JP4258047B2 - 複合紡績糸の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、吸湿性能を具備し、ソフト風合いを有し、表面品位に優れた着用快適性に優れた複合紡績糸および該紡績糸からなる布帛に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
綿や羊毛に代表される天然繊維は、その風合いや蒸れ感がない等の着心地感の良さが好まれ、下着からアウターに至る用途に数多く使用されている。この快適な着心地感の主要因は天然繊維の持つ吸放湿機能に起因するものである。ただしこれらの天然繊維は布帛の強度、水分乾燥性等合成繊維に比べ劣り、かつ、しなやかさ、光沢等の審美性に欠け、表面タッチについても不十分である。
【0003】
合成繊維は天然繊維の欠点を解消できるものの、用途により特に必要な特性、たとえば、肌着、靴下用途には着用快適性を有することが重要な要求特性であり、それを満たすために、布帛の吸放湿機能を持つことが前提になっている。
【0004】
この機能を付与するために布帛での処理、すなわち、仕上げ加工工程で吸湿剤を塗布する方法が提案されているが、耐久性、風合いが粗硬になる等の問題が解消されていない。また、特公昭60−457号公報、特開昭60−215835号公報に記載されているように、平衡水分率(吸湿率)の高い繊維と合成繊維との混繊、合撚などにより、布帛として吸湿性を得ると言う提案がなされているが、染色性、物理的特性が損なわれるという問題があり、十分な効果が得られていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、吸放湿機能を有し、表面タッチがソフトでかつ発色性に富んだ合繊100%の複合紡績糸の製造方法を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の複合紡績糸は上記課題を解決するために次の構成を有する。すなわち、
ポリアミドフィラメント糸とアクリル系繊維を主体とする短繊維からなる複合紡績糸の製造方法であって、ポリアミドフィラメント糸はピロリドン含有量が0.1重量%以下のポリビニルピロリドンを3〜7重量%含有し、さらに複合紡績糸に対して30〜50重量%含まれており、アクリル系繊維を主体とする短繊維の繊度が0.3〜1.5dで、引っ張り強度が3g/d以上、結節強度が1.9〜3g/d、円形化指数が0.7以上であり(ただし、円形化指数は、繊維横断面の径の最短軸長さを繊維横断面の径の最長軸長さで除した値である。)、
(1)アクリル系繊維を主体とする短繊維を開繊状態にしておき、その上に該ポリアミドフィラメント糸を重ね合わせヨリ係数70〜120(メートル式)の範囲で加撚する、もしくは、
(2)アクリル系繊維を主体とする短繊維と該ポリアミドフィラメント糸を並列に配置し、該ポリアミドフィラメント糸の供給速度を該アクリル系繊維を主体とする短繊維の供給速度よりやや速く設定して、ヨリ係数70〜120(メートル式)の範囲で加撚する、
ことを特徴とする複合紡績糸の製造方法である。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0009】
まず、本発明の複合紡績糸の一部を構成するポリアミドフイラメント糸について説明する。
【0010】
本発明に用いるポリアミドフィラメントは必要とする吸放湿機能を得るために、ポリアミド対し、3〜7重量%のポリビニルピロリデン(以下PVPと呼ぶ)を含有することが重要である。PVPの含有量が3重量%未満であると十分な吸湿性が得られない。また、7重量%を越えると吸湿性能は向上するが製糸性が不良となり、安定した生産ができない。
【0011】
