JP4256813B2 - 高速回転機器用ガスシール - Google Patents

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Description

本発明は、シールケースに設けられた静止側密封環と回転軸に設けられた回転側密封環との対向端面たる密封端面が、その間に回転側密封環の密封端面に形成された動圧発生溝により動圧を発生させることにより、非接触状態で相対回転せしめられるように構成された非接触形メカニカルシールであって、特に、タービン,コンプレッサ,ブロワ等の高速回転機器に装備される高速回転機器用ガスシールに関するものである。
従来から、非接触形メカニカルシールであるガスシールとして、シールケースに設けられた静止側密封環と回転軸に設けられた回転側密封環との対向端面たる密封端面が、その間に動圧を発生させることにより、非接触状態で相対回転せしめられるように構成されたものが周知である(例えば、特許文献1参照)。かかるガスシールにあっては、上記動圧を、回転側密封環の密封端面に形成した適当形状の動圧発生溝(例えば、特許文献2又は特許文献3参照)によって発生させるが、かかる動圧発生溝を形成する回転側密封環は、一般に、高硬度で耐摩耗性に優れたセラミックス(SiC,WC等)や超硬合金等(以下「一般的回転側密封環構成材」という)で構成されている。しかし、セラミックス等の一般的回転側密封環構成材は高硬度脆性材であることから、ガスシールをタービン等の高速回転機器の軸封手段として使用した場合、回転側密封環が高速回転されることから、その遠心力による応力によって、回転側密封環に割れが生じたり、極端な場合には脆性破壊される虞れがある。そこで、高速回転機器に使用されるガスシール(非接触形メカニカルシール)にあっては、回転側密封環の外周部にチタン合金等の非脆性金属材で構成した補強リングを焼嵌等により嵌合固着させて、この補強リングによる緊縛力によって回転側密封環の破損を防止するように図っている(例えば、特許文献1参照)。
実開平6−84069号公報(図1) 特開平5−60247号公報(図2,図4) 特開平8−159295号公報(図2,図4,図5)
しかし、このように回転側密封環に補強リングを嵌合固着させたときにも、回転側密封環(回転軸)が10000min−1 以上の高速で、特に60000min−1 以上の超高速で回転する場合には、回転側密封環の割れや破壊を回避することができず、長期に亘って良好なシール機能を期待することができない。補強リングは、回転側密封環が破壊された場合に、その破片の飛散を回避できるにすぎないものであり、回転側密封環の割れや破壊そのものを防止しうるものではない。
本発明は、このような問題を解決して、ガスタービン等の高速回転機器に使用しても回転側密封環が回転による遠心力の影響を受けて割れ等を生じるようなことがなく、長期に亘って良好なシール機能を発揮しうる高速回転機器用ガスシールを提供することを目的とするものである。
本発明は、回転軸がこれに設けられたインペラの近接部位をベアリングにより軸受支持されている高速回転機器に使用されるガスシールであって、回転軸に、これを軸受支持するベアリングとインペラとの間に配して、固定された回転側密封環と、インペラとベアリングとの間の回転軸部分を囲繞するシールケースに、回転側密封環とインペラとの間に配して、軸線方向移動可能に保持された静止側密封環と、静止側密封環を回転側密封環へと押圧附勢するスプリングとを具備して、両密封環の対向端面たる密封端面が、その間に回転側密封環の密封端面に形成された動圧発生溝により動圧を発生させることにより、非接触状態で相対回転せしめられ、両密封端面の内径側のガス領域である被密封流体領域とその外径側のガス領域である非密封流体領域とを遮蔽シールするように構成された非接触形メカニカルシールにおいて、回転側密封環の本体を、軸線方向の厚みが外周方向へ漸次薄くなる略円錐台形状であって一側端面である密封端面を回転軸に直交する平滑環状面となすと共に他側端面を前記ベアリングの内輪に密接する基端環状面とその外周縁から当該密封端面に漸次接近しつつ外方に延びる中間環状面とその外周縁から回転軸に直交して外方向に延びる先端環状面とからなる環状傾斜面となした略円錐台形状に軽比重の非脆性金属材で構成すると共に、この本体の一側端面に耐摩耗性に優れた硬質材からなる被