JP4252203B2 - 口腔内麻酔製剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、歯科医療における、麻酔、および麻酔薬を投与するための注射の、穿刺時の疼痛を除去ないしは軽減(以下、「除去ないしは軽減」を一括して「軽減」と表記する)する予備麻酔のために使用する口腔内麻酔製剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
歯科医療において、抜歯時の麻酔注射の穿刺時の疼痛、歯垢除去時の疼痛、盲嚢掻把時の疼痛等を軽減することは、患者の精神的苦痛を除去し、また医療行為を容易に進める上で、極めて重要な課題となっている。従来より、麻酔および予備麻酔には、麻酔薬を含有する軟膏剤、ゼリー剤、スプレー剤等が多用されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの製剤は、麻酔効果が不十分である、麻酔効果の発現までの時間が長い、必要な部位以外にも麻酔効果があり処置後に不快感が残る、麻酔薬に由来する苦味がある等の問題があった。
【0004】
従って、歯科用途を目的として優れた効力と取り扱い性を有し、患者に対して処置後の麻痺や苦味などの不快感の残らない口腔内麻酔製剤が望まれていた。
【0005】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、5分以内、特に2分〜3分程度の実用上十分な麻酔効果の発現時間を有し、歯科医がピンセットなどで取り扱う際の取り扱い性に優れ、患者に適用した際、麻酔薬による目的部位以外の部位の麻痺がなく、かつ麻酔薬に由来する苦味がない口腔内麻酔製剤を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題に対して鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は以下の通りである。
【0007】
本発明の口腔内麻酔製剤は、不織布または織布からなる支持体と、当該支持体上に形成された、100重量部のゴム系粘着剤、70〜150重量部の局所麻酔剤および20〜80重量部の可塑剤を含有する膏体層とを含んでなる。そのことにより、上記目的が達成される。
【0008】
好適な実施態様において、麻酔効果が発現する時間は5分以内である。
【0009】
好適な実施態様において、上記口腔内麻酔製剤は、一辺の長さが5〜30mmの方形の形状であり、厚みが0.1〜1.3mmであり、1N/cmの荷重をかけた際の少なくとも1方向の伸び率が50%以下である。
【0010】
本発明の口腔内麻酔製剤は、ゴム系粘着剤に比較的多量の局所麻酔剤を含有させることができるため、口腔内粘膜に適用した際、局所麻酔剤がバースト的に放出され、非常に短時間(3分以内)で麻酔効果を発現させ、その効果も大きく、歯科における口腔内処置時にほとんど無痛となる。さらに、ゴム系粘着剤に可塑剤を含有させるため、口腔粘膜、特に湿潤状態の粘膜に対して最適の粘着特性を示し、それゆえ貼付時の剥離や脱落がなく、確実に貼付部位への麻酔効果を発現させることができる。
【0011】
特に、口腔内で使用される局所麻酔剤を貼付型の粘着テープ製剤とすることにより、従来の局所麻酔製剤であるゼリー剤やスプレー剤の場合とは対照的に、麻酔剤に由来する苦味がなく、かつ貼付部位のみの麻酔が可能になるために必要のない部位の麻痺を避けることができ、それゆえ患者に対する不快感が非常に少ない。
【0012】
さらに、支持体として柔軟な不織布または織布を用いているため、使用者(歯科医)がピンセットで取り扱う際の取り扱い性に優れる。
【0013】
特に、製剤の大きさ、厚みおよび伸び率を口腔内での貼付に最適なものとすることにより、患者に対する違和感がなく、使用者(歯科医)がピンセットで取り扱う際の取り扱い性に優れる製剤を得ることができる。このような製剤の大きさ、厚みおよび伸び率の最適化は、単に製剤の設計事項であるだけでなく、貼付部位以外の部位の麻痺を避けるという本製剤の優れた利点に関して非常に重要な要因である。
【0014】
本発明の口腔内麻酔製剤は、口腔内の麻酔を目的になされたものであるが、本製剤は、柔軟性に優れているため、口腔粘膜だけでなく、鼻腔粘膜、眼腔粘膜等の他の粘膜に適用することもできる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0016】
本発明の口腔内麻酔製剤は、不織布または織布からなる支持体と、当該支持体上に形成された膏体層とを含んでなるものである。
【0017】
