JP4257128B2 - 衝撃吸収装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば自動車等のバンパに加えられた衝撃エネルギーを吸収して車体メンバへの前記衝撃エネルギーの伝達を防止又は抑制する衝撃吸収装置、特に衝撃エネルギーを塑性変形の変形エネルギーとして吸収する衝撃吸収装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
塑性変形する直管体を部分的に縮径又は拡径して段差を介した小径管及び大径管を形成した有段管体からなる衝撃吸収装置は、軸方向(小径管及び大径管の並び方向、通常車両の前後方向に一致)から受けた衝撃エネルギーにより小径管を大径管に押し込むことにより塑性変形を引き起こし、衝撃エネルギーを塑性変形の変形エネルギーとして吸収する(特許文献1及び2)。こうした衝撃吸収装置は、構造が簡素ながら衝撃エネルギーの吸収性能に優れており、車両重量の違いに応じて柔軟に設計を変更できる利点もある。
【0003】
【特許文献1】
特公昭47−045986号公報(2〜6頁、第1〜4図)
【特許文献2】
特開2001−138841号公報(2〜5頁、図1〜4)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1に見られる2段構成の衝撃吸収装置は、小径管及び大径管が並ぶ軸方向から衝撃エネルギーが加わる場合には、必要十分な吸収性能を発揮できる。しかし、両管の境界となる段差は、必然的に塑性変形を導きやすくなっているため、例えば小径管に対して軸方向斜めから衝撃エネルギーが加わると、衝撃エネルギーの軸直交方向成分によって小径管が傾倒してしまい、大径管に小径管を没入するという塑性変形が発生せず、結果として衝撃エネルギーを吸収できなくなる問題がある。
【0005】
そこで、特許文献2では、小径管、中径管及び大径管からなる3段構成の衝撃吸収装置により、小径管の傾倒を中径管で防止又は抑制することを提案している。しかし、中径管による小径管の傾倒防止又は抑制の作用は、限定的(およそ軸方向30度まで)であり、より大きな角度の軸方向斜めからの衝撃エネルギーに対しては、依然として小径管の傾倒防止が十分に達成できないことが分かった。そこで、より大きな角度の軸方向斜めから衝撃エネルギーが加えられても、なお大径管に対する小径管の没入が確保でき、塑性変形による衝撃エネルギーの吸収が達成できる衝撃吸収装置を開発するため、検討した。
【0006】
【課題を解決するための手段】
検討の結果開発したのは、塑性変形する直管体を部分的に縮径又は拡径して段差を介した小径管及び大径管を形成した有段管体で、大径管の内面に当接する傾倒防止体を小径管の内面に設けた衝撃吸収装置である。本発明の衝撃吸収装置は、単数の小径管及び大径管からなる二段管体を基本とするが、小径管よりも更に径の小さな管部、又は大径管よりも更に径の大きな管部を形成して、例えば小径管、中径管及び大径管からなる3段以上の多段管体に適用することもできる。この場合、三段管体の小径管及び中径管、中径管及び大径管の関係それぞれが、二段管体の小径管及び大径管の関係に相当する。
【0007】
本発明の衝撃吸収装置は、軸方向から受けた衝撃エネルギーにより小径管を大径管に押し込んで没入させ、段差を介して小径管により大径管を内側へ捲り込ませ、前記衝撃エネルギーを大径管の変形エネルギーとして吸収する。軸方向斜めから小径管に加えられた衝撃エネルギーに対しては、小径管と一体となる傾倒防止体が大径管の内面を基礎として対抗することにより、小径管の傾倒を防止又は抑制する。
【0008】
ここで、「大径管の内面に当接する」とは、必ずしも完全に大径管の内面に接する場合のみならず、大径管に対して小径管が没入する際に大径管の内面に接する場合も含む。これから、傾倒防止体は小径管と一体に大径管へ没入しながら大径管の内面に摺接する。
【0009】