覆層を形成して、この被覆層を動圧発生溝を形成した密封端面に構成し、シールケースに、ベアリングと回転側密封環との対向端面間に形成される非密封流体領域のシールケース内空間である潤滑油室に霧状のベアリング潤滑油を循環供給するための給排油路を形成して、給油路から潤滑油室に供給された霧状のベアリング潤滑油が拡散しつつ内外輪間からベアリング内に侵入してベアリングの潤滑を行なうと共に、当該ベアリング潤滑油の一部が遠心力によって回転側密封環の背面の傾斜面たる中間環状面に沿って外周側へと流動しベアリング側へと方向転換される方向転換流となるように構成したことを特徴とする高速回転機器用ガスシールを提案するものである。
かかる高速回転機器用ガスシールの好ましい実施の形態にあって、回転側密封環の本体は、一般的回転側密封環構成材に比して軽比重で且つ強度及び加工性に優れた非脆性金属材で構成され、一般には、チタン合金又はアルミニウム合金で構成しておくことが好ましい。特に、チタン合金であるTi−6Al−4Vで構成しておくのが最適である。また、密封端面を形成する被覆層は、一般的回転側密封環構成材と同等又はそれ以上の高硬度及び耐摩耗性を有する硬質材で構成され、一般に、SiC,WC等のセラミックス、超硬合金又はダイヤモンドライクカーボン(DLC)のコーティング層となしておくことが好ましい。
請求項1〜請求項3に記載した本発明の高速回転機器用ガスシールは、回転側密封環の形状,構成材を含む構造を工夫することによって、遠心力による回転側密封環の割れや破壊を回避することができるものであり、ガスタービン等の高速回転機器におけるガスシール機能を長期に亘って良好に行いうるものである。
また、請求項4に記載した本発明によれば、回転軸をインペラの近傍で軸受するようにしたことによってガスシールの装着スペースが狭小化された高速回転機器においても好適に使用することができ、ガスシール機能を良好に発揮しうる高速回転機器用ガスシールを提供することができる。さらに、請求項5に記載した本発明によれば、回転軸を軸受するベアリングの潤滑を適正に行なうことができ且つベアリング潤滑油による密封端面の汚損を生じることのない高速回転機器用ガスシールを提供することができる。
図1は本発明に係る高速回転機器用ガスシールの一例を示す縦断側面図である。図1に示された高速回転機器用ガスシール1は、回転軸2がこれに設けられたインペラ3の近接部位をベアリング4により軸受支持されている高速回転機器(ガスタービン等)に装備されるものであって、インペラ3とベアリング4との間の狭い空間に装填しうるべく小型化(特に、軸線方向の短尺化)された非接触形メカニカルシールである。
すなわち、この高速回転機器用ガスシール1は、図1に示す如く、インペラ3とベアリング4との間の回転軸部分2aとこれを囲繞するシールケース5との間に装着されたものであって、回転軸部分2aに固定された回転側密封環6と、シールケース5に軸線方向移動可能に保持された静止側密封環7と、静止側密封環7を回転側密封環6へと押圧附勢するスプリング8とを具備しており、両密封環6,7の対向端面である密封端面(以下、回転側密封環6の密封端面を「回転側密封端面6a」といい、静止側密封環7の密封端面を「静止側密封端面7a」という)を、この間に回転側密封端面6aに形成した動圧発生溝9(図2参照)により動圧を発生させることにより、非接触状態に保持した状態で、両密封端面6a,7aの内径側領域である被密封流体領域(インペラ3の背面側におけるガス領域)15とその外径側領域である非密封流体領域(後述する潤滑油室16aを含むガス領域ないし大気領域である)16とを遮蔽シール(軸封)するように構成されている。
回転軸2は、図1に示す如く、図示しない駆動源によって高速回転されるもので、インペラ3の近傍部位を、回転軸2に外嵌固定された内輪4Aとシールケース5(正確には、後述するケース本体51)に内嵌固定された外輪4Bとを具備するベアリング4により回転自在に軸受支持されている。
