JP4245921B2 - 環状ホルマールの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルキレングリコールとホルムアルデヒド誘導体とを反応させることにより環状ホルマールを製造する方法に関し、特に、反応工程で副生する不純物の量を低減することができる環状ホルマールの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
環状ホルマールとしては、例えば、1,3−ジオキソラン、1,4−ブタンジオールホルマール、ジエチレングリコールホルマール、4−メチル−1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキサン、1,3,5−トリオキセパン等が知られており、従来、グリコールとアルデヒドとの環化反応や、アルキレンオキシドとアルデヒドとの環化反応により製造されている。
代表的な環状ホルマールである1,3−ジオキソランの製法としては、以下のような方法が提案されている。
西ドイツ特許第1914209号明細書には、酸触媒の存在下でエチレングリコールとホルムアルデヒドとを反応させることにより、7%の水分を含む1,3−ジオキソランを96.5%の収率で得られることが記載されている。
【0003】
ソ連特許第434737号明細書には、酸触媒の存在下でエチレングリコールとトリオキサン(含水)を反応させ、反応混合物をベンゼンで抽出し、さらに、苛性ソーダ溶液による洗浄と精留を行うことにより、高純度の1,3−ジオキソランが得られることが記載されている。
特開昭49−62469号公報には、酸触媒の存在下でエチレングリコールとパラホルムアルデヒドを反応させ、反応蒸留液にシクロヘキサンを添加し、精留することにより、高純度の1,3−ジオキソランが得られることが開示されている。
しかしながら、発明者が検討したところ、グリコールとホルムアルデヒドとを原料とする環状ホルマールの製造方法において、蒸発缶タイプの反応器を用いて両者を反応させ、反応後の蒸気を連続的に取り出した場合、得られた留出液には、環状ホルマールの他に、反応工程で副生した不純物および未反応原料(特に、ホルムアルデヒド)がかなり多量に含まれていることが判明した。
【0004】
環状ホルマールは水と共沸しやすいという性質を有しており、さらに、得られた環状ホルマールに不純物およびホルムアルデヒド等が混入すると、反応工程の次工程である環状ホルマールの精製工程は、一層煩雑化且つ複雑化したものとなる。例えば、原料としてエチレングリコールおよびトリオキサンを用い、1,3−ジオキソランを製造しようとする場合、副生する水以外に、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、メタノール、2−メチル−1,3−ジオキソラン、蟻酸、1,4−ジオキサン、1,3,5−トリオキセパン等も不純物として生成し、これら全てが留出液に混入してしまう。よって、高純度の1,3−ジオキソランを得るためには、水の分離除去以外に、これら低沸点成分および高沸点成分の分離除去が別途必要となる。
【0005】
これまでの先行技術は、アルキレングリコールとホルムアルデヒド誘導体とから環状ホルマールを合成する方法について開示しているものの、反応に用いる原料の供給時と反応時における組成を制御して反応を行い、副生する不純物を抑制するという点については開示していない。また、原料であるホルムアルデヒド誘導体へのメタノールや水などの混入を避けることによって、副生する不純物を抑制する点についても、ほとんど着目されていない。例えば、環状ホルマールとして1,3−ジオキソランを製造する場合、原料であるホルムアルデヒド誘導体にメタノールやホルムアルデヒドが共存すると、両者が反応し、付加物を形成するため、蒸留によって1,3−ジオキソランから付加物を高度に分離することが困難となる。加えて、反応中、1,3,5−トリオキセパンが多量に生成し、さらに、ホルムアルデヒドも多量に留出液に混入するので、1,3−ジオキソランの収率が低下してしまう。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、アルキレングリコールとホルムアルデヒド誘導体とを反応させることにより環状ホルマールを製造する方法において、反応工程において副生する不純物の量を低減させることにより、精製工程を不要または容易とすることができる環状ホルマールの製造方法を提供することにある。
【0007】