傾倒防止体が機能するには、軸方向から受けた衝撃エネルギーにより小径管を大径管に押し込んで没入させ、段差を介して小径管により大径管を内側へ捲り込ませる必要がある。そこで、傾倒防止体を設ける有段管体は、小径管及び大径管を軸方向に縮退し、小曲率半径断面の小径管側縁と大曲率半径断面の大径管側縁とを環状側面で結んだ段差を形成することが望ましい。ここで、「縮退」とは有段管体を軸方向に押し縮めることを言い、その結果、小径管が大径管に若干没入した構造となり、環状側面が小径管に向かって開いた逆錐台形状になることを意味する。
【0010】
具体的な傾倒防止体としては、小径管の内径に等しい外径の小径環部と、大径管の内径に等しい外径の大径環部とからなり、小径環部は小径管の内面に固着し、段差を越えて小径管から大径管に突出させ、大径環部は前記小径環部が段差を越えた位置で大径管の内面に当接させる構成がある。小径環部及び大径環部はそれぞれ別部材で構成して連結してもよいし、有段管体同様、塑性変形する環体を部分的に縮径又は拡径して段差を介して一体成形してもよい。
【0011】
上記後者の構成の場合、大径環部は、小径管から大径管に突出する小径環部を大径管の内面に当接するまで拡径して形成するとよい。すなわち、小径環部は相対的に長尺な管体状に構成し、この小径環部の端縁を大径管の内面に当接するまで拡径する。
【0012】
大径環部は、小径管から大径管に突出する小径環部を大径管の内面に当接するまで拡径し、小径管に向けて折り返したカーリングとして形成したり、小径管から大径管に突出する小径環部を大径管の内面に当接するまで拡径し、大径管の半径内向きに折り返したカーリングとして形成するとよい。このように、大径環部をカーリングして形成することで、軸方向斜めから加えられる衝撃エネルギーに対抗する構造強度を大径環部に与えることができる。
【0013】
また、大径環部は、大径管の内面に接面する筒状環を設けるとよい。広い面積で大径管の内面に接面する筒状環は、軸方向斜めから加えられる衝撃エネルギーによる圧力(衝撃エネルギー/接面面積)を低下させ、小径管の傾倒を防止又は抑制する傾倒防止体の働きを強化する。この筒状環は、大径管の内面に接面することから、基本的には大径管の相似形状となる。上記カーリングは、筒状環の端縁に形成するとよい。
【0014】
このように、本発明における傾倒防止体は、有段管体と別に構成し、小径管に取り付ける構成が好ましい。しかし、小径管の傾倒に対して大径管を基礎に対抗することができれば本発明の傾倒防止体とすることができる。これから、傾倒防止体は、小径管側縁と大径管側縁とを結んでなる段差の前記小径管側縁を大径管の内面に向けて拡開して形成することもできる。
【0015】
この小径管と一体に形成した傾倒防止体は、小径管及び大径管を軸方向に縮退し、小曲率半径断面の小径管側縁と大曲率半径断面の大径管側縁とを環状側面で結んだ段差の前記小径管側縁を大径管の内面に向けて拡開して形成する構成が好ましい。前記構成は、大径管に対して小径管を確実に没入させながら、かつ小径管側縁を傾倒防止体として大径管の内面に摺接させることができる。
【0016】
小径管側縁を大径管の内面に当接させる傾倒防止体は、上述のようにカーリングや筒状環を形成することも可能であるが、小径管側縁と大径管側縁との間に中間拡環部を形成し、大径管の内面に対して中間拡環部及び小径管側縁を当接させる傾倒防止体を構成してもよい。すなわち、中間拡環部を設けることで、傾倒防止体の断面強度を確保すると共に、大径管の内面に当接する部位を増やすわけである。中間拡環部の数は自由であり、複数の中間拡環部を形成した傾倒防止体は、外観上、蛇腹形状となる。
【0017】
