JP4246865B2 - シートベルト装置 - Google Patents

シートベルト装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4246865B2
JP4246865B2 JP33351499A JP33351499A JP4246865B2 JP 4246865 B2 JP4246865 B2 JP 4246865B2 JP 33351499 A JP33351499 A JP 33351499A JP 33351499 A JP33351499 A JP 33351499A JP 4246865 B2 JP4246865 B2 JP 4246865B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
moving body
clutch
pressure
retractor
housing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP33351499A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2000313314A (ja
Inventor
隆 有馬
賢一 森實
清志 小川
培 松木
Original Assignee
オートリブ株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by オートリブ株式会社 filed Critical オートリブ株式会社
Priority to JP33351499A priority Critical patent/JP4246865B2/ja
Priority to DE10066389A priority patent/DE10066389B4/de
Priority to DE2000110379 priority patent/DE10010379B4/de
Priority to US09/518,274 priority patent/US6446897B1/en
Priority to DE10066249A priority patent/DE10066249B4/de
Priority to DE10066247A priority patent/DE10066247B4/de
Publication of JP2000313314A publication Critical patent/JP2000313314A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4246865B2 publication Critical patent/JP4246865B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Automotive Seat Belt Assembly (AREA)

Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、車両などのシートベルト装置のリトラクタに用いられ、車両急減速時に、ウェビングの巻取軸を強制的に回転させ、上記ウェビングを乗員拘束方向へ緊張させるプリテンショナに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のリトラクタ用プリテンショナとしては、ウェビングの緊急巻き取り構造の原理の観点から種々のものが知られている。例えば、転動体(質量体)をガス圧などで押し出す方式のもの、ワイヤを利用した、いわゆる「つるべ」方式のもの、ガス圧でぜんまいバネ状の部材を回転させる方式のもの、さらには、ガス圧で遊星歯車を回転駆動させる方式のものなどである。
【0003】
この各種の方式のプリテンショナのうち、転動体をガス圧などで押し出す方式のものとしては、例えば特開昭56-23972号、ドイツ特許公開「DE 195 12 660 A1」号、ドイツ特許公開「DE 196 02 549A1」号などに記載のものが知られている。
これらの転動体を備えたプリテンショナは、例えば特開昭56-23972号に代表されるように、車両の衝突時に複数の転動体を高圧ガスによってダクト内を圧送させ、この転動体を、リトラクタシャフトの周りに取り付けた駆動歯車に順次、係合させることにより、リトラクタシャフトにシートベルトを急速に巻き取るためのトルクを与える構造を有している。
【0004】
上記転動体の付勢力を用いて、直接リトラクタシャフトを回転させる構造のプリテンショナは、十分な付勢力を発生させるには、転動体が移動するためのストローク、すなわち転動体の移動通路を長く設定する必要がある。このため、移動通路を単純に直線状に長く形成すると、プリテンショナ全体が特定方向に大型化してしまうので、通常は、その移動通路となるパイプをくねらせる、または渦巻き状に曲げて十分な長さのストロークを確保できるように努めている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記移動通路を確保するプリテンショナは、パイプなどを複雑に曲げる分、その通路幅を湾曲部でも常に所定値に保持する必要があるなど、その加工工程が複雑であり、且つ高い加工精度が要求される部分が極めて多い。このため、製造コストが増加し、一方で、特定方向への大型化は回避できても、プリテンショナ全体の容積の増大による大型化は不可避である。また、移動通路の形状が複雑になる分、ガス漏れに対する対策も高いものが要求される。したがって、最終的には製造コストの増加及びサイズの大型化を招いていた。
本発明は、圧力により押し出される圧力伝達材の移動ストロークが短くても、ウェビングを巻き取るための十分なリトラクタシャフトの回転量を発生させて、ストローク長が長いときと同等のウェビング巻取り機能を得る一方で、全体構造を小型化及び簡素化させて、車載の容易化を図るとともに製造コストを低減させることを目的とする。
【0006】
また、本発明は、移動通路におけるガス漏れを減少させることを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明のシートベルト装置は、圧力室と圧力室に連通する移動体通路とを含むパイプ又はハウジングと、上記パイプ又はハウジングに備えられて上記圧力室に高圧力のガスを発生する圧力印加装置と、上記移動体通路内に配置される移動体と、上記高圧力を受けて上記移動体を移動させる押出し部材と、リトラクタ軸と同軸に配置されて、外周が一方向に回転すると、上記リトラクタ軸と連結するクラッチと、上記クラッチの外周に一端が取付けられてこれに巻回され、他端が上記移動体に係合してハウジングに取付られる引張り媒体と、を備え、上記引張り媒体の他端は、上記移動体の配置位置によって解除が制限されるクランプによって固定される。
【0007】
好ましくは、上記リトラクタ軸は、ある値以上の力を受けると塑性変形し、ウェビング巻取機構をフリーとする。
【0008】
好ましくは、上記クラッチは、内面にカムを形成したプーリと、このカムに触れる爪部を含むプレートと、この爪部と噛合し得るスリーブを含み、プーリとプレートとは相互の動きに、相対的にズレ(位相差)が生ずるようになされる。
【0009】
好ましくは、上記移動体は、先頭部に引張り媒体と係合する溝を備え、引張り媒体と確実に係合する。
【0010】
かかる構成とすることにより、引張り媒体は、移動体の移動距離よりも多くの量が引出され(増速)、コンパクトなプリテンショナを構成することが可能となる。また、プリテンショナが動作した後、クランプによる引張り媒体の係止が解除されるのでリトラクタ軸の回転をフリーにすることが可能となり、巻取られたウェビングを引出すことが出来る。
【0011】