回転側密封環6は、図1に示す如く、これとインペラ3との間にカラー(金属筒)10を介装することにより、ベアリング4の内輪4Aとカラー10との間に挟圧された状態で、回転軸2(前記回転軸部分2a)に嵌合固定されている。回転側密封環6は、図2に示す如く、本体61を軸線方向の厚みが外周方向へ漸次薄くなる略円錐台形状に軽比重で高強度且つ加工性に優れた非脆性金属材で構成すると共に、本体61の一側端面(インペラ3に対向する端面)に耐摩耗性に優れた高硬質材からなる被覆層62を形成して、この被覆層61を、動圧発生溝9を形成した密封端面6aに構成したものである。すなわち、回転側密封環6は、被覆層62で構成される一側端面(密封端面6a)を回転軸2に直交する平滑環状面となすと共に、他側端面をベアリング4の内輪4Aに密着する基端環状面61aとその外周縁から当該密封端面6aに漸次接近しつつ外方に延びる中間環状面61bとその外周縁から回転軸2に直交して外方向に延びる先端環状面61cとからなる環状傾斜面となした略円錐台形状に構成されている。本体61は、図2に示す如く、ベアリング4の内輪4Aと略同一内径を有する断面方形状の基端環状部61Aと、基端の軸線方向長さを基端環状部61Aの軸線方向長さよりやや小さくして外径方向へと漸次薄肉となる断面台形状の中間環状部61Bと、軸線方向長さが中間環状部61Bの先端の軸線方向長さに一致する断面方形状の先端環状部61Cとからなり、各環状部61A,61B,61Cの一側端面は同一平面上に位置して被覆層62による密封端面6aを構成しており、基端環状部61A、中間環状部61B及び先端環状部61Cの他側端面は夫々基端環状面61a、中間環状面61b及び先端環状面61cを構成している。本体61の内周部つまり基端環状部61Aの内周部には環状のOリング溝63が形成されていて、このOリング溝63に係合させたOリング11により、回転側密封環6と回転軸2との間がシール(二次シール)されている。ところで、本体61は、冒頭で述べた一般的回転側密封環構成材(セラミックス,超硬合金等)に比して軽比重であり且つ加工性に優れた高強度の非脆性金属材で構成される。具体的には、チタン合金又はアルミニウム合金で構成しておくことが好ましく、Ti−6Al−4Vで構成しておくのが最適である。また、被覆層62は、一般的回転側密封環構成材と同等又はそれ以上の高硬度性及び耐摩耗性を有する硬質材で構成されるが、一般的には、SiC,WC等のセラミックス,超硬合金,DLC等のコーティング層としておくことが好ましい。被覆層62の厚みは、動圧発生溝9の深さ(一般に5μm程度)及び密封端面6aを形成するための研磨代を考慮して、一般に、0.2〜0.4mmとしておくことが好ましい。動圧発生溝9の形状は任意であり、シール条件に応じて一般的な螺旋溝形状や特許文献2又は特許文献3に開示される如き形状を採用することができる。この動圧発生溝9は、その内径側端部が静止側密封端面7aの内周縁から食み出して被密封流体領域15に開口されており、回転軸2の回転に伴って、両密封端面6a,7a間に被密封流体(ガス)による動圧を発生させ、両密封端面6a,7a間を非接触状態に保持させるべく機能するものである。
静止側密封環7は、図1に示す如く、インペラ3と回転側密封環6との間に配して、シールケース5の一部を構成するスプリングリテーナ52に、Oリング12及びドライブピン13を介して軸線方向に移動可能に且つ相対回転不能に内嵌保持されている。スプリングリテーナ52は、後述するケース本体51に内嵌固定されており、本体部52Aとそのベアリング側端部からベアリング方向に突出するガイド部52Bとからなる円筒体である。ガイド部52Bの内径は、本体部52Aの内径より大きく設定されている。静止側密封環7は、スプリングリテーナ52の本体部52Aの内周部にOリング12を介して軸線方向に移動可能に内嵌保持された保持部7Aとそのベアリング側端部に一体形成された密封端面形成部7Bとからなる円環状体である。静止側密封環7は、回転側密封端面6aの構成材(被覆層62)より軟質のカーボン等で構成されている。密封端面形成部7Bのベアリング側端面は、軸線に直交する平滑環状面である静止側密封端面7aに構成されている。静止側密封端面7aの外径は回転軸側密封環6の外径より小さく設定されており、静止側密封端面7aの内径はカラー10の外径より大きく設定されている。密封端面形成部7Bの外周部には、スプリングリテーナ52のガイド部52Bに取り付けられたドライブピン13が係合する係合凹部7bが形成されていて、両者7b,13の係合により、静止側密封環7の軸線方向移動を許容しつつシールケース5に対する相対回転を阻止している。