本発明で使用される不織布としては、レーヨン、アセテート、プロミックス(一般名;牛乳カゼインとポリアクリロニトリルとの共重合体)、ナイロン、ビニロン、ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、アクリル、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリクラール(塩化ビニルとポリビニルアルコールとの1:1混合物)、ベンゾエート等の化学繊維、および綿、羊毛、絹、麻等の天然繊維からなる群より選択される少なくとも一種の繊維からなるものが挙げられる。特に、安全性、安定性、経済性などの点から、ポリオレフィン繊維及びポリエステル繊維の何れか一方または両者を主体としてなる不織布が好ましい。
【0018】
不織布の製法は、特に限定されないが、一般的にメディカル用途で用いられる乾式バインダー法、サーマルボンド法、スパンボンド法、スパンレース法、エアレイプロセス法、ニードルパンチ法、TCF法、ベンリーゼ法、湿式法、メルトブローン法等があり、伸縮性および安全性の点からスパンレース法で製造されたものが好適に用いられる。スパンレース不織布は、通常、スパンレース、ウォーターパンチ、ウォータージェット、ジェットボンドで表現されるバインダーを使わずに繊維を交絡させる製造方法によって製造される。
【0019】
また、取り扱い性および風合いの点から、ポリエステルおよびポリオレフィンからなる群より選択される2種以上の成分を口金で複合して紡糸した複合繊維を分割した分割繊維を用いて、スパンレース法または湿式法にて製造される不織布が特に好ましい。このような分割繊維を用いてなる不織布は、断面の形状が略三角形の繊維を多く含み、その繊維径が細くかつ繊維密度が高いため、風合いや柔軟性に優れ、厚みの割に腰があり取り扱い性に優れる。
【0020】
本発明で使用される織布としては、レーヨン、アセテート、プロミックス、ナイロン、ビニロン、ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、アクリル、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリクラール(塩化ビニルとポリビニルアルコールとの1:1混合物)、ベンゾエート等の化学繊維、および綿、羊毛、絹、麻等の天然繊維からなる群より選択される少なくとも一種の繊維からなるものが挙げられる。特に、安全性や安定性、経済性などの点から、ポリオレフィン繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、綿が好ましい。織布の織り方は、特に限定されず、例えば、一般的な平織、綾織、朱子織、綟り織などの手法が挙げられ、風合いの点からビロードなどが好ましい。
【0021】
不織布または織布は、JIS−L1085に規定する厚みが、好ましくは0.1mm〜1mm、より好ましくは0.2mm〜0.8mmである。厚みが0.1mmよりも薄くなると、伸びが大きくなったり、腰がなくなるため、歯科医がピンセットなどで取り扱う際の取り扱い性が悪くなり、逆に1mmよりも厚くなると、それに対応して製剤の総厚も厚くなるため、貼付した際の異物感が大きくなるという問題がある。
【0022】
不織布または織布は、JIS−L1085に規定する質量が、好ましくは20g/m2〜200g/m2、より好ましくは50g/m2〜200g/m2である。質量が20g/m2よりも低くなると、腰がなくなるため取り扱い性が悪くなり、逆に200g/m2よりも高くなると、硬くなるため貼付した際の異物感が大きくなるという問題がある。
【0023】
また、不織布または織布は、そのJIS−L1085に規定する剛軟度(45°カンチレバ法による)が10mm〜80mmであるのが好ましく、30mm〜70mmであるのがより好ましい。剛軟度がこの数値範囲にあることにより、製剤が好ましい剛性を有するものとなり、貼付作業時の取り扱い性及び製剤の凹凸面への密着性がより一層向上する。
【0024】
また、不織布または織布は、その引張強度が、好ましくは縦5〜60N/cm、横5〜50N/cm、より好ましくは縦20〜40N/cm、横10〜40N/cmであり、破断伸度が、好ましくは縦5〜100%、横10〜150%、より好ましくは縦30〜70%、横60〜100%である。引張強度が上記範囲よりも小さい場合、一般的に不織布または織布の繊維同士の結合が弱くなるため、不織布または織布が伸びやすく、製剤にした場合の取り扱い性が低下するという問題があり、上記範囲よりも大きい場合、一般的に繊維が太くなったり、不織布または織布の厚みが厚くなったりするため、製剤とした場合の貼付時の異物感が大きくなるという問題がある。破断伸度が上記範囲よりも小さい場合、不織布や織布の風合いがかたくなるため、製剤での貼付感が劣るという問題があり、上記範囲よりも大きい場合、伸縮性が大きすぎるため、製剤にした場合の取り扱い性が低下するという問題がある。なお、上記引張強度および破断伸度は、JIS−L1085に規定する方法に従って測定することができる。
