JP4249368B2 - 沿線電話機監視システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉄道沿線や道路沿線(特には高速道路沿線)に設置された複数の沿線電話機の動作状態等を監視する沿線電話機監視システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、鉄道沿線の両側又は片側には、鉄道沿線に沿って500m程度の間隔で沿線電話機が設置されている。このような沿線電話機は、線路の保安業務や緊急時の連絡用として用いられる。沿線電話機の本体は、筺体に収容されており、その筺体の扉が開放されている状態で、電話回線と接続し得るようになされている。
【0003】
沿線電話機自体には機構的構成が少ない上、筺体に収容されているので、故障の発生率は極めて低い。ところで、線路の保安業務はかなりの短期間で周期的に行われていて沿線電話機はその際に使用される。その際、当然に、沿線電話機やその電話機に対する電話回線に故障があれば、使用者が異常を認識することができ、その者からの通知によって、保守員が容易に対応していた。また、扉の開放等は、電車や列車の運転手が発見することができ、その連絡により保守員が容易に対応していた。
【0004】
そのため、従来においては、沿線電話機自体やその電話機に係る電話回線に対する保守は、保守員が年に1、2回程度巡回して行っていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、線路の保安業務の際に全ての沿線電話機が使用されるとは限らず、むしろ使用される沿線電話機の方が実際上少ない。このような状況において、保守員による年に1、2回程度の巡回保守では、その間に障害が発生していても、発見できない恐れがある。すなわち、沿線電話機を用いて、電車の運行等を監視したりする中央監視センタに連絡しようとしても連絡をとれず、他の通信手段によって連絡を行うため、連絡が遅れる恐れがある。
【0006】
また、沿線電話機が収容されている筺体の扉が開放している場合は、運転者等によって発見されて保守員が対応するが、設置場所や天候によっては、扉の開放の発見が遅れることを避け得ない。扉が開放されていると、雨水が内部に入り込んだり内部に強い太陽光線が照射されたりして、故障を誘発する恐れがある。
【0007】
そのため、沿線電話機の障害や電話回線の障害や扉の開放を早期に発見できるようにすることが望まれている。
【0008】
このような方法としては、遠隔でこれらの動作や状態を自動的に監視する監視システムを導入すれば良い。このようにすれば、巡回保守に係る費用や人員を削減することができる。
【0009】
しかしながら、沿線電話システムの場合、30〜40台の沿線電話機が同一の電話回線にいわゆるT接続やπ接続されており、しかも、扉の開放が電話回線と沿線電話機との接続条件になっているので、監視センタ側から、電話回線を介して、沿線電話機にアクセスすることにより監視するというような、単純に考えられる監視システムは適用し難い。
【0010】
このような課題は、道路沿線を対象とした沿線電話機システムにおいても、同様に生じているものである。
【0011】
そのため、沿線電話機の障害や電話回線の障害や扉の開放などを早期に発見できる、沿線電話機システムに特有な構成に適合している沿線電話機監視システムが望まれている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するため、本発明は、1又は複数の電話回線でなる1組の電話回線群に対し、収容されている筐体の扉の開放時に接続される複数の沿線電話機を有する沿線電話機システムを監視する沿線電話機監視システムであって、上記各沿線電話機内に、筐体の扉の閉成を条件として、電話機回路の監視試験を行う電話機内監視装置を設けると共に、上記電話回線群とは独立した監視専用通信線を介して、上記各電話機内監視装置の監視結果を収集するセンター監視装置を有することを特徴とする。
【0013】
ここで、上記電話機内監視装置が、電話機回路の監視試験を行おうとした際に扉が開放されていた場合には、その情報をも、上記センター監視装置が収集することが好ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】
(A)実施形態
以下、本発明による沿線電話機監視システムを、鉄道沿線用の沿線電話機通信システムに適用した一実施形態を図面を参照しながら詳述する。
