JP4252306B2 - 組換えタンパク質のインビトロプロセシングのための新規可溶性エンドプロテアーゼ - Google Patents
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Description
本発明は、工業的応用で使用できる組換えタンパク質のインビトロプロセシングで使用されるべき高い切断特異性を有する新規エンドペプチダーゼ、および、より具体的には、クルイベロミセス ラクティス(Kluyveromyces lactis)のKex1タンパク質の可溶性の分泌型誘導体、ならびに、融合タンパク質からの目的のタンパク質の遊離のための、可溶性の形態または不溶性の有機もしくは無機支持体上に固定された形態のそれらの使用に関する。
【0002】
(発明の分野)
適する発現系での異種組換えタンパク質の製造は、組換えDNA技術の工業的目的の主応用の1つである。宿主細胞中でのペプチド/タンパク質の不安定性により、保護的(もしくは安定化する)タンパク質を含んで成る融合タンパク質の形態で目的のペプチド/タンパク質を製造することがしばしば有利であり、それはその後、所望のタンパク質もしくはペプチドを遊離させるために特異的な予め決められた部位でプロセシングされることができる。
【0003】
その過程はまた、所望のタンパク質もしくはペプチドが、細菌の系で発現されるタンパク質の第一のアミノ酸残基を構成するN末端メチオニン残基の伸長を伴わずに得られることも可能にする。融合タンパク質はまた、発現レベルを増大させること、または、そのアミノもしくはカルボキシ末端に目的のタンパク質が結合される適するポリペプチド配列の選択により精製過程を助長することという目的をもっても製造される。
【0004】
その戦略の成功は、下流のプロセシングの費用を低下させるように、理想的にはいかなる二次産物も放出することなく、所望のレベルの特異性をもつ融合タンパク質のプロセシングを遂げることができる化学的もしくは酵素試薬の利用可能性を必要とする。提案された化学的方法のうち、CNBrを用いるメチオニン残基での切断、Asn−Proジペプチドでの酸加水分解、もしくはAsn−Glyジペプチドでのヒドロキシルアミンを用いる切断を挙げることができる(Fontanaら;Practical protein chemistry.A handbook.pp.5569−575、1986)。酵素法は、例えば、リシンのカルボキシル端からペプチド結合を特異的に切断するリシルエンドペプチダーゼ(アクロモバクター(Achromobacter)プロテアーゼI)、およびグルタミン酸のカルボキシル端からペプチド結合を特異的に切断するブドウ球菌からのプロテアーゼV8(日本国特許広告広報第6−87788号明細書)を利用する。しかしながら、それらの化学的方法およびエンドプロテアーゼは単一アミノ酸残基を認識するため、キメラタンパク質からの所望のペプチドの効率的な摘出を可能にするために、アミノ酸残基が所望のペプチド中に存在しないことが必要であり;従って、製造されることができるペプチドが制限される。従って、多様な研究が、工業的目的の組換えタンパク質のインビトロの特異的なタンパク質分解的切断におけるそれらの使用に適する基質特異性を有するプロテアーゼの探索および/もしくは工作に向けられた。より制限される、すなわちアミノ酸の配列(そして単一の残基でなく)を包含する切断配列を有する他のエンドプロテアーゼが使用されており、そして、例えばトロンビン、第Xa因子およびエンテロキナーゼを包含する(Nilssonら、Current Opinion Struct.Biol.2、569−575、1992)。
【0005】
より最近、かなりの興味が、ズブチラーゼもしくはセリンプロテアーゼのファミリーのいくつかのメンバーに集中されており、そのより公知のメンバーは:(1)細菌のズブチリシン、(2)S.セレビシエ(S.cerevisiae)のKex2プロテアーゼ、(3)フリンおよびフリン類似物タンパク質である。とりわけ、適して工作された変異体でを除き、細菌のズブチリシンは融合タンパク質のインビトロプロセシングに対する十分な切断特異性を表さない(Ballingerら、Biochemistry 35、13579−13585、1996;米国特許第5,837,516号明細書)一方、Kex2タンパク質およびフリンの双方は目的上十分な切断特異性を表す。高い切断特異性を有するズブチラーゼ(下でケキシノ(kexino)類似物プロテアーゼという用語により称されることができる)は「プロホルモン転化酵素(convertase)」の分子/生理学的役割を演じ;すなわち、それらは、塩基残基の対、Lys−ArgもしくはArg−ArgのC末端でのタンパク質分解的切断によりインビボでそれらの前駆体からペプチドホルモンを生じさせる酵素である。図1は、ケキシノ類似物プロテアーゼの構造を図解で示す。およそ330アミノ酸の間伸長するズブチリシン類似物触媒ドメインは、真核生物のプロタンパク質転化酵素の間で高度に保存されている。とりわけ、触媒三つ組残基(Ser−His−Asp)を構成する活性部位の残基、および遷移状態でオキシアニオン空洞(oxyanionic cavity)を安定化させるAsnの残基が、PC2(Asn残基がAsp残基により置換されている)を除いた全メンバー中で対応する位置に存在する(Bryanら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.、83:3743−37451986)。
【0006】
