JP4253735B2 - ディジタル/アナログ変換器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電流加算型のディジタル/アナログ変換器(以下、「DAC」という)、特にそのアナログ出力信号のノイズ低減技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図2(a),(b)は、従来の電流加算型のDACの一例を示す構成図であり、同図(a)は全体構成図、及び同図(b)は同図(a)中の定電流セル30i,jの構成図である。
このDACは、図2(a)に示すように、6ビットのディジタル信号D0,D1,…,D5を、アナログ電圧VAに変換するもので、列デコーダ10、行デコーダ20、8行8列のマトリクス状に配置された63個の定電流セル30i,j(但し、i,j=1〜8)、及び出力端子40を有している。
【0003】
列デコーダ10は、ディジタル信号の下位3ビットD0,D1,D2を解読し、その値の応じて信号X1,X2,…,X7を出力するものである。即ち、下位3ビットD0〜D2の値がiであれば、信号X1〜Xiをレベル“H”、信号Xi+1〜X7をレベル“L”にして出力するものである。但し、下位3ビットD0〜D2の値が0の時には、信号X1〜X7はすべて“L”となる。
【0004】
行デコーダ20は、同様に、ディジタル信号の上位3ビットD3,D4,D5を解読し、その値の応じて信号Y1,Y2,…,Y7を出力するものである。即ち、上位3ビットD3〜D5の値がjであれば、信号Y1〜Yjを“H”、信号Yj+1〜Y7を“L”にして出力するものである。但、上位3ビットD3〜D5の値が0の時には、信号Y〜Y7はすべて“L”となる。
【0005】
定電流セル30i,jは、列デコーダ10から信号Xiが与えられ、行デコーダ20から信号Yj−1,Yjが、それぞれ信号YAj,YBjとして与えられるようになっている。但し、信号X8,YB8は共通電位(例えば、接地電圧)GND、信号YA1は電源電圧VDDに固定接続されている。また、64個目の定電流セル308,8は、配置されていない。各定電流セル30i,jの出力側は、ノードN1に共通接続され、このノードN1と出力端子40の間は、寄生インダクタンス成分を有する配線41で接続されている。出力端子40と接地電圧GNDの間には、抵抗42が接続されている。
【0006】
定電流セル30i,jは、いずれも同様の構成であり、図2(b)に示すように、論理和ゲート(以下、「OR」という)31、否定的論理積ゲート(以下、「NAND」という)32及びインバータ33で構成されるデコーダと、PチャネルMOSトランジスタ(以下、「PMOS」という)34,35,36で構成される出力回路とを備えている。
【0007】
OR31の入力側には、信号Xi,YBjが入力されるようになっており、このOR31の出力側がNAND32の第1の入力側に接続されている。NAND32の第2の入力側には信号YAjが与えられ、このNAND32の出力側がインバータ33に接続されている。インバータ33の出力側及び入力側は、出力回路のPMOS34,35のゲートにそれぞれ接続されている。
【0008】
PMOS34,35のソースは、定電流源を構成するPMOS36のドレインに接続され、このPMOS36のソースは電源電圧VDDに接続されている。PMOS36のゲートには、一定電流ICを流すためのバイアス電圧VBが与えられている。PMOS34のドレインは接地電圧GNDに接続され、PMOS35のドレインはノードN1に接続されている。
【0009】
このようなDACに、ディジタル信号D0〜D5が与えられると、このディジタル信号D0〜D5の値nに対応して、列デコーダ10及び行デコーダ20から出力される信号X1〜Xi及び信号Y1〜Yjが“H”となり、各定電流セル30i,jに与えられる。
【0010】
各定電流セル30i,jのデコーダによって、信号X1〜X8,YA1〜YA8,YB1〜YB8が解読され、ディジタル信号D0〜D5の値nと同数の定電流セル30i,jが選択される。選択された定電流セル30i,jでは、PMOS34がオフ状態となり、PMOS35がオン状態となる。これにより、PMOS36を流れる一定電流ICは、PMOS35を介してノードN1に出力される。
【0011】
ノードN1には、n個の定電流セル30i,jからそれぞれ一定電流ICが出力されるので、抵抗42には、一定電流ICのn倍の電流が流れる。従って、出力端子40には、ディジタル信号D0〜D5の値nに対応したアナログ電圧VAが出力される。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のDACでは、次のような課題があった。
