JP4249535B2 - ゴルフボール - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゴルフボールに関する。詳細には、本発明は、ディンプルの断面形状の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ゴルフボールは、その表面に多数のディンプルを備えている。ディンプルの役割は、飛行時のゴルフボール周りの空気の流れを乱すことによって乱流剥離を起こさせることにある。乱流剥離によって空気のゴルフボールからの剥離点が後方に下がり、抗力係数(Cd)が小さくなる。乱流剥離によってバックスピンに起因するゴルフボールの上側と下側とにおける剥離点の差が助長され、ゴルフボールに作用する揚力が高められる。抗力の低減と揚力の向上とによって、ゴルフボールの飛距離が増大する。空力的に優れたディンプルは、乱流剥離を促進する。換言すれば、空力的に優れたディンプルは、空気の流れをよりよく乱しうる。
【0003】
飛行性能向上を意図したディンプル断面形状の改良が、種々提案されている。特開平9−70449号公報には、所定形状のダブルラジアスディンプルを備えたゴルフボールが開示されている。特開平11−89967号公報には、エッジの角度と曲率半径とが所定範囲に設定されたゴルフボールが開示されている。
【0004】
ゴルフボールの飛行性能に大きく影響を与える仕様として、ディンプルの密度(「表面積占有率」とも呼ばれている)が挙げられる。密度が大きなゴルフボールは、飛行性能に優れる。密度に関する種々の提案がなされている。特開昭62−192181号公報には、平均面積以上の面積を備えた新たなディンプルが形成されえないように、密にディンプルが配置されたゴルフボールが開示されている。
【0005】
ディンプルの直径も、ゴルフボールの飛行性能に大きな影響を与える。直径の大きなディンプルが多く形成されることで、弾道初期の抗力が低減されたゴルフボールが市販されている。
【0006】
【特許文献1】
特開平9−70449号公報
【特許文献2】
特開平11−89967号公報
【特許文献3】
特開昭62−192181号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ゴルフボールとゴルフクラブとのインパクト時には、ゴルフクラブの表面がゴルフクラブのフェースラインで擦られる。これにより、ゴルフボールの表面が毛羽立つ。この毛羽は、ゴルフボールの外観を著しく低下させる。ディンプルのエッジの近傍は力が集中しやすいので、毛羽が生じやすい。毛羽は、ディンプルの輪郭に沿って残存する。
【0008】
ディンプルの表面積占有率Yが大きなゴルフボールでは、インパクト時の実質的な接触面積が小さいので、エッジの近傍に大きな圧力が加わる。表面積占有率Yが大きなゴルフボールでは、毛羽が生じやすい。前述のように毛羽はディンプルの輪郭に沿って残存するので、輪郭の長いディンプル、換言すれば直径の大きなディンプルでは、毛羽が目立つ。直径の大きなディンプルを備え、かつ表面積占有率Yが大きなゴルフボールにおいて、外観低下の抑制が急務である。
【0009】
本発明の目的は、飛行性能に優れ、かつ毛羽の生じにくいゴルフボールの提供にある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るゴルフボールは、表面に多数のディンプルを備えている。これらディンプルの表面積占有率Yは、75%以上である。その直径が3.90mm以上であるディンプルの数NLの、ディンプルの総数Nに対する比率は、75%以上である。その直径が3.90mm以上であって、下記数式(1)を満たし、かつ下記数式(1)における曲率半径Reが2.0mm以上5.0mm以下であるディンプルの数MLの、数NLに対する比率は、50%以上である。
0.5 ≦ Re/Rw ≦ 1.5 (1)