【0016】
(A−1)実施形態の構成
ここで、図1が、この実施形態の沿線電話機監視システムの全体構成を示すブロック図である。また、図2は、センター監視装置及び回線遠端監視装置間の沿線電話機に対する各種伝送線の接続方法や、沿線電話機の内部構成を示すブロック図である。
【0017】
図1において、この実施形態の沿線電話機監視システム1は、主として、監視対象の沿線電話機2−11〜2−1n、…、2−m1〜2−mnと、センター監視装置3−1、…、3−mと、回線遠端監視装置4−1、…4−mと、集中監視装置5と、電話網6とを備えて構成されている。
【0018】
同一の電話回線群7(図2参照)に接続されている沿線電話機2−x1〜2−xn(xは1〜mのいずれか)の回線近端には、それら沿線電話機2−x1〜2−xnに共通のセンター監視装置3−xが設けられ、回線遠端には、回線遠端監視装置4−xが設けられている。また、全てのセンター監視装置3−1〜3−mは、電話網6を介して、集中監視装置5に接続可能となされている。
【0019】
各沿線電話機2−xy(yは1〜nのいずれか)はそれぞれ、図2に示すように、大きくは、ドアスイッチ20、電話機回路21及び電話機内監視装置22を備えている。ここで、ドアスイッチ20及び電話機回路21は、既存の沿線電話機のものと同様なものであり、電話機内監視装置22が、この実施形態ではじめて設けられたものである。
【0020】
ドアスイッチ20は、当該沿線電話機2−xyを収容している筐体の扉の開閉に応じ、電話回線群7と電話機回路21との接続、切断を行うものである。この実施形態の場合、電話回線群7としては2種類のものが設けられている。第1の種類の電話回線(以下、交換回線と呼ぶ)は、沿線電話機2−xyに対してT接続されているものであり、筐体の扉の開放時にドアスイッチ20を介して電話機回路21に接続されるものである。第2の種類の電話回線(以下、HT回線と呼ぶ)は、沿線電話機2−xyに対してπ接続されているものであり、筐体の扉の開放時に電話機回路21に接続されると共に、電話機回路21によって下流側の沿線電話機を切り離すものである。なお、図2では省略しているが、扉の開放時には、ドアスイッチ20を介してそれ用の電源が内部に印加され、その印加電圧を例えばホトカプラで検出して、扉の開放を捉えている。
【0021】
交換回線及びHT回線の数は任意であるが、例えば、交換回線が4回線、HT回線が2回線程度である。
【0022】
電話機回路21は、例えば、詳細構成の図示は省略しているが、送話回路、受話回路、着信検出回路、ダイヤル回路、回線使用中検出回路、HT回線下部切り放し回路などを備えている。その他、どの交換回線又はHT回線を用いて通話を行うかを選択する回線選択スイッチや、他の沿線電話機が使用中の回線を明らかにする表示部などを備えている。
【0023】
なお、図2に示すように、電話回線群7の長さが長いので(例えば、最大15km)、適宜の位置に、回線中継端子盤10が設けられている。各沿線電話機2−xyが電話機能を発揮するために必要な電源(直流48V)は、例えば、回線中継端子盤10を介して電源装置8から供給されるようになされている。
【0024】
電話機内監視装置22は、センター監視装置3−xの制御下で、電話機回路21の動作や扉の開放状態などを監視するものである。
【0025】
図3は、電話機内監視装置22の詳細構成例を示すブロック図である。図3において、電話機内監視装置22は、通信処理部30、制御部31、試験信号発生部32、応答信号照合部33、試験信号導入部34及び応答信号取出部35などを備えている。
【0026】
通信処理部30は、センター監視装置3−xとの間で、監視専用通信線11(図2参照)を介した通信を行うものである。電話回線群7には、多くの沿線電話機が接続され、監視動作時に電話通信に供していることもあり、そのため、監視動作に用いることは不向きである。そのため、監視機能のための通信は、監視専用通信線11によることとしている。なお、監視専用通信線11には、センター監視装置3−xに収容されている電話回線群7に接続されている全ての沿線電話機2x1〜2xmの電話機内監視装置22が、T接続によって接続されており、また、回線遠端監視装置4−xも接続されている。監視専用通信線11を介した通信方式は任意であが、例えば、DTMF信号を用いた通信方式を適用することができる。
【0027】