また、ピロリドンの含有量はPVPの0.1重量%以下にするものであり、好ましくは0.03重量%以下とするものである。このピロリドンの含有量が0.1重量%を越えると繊維の白度が低下し、純白色を要求される用途には使用出来ないことになり、さらには、染色した際の発色性も低下し、鮮やかな色相を得ることができなくなる。以上の態様で製造されたポリアミドフィラメント糸は吸放湿性能のパラメーターである△MR(%)、すなわち、最高吸湿率と標準吸湿率の差は4%〜4.5%の範囲になり、高吸放湿性能が付加され、かつ、白度の優れたものになる。
【0012】
次に、本発明の複合紡績糸の一部を構成するアクリル短繊維につき説明する。アクリル短繊維の単繊維繊度は優れたソフト風合いを得るため細繊度が望ましく、0.3d〜1.5dの範囲が好ましく、より好ましくは0.6d〜1.0dの範囲にある。
【0013】
製品の着用時の摩擦による表面毛羽立ち、ピル発生防止のため、単繊維引張強度は低いほど良いが、布帛強度的にみて実用に耐え得るためには3g/d以上あることが好ましい。さらに形成されたピルが着用時のさらなる摩擦により、脱落させるためには、結節強度は1.9g/d〜3g/dの範囲にあることが好ましい。結節強度が1.9g/d未満であると布帛強度面で実用上耐えられにくくなり、3g/dを越えると坑ピル性が損なわれるようになる。さらに、坑ピル性、ソフト風合いに関し、単繊維の断面は円形が望ましく、円形化指数が0.7以上のものが好ましく、より好ましくは0.8以上である。円形化指数が0.7より小さい場合、繊維表面が平滑でなくなり、風合いにヌメリ感が不足し、ソフトな表面タッチが得られにくくなる。さらに、単繊維間の交絡性が増加し、ピルが形成しやすくなる。
【0014】
ただし、円形化指数は、繊維横断面の径の最短軸長さを繊維横断面の径の最長軸長さで除した値のことである。
【0015】
本発明のアクリル短繊維は少なくとも94モル%のアクリルニトリルと該アクリルニトリルと共重合性を有するモノエチレン系性ビニル系モノマー2〜5モル%及びスルフォン酸基含有ビニル系モノマー0.2〜0.7モル%を含むアクリルニトリル系共重合体からなる繊維を採用することが望ましい。
【0016】
本発明に用いる高吸湿ポリアミドフィラメント糸の複合紡績糸に占める重量比率は30重量%〜50重量%の範囲にあることが重要である。
【0017】
最高吸湿率と標準吸湿率の差、すなわち、△MR(%)は着用時の蒸れ感の指標となる値であり、その値が低すぎる場合は、着用により生じた水蒸気が十分に吸収されず、いわゆる蒸れ感が生じる。したがって、着用快適感を得るためには複合紡績糸からなる布帛で△MR(%)が1.7%以上あることが好ましい。
【0018】
そこで、△MR(%)を1.7%以上付加するためには、ポリアミドフィラメント糸の△MR(%)が4%の原糸を用いた場合は複合紡績糸に占める重量比率は30%以上である。重量比率が50%を越えると△MR(%)は向上するが、細繊度のアクリル短繊維が持つソフト風合いが損なわれ、商品価値が低下し、さらには、複合紡績の精紡工程で糸切れが生じ、生産性も低下する。したがって、吸放湿性能付加による蒸れ感解消による着用快適性および製品のソフト風合いを得るためには高吸湿ポリアミドフィラメント糸の複合紡績糸中に占める重量比率は30%〜50%の範囲にあることが重要である。
【0019】
本発明に用いる高吸湿ポリアミドフィラメント糸の繊度は複合紡績糸の紡出番手と目標とする製品の△MR(%)値との関連で決定される。
【0020】
ここで、吸放湿性能のパラメーターである△MR(%)値につき、さらに詳しく説明する。
【0021】
△MR(%)値とは30℃×90%RHでの最高吸湿率(MR2)から20℃×65%RHでの標準吸湿率(MR1)を引いた値である。