定電流セル30のPMOS34,35は、NAND32の出力信号によって相補的にオン/オフ制御されるように構成されている。このため、オンからオフへ、またはオフからオンの切り替え時に、PMOS34,35が共に不完全なオン状態となる瞬間が生じる。これにより、PMOS36のドレイン電圧が一時的に高くなり、このノードの寄生容量(図2(b)中にキャパシタCSとして記載)が充電される。その後、PMOS35が完全にオン状態になると、寄生容量からこのPMOS35を介してノードN1に、一時的に一定電流ICよりも大きな電流が流れる。更に、この過剰電流を含む電流変化は、インダクタンス成分を有する配線41を介して抵抗42に流れる。これにより、出力端子40の電圧には、リンギングやオーバーシュートが発生する。特に速度が速くかつ大振幅出力が必要なビデオ信号処理用のDACの場合には、出力されるアナログ電圧VAが一定の値に安定するまでの収束時間が大きくなったり、或いは収束しないという問題が生じることがあった。
【0013】
本発明は、前記従来技術が持っていた課題を解決し、安定したアナログ電圧を出力できるDACを提供するものである。
【0016】
本発明の内の第1の発明は、DACにおいて、入力されたディジタル信号を解読して該ディジタル信号の値に応じた選択信号を出力するデコーダと、前記選択信号で選択されたときにそれぞれ所定の電流を出力する複数の定電流セルと、前記定電流セルの出力側が共通接続される出力ノードと共通電位との間に接続されて該出力ノードに出力される電流に応じた電圧を生成する抵抗と、前記出力ノードの電圧を反転してキャパシタを介して該出力ノードに帰還させる反転増幅器とを備えている。
【0017】
第1の発明によれば、次のような作用が行われる。
入力されたディジタル信号はデコーダによって解読され、該当する選択信号が出力されて複数の定電流セルに与えられる。選択信号で選択された定電流セルから出力ノードに所定の電流が出力され、この出力ノードと共通電位との間に接続された抵抗には、それに流れる電流に応じた電圧が生成される。更に、出力ノードの電圧は反転増幅器によって反転され、キャパシタを介してこの出力ノードに帰還される。
【0018】
第2の発明は、入力されたディジタル信号を解読して該ディジタル信号の値に応じた選択信号を出力するデコーダと、前記選択信号で選択されたときにそれぞれ所定の電流を出力する複数の定電流セルと、前記定電流セルの出力側が共通接続される出力ノードと共通電位との間に接続されて該出力ノードに出力される電流に応じた電圧を生成する抵抗とを備えたDACにおいて、前記定電流セルを次のように構成している。
【0019】
即ち、この定電流セルは、電源電圧と第1のノードとの間に接続されて前記選択信号で選択されたときにオフ状態となる第1のトランジスタと、前記第1のノードと前記共通電位との間に接続されて前記選択信号で選択されたときにオン状態となる第2のトランジスタと、前記電源電圧と第2のノードとの間に接続されて前記選択信号で選択されたときにオン状態となる第3のトランジスタと、前記第2のノードと前記共通電位との間に接続されて前記選択信号で選択されたときにオフ状態となる第4のトランジスタとを有している。
【0020】
更にこの定電流セルは、前記電源電圧から第3のノードに所定の電流を供給する第5のトランジスタと、前記第3のノードと前記出力ノードとの間に接続されて前記第1のノードの電圧によって前記所定の電流をオン/オフ制御する第6のトランジスタと、前記第3のノードと前記共通電位との間に接続されて前記第2のノードの電圧によって前記第6のトランジスタと相補的に前記所定の電流をオン/オフ制御する第7のトランジスタとを有している。
【0021】
第3の発明は、第3の発明のDACにおける定電流セル中の第2及び第4のトランジスタの駆動能力を、第1及び第3のトランジスタの駆動能力よりも大きく設定している。
【0022】
第4の発明は、第2または第3の発明のDACにおける定電流セルに、第1及び第4のトランジスタをオン/オフ制御する第1のインバータと、前記第1のインバータよりも大きな駆動能力に設定されて第2及び第3のトランジスタをオン/オフ制御する第2のインバータとを設けている。
【0023】
第2〜第4の発明によれば、次のような作用が行われる。
入力されたディジタル信号はデコーダによって解読され、該当する選択信号が出力されて複数の定電流セルに与えられる。選択信号で選択された定電流セルから出力ノードに所定の電流が出力され、この出力ノードと共通電位との間に接続された抵抗には、それに流れる電流に応じた電圧が生成される。