【0025】
不織布または織布に対する取り扱い性を向上させたり、膏体層の裏抜けを防止する目的で、不織布または織布をフィルムでラミネート加工し、このラミネート加工した不織布または織布のフィルム面に膏体層を積層してもよい。このようなラミネートするフィルムとしては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリブタジエン、ポリブテン、ポリイソプレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸セルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、ポリウレタン、アイオノマー樹脂などの合成樹脂からなる単層フィルムまたは積層フィルムが挙げられる。局所麻酔剤のフィルムへの移行を抑制できる等の点から、1μm〜15μmの厚みのポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。
【0026】
また、膏体層の不織布または織布への投錨性を改善する目的で、公知の下塗り剤、例えば、ポリイソシアネート化合物、エチレンイミンを付加したアクリルポリマー、ポリエチレンイミンなどを用いて下塗り層を形成してもよい。
【0027】
さらに、撥水処理を目的として、公知の撥水剤、例えば、シリコーン系の撥水剤、フッ素系の撥水剤などを不織布または織布に塗布してもよい。
【0028】
本発明の口腔内麻酔製剤の膏体層は、ゴム系粘着剤、局所麻酔剤および可塑剤を含有する。
【0029】
本発明で使用されるゴム系粘着剤としては、ポリイソブチレン・ポリブテン系ゴム、スチレン・ブタジエン系ゴム、ニトリル系ゴム、クロロプレン系ゴム、ビニルピリジン系ゴム、ポリイソブチレン系ゴム、ブチル系ゴム、イソプレン・イソブチレン系ゴム、スチレン・ジエン・スチレンブロック共重合体、天然ゴム等が挙げられる。粘着性の点から、ポリイソブチレン系ゴム、およびスチレン・ジエン・スチレンブロック共重合体(例えば、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体(SIS)等)が好ましく使用される。これらのゴム系粘着剤は、単独で用いても、2種以上混合して用いてもよい。
【0030】
ゴム系粘着剤は、適度な粘着力や凝集力を得るため、分子量の異なる粘着剤(この粘着剤は、同一種類であっても異なる種類であってもよい)を混合して使用するのが好ましい。例えば、平均分子量300,000〜2,500,000の高分子量のポリイソブチレンもしくはSISと、平均分子量10,000〜200,000の中分子量のポリイソブチレンもしくはSIS、および/または平均分子量500〜4,000の低分子量のポリイソブチレンとの混合物が挙げられる。このような混合物において、高分子量のポリイソブチレンまたはSISを10〜80重量%、好ましくは20〜50重量%、中分子量のポリイソブチレンまたはSISを0〜90重量%、好ましくは10〜80重量%、低分子量のポリイソブチレンを0〜80重量%、好ましくは10〜60重量%の割合で配合することが好ましい。なお、ここで言及する平均分子量とは、粘度平均分子量である。
【0031】
本発明で使用される可塑剤は、ゴム系粘着剤の粘着性を調整する目的で配合される。本発明の口腔内麻酔製剤の膏体層は、局所麻酔剤を高濃度に含有するため、局所麻酔剤がゴム系粘着剤中で結晶化する場合がある。結晶化した粒子の充填効果により膏体層が硬くなって粘着力が低下し、それゆえ口腔内に貼付した際に脱落するおそれがある。従って、可塑剤を添加して膏体層を可塑化し、ゴム系粘着剤の粘着性を調整することが好ましい。
【0032】
このような可塑剤としては、炭化水素類(例えば、流動パラフィン等)、脂肪酸エステル(例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸等の高級脂肪酸と、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、イソブチルアルコール等の1価の直鎖または分岐鎖アルコールとからなる脂肪酸エステル)、高級脂肪酸(例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、カプリル酸等)等が挙げられる。これらの中でも、流動パラフィン、ミリスチン酸イソプロピルおよびパルミチン酸イソプロピルが好ましい。
【0033】