それらの残基に隣接する配列もまた良好に保存されている。加えて、「ホモB」、「P」もしくは「中間(middle)」ドメインとして知られる触媒ドメインの後に続く140アミノ酸の領域もまた、酵母のプロテアーゼKex2を包含する真核生物の転化酵素の間で良好に保存されているが、しかし、細菌のズブチリシンに存在しない。ホモBドメインは触媒活性に不可欠である(Zhongら、FEBS Lett.、396:31−36.1996)。そのドメインは、インテグリンの認識配列に似ている保存されたArg−Gly−Asp配列を含有する。PC1/PC3中のそれら3残基の1つの突然変異は、触媒活性の喪失、および構成する分泌経路へのその神経内分泌転化酵素の正しくない指図を引き起こす(Lussonら、Biochem.J.、326:737−744 1997)。別の保存された領域はプロペプチドであり、これはArg−Xaa−Lys−Arg部位を転化酵素の成熟の間にプロセシングすることにより自己触媒的に除去される。C末端に向かって、フリン、PACE4、PC5/PC6AおよびBはCysの豊富なドメインを有し、これは良好に保存され、また、その役割はこれまで未知である。フリン、Kex2、PC5/PC6BおよびLPC/PC7/PC8/SPC7は、C末端近くに膜貫通ドメインもまた有する。
【0007】
酵母サッカロミセス セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)のKex2エンドプロテアーゼは立証された最初の酵素であり、それに対する遺伝子的および生化学的証明が、経ゴルジネットワーク(trans−Golgi network)中で二塩基部位(di−base site)でプロタンパク質をプロセシングという機能を帰することを可能にした。
【0008】
KEX2遺伝子は、100から120kDaまでの分子量をもつ814アミノ酸残基の糖タンパク質をコードする。その糖タンパク質は経ゴルジネットワークの膜に固定され、そして、α因子およびキラートキシンをプロセシングするという生理学的役割を有する。Kex2タンパク質は、Lys−Arg、Arg−ArgおよびPro−Arg配列のC末端でペプチド結合を特異的に切断するカルシウム依存性プロテアーゼセリンである(Mizunoら、Biochem.Biophys.Res.Comm.144:807−814 1987)。Kex2のアミノ酸配列は、NH2末端部分に、潜在的自己タンパク質分解部位(Lys79−Arg80、Pro102−Arg103およびLys108−Arg109)を有するプレプロドメイン、次いで細菌のズブチラーゼとの高程度の配列の相同性(30%の同一性)を有する領域(144−438aa)を含有する(Mizunoら、Biochem.Biophys.Res.Commun.、156:246−254 1988;Fullerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、86:1434−1438 1989)。Kex2プロテアーゼは、酵母S.セレビシエ(S.cerevisiae)のMATα細胞中で不活性の前駆体として発現され、そして成熟した形態のNH2末端領域が、Lys108−Arg109部位でのタンパク質分解性プロセシング、次いでジペプチジルアミノペプチダーゼ酵素Ste13によるジペプチドLeu−ProおよびVal−Proのタンパク質分解性切断により生じられる(BrennerとFuller、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、89:922−926 1992)。
【0009】
S.セレビシエ(S.cerevisiae)の触媒的に活性のKex2プロテアーゼを、COOH末端の膜貫通ドメインの前への終止コドンの挿入により生成される分泌型可溶性酵素(ss−Kex2)として酵母から精製した。この改変は該酵素の精製を助長した。精製されたssKex−2 S.セレビシエ(S.cerevisiae)プロテアーゼの基質特異性に関する研究は、該プロテアーゼがAspおよびProを除いてP3位置のいかなる残基も排除しないが、しかし、他方、P2およびP1位置のアミノ酸について選択的であることを立証した。とりわけ、P2位置のKex2は、嵩高い鎖を有するアミノ酸を排除するとみられるが、しかし、しかしながら正に荷電した残基を有するものを認識するとみられる一方、P1位置においては、Kex2エンドプロテアーゼは、アルギニンの電荷および構造の双方についてきわめて選択的である。欧州特許第EP−327377号明細書は、C末端の疎水性領域を含まないS.セレビシエ(S.cerevisiae)のKex2プロテアーゼを記述し;それらのプロテアーゼは水中で可溶性でありかつ細胞の外側に分泌されることができ、天然のタンパク質の酵素活性を変えられないままとする。
【0010】
(発明の詳細な記述)
クルイベロミセス ラクティス(Kluyveromyces lactis)のいくつかの株は、多様な種の酵母の感受性細胞を殺すことが可能なトキシンを分泌するキラー表現型(killer phenotype)を表す。そのキラー特性は、協同してトキシンおよびその免疫を可能にする成分を産生する直鎖状DNAの2種のプラスミド、pGKL1およびpGKL2の存在による。突然変異(kex1)を、KEX1と呼ばれるK.ラクティス(K.lactis)染色体の単一の遺伝子座で単離し、その突然変異は、前述のプラスミドが維持されることを可能にしつつ、キラー表現型の喪失に至る。
【0011】