本発明のシートベルト装置は、圧力室と圧力室に連通する移動体通路とを含むパイプ又はハウジングと、上記パイプ又はハウジングに備えられて上記圧力室に高圧力のガスを発生する圧力印加装置と、上記移動体通路内に配置される移動体と、上記高圧力を受けて上記移動体を移動させる押出し部材と、リトラクタ軸と同軸に配置されて、外周が一方向に回転すると、上記リトラクタ軸と連結するクラッチと、上記クラッチの外周に一端が取付けられてこれに巻回され、他端が上記移動体に係合してハウジングに取付られる引張り媒体と、を備え、上記押出し部材は、上記高圧力が印加される剛体と、上記剛体によって外方に広げられて上記移動体通路の内面と密着するシール部材とを含む。
【0012】
かかる構成とすることによって、移動体通路からガス漏れを防ぎ、ガス圧を有効に活用することが可能となる。また、シール部材が積極的に広がることにより、押上げ部材の単品精度の多少のバラツキがあっても影響が少ない。
【0013】
本発明のシートベルト装置は、圧力室と圧力室に連通する移動体通路とを含むハウジングと、上記ハウジングに備えられて上記圧力室に高圧力のガスを発生する圧力印加装置と、上記移動体通路内に配置される移動体と、上記高圧力を受けて上記移動体を移動させる押出し部材と、リトラクタ軸と同軸に配置されて、外周が一方向に回転すると、上記リトラクタ軸と連結するクラッチと、上記クラッチの外周に一端が取付けられてこれに巻回され、他端が上記移動体に係合してハウジングに取付られる引張り媒体と、を備え、上記移動体通路は、リトラクタ軸を中心とする略円周上に形成され、上記移動体は単一若しくは円弧状である。
【0014】
かかる構成とすることによってコンパクトなプリテンショナを構成することが可能となる。
【0015】
また、本発明は、車両急減速時に、ウェビングの巻取軸を強制的に回転させ、上記ウェビングを乗員拘束方向へ緊張させるプリテンショナであって、パイプ又はハウジングに設けられた通路に移動可能に収容された移動体と、上記移動体を圧力を受けて移動させる押出し部材と、上記押出し部材に圧力を加え、当該移動体を移動させる圧力印加装置と、上記移動体の動きを周回運動に変えて回転トルクを発生させる増速機構と、上記回転トルクを上記巻取軸に伝達し、当該巻取軸を上記ウェビングの巻取り方向に回転させるクラッチ装置と、を備えたプリテンショナを提供する。
この構造を備えたプリテンショナは、上記移動体の動きを周回運動に変える増速機構を備えているため、当該移動体の直線状の移動ストロークが短くても、ウェビングを巻き取るのために十分な回転トルクを発生させることができる。
【0016】
好ましくは、上記パイプは、L型のパイプである。このパイプは、断面円筒状の一方のパイプにはガス発生装置が取付けられ、断面角状の他方のパイプには複数の移動体が収納される。
【0017】
好ましくは、パイプ又はハウジングによる移動体の収納部分には、ピストンとなる押上げ部材が配置され、この押上げ部材は、ガス圧によって外方に押し広げられる。
【0018】
また、この押上げ部材の外周にピストンリング状に突起を形成し、この突起がシリンダと密着変形してシール性を高める。
【0019】
また、押上げ部材には、膨張ガスの残圧を抜くためにガスの膨張室と移動体側空間とを連通する貫通口が形成される。
【0020】
また、押上げ部材には、移動体の振動を抑制するために緩衝材が設けられる。
【0021】
好ましくは、引張り媒体の端部には鋳込みがなされ、クランプによる係止がより確実となるようにする。
【0022】
また、クランプはてこの原理を利用した「く」の字状のものが使用される。
【0023】
好ましくは、上記移動体通路には、引張り媒体を収容する溝が形成される。それにより、移動体通路壁と移動体とによって引張り媒体が挟まれることを回避し、引張り媒体のダメージを軽減する。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1の実施の形態に係るプリテンショナを含むリトラクタを備えたシートベルト装置について図面を参照して説明する。各図において、対応する部分には同一符号を付し、重複説明を省略する。
【0025】
図1は、実施の形態1に係るシートベルト装置用リトラクタをその軸方向側面から見た状態を示す説明図であり、図2に示すB−B方向(プリテンショナ部)における断面図にて示している。図2は、図1に示すリトラクタのA−A方向(プリテンショナ部)における断面図である。図3は、クラッチの構成を説明する説明図である。図4及び図5は、クラッチの動作を説明する説明図である。
図1及び図2に示すように、実施の形態1に係るシートベルト装置用のリトラクタ10は、ウェビング(図示せず)を巻き取るリトラクタ本体13と、このリトラクタ本体13の軸方向の一端部に設けられた緊急ロック機構14と、もう一端部に順次設けられたプリテンショナ12及び巻き取りばね装置11を備える。
【0026】
リトラクタ本体13は、ウェビングを巻き取りまたは引き出し自在な巻き取りリール22を備える。巻き取りリール22は、その巻取軸であるリトラクタシャフト24に連結された巻取りバネ装置11によりウェビングが巻き取られる方向に常時付勢されている。さらに、ウェビングが所定値以上の加速度で引き出されようとすると、リトラクタシャフト24の軸方向一端に連結している緊急ロック機構14が作動し、リトラクタシャフト24の回転が阻止され、ウェビングが引き出されないように構成されている。
【0027】
なお、リトラクタシャフト24の巻き取りリール22部はねじりシャフト24aとされており、例えば、特開昭46−7710号に示されるように、緊急ロック機構動作後過大な力が加わるとねじりシャフト24aがねじられて塑性変形し、このシャフト24aの図中左方でスリーブ44aを介して相対回転不能に連結された巻取りリール22がウェビング引出し方向に回転可能となるようになされている。
【0028】
プリテンショナ12のケーシングは、ハウジング26に蓋体としてプレート28を気密に嵌め込むことにより形成している。このケーシングには、車両の衝突時等急な減速が発生したときに、ウェビングを強制的に巻き取って、該ウェビングの弛みを瞬時に解消するための機構が内蔵されている。以下、この機構の構成を説明する。
【0029】
ハウジング26には、図2に示すように、下部横方向に圧力室30が形成される。この圧力室30の一端側に圧力印加装置32が挿入され、その外側からキャップ34をハウジング26に螺着することにより、取付けられている。圧力印加装置32は、例えば、横置形の加圧ガス発生装置であり、この加圧ガス発生装置は、図示しない、電極と、点火装置と、高圧ガス発生剤とを備える。上記電極には、車両の衝突時に発生する急激な加速度を検出するショックサンサからの信号を伝える点火信号伝達用ハーネスが接続されている。ショックセンサから点火信号が電極に伝えられると、点火装置が高圧ガス発生剤を発火させて高圧ガスを瞬時に発生させる。
【0030】
圧力室30の他端側上部から上方に延在する移動体通路38がハウジング26に形成される。移動体通路38は、直線路の部分(シリンダ)38aとリトラクタシャフト24を中心とする周回路38bとを含む。直線路の部分38a内には、移動体としての転動体36が複数個、列状に配置されている。
【0031】
転動体36は、例えば、図10に示すように、好ましくは、直径Aよりも幅Bが狭い(A>B)、円柱(円筒)状である。好ましくは、最上部の転動体36は、図11に示すように、後述の引張り媒体40に係合する係合溝36aを有する。
【0032】
最下の転動体36の下部には、移動体通路38aと密着し、ガス圧力によって転動体36を押上げる押出し部材42が設けられる。押出し部材42は、ガス漏れを防止するべく、組込み前は、直線路(シリンダ)部分38aの内径よりも僅かに大きい外径をしている(図51参照)。
【0033】
ウェビングの巻取りを行うリトラクタシャフト24には、クラッチ装置44が設けられる。このクラッチ装置44は、図3に示すように、同心に配置される、スリーブ44aと、プレート44bと、プーリ44cと、を備えている。
【0034】