なお、センター監視装置3−x及び沿線電話機2x1〜2xmを結ぶ監視専用通信線と、センター監視装置3−x及び回線遠端監視装置4−xを結ぶ監視専用通信線とを別線とするようにしても良く、通信方式を変えるようにしても良い。
【0028】
制御部31は、例えばマイコンなどで構成されており、電話機内監視装置22における監視動作の全体を制御するものである。制御部31は、センター監視装置3−x側から動作や状態のデータが求められたときに、所定の回路の試験を実行させたり、扉の開放有無の信号を取り出したりし、その結果をセンター監視装置3−xに返信するものである。
【0029】
試験信号発生部32は、制御部31の制御下で、試験信号導入部34を介して、被監視回路36に試験信号を与えるものであり、応答信号照合部33は、応答信号取出部35が取り出した、その試験信号に対する応答信号が適切なものか否かを判別し、その試験結果を制御部31に与えるものである。
【0030】
ここで、被監視回路36としては、電話機回路21を構成している、送話回路、受話回路、着信検出回路、ダイヤル回路、回線使用中検出回路、HT回線下部切り放し回路などがなり、制御部31は、これら回路を順次試験させる。勿論、被監視回路36の種類によって試験信号の内容も異なれば、正常な応答信号も異なっている。
【0031】
上述したように、電話機回路21は、扉の開放時に動作し得るものであり、そのための電源も扉の開放時に供給されるようになされている。そのため、この実施形態においては、監視動作に必要な電源は、センター監視装置3−xから延出されている電源供給線12を介して供給されるようになされている。
【0032】
センター監視装置3−xは、各沿線電話機2−xy内の電話機内監視装置22の監視動作を起動したり、電話回線群7に対する試験の実行主体となったり、監視動作による異常検出時などに上位装置である集中監視装置5に通知したりするものである。
【0033】
図4は、上述した機能を担うセンター監視装置3−xの詳細構成例を示すブロック図である。図4において、センター監視装置3−xは、大きくは、制御部40、タイマ41、手動起動部42、監視用通信処理部43、試験回路44、表示部45及び報告通信処理部46などを備えている。
【0034】
制御部40は、例えば、マイコンでなり、センター監視装置3−x内の全体を制御して、監視動作を実行させるものである。この制御部40の動作については、後述する動作説明で明らかにする。
【0035】
タイマ41は、監視起動周期を計時したり、また、通信時において応答信号の返信時間を監視するための計時を行ったりするものである。この実施形態の場合、各沿線電話機2−xy内の電話機回路22や電話回線群7の監視は、基本的には、所定周期(例えば1日1回、所定時刻から行う)で自動的に起動されるようになされており、この周期をタイマ41が計時する。
【0036】
手動起動部42は、保守員などの手動操作に応じて監視機能の起動を制御部40に伝えるものである。この手動起動部42に対する操作時にも、制御部40によって、監視機能の起動がなされる。
【0037】
監視用通信処理部43は、当該センター監視装置3−xと、いずれかの沿線電話機2−x1〜2−xn又は回線遠端監視装置4−xとの監視専用通信線11を介した通信を実行するものである。
【0038】
試験回路44は、電話回線群7に対する試験を実行するものである。上述したように、各沿線電話機2−xy内の電話機回路21に対する監視、試験は、電話機内監視装置22が実行する。一方、電話回線群7に対する試験は、当該センター監視装置3−xと回線遠端監視装置4−xとの間の電話回線群7を介した通信により実行する。試験回路44は、電話回線群7に対する試験信号(例えばモデム信号)の送信や応答信号の受信、確認などを行うものである。
【0039】
なお、試験回路44は、試験動作が起動されていない状態では、存在しないと等価なものである。すなわち、電話回線群7をそのまま交換網6に接続させるものである。
【0040】
表示部45は、制御部40の制御下で、当該センター監視装置3−xの動作状態や監視結果などを表示するものである。
【0041】
報告用通信処理部46は、制御部40の制御下で、集中監視装置5との通信を実行するものである。報告用通信処理部46による通信は、監視動作で異常が発見された場合に、その報告のためになされることが中心となる。
【0042】
回線遠端監視装置5−xは、センター監視装置3−xと協働して電話回線群7に対する監視、試験を行うものである。