前述の突然変異の遺伝子補完によりクローン化され、遺伝子KEX1はサッカロミセス セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)の遺伝子KEX2に対して類似(orthologous)であることが見出された。S.セレビシエ(S.cerevisiae)の遺伝子KEX2およびK.ラクティス(K.lactis)のKEX1によりコードされるタンパク質は、高程度の配列の相同性(>50%の同一性)を有し、また、それらのそれぞれは他方の欠乏を補償することが可能である。その情報は、クルイベロミセス ラクティス(Kluyveromyces lactis)のKEX1遺伝子(Wesolowski−Louvelら Yeast 4:71−81 1988)が、二塩基残基に対する切断特異性を有しかつその前駆体をプロセシングすることにより生じられる成熟した形態のキラートキシンの産生に関与するプロテアーゼもまたコードすることを示唆する。しかしながら、KEX1遺伝子の産物の発現に関するデータはこれまで入手可能でなく、また、そのタンパク質の生化学的および酵素的特徴づけに関するいかなるデータも入手可能でない。
【0012】
膜貫通ドメインを含まず(かつss−Kex1という用語により称されることができる)、また、Pro−Arg残基および二塩基残基を含有する基質に関しての、とりわけArg−Arg、Lys−Arg残基に対するインビトロエンドペプチダーゼ触媒活性を明示する、本発明の主題を構成するK.ラクティス(K.Lactis)の組換えKex1プロテアーゼが、今や見出された。そのタンパク質配列が、膜に固定するためのドメインを含んで成る欠失を除いて(おそらく膜に固定するためのドメインを含んで成る欠失を除いて)K.ラクティス(K.Lactis)のKEX1遺伝子によりコードされるものに対応する、それらの組換えKex1プロテアーゼは、そのタンパク質配列がS.セレビシエ(S.cerevisiae)のKEX2遺伝子によりコードされるものに対応する同一ファミリーのタンパク質に比較して実質的により大きな熱安定性を立証することもまた、驚くべきことに見出され、その結果、それらはケキシンファミリーの他のタンパク質、とりわけS.セレビシエ(S.cerevisiae)からのKex2が不活性化される条件下でのインビトロの標的を定められたタンパク質分解の過程で使用することができる。
【0013】
本発明の可溶性Kex1プロテアーゼは、S.セレビシエ(S.cerevisiae)のKEX2遺伝子によりコードされる対応する変異体に比較してより大きな安定性を特徴とし、可溶性のKex1プロテアーゼは、Kex2タンパク質が完全に不活性化される条件下でそれらの活性の50%以上を保存する。
【0014】
以下から認識されるであろうとおり、本発明の可溶性Kex1エンドプロテアーゼにおいて、膜貫通ドメインの欠失は、K.ラクティス(K.lactis)のKEX1遺伝子によりコードされる酵素のC末端から最低57アミノ酸残基を除去することにより達成され;本発明の好ましい態様において、最低57および100を越えないアミノ酸残基がC末端から除去され;実験的に使用される遺伝子配列は、受託番号X07038でEMBLデータバンクから入手可能なものである。
【0015】
とりわけ、本発明の好ましい態様の可溶性Kex1エンドプロテアーゼは、配列、配列番号2を有すること、もしくは、いずれにせよ、配列番号2に関して90%の相同性、好ましくは95%の相同性をもつ配列を有することを特徴とする。
【0016】
本発明の第二の目的は、本発明の可溶性Kex1エンドプロテアーゼをコードする、および、とりわけ、最低57アミノ酸残基がC末端から除去されている可溶性Kex1エンドプロテアーゼをコードする、ならびに、好ましくは、最低51かつ100を越えないアミノ酸残基がC末端から除去されている可溶性Kex1エンドプロテアーゼをコードするDNA分子により表される。
【0017】
好ましい一態様によれば、前記DNA分子は、(a)配列番号1の配列を有すること、(b)配列番号1にハイブリダイズする配列を有すること、(c)遺伝暗号の結果として、配列番号1の配列を有するDNAに縮重した配列を有すること、および/もしくは(d)配列番号1に関して90%の相同性、好ましくは95%の相同性をもつ配列を有することを特徴とする。
【0018】
本発明のさらなる一目的は:
(a)型NH2−A−B−C−COOH(ここで、NH2は該融合ポリペプチドもしくはタンパク質のNH2末端であり、Aはいずれかの所望のタンパク質もしくはポリペプチド(場合によっては翻訳の開始コドンによりコードされるメチオニンのみ)であり、Bは本発明のKex1エンドプロテアーゼにより認識されるアミノ酸配列で終端する結合する「リンカー」フラグメントであり、Cは目的のポリペプチドもしくはタンパク質を表し、その結果、目的の成熟タンパク質の第一のアミノ酸が本発明のKex1エンドプロテアーゼにより認識される配列のすぐカルボキシル端にあり、かつ、COOHは該融合ポリペプチドもしくはタンパク質のカルボキシ末端を表す)の構築物中に目的のペプチドもしくはタンパク質の配列を含んで成る融合ポリペプチドもしくはタンパク質の製造;
(b)目的のタンパク質もしくはポリペプチドを融合パートナーから分離するための、かつ、目的のポリペプチドもしくはタンパク質のNH2末端に対応する遊離HN2末端をもつ、本発明のKex1エンドプロテアーゼの存在下での上の段階(a)で挙げられた融合ポリペプチドもしくはタンパク質のインビトロインキュベーション;
(c)目的の生物学的に活性のペプチドもしくはタンパク質の分離および精製
を含んで成る、目的の生物学的有効成分(ペプチドもしくはタンパク質)の製造方法により構成される。
【0019】