プレート44bには、軸方向に折曲げられた複数の突起(爪)44bbが形成され、各突起44bbが変形し易いようにプレート44bの各突起44bbの根本に穴44baが開けられている。プレート44bの折曲げられた突起(爪)44bbの断面積は、図示の例では、四角形であるが、円形、楕円形、弓なり(円弧)形状等種々のものを適宜に選択可能である。
【0035】
スリーブ44aは、図1及び図2に示すように、リトラクタシャフト24の左端側に取付けられかつリール22と相対回転不能に連結されている。スリーブ44aのプーリ44cと対向する面には軸(リトラクタシャフト24)を一周する多数の溝山(ローレット目)が軸方向に形成され、プレート44bの突起44bbが接触すると噛合力を発生する。
【0036】
プーリ44cは、その外周面に引張り媒体40が取付けられ、内周面にカム面が形成される。このカム面は、プレート44bの突起44bbを介してスリーブ44aの溝山部と対向する。プレート44bは、プーリ44cが回動した後に、遅れて回動し、ズレ(位相差)が生じるように、慣性体、摩擦保持、剪断ピン、等によって保持される。例えば、プーリ44cは、その側面とハウジング26とでプレート44bを挟持し、位相差が生じるような適当な摩擦力を発生させる。
【0037】
図4及び図5は、クラッチ装置44の動作を説明する説明図である。図4に示す状態において、プーリ44cがプレート44bに対して相対的に反時計方向に回転すると、プーリ44cのカム面により突起44bbが軸心側に曲げられ、スリーブ44aの溝山に突き当る。そして、図5に示すように、プーリ44cの内面とスリーブ44aの溝山との間に突起44bbが介在することとなり、プーリ44cの回転が、突起44bb及びスリーブ44aを介してリトラクタシャフト24に伝達される。それにより、ウェビングの巻取りが可能となる。
【0038】
クラッチ44のプーリ44cの外径はリール22の外径よりも小径となっている。クラッチ44(プーリ44c)の外周面には、増速機構としての引張り媒体40をほぼ2回巻き付けた機構を装備している。引張り媒体40は、線状体あるいは帯状体であり、例えば、ワイヤ、ロープ、鋼などの、所定幅及び長さの金属材料等で形成されている。引張り媒体40の一端は、クラッチ40の外周面に、図示しないフック、ネジ、スポット溶接等によって固定される。この引張り媒体40を複数回(例えば図1に示すように略2周)、図2における反時計方向に巻回した後、もう一端を移動体通路38を横切り、ハウジング26の収容空間26aのクランプ46に挿入し、固定する。
【0039】
クランプ46は、その内側面が周回する移動体通路38bの一部を形成する、周方向に延在する長手の部材であり、その外側表面には、引張り媒体40を引っかける一連の歯山による係止部46aが形成されている。クランプ46の下端側は、回動可能にピン46bによって固定されており、クランプ46の上端側は振子状に移動可能である。
【0040】
前述したように、移動体通路38a内には、円筒状の転動体36が複数、互いに当接し且つ転動自在な状態で1列に挿入されている。この複数の転動体36の先頭は、図6に示すように、クランプ46の側面とクラッチ44との間に位置する。クラッチ44に巻回された引張り媒体40は、先頭の転動体36の側面に接して半周し、転動体36とクランプ46内側との間を通って、クランプ46の下端部からクランプ46の外側面に入り、クランプ46の係止部46aとハウジング内壁とによって挟持され、固定される。
【0041】
転動体列の下端の転動体36に押出し部42を介してある程度強い圧力を加えると、その圧力は反対側の転動体36に伝わり、この複数個の転動体36が列全体として一体に移動体通路38a内を移動可能である。図7に示すように、この転動体36の列が移動して移動体通路38aから周回通路38bに移動するとき、その先頭の転動体36は引張り媒体40を押しながら、かつ、クラッチ44の外周とハウジング26の内周とによって形成される周回通路38bの円周軌道を周回する。すなわち、ハウジング26の内面には、必要により、移動体通路38aに連通しかつクラッチ装置44の外周部との間に周回状の溝が形成されており、転動体36は、この周回状の溝を周回する。
【0042】
次に、この実施形態の動作について説明する。まず、乗員が車両に乗り、着座してウェビングを装着した初期状態では、プリテンショナ12は、図2及び図6に示す初期状態にある。この初期状態の場合、両図に示すように、プレート44bの突起部44bbとスリーブ44aは離間しているので、クラッチ装置44はプリテンショナ12には何ら関与せず、巻き取りバネ装置11によりウエブングが引き出され、巻き取り自在になっている。
【0043】
この初期状態において、車両に衝突時等の急激な速度減が生じたとする。これにより、圧力印加装置32は瞬時に加圧ガスを発生し、この加圧ガスが圧力室30に放出される。これにより、押出し部材42に下方から急激な押圧力が作用し、転動体列全体が移動通路38aから上方に向かって瞬時のうちに押し出される。
【0044】
この押し出しの力は初期状態において転動体列を押えている引張り媒体40の力に優る。転動体列は、図7に示すように、引張り媒体40の移動通路横断部の中間部を押しながら周回通路38bへと移動する。すなわち、転動体列が動き易い直線通路38aでの直進運動から周回通路38bでの円周起動に沿った周回運動に変わる。
【0045】
このとき引張り媒体40は、その一端がクラッチ44のプーリ44cの外周に固定され、他端はプーリ44cに1回以上巻回した上でクランプ46に固定されている。このため、周回運動に移行した転動体列により押された引張り媒体40は、その押された分、すなわち転動体列の移動距離の2倍の長さ分だけクラッチ外側の引張り媒体部分を引き込む。これにより、クラッチ44のプーリ44cがその引き込み量に対応した角度だけ回転する。つまり、引張り媒体40は、いわゆる「つるべ」方式で2倍の増速作用を発揮し、クラッチ外周となるプーリ44cをその増速状態で図4の矢印方向に回転させる。
【0046】
これにより、プーリ44cとプレート44bとにズレが生じ、プーリ44c内周の複数のカム面がそれぞれプレート44bの複数の突起部44bbを変形して内方に押出し、突起部44bbはスリーブ44aに噛込まれ、クラッチ装置44が噛み合う(図5参照)。これにより、引張り媒体40で代表される増速機構(即ちプリテンショナ12)とリトラクタシャフト24とが結合し、クラッチ装置44の回転と一体にリトラクタシャフト24も矢印A方向に回転する。
【0047】
転動体列の周回運動が進むにつれて、引張り媒体40による引き込み量も多くなり、リトラクタシャフト24の回転は一気に進む。リトラクタシャフト24の回転トルクによって、リトラクタシャフト24と嵌合されたウェビングの巻き取りリール22が強制的に回転し、ウェビングが極めて短時間の内に巻き取られる。
【0048】
ウェビングの巻取が終り、その後、衝突時の乗員の移動によりウェビングが引出されると巻取りリール22がウェビング引出し方向に回転させられる。この回転がスリーブ44aを介してリトラクタシャフト24に伝達され、今度は該シャフト24は引出し方向に回転する。このとき、図1におけるシャフト24の右側は緊急ロック機構によってウェビング引出し方向の回転を阻止されているので、前述したように、ねじりシャフト24aがねじられ塑性変型する。
【0049】
リトラクタシャフト24がウェビング引出し方向に回転すると、リトラクタシャフト24に結合しているプーリ44cが逆方向に回転して、引張り媒体をプーリ44cの外周に巻上げ(巻付け)、引張り媒体40を介して転動体を初期位置方向に押戻す。
【0050】
転動体36が、図9に示されるように、図8に示される転動体36の初期位置よりも更に押戻されると、転動体36によってクランプ46に与えられていた付勢力がなくなるため、クランプの上端側が移動可能となり、クランプの解除状態となる。引張り媒体40の一端がクランプから外れると、クラッチ44の回転を制限するものがなくなり、クラッチ44に結合したリトラクタシャフト24の更なる回転が許容される。