この式において、Reは、ディンプルエッジと、ディンプルエッジから深さ方向に深さの10%下がった地点との間の曲面の曲率半径を表す。この式においてRwは、ディンプルエッジから深さ方向に深さの20%下がった地点と、ディンプルエッジから深さ方向に深さの50%下がった地点との間の曲面の曲率半径を表す。このゴルフボールにおける比(Re/Rw)は、従来のゴルフボールにおける比(Re/Rw)に比べて大きい。比(Re/Rw)が0.5以上1.5以下であるディンプルは、飛行性能に寄与する。このディンプルでは、毛羽が生じにくい。
【0011】
理想的には、数MLの数NLに対する比率は100%である。飛行性能及び毛羽の抑制の観点から、数式(1)を満たすディンプルの数Mの総数Nに対する比率は、90%以上が好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態に係るゴルフボール1が示された一部切り欠き断面図である。このゴルフボール1は、球状のコア2と、カバー3とを備えている。カバー3の表面には、多数のディンプル4が形成されている。ゴルフボール1の表面のうちディンプル4以外の部分は、ランド5である。このゴルフボール1は、カバー3の外側にペイント層及びマーク層を備えているが、これらの図示は省略されている。
【0014】
このゴルフボール1の直径は、通常は40mmから45mm、さらには42mmから44mmである。米国ゴルフ協会(USGA)の規格が満たされる範囲で空気抵抗が低減されるという観点から、直径は42.67mm以上42.80mm以下が特に好ましい。このゴルフボール1の質量は、通常は40g以上50g以下、さらには44g以上47g以下である。USGAの規格が満たされる範囲で慣性が高められるという観点から、質量は45.00g以上45.93g以下が特に好ましい。
【0015】
コア2は、ゴム組成物が架橋されることによって形成されている。ゴム組成物の基材ゴムとしては、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体及び天然ゴムが例示される。2種以上のゴムが併用されてもよい。反発性能の観点からポリブタジエンが好ましく、特にハイシスポリブタジエンが好ましい。
【0016】
コア2の架橋には、通常は共架橋剤が用いられる。反発性能の観点から好ましい共架橋剤は、アクリル酸亜鉛、アクリル酸マグネシウム、メタクリル酸亜鉛及びメタクリル酸マグネシウムである。ゴム組成物には、共架橋剤と共に有機過酸化物が配合されるのが好ましい。好適な有機過酸化物としては、ジクミルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン及びジ−t−ブチルパーオキサイドが挙げられる。
【0017】
ゴム組成物には、充填剤、硫黄、老化防止剤、着色剤、可塑剤、分散剤等の各種添加剤が、必要に応じて適量配合される。コア2に、架橋ゴム粉末又は合成樹脂粉末が配合されてもよい。
【0018】
コア2の直径は、通常は30.0mm以上42.0mm以下、特には38.0mm以上41.5mm以下である。コア2が、2以上の層から構成されてもよい。
【0019】
カバー3は、合成樹脂組成物から成形されている。カバー3の基材樹脂としては、アイオノマー樹脂、熱可塑性スチレンエラストマー、熱可塑性ポリウレタンエラストマー、熱可塑性ポリアミドエラストマー、熱可塑性ポリエステルエラストマー及び熱可塑性ポリオレフィンエラストマーが例示される。
【0020】
カバー3には、必要に応じ、着色剤、充填剤、分散剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、蛍光剤、蛍光増白剤等が適量配合される。比重調整の目的で、カバー3にタングステン、モリブデン等の高比重金属の粉末が配合されてもよい。
【0021】
カバー3の厚みは、通常は0.3mm以上6.0mm以下、特には0.6mm以上2.4mm以下である。カバー3が、2以上の層から構成されてもよい。
【0022】
図2は、図1のゴルフボール1が示された拡大平面図である。図2から明らかなように、全てのディンプル4の平面形状は円形である。図2では、ゴルフボール1の表面が10個の等価なユニットに区画された場合の1個のユニットにおいて、符号AからDによってディンプル4の種類が示されている。このゴルフボール1は、直径が4.35mmであるディンプルAと、直径が3.90mmであるディンプルBと、直径が3.40mmであるディンプルCと、直径が3.20mmであるディンプルDとを備えている。ディンプルAの個数は70個であり、ディンプルBの個数は260個であり、ディンプルCの個数は40個であり、ディンプルDの個数は40個である。このゴルフボール1のディンプル4の総数は、410個である。