【0024】
選択信号で選択された定電流セルでは、第2と第3のトランジスタがオン状態となり、第1のノードが共通電位となって第6のトランジスタがオン状態となり、第5のトランジスタから供給された電流が出力ノードに出力される。一方、選択されない定電流セルでは、第1と第4のトランジスタがオン状態となり、第2のノードが共通電位となって第7のトランジスタがオン状態となり、第5のトランジスタから供給された電流が共通電位に出力される。
【0025】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
図1(a),(b)は、本発明の第1の実施形態を示すDACの構成図であり、同図(a)は全体構成図、及び同図(b)は同図(a)中の電流セル30Ai,jの構成図である。この図1(a),(b)において、図2中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0026】
このDACは、図1(a)に示すように、6ビットのディジタル信号D0,D1,…,D5を、アナログ電圧VAに変換するもので、列デコーダ10、行デコーダ20、8行8列のマトリクス状に配置された63個の定電流セル30Ai,j(但し、i,j=1〜8)、及び出力端子40a,40bを有している。
列デコーダ10は、図2(a)中のものと同様に、ディジタル信号の下位3ビットD0,D1,D2を解読し、その値の応じて出力端子O1,O2,…,O7から、信号X1,X2,…,X7を出力するものである。即ち、下位3ビットD0〜D2の値がiであれば、信号X1〜Xiをレベル“H”、信号Xi+1〜X7をレベル“L”にして出力するものである。但し、下位3ビットD0〜D2の値が0の時には、信号X1〜X7はすべて“L”となる。
【0027】
行デコーダ20は、図2(a)中のものと同様に、ディジタル信号の上位3ビットD3,D4,D5を解読し、その値の応じて出力端子O1,O2,…,O7から、信号Y1,Y2,…,Y7を出力するものである。即ち、上位3ビットD3〜D5の値がjであれば、信号Y1〜Yjを“H”、信号Yj+1〜Y7を“L”にして出力するものである。但、上位3ビットD3〜D5の値が0の時には、信号Y〜Y7はすべて“L”となる。
【0028】
定電流セル30Ai,jは、列デコーダ10から信号Xiが与えられ、行デコーダ20から信号Yj−1,Yjが、それぞれ信号YAj,YBjとして与えられるようになっている。但し、信号X8,YB8は接地電圧GND、信号YA1は電源電圧VDDに固定接続されている。また、64個目の定電流セル30A8,8は、配置されていない。各定電流セル30Ai,jの2つの出力側は、それぞれノードN1,N2に共通接続されている。
【0029】
ノードN1と出力端子40aの間は、寄生インダクタンス成分を有する配線41aで接続されている。出力端子40aと接地電圧GNDの間には、抵抗42aが接続されている。また、ノードN2と出力端子40bの間は、寄生インダクタンス成分を有する配線41bで接続されている。出力端子40bと接地電圧GNDの間には、抵抗42aと同じ抵抗値の抵抗42bが接続されている。更に、ノードN1,N2間には、キャパシタ43が接続されている。
【0030】
定電流セル30Ai,jは、いずれも同様の構成であり、図1(b)に示すように、OR31、NAND32及びインバータ33で構成されるデコーダと、PMOS34,35,36で構成される出力回路とを備えている。
OR31の入力側には、信号Xi,YBjが入力されるようになっており、このOR31の出力側がNAND32の第1の入力側に接続されている。NAND32の第2の入力側には信号YAjが与えられ、このNAND32の出力側がインバータ33に接続されている。インバータ33の出力側及び入力側は、出力回路のPMOS34,35のゲートにそれぞれ接続されている。
【0031】
PMOS34,35のソースは、定電流源を構成するPMOS36のドレインに接続され、このPMOS36のソースは電源電圧VDDに接続されている。PMOS36のゲートには、一定電流ICを流すためのバイアス電圧VBが与えられている。PMOS34のドレインはノードN2に接続され、PMOS35のドレインはノードN1に接続されている。
【0032】
次に、動作を説明する。
ディジタル信号D0〜D5が与えられると、このディジタル信号D0〜D5の値nに対応して、列デコーダ10及び行デコーダ20から出力される信号X1〜Xi及び信号Y1〜Yjが“H”となり、各定電流セル30Ai,jに与えられる。
【0033】