【0051】
従って、シートベルト装置は、過大な加速度を検出すると、ウェビングを短時間で締め上げて乗員を座席に拘束し、その後、ウェビング締め上げを解除するので、乗員の安全と自由が確保され得る。
【0052】
図12乃至図16は、押出し部材42の他の例を示している。転動体36の直線通路38aは、押出し部材42をピストンとするシリンダとなっており、ガス圧を保持して転動体を移動させる役割を担っている。この例では、押出し部材42をガス圧力によって変形させて、転動体36を移動させる際の直線通路38aにおけるガス漏れに対するシール性を高めている。
【0053】
図12に示す例では、押出し部材42は、断面四角形のシリンダに対応して四角形の、ピストン(プレート)42a、シール部材42b、によって構成されている。シール部材42bの中央には穴42cが形成されている。シール部材42bは、ゴム、樹脂等の可塑性のものが使用される。ピストン42aは、鉄、硬質プラスチック等のシール部材42bよりも堅いもの(剛体)が選択される。
【0054】
図13に示すように、初期状態では、シール部材42bは、転動体36の下端に密着しているが、ガス圧が発生すると、図14に示すように、ピストン42aが上方向に押上げられ、転動体36に密着する。転動体36の下部の円弧状の形状により押上げる力の分力成分が横方向に発生し、シール部材42bは図の矢印方向(外方)に押し広げられ、変形する。それにより、シール部材42bはシリンダ壁面への密着度を増し、ガスのシール性が向上する。転動体36は、シール部材42bの押上げにより、移動体通路38aを上方向に移動する。
【0055】
図15及び図16は、押出し部材42の、更に他の例を示している。この例では、図15に示すように、ピストン42aの中央部にテーパを有する突起部(円錐台部)42dが形成され、中央に穴42cが形成されたシール部材42bの下側に接している。突起部の根本の外径よりも穴42cの内径は狭く設定される。
【0056】
ガス圧が発生すると、図16に示すように、ピストン42aが上方向に押上げられ、突起部42dがシール部材42bの穴42cに押込まれる。突起部42dの傾斜面によってシール部材42bが矢印方向(外方)に押し広げられる。それにより、シール部材42bはシリンダ壁面への密着度を増し、ガスのシール性が向上する。剛体によってシール部材42bを押し広げるのでより確実な密着が期待できる。なお、突起部は、三角錐でも四角錐であっても良く、突起部にテーパが形成されることによって同様の効果が期待可能である。
【0057】
このような、シール構造によれば、寸法精度等に大きな影響を受けず、かつ高い機密性を得ることが可能であり、ガス圧力を有効に利用することが可能となる。
【0058】
図17乃至図24は他の移動体の例を示している。この例では、図17に示すように、移動体通路38は、圧力室30から始り、全通路はクラッチ44を周回するように形成される。そして、図21に示すように、移動体通路38に適合するように、内側面及び外側面が円弧状に形成された、断面四角形の一つの移動体64を使用している。移動体64の先端部には、図22の図21のC−C方向における断面図に示すように、引張り媒体40が係合する溝64aが形成される。
【0059】
移動体64の後端には、押出し部材62が当接している。押出し部材62はシリンダ部38aにおいてガスの漏れを防止し、移動体64を押上げる。押出し部材62は、内側面及び外側面が円弧状であり、断面四角形である。図23及び図24に示すように、押出し部材62の幅Aは、組込み前において移動体通路38aの幅Bよりも僅かに大きい。それにより、押出し部材62は通路壁に密着し、シール性が高められる。
【0060】
図18は、図17に示す初期状態からガス圧によって移動体64が移動した様子を示している。これにより、プーリに巻回された引出し媒体40が引出され、プーリが回転し、クラッチ44が作動する。プーリとシャフトが連結される。プリテンショナとしての動作は先に説明した例と同じであるのでその説明は省略する。
【0061】
図19及び図20は、それぞれクランプ46の解除前状態と解除後の状態を示している。図8及び図9に示した例と同様に、移動体64が初期位置よりも下がった位置に戻ると、移動体64によるクランプ46への付勢力がなくなってクランプ46が解除され、引出し媒体40が外れるので、リトラクタシャフト24が自由に回転可能となる。
【0062】
このように、本発明の実施の形態に係るプリテンショナによれば、移動体(転動体36の列あるいは単一の移動体64)と「つるべ」方式の引張り媒体40を中心とする増速機構とを組み合わせるという従来には無いユニークな構造を採用したので、移動体を収容するシリンダ38aのストロークが少なくて済む。したがって、プリテンショナ全体が小型化されて車載条件が緩和される。また、押出し部材のシール性が良いので、移動体通路の加工工程も簡素化され、これにより、製造コストを低減させることができる。
【0063】
次に、図25乃至図53を参照して、本発明の第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態において、第1の実施の形態と対応する部分には、同一符号を付し、かかる部分の説明は省略する。
【0064】
第2の実施の形態においては、プリテンショナ12の転動体36の通路38としてL型のパイプ70を用いている。この例を図25乃至図28を参照して説明する。
【0065】
図25は、図1と同様の、リトラクタ装置の一部断面図であり、プリテンショナ部12を図26に示すE−E方向(プリテンショナ部)における断面図にて示している。図26は、図25に示すD−D方向(プリテンショナ部)におけるプリテンショナ部の断面図である。図27は、L型パイプの例を示す斜視図である。図28は、同パイプの軸方向に沿った断面図である。
【0066】
この例では、図27に示すように、L型のパイプ70が円筒状のパイプ72と角筒状のパイプ74によって形成され、両パイプはくびれ部76を介して連結されている。くびれ部76は、上部側76aが深くくびれ、下部側76b緩やかなテーパとなっている。パイプ72の端部78にガス発生装置32が嵌挿され、端部78がかしめられて取付けられる。なお、螺合やキャップによる取付けであっても良い。パイプ74の内部には、押出し部材42の上に転動体36が複数収納される。押出し部材42は耐熱性の弾性体である。
【0067】
図51に示すように、押出し部材42の外径(横幅)Aは、パイプ74の内径(横幅)Bよりも僅かに大きく(A>B)、押出し部材42は、パイプ(シリンダ)74内壁に密着してガス漏れを防ぐ。
【0068】
転動体36は、前述したように、円柱状であるが(図10参照)、図39に示すように、中空体として軽量化することが出来る。引張り媒体40に接する先頭の転動体36は、図11に示したように、係合溝36aを設けることが出来る。
【0069】
このように、ガス発生装置と転動体通路(転動体収納部)とをL型パイプによって構成することによって、ハウジング26の製造を容易とする。また、プリテンショナ12の形状をより小型化することが可能となる。
【0070】
図29乃至図33は、クラッチ機構44の他の例を示している。この例では、剪断ピン26caが用いられている。