小径管側縁を大径管の内面に当接させる傾倒防止体は、小径管が大径管に没入する際に変形する虞れがある。そこで、前記傾倒防止体は、小径管側縁が形成する環状空間に保形環を内蔵したり、大径管側縁が形成する環状空間に保形環を内蔵するとよい。これら保形環は、それぞれ折り返しとなる小径管側縁又は大径管側縁が圧潰又は変形することを防止し、小径管が大径管に没入する間、傾倒防止体としての小径管側縁を大径管の内面に当接させ続ける働きを有する。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について図を参照しながら説明する。図1は小径管1に向けて折り返したカーリング2により大径環部3を形成した傾倒防止体4を取り付けた二段管体5からなる衝撃吸収装置6の断面図、図2は同衝撃吸収装置6の使用態様を表す斜視図、図3は同衝撃吸収装置6に軸方向の衝撃エネルギーFが加わりはじめた段階を表した図1相当断面図、図4は同衝撃吸収装置6に軸方向斜めから衝撃エネルギーFが加わりはじめた段階を表した図1相当断面図であり、図5は同衝撃吸収装置6が軸方向の衝撃エネルギーFを吸収し終えた段階を表した図1相当断面図である。
【0019】
本例の衝撃吸収装置6は、図1に見られるように、塑性変形する直管体を部分的に縮径又は拡径して段差を介した小径管1及び大径管7を形成した二段管体5からなる。本例の二段管体5は、小径管1及び大径管7を軸方向(図1中一点鎖線参照、以下同じ)に縮退し、小曲率半径断面の小径管側縁8と大曲率半径断面の大径管側縁9とを環状側面10で結んだ段差11を形成している。こうした衝撃吸収装置6は、図2に見られるように、車体メンバ12を構成するサイドメンバ13の前端それぞれに大径管7を接続し、小径管1,1にバンパ補強材14を架設する態様で使用される。
【0020】
本例の傾倒防止体4は、二段管体5と別体で、小径管1の内径に等しい外径の小径環部15と、大径管7の内径に等しい外径の大径環部3とからなる。大径環部3は、小径管1から大径管7に突出する小径環部15を大径管7の内面に当接するまで拡径し、小径管1に向けて折り返したカーリング2であり、段差11を越えた位置で大径管7の内面に前記カーリング2の端縁を当接させている。この傾倒防止体4は、小径管1の内面にスポット溶接(図1中スポット溶接痕16を図示)で固着している。
【0021】
小径管1に軸方向からの衝撃エネルギーF(図3中白抜き矢印)が加わると、図3に見られるように、大径管7に対して小径管1が没入していき、段差11が有する環状側面10を延ばしながら、段差11を介して小径管1により大径管7を内側へ捲り込ませ(塑性変形:図3中黒塗り矢印)、衝撃エネルギーFを大径管7の変形エネルギーとして吸収する。ここで、環状側面10と大径管7とはそれぞれに塑性変形(延性)を伴うが、大部分の塑性変形は、大径管7が捲れ込む量に合わせて環状側面10が延びる態様で生じる。
【0022】
本例の場合、段差11を挟んだ小径管側縁8は小曲率半径断面、大径管側縁9は大曲率半径断面であるため、相対的に大径管側縁9が塑性変形しやすくなっており、小径管1が捲れることなく、大径管7のみが一方的に捲れ込んでいく。このように、衝撃エネルギーFを吸収する塑性変形は、専ら径の大きな大径管7の捲れ込みにより達成されるので、小径管1が捲れ込む同種衝撃吸収装置に比べ、吸収できる衝撃エネルギーの総量は多い。
【0023】
また、本例の二段管体5では、小曲率半径断面の小径管側縁8と大曲率半径断面の大径管側縁9とを環状側面10で結んだ段差11を形成していることから、小径管1が大径管7に没入する過程で延びる環状側面10が、小径管1及び大径管7の間に介在することになる。この小径管1及び大径管7の間に介在する環状側面10は、小径管1の傾倒を防止又は抑制する働きがあり、図3に見られるように、ある程度小径管1が大径管7に没入した段階では、もはや小径管1が傾倒する虞れはない。
【0024】