【0022】
すなわち、△MR(%)=MR2−MR1で表される。
【0023】
ここで、△MR(%)は衣服着用時の衣服内の湿気を外気に放出するためのドライビングフォースであり、軽〜中作業あるいは軽〜中運動を行った際の30℃×90%RHに代表される衣服内温湿度と20℃×65%RHに代表される外気温湿度との吸湿率差である。すなわち、△MR(%)値が大きければ大きいほど吸放湿性能が高く、着用時の快適性が良好であることに対応する。
【0024】
そこで、製品の目標とする△MR(%)値を得るために、複合紡績糸の高吸湿ポリアミドフィラメント糸とアクリル短繊維の複合比率、及び用いる高吸湿ポリアミドフィラメント糸の△MR(%)値が重要となる。
【0025】
ここで、目標とするポリアミドフフィラメント糸の繊度の決め方につき説明する。
【0026】
上記の複合紡績糸からなる布帛における目標△MR(X%)値は、次式で表される。
【0027】
X(%)=(YQ/100)+(ZP/100)・・・(1)式
ここで、Yはポリアミドフィラメント糸の△MRの値(%)、Zはアクリル短繊維の△MRの値(%)、Qはポリアミドフィラメント糸の複合紡績糸に占める重量%、Pはアクリル短繊維の複合紡績糸に占める重量%(%)である。したがって、求めるポリアミドフィラメント糸とアクリル短繊維の複合比率はQ:Pとなる。
【0028】
さらに、複合紡績糸の紡出番手をNm(メートル)とすれば、求めるポリアミドフィラメント糸の繊度DF(デニール)は次式により算出できる。
【0029】
DF=9000/Nm×Q/100 ・・・(2)式
すなわち、複合紡績糸の紡出番手を1/52(メートル)、複合紡績糸からなる布帛の目標とする△MRの値を2.1%、ポリアミドフィラメント糸の△MRの値が4.0%、アクリル短繊維の△MRの値が0.8%の場合、上記(1)式により、ポリアミドフィラメント糸の複合紡績糸に占める重量%、Qは40.6%となり、該ポリアミドフィラメント糸の繊度は上記(2)式により、70デニールとなる。
【0030】
したがって、目標とする布帛の△MRの値は複合するポリアミドフィラメント糸の複合比率、すなわち、繊度の変更等により設定できるものである。
【0031】
また、目標とする△MRの値の計算値と実測値はほぼ近似する。
【0032】
次に、本発明の複合紡績糸のヨリ数につき説明する。
【0033】
本発明の複合紡績糸のヨリ係数は70〜120(メートル)にするものである。ヨリ係数が70未満ではアクリル短繊維がポリアミドフィラメント糸から離脱し、毛羽立ち易い欠点が生じ、複合紡績糸の品質、ひいては布帛の品質が低下する。さらに、複合紡績糸製造工程においてポリアミドフィラメント糸からアクリル短繊維が外れ易くなり、複合紡績糸の一部分がポリアミドフィラメント糸のみで形成される、いわゆるヌードヤーンを形成し、品質、紡績性が低下することになる。一方、ヨリ係数が120を越えると、強いヨリのため製品風合いが粗硬になり、目的とするソフト風合いが損なわれる。したがって、複合紡績糸のヨリ係数は70〜120の範囲に設定することにより、ソフトでふくらみ感のある肌触りの良好な製品が、安定した品質、紡績性を保ち、得られるものである。
【0034】
なお、ヨリ係数は次式により求めた値である。
【0035】
ヨリ係数(K)=T/Nm1/2
ここで、Tはヨリ数(回/メートル)、Nmは紡出番手(メートル)を示す。
【0036】
本発明に用いる短繊維はアクリル100%であり、アクリルの特徴を最大限に発揮できるので特に好ましいが、本発明の目的を達成しうる限りにおいて、他の繊維を少量含有することも好ましい。たとえば、寸法安定性、W/W性、異染効果を狙い、常圧カチオン可染型ポリエステル短繊維の混紡も好ましい態様である。