上に列挙された操作(a)、(b)および(c)を実施するための手順は当該技術分野で公知であり、そして従って詳細に説明される必要はなく;それらは、例えば、文書、欧州特許第EP−327377号、同第EP−794254号、同第EP−794255号および米国特許第US−5,077,204号明細書(それらの内容は本記述の不可欠の一部分とみなされるべきである)に記述される。
【0020】
本発明のエンドプロテアーゼは、工業的および/もしくは治療的目的のペプチドもしくはタンパク質を含有する融合タンパク質をプロセシングするために使用することができ;本発明の方法を使用して得ることができる可能なタンパク質は、例えば、例えばペプチドホルモン、インターロイキン、インターフェロン、サイトカイン、成長因子、フィブリン溶解酵素のような治療的使用のための組換えタンパク質、および例えばリパーゼ、加水分解酵素、ヌクレアーゼ、酸化酵素、ホスファターゼのような生物触媒として使用することができる工業的目的の組換え酵素である。
【0021】
本発明の他の目的は、前述のプロテアーゼをコードするDNA配列、対応する発現プラスミド、およびそれらを含有する宿主細胞により表される。
【0022】
本発明のクルイベロミセス ラクティス(Kluyveromyces lactis)のKex1プロテアーゼは、サッカロミセス セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)酵母中で発現されるべき膜に固定するためのドメインを含まないKex1プロテアーゼの変異体をもたらすことにより得た。ss−Kex1プロテアーゼの成長培地中での分泌は、相同なプレプロ領域、もしくはS.セレビシエ(S.cerevisiae)の相同なKex2タンパク質のプレプロ領域のいずれかによって、ならびにサッカロミセス セレビシエ バリエタス ディアスタティクス(Saccharomyces cerevisiae var.diastaticus)のグルコアミラーゼの(プレ)シグナル配列のおかげで、達成された。それらの研究により、Kex1およびKex2の触媒ドメインが、残基580で終端するKex1タンパク質が残基593(Kex2タンパク質中の対応する残基である)で終端するKex2タンパク質と異なり触媒的に不活性である(Gluschankofら、EMBO J.、13:2280−2288 1994)という観察結果により立証されるような機能の差異を有することが、驚くべきことに見出された。フラスコ中でのプロテアーゼの産生および分泌により適した成長条件もまた探究された。
【0023】
可溶性のKex1を成長培地から精製し、そして、モデル基質での切断効率、ならびに温度のような多様な物理化学的作用因の存在下での安定性および触媒活性を包含するそれらの生化学的特徴のいくつかを決定した。
【0024】
そうして得られたss−Kex1プロテアーゼはそれ自体使用することができるか、または不溶性の有機もしくは無機マトリックス上に固定することができ;そうして固定されたプロテアーゼは、明白な利点を伴い、工業的目的の融合タンパク質のインビトロプロセシングで数回再使用することができる。
【0025】
新規可溶性分泌型ss−Kex1エンドペプチダーゼの熱安定性は、それらが50℃で6分間のインキュベーション(その条件下で、対応するKex2タンパク質はそれらの活性を完全に喪失する)後にそれらの元の活性のおよそ60%もしくはそれ以上を維持するようである。
【0026】
本発明の新規ss−Kex1エンドペプチダーゼの推定される分子量は、サンプルの加熱および還元後にSDS−PAGE中で決定されるとおり、およそ65から70kDaまで(株NP31から産生される酵素)および70から80kDaまで(株NP168から産生される酵素)である。
【0027】
本発明は、特定の実施例により下に説明することができる。該実施例は本発明を解明するという単独の目的を有するが、とは言え本発明はいかなる方法でもそれにより制限されないことが認識されるべきである。
実施例
実施例1
サッカロミセス セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)中でのクルイベロミセス ラクティス(Kluyveromyces lactis)からのKex1の発現のためのプラスミドの構築
別の方法で示されない限り、慣習的手順を組換えDNAの全部の標準的操作に使用した。それらの手順の収集物は、例えばSambrookら、(1989)Molecular Cloningに与えられる。
【0028】
多様なシグナル配列の制御下でK.ラクティス(K.lactis)のKex1プロテアーゼのCOOH末端領域の短縮された変異体のS.セレビシエ(S.cerevisiae)中での発現のためのプラスミドを構築するために、適する突然変異誘発オリゴヌクレオチドを用いてPCRを実施し、標準的サブクローニング手順が後に続いた。本発明で使用された発現ベクターは、pEMBLyex4(Baldariら、EMBO J.、6:229−234 1987)、pVTU(Vernetら、Gene 52:225−233 1987)およびYEPSTA(Marteganiら、Appl.Microbiol.Biotechnol.、37:604−608 1992)であった。それらの誘導体からのケキシンを発現するプラスミドを表1に列挙する。その表中に示される情報に基づき、過度の実験なしに前述のプラスミドを構築することが当業者に可能であろう。本特許において、タンパク質および核酸の以下の配列に言及がなされる:(KEX1遺伝子、EMBL受託番号X0738;Kex1タンパク質、スイスプロット(Swiss−Prot)受託番号09231;KEX2遺伝子EMBL受託番号M22870;Kex2タンパク質、スイスプロット(Swiss−Prot)受託番号P13134)。