膏体層中の可塑剤の含有量は、ゴム系粘着剤100重量部に対して、20〜80重量部、好ましくは25〜50重量部である。局所麻酔剤の含有量にもよるが、可塑剤の含有量が20重量部よりも少ないと、膏体層の可塑化効果が得られないため、適正な粘着力が得られずに製剤が貼付時に脱落し、逆に80重量部よりも多くなると、ゴム系粘着剤の糸曳きや糊残りが生じるという問題がある。
【0034】
本発明で使用される局所麻酔剤としては、好ましくは、コカイン、プロカイン、クロロプロカイン、テトラカイン、ベンゾカイン、リドカイン、メピバカイン、プリロカイン、プピバカイン、ジブカイン、プロポキシカイン、エチドカイン、ジクロニン、オキシブプロカイン、テーカイン、アメトカイン、プロピトカイン、ピペロカイン、カタカイン、ブタニカイン、ヘキソチオカイン、メプリルカイン、エピロカイン、アミロカイン、イソブカイン、トリカイン、パレトキシカイン、ピロカイン、ヘキシルカイン、メタブトキシカイン、キシロカイン、メタブテタミン、オキセサゼイン、ピリドキシン、ブロモキシン、ジメチソキン、アミノ安息香酸エチル、ピペリジノアセチルアミノ安息香酸エチル、ベンジルアルコール、クロロブタノールおよびこれらの薬理学的に許容される塩からなる群より選択される少なくとも1種が用いられ、より好ましくは、リドカイン、ブピバカイン、ベンゾカインが用いられる。
【0035】
膏体層中の局所麻酔剤の含有量は、ゴム系粘着剤100重量部に対して、70〜150重量部、好ましくは100〜140重量部である。含有量が70重量部よりも少ないと、麻酔効果が十分でない、麻酔効果の発現までの時間が長くなる等の問題があり、150重量部よりも多いと、結晶状態で存在する局所麻酔剤の増加により結晶粒子の充填効果が増大して膏体層が硬くなり、あるいは実質的な粘着剤量が減少するために、粘着性が低下して貼付部位から製剤が脱落する。
【0036】
また、本発明の口腔内貼付製剤の膏体層には、必要に応じて、ロジン系樹脂、ポリテルペン樹脂、クマロン−インデン樹脂、石油系樹脂、テルペンフェノール樹脂、キシレン樹脂等の粘着付与剤を含有させてもよい。粘着付与剤は、これら1種または2種以上を、ゴム系粘着剤に対し、好ましくは50重量%以下、より好ましくは5〜40重量%の割合で含有される。
【0037】
さらに、本発明の口腔内麻酔製剤の膏体層には、必要に応じて、局所麻酔剤の吸収性を向上させる経皮吸収促進剤を含有させてもよい。経皮吸収促進剤の例としては、カプリル酸、ぺラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸等の高級脂肪酸、パルミチン酸メチル、カプロン酸メチル、ミリスチン酸メチル、ラウリン酸メチル、パルミチン酸レチノール、パルミチン酸セチル、アジピン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、オレイン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸エチル、リノール酸イソプロピル、リノール酸エチル、ミリスチン酸ブチル、ステアリン酸メチル、イソステアリン酸イソプロピル等の脂肪酸エステル、オレイン酸モノグリセライド、カプリン酸モノグリセライド、カプリル酸モノグリセライド、ぺラルゴン酸モノグリセライド、ステアリン酸モノグリセライド等の脂肪酸モノグリセライド、オレイン酸ジグリセライド、カプリン酸ジグリセライド、カプリル酸ジグリセライド、ぺラルゴン酸ジグリセライド等の脂肪酸ジグリセライド、モノステアリン酸プロピレングリコール、モノステアリン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、没食子酸n−プロピル、アジピン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジエチル、安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル等のエステル類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンセスキオレート、デカグリセリルモノラウレート、ヘキサグリセリンポリリシノレート、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルアミン、ポリオキシオレイルアミン、ポリオキシオレイン酸アミド、ポリオキシエチレンモノラウレート等の非イオン界面活性剤、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、セチル硫酸ナトリウム、ラウロイルサルコシン、ラウロイルサルコシンナトリウム、ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンセチルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸ナトリウム等のアニオン系界面活性剤、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム等のカチオン系界面活性剤、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリン酸ジエタノールアミド、クロタミトン、乳酸などが挙げられる。これらの中でも、ミリスチン酸、カプリル酸モノグリセライドおよびソルビタンセスキオレートが好ましい。