問題は、衝撃エネルギーFが最初から軸方向斜めから加わる場合である。軸方向斜めから加わる衝撃エネルギーFは、図4に見られるように、大径管7に対して小径管1を押し込んでいく軸方向成分fv(図4中下向き実線矢印)と、小径管1を傾倒させようとする軸直交成分fh(図4中右向き実線矢印)とに分解できる。傾倒防止体4は、前記軸直交成分fhを受けて傾倒しようとする小径管1に対し、軸直交成分fh上流側では小径管側縁8が大径管7の内面に接近することに対抗し(図4中右側における実線矢印及び破線矢印参照)、また軸直交成分fh下流側では小径管側縁8が大径管7の内面から離隔することに対抗する(図4中左側における実線矢印及び破線矢印参照)。
【0025】
上記各対抗は、大径環部3が大径管7の内面に当接していることで、傾倒防止体4が小径管1の傾倒方向に対して自由を制限されていることで実現している。すなわち、小径管1が傾倒するには、前記自由の制限を破壊する程度の負荷=傾倒防止体4全体を変形させるに足りる衝撃エネルギーが加わらなければならない。傾倒防止体4は、小径環部15を小径管1に接面して固着しており、また大径管7に対しても大径環部3を構成するカーリング2を当接させているため、傾倒防止体4の変形には二段管体5全体の変形を必要とする。
【0026】
更に、本例の傾倒防止体4は回転体である略円筒状であるため、小径管1に対する軸直交成分fhがどの方向から加わっても、傾倒防止体4及び二段管体5の変形に必要な負荷は等しく、この負荷は傾倒防止体4の構造強度で決まる極大値にできる(すなわち、軸直交方向に弱い方向がない)。このように、小径環部15を小径管1の内面に固着し、大径環部3を大径管7の内面に当接させる傾倒防止体4を二段管体5に設けることにより、小径管1の傾倒(特に衝撃エネルギーFが加わりはじめた初期段階の傾倒)は防止できる。そして、既述したように、小径管1がある程度大径管7に没入すれば、環状側面10が小径管1の傾倒を防止できるから、本発明の衝撃吸収装置6は、仮に最初から軸方向斜めの衝撃エネルギーFが加わっても、小径管1を傾倒させることなく、確実に大径管7に没入させて、衝撃エネルギーFを吸収できる。
【0027】
傾倒を防止された小径管1は、図5に見られるように、傾倒防止体4の大径環部3を構成するカーリング2がサイドメンバ13の前端(図2参照、大径管7の端縁に一致)に当接するまで、大径管7に対して没入できる。衝撃吸収装置としてどれほどの衝撃エネルギーFを吸収できるかは、小径管の没入量で決定されるため、例えば、サイドメンバの前端に傾倒防止体が没入できる没入孔等を開孔しておけば、更に小径管の没入を図ることができる。この場合、大径環部が当接する基礎がなくなるため、前記没入孔に連続して大径環部が当接できるガイドを設けておくとよい。
【0028】
図6は大径管7の半径内向きに折り返したカーリング17及び大径管7の内面に接面する筒状環18により大径環部3を形成した別例の傾倒防止体19を取り付けた二段管体5からなる衝撃吸収装置20の図1相当断面図、図7は同衝撃吸収装置20が軸方向の衝撃エネルギーFを吸収し終えた段階を表した図6相当断面図、図8は大径管7の半径内向きに折り返したカーリング21のみで大径環部3を形成した別例の傾倒防止体22を取り付けた二段管体5からなる衝撃吸収装置23の図1相当断面図、図9は同衝撃吸収装置23が軸方向の衝撃エネルギーFを吸収し終えた段階を表した図8相当断面図である。
【0029】
傾倒防止体は、小径管の傾倒に対抗するため、大径管の内面を基礎として衝撃エネルギーFの軸直交方向成分fhに対抗しうる大径環部を有する構造であればよい。本例の大径環部3は、図6に見られるように、小径管1から大径管7に突出する小径環部15を大径管7の内面に当接するまで拡径し、大径管7の内面に接面する筒状環18を形成した後、大径管7の半径内向きに折り返したカーリング17を形成した構造である。
【0030】
本例の大径環部3が、小径管1の傾倒防止を図る働きは、上述の例(図1以下参照)と変わりはない。大径管7の内面に広く接面する筒状環18は、小径管1の傾倒に対する対抗力を強化する働きを有する。本例では、更に筒状環18に続いて大径管7の半径方向内向きのカーリング17を形成しているので、大径環部3の構造強度が高く、よりよく小径管の傾倒を防止できる。