【0037】
次に、本発明の複合紡績糸の製造方法について説明する。
【0038】
本発明の複合紡績糸は、精紡機においてドラフトされた短繊維のフリースにフィラメント糸を重ね合わせて、フロントローラを経てスピンドルを介したコップの回転により、加撚され巻き取ることにより得ることができる。
【0039】
図1は本発明の複合紡績糸の製造方法において、ポリアミドフィラメント糸とアクリル短繊維のヨリ合わせの一例をモデル的に示す概略図であり、図2は本発明の複合紡績糸の製造方法において、ポリアミドフィラメント糸とアクリル短繊維のヨリ合わせの他の一例をモデル的に示す概略図である。
【0040】
たとえば、図1に示されるように、短繊維を開繊状態にしておき、この上にフィラメント糸を重ね合わせ加撚する方法によってシース、コアタイプの複合紡績糸を得ることができる。さらに、図2に示されるように、短繊維とフィラメント糸を並列に配置し、該フィラメント糸の供給速度を短繊維の供給速度比よりやや速く設定することにより、フィラメントカバーリングタイプの複合紡績糸を得ることができる。
【0041】
次に、上述した方法によって得られる複合紡績糸の構造、さらには該構造から派生する布帛の特徴について説明する。
【0042】
図3は図1の方法で得られた複合紡績糸の模擬断面図であり、シース部にアクリル短繊維2、コア部にポリアミドフィラメント糸1が位置している、いわゆるシース、コアタイプの複合紡績糸を示すものである。かかるタイプの複合紡績糸はアクリル短繊維の持つ特徴を最大限に発揮させるものであり、円形細デニールアクリル短繊維のソフト風合いが得られ、また、該短繊維が坑ピル性能を具備していることから、着用時の摩擦による毛羽立ちによるピルの形成を防ぐことができる。また、アクリル短繊維のカチオン染料染色による発色性の良さから、非常に色鮮やかな製品を得ることができる。さらには高級湿ポリアミドフィラメントが紡績糸の内部に位置することから、布帛にした場合、直接、肌に接触する繊維は△MRの値の低いアクリル短繊維であり、水蒸気をポリアミドフィラメントしが吸湿しても直接肌に触れるアクリル短繊維は吸湿が少ないため、ベトツキ感が回避され、着用快適感も優れたものとなる。
【0043】
図4は図2の方法で得られた複合紡績糸の模擬断面図であり、ポリアミドフィラメント糸1がアクリル短繊維束2の外側に巻き付いた、フィラメントカバーリングタイプの複合紡績糸を示すものである。かかるタイプの複合紡績糸はポリアミドフィラメント糸が複合紡績糸の外側に位置することから、非常に毛羽の少ない均斉な製品となり、かつ、ポリアミドとアクリルの染色性差を利用し、同色性を要求される場合、異染性を要求される場合等、それぞれの変化を持たせた製品を得ることができる。また、ポリアミドフィラメントのもつ表面スムース感、適度な吸湿性能と合わせ、着用快適感が得られるものである。さらに上述の毛羽が少ないことに起因する、製織、編成性の改善も可能であり、特に、タテ編に最適である。
【0044】
以下、本発明を実施例により、さらに詳細に説明する。
【0045】
【実施例】
以下に本発明で用いた評価方法につき具体的に説明する。
【0046】
[△MR]:
本発明の複合紡績糸からなる布帛をガラス秤量瓶(風袋重量F)に入れ、乾燥機中110℃×2時間の条件で乾燥する。瓶を密封し、デシケーターのなかで30分間放冷した後、試料の入った秤量瓶の総重量Kを測定する。次に、20℃x65%RHに設定された恒温恒湿槽に開放状態で入れ、24時間放置する。その後再び密封状態でデシケーター中で30分間放置後、試料の入った秤量瓶の重量Hを測定する。引き続き30℃×90%RHに設定された恒温恒湿槽に開放状態にした秤量瓶を入れ、24時間後の総重量Sを同様に測定する。以上の各値から下記式により算出する。