各定電流セル30Ai,jのデコーダによって、信号X1〜X8,YA1〜YA8,YB1〜YB8が解読され、ディジタル信号D0〜D5の値nと同数の定電流セル30Ai,jが選択される。選択された定電流セル30Ai,jでは、PMOS34がオフ状態となり、PMOS35がオン状態となる。これにより、PMOS36を流れる一定電流ICは、PMOS35を介してノードN1に出力される。ノードN1には、n個の定電流セル30Ai,jからそれぞれ一定電流ICが出力されるので、抵抗42aには、一定電流ICのn倍の電流が流れる。従って、出力端子40には、ディジタル信号D0〜D5の値nに対応したアナログ電圧VAが出力される。
【0034】
一方、選択されていない定電流セル30Aでは、PMOS36を流れる一定電流ICがPMOS34を介してノードN2へ流れる。ノードN2には、選択されていない(63−n)個の定電流セル30Aから、それぞれ一定電流ICが出力されるので、抵抗42bには一定電流ICの(63−n)倍の電流が流れる。
【0035】
ここで、ディジタル信号D0〜D5の値がnからmに変化すると、選択された定電流セル30Aの数は(m−n)個増加し、ノードN1に流れる電流は(m−n)ICだけ増加する。一方、ノードN2に流れる電流は(m−n)ICだけ減少する。即ち、出力端子40a,40bは、逆位相の関係にある。これにより、配線41a,41bに含まれる寄生インダクタンス成分の自己誘導の影響は、ノードN1,N2間に接続されたキャパシタ43によってキャンセルされ、アナログ電圧VAの変化時に生じるリンギングやオーバーシュートが抑制される。
【0036】
例えば、アナログ電圧VAの出力周波数が100MHz、抵抗42a,42bが37.5Ω、及び配線41a,41bの寄生インダクタンスが10nH程度の場合、1pF程度のキャパシタ43を付加することによって、1GHz程度のリンギングを吸収することができる。
【0037】
以上のように、この第1の実施形態のDACは、出力されるアナログ電圧VAの変化に対して相補的な出力電流が流れるノードN1,N2と、その間を接続するキャパシタ43を有している。これにより、寄生インダクタンス成分による影響を抑制して、安定したアナログ電圧VAを出力することができるという利点がある。
【0038】
(第2の実施形態)
図3(a),(b)は、本発明の第2の実施形態を示すDACの構成図であり、同図(a)は全体構成図、及び同図(b)は同図(a)中の電流セル30i,jの構成図である。この図3(a),(b)において、図1中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0039】
このDACの電流セル30i,jは、図3(b)に示すように、図1(b)の電流セル30Ai,jとほぼ同様に、OR31、NAND32及びインバータ33で構成されるデコーダと、PMOS34〜36で構成される出力回路とを備えている。但し、出力回路のPMOS34のドレインは、ノードN2ではなく接地電圧GNDに接続されている。
【0040】
ノードN1には、図3(a)に示すように、寄生インダクタンス成分を有する配線41を介して出力端子40が接続され、この出力端子40と接地電圧GND間には、抵抗42が接続されている。更に、ノードN1には、反転増幅回路50が接続されている。即ち、ノードN1は抵抗51を介して演算増幅器52の反転入力端子に接続され、この演算増幅器52の出力側が、抵抗51と同じ抵抗値の抵抗53を介して反転入力端子に接続されている。また、演算増幅器52の非反転入力端子には、アナログ電圧VAの最大値の1/2の電圧が基準電圧VRとして与えられている。そして、演算増幅器52の出力側がキャパシタ54を介してノードN1に接続されている。その他の構成は、図1と同様である。
【0041】
このようなDACでは、与えられたディジタル信号D0〜D5によって、その値nと同じ数の定電流セル30が選択されてノードN1に、ディジタル信号D0〜D5に対応した電流が出力される。ノードN1に出力された電流は、抵抗42を流れることによって電圧に変換され、出力端子40にアナログ電圧VAとして出力される。
【0042】
一方、ノードN1の電圧は、反転増幅回路50によって同じ振幅で電位が反転した信号となってキャパシタ54に与えられる。これにより、キャパシタ54の両端には逆位相の信号が印加される。この結果、アナログ電圧VAの変化時に生じる寄生インダクタンス成分による影響が相殺され、安定したアナログ電圧VAを出力することができるという利点がある。
【0043】
(第3の実施形態)
図4は、本発明の第3の実施形態を示す定電流セルの構成図である。