以下の本文において、ヌクレオチドの1は、プロテアーゼをコードする各所定の遺伝子の翻訳開始コドン(ATG)に対応するアデニンヌクレオチド(A)を指し;同様に、アミノ酸の1は、前記開始コドンによりコードされるメチオニンを指す。Kex2について上に示された記述に類似に、本発明に記述される可溶性かつ酵素的に活性の成熟した形態のKex1は、最初に不活性のプレプロタンパク質の形態で発現され、それがその後Lys101−Arg102部位(相同なプロタンパク質を使用する場合)もしくはLys−113−Arg−114部位(kex2プロタンパク質を使用する場合)でプロセシングされる。本発明の目的上、可溶性かつ酵素的に活性の成熟した形態のKex1は、図2に示される配列のアミノ酸103とアミノ酸643との間のポリペプチド鎖を有することを特徴とし、また、ss−Kex1−Cxの用語法(ここで、xは、可溶性の形態のKex1のカルボキシ末端残基を構成する図2の配列のアミノ酸残基を表す)により示される。純粋に例として、Kex1−C600プロテアーゼを発現するPL24プラスミドの構築を詳細に示す。DNA配列が既知であるため、それらのプラスミドの構築は当業者の通常の能力内にあり、そして例示されるものと異なるがしかし期待される生成物(1種もしくは複数)を得ることに関して同等である戦略および技術によってもまた実施することができる。
【0029】
アミノ酸600(その残基はS.セレビシエ(S.cerevisiae)のKEX2遺伝子によりコードされるKex2タンパク質中のアミノ酸613に対応する)で短縮されたKex1−C600の発現のためのプラスミドを構築するために、Kex1の残基1−600をコードする配列を、下に示されるオリゴヌクレオチド(BamHIおよびHindIIIの制限部位を構成するヌクレオチドに下線をつける):
5’CGC GGA TCC ATG ATC CTA TCG TCG CAG C3’
5’C CCC AAG CTT TCA TTC AGC ATC CTC TTT GTC3’
を用いるPCRによって増幅した。
【0030】
PCRの終了時に、増幅されたフラグメントを、エンドヌクレアーゼBamHIおよびHindIIIでの制限にかけ、調製的電気泳動の後にアガロースゲルから精製し、そして前もってBamHIおよびHindIIIで直鎖状にされていた発現ベクターpEMBLyex4にサブクローニングし、かように、Kex1−C600タンパク質が誘導可能なハイブリッドプロモーターGAL1−10−CYC1の制御下に酵母中で発現されることを可能にするプラスミドpL24が得られることを可能にする。
【0031】
【表1】
【0032】
実施例2
サッカロミセス セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)中でのクルイベロミセス ラクティス(Kluyveromyces lactis)のKex1タンパク質の発現および分泌
多様な株のS.セレビシエ(S.Cerevisiae)を、触媒的に活性かつ可溶性の分泌される形態のK.ラクティス(K.Lactis)のKex1プロテアーゼの発現を得るために、上述された構築物を使用して形質転換した。GRF18*(MATαhis 3−11、15 leu2−3、112 ura3);X4004(MATa lys5 met2 ura3 trp1);MVY4935(MATα sta10 leu2 ura3 arg4 his3 lys2);W303 1−a(MATa leu2−3、112 ura3−1 trp1−1 his3−11,15 ade2−1 can1−100 GAL SUC2)。使用された形質転換方法はSchiestlとGietz(1989)Curr.Genet.16:339−246に記述されるものである。液体培地中で酵母を成長させるために使用されたフラスコを、継続的にダブノフ(Dubnoff)サーモスタット浴中でインキュベートしかつ攪拌した。プレート上での成長は、適するインキュベーター中、湿気のある雰囲気中で実施した。酵母に関しての方法論について、方法を明確に記述しない場合はいつでも、C.GuthrieとG.R.Fink、Methods in Enzymology 194が引用されるべきである。
【0033】
形質転換された細胞を、炭素源としてブドウ糖を含む選択最小培地(YNB)上でプレート培養し、そして30℃でインキュベートした。それらの条件下で、工作された細胞は、目的のタンパク質を産生することなく成長する。pEMBLyex4類似物ベクターに基づく発現系はガラクトースにより誘導することができる。目的のタンパク質は誘導可能なハイブリッドプロモーターGAL−CYCの制御下に置かれ、また、培地中のブドウ糖の存在が発現の抑制の状態をもたらすからである。その系は、活性化を可能にするための炭素源としてのラフィノースの使用、および誘導状態を確実にするためのガラクトースの使用を提供する。加えて、選択マーカーleu2dを提供されたpEMBLyex4類似物ベクターに基づく発現系は、目的のプラスミドのコピー数をさらに増幅させるという可能性を提供し、形質転換された株の遺伝子型により可能にされる場合は、ロイシンを含まない最小培地中での選択に頼ることを有する。
【0034】
形質転換された株は、以下の培地中で成長させた:
YP豊富培地:炭素源20g/l;ペプトン20g/l;酵母抽出物10g/l。
YNB−aa最小培地:炭素源20g/l;アミノ酸を含まないYNB 6.7g/l。