【0038】
膏体層中の経皮吸収促進剤の含有量は、ゴム系粘着剤100重量部に対して、好ましくは5〜60重量部、より好ましくは10〜25重量部である。含有量が5重量部よりも少ないと、経皮吸収促進効果が充分に得られない場合があり、60重量部よりも多いと、ゴム系粘着剤が可塑化され、貼付部位への糊残り現象が生じることがある。なお、経皮吸収促進剤を含有させる場合、可塑剤と経皮吸収促進剤との合計量は、ゴム系粘着剤100重量部に対して20〜80重量部となるように調整することが好ましい。
【0039】
さらに、本発明の口腔内麻酔製剤の膏体層には、ゴム系粘着剤の糸曳きや糊残りを防止する目的で、カオリン、酸化チタン、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、珪酸塩(例えば、メタ珪酸アルミン酸マグネシウム)、珪酸(例えば、含水二酸化珪素)、アルミニウム水和物、硫酸バリウム、硫酸カルシウム等の充填剤を含有させてもよい。
【0040】
膏体層中の充填剤の含有量は、ゴム系粘着剤100重量部に対して、好ましくは1〜50重量部、より好ましくは5〜20重量部である。含有量が1重量部よりも少ないと、ゴム系粘着剤の凝集力が向上せず、糸曳きや糊残りを防止する効果が充分に得られにくく、50重量部よりも多いと、ゴム系粘着剤が充填効果によって硬くなりすぎ、膏体層の粘着力が低下する恐れがある。
【0041】
膏体層の厚さは、好ましくは20μm〜300μm、より好ましくは40μm〜80μmである。厚さが20μmよりも薄いと、充分な粘着力が得られにくいという問題があり、300μmよりも厚いと、糊残りを起こすとともに、経済的にも不利である。
【0042】
本発明の口腔内麻酔製剤は、取り扱い性と使用感のバランスの点から、JIS−L1085に規定する剛軟度(45°カンチレバ法による)が15mm〜60mmであることが好ましく、20mm〜50mmであることがより好ましい。剛軟度が、この範囲より小さい場合、取り扱い性が低下する傾向を示し、例えば、歯部、舌部等により複雑で狭隘な空間配置を呈している口腔内での貼付操作がしずらくなる場合があり、この範囲より大きい場合、貼付時の異物感を感じやすい傾向となる。
【0043】
本発明の口腔内麻酔製剤は、好ましくは5分以内、より好ましくは3分以内、最も好ましくは2分以内で麻酔効果を発現して歯科における口腔内処置時に無痛となるものである。従って、貼付時間は5分以内で十分である。麻酔効果の発現時間が5分を超えると、歯科医が患者を治療する時間が長くなるために、効率的な治療ができなくなったり、患者への精神的負担が大きくなったりするという問題がある。麻酔効果の発現時間を上記範囲とするには、例えば、膏体層中の局所麻酔剤の含有量を、ゴム系粘着剤100重量部に対して70〜150重量部とし、可塑剤の含有量を20〜80重量部とし、必要により、経皮吸収促進剤を5〜60重量部配合する等の方法が採用される。
【0044】
本発明の口腔内麻酔製剤の大きさは、貼付時にピンセット等で取り扱うことを考慮して、大きすぎると、ピンセットでの取り扱い性が悪くなり、小さすぎると、麻酔される面積が小さくなるので、麻酔後の処置、例えば抜歯時の麻酔注射穿刺などの処置が実施しずらくなるという問題がある。従って、製剤は、一辺の長さが、好ましくは5mm〜30mm、より好ましくは10mm〜20mm、最も好ましくは10mmの方形(正方形、長方形、菱形等)の形状であるのが望ましい。しかし、上記方形と同等の大きさであれば、例えば、円形、楕円形、菱形、三角形、多角形等の形状を任意に選択することができる。また、帯状、ロール状またはシート状の製剤を、貼付時に上記の大きさの形状にカットして使用してもよい。
【0045】
本発明の口腔内麻酔製剤の総厚みは、好ましくは0.1mm〜1.3mm、より好ましくは0.2mm〜0.8mmである。厚みが0.1mmよりも薄くなると、ピンセットでの取り扱い性が悪くなり、1.3mmよりも厚くなると、口腔内に貼付した際の違和感が大きくなる、口腔内の歯茎などの凹凸への密着性が低下する等の問題がある。
【0046】