【0023】
ディンプル4の総面積が仮想球の表面積に占める比率は、表面積占有率Yと称される。本発明に係るゴルフボール1の表面積占有率Yは、75%以上である。表面積占有率Yが上記範囲未満であると、ゴルフボール1の飛行性能が不十分となることがある。この観点から、表面積占有率Yは76%以上がより好ましく、77%以上が特に好ましい。表面積占有率Yが過大であると、ディンプル4が他のディンプル4を干渉することがある。この観点から、表面積占有率は90%以下が好ましく、88%以下がより好ましく、87%以下が特に好ましい。
【0024】
ディンプル4の面積は、無限遠からゴルフボール1の中心を見た場合の、エッジラインに囲まれた領域の面積(すなわち平面形状の面積)である。平面形状が円形であるディンプル4の場合は、下記数式によって面積sが算出される。
s=(d/2)2×π
【0025】
図2に示されたゴルフボール1では、ディンプルAの面積は14.862mm2であり、ディンプルBの面積は11.946mm2であり、ディンプルCの面積は9.079mm2であり、ディンプルDの面積は8.042mm2である。これらディンプルの総面積は、4831.1mm2である。この総面積が仮想球の表面積で除されることにより、表面積占有率が算出される。このゴルフボール1では、表面積占有率は84%である。
【0026】
図3は、図1のゴルフボール1の一部が示された拡大断面図である。この図には、ディンプル4の最深箇所及びゴルフボール1の中心を通過する断面が示されている。図3における上下方向は、ディンプル4の深さ方向である。深さ方向は、ディンプル4の面積重心からゴルフボール1の中心へ向かう方向である。図3において二点鎖線で示されているのは、仮想球6である。仮想球6の表面は、ディンプル4が存在しないと仮定されたときのゴルフボール1の表面である。ディンプル4は、仮想球6から凹陥している。ランド5は、仮想球6と一致している。
【0027】
図3において両矢印dで示されているのは、ディンプル4の直径である。この直径dは、ディンプル4の両側に共通の接線Tが画かれたときの、一方の接点Edと他方の接点Edとの距離である。接点Edは、ディンプル4のエッジでもある。エッジEdは、ディンプル4の平面形状を画定する。図3において符号P1で示されているのは、ディンプル4の最深部である。接線Tと最深部P1との距離は、ディンプル4の深さDpである。
【0028】
図3において符号P2で示されているのは、エッジEdから(Dp・0.85)の距離だけ下方の地点である。符号P3で示されているのは、エッジEdから(Dp・0.5)の距離だけ下方の地点である。符号P4で示されているのは、エッジEdから(Dp・0.2)の距離だけ下方の地点である。符号P5で示されているのは、エッジEdから(Dp・0.1)の距離だけ下方の地点である。
【0029】
ディンプル4は、ボトム曲面7、側壁曲面8及びエッジ近傍曲面9を備えている。ボトム曲面7は碗状であり、側壁曲面8及びエッジ近傍曲面9はリング状である。ボトム曲面7は、点P2よりも下方に位置している。ボトム曲面7は、最深部P1を含んでいる。側壁曲面8は、点P3と点P4との間に位置している。エッジ近傍曲面9は、点P5よりも上方に位置している。
【0030】
ボトム曲面7は、全体的として内向きに凸である。ボトム曲面7は、部分的に外向きに凸であってもよく、部分的に内外方向に関して平坦であってもよい。ボトム曲面7の全ての地点において、曲面が内向きに凸であることが好ましい。側壁曲面8は、全体的として内向きに凸である。側壁曲面8は、部分的に外向きに凸であってもよく、部分的に内外方向に関して平坦であってもよい。側壁曲面8の全ての地点において、曲面が内向きに凸であるのが好ましい。エッジ近傍曲面9は、全体的として外向きに凸である。エッジ近傍曲面9は、部分的に内向きに凸であってもよく、部分的に内外方向に関して平坦であってもよい。エッジ近傍曲面9の全ての地点において、曲面が外向きに凸であるのが好ましい。