【0043】
図5は、回線遠端監視装置4−xの詳細構成例を示すブロック図である。図5において、回線遠端監視装置4−xは、大きくは、制御部50、通信処理部51及び試験回路52などを備えている。
【0044】
制御部50は、例えばマイコンでなり、回線遠端監視装置4−x内の全体を制御して、監視動作を実行させるものである。この制御部50の動作については、後述する動作説明で明らかにする。
【0045】
通信処理部51は、当該回線遠端監視装置4−xとセンター監視装置3−xとの監視専用通信線11を介した通信を実行するものである。
【0046】
試験回路52は、電話回線群7に対する試験を実行するものである。試験回路52は、電話回線群7を介してセンター監視装置3−xが送信した試験信号を受信し、その受信時に応答信号を電話回線群7に送信するものである。なお、応答信号は、受信したものと無関係なものであっても良く、受信したものを折返し送信するものであっても良い。
【0047】
回線遠端監視装置4−xにおける電源も、電源供給線12を介して、センター監視装置3−x側から与えられるものであっても良いが、電話回線群7に対する動作を行うので、別途独立した電源から供給されることが好ましい。
【0048】
集中監視装置5は、各センター監視装置3−1、…、3−mからの監視結果などが与えられ、又は、収集して、異常などがある場合に、視覚的又は聴覚的な報知動作を行うものである。集中監視装置5は、例えば、パソコンなどを適用でき、その詳細構成の図示は省略する。また、集中監視装置5は、図示は省略しているが、各種端末装置から、収集した監視データを取り出せるものであっても良い。
【0049】
なお、集中監視装置5と、各センター監視装置3−1、…、3−mとの間は、データ通信が行われるものである。
【0050】
通常、沿線電話機2−xyを用いた連絡通信は音声通信であるので、集中監視装置5が設けられている、保守員が待機しているような場所には、図2に示すように、沿線電話機2−xyとの音声通信に供する電話機9も設けられている。
【0051】
(A−2)実施形態の動作
次に、以上のような各部から構成されている沿線電話機監視システムの動作を説明する。
【0052】
まず、各沿線電話機2−xyの電話機回路21の監視動作を、図6及び図7のフローチャートを参照しながら説明する。ここで、図6は、この場合のセンター監視装置3−xの動作を示すフローチャートであり、図7は、この場合の電話機内監視装置22の動作を示すフローチャートである。
【0053】
センター監視装置3−xにおいて、タイマ41の計時時刻が電話機回路21の監視時刻になると、又は、手動起動部42によって保守員などによって電話機回路21の監視動作の起動が指令されると、制御部40は、図2に示す各沿線電話機2−xyの電話機回路21の監視動作を開始する。
【0054】
そしてまず、制御部40は、沿線電話機2−xyを規定するパラメータyを初期値1に設定し、そのパラメータyが規定する沿線電話機2−xy(=2−x1)に対し、監視専用通信線11を介して、監視動作を起動する(ステップS100、S101)。
【0055】
各沿線電話機2−xyにおける電話機内監視装置22(正確に言えば制御部31)は、図7に示すように、自己に対する監視動作の起動信号(信号内の電話機パラメータyが自己に係る起動信号)が与えられることを待ち受けており(ステップS200)、自己に対する監視動作の起動信号が与えられると、まず、扉が開放されているか否かを判別する(ステップS201)。
【0056】
扉が開放されている場合には、電話機内監視装置22は、監視専用通信線11を介して、扉が開放状態であることをセンター監視装置3−xに返信し(ステップS202)、自己に対する監視動作の起動信号が次に与えられることを待ち受ける状態に戻る。ここで、扉が開放されていれば、電話機回路21を有効に試験できないので、その旨だけを返信することとしている。
【0057】
一方、扉が閉成されている場合には、電話機内監視装置22は、電話機回路21の各構成回路の試験を順次行い(S203)、その結果を、監視専用通信線11を介して、センター監視装置3−xに返信し(ステップS204)、自己に対する監視動作の起動信号が次に与えられることを待ち受ける状態に戻る。上述したように、電話機内監視装置22は、送話回路、受話回路、着信検出回路、ダイヤル回路、回線使用中検出回路、HT回線下部切り放し回路などを順次試験して返信データを形成する。