また、本発明の口腔内麻酔製剤は、ピンセットで取り扱う特異な製剤であるため、ピンセットでの取り扱い性が非常に重要である。本発明において、伸縮性の小さい製剤が、ピンセットでの取り扱い性に優れていることが見出された。すなわち、1N/cmの荷重をかけた際の、製剤の少なくとも1方向(例えば、方形の形状である場合、一辺方向)の伸び率が、好ましくは50%以下、より好ましくは20%以下、最も好ましくは実質的に0%であるものが、取り扱い性に優れる。伸び率が50%を超えると、ピンセットでの取り扱い性が低下する(具体的には、後述するライナーから口腔内貼付製剤を剥離する際、製剤の伸びが剥離直後に反動となり、膏体層がくっついて取り扱い性が悪くなる)という問題がある。
【0047】
伸び率は、次のようにして測定することができる。すなわち、製剤の10mm×10mmの試験片について、レオメーターまたは引張試験機を用いて、試長5mm、引張速度10mm/分で引き伸ばす際の測定荷重(N)が1Nになるときの、試験片の伸びた距離(mm)を測定し、以下の式により伸び率を算出する:
伸び率(%)=試験片の伸びた距離×100/5
【0048】
口腔内麻酔製剤の伸び率を上記範囲内とするには、例えば、支持体である織布や不織布の材質、厚み、質量、剛軟度、引張強度、破断伸度等を適宜選択する等の方法を採用することができる。
【0049】
本発明の口腔内麻酔製剤は、膏体層上にライナーを積層してもよい。ライナーの例としては、ポリエチレンコート上質紙、ポリオレフィンコートグラシン紙、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリプロピレンフィルムなどが挙げられ、膏体層と接触する面に剥離剤としてシリコーン樹脂、フッ素樹脂、テフロン樹脂などを塗布することによって剥離処理が施される。
【0050】
ライナーを膏体層上に積層することにより、製造時、運搬時または保存時に、膏体層が、予期せず、器具、容器などに接触して接着してしまうことを防止できる。また、口腔内の粘膜に貼付を行う直前まで、膏体層の露出面をライナーで被覆保護し、口腔内の粘膜への貼付時にライナーを剥離して膏体層を露出し、貼付を行うことができるので、膏体層の粘着性及び局所麻酔剤の劣化を防止できる。
【0051】
ライナーの厚みは、取り扱い性の点から、好ましくは50〜100μmであり、より好ましくは75μmである。取り扱い性の点から、厚み75μmのポリエチレンテレフタレートフィルムが最も好ましい。
【0052】
ライナーのJIS−L1085に規定する剛軟度(45°カンチレバ法による)は、製剤の取り扱い性の点から、好ましくは50mm以上であり、より好ましくは70mm〜140mmである。剛軟度が50mmよりも小さいと、ライナーが柔軟なために、膏体層からライナーを剥離する際、ライナーが剥離しにくいという問題がある。
【0053】
本発明の口腔内麻酔製剤では、利便性を考慮して、1枚のシート状ライナーに、数枚から十数枚の製剤が貼着されたタイプが望ましい。本発明において、ライナーから口腔内麻酔製剤を剥離する際の剥離力が大きすぎると、ピンセットでの取り扱い性が低下するという問題がある。ライナーから1枚の口腔内貼付製剤をピンセットにより摘んで剥離する際、剥離力が大きすぎると、シート状のライナーの歪みや製剤の伸びが剥離直後に反動となり、膏体層がくっついて取り扱い性が悪くなるという問題がある。また、剥離力が小さすぎると、製剤を包装袋から取り出す際にライナーが剥離するおそれがある。従って、ライナーからの口腔内麻酔製剤の剥離力は、好ましくは0.005〜0.2N/cm、より好ましくは0.01〜0.1N/cmである。
【0054】
口腔内麻酔製剤からのライナーの剥離力は、例えば、10mm×10mmの試験片について、レオメーターまたは引張試験機を用いて、ライナーと製剤を120mm/分の速度で引き剥がす時の剥離力を記録すること(この場合の試験片は小さいので、レオメーターや引張試験機のチャックに直接試験片を装着することができない。そのため、ライナーと製剤をそれぞれ紙片等にて延長し、延長した部分をチャックに装置し、測定する)により測定することができる。
【0055】
口腔内麻酔製剤からのライナーの剥離力を上記範囲内とするには、例えば、剥離剤(シリコーン系剥離剤、フッ素系剥離剤、テフロン系剥離剤等)の種類を変更したり、ライナーの材質や厚みを変更したりする等の方法を採用することができる。
【0056】