【0031】
ここで、筒状環18を含めて軸方向に幅のある大径環部3は、大径管7に没入する小径管1の小径管側縁8の変位を制限し、図7に見られるように、結果として小径管1の没入量を減少させる。この場合、筒状環に続くカーリングを省くことで、筒状環に至る大径環部平面が塑性変形できる余地を残し、例えば小径管側縁で前記大径環部3を圧潰して、小径管の没入量を稼ぐこともできる。しかし、大径環部3を塑性変形しやすくすると、大径管7に対して小径管1が没入を開始する初期段階で大径環部3が塑性変形し、大径環部3が大径管7の内面から離れてしまう虞れがある。
【0032】
そこで、図8に見られるように、大径環部3の塑性変形を抑制する小さな曲率半径で大径管7の半径方向に折り返したカーリング21のみで大径環部3を作る傾倒防止体22が考えられる。この傾倒防止体22は、カーリング21の構造強度が高く、大径管7の内面から離隔する虞れは少ない。しかし、図9に見られるように、軸方向からの小径管1の押圧(正確には小径管側縁8の押圧)に対して圧潰しやすい。また、小径管側縁8とサイドメンバ13の前端(図2参照、大径管7の端縁に一致)との間には、傾倒防止体22の板厚しか介在しないことになるから、小径管1の没入量をほとんど減らすことがない。
【0033】
図10は小径管側縁8と大径管側縁9とを結んでなる段差24の前記小径管側縁を大径管7の内面に向けて拡開して形成した別例の傾倒防止体25を設けた二段管体26からなる衝撃吸収装置27の図1相当断面図、図11は同衝撃吸収装置27が軸方向の衝撃エネルギーFを吸収し終えた段階を表した図10相当断面図、図12は小径管側縁8と大径管側縁9とを結んでなる段差24の前記小径管側縁8を大径管7の内面に向けて拡開し、更に小径管側縁8と大径管側縁9との間に中間拡環部28を形成した別例の傾倒防止体29を設けた二段管体26からなる衝撃吸収装置30の図1相当断面図、図13は同衝撃吸収装置30が軸方向の衝撃エネルギーFを吸収し終えた段階を表した図12相当断面図である。
【0034】
二段管体と別体の傾倒防止体は、設計及び製造の自由度が高く好ましいが、大径環部と一体の小径環部を小径管に固着する組立工程を要求する。これに対し、図10に見られる傾倒防止体25は二段管体26と一体に大径環部3のみを成形するため、小径環部を小径管に固着する組立工程を必要としない利点がある。
【0035】
本例の傾倒防止体25は、小曲率半径断面の小径管側縁8と大曲率半径断面の大径管側縁9とを結んだ段差24を作り、前記小径管側縁8を大径管7の内面に向けて拡開して大径管7の内面に当接し、形成している。上述の各例に見られるような上方に開いた形状ではないが、小径管側縁8及び大径管側縁9を結ぶ環状側面が環状側面10に相当し、小径管1と一体に形成した傾倒防止体25と共に小径管1の傾倒防止を図ることができる。
【0036】
小径管1は、軸方向からの衝撃エネルギーFを受けて、小径管側縁8を大径管7の半径方向外向きに押し広げながら大径管7に没入していくため、前記小径管側縁8は大径管7に対して小径管1が没入していく過程で大径管7の内面に必ず摺接する。本例の傾倒防止体25は、小径管1から小径管側縁8にかけて緩やかな曲率で拡開しているので、小径管1が下端をサイドメンバ13の前端(図2参照、大径管7の端縁に一致)に達すると、図11に見られるように、小径管側縁8から小径管1にかけて塑性変形して若干広がって没入を停止する。
【0037】
本例の傾倒防止体25は、小径管1と一体に形成していることで、直接的に小径管1に対して傾倒防止作用を働かせるが、小径管側縁8のみを大径管7の内面に当接する構成では、前記小径管側縁8を軸に小径管1が傾倒してしまう可能性もある。そこで、図12に見られるように、小径管側縁8と大径管側縁9との間に中間拡環部28を形成し、大径管7の内面に対して中間拡環部28及び小径管側縁8を当接させる傾倒防止体29を小径管1と一体に形成し、小径管1の傾倒を中間拡環部28及び小径管側縁8それぞれの大径管7の内面に対する当接で牽制し合うとよい。本例では、中間拡環部28及び大径管側縁9を結ぶ環状側面が環状側面10に相当し、小径管1と一体に形成した傾倒防止体29と共に小径管1の傾倒防止を図ることができる。