【0047】
最高吸湿率MR2=[(S−K)/(K−F)]×100(%)
標準吸湿率MR1=[(H−K)/(K−F)]×100(%)
△MR(%)=MR2−MR1
ポリアミドフィラメント糸も布帛に形成し、上記と同様の測定方法で計測する。したがって、△MRが大きいほど吸放湿性能が高いことを示すものである。
【0048】
[黄化度]:
27Gの筒編み機により、ポリアミドフィラメント糸を作成し、多光源分光測色計MSZ−2(スガ試験器製)にて3刺激値X,Y,Zを測定し、YI値を次式により求めた。
【0049】
YI(黄化度)=100×[1.28X−1.06Z]/Y
YI値が小さいほど白色に近ずくことを示している。
【0050】
[L値]
本発明の複合紡績糸からなる布帛を黒発色の明度を多光源分光測色計MSZ−2(スガ試験器製)L値を測定した。L値が小さいほど黒色発色性が良好なことを示す。
【0051】
[風合い]:
本発明の複合紡績糸から成る布帛を検査者5人の触感による官能評価を実施したものであり、その結果、◎:極めて良好、○:良好、△:やや不良、×:不良の基準でもって示す。
【0052】
[蒸れ感]:
本発明の複合紡績糸から成る肌着を被検者5人に着用させ、その結果を、上記風合いと同様の基準でもって示す。
【0053】
[紡績性]:
本発明の複合紡績糸を精紡機にて製造する場合の糸切れ数およびヌードヤーンの発生回数を示したものであり、◎:5回/1000錘・1時間以下で極めて良好、○:6〜10回/1000錘・1時間で良好、△:11回/1000錘・1時間以上でやや不良の基準でもって示す。
【0054】
(実施例1)
イソプロピルアルコールを溶媒として通常の方法で合成されたPVPの中のピロリドリン含有量0.02重量%のポリマーをエクストルーダーを用いて、98%硫酸相対粘度が2.8のナイロン6に練り混み、ガット状に押し出し、冷却後にペレタマイズする事でPVP濃度30%のマスタポリマチップとした。
【0055】
次に回転式真空乾燥機中で、ナイロン6チップと上記マスタポリマチップとを所定の割合でブレンドしながら通常の方法で乾燥した。乾燥して得られたブレンドチップにおけるナイロン6に対するPVPの含有量を3重量%とした。
【0056】
該ブレンドチップを270℃で溶融し、円型吐出孔から吐出し、紡糸速度1300m/min、延伸倍率2.3倍、巻き取り速度3000m/minで延伸し、50デニール24フィラメントのPVP含有ナイロン6フィラメント糸を得た。
【0057】
該フィラメント糸と単糸繊度0.6デニール、繊維長38mm、引っ張り強度3.9g/d結節強度2.2g/d、円形化指数0.9の坑ピル極細アクリル短繊維をヨリ係数k=100でフィラメントを芯部に配する、フイラメントが30重量%、アクリル短繊維が70重量%のシースコアタイプの紡出番手が1/52(メートル)の複合紡績糸を製造した。
【0058】
該複合紡績糸を28Gの天竺組織にて丸編み編成し、酸性染料とカチオン染料で1浴2段染で黒色に染色仕上げを施した。
【0059】
得られたポリアミドフィラメント糸のPVPの含有量、PVP中のピロリドン含有量、染色前の黄化度、△MR値、本発明の複合紡績糸からなる布帛の△MR値、着用蒸れ感、発色性を表1に示す。
【0060】
(実施例2)
ポリアミドフィラメント糸のナイロン6に対するPVPの含有量を7重量%とした以外は、実施例1と同様にして複合紡績糸維を得た。得られた複合紡績糸から実施例1と同様にして布帛を得た。得られたポリアミドフィラメント糸のPVPの含有量、PVP中のピロリドン含有量、染色前の黄化度、△MR値、本発明の複合紡績糸からなる布帛の△MR値、着用蒸れ感、発色性、風合いを表1に示す。
【0061】
(比較例1)