【解決を解決するための手段】
前記課題を解決するにあたり、本発明者等は、アルキレングリコールとホルムアルデヒド誘導体を反応槽において反応させる際の最適な反応条件について検討を行った。この結果、原料であるアルキレングリコールおよびホルムアルデヒド誘導体の供給時および反応時において、アルキレングリコールとホルムアルデヒド誘導体のモル比をそれぞれ特定の範囲とすることにより、上記した不純物の生成量を低減できることを見出した。
また、上記反応条件によって生成した蒸気には、不純物およびホルムアルデヒド等が飛沫同伴することになるが、この生成した蒸気を気液接触部に供給し、希釈液と向流接触させることで、かかる蒸気への不純物およびホルムアルデヒド等の混入を大幅に抑制できることも分かった。
更に、生成蒸気から未反応のホルムアルデヒド誘導体等の高沸点成分や分解生成したホルムアルデヒドを分離除去し、さらに水を除去することで、極めて高純度の1,3−ジオキソランが得られることを見出した。
【0008】
即ち、本発明は、以下の通りのものである。
[1] アルキレングリコールとホルムアルデヒド誘導体とを原料として反応槽に供給し、該反応槽においてアルキレングリコールとホルムアルデヒド誘導体とを触媒の存在下で反応させることを含む、環状ホルマールの製造方法において、アルキレングリコールのモル量/ホルムアルデヒド換算モル量の値が、反応槽に触媒を添加した後の原料の供給時供給ラインにおいては0.6〜0.85であり、原料の反応時の反応槽内においては1.05〜50であることを特徴とする、前記製造方法。
[2] ホルムアルデヒド誘導体がトリオキサンである、前記[1]記載の製造方法。
[3] アルキレングリコールとホルムアルデヒド誘導体との反応により生成した蒸気を気液接触部に供給し、希釈液と向流接触させ、向流接触後の希釈液を反応槽に流入させることなく気液接触部から抜き出すことを更に含む、前記[1]記載の製造方法。
【0009】
[4] 気液接触部が吸収塔である、前記[3]記載の製造方法。
[5] 希釈液が純水である、前記[3]記載の製造方法。
[6] アルキレングリコールとホルムアルデヒド誘導体との反応により生成した蒸気から、高沸点成分、未反応のホルムアルデヒド誘導体および分解生成したホルムアルデヒドを分離し、分離後に得られた蒸気から水を除去することを更に含む、前記[1]記載の製造方法。
[7] アルキレングリコールとホルムアルデヒド誘導体との反応により生成した蒸気を凝縮し、凝縮液から高沸点成分、未反応のホルムアルデヒド誘導体および分解生成したホルムアルデヒドを分離し、分離後に得られた液から水を除去することを更に含む、前記[6]記載の製造方法。
【0010】
[8] 分離後に得られた液からの水の除去が、精製塔においてエチレングリコールと接触させることにより行われ、該液にはエチレングリコールとの接触の前に水が添加される、前記[6]記載の製造方法。
[9] 精製塔の塔頂部における蒸気の酸素濃度が1000volppm以下である、前記[8]記載の製造方法。
[10] 向流接触後の蒸気から、高沸点成分、未反応のホルムアルデヒド誘導体および分解生成したホルムアルデヒドを分離し、分離後に得られた液から水を除去することを更に含む、前記[3]記載の製造方法。
【0011】
[11] 向流接触後の蒸気を凝縮し、凝縮液から高沸点成分、未反応のホルムアルデヒド誘導体および分解生成したホルムアルデヒドを分離し、分離後に得られた液から水を除去することを更に含む、前記[10]記載の製造方法。
[12] 分離後に得られた液からの水の除去が、精製塔においてエチレングリコールと接触させることにより行われ、該液にはエチレングリコールとの接触の前に水が添加される、前記[10]記載の製造方法。
[13] 精製塔の塔頂部における蒸気の酸素濃度が1000volppm以下である、前記[12]記載の製造方法。
[14] 環状ホルマールが1,3−ジオキソランである、前記[1]〜[13]のいずれかに記載の製造方法。
に関する。
【0012】
【発明の実施の形態】
まず、本発明の環状ホルマールの製造方法で用いられる原料について説明する。
アルキレングリコールとしては、式R(OH)2で表されるものを用いることができる。ここで、Rは直鎖または分岐鎖のアルキレン基である。例えば、環状ホルマールとして1,3−ジオキソランを製造する場合には、エチレングリコールが用いられる。同様に、1,4−ブタンジオールホルマールを製造する場合には1,4−ブタンジオールを、ジエチレングリコールホルマールを製造する場合にはジエチレングリコールを、4−メチル−1,3−ジオキソランを製造する場合には1,2−プロパンジオールを、1,3−ジオキサンを製造する場合には1,3−プロパンジオールを、1,3,6−トリオキソランの場合には2−(ヒドロキシメトキシ)エタノールを、それぞれ用いることができる。