図29に示すように、クラッチ44は、図示しないリトラクタシャフトに勘合するスリーブ44a、このスリーブ44aの溝山周面に突起(爪)44bbが対向するように同心に配置されるプレート44b、突起(爪)44bbが内周のカム面部に収るように配置されるプーリ44cによって構成されている。ハウジング26のクラッチ収納空間を形成する壁に剪断ピン26caが設けられている。この剪断ピン26caは、プレート44bの長穴44bcを通ってプーリ44cの穴44caに嵌合する。剪断ピン26caによって、プーリ44cの位置が決められる。プリテンショナ12が作動しない初期状態においては、図30に示すように、突起(爪)44bbとスリーブ44aの溝山面とは離間しており、プーリ44cとリトラクタシャフト24とを機械的に結合していない。ガス発生装置が32高圧ガスを発生して、転動体36を押出すと、巻回された引張り部材40が引出され、プーリ44cが回転する。それにより、図31に示すように、剪断ピン26caが剪断され、プーリ44cとプレート44b間に位相差が生じ、プーリ44cのカム面によって複数の突起(爪)44bbが軸方向に変形する。更に、図32に示すように、プーリ44cがプレート44bに対して相対回転し、プレート44bの複数の爪部がスリーブ44aの多数の溝山(ローレット目)に噛み込み、図32に示すように、クラッチ結合状態となってリトラクタシャフト24を回転させる。プーリ44c、引張り媒体40、転動体36等による増速機構は、増速しながら回転してリトラクタシャフトをウェビングの巻取り方向(図中矢印A方向)に回転させ(図33参照)、リール22にウェビングを巻取らせる。
【0071】
引張り媒体40の一端部は、初期状態では、図34に示すように、クランプ46によってハウジング26に固定される。クランプ46は下端側で軸46bによってハウジング26に回動自在に軸支されており、クランプ46の外周側には、引張り媒体40を固定し易いように、複数の歯46aが設けられている。引張り媒体40の一端部は、薄肉の鋳込みによって形成されており、クランプ46の複数の歯46aが噛み込み易いようになっている。引張り媒体40の一端部をクランプ46の外周側に沿わせてクランプ46を時計方向に回動させて引張り媒体40を固定する。
【0072】
上述したウェビングの巻取が終り、その後、衝突時の乗員の移動によりウェビングが引出されると巻取りリール22がウェビング引出し方向に回転させられる。この回転がスリーブ44aを介してリトラクタシャフト24に伝達され、今度は該シャフト24を引出し方向に回転させる。このとき、図25におけるシャフト24の右側は緊急ロック機構14によってウェビング引出し方向の回転を阻止されているので、前述したように、ねじりシャフト24aがねじられ塑性変型する。
【0073】
リトラクタシャフト24がウェビング引出し方向に回転すると、リトラクタシャフト24に結合しているプーリ44cが逆方向に回転して、引張り媒体をプーリ44cの外周に巻上げ(巻付け)、引張り媒体40を介して転動体36を初期位置方向に押戻す。
【0074】
転動体36が、図35に示されるように、図34に示される転動体36の初期位置よりも更に押戻されると、転動体36によってクランプ46に与えられていた付勢力がなくなるため、クランプの上端側が移動可能となり、クランプの解除状態となる。引張り媒体40の一端がクランプから外れると、クラッチ44の回転を制限するものがなくなり、クラッチ44に結合したリトラクタシャフト24の更なる回転が許容される。
【0075】
図36乃至図38は、他のクランプの例を示している。このクランプは、てこの原理を利用してクランプを解除する。
【0076】
図36に示すように、クランプ48は、「く」の字状に形成され、中央部が軸48bによってハウジング26に回動自在に軸支されている。図36に示す初期状態や、図37に示すプリテンショナの作動状態では、転動体36によって与えられる負荷Fがクランプ48の上側に印加される。クランプ48は支点である軸48bを中心として時計回り方向に回転しようとし、クランプ48の下側の歯山48aを引込み部材40に噛み込ませる(図37)。
【0077】
また、図38に示すように、上述のようにウェビングが引出されて転動体36が初期位置よりも更に押戻されると、転動体36によってクランプ48に与えられていた付勢力がなくなるため、クランプ48が引張り媒体40の保持を解除する方向(反時計方向)に回転する。引張り媒体40は、クランプ48から開放され、更に、リトラクタシャフトのウェビング引出し方向の回転を許容する。
【0078】
図40及び図41は、引張り媒体40のダメージを減らすようにした例を示している。図40は、プリテンショナの断面図であり、図41は、図40におけるF−F方向におけるハウジング26の断面図である。この例では、転動体36による引張り媒体40のラジアル方向の押圧ダメージを減らすため、移動体通路38bに沿って溝を形成する。すなわち、クランプ46の内側面、ハウジング26の内周に周方向の溝26bが形成される。この溝26bの中に引張り媒体40を収め、転動体36を移動体通路38bに直接接して移動させる。それにより、引張り媒体40が転動体36と移動体通路38bとに挟まれることが回避される。
【0079】
なお、既述した図36乃至図38の例においても、溝26bがハウジング26の移動体通路38b、クランプ48の内側面に形成されている。それにより、引張り媒体40が挟まれて受けるダメージを減じている。
【0080】
溝26bには、必要により、樹脂、ゴム、ゲル等を被覆あるいは塗布し、引張り媒体のダメージを更に軽減することができる。
【0081】
図42は、転動体36による引張り媒体40へのダメージを減らす例を示している。この例では、先頭の転動体36と引張り媒体40との相互間に衝撃吸収部材41を設けている。衝撃吸収部材41は、火薬の点火によって生ずる急激なガス膨張によって押出された転動体36が、引張り媒体40に与える衝撃を吸収緩和するものである。衝撃吸収部材41は、樹脂、ゴム等によって形成される。
【0082】
図43及び図44は、転動体36の回転方向の移動を安定させる例を示している。図43は、プリテンショナの断面図であり、図44は、図43のG−G方向における断面図である。この例では、転動体36と引張り媒体40との間に間材43を設けている。間材43は、帯状の薄膜で転動体の外周が接し、パイプ74内部、引出し媒体40に沿って配置される。これにより、転動体を回転方向に円滑に移動させる。間材43は、衝撃を吸収するステンレス板、鋼板、高強度の樹脂等の柔軟な材質で形成される。
【0083】
次に、押出し部材42の他の例について説明する。
【0084】
図45に示す押出し部材の例では、角柱状のシール部材42bの上部面(転動体側)には、2つの弾性部42eが形成されている。弾性部42eはゴム、プラスチック、樹脂等の弾性体からなり、丸い転動体に36に対応して、互いに平行に形成された二条の突起部からなる。この弾性部42eは、車両の振動による転動体36の車両進行方向の動きを抑制し、音の発生を防止する。
【0085】
図46及び図47に示す押出し部材の例では、押出し部材42の、パイプ74の内面(シリンダ部)と密着する外周に、該外周を一周する複数の環状突起42fを形成している。この押出し部材42をパイプ74のシリンダに挿入すると、環状突起42fが潰れて変形し、押出し部材42とシリンダとの密着性が向上する。
【0086】
図48乃至図50に示す押出し部材は、ガス抜き用の穴を備えている。図48に示す押出し部材42の上面と下面間には、貫通口(細管)42gが形成されている。また、上面には、転動体36と貫通口42gの開口部との間に残圧ガスを逃す隙間を作るスリット42hが形成されている。
【0087】
図49は、このような細管を備える押出し部材42の例を説明する斜視図である。この例では、押出し部材42は、シール部材42bと、上部部材42iとからなる。シール部材42bは、中央部上下方向に筒状に空間(貫通口)が形成されている。上部部材42iは、上面にスリット42hが形成され、下面中央に筒状の突起が形成された縦断面が「T」型の部材である。このスリット42hの中央部から突起下面に至る貫通口(細管)42gが形成されている。上部部材42iは、例えば、金属や耐熱プラスチック(樹脂)によって形成される。シール部材42bも耐熱性の弾性体によって形成される。上記筒状突起がシール部材42bの貫通口に嵌入され、細管付押出し部材42が組立てられる。