【0031】
ボトム曲面7の曲率半径Rbは、図3に示された点P2と、この点P2とは最深部P1を挟んで対向する他の点P2と、最深部P1との3点を通過する円弧が想定されたときのこの円弧の半径である。側壁曲面8の曲率半径Rwは、点P3と、エッジEdから(Dp・0.35)の距離だけ下方の点と、点P4との3点を通過する円弧が想定されたときのこの円弧の半径である。エッジ近傍曲面9の曲率半径Reは、点P5と、エッジEdから(Dp・0.05)の距離だけ下方の点と、エッジEdとの3点を通過する円弧が想定されたときのこの円弧の半径である。
【0032】
図3に示されたディンプル4は、上記数式(1)を満たす。換言すれば、このディンプル4では、比(Re/Rw)は0.5以上である。従来の一般的なゴルフボール1では、比(Re/Rw)は0.2以下である。図3に示されたゴルフボール1の比(Re/Rw)は、大きい。換言すれば、このディンプル4では、曲率半径Reが比較的大きく、曲率半径Rwが比較的小さい。曲率半径Reが大きいので、インパクト時のエッジ近傍曲面9における力の集中が生じにくい。このディンプル4を備えたゴルフボール1では、表面積占有率Yが大きくかつ直径の大きなディンプル4が多数形成されているにもかかわらず、毛羽が抑制される。側壁曲面8の曲率半径Rwが小いので、この側壁曲面8では仮想球6に対する傾斜角度が大きい。この側壁曲面8は、空気の流れを乱す効果に優れる。曲率半径Reが大きなエッジ近傍曲面9は空気の流れを乱す効果に劣るが、飛行性能に関しては、側壁曲面8がエッジ近傍曲面9を補完する。このディンプル4を備えたゴルフボール1では、外観低下が生じにくく、しかも飛行性能が維持される。外観と飛行性能との両立の観点から、比(Re/Rw)は0.6以上がより好ましく、0.7以上が特に好ましい。
【0033】
比(Re/Rw)が大きすぎるとホップする弾道となるので、比(Re/Rw)は1.5以下に設定される。比(Re/Rw)は1.3以下、さらには1.2以下、さらには1.1以下が好ましい。
【0034】
毛羽抑制の観点から、エッジ近傍曲面9の曲率半径Reは2.0mm以上に設定される。曲率半径Reは2.2mm以上がより好ましく、2.4mm以上が特に好ましい。飛行性能の観点から、曲率半径Reは5.0mm以下に設定される。曲率半径Reは4.8mm以下がより好ましく、4.6mm以下が特に好ましい。
【0035】
毛羽抑制の観点から、側壁曲面8の曲率半径Rwは1.0mm以上が好ましく、2.0mm以上がより好ましく、3.0mmが特に好ましい。飛行性能の観点から、曲率半径Rwは10.0mm以下が好ましく、9.0mm以下がより好ましく、8.0mm以下が特に好ましい。
【0036】
本明細書では、以下の記号によってディンプル4の数が示される。
N: ディンプル4の総数
NL:その直径が3.90mm以上であるディンプル4の数
M: 上記数式(1)を満たすディンプル4の数
ML:その直径が3.90mm以上であって、上記数式(1)を満たし、かつ曲率半径Reが2.0mm以上5.0mm以下であるディンプルの数
【0037】
本発明では、数NLの総数Nに対する比率は、75%以上である。換言すれば、本発明に係るゴルフボール1は、大きなディンプル4を多数備える。このゴルフボール1は、飛行性能に優れる。このゴルフボール1が飛行性能に優れる理由の1つは、その直径が3.90mm以上であるディンプル4が弾道初期の抗力低減に寄与するためと推測される。飛行性能の観点から、数NLの総数Nに対する比率は77%以上がより好ましく、80%以上が特に好ましい。この比率の上限は、100%である。
【0038】
本発明では、数MLの数NLに対する比率は、50%以上である。換言すれば、大きなディンプル4では、なるべく比(Re/Rw)が0.5以上1.5以下に設定され、かつ曲率半径Reが2.0mm以上5.0mm以下に設定される。これにより、ゴルフボール1の外観低下が抑制される。数MLの数NLに対する比率は70%以上、さらには85%以上、さらには90%以上が好ましい。この比率は、理想的には100%である。
【0039】