【0058】
センター監視装置3−xの制御部40は、パラメータyが規定する沿線電話機2−xyに対し、監視専用通信線11を介して、監視動作を起動すると、その後、図6に示すように、返信データの到来を監視する計時を開始し、到来許容時間をオーバーする前に返信データが到来したか否かを判別する(ステップS102〜S104)。
【0059】
到来許容時間を超えても返信データが到来しない場合には、制御部40は、応答異常を設定する(ステップS105)。
【0060】
到来した返信データや、設定した応答異常などを、制御部40は、内部に記憶すると共に、表示部45に表示させる(ステップS106)。なお、図4では、印字部を設けていないが、印字部を設けて監視結果を印字出力させるようにしても良い。
【0061】
その後、制御部40は、沿線電話機2−xyを規定するパラメータyを1インクリメントした後、当該センター監視装置3−xが監視対象としている全ての沿線電話機2−x1〜2−xnに対する今回の監視動作が終了したか否かを確認する(ステップS107、S108)。
【0062】
終了していなければ、制御部40は、上述したステップS101に戻って、更新されたパラメータyに係る沿線電話機2−xyに対し、監視専用通信線11を介して、監視動作を起動する。
【0063】
全ての沿線電話機2−x1〜2−xnに対する今回の監視動作が終了すると(監視データの収集が終了すると)、制御部40は、内部記憶したデータをチェックし、異常が生じているか否かを判別する(ステップS109、S110)。そして、異常が生じている場合には、異常が生じている沿線電話機やその異常内容を特定した異常発生データを、制御部40は、上位装置である集中監視装置5に送信する(ステップS111)。
【0064】
ここで、いずれかの沿線電話機から異常を含む返信データが与えられる毎に、集中監視装置5に通知することも考えられるが、1個のセンター監視装置3−xが対象としている沿線電話機の数は多く(例えば30〜40台)、その都度、送信していた場合には、集中監視装置5に離散的に異常発生データが与えられることもあり、その周囲に居る保守員が異常発生した沿線電話機の全てを把握するのに不便であり、そのため、上述のように一括送信することとした。
【0065】
今回の監視時には異常が生じていない場合や、異常発生データを集中監視装置5に送信した場合には、センター監視装置3−xは、図6に示した一連の処理を終了する。
【0066】
なお、異常が発生していなくても、センター監視装置3−xが、今回の監視結果を、集中監視装置5に送信するようにしても良い。
【0067】
異常発生データが送信された集中監視装置5においては、図示は省略しているが、視覚的及び又は聴覚的な報知動作が実行され、その周囲に居る保守員が異常発生を認識できる。これにより、保守員によって異常に対する対応が取られることになる。
【0068】
ここで、沿線電話機側から所定時間以内に監視結果の応答がない場合において、そのような沿線電話機が1、2台程度であれば、その沿線電話機における電話機内監視装置22の異常と捉えることができる。また、ある位置以降の隣接した複数の沿線電話機について、監視結果の応答がない場合には、監視専用通信線11の異常と捉えることができる。
【0069】
なお、扉が開放されたことを通知されたセンター監視装置3−xは、電話回線が使用中かの確認を行って、その開放が閉め忘れであることを確認して、集中監視装置5に通知するようにしても良く、また、扉が開放されたことを通知されたセンター監視装置3−xは、所定時間後(例えば10分後)に再びその沿線電話機の扉の状態を確認して、その開放が閉め忘れであることを確認して、集中監視装置5に通知するようにしても良い。
【0070】
次に、電話回線群7の監視時の動作を図8及び図9を参照しながら説明する。ここで、図8及び図9は、電話回線群7の監視時のセンター監視装置3−x及び回線遠端監視装置4−xの動作を示すシーケンス図である。
【0071】
センター監視装置3−xにおいて、タイマ41の計時時刻が電話回線群7の監視時刻になると、又は、手動起動部42によって保守員などによって電話回線群7の監視動作の起動が指令されると、その制御部40は、図8及び図9に示す電話回線群7の監視動作を開始する。
【0072】