本発明の口腔内麻酔製剤の製造方法は、特に限定されず、例えば、溶剤塗工法、ホットメルト塗工法などを用いることができる。溶剤塗工法を用いる場合、例えば、ゴム系粘着剤、局所麻酔剤および可塑剤を溶剤に溶解または分散させ、得られた溶液または分散液を支持体の片面に塗布し乾燥して、膏体層を支持体の片面に形成し、必要に応じて、膏体層上にライナーを積層することにより、あるいは上記の溶液または分散液をライナー上に塗布し乾燥して、ライナー上に膏体層を形成し、次いで、膏体層と支持体とを貼り合わせることによって製造することができる。ホットメルト塗工法を用いる場合、例えば、ゴム系粘着剤および可塑剤を加熱溶融し、さらに局所麻酔剤を加えて、加熱溶融または分散させ、これを直接支持体上に塗布、乾固して膏体層を形成する(必要に応じて膏体層上にライナーを積層する)方法、あるいは上記溶融分散物を一旦ライナー上に塗布、乾固してライナー上に膏体層を形成し、次いで膏体層と支持体とを貼り合わせることによって製造することができる。
【0057】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。なお、以下の記載において、不織布の厚み、質量、引張強度および破断伸度は、JIS−L1085に規定する方法で測定した値である。
【0058】
また、以下の表1〜3について、各成分の数字は重量部を表し、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸およびソルビタンセスキオレートは日光ケミカル社製のものを、流動パラフィン、リドカイン、ベンゾカインおよびブピバカインは和光純薬工業社製のものを、カプリル酸モノグリセライドは太陽化学(株)社製のものを、含水二酸化珪素はシオノギ製薬工業(株)社製のカープレックス#80を、そしてメタ珪酸アルミン酸マグネシウムは富士化学工業社製のノイシリンを用いた。
【0059】
(実施例1〜10)
以下の表1に示す所定量の、SISブロック共重合体(カリフレックスTR1107、シェル化学社製)、脂肪族系炭化水素樹脂(アルコンP−100、荒川化学社製)、可塑剤、経皮吸収促進剤、局所麻酔剤および充填剤を、トルエン(200重量部)に加えて溶解分散し、トルエン以外の固形分濃度を約30%に調整し、膏体溶液を得た。この膏体溶液を、シリコーン剥離処理した厚み75μmのPETフィルム(ライナー)上に、乾燥後の厚みが40μmとなるように塗工し、乾燥して、ライナー上に膏体層を形成した。次いで、ライナー上の膏体層を、質量75g/m2の極細ポリエステル製不織布(厚み325μm、引張強度:縦35N/cm、横18N/cm、破断伸度:縦59%、横85%)に貼り合わせて、口腔内麻酔製剤を得た。得られた製剤を10mm×10mmの大きさに切断して試験片を作製し、以下の記載に従って評価した。これらの試験片の厚みは、いずれも約350μmであり、1N/cmの荷重をかけた際の横方向の伸び率はいずれも30%であった。
【0060】
【表1】
【0061】
(実施例11〜15)
ポリイソブチレン(VISTANEX MML−140、エクソン化学社製)50重量部、ポリイソブチレン(HIMOL 6H、日本石油化学社製)30重量部および脂肪族系炭化水素樹脂(アルコンP−100、荒川化学社製)20重量部の合計100重量部を、トルエン(200重量部)に溶解し、ポリイソブチレン系粘着剤溶液を調製した。この溶液に、以下の表2に示す所定量の可塑剤および局所麻酔剤を加えて溶解分散し、トルエン以外の固形分濃度を約30%に調整し、膏体溶液を得た。この膏体溶液を、シリコーン剥離処理した厚み75μmのPETフィルム(ライナー)上に、乾燥後の厚みが50μmとなるように塗工し、乾燥して、ライナー上に膏体層を形成した。次いで、ライナー上の膏体層を、質量90g/m2の分割繊維不織布(ポリエチレンテレフタレートとポリプロピレンとの混合比=4:6、厚み500μm、引張強度:縦34N/cm、横20N/cm、破断伸度:縦33%、横77%)に貼り合わせて、口腔内麻酔製剤を得た。得られた製剤を10mm×20mmの大きさに切断して試験片を作製し、以下の記載に従って評価した。これらの試験片の厚みはいずれも約530μmであり、1N/cmの荷重をかけた際の縦方向の伸び率はいずれも実質的に0%であった。
【0062】
【表2】
【0063】
(実施例16)
実施例15と同様にして作製した膏体層を、質量174g/m2の織布(ポリエチレン繊維を用いた平織布、繊維径400デニール、繊維密度45〜47本/インチ、厚み約360μm)に貼り合わせて、口腔内貼付製剤を得た。得られた製剤を、10mm×20mmの大きさに切断して試験片を作製し、以下の記載に従って評価した。この試験片の厚みは、約390μmであり、1N/cmの荷重をかけた際の縦方向の伸び率は実質的に0%であった。
【0064】
(比較例1〜4)
以下の表3に示す所定量のSISブロック共重合体、脂肪族系炭化水素樹脂、可塑剤および局所麻酔剤を用い、実施例1と同様にして口腔内麻酔製剤の試験片を得た。これらの試験片の厚みは、いずれも約500μmであり、1N/cmの荷重をかけた際の一方向の伸び率はいずれも30%であった。
【0065】
【表3】
【0066】
(比較例5)