本発明では、数Mの総数Nに対する比率は、90%以上が好ましい。換言すれば、個々のディンプル4において、直径の如何にかかわらず、なるべく比(Re/Rw)が0.5以上1.5以下に設定される。これにより、ゴルフボール1の外観低下が抑制される。数Mの総数Nに対する比率は、95%以上がより好ましい。この比率は、理想的には100%である。
【0040】
ボトム曲面7の曲率半径Rbは、最適なディンプル容積が得られる範囲で適宜決定される。曲率半径Rbは、通常は2mmから60mm、さらには4mmから59mm、さらには5mmから58mm、さらには10mmから57mm、さらには15mmから56mm、さらには20mmから55mmに設定される。
【0041】
図3において両矢印Fで示されているのは、仮想球6と最深部P1との距離である。距離Fは、0.10mm以上0.60mm以下が好ましい。距離Fが上記範囲未満であると、ホップする弾道となることがある。この観点から、距離Fは0.125mm以上がより好ましく、0.14mm以上が特に好ましい。距離Fが上記範囲を超えると、ドロップする弾道となることがある。この観点から、距離Fは0.55mm以下がより好ましく、0.50mm以下が特に好ましい。
【0042】
図3において仮想球6とディンプル4とに囲まれた部分の容積は、ディンプル4の容積である。ディンプル4の総容積は、300mm3以上700mm3以下が好ましい。総容積が上記範囲未満であると、ホップする弾道となることがある。この観点から、総容積は350mm3以上がより好ましく、400mm3以上が特に好ましい。総容積が上記範囲を超えると、ドロップする弾道となるおそれがある。この観点から、総容積は650mm3以下がより好ましく、600mm3以下が特に好ましい。
【0043】
図1から図3に示されたゴルフボール1では、ディンプルAの容積は1.793mm3であり、ディンプルBの容積は1.311mm3であり、ディンプルCの容積)は0.899mm3であり、ディンプルDの容積は0.754mm3である。このゴルフボール1の総容積は、532.4mm3である。
【0044】
ディンプル4の総数は、200個以上500個以下が好ましい。総数が上記範囲未満であると、ディンプル効果が得られにくい。この観点から、総数は230個以上がより好ましく、260個以上が特に好ましい。総数が上記範囲を超えると、個々のディンプル4のサイズが小さいことに起因してディンプル効果が得られにくい。この観点から、総数は470個以下がより好ましく、440個以下が特に好ましい。
【0045】
形成されるディンプル4は単一種類でもよく、複数種類であってもよい。円形ディンプル4に代えて、又は円形ディンプル4とともに、非円形ディンプル(平面形状が円でないディンプル)が形成されてもよい。非円形ディンプルの具体例としては、多角形ディンプル、楕円ディンプル、長円ディンプル及び卵形ディンプルが挙げられる。非円形ディンプルの場合、45°刻みで選定された4個の断面が選択され、これら断面において曲率半径Rb、Rw及びRe並びに距離Fが測定される。得られたデータは、平均される。
【0046】
曲率半径、直径d、深さDp、距離F、容積等のディンプル仕様は、ゴルフボール1が実測されることで求められる。エッジ近傍曲面9の曲率半径Reは、十分なサイズのランド5と隣接する箇所において測定される。
【0047】
図1に示されたゴルフボール1はツーピース構造であるが、マルチピースゴルフボール、糸巻きゴルフボール又はワンピースゴルフボールにおいても、適正な断面形状が設定されることにより、飛行性能が高められうる。
【0048】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
【0049】
[実施例1]
ソリッドゴムからなり直径が38.4mmであるコアを金型に投入し、コアの周りにアイオノマー樹脂組成物を射出してカバー層を形成した。このカバー層の表面に塗装を施して、図2に示されたディンプルパターンを備えた実施例1のゴルフボールを得た。このゴルフボールのディンプルの仕様が、下記の表1に示されている。このゴルフボールの外径は約42.70mmであり、質量は約45.4gである。アッティエンジニアリング社のコンプレッションテスターによって測定されたゴルフボールのコンプレッションは、約85である。