スプリング8は、図1に示す如く、静止側密封環7の密封環形成部7Bとスプリングリテーナ52の本体部52Aとの間に介装されていて、静止側密封環7を回転側密封環6へと押圧附勢している。なお、スプリング8は周方向に適当間隔を隔てて複数設けられており、各スプリング8は、その基端側部分をスプリングリテーナ52の本体部52Aに形成した凹部に保持されている。
シールケース5は、図1に示す如く、インペラ3が配置されるインペラ室(タービン室等)を形成する回転機器ケーシング14に連設(一体形成)されたケース本体51と、その内周部に取り付けられたスプリングリテーナ52とを具備する。ケース本体51は、図1に示す如く、リテーナ取付面51aと第1及び第2油室形成面51c,51cとベアリング保持面51dとからなる内周面を有するものである。リテーナ取付面51aは回転軸2と同心をなす円柱面であり、スプリングリテーナ52を嵌合固定している。第1油室形成面51bはリテーナ取付面51aに面一状に連なる円柱面である。第2油室形成面51cは第1油室形成面51bのベアリング側端部に連なる円環状面であり、ベアリング4のインペラ側端面(より正確には、外輪4Bのインペラ側端面4b)と面一をなしている。ベアリング保持面51dは第2油室形成面51cの内周部に連なる円柱面であって、ベアリング4(より正確にはベアリング4の外輪4B)を内嵌固定している。スプリングリテーナ52は、静止側密封環7及びスプリング8を保持する本体部52Aとドライブピン13が設けられるガイド部52Bとからなる円筒体であり、ガイド部52Bの先端面(ベアリング側端面)は、軸線方向において、回転側密封端面6aをベアリング側に越える位置であって回転側密封環6の先端環状面61cをベアリング側に越えない位置に位置された第3油室形成面52aとされている。第3油室形成面52aは、軸線に直交する環状面である。
而して、ケース本体51には、図1及び図2に示す如く、ベアリング4と回転側密封環6との対向端面間に形成されるシールケース内空間16aに霧状のベアリング潤滑油17を循環供給するための給排油路18,19が形成されている。このシールケース内空間は、ベアリング4に潤滑油を供給するための潤滑油室16aとして機能する。
すなわち、シールケース内空間たる潤滑油室16aは、図1及び図2に示す如く、ベアリング4と回転側密封環6との対向端面(内輪4Aと基端環状部61Aとの衝合面を除く)とシールケース5の内周面である第1油室形成面51b、第2油室形成面51c及び第3油室形成面52aとで囲繞された環状空間である。給油路18は潤滑油室16aの外周下部に、また排油路19は潤滑油室16aの外周上部に、夫々開口されている。給油路18と排油路19とは、図示していないが、ベアリング潤滑油17を霧状にして給油路18から噴出させる給油装置及び排油路19から排出されたベアリング潤滑油17を冷却して給油装置に回収する回収装置を有する循環路を構成しており、潤滑油室16aに霧状のベアリング潤滑油17を循環供給させるようになっている。なお、このベアリング潤滑油17の循環供給は、当該高速回転機器の運転中において継続的に(場合によっては、間欠的に)行なわれる。
以上のように構成された高速回転機器用ガスシール1にあっては、回転側密封環6が、その極く一部(被覆層62)を除いて、一般的回転側密封環構成材に比して軽比重の非脆性金属材(例えば、Ti−6Al−4V)で構成されているから、一般的回転側密封環構成材で構成した場合に比して、遠心力による応力に対する耐力が頗る大きい。しかも、回転側密封環6つまり本体61が、軸線方向厚さを外周方向に漸次薄くなる略円錐台形状とされていることから、つまり内周側部分に比して周速が大きくなる外周側部分がより軽量となるような形状とされていることから、上記応力の分布が本体61(回転側密封環6)の径方向(遠心力の作用方向)において均一又は略均一となり、本体61全体(回転側密封環6全体)における上記応力による影響が大幅に軽減されることになる。これらのことから、回転側密封環6(回転軸2)が高速で回転される場合にも、回転側密封環6が遠心力による応力によって割れを生じたり破壊されたりする虞れがない。
一方、回転側密封端面6aは、一般的回転側密封環構成材と同等以上の耐摩耗性及び高硬度性を有する材料のコーティング層(被覆層)62で構成されていることから、本体61を一般的回転側密封環構成材に比して耐摩耗性,高硬度性に劣るチタン合金等で構成したことによる問題(回転側密封端面6aの摩耗等)は生じない。
