフトのカム回転位相を最遅角位相とし、この最遅角位相が得られる前記カムシャフトの軸方向の位置を最遅角位置として、機関始動時における前記カムシャフトの軸方向の位置を前記最遅角位置以外のところに維持し、これにより前記吸気バルブのバルブタイミングが最遅角時期以外のものとなる前記可変動弁機構の状態を維持するものであって、これを前記カムシャフトの軸方向において同シャフトを付勢するスプリングにより実現するもの、すなわちこのスプリングにより前記カムシャフトに生じる軸方向の力並びに前記可変動弁機構により前記カムシャフトに生じる軸方向の力について、機関始動時に前記カムシャフトの軸方向の位置が前記最遅角位置以外のところにあるときにつりあう態様でこれら力が予め設定されるものである
    ことを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。
  18. 吸気バルブのバルブタイミングを連続的に変更する可変動弁機構と、前記吸気バルブのバルブタイミングが最遅角時期以外のものとなる前記可変動弁機構の状態について、機関始動時にこれを維持する始動時バルブタイミング調整手段とを備える内燃機関の可変動弁装置において、
    前記可変動弁機構は、クランクシャフトに連動して回転する回転連動部材及び前記吸気バルブのカムシャフトのそれぞれに対してスプライン機構を介して噛み合う噛合部材について、これを液圧シリンダに対するピストンの移動を通じて前記カムシャフトの軸方向へ移動させることにより同カムシャフトをクランクシャフトに対して回転させるアクチュエータを含めて構成され、クランクシャフトの回転位相に対する前記カムシャフトの回転位相であるカム回転位相について、これを前記アクチュエータを通じて変更することにより前記吸気バルブのバルブタイミングを変更するもの、すなわち前記アクチュエータを通じて駆動される被駆動部材としての前記噛合部材の移動により前記吸気バルブのバルブタイミングを変更するものであり、
    前記始動時バルブタイミング調整手段は、前記吸気バルブのバルブタイミングが前記最遅角時期となる前記カムシャフトのカム回転位相を最遅角位相とし、この最遅角位相が得られる前記噛合部材の軸方向の位置を最遅角位置として、機関始動時における前記噛合部材の軸方向の位置を前記最遅角位置以外のところに維持し、これにより前記吸気バルブのバルブタイミングが最遅角時期以外のものとなる前記可変動弁機構の状態を維持するものであって、これを前記噛合部材の軸方向において同噛合部材を互いに反対の方向に付勢しあう第1スプリング及び第2スプリングの協働により実現するもの、すなわちこれら第1スプリング及び第2スプリングにより前記噛合部材に生じる軸方向の力並びに前記可変動弁機構により前記噛合部材に生じる軸方向の力について、機関始動時に前記噛合部材の軸方向の位置が前記最遅角位置以外のところにあるときにつりあう態様でこれら力が予め設定されるものである
    ことを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。
  19. 吸気バルブのバルブタイミングを連続的に変更する可変動弁機構と、前記吸気バルブのバルブタイミングが最遅角時期以外のものとなる前記可変動弁機構の状態について、機関始動時にこれを維持する始動時バルブタイミング調整手段とを備える内燃機関の可変動弁装置において、
    前記可変動弁機構は、クランクシャフトに連動して回転する回転連動部材及び前記吸気バルブのカムシャフトのそれぞれに対してスプライン機構を介して噛み合う噛合部材について、これを液圧シリンダに対するピストンの移動を通じて前記カムシャフトの軸方向へ移動させることにより同カムシャフトをクランクシャフトに対して回転させるアクチュエータを含めて構成され、クランクシャフトの回転位相に対する前記カムシャフトの回転位相であるカム回転位相について、これを前記アクチュエータを通じて変更することにより前記吸気バルブのバルブタイミングを変更するもの、すなわち前記アクチュエータを通じて駆動される被駆動部材としての前記噛合部材の移動により前記吸気バルブのバルブタイミングを変更するものであり、
    前記始動時バルブタイミング調整手段は、前記吸気バルブのバルブタイミングが前記最遅角時期となる前記カムシャフトのカム回転位相を最遅角位相とし、この最遅角位相が得られる前記噛合部材の軸方向の位置を最遅角位置として、機関始動時における前記噛合部材の軸方向の位置を前記最遅角位置以外のところに維持し、これにより前記吸気バルブのバルブタイミングが最遅角時期以外のものとなる前記可変動弁機構の状態を維持するものであって、これを前記噛合部材の軸方向において同噛合部材を付勢するスプリングにより実現するもの、すなわちこのスプリングにより前記噛合部材に生じる軸方向の力並びに前記可変動弁機構により前記噛合部材に生じる軸方向の力について、機関始動時に前記噛合部材の軸方向の位置が前記最遅角位置以外のところにあるときにつりあう態様でこれら力が予め設定されるものである
    ことを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。
  20. 請求項16〜19のいずれか一項に記載の内燃機関の可変動弁装置において、