【0013】
また、ホルムアルデヒド誘導体としては、高純度ホルムアルデヒド、トリオキサン、テトラオキサンまたはポリアセタール等が挙げられる。なお、本発明においては、原料として用いられるホルムアルデヒド誘導体は1種類に限られず、複数のホルムアルデヒド誘導体を併用してもかまわない。
ホルムアルデヒド誘導体としては、特に、高純度のトリオキサンを用いることが好ましい。これは、高純度に精製されたトリオキサンは融点が64℃付近にあり、加温により液状の物質として扱えるため、補充や抜き出しといった取り扱いが容易であり、また、酸により分解して容易に高純度のホルムアルデヒドを得ることができるためである。高純度のトリオキサンは、例えば、特許第2916953号公報(国際公開第96/22986号パンフレット)等に記載された精製を行うことにより、容易に得ることができる。なお、市販のホルマリンには水およびメタノールが、また、市販のパラホルムアルデヒドにはメタノールが含まれているため、反応工程において不純物が生成しやすい。
【0014】
次に、本発明において用いられる触媒としては、酸性触媒が好ましい。例えば、硫酸、りん酸等の鉱酸、ヘテロポリ酸、メタスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、ナフタリンスルホン酸等の脂肪族あるいは芳香族スルホン酸、イオン交換樹脂、イオン交換繊維、イオン交換膜、ゼオライト、シリカアルミナ等の個体酸が挙げられる。触媒は単独で用いても良いし、複数のものを併用してもかまわない。
なお、製造装置の連続運転中、触媒の抜き出しや補充が容易にできるという点から、触媒としては液状のものを用いることが好ましい。中でも、硫酸は、有機酸に比べてトリオキサン等のホルムアルデヒド誘導体の分解速度が極めて速く、加えて液状であるため、特に好ましい。
触媒の濃度は選択する触媒によって異なるが、硫酸を用いた場合は、反応時における反応槽内の液量に対して0.1〜30重量%とすることが好ましく、より好ましくは1〜20重量%である。
【0015】
続いて、本発明の製造方法について説明する。
本発明においては、上記したアルキレングリコールおよびホルムアルデヒドを原料として反応槽に供給し、上記した触媒の存在下で反応させ環状ホルマールを製造する。本発明における環状ホルマールの製造は、通常は連続方式で行われるが、バッチ方式であってもかまわない。
具体的には、まず、原料であるアルキレングリコールおよびホルムアルデヒド誘導体を所定の組成で反応槽に仕込んでおき、次いで、ここに、アルキレングリコールおよびホルムアルデヒド誘導体を更に供給し、上記した触媒の存在下及び所定の反応条件下で両者を反応させ目的とする環状ホルマールを製造する。ここで、反応槽内における原料の組成は、反応中一定の値に近づいていき、ある一定の組成で安定する。本発明においては、アルキレングリコールおよびホルムアルデヒド誘導体の組成が、反応中において安定し一定となった時を「反応時」としている。
【0016】
そして、本発明においては、原料であるアルキレングリコールおよびホルムアルデヒド誘導体の供給時における組成(モル比)、並びにアルキレングリコールおよびホルムアルデヒド誘導体の反応時における組成(モル比)が重要となる。
なお、アルキレングリコールおよびホルムアルデヒド誘導体の仕込み時における組成がどのようなものであっても、アルキレングリコールおよびホルムアルデヒド誘導体の供給時における組成および反応条件(温度、圧力、触媒濃度等)に依って、アルキレングリコールおよびホルムアルデヒド誘導体の反応時における組成は一定の組成に収束する。
【0017】
すなわち、本発明の製造方法において、アルキレングリコールおよびホルムアルデヒド誘導体の供給時には、ホルムアルデヒド誘導体のホルムアルデヒド換算モル量がアルキレングリコールのモル量に対して過剰でなければならない。つまり、本発明では、アルキレングリコールのモル量/ホルムアルデヒド換算モル量の値を0.02〜0.95とする必要があり、さらに好ましくは0.05〜0.90である。上記に示す特定のモル比にすることにより、ホルムアルデヒド誘導体のロスを軽減し、また、得られる環状ホルマールの収率を高度に維持することが可能となる。