【0088】
図50は、細管42gの機能を説明する図である。前述したように、リトラクタシャフト24が捻れてウェビングを引出し可能とする状態では、転動体36は、シリンダ内に戻るように移動する。押出し部材42が初期位置方向へ戻ろうとすると、膨張室内30の燃焼ガスの残圧が押出し部材42の戻りを妨げる。そこで、押出し部材42の細管42gを介して、ガス抜きスリット42hから残圧ガスをシリンダ側に放出し、転動体36、押出し部材42の戻りを円滑にする。
【0089】
図52は、図26に示すパイプを用いたプリテンショナの例に、図12に示す押出し部材42を組合わせた例を説明する断面図である。
【0090】
この例では、転動体36の直線通路はパイプ74によって構成されて、押出し部材42をピストンとするシリンダとなっている。シリンダはガス圧を保持して転動体を移動させる役割を担っている。押出し部材42は、断面四角形のパイプ74に対応して四角形の、ピストン(プレート)42a、シール部材42b、によって構成されている。シール部材42bの中央には穴42cが形成されている。シール部材42bは、ゴム、樹脂等の可塑性のものが使用される。ピストン42aは、鉄、硬質プラスチック等のシール部材42bよりも堅いもの(剛体)が選択される。図13及び図14を参照して説明したように、この例でも、押出し部材42をガス圧力によって変形させて、転動体36を移動させる際の直線通路38aにおけるガス漏れに対するシール性が高められる。
【0091】
また、図53に示すように、パイプ内の押出し部材に、図15及び図16に示される、ピストン42aの中央部にテーパを有する突起部(円錐台部)42dが形成された、押出し部材42を使用することが出来る。この場合も突起部42dのテーパによってシール部材42bが中心から外方に向って押し広げられ、ガス漏れのシール性が向上する。
【0092】
なお、図17乃至図20に示す実施例においても、引張り媒体40の一端部にクランプ46の噛み込みを良くするために鋳込みによる被覆40aを形成することが出来る。
【0093】
また、その他の変形が既述の実施の形態に加えられることが妨げられるものではない。
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るプリテンショナを備えるシートベルト装置は、ハウジングあるいはパイプに設けられた通路に移動可能に収容された移動体と、移動体に圧力を加え、当該移動体を移動させる圧力印加装置と、移動体に係合して移動体の運動距離よりも多く引き出され、移動体の運動を周回運動に変えて回転トルクを発生させる引っ張り媒体による増速機構と、回転トルクを巻取軸に伝達し、当該巻取軸をウェビングの巻取り方向に回転させるクラッチ装置とを備えているため、圧力により押し出される移動体の移動ストロークが短くても、ウェビング巻取りのための十分なリトラクタシャフトの回転量を発生させて、ストローク長が長いときと同等のウェビング巻取り機能を得る一方で、全体構造を小型化および簡素化させて、車載の容易化を図るとともに製造コストを低減させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】シートベルト装置のリトラクタ装置をリトラクタ軸方向外側から見た一部断面図である。
【図2】このリトラクタ装置に設けられたプリテンショナを説明する断面図である。
【図3】プリテンショナに使用されるクラッチ44を説明する分解斜視図である。
【図4】クラッチ44の初期状態を説明する説明図である。
【図5】クラッチ44の動作(連結)状態を説明する説明図である。
【図6】転動体36の初期状態を説明する説明図である。
【図7】転動体36の移動とクラッチ44の動作を説明する説明図である。
【図8】転動体36の初期状態とクランプ46のクランプ動作とを説明する説明図である。
【図9】転動体36の戻り位置とクランプ46のクランプ解除とを説明する説明図である。
【図10】転動体36を説明する説明図である。
【図11】先頭の転動体36の例を説明する説明図である。
【図12】他の押出し部材42の例を説明する断面図である。
【図13】他の押出し部材42の例(初期状態)を説明する断面図である。
【図14】他の押出し部材42の例(動作状態)を説明する断面図である。
【図15】更に他の押出し部材42の例(初期状態)を説明する断面図である。
【図16】更に他の押出し部材42の例(動作状態)を説明する断面図である。
【図17】一つの移動体64を用いたプリテンショナの例を説明する説明図である。
【図18】移動体64を用いたプリテンショナが動作した例を説明する説明図である。
【図19】移動体64によるクランプ状態を説明する説明図である。
【図20】移動体64によるクランプ開放状態を説明する説明図である。
【図21】移動体64の例を説明する説明図である。
【図22】移動体64の一部断面を説明する説明図である。
【図23】押出し部材62の寸法例を説明する説明図である。
【図24】移動体64の周回通路38aの寸法例を説明する説明図である。
【図25】リトラクタ装置のプリテンショナにパイプを用いた例をリトラクタ軸方向外側から見た一部断面図である。
【図26】L型のパイプを用いたプリテンショナの例を説明する断面図である。
【図27】L型のパイプを説明する斜視図である。
【図28】L型のパイプの軸方向における断面図である。
【図29】クラッチ44を分解して説明する斜視図である。
【図30】クラッチ44の動作を説明する説明図である。
【図31】クラッチ44の動作を説明する説明図である。
【図32】クラッチ44の動作を説明する説明図である。
【図33】クラッチ44の動作を説明する説明図である。
【図34】クランプ46及び引張り媒体40の被覆40aを説明する説明図である。
【図35】クランプ46の動作を説明する説明図である。
【図36】クランプとしててこの原理を利用したクランプ48の例を説明する説明図である。
【図37】クランプ48の動作を説明する説明図である。
【図38】クランプ48の動作を説明する説明図である。
【図39】転動体36として中空(円筒)のコロを使用する例を示す斜視図である。
【図40】引張り媒体を溝に収納する例を説明する説明図である。
【図41】引張り媒体40を溝に収納する例を説明する図40のA−A方向における断面図である。
【図42】引張り媒体40と転動体(移動体)36との間に衝撃緩和部材41を設けた例を説明する説明図である。
【図43】転動体を転動体通路に沿って円滑に移動させるために間材43を設ける例を説明する説明図である。
【図44】図43のB−B方向における断面図である。
【図45】転動体のがたつきを軽減する押出し部材の例を説明する斜視図である。
【図46】押出し部材に、その周囲を一周する突起を複数形成してシール効果を高めた例を説明する斜視図である。
【図47】突起の変形によるシール効果を説明する説明図である。
【図48】押出し部材にガス抜き穴を形成してパイプ内の残圧を逃し、転動体36の戻りを容易にする例を説明する斜視図である。
【図49】ガス抜き穴を有する押出し部材の組立例を説明する斜視図である。
【図50】ガス抜き穴を有する押出し部材の動作を説明する説明図である。
【図51】押出し部材とパイプとの寸法関係を説明する説明図である。
【図52】パイプとガス圧によって外方に広がるシール部材とを組合わせた例を説明する説明図である。
【図53】パイプとテーパを有する突起によってシール部材が外方に広がるシール部材とを組合わせた例を説明する説明図である。
【符号の説明】
10 リトラクタ
12 プリテンショナ
24 リトラクタシャフト
26 ハウジング
28 蓋体
32 加圧ガス発生装置(圧力印加装置)
36 転動体
38 移動体通路
38a 移動体通路(シリンダ部)
40 引張り媒体
42 押出し部材
44 クラッチ装置
46 クランプ部材
64 移動体
62 押出し部材