【0038】
また、中間拡環部28及び小径管側縁8からなる傾倒防止体29は、外観上蛇腹形状となる。このため、小径管側縁8が小径管1に追従して変位していくのに対し、中間拡環部28は段差24を介して大径管7を引っ張るため、図13に見られるように、小径管1が大径管7に没入するにつれて小径管側縁8と中間拡環部28とは間延びする格好となる。このほか、小径管1は下端をサイドメンバ13の前端(図2参照、大径管7の端縁に一致)に達すると、小径管側縁8から小径管1にかけて塑性変形して若干広がって没入を停止する点は、上記例示と同様である(図11及び図13比較対照)。
【0039】
図14は小径管側縁8及び大径管側縁9が形成する環状空間それぞれに保形環31,32を内蔵した別例の傾倒防止体33を設けた二段管体26からなる衝撃吸収装置34の図1相当断面図、図15は同衝撃吸収装置34が軸方向の衝撃エネルギーFを吸収し終えた段階を表した図14相当断面図である。本例では、小径管側縁8及び大径管側縁9を結ぶ環状側面10が形成され、小径管1と一体に形成した傾倒防止体33と共に小径管1の傾倒防止を図るが、更に保形環31,32が傾倒防止に作用する。
【0040】
小径管と一体に形成する傾倒防止体は、大径管の内面に小径管側縁を常に当接(又は摺接)させておくために、小径管側縁の形状を保持する必要がある。本例は、図13に見られるように、小径管側縁8及び大径管側縁9が形成する環状空間それぞれに保形環31,32を内蔵し、小径管側縁8及び大径管側縁9の保形を図った傾倒防止体33を小径管1と一体に形成した例である。本例の保形環31,32は、金属棒を円環状に丸め、小径管側縁8及び大径管側縁9それぞれの全周にわたって内蔵するが、断続的に金属ブロックを内蔵してもよい。
【0041】
ここで、小径管側縁8が形成する環状空間に内臓した保形環31は、小径管側縁8の保形を図りながら大径管7の内面に摺接させ、大径管7に没入していく小径管1に追従して変位していくが、大径管側縁9が形成する環状空間に内臓した保形環32は、図14に見られるように、小径管側縁8の変位に引っ張られる大径管7の捲れ込みに応じて変位していく。すなわち、大径管側縁9が形成する環状空間に内臓した保形環32は、大径管7が捲れ込む塑性変形の抵抗になっている。このため、本例の傾倒防止体33を設けた二段管体26からなる衝撃吸収装置34は、上述までの例に比べて、より多くの衝撃エネルギーを吸収できる特徴を有する。
【0042】
【発明の効果】
本発明の衝撃吸収装置は、従来に比べてより大きな角度の軸方向斜めから衝撃エネルギーが加えられても、なお大径管に対する小径管の没入が確保でき、例えば斜め方向からバンパに加えられた衝撃が車体メンバに伝達することを最低限度に抑制できる効果を有する。従来は、軸方向斜め約30度を限度として小径管が傾倒していたが、本発明の衝撃吸収装置では、軸直交方向成分fhが軸方向成分fvを超える軸方向斜め45度までの範囲で、大径管に対する小径管の没入が確保できる。しかも、本発明は、こうした小径管の傾倒防止又は抑制を簡素な構造の傾倒防止体で実現できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】小径管に向けて折り返したカーリングにより大径環部を形成した傾倒防止体を取り付けた二段管体からなる衝撃吸収装置の断面図である。
【図2】同衝撃吸収装置の使用態様を表す斜視図である。
【図3】同衝撃吸収装置に軸方向の衝撃エネルギーFが加わりはじめた段階を表した図1相当断面図である。
【図4】同衝撃吸収装置に軸方向斜めから衝撃エネルギーFが加わりはじめた段階を表した図1相当断面図である。