標準1040培地:アミノ酸を含まずかつ硫酸アンモニウムを含まないYNB 1.7g/l;(NH4)2SO4 1.32g/l;NH4Cl 5.0g/l;BIS−TRIS 8.37g/l:炭素源20g/l;L−トリプトファン0.12g/l;アデニン−HCl 0.24g/l;カザミノ酸5.0g/l。必要とされる場合は培地を2%アガーで固化した。ヌクレオチド塩基およびアミノ酸を50mg/lまで添加する。
【0035】
それらの形質転換された株の培地を活性測定にかけて、触媒的に活性の分泌された形態の目的のプロテアーゼの存在を証明した。酵素活性は、基質Z−L−チロシン−L−リシン−L−アルギニン−p−ニトロアニリド(Z−Y−K−R−pNA)を加水分解する該酵素の能力を活用する比色試験により測定した。インキュベーション混合物は、37℃で1.5mlの総容量中の0.2M Hepes、pH7.0および1mM CaCl2中に0.1mMのZ−Y−K−R−pNAを含んで成る。反応を405nm(10.9mM-1cm-1に等しいモル吸光係数(Δε)の最大の減少が起こる波長)でモニターする。1酵素単位は、上述された条件下で1分あたり1μモルの基質の変換を触媒する酵素の量であると定義する。別の方法で明白に示されない限り、表2に提示されるデータは、攪拌(220rpm)を伴い30℃で1040培地−2%ガラクトース(培地に添加された炭素源が2%ブドウ糖であった株NP255およびNP265を除く)中、フラスコ中で成長されたW303株の誘導体により成長培地中に分泌された活性を指す。多様なサンプルを、各株の成長曲線に沿って採取した。表2は、各形質転換された株について測定された最大活性を示す。見ることができるとおり、良好なレベルの分泌は、Kex1の発現がGAL10−CYC1プロモーターにより導かれる場合、およびデヒドロゲナーゼアルコールのプロモーターを使用する場合の双方で観察される。本発明は、従って、本発明のエンドプロテアーゼの分泌のレベルが満足すべきである限りは、使用されるプロモーターの型により制限されない。
【0036】
【表2】
【0037】
Kex2のものによるKex1のプレプロ配列の置き換えが、それ自身のプレプロ配列を使用したKex1タンパク質とちょうど同じくらい良好に成長培地中に分泌されたタンパク質をもたらしたことが見出された。逆に、サッカロミセス セレビシエ バリエタス ディアスタティクス(Saccharomyces cerevisiae var.diastaticus)(株NP33)のSTA2遺伝子によりコードされるグルコアミラーゼのシグナル配列、もしくはKex2のシグナル配列(株NP157)によるプレ配列単独(シグナル配列)の置き換えは、Kex1タンパク質の低下された分泌をもたらした。従って、以下の実施例で記述される実験において、その分泌がKex1もしくはKex2のプレプロ配列により導かれたタンパク質を利用した(それぞれ株NP31およびNP231)。
【0038】
アミノ酸580で終端するKex1を発現する株NP115が検出可能な酵素活性を表さないことが、驚くべきことに見出された。この結果は、アミノ酸593、すなわちK.ラクティス(K.lactis)のKex1のアミノ酸580に対応するKex2のアミノ酸で終端するKex2タンパク質の部分での酵素活性の維持とよい対照をなす(Gluschankofら、上記、整列について図2もまた参照されたい)。この結果は、高レベルの相同性にもかかわらず、K.ラクティス(K.lactis)のタンパク質Kex1およびS.セレビシエ(S.cerevisiae)のKex2は、それらが本発明の態様に関する全部の局面で同等物とみなすことができないように相互とかなり異なることを意味する。この点に関して、それぞれ図3および4に示される、比較的な熱安定性データ、および温度の関数としての活性プロフィルにもまた注意を払うべきである。株NP31に存在するタンパク質と比較して、株NP180、NP183、NP166およびNP168は、膜貫通ドメインの直前で停止するセリン/トレオニンが豊富なドメイン全体にわたることが可能であるカルボキシ末端の伸長を有する。株NP31と比較した有意の差異は、前述の株により成長培地中に分泌されるKex1活性において観察されない。
実施例3
適して形質転換されたサッカロミセス セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)株により成長培地中に分泌されるクルイベロミセス ラクティス(Kluyveromyces lactis)のKex1タンパク質の精製。
【0039】
K.ラクティス(K.lactis)のKex1プロテアーゼの欠失変異体ss−Kex1−C600の精製を、後期指数期までフラスコもしくは醗酵槽中で成長されたS.セレビシエ(S.cerevisiae)の形質転換された株から出発して実施した。双方の場合において、培地を遠心分離により細胞から分離し、5μmの孔を有するフィルターで濾過し、そしてその後およそ10倍濃縮し、そして10kDaのカットオフをもつメンブレン上での限外濾過により、トリトン(Triton)X−100 0.1%−CaCl2 4mMの溶液に対し透析した。透析された溶液を、酢酸ナトリウム緩衝液、pH5.2で予め平衡化されたSP−セファロース(Sepharose)樹脂のカラム上で精製し、そしてトリス−酢酸緩衝液中のpHの直線勾配によって溶出した。kex1の酵素活性を含有する画分を、ビストリス−酢酸緩衝液で予め平衡化されたQ−セファロース(Sepharose)樹脂のカラム上に導入し、そしてNaClの直線勾配によって溶出した。kex1の酵素活性を含有する画分のプールをRP−HPLCにより分析した。RP−HPLC分析は、55℃の温度でヴァイダック(Vydac)−C18カラム、2.1×250mmを使用しかつ215nmの波長でのUV検出を用いて実施し;溶出は、21分で移動相B(アセトニトリル中0.08%トリフルオロ酢酸)の37%から87%までの直線勾配を伴う移動相A(水中0.1%トリフルオロ酢酸)およびBから出発する0.21ml/分の流量で実施した。分析は、95%以上の純度(図5)およびおよそ100U/mgの比活性を伴う均一なピークの存在を立証した。