Claims (3)

  1. 圧力室と圧力室に連通する移動体通路とを含むハウジングと、
    前記ハウジングに備えられて前記圧力室に高圧力のガスを発生する圧力印加装置と、
    前記移動体通路内に配置される移動体と、
    前記高圧力を受けて前記移動体を移動させる押出し部材と、
    リトラクタ軸と同軸に配置されて、外周が一方向に回転すると、前記リトラクタ軸と連結するクラッチと、
    前記クラッチの外周に一端が取付けられてこれに巻回され、他端が前記移動体に係合して前記ハウジングに取付られる引張り媒体と、を備え、
    前記引張り媒体の他端は、前記移動体の配置位置によって解除が制限されるクランプによって固定される、プリテンショナ機構を含むリトラクタを備えるシートベルト装置。
  2. 圧力室と圧力室に連通する移動体通路とを含むパイプと、
    前記パイプに備えられて前記圧力室に高圧力のガスを発生する圧力印加装置と、
    前記パイプを固定しているハウジングと、
    前記移動体通路内に配置される移動体と、
    前記高圧力を受けて前記移動体を移動させる押出し部材と、
    リトラクタ軸と同軸に配置されて、外周が一方向に回転すると、前記リトラクタ軸と連結するクラッチと、
    前記クラッチの外周に一端が取付けられてこれに巻回され、他端が前記移動体に係合して前記ハウジングに取付られる引張り媒体と、を備え、
    前記引張り媒体の他端は、前記移動体の配置位置によって解除が制限されるクランプによって固定される、プリテンショナ機構を含むリトラクタを備えるシートベルト装置。
  3. 圧力室と圧力室に連通する移動体通路とを含むハウジングと、
    前記ハウジングに備えられて前記圧力室に高圧力のガスを発生する圧力印加装置と、
    前記移動体通路内に配置される移動体と、
    前記高圧力を受けて前記移動体を移動させる押出し部材と、
    リトラクタ軸と同軸に配置されて、外周が一方向に回転すると、前記リトラクタ軸と連結するクラッチと、
    前記クラッチの外周に一端が取付けられてこれに巻回され、他端が前記移動体に係合して前記ハウジングに取付られる引張り媒体と、を備え、
    前記移動体通路はリトラクタ軸を中心とする略円周上に前記クラッチを周回するように形成され、前記移動体は前記移動体通路に適合する形状の単一体で形成された、プリテンショナ機構を含むリトラクタを備えるシートベルト装置。
JP33351499A 1999-03-04 1999-11-24 シートベルト装置 Expired - Lifetime JP4246865B2 (ja)