この定電流セルは、例えば、図3(a)中の定電流セル30に代えて設けられるもので、図3(b)中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0044】
この定電流セルは、図3(b)におけるデコーダと出力回路の間に、駆動回路60を設けたものである。駆動回路60は、インバータ61とNチャネルMOSトランジスタ(以下、「NMOS」という)62,63,64,65で構成されている。NMOS62,63、及びNMOS64,65は、それぞれ電源電圧VDDと接地電圧GNDの間に、直列に接続されている。NMOS63,64は、インバータ33の出力信号でオン/オフ制御され、NMOS62,65は、インバータ33の出力信号を更にインバータ61で反転した信号でオン/オフ制御されるようになっている。NMOS64のドレインが出力回路のPMOS34のゲートに接続され、NMOS62のドレインがPMOS35のゲートに接続されている。
【0045】
このような定電流セルでは、駆動回路60におけるレベル“H”の出力電圧は、電源電圧VDDよりもNMOS62,64の閾値電圧VTだけ低くなる。従って、駆動回路60の出力電圧で制御される出力回路のPMOS34,35のゲート電圧は、閾値電圧VTだけ低くなる。これにより、デコーダの出力信号の変化時に、PMOS34,35が同時にオフ状態にある時間を短縮することができる。この結果、出力回路内のPMOS36のドレイン電圧の一時的な上昇量が少なくなり、図3のDACに比べて更に安定したアナログ電圧VAを出力することができるという利点がある。
【0046】
(第4の実施形態)
図5は、本発明の第4の実施形態を示す定電流セルの構成図である。
この定電流セルは、図4の定電流セルと同様に、例えば図3(a)中の定電流セル30に代えて設けられるもので、この図4中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0047】
この定電流セルは、図4中の駆動回路60を構成が若干異なる駆動回路60Aに代えたものである。デコーダ内のインバータ33の出力側には、インバータ61が接続され、このインバータ61の出力側に駆動能力の大きなインバータ61aが接続されている。そして、インバータ61aの出力側に、駆動能力の小さなインバータ61bが接続されている。更に、図4中のNMOS63,65に代えて、駆動能力の大きなNMOS63a,65aが用いられている。なお、駆動能力の小さなインバータやNMOSは、駆動能力の大きなものに比べて、ゲート長を長く、またはゲート幅を小さく、或いは長いゲート長と小さいゲート幅を有するように形成したものである。その他の構成は、図4と同様である。
【0048】
このような定電流セルでは、駆動能力の大きなインバータ61aによってNMOS63a,64が駆動され、駆動能力の小さなインバータ61bでNMOS62,65aが駆動される。駆動能力の小さなNMOS62,64の閾値電圧は、駆動能力の大きなNMOS63a,65aの閾値電圧に比べて大きいので、出力回路のPMOS34,35のゲート電圧は、図4に比べて更に低くなる。これにより、デコーダの出力信号の変化時に、PMOS34,35が同時にオフ状態にある時間を更に短縮することができる。この結果、出力回路内のPMOS36のドレイン電圧の一時的な上昇量が少なくなり、図4の定電流セルを用いたDACに比べて、更に安定したアナログ電圧VAを出力することができるという利点がある。
【0049】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されず、種々の変形が可能である。この変形例としては、例えば、次の(a)〜(d)のようなものがある。
(a) ディジタル信号が6ビットのDACについて説明したが、ビット数はこれに限定されない。
(b) 図4中のNMOS63,65の駆動能力を大きく設定しても良い。これにより、図4と図5の中間的な定電流セルが構成され、構成要素を増やさずに図5の定電流セルに近い利点を得ることができる。
【0050】
(c) 図4及び図5の定電流セルを、図2(a)の従来のDACの定電流セル30に代えて用いても良い。
(d) 定電流セル30,30A等は、すべて同じ大きさの電流を出力するようにしているが、例えば、1,2,4,…のように異なる大きさの電流を出力するように構成しても良い。その場合は、デコーダの構成を変える必要があるが、少数の定電流セルでDACを構成することができる。
【0052】
第1の発明によれば、出力ノードの電圧を反転してキャパシタを介してこの出力ノードに帰還させる反転増幅器を備えている。これにより、リンギングやオーバーシュートを抑制して安定したアナログ電圧を出力することができる。
【0053】