    前記始動時バルブタイミング調整手段は、前記被駆動部材の周面に対向して設けられた係合部と、前記被駆動部材の周面に設けられた被係合部と、機関始動時にこれら係合部及び被係合部が係合した状態を維持して、これにより前記被駆動部材の軸方向への移動を規制する始動時係合手段とを備える
    ことを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。
  21. 請求項16〜19のいずれか一項に記載の内燃機関の可変動弁装置において、
    前記可変動弁機構のアクチュエータは、液圧シリンダに対してピストンを移動させるものであって、このピストンの移動を通じて前記被駆動部材を軸方向へ移動させるものであり、
    前記始動時バルブタイミング調整手段は、前記ピストンの周面に対向して設けられた係合部と、前記ピストンの周面に設けられた被係合部と、機関始動時にこれら係合部及び被係合部が係合した状態を維持して、これにより前記被駆動部材の軸方向への移動を規制する始動時係合手段とを備えるものである
    ことを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。
  22. 請求項21に記載の内燃機関の可変動弁装置において、
    前記可変動弁機構のアクチュエータは、前記液圧シリンダと前記ピストンとの間が2つのシールリングによりシールされるものであって、このシールリングによるシールの間隔が前記係合部の幅以上の大きさに設定される
    ことを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。
  23. 吸気バルブのバルブタイミングを連続的に変更する可変動弁機構と、前記吸気バルブのバルブタイミングが最遅角時期以外のものとなる前記可変動弁機構の状態について、機関始動時にこれを維持する始動時バルブタイミング調整手段とを備える内燃機関の可変動弁装置において、
    前記可変動弁機構は、液圧シリンダに対するピストンの移動を通じて前記吸気バルブのカムシャフトを軸方向へ移動させることにより同カムシャフトをクランクシャフトに対して回転させるアクチュエータを含めて構成され、クランクシャフトの回転位相に対する前記カムシャフトの回転位相であるカム回転位相について、これを前記アクチュエータを通じて変更することにより前記吸気バルブのバルブタイミングを変更するもの、すなわち前記アクチュエータを通じて駆動される被駆動部材としての前記カムシャフトの移動により前記吸気バルブのバルブタイミングを変更するものであり、
    前記始動時バルブタイミング調整手段は、前記吸気バルブのバルブタイミングが前記最遅角時期となる前記カム回転位相を最遅角位相とし、前記カム回転位相をこの最遅角位相に向けて変更する前記カムシャフトの移動方向を遅角方向として、この遅角方向において前記カムシャフトが移動することのできる位置の限界である移動位置限界について、これを設定するサブアクチュエータを備えるものであって、機関始動時にこのサブアクチュエータを通じて前記移動位置限界を設定することにより前記カムシャフトの軸方向への移動を規制して前記カム回転位相を前記最遅角位相以外のところに維持し、これにより前記吸気バルブのバルブタイミングが最遅角時期以外のものとなる前記可変動弁機構の状態を維持するものである
    ことを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。
  24. 吸気バルブのバルブタイミングを連続的に変更する可変動弁機構と、前記吸気バルブのバルブタイミングが最遅角時期以外のものとなる前記可変動弁機構の状態について、機関始動時にこれを維持する始動時バルブタイミング調整手段とを備える内燃機関の可変動弁装置において、
    前記可変動弁機構は、クランクシャフトに連動して回転する回転連動部材及び前記吸気バルブのカムシャフトのそれぞれに対してスプライン機構を介して噛み合う噛合部材について、これを液圧シリンダに対するピストンの移動を通じて前記カムシャフトの軸方向へ移動させることにより同カムシャフトをクランクシャフトに対して回転させるアクチュエータを含めて構成され、クランクシャフトの回転位相に対する前記カムシャフトの回転位相であるカム回転位相について、これを前記アクチュエータを通じて変更することにより前記吸気バルブのバルブタイミングを変更するもの、すなわち前記アクチュエータを通じて駆動される被駆動部材としての前記噛合部材の移動により前記吸気バルブのバルブタイミングを変更するものであり、
    前記始動時バルブタイミング調整手段は、前記吸気バルブのバルブタイミングが前記最遅角時期となる前記カム回転位相を最遅角位相とし、前記カム回転位相をこの最遅角位相に向けて変更する前記噛合部材の移動方向を遅角方向として、この遅角方向において前記噛合部材が移動することのできる位置の限界である移動位置限界について、これを設定するサブアクチュエータを備えるものであって、機関始動時にこのサブアクチュエータを通じて前記移動位置限界を設定することにより前記噛合部材の軸方向への移動を規制して前記カム回転位相を前記最遅角位相以外のところに維持し、これにより前記吸気バルブのバルブタイミングが最遅角時期以外のものとなる前記可変動弁機構の状態を維持するものである