Priority Applications (6)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP33351499A JP4246865B2 (ja) 1999-03-04 1999-11-24 シートベルト装置
DE10066389A DE10066389B4 (de) 1999-03-04 2000-03-03 Sicherheitsgurtsystem
DE2000110379 DE10010379B4 (de) 1999-03-04 2000-03-03 Sicherheitsgurtsystem
US09/518,274 US6446897B1 (en) 1999-03-04 2000-03-03 Seat belt system
DE10066249A DE10066249B4 (de) 1999-03-04 2000-03-03 Sicherheitsgurtsystem
DE10066247A DE10066247B4 (de) 1999-03-04 2000-03-03 Sicherheitsgurtsystem

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5709199 1999-03-04
JP11-57091 1999-03-04
JP33351499A JP4246865B2 (ja) 1999-03-04 1999-11-24 シートベルト装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2000313314A JP2000313314A (ja) 2000-11-14
JP4246865B2 true JP4246865B2 (ja) 2009-04-02

Family

ID=26398106

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP33351499A Expired - Lifetime JP4246865B2 (ja) 1999-03-04 1999-11-24 シートベルト装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4246865B2 (ja)

Families Citing this family (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4666445B2 (ja) * 2001-08-09 2011-04-06 タカタ株式会社 プリテンショナおよびこれを備えるシートベルトリトラクタ
JP5126575B2 (ja) * 2007-05-01 2013-01-23 オートリブ ディベロップメント エービー ウェビング巻取り装置
JP5246635B2 (ja) * 2007-05-01 2013-07-24 オートリブ ディベロップメント エービー ウェビング巻取り装置
DE102007063461A1 (de) * 2007-12-20 2008-05-29 Takata-Petri Ag Gurtaufroller mit Strafferantrieb
JP5680285B2 (ja) * 2009-05-01 2015-03-04 タカタ株式会社 プリテンショナ、これを有するシートベルトリトラクタおよびこれを備えたシートベルト装置
DE102010018512A1 (de) * 2010-04-27 2011-10-27 Autoliv Development Ab Straffervorrichtung für einen Sicherheitsgurt
JP5449064B2 (ja) * 2010-07-15 2014-03-19 株式会社東海理化電機製作所 プリテンショナ機構
JP2012025207A (ja) * 2010-07-20 2012-02-09 Ashimori Industry Co Ltd シートベルト用リトラクタ
JP2013244885A (ja) * 2012-05-28 2013-12-09 Ashimori Industry Co Ltd シートベルト用リトラクタ
JP2014218189A (ja) * 2013-05-09 2014-11-20 タカタ株式会社 プリテンショナーおよびこれを備えたシートベルト装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2000313314A (ja) 2000-11-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6446897B1 (en) Seat belt system
US5794876A (en) Seat belt retractor with pretensioner
CN110546044B (zh) 包括气体释放开口的安全带预紧式卷收器组件
EP3199411B1 (en) Pretensioner, retractor, and seatbelt apparatus
US6663037B2 (en) Pretensioner
KR102615602B1 (ko) 시트벨트 프리텐셔닝 리트랙터 조립체
US7124974B2 (en) Seat belt retractor
CN110520336A (zh) 包括活塞安全阀构件的安全带预紧式卷收器组件
JP4246865B2 (ja) シートベルト装置
JP6893263B2 (ja) リトラクタプリテンショナアセンブリ
US20060237569A1 (en) Seatbelt retractor
US5489072A (en) Seat belt retractor with pre-tensioner
WO2021153022A1 (ja) プリテンショナ、リトラクタ及びシートベルト装置
JP2023525699A (ja) リトラクタプリテンショナアセンブリ
JP4526149B2 (ja) シートベルト装置
JP2020132152A (ja) リトラクタプリテンショナアセンブリ
JP4248106B2 (ja) シートベルト装置
JP2008273446A (ja) ウェビング巻取り装置
JPH11208415A (ja) シートベルトリトラクタ用プリテンショナ
JP4680421B2 (ja) シートベルト装置
JPS63212151A (ja) 安全ベルトの緊急巻取り装置
EP3366527A1 (en) Webbing winding device
JPH0492748A (ja) プリロード装置
JP2002145012A (ja) シートベルトリトラクタ
CN111344196B (zh) 带实心体驱动装置的安全带张紧器

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060608

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060616

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20070420

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070807

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20080229

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080828

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080829

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20081024

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20081225

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090109

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4246865

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120116

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130116

Year of fee payment: 4

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140116

Year of fee payment: 5

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term