第2の発明によれば、各定電流セルは、選択信号のレベルをトランジスタの閾値電圧だけ下げるための第1〜第4のトランジスタと、この閾値電圧だけレベルの低い信号で電流をオン/オフ制御する第6及び第7のトランジスタを有している。これにより、切り替え途中で第6及び第7のトランジスタが同時にオフ状態になる時間が短くなり、リンギングやオーバーシュートを抑制して安定したアナログ電圧を出力することができる。
【0054】
第3の発明によれば、駆動能力の異なるトランジスタを組み合わせているので、第2の発明に比べて閾値電圧を低下させることができ、切り替え途中で第6及び第7のトランジスタが同時にオフ状態になる時間を、更に短くすることができる。これにより、リンギングやオーバーシュートを抑制して、より安定したアナログ電圧を出力することができる。
【0055】
第4の発明によれば、第1〜第4のトランジスタを制御するために、駆動能力の異なるインバータを使用している。これにより、第2または第3の発明に比べて閾値電圧を低下させることができ、切り替え途中で第6及び第7のトランジスタが同時にオフ状態になる時間を、更に短くすることができる。これにより、リンギングやオーバーシュートを抑制して、より安定したアナログ電圧を出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態を示すDACの構成図である。
【図2】従来の電流加算型のDACの一例を示す構成図である。
【図3】本発明の第2の実施形態を示すDACの構成図である。
【図4】本発明の第3の実施形態を示す定電流セルの構成図である。
【図5】本発明の第4の実施形態を示す定電流セルの構成図である。
【符号の説明】
10 列デコーダ
20 行デコーダ
30,30A 定電流セル
34,35,36 PMOS
40,40a,40b 出力端子
42a,42b 抵抗
43,54 キャパシタ
50 反転増幅回路
60,60A 駆動回路
61,61a,61b インバータ
62,63,63a,64,65,65a NMOS
Claims (4)
- 入力されたディジタル信号を解読して該ディジタル信号の値に応じた選択信号を出力するデコーダと、
前記選択信号で選択されたときにそれぞれ所定の電流を出力する複数の定電流セルと、
前記定電流セルの出力側が共通接続される出力ノードと共通電位との間に接続されて該出力ノードに出力される電流に応じた電圧を生成する抵抗と、
前記出力ノードの電圧を反転してキャパシタを介して該出力ノードに帰還させる反転増幅器とを、
備えたことを特徴とするディジタル/アナログ変換器。 - 入力されたディジタル信号を解読して該ディジタル信号の値に応じた選択信号を出力するデコーダと、前記選択信号で選択されたときにそれぞれ所定の電流を出力する複数の定電流セルと、前記定電流セルの出力側が共通接続される出力ノードと共通電位との間に接続されて該出力ノードに出力される電流に応じた電圧を生成する抵抗とを備えたディジタル/アナログ変換器において、
前記定電流セルは、
電源電圧と第1のノードとの間に接続されて前記選択信号で選択されたときにオフ状態となる第1のトランジスタと、
前記第1のノードと前記共通電位との間に接続されて前記選択信号で選択されたときにオン状態となる第2のトランジスタと、
前記電源電圧と第2のノードとの間に接続されて前記選択信号で選択されたときにオン状態となる第3のトランジスタと、
前記第2のノードと前記共通電位との間に接続されて前記選択信号で選択されたときにオフ状態となる第4のトランジスタと、
前記電源電圧から第3のノードに所定の電流を供給する第5のトランジスタと、
前記第3のノードと前記出力ノードとの間に接続されて前記第1のノードの電圧によって前記所定の電流をオン/オフ制御する第6のトランジスタと、
前記第3のノードと前記共通電位との間に接続されて前記第2のノードの電圧によって前記第6のトランジスタと相補的に前記所定の電流をオン/オフ制御する第7のトランジスタとを、
有することを特徴とするディジタル/アナログ変換器。 - 前記第2及び第4のトランジスタの駆動能力を、前記第1及び第3のトランジスタの駆動能力よりも大きく設定したことを特徴とする請求項2記載のディジタル/アナログ変換器。
- 前記第1及び第4のトランジスタをオン/オフ制御する第1のインバータと、前記第1のインバータよりも大きな駆動能力に設定されて前記
第2及び第3のトランジスタをオン/オフ制御する第2のインバータとを、設けたことを特徴とする請求項2または3記載のディジタル/アナログ変換器。
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