ポリアミドフィラメント糸のナイロン6に対するPVPの含有量を0.5重量%とした以外は、実施例1と同様にして複合紡績糸維を得た。得られた複合紡績糸から実施例1と同様にして布帛を得た。得られたポリアミドフィラメント糸のPVPの含有量、PVP中のピロリドン含有量、染色前の黄化度、△MR値、本発明の複合紡績糸からなる布帛の△MR値、着用蒸れ感、発色性を表1に示す。
【0062】
(比較例2)
ポリアミドフィラメント糸のナイロン6に含まれるPVPの中ピロリドリン含有量含有量を0.5重量%とした以外は、実施例2と同様にして複合紡績糸維を得た。得られた複合紡績糸から実施例1と同様にして布帛を得た。得られたポリアミドフィラメント糸のPVPの含有量、PVP中のピロリドン含有量、染色前の黄化度、△MR値、本発明の複合紡績糸からなる布帛の△MR値、着用蒸れ感、発色性を表1に示す。
【0063】
(比較例3)
ポリアミドフィラメント糸のナイロン6に対するPVPの含有量を15重量%とした以外は、実施例1と同様にして複合紡績糸維を得た。得られた複合紡績糸から実施例1と同様にして布帛を得た。得られたポリアミドフィラメント糸のPVPの含有量、PVP中のピロリドン含有量、染色前の黄化度、△MR値、本発明の複合紡績糸からなる布帛の△MR値、着用蒸れ感、発色性を表1に示す。
【0064】
【表1】
比較例1で得られた布帛の発色性、は良好であったが、△MR値が1.4%と低く着用時の蒸れ感があり、着用快適性は得られなかった。さらに、比較例2で得られた布帛の△MR値が1.8%であり、着用時の蒸れ感は解消され、着用快適性は良好であった。ただし、発色性はポリアミドフィラメント糸に含まれるのPVPの中ピロリドリン含有量含有量が0.15重量%であり、高含有率である。したがって、ポリアミドフィラメント糸が染色前の黄化度が高く、透明度に欠けるものであり、アクリル短繊維と複合紡績糸にし、染色後における布帛についてL値が高く、発色性は低下している。さらに、比較例3で得られた布帛の△MR値が2.6%と高い値を示し、着用時の蒸れ感は解消され、着用快適性は良いものであるが、発色性はポリアミドフィラメント糸に含まれるのPVPの含有量が15重量%と高く、したがって、ポリアミドフィラメント糸が染色前の黄化度がやや高く、透明度が不足し、アクリル短繊維と複合紡績糸にし、染色後における布帛についてもL値が高く、発色性は低下している。さらに、PVPの含有量を比較例3で得られた布帛の△MR値が2.6%と高い値を示し、着用時の蒸れ感高く設定するとポリアミドフィラメント糸の製造コストがアップし、染色堅牢度も低下する。
【0065】
一方、実施例1,2について得られた布帛の△MR値1.7〜1.9%と高い値を示し、蒸れ感はなく、着用快適性は良好なものであった。さらにポリアミドフィラメント糸に含まれるPVPの含有量、PVPの中ピロリドリン含有量含有量も好ましい範囲にあり、上記した△MR値の向上と合わせ発色性も良好であった。
【0066】
(実施例3)
実施例1の複合紡績糸を製造する際の紡績性、該複合紡績糸からなる布帛の△MR値、着用蒸れ感、風合いを表2に示す。
【0067】
(実施例4)
ポリアミドフィラメント糸の繊度を70デニール(複合糸中フィラメント糸が占める重量比率30重量%)にした以外は実施例1と同様にして複合紡績糸を得た。該複合紡績糸を製造する際の紡績性、該複合紡績糸からなる布帛の△MR値、着用蒸れ感、風合いを表2に示す。
【0068】
(実施例5)
ポリアミドフィラメント糸の繊度を86デニール(複合糸中フィラメント糸が占める重量比率40重量%)にした以外は実施例1と同様にして複合紡績糸を得た。該複合紡績糸を製造する際の紡績性、該複合紡績糸からなる布帛の△MR値、着用蒸れ感、風合いを表2に示す。
【0069】
(比較例4)