実施例1と同様にして作製した膏体層を、厚み12μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに貼り合わせ、口腔内貼付製剤を得た。得られた製剤を、10mm×10mmの大きさに切断して試験片を作製した。得られた試験片の、1N/cmの荷重をかけた際の横方向の伸び率は実質的に0%であった。この試験片をピンセットでライナーより引き剥がそうとしたが、製剤が薄く、ピンセットで剥すのが困難であった。
【0067】
(口腔内麻酔製剤の評価)
上記実施例1〜16および比較例1〜4で得られた口腔内貼付製剤の試験片について、3人のボランティアにより下記(1)〜(4)の評価を行った。その結果を表4に示す。なお、表4において、「判定不能」とは、試験片を貼付しようとしたが貼付できずに脱落し、評価することが出来なかったことを意味し、「麻酔効果」の項目に示す点数は、3人のボランティアの評価点数の平均値である。さらに、「問題なし」、「脱落なし」および「なし」とは、それぞれ、3人のボランティア全てにおいて、取り扱い性に問題がなかった、試験片が脱落しなかった、および糊残り、糸曳きがなかったことを意味し、「脱落」および「糊残りあり」とは、それぞれ、少なくとも1人のボランティアにおいて、試験片が脱落した、および糊残りがあったことを意味する。
【0068】
(1)麻酔効果
ライナーを剥離した試験片を、3人のボランティアの上顎前歯の前面歯茎に貼付し、貼付3分後にマンドリン線にて貼付部位を刺激し、試験片を貼付していない部位を刺激した場合との比較により、痛みの程度を評価した。
判定基準
0点:完全に無痛となった
1点:かなり麻痺したが少し痛みを感じ、無痛ではなかった
2点:少し麻痺した感じがあった(非貼付部位との比較)
3点:非貼付部位とほとんど変わらない痛みを感じた(非貼付部位との比較)
判定基準で0点および1点では、十分実用レベルにあると判断した。2点では、実用レベルにはないが、麻酔効果はあると考えられる。3点では、実用レベルにもなく、麻酔効果もないと考えられる。
【0069】
(2)ピンセットでの取り扱い性
(1)での貼付時に、ピンセットで取り扱い、スムースに取り扱うことができるかどうか判定した。
【0070】
(3)貼付時の脱落
(1)での貼付3分後の、試験片の貼付部位からの脱落を目視にて観察した。
【0071】
(4)糊残りおよび糸曳き
(1)での貼付3分後に試験片を剥離し、貼付部位での膏体層の糊残りおよび糸曳きの有無を目視にて観察した。
【0072】
【表4】
【0073】
表4から、実施例1〜16の製剤は、短時間(3分以内)で麻酔効果を発現し、ピンセットでの取り扱い性に優れ、かつ貼付時の脱落、糊残りおよび糸曳きもなかったことが分かる。一方、比較例1の製剤は、局所麻酔剤の含有量が少なすぎたため麻酔効果が不十分であり、比較例2の製剤は、局所麻酔剤の含有量が多すぎたため粘着性が低下し、それゆえ貼付時に製剤が脱落し、比較例3の製剤は、可塑剤の含有量が少なすぎたため適正な粘着力が得られず、それゆえ貼付時に製剤が脱落し、比較例4の製剤は、可塑剤の含有量が多すぎたため膏体層の糊残りが生じた。
【0074】
【発明の効果】
本発明によれば、不織布または織布からなる支持体と、当該支持体上に形成された、100重量部のゴム系粘着剤、70〜150重量部の局所麻酔剤および20〜80重量部の可塑剤を含有する膏体層とを含んでなることにより、(1)非常に短時間(5分以内)で麻酔効果を発現させ、その効果も大きく、歯科における口腔内処理時にほとんど無痛となり、(2)口腔粘膜、特に湿潤状態の粘膜に最適の粘着特性を示すため、貼付時の剥離や脱落がなく、確実に貼付部位への麻酔効果を発現させることができ、(3)麻酔剤に由来する苦味がなく、かつ貼付部位のみの麻酔が可能になるために必要のない部位の麻痺を避けることができ、それゆえ患者に対する不快感が非常に少なく、(4)支持体として柔軟な不織布を用いているため、使用者(歯科医)がピンセットで取り扱う際の取り扱い性に優れる、口腔内麻酔製剤を得ることができる。
Claims (5)
- 不織布または織布からなる支持体と、当該支持体上に形成された、100重量部のゴム系粘着剤、70〜150重量部の局所麻酔剤および20〜80重量部の可塑剤を含有する膏体層とを含んでなる口腔内麻酔製剤。
- 麻酔効果が発現する時間が5分以内である、請求項1記載の口腔内麻酔製剤。
- 一辺の長さが5〜30mmの方形の形状である、請求項1記載の口腔内麻酔製剤。
- 厚みが0.1〜1.3mmである、請求項1記載の口腔内麻酔製剤。
- 1N/cmの荷重をかけた際の少なくとも1方向の伸び率が50%以下である、請求項1記載の口腔内麻酔製剤。
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