なお、周期的に電話回線群7の監視動作を起動する場合において、上述した電話機回路21の監視動作から移行するようにしても良く、この電話回線群7の監視動作の終了時に引き続いて、上述した電話機回路21の監視動作を実行するようにしても良い。また、上述した電話機回路21の監視動作の周期と、以下で詳述する電話回線群7の監視動作の周期とを変えるようにしても良い。電話機回路21の監視動作と、電話回線群7の監視動作とを連続して行う場合には、集中監視装置5への通知もまとめて行うようにしても良い。
【0073】
図8及び図9に示す処理を開始すると、制御部40はまず、監視専用通信線11を介して、回線遠端監視装置4−xに対し、電話回線群7の監視動作を開始することを通知し、その通知信号に含まれている装置識別番号により、自己宛の通知信号と認識した回線遠端監視装置4−xは、監視専用通信線11を介して、応答信号を返信する(ステップS300、S301)。
【0074】
センター監視装置3−xの制御部40は、回線遠端監視装置4−xに対し、監視専用通信線11を介して、電話回線群7の監視動作の開始を通知すると、その後、応答信号の到来を監視する計時を開始し、到来許容時間をオーバーする前に応答信号が到来したか否かを判別する(ステップS302〜S304)。
【0075】
到来許容時間を超えても応答信号が到来しない場合には、制御部40は、回線遠端監視装置4−xの異常を内部記録すると共に表示し(ステップS305)、後述するステップS319に移行する。
【0076】
到来許容時間以内に回線遠端監視装置4−xからの応答信号を受信すると、センター監視装置3−xの制御部40は、電話回線群7のいずれかの電話回線を規定するパラメータzを初期値1に設定し(ステップS306)、パラメータzが規定する電話回線がいずれかの沿線電話機2−xyによって使用されているか否かを判別する(ステップS307)。
【0077】
使用されている場合にはその使用の終了を待って(S308)、使用されていない場合には直ちに、センター監視装置3−xの制御部40は、回線遠端監視装置4−xに対し、監視専用通信線11を介して、電話回線7−zの試験の開始を通知し(ステップS309)、これにより、回線遠端監視装置4−xは、電話回線7−zの試験の準備を行い、応答信号を、監視専用通信線11を介して、センター監視装置3−xに返信する(ステップS310)。
【0078】
なお、図8及び図9では、この際にはセンター監視装置3−xが応答信号の到来監視を行わないものを示したが(ステップS302〜S304で確認済みのため)、この際にも、応答信号の到来監視を行うようにしても良い。
【0079】
その後、センター監視装置3−xの試験回路44と、回線遠端監視装置4−xの試験回路52との間で、電話回線7−zを介した試験信号(例えばモデム信号)の授受を行う(ステップS311、S312)。
【0080】
この場合において、センター監視装置3−xから回線遠端監視装置4−xへの通信方向(以下、下り方向と呼ぶ)の試験信号の授受と、回線遠端監視装置4−xからセンター監視装置3−xへの通信方向(以下、上り方向と呼ぶ)の試験信号の授受とをそれぞれ1回だけ行っても良く、複数回ずつ行っても良い。また、複数回授受する場合においては、試験信号の内容を変えるようにしても良い。
【0081】
このような試験信号の授受を通じて、伝達損失やノイズレベルや断線などが監視され、異常を検出することができる。
【0082】
試験信号の授受による電話回線7−zに対する試験が終了すると、回線遠端監視装置4−xは、下り方向の試験結果を、監視専用通信線11を介して、センター監視装置3−xに送信する(ステップS313)。
【0083】
センター監視装置3−xの制御部40は、電話回線7−zについて、到来した下り方向の試験結果や、自装置の試験回路44が得た上り方向の試験結果を、内部に記憶すると共に、表示部45に表示させる(ステップS314)。なお、図4では、印字部を設けていないが、印字部を設けて監視結果を印字出力させるようにしても良い。
【0084】
その後、制御部40は、電話回線7−zを規定するパラメータzを1インクリメントした後、電話回線群7の全ての電話回線に対する今回の監視動作が終了したか否かを確認する(ステップS315、S316)。
【0085】
終了していなければ、制御部40は、上述したステップS307に戻って、更新されたパラメータzが規定する電話回線がいずれかの沿線電話機2−xyによって使用されているか否かを判別する。
【0086】