ポリアミドフィラメント糸の繊度を35デニール(複合糸中フィラメント糸が占める重量比率20重量%)にした以外は実施例1と同様にして複合紡績糸を得た。該複合紡績糸を製造する際の紡績性、該複合紡績糸からなる布帛の△MR値、着用蒸れ感、風合いを表2に示す。
【0070】
(比較例5)
ポリアミドフィラメント糸の繊度を105デニール(複合糸中フィラメント糸が占める重量比率60重量%)にした以外は実施例1と同様にして複合紡績糸を得た。該複合紡績糸を製造する際の紡績性、該複合紡績糸からなる布帛の△MR値、着用蒸れ感、風合いを表2に示す。
【0071】
【表2】
比較例4は紡績性も優れており、かつ、細デニールアクリル短繊維が複合紡績糸の外層部に、より多く位置し、アクリルの持つソフト風合いが好ましいものであったが、△MR値が1.4%であり、着用蒸れ感があり、着用快適感に欠けるものであった。
【0072】
比較例5は細デニールアクリル短繊維の複合紡績糸中に占める重量比率が少なくなり、△MR値が2.4%であり、着用蒸れ感が解消されるものの、アクリル短繊維の優れた特徴が発揮出来なくなり、風合いが低下した。さらに、複合紡績糸製造工程においてヌードヤーン、糸切れが増加し、品質面、生産性が低下した。
【0073】
実施例3,4、5は△MR値が1.7%で〜2.4%の範囲にあり、着用蒸れ感は解消され、着用快適感の優れたものであった。さらに、風合いも良好で、かつ、紡績性も優れたものであった、
【0074】
【発明の効果】
本発明により、合繊100%の放吸湿性能を具備した蒸れ感のない着用快適性を持つ合繊100%の複合紡績糸からなる布帛を具現化したものである。
【0075】
かつ、細デニールアクリル短繊維のもつ発色性に優れ、さらには、ソフトな風合いを合わせ持ち、合繊100%である長所、すなわち、天然繊維にないウォッシュ&ウェアー性にすぐれた製品とすることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の複合紡績糸の製造方法において、ポリアミドフィラメント糸とアクリル短繊維のヨリ合わせの一例をモデル的に示す概略図である。
【図2】本発明の複合紡績糸の製造方法において、ポリアミドフィラメント糸とアクリル短繊維のヨリ合わせの他の一例をモデル的に示す概略図である。
【図3】本発明の複合紡績糸の一例をモデル的に示す断面図である。
【図4】本発明の複合紡績糸の他の一例をモデル的に示す断面図である。
【符号の説明】
1.ポリアミドフィラメント糸
2.アクリル短繊維
Claims (1)
- ポリアミドフィラメント糸とアクリル系繊維を主体とする短繊維からなる複合紡績糸の製造方法であって、ポリアミドフィラメント糸はピロリドン含有量が0.1重量%以下のポリビニルピロリドンを3〜7重量%含有し、さらに複合紡績糸に対して30〜50重量%含まれており、アクリル系繊維を主体とする短繊維の繊度が0.3〜1.5dで、引っ張り強度が3g/d以上、結節強度が1.9〜3g/d、円形化指数が0.7以上であり(ただし、円形化指数は、繊維横断面の径の最短軸長さを繊維横断面の径の最長軸長さで除した値である。)、
(1)アクリル系繊維を主体とする短繊維を開繊状態にしておき、その上に該ポリアミドフィラメント糸を重ね合わせヨリ係数70〜120(メートル式)の範囲で加撚する、もしくは、
(2)アクリル系繊維を主体とする短繊維と該ポリアミドフィラメント糸を並列に配置し、該ポリアミドフィラメント糸の供給速度を該アクリル系繊維を主体とする短繊維の供給速度よりやや速く設定して、ヨリ係数70〜120(メートル式)の範囲で加撚する、
ことを特徴とする複合紡績糸の製造方法。
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