実施例4
クルイベロミセス ラクティス(Kluyveromyces lactis)のKex1タンパク質の特徴づけ
動力学的定数は、測定を基質の単一の初期濃度でかつ基質が使い果たされるまで実施することを必要とする単純化された手順により決定した。該方法は、多様な時点で、残余の濃度および速度の平均値が測定されることを提供し、そして、酵素が該操作条件下で完全に不可逆的な反応を触媒する場合に応用可能であり、また、生成物による阻害にさらされない(Segel、I.H.(1975)Enzyme Kinetics、ワイリー(Wiley)、ニューヨーク)。そうして得られた結果を、ミカエリス−メンテンプロフィルの内挿ならびに表3に提示されるKmおよびVmaxの値の決定を可能にしたGrafitプログラムを使用して処理した。その後、kcatおよびkcat/Km比を、それらの値および酵素濃度から得た。結果は、2種のプロテアーゼ、ss−Kex1およびss−Kex2がそれらの動力学的特性において有意に異ならないことを示す。
【0040】
【表3】
【0041】
生物触媒としての工業的応用に必要とされる酵素の主な特徴のうち、操作条件下での安定性は、決定的に、最も重要なものの1つである。従って、その観点からもまた2種のプロテアーゼを検討かつ特徴づけすることが必要であることが認識されるであろう。われわれは、最初に、いかなる安定剤の非存在下でも、多様な温度で2種の酵素の熱不活性化プロフィルを決定した。該プロフィルは、酵素を予め決められた温度でインキュベートすること、連続的時点でサンプルを採取すること、およびサンプル中の残余の酵素活性を測定することにより得た。時間の関数としての活性の低下(この活性は活性の酵素の濃度に比例すると想定される)をかように決定する。
【0042】
2種のプロテアーゼの不活性化プロフィルを10から50℃までの温度で遂げた。データを図3に示し、そして、驚くべきことに、ss−Kex1プロテアーゼがss−Kex2プロテアーゼのものより有意により高い熱安定性を有することを示す。すなわち、例として、後者は50℃での6分のインキュベーション後にほぼ完全に不活性化された一方、同一条件下で、Kex1は50%より少なくないその活性を維持した。60℃および70℃でのKex1プロテアーゼの不活性化プロフィル、ならびに比較のための50℃でのKex2のものもまた、該2種の分子の間の熱安定性の実質的な差異を示す。すなわち、ss−Kex1プロテアーゼは、70℃で、50℃のss−Kex2タンパク質とおよそ同じくらい安定であることが明らかである。ss−Kex1およびss−Kex2を、飽和濃度の基質を用いかつ反応の最初の5分での平均速度を測定することにより、標準的条件下で添加した場合、Kex1タンパク質はおよそ70℃の至適機能温度を表した一方、同一条件下で、Kex2エンドペプチダーゼの見かけの至適作用温度はおよそ50℃であった(図4)。
実施例5
融合タンパク質のプロセシングにおけるクルイベロミセス ラクティス(Kluyveromyces lactis)のKex1タンパク質の使用。
【0043】
融合タンパク質のプロセシングを、モデルタンパク質として、カルボキシ末端にLys−Argジペプチドを担持する35アミノ酸のペプチド配列とヒト成長ホルモン(h−GH)の191アミノ酸残基の配列との間の融合物を使用して研究した。構造(ペプチド部分)−(Lys−Arg)−(h−GH)を有する融合タンパク質は、形質転換された株の大腸菌(E.coli)中で発現させ、抽出し、そして70%より高い純度の程度まで精製しておいた。融合タンパク質(1グラム/リットル)の加水分解を、30℃の温度で4mMのCa2+を含有するpH7の緩衝液中、かつ、0.2mg/リットルの精製されたss−Kex1600ΔC調製物を使用して、18時間の総期間の間実施した。反応の進行はRP−HPLC分析によりモニターし、それは95%より高い反応収率を示し(図6);加水分解の特異性は反応生成物のNH2末端配列の分析によりチェックし、それはh−GHの期待された配列を示した。類似の結果が、h−GHを異なる長さ(20から300アミノ酸残基まで)のポリペプチドに融合した場合に得られた。
実施例6
Kex1プロテアーゼの固定および融合タンパク質のプロセシングにおけるその使用
ss−Kex1プロテアーゼを、無機固体支持体として、そのエポキシ基が酵素のアミノ、チオールもしくはヒドロキシル基との共有結合の形成のための反応基として作用するユーペルギット(Eupergit)C250L樹脂を使用して固定した。それは酵素の構造の可撓性を低下させ、そして従ってその安定化を促進するはずである。インキュベーション混合物は、攪拌なしで周囲温度で4日間、55μlの総容量中に、8mgのユーペルギット(Eupergit)C250L樹脂の存在下、1Mリン酸カリウム緩衝液、pH7.0中に789μgの酵素を含んで成る。インキュベーション期間の終了時に、固定された酵素を、投与緩衝液(dosage buffer)、Hepes 0.2M pH7.0+CaCl2 1mMを用いる連続的洗浄操作にかけ、そして、0.2M Hepes、pH7.0、1mM CaCl2/60%グリセロールの溶液の存在下、4℃で保存する。
【0044】