したがって、回転軸2が高速で回転される高速回転機器にあっても、長期に亘って良好なガスシール機能を発揮することができる。なお、上記したガスシール1(本体61をTi−6Al−4Vで構成したもの)を使用して実験したところ、回転軸2を10000min−1で高速回転させた場合は勿論、60000min−1及び120000min−1で超高速回転させた場合にも、回転側密封環6の割れ,破壊は全く生じず、良好なガスシール機能を発揮することが確認された。
また、高速回転機器にあっては、低速回転機器に比してベアリング4の潤滑が極めて重要となるが、上記したガスシール1にあっては、霧状のベアリング潤滑油17が潤滑油室16aに循環供給されることから、ベアリング4の潤滑を適正且つ充分に行なうことができる。
すなわち、給油路18から潤滑油室16aに供給された霧状のベアリング潤滑油17は拡散しつつ内外輪4A,4B間からベアリング4内に侵入して、ベアリング4の潤滑を行なう。このとき、ベアリング潤滑油17の一部17aは、遠心力によって回転側密封環6の背面の傾斜面(中間環状面)61bに沿って密封端面6a方向に流動されることになるが、回転側密封環6の背面の外周部分は傾斜面61bから軸線に直交する方向に延びる先端環状面61cとされていることから、図2に示す如く、傾斜面61bに沿って外周側へと流動するベアリング潤滑油部分17aは先端環状面61cによって密封端面6aと平行する方向へ誘導されることになり、さらに先端環状面61cの外周側に位置する第3油室形成面52aから第1及び第2油室形成面51b,51cに沿ってベアリング側へと方向転換されることになる。したがって、回転側密封環6を略円錐台形状(背面に傾斜面61bを有する形状)としておくことによっては、ベアリング潤滑油17の一部17aが回転側密封環6とシールケース5(スプリングリテーナ52のガイド部52B)との隙間から潤滑油室16a外へと流出して、密封端面6a,7aを油汚損させる(シール機能に悪影響を及ぼす)ようなことがない。さらに、上記した方向転換流17aによってベアリング潤滑油17の攪拌作用が行なわれ、これによってベアリング潤滑油17によるベアリング4の潤滑が更に良好に行なわれることになる。
なお、本発明の構成は上記した実施の形態に限定されず、本発明の基本原理を逸脱しない範囲で適宜に改良,変更することができる。
例えば、上記した例では、本体61の外周端部を断面方形状の先端環状部61Cに構成したが、その理由は、先端環状面61cを中間環状面61bに連なる傾斜面とすると、本体61の外周端部の厚み(軸線方向の厚み)が必要以上に薄くなって、回転側密封環6の剛性が低下すること、及びベアリング潤滑油17の一部17aが先端環状面61cから密封端面6a方向に流動して、密封端面6a,7aが油汚損されること、等を回避するためである。しかし、回転軸2の回転速度が低い場合や回転側密封環6の背面側に潤滑油室16aを設けておく必要がない場合等にあっては、上記した形状上の制限はなく、回転側密封環6ないし本体61を、遠心力による応力の径方向分布が可及的に均一となるような略円錐台径円筒形状としておくことを条件として、任意形状とすることができる。例えば、中間環状面61b(又は中間環状面61b及び先端環状面61c)を円弧状の傾斜面又は階段状の傾斜面としておくことも可能である。このような形状とすることは、一般的回転側密封環構成材では加工上なし得ないが、一般的回転側密封環構成材に比して加工性に富むチタン合金等の非脆性金属材を使用することによって可能となるものである。
また、円環状面である第3油室形成面62aの軸線方向位置は、ベアリング潤滑油17の一部17aがスプリングリテーナ52のガイド部52Bと密封環6との隙間から密封端面6a方向に侵入するのを防止するために、先端環状面61cをベアリング側に越えない範囲において先端環状面61に可及的に近づけておくことが好ましいが、方向転換流17aをより効果的に発生させるためには、第3油室形成面62aを外周方向で且つベアリング方向に傾斜する傾斜面としておくことが更に好ましい。