【0018】
一方、原料の反応時には、供給時とは逆に、アルキレングリコールのモル量が、ホルムアルデヒド誘導体のホルムアルデヒドの換算モル量に対して過剰でなければならない。つまり、本発明では、アルキレングリコールのモル量/ホルムアルデヒド換算モル量の値を1.05〜50とする必要があり、さらに好ましくは1.5〜20である。上記に示す特定のモル比にすることにより、副反応の原因となる余剰のホルムアルデヒドを少なくし、これにより反応工程におけるホルムアルデヒド起因の不純物の生成を抑制することができ、また、得られる環状ホルマールの収量を維持することが可能となる。なお、上述の通り、反応時におけるアルキレングリコールのモル量/ホルムアルデヒド換算モル量の値は、供給時におけるアルキレングリコールのモル量/ホルムアルデヒド換算モル量の値及び反応条件を調整することにより、望ましい範囲とすることができる。
【0019】
ここで、ホルムアルデヒド誘導体のホルムアルデヒド換算モル量とは、原料の供給時(反応時)に存在するホルムアルデヒド誘導体をホルムアルデヒドに換算したモル量(例えば、ホルムアルデヒド誘導体としてトリオキサンを用いた場合、トリオキサン1モルは、ホルムアルデヒドに換算して「3モル」とする)と、ホルムアルデヒド誘導体の酸による分解により生成したホルムアルデヒドのモル量とを合計したモル量をいう。
供給時および反応時におけるアルキレングリコールとホルムアルデヒド誘導体のモル比を特定の範囲とすることにより、反応工程における不純物の生成を抑制することが可能となる。本発明の製造方法により、1,3−ジオキソランを製造する場合を例にとると、アセトアルデヒド、メタノール、2−メチル−1,3−ジオキソラン、蟻酸、1,4−ジオキサン、1,3,5−トリオキセパン等の不純物の生成を大きく抑制することが可能となる。
【0020】
アルキレングリコールおよびホルムアルデヒド誘導体を触媒の存在下で反応させる際の温度条件は、用いる原料および触媒によっても異なるが、環状ホルマールの生成反応を進行させ、所定の環状ホルマール収量および収率を維持できる温度範囲にする必要がある。更に、かかる温度範囲内であれば、不純物の生成を低減させるため、より低い温度で反応を行うことが好ましい。1,3−ジオキソランを製造する場合を例にとると、アセトアルデヒドや2−メチル−1,3−ジオキソラン等の不純物の生成を抑制するため、反応温度は70〜150℃とすることが好ましく、さらに好ましくは90〜120℃である。
また、反応槽内の圧力は、上記反応温度において環状ホルマールおよび水の大部分が蒸発できる圧力とすることが好ましく、常圧または減圧の何れでもよい。
さらに、平均滞留時間は、10〜500分が好ましく、さらに好ましくは20〜200分である。なお、平均滞留時間とは、以下のように定義される。
平均滞留時間(hr)=反応槽内液量(L)/供給液量(L/hr)
【0021】
本発明を行うための装置については特に制限はないが、例えば、図1に示すような、反応槽1と加熱用オイルバス2からなる反応装置を挙げることができる。以下に、図1に示す装置を用いた環状ホルマールの具体的な製造方法について説明する。
アルキレングリコールおよびホルムアルデヒド誘導体を所定のモル比で反応槽1に仕込み、更に触媒等も添加する。アルキレングリコールおよびホルムアルデヒド誘導体に加えて、目的とする環状ホルマールを反応槽に仕込んでおくと、反応中におけるアルキレングリコールおよびホルムアルデヒド誘導体の組成が安定し一定となるまでの時間を短縮させることができる。次いで、反応槽1を、攪拌機能を有するオイルバス2により加熱する。なお、反応槽1の加熱方式は、ジャケット方式やリボイラー等による加熱でもかまわない。
【0022】
次に、反応槽1に、アルキレングリコールおよびホルムアルデヒド誘導体を反応槽1に設けられた供給ライン11から上記した特定のモル比で供給する。図1では、アルキレングリコールおよびホルムアルデヒド誘導体を混合液Aとして供給する例を示しているが、それぞれの成分を別々の供給ラインから単独で供給してもかまわない。また、反応槽1は、必要に応じて反応槽1の内液を抜き出すライン、および触媒追添用のラインを備えていてもかまわない。なお、反応槽1は攪拌機能を有していることが好ましい。
そして、アルキレングリコールとホルムアルデヒド誘導体とを上記条件にて反応させることにより生じた蒸気Bを、蒸気の出口12から取り出すことにより、不純物の含有量が