固定されたKex1タンパク質を、融合タンパク質PNP20aa−hGHのプロセシングで使用し、後者を固定された酵素と10:1の比で37℃でインキュベートした。それらの条件下で、タンパク質のプロセシングを、SDS−PAGEにより10分から15時間までの期間の間継続した。6時間のインキュベーション後に、融合されたタンパク質のおよそ60%に等しい消化を得、そしてほぼ完全な消化を15時間後に得る(図7)。同一の操作条件下での固定されたKex1プロテアーゼの同一調製物のその後の再使用は、前の結果に実質的に同一の結果をもたらし、かように、採用された条件下で固定されたKex1プロテアーゼが37℃での30時間のインキュベーション後でさえ認めうるほどに活性を喪失せず、また、融合パートナーからの目的のタンパク質の遊離で再使用することができることを立証する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 発明にかかる、Kex2タンパク質のドメイン中の構造の構成、典型的表示、およびケキシノ類似物をプロセシングするズブチラーゼのファミリーの最初に同定されたメンバーを示す。
【図2】 発明にかかる、S.セレビシエ(S.cerevisiae)からのKex2およびK.ラクティス(K.lactis)からのKex1のタンパク質配列の整列を示す。
【図3】 発明にかかる、S.セレビシエ(S.cerevisiae)からのプロテアーゼss−Kex2およびK.ラクティス(K.lactis)からのss−Kex1の熱安定性を示す。
【図4】 発明にかかる、S.セレビシエ(S.cerevisiae)からのプロテアーゼss−Kex2およびK.ラクティス(K.lactis)からのss−Kex1の温度の関数としての活性プロフィルを示す。
【図5】 発明にかかる、本発明の可溶性ss−Kex1プロテアーゼの精製された調製物のRP−HPLCでの溶出プロフィルを示す。
【図6】 発明にかかる、本発明の可溶性ss−Kex1プロテアーゼを用いて得られた融合タンパク質のインビトロ消化の動力学を示す。
【図7】 発明にかかる、本発明の固定されたss−Kex1プロテアーゼを用いて得られた融合タンパク質のインビトロ消化プロフィルを示す。
【配列表】
Claims (14)
- クルイベロミセス ラクティス( Kluyveromyces lactis )のKEX1遺伝子によりコードされるアミノ酸配列に対応しかつ膜貫通ドメインを含まないアミノ酸配列から成り、最低57かつ100を越えないアミノ酸残基が前記クルイベロミセス ラクティス( Kluyveromyces lactis )のKEX1遺伝子によりコードされるアミノ酸配列のC−末端から除去されている、Pro−Arg残基および二塩基残基を含有する基質に関してインビトロエンドプロテアーゼ触媒活性をもつ可溶性Kex1エンドプロテアーゼ。
- 配列番号2の配列から成ること、もしくは配列番号2に関して90%の同一性をもつ配列から成ることを特徴とする、請求項1に記載の可溶性Kex1エンドプロテアーゼ。
- 前記可溶性Kex1エンドプロテアーゼが、配列番号2に関して95%の同一性をもつ配列から成ることを特徴とする、請求項2に記載の可溶性Kex1エンドプロテアーゼ。
- 請求項1に記載の可溶性Kex1エンドプロテアーゼをコードするDNA。
- (a)配列番号1の配列から成ること、(b)遺伝暗号の結果として、配列番号1の配列から成るDNAに縮重した配列から成ること、および/もしくは(c)配列番号1に関して90%の同一性をもつ配列から成ることを特徴とする、請求項4に記載のDNA。
- 前記(c)において、前記DNAが配列番号1に関して95%の同一性をもつ配列から成ることを特徴とする請求項5に記載のDNA。
- 請求項4ないし6のいずれか1つに記載のDNAを含んで成るプラスミド発現ベクター。
- 請求項7に記載の発現ベクターにより形質転換された宿主細胞。
- 酵母細胞であることを特徴とする、請求項8に記載の宿主細胞。
- サッカロミセス セレビシエ( Saccharomyces cerevisiae )酵母細胞であることを特徴とする、請求項9に記載の宿主細胞。
- (a)目的のペプチドもしくはタンパク質の配列を含んで成りかつ目的のペプチドもしくはタンパク質のNH2末端に請求項1ないし3に記載のエンドプロテアーゼにより加水分解可能なジペプチド部位を含有するアミノ酸配列を有する融合ポリペプチドもしくタンパク質の製造;(b)請求項1ないし3に記載のエンドプロテアーゼの存在下での上記の段階(a)で挙げられた融合ペプチドもしくはタンパク質のインビトロインキュベーション;(c)目的のペプチドもしくはタンパク質の分離および精製を含んで成る、ペプチドもしくはタンパク質の製造方法。
- 加水分解可能なジペプチド部位が、Lys−Arg、Arg−ArgもしくはPro−Argであることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
- ペプチドもしくはタンパク質が、ペプチドホルモン、インターロイキン、インターフェロン、サイトカイン、成長因子、またはフィブリン溶解酵素から選択される治療的使用のための組換えタンパク質、およびリパーゼ、加水分解酵素、ヌクレアーゼ、酸化酵素、またはホスファターゼから選択される生物触媒として使用できる工業的目的の組換え酵素から選択されることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
- 請求項1ないし3に記載のエンドプロテアーゼが不溶性の有機もしくは無機支持体上に固定されることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
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