全ての電話回線に対する今回の監視動作が終了すると(監視データの収集が終了すると)、制御部40は、監視専用通信線11を介して、回線遠端監視装置4−xに監視動作の終了を通知し(ステップS317)、これにより、回線遠端監視装置4−xは、待機状態に復帰する(ステップS318)。
【0087】
その後、センター監視装置3−xの制御部40は、内部記憶したデータをチェックし、異常が生じているか否かを判別する(ステップS319)。そして、異常が生じている場合には、異常が生じている電話回線やその異常内容を特定した異常発生データを、制御部40は、上位装置である集中監視装置5に送信する(ステップS320)。
【0088】
ここでも、いずれかの電話回線の異常を検出する毎に、集中監視装置5に通知することも考えられるが、1個のセンター監視装置3−xが対象としている電話回線の数は多く(例えば6回線)、その都度、送信していた場合には、集中監視装置5に離散的に異常発生データが与えられることもあり、その周囲に居る保守員が異常発生した電話回線の全てを把握するのに不便であり、そのため、上述のように一括送信することとした。
【0089】
今回の電話回線群7の監視時には異常が生じていない場合や、異常発生データを集中監視装置5に送信した場合には、センター監視装置3−xは、図8及び図9に示した一連の処理を終了する。
【0090】
なお、異常が発生していなくても、センター監視装置3−xが、今回の電話回線群7に対する監視結果を、集中監視装置5に送信するようにしても良い。
【0091】
電話回線群7の異常発生データが送信された集中監視装置5においては、図示は省略しているが、視覚的及び又は聴覚的な報知動作が実行され、その周囲に居る保守員が異常発生を認識できる。これにより、保守員によって異常に対する対応が取られることになる。
【0092】
なお、図示は省略しているが、集中監視装置5は、管理下のセンター監視装置3−1〜3−mに対し、1日に1〜数回、センター監視装置3−1〜3−mを呼び出して監視データを吸い上げる。これにより、センター監視装置3−1〜3−mが動作していることを確認できる。
【0093】
(A−3)実施形態の効果
以上のように、実施形態の沿線電話機監視システムによれば、沿線電話機内に電話機内監視装置を設けたので、扉が閉成していて電話機回路が電話回線から切り離されていても、電話機回路を試験、監視することができる。また、電話機内監視装置は、監視専用通信線を介してセンター監視装置と通信可能であるため、扉が閉成していて電話機回路が電話回線から切り離されていても、監視結果をセンター監視装置に通知することができる。
【0094】
また、従来では、全ての沿線電話機の扉が閉成されている状態では、電話回線を介した通信相手が存在せず、電話回線を試験することができなかったが、この実施形態によれば、回線遠端監視装置を設け、センター監視装置と回線遠端監視装置との間で、電話回線を介した試験信号の授受を行うようにしたので、電話回線の監視も自動的に行うことができる。
【0095】
さらに、扉の閉め忘れも、扉の開放が通知された状態での電話回線の使用を確認したり、継続監視することでセンター監視装置が認識することができる。
【0096】
その結果、電話機回路や電話回線や扉の閉め忘れの監視を、周期的かつ自動的に行うことができるので、電話機回路や電話回線の障害や扉の閉め忘れを早期に発見し、対応をとることができ、沿線電話機を、常時連絡可能な状態にしておくことが可能である。また、扉の閉め忘れによる障害発生を未然に防止することができる。
【0097】
また、自動監視機能により、巡回保守を不要又は回数を減らすことができ、巡回保守に係る費用や人員を減少させることができる。
【0098】
(B)他の実施形態
なお、上記実施形態においては、沿線電話機の電話機回路21の監視は、一度の監視起動により、全ての沿線電話機に対し、順次行うものを示したが、沿線電話機毎に、監視タイミングを独立して周期化させるようにしても良い。
【0099】
また、上記実施形態においては、電話回線群7の各電話回線の試験を順次行うものを示したが、並行して同時に行うようにしても良い。
【0100】
さらに、上記実施形態においては、沿線電話機における電話機内監視装置22が、センター監視装置3−xから監視起動が与えられたときに電話機回路21を試験するものを示したが、電話機内監視装置22が、扉の閉成を確認して自動的かつ周期的に電話機回路21を試験し、センター監視装置3−xが周期的にその試験結果を収集するようなものであっても良い。また、扉の開放について、電話回線の使用の有無を問わず、電話機内監視装置22が、監視専用通信線11を介してセンター監視装置3−xに通知するものであっても良い。