また、上記した例では、回転軸2と回転側密封環6との間のシール(二次シール)を、本体61の内周部に形成したOリング溝63に保持させたOリング11によって行なうようにしたが、このようなOリング溝63の形成は、一般的回転側密封環構成材に比して靭性,加工性に優れたチタン合金等の非脆性金属材を使用したことによって可能となる。しかし、このようなOリング溝63を形成せず、ベアリング4の内輪4Aの端面4aをシール面に構成して、これと基端環状面61aとの衝合作用によって両者2,6間を二次シールするようにすることも可能である。この場合、シール面として機能する基端環状面61a及び/又は内輪端面4aには、必要に応じて、適当な硬化処理(例えば、超硬合金等によるコーティング)を施しておくことができる。
本発明に係る高速回転機器用ガスシールの一例を示す縦断側面図である。 図1の要部の拡大図である。
符号の説明
1…ガスシール、2…回転軸、3…インペラ、4…ベアリング、4A…内輪、4B…外輪、5…シールケース、6…回転側密封環、6a…回転側密封端面、7…静止側密封環、7a…静止側密封端面、8…スプリング、9…動圧発生溝、15…被密封流体領域、16…非密封流体領域、16a…潤滑油室(シールケース内空間)、17…ベアリング潤滑油、17a…ベアリング潤滑油の一部(方向転換流)、18…給油路、19…排油路、51…ケース本体、52…スプリングリテーナ、61…本体、61a…基端環状面、61b…中間環状面、61c…先端環状面、62…被覆層(コーティング層)。

Claims (3)

  1. 回転軸(2)がこれに設けられたインペラ(3)の近接部位をベアリング(4)により軸受支持されている高速回転機器に使用されるガスシールであって、回転軸(2)に、これを軸受支持するベアリング(4)とインペラ(3)との間に配して、固定された回転側密封環(6)と、インペラ(3)とベアリング(4)との間の回転軸部分を囲繞するシールケース(5)に、回転側密封環(6)とインペラ(3)との間に配して、軸線方向移動可能に保持された静止側密封環(7)と、静止側密封環(7)を回転側密封環(6)へと押圧附勢するスプリング(8)とを具備して、両密封環(6,7)の対向端面たる密封端面(6a,7a)が、その間に回転側密封環(6)の密封端面(6a)に形成された動圧発生溝(9)により動圧を発生させることにより、非接触状態で相対回転せしめられ、両密封端面(6a,7a)の内径側のガス領域である被密封流体領域(15)とその外径側のガス領域である非密封流体領域(16)とを遮蔽シールするように構成された非接触形メカニカルシールにおいて
    回転側密封環(6)の本体(61)を、軸線方向の厚みが外周方向へ漸次薄くなる略円錐台形状であって一側端面である密封端面(6a)を回転軸(2)に直交する平滑環状面となすと共に他側端面を前記ベアリング(4)の内輪(4A)に密接する基端環状面(61a)とその外周縁から当該密封端面(6a)に漸次接近しつつ外方に延びる中間環状面(61b)とその外周縁から回転軸(2)に直交して外方向に延びる先端環状面(61c)とからなる環状傾斜面となした略円錐台形状に軽比重の非脆性金属材で構成すると共に、この本体(61)の一側端面に耐摩耗性に優れた硬質材からなる被覆層(62)を形成して、この被覆層(62)を動圧発生溝(9)を形成した密封端面(6a)に構成し、
    シールケース(5)に、ベアリング(4)と回転側密封環(6)との対向端面間に形成される非密封流体領域(16)のシールケース内空間である潤滑油室(16a)に霧状のベアリング潤滑油(17)を循環供給するための給排油路(18,19)を形成して、給油路(18)から潤滑油室(16a)に供給された霧状のベアリング潤滑油(17)が拡散しつつ内外輪(4A,4B)間からベアリング(4)内に侵入してベアリング(4)の潤滑を行なうと共に、当該ベアリング潤滑油(17)の一部(17a)が遠心力によって回転側密封環(6)の背面の傾斜面たる中間環状面(61b)に沿って外周側へと流動しベアリング(4)側へと方向転換される方向転換流となるように構成したことを特徴とする高速回転機器用ガスシール。
  2. 回転側密封環(6)の本体(61)がチタン合金又はアルミニウム合金で構成されており、密封端面(6a)を形成する被覆層(62)がセラミックス、超硬合金又はダイヤモンドライクカーボンで構成されていることを特徴とする、請求項1に記載する高速回転機器用ガスシール。
  3. 前記チタン合金がTi−6Al−4Vであることを特徴とする、請求項2に記載する高速回転機器用ガスシール。
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