    ことを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。
  25. 請求項23または24に記載の内燃機関の可変動弁装置において、
    前記サブアクチュエータは、サブ液圧シリンダ内に設けられたサブピストンについて、これを付勢手段により前記遅角方向とは反対側である進角方向へ移動させて前記被駆動部材に係合させることにより前記移動位置限界を設定するとともに、前記サブピストンを前記付勢手段の力に抗して前記縮小方向へ移動させるための液圧について、これを液圧供給経路により前記サブ液圧シリンダに供給する
    ことを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。
  26. 請求項25に記載の内燃機関の可変動弁装置において、
    前記サブ液圧シリンダに対する前記サブピストンの位置について、これを前記カム回転位相が前記最遅角位相以外にある状態で固定するロック手段をさらに備える
    ことを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。
  27. 請求項26に記載の内燃機関の可変動弁装置において、
    前記ロック手段は、ロック油圧室に対する液圧の供給及び同油圧室からの液圧の排出を通じてロックピンを移動させることにより、前記サブ液圧シリンダに対する前記サブピス トンの位置の固定及び解除を行うとともに、前記液圧供給経路による前記サブ液圧シリンダへの液圧の供給が可能となる状態及び禁止される状態について、これを液圧調整手段により切り替えるものであり、
    前記ロックピンは、前記ロック油圧室に液圧が供給されるときに前記サブ液圧シリンダに対する前記サブピストンの位置を固定し、前記ロック油圧室から液圧が排出されるときに前記サブ液圧シリンダに対する前記サブピストンの位置の固定を解除するものであり、
    前記液圧調整手段は、前記ロックピンが前記サブピストンの位置を固定する状態にあるときに前記サブ液圧シリンダへの液圧の供給が可能となる状態を維持し、前記ロックピンが前記サブピストンの位置の固定を解除する状態にあるときに前記サブ液圧シリンダへの液圧の供給が禁止される状態を維持するものである
    ことを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。
  28. 請求項25〜27のいずれか一項に記載の内燃機関の可変動弁装置において、
    前記液圧シリンダ及び前記サブ液圧シリンダは、内燃機関の駆動により発生する液圧が作動圧として供給されるものであり、
    機関始動の開始後に前記内燃機関の駆動により発生する液圧が安定するまでは前記サブ液圧シリンダの液圧を排出する液圧排除手段をさらに備える
    ことを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。
  29. 請求項13〜28のいずれか一項に記載の内燃機関の可変動弁装置において、
    前記始動時バルブタイミング調整手段は、機関始動時に前記吸気バルブのバルブタイミングが前記最遅角時期以外のものとなる前記可変動弁機構の状態として、前記吸気バルブのバルブタイミングが最遅角時期と最進角時期との間のものとなる状態を維持する
    ことを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。
  30. 請求項13〜28のいずれか一項に記載の内燃機関の可変動弁装置において、
    前記始動時バルブタイミング調整手段は、機関始動時に前記吸気バルブのバルブタイミングが前記最遅角時期以外のものとなる前記可変動弁機構の状態として、前記吸気バルブのバルブタイミングが最進角時期となる状態を維持する
    ことを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。
  31. 吸気バルブのバルブ作用角及びバルブリフト量の少なくとも一方を連続的に変更する第1の可変動弁機構と、吸気バルブのバルブタイミングを連続的に変更する第2の可変動弁機構とを備える内燃機関の可変動弁装置において、
    前記第1の可変動弁機構として請求項1〜12のいずれか一項に記載の可変動弁機構を備え、前記第2の可変動弁機構として請求項13〜30のいずれか一項に記載の可変動弁機構を備え、さらに請求項1〜12のいずれか一項に記載の始動時リフト調整手段及び請求項13〜30のいずれか一項に記載の始動時バルブタイミング調整手段を備える
    ことを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。
  32. 請求項31に記載の内燃機関の可変動弁装置において、
    前記始動時リフト調整手段は、機関始動時に前記吸気バルブのバルブ作用角を最大作用角に維持するものであり、前記始動時バルブタイミング調整手段は、機関始動時に前記吸気バルブのバルブタイミングを最進角時期に維持するものである
    ことを特徴とする内燃機関の可変動弁装置。
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