【0101】
さらにまた、上記実施形態においては、1個のセンター監視装置3−xが、1組の電話回線群7、及び、その電話回線群7に接続されている沿線電話機2−x1〜2xnを監視対象とするものを示したが、1個のセンター監視装置3−xが、複数組の電話回線群、及び、その各組の電話回線群に接続されている沿線電話機を監視対象とするものであっても良い。
【0102】
また、上記実施形態においては、同一のセンター監視装置3−xが、電話機回路21に対する監視試験も、電話回線群7に対する監視試験も行うものを示したが、電話機回路21に対する監視試験用のセンター監視装置と、電話回線群7に対する監視試験用のセンター監視装置とが別個のものであっても良い。
【0103】
上記実施形態では、線路沿線に係る沿線電話機システムに監視機能を適用したものを示したが、他の沿線電話機システムに本発明の監視機能を適用するようにしても良い。例えば、道路沿線(例えば、高速道路沿線)に係る沿線電話機システムに本発明を適用することができる。また、沿線電話機という表現が適当ではないかもしれないが、河川や発電所からの高圧電線などに沿って、複数の電話機が設けられている場合に対しても同様に本発明を適用することができる。なお、特許請求の範囲では、このような場合を含め、沿線電話機と表現している。
【0104】
【発明の効果】
本発明によれば、1又は複数の電話回線でなる1組の電話回線群に対し、収容されている筐体の扉の開放時に接続される複数の沿線電話機を有する沿線電話機システムにおいて、上記各沿線電話機内に、筐体の扉の閉成を条件として、電話機回路の監視試験を行う電話機内監視装置を設けると共に、上記電話回線群とは独立した監視専用通信線を介して、上記各電話機内監視装置の監視結果を収集するセンター監視装置を有するので、電話機回路の障害を早期に発見することができる。
【0105】
ここで、上記電話機内監視装置が、電話機回路の監視試験を行おうとした際に扉が開放されていた場合には、その情報をも、上記センター監視装置が収集するようにすれば、扉の閉め忘れをも早期に発見することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態の沿線電話機監視システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】1個の沿線電話機を中心にシステム構成を示すブロック図である。
【図3】電話機内監視装置22の詳細構成例を示すブロック図である。
【図4】センター監視装置3−xの詳細構成例を示すブロック図である。
【図5】回線遠端監視装置4−xの詳細構成例を示すブロック図である。
【図6】電話機回路21の監視時のセンター監視装置3−xの動作を示すフローチャートである。
【図7】電話機回路21の監視時の電話機内監視装置22の動作を示すフローチャートである。
【図8】電話回線群7の監視時のセンター監視装置3−x及び回線遠端監視装置4−xの動作を示すシーケンス図(1)である。
【図9】電話回線群7の監視時のセンター監視装置3−x及び回線遠端監視装置4−xの動作を示すシーケンス図(2)である。
【符号の説明】
1 沿線電話機監視システム
2−11〜2−1n、…、2−m1〜2−mn 沿線電話機
3−1、…、3−m センター監視装置
4−1、…、4−m 回線遠端監視装置
5 集中監視装置
7 電話回線群
22 電話機内監視装置
44、52 電話回線用試験回路
Claims (2)
- 1又は複数の電話回線でなる1組の電話回線群に対し、収容されている筐体の扉の開放時に接続される複数の沿線電話機を有する沿線電話機システムを監視する沿線電話機監視システムであって、
上記各沿線電話機内に、筐体の扉の閉成を条件として、電話機回路の監視試験を行う電話機内監視装置を設けると共に、
上記電話回線群とは独立した監視専用通信線を介して、上記各電話機内監視装置の監視結果を収集するセンター監視装置を有する
ことを特徴とする沿線電話機監視システム。 - 上記電話機内監視装置が、電話機回路の監視試験を行おうとした際に扉が開放されていた場合には、その情報をも、上記センター監視装置が収集するものであることを特徴とする請求項1に記載の沿線電話機監視システム。
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