【図5】同衝撃吸収装置が軸方向の衝撃エネルギーFを吸収し終えた段階を表した図1相当断面図である。
【図6】大径管の半径内向きに折り返したカーリング及び筒状環により大径環部を形成した別例の傾倒防止体を取り付けた二段管体からなる衝撃吸収装置の図1相当断面図である。
【図7】同衝撃吸収装置が軸方向の衝撃エネルギーFを吸収し終えた段階を表した図6相当断面図である。
【図8】大径管の半径内向きに折り返したカーリングのみで大径環部を形成した別例の傾倒防止体を取り付けた二段管体からなる衝撃吸収装置の図1相当断面図である。
【図9】同衝撃吸収装置が軸方向の衝撃エネルギーFを吸収し終えた段階を表した図8相当断面図である。
【図10】小径管側縁を大径管の内面に向けて拡開して形成した別例の傾倒防止体を設けた二段管体からなる衝撃吸収装置の図1相当断面図である。
【図11】同衝撃吸収装置が軸方向の衝撃エネルギーFを吸収し終えた段階を表した図10相当断面図である。
【図12】小径管側縁を大径管の内面に向けて拡開し、更に中間拡環部を形成した別例の傾倒防止体を設けた二段管体からなる衝撃吸収装置の図1相当断面図である。
【図13】同衝撃吸収装置が軸方向の衝撃エネルギーFを吸収し終えた段階を表した図12相当断面図である。
【図14】小径管側縁及び大径管側縁が形成する環状空間それぞれに保形環を内蔵した別例の傾倒防止体を設けた二段管体からなる衝撃吸収装置の図1相当断面図である。
【図15】同衝撃吸収装置が軸方向の衝撃エネルギーFを吸収し終えた段階を表した図14相当断面図である。
【符号の説明】
1 小径管
2 カーリング
3 大径環部
4 傾倒防止体
5 二段管体
6 衝撃吸収装置
7 大径管
8 小径管側縁
9 大径管側縁
10 環状側面
11 段差
15 小径環部
F 衝撃エネルギー
fv 衝撃エネルギーの軸方向成分
fh 衝撃エネルギーの軸直交方向性分

Claims (4)

  1. 塑性変形する直管体を部分的に縮径又は拡径して段差を介した小径管及び大径管を形成した有段管体で、大径管の内面に当接する傾倒防止体を小径管の内面に設けてなり、
    傾倒防止体は、小径管の内径に等しい外径の小径環部と、大径管の内径に等しい外径の大径環部とからなり、小径環部は小径管の内面に固着し、段差を越えて小径管から大径管に突出させ、大径環部は前記小径環部が段差を越えた位置で大径管の内面に当接させ、
    前記大径環部、小径管から大径管に突出する小径環部を大径管の内面に当接するまで拡径し、大径管の半径内向きに折り返したカーリングとして形成したことを特徴とする衝撃吸収装置。
  2. 塑性変形する直管体を部分的に縮径又は拡径して段差を介した小径管及び大径管を形成した有段管体で、大径管の内面に当接する傾倒防止体を小径管の内面に設けてなり、
    傾倒防止体は、小径管側縁と大径管側縁とを結んでなる段差の前記小径管側縁を大径管の内面に向けて拡開し、小径管側縁と大径管側縁との間に中間拡環部を形成し、大径管の内面に対して中間拡環部及び小径管側縁を当接させたことを特徴とする衝撃吸収装置。
  3. 塑性変形する直管体を部分的に縮径又は拡径して段差を介した小径管及び大径管を形成した有段管体で、大径管の内面に当接する傾倒防止体を小径管の内面に設けてなり、
    傾倒防止体は、小径管側縁と大径管側縁とを結んでなる段差の前記小径管側縁を大径管の内面に向けて拡開し、小径管側縁が形成する環状空間に保形環を内蔵したことを特徴とする衝撃吸収装置。
  4. 塑性変形する直管体を部分的に縮径又は拡径して段差を介した小径管及び大径管を形成した有段管体で、大径管の内面に当接する傾倒防止体を小径管の内面に設けてなり、
    傾倒防止体は、小径管側縁と大径管側縁とを結んでなる段差の前記小径管側縁を大径管の内面に向けて拡開し、大径管側縁が形成する環状空間に保形環を内蔵したことを特徴とする衝撃吸収装置。
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