【0050】
[実施例2から5及び比較例1から5]
ディンプルの仕様を下記の表1及び表2に示されるように設定した他は実施例1と同様にして、実施例2から5及び比較例1から5のゴルフボールを得た。実施例2のゴルフボールのディンプルパターンが、図4に示されている。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】
[飛距離テスト]
スイングマシン(ツルテンパー社製)に、メタルヘッドを備えたドライバー(住友ゴム工業社の「XXIO W#1」、ロフト:8°、シャフト硬度:X)を装着した。ヘッド速度が49m/secであり、打ち出し角度が約11°であり、バックスピンの速度が約3000rpmである条件でゴルフボールを打撃し、飛距離(発射地点から静止地点までの距離)を測定した。測定時は、ほぼ無風であった。20個の測定結果の平均値が、下記の表3に示されている。
【0054】
[外観の評価]
上記飛距離テストに供されたゴルフボールの外観を目視で観察し、毛羽発生の程度を「A」から「E」の5ランクに格付けした。毛羽発生が最も少ないものを「A」とし、毛羽発生が最も多いものを「E」とした。この結果が下記の表3に示されている。
【0055】
【表3】
【0056】
表3に示されるように、実施例のゴルフボールは比較例のゴルフボールよりも飛距離が大きい。また、実施例のゴルフボールの外観のランクは、C以上である。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
【0057】
【発明の効果】
以上説明されたように、本発明のゴルフボールは飛行性能に優れる。このゴルフボールでは、毛羽が発生しにくい。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係るゴルフボールが示された一部切り欠き断面図である。
【図2】図2は、図1のゴルフボールが示された拡大平面図である。
【図3】図3は、図1のゴルフボールの一部が示された拡大断面図である。
【図4】図4は、本発明の実施例2に係るゴルフボールが示された平面図である。
【符号の説明】
1・・・ゴルフボール
2・・・コア
3・・・カバー
4・・・ディンプル
5・・・ランド
6・・・仮想球
7・・・ボトム曲面
8・・・側壁曲面
9・・・エッジ近傍曲面
A・・・ディンプルA
B・・・ディンプルB
C・・・ディンプルC
D・・・ディンプルD
E・・・ディンプルE
F・・・ディンプルF
d・・・直径
Dp・・・深さ
Ed・・・エッジ
P1・・・最深部
Claims (3)
- その表面に多数のディンプルを備えており、
これらディンプルの表面積占有率Yが75%以上であり、
その直径が3.90mm以上であるディンプルの数NLの、ディンプルの総数Nに対する比率が75%以上であり、
その直径が3.90mm以上であって、ディンプルエッジとディンプルエッジから深さ方向に深さの10%下がった地点との間の曲面であるエッジ近傍曲面が外向きに凸であり、ディンプルエッジから深さ方向に深さの20%下がった地点とディンプルエッジから深さ方向に深さの50%下がった地点との間の曲面である側壁曲面が内向きに凸であり、ディンプルエッジから深さ方向に深さの10%下がった地点とディンプルエッジから深さ方向に深さの20%下がった地点との間においてディンプルの曲面が変曲点を有しており、下記数式(1)を満たし、かつ下記数式(1)における曲率半径Reが2.0mm以上5.0mm以下であるディンプルの数MLの、数NLに対する比率が60.6%以上であるゴルフボール。
0.5 ≦ Re/Rw ≦ 1.5 (1)
(Reは、上記エッジ近傍曲面の曲率半径を表す。Rwは、上記側壁曲面の曲率半径を表す。) - 上記数MLの、数NLに対する比率が100%である請求項1に記載のゴルフボール。
- 上記数式(1)を満たすディンプルの数Mの、総数Nに対する比率が90%以上である請求項1又は2に記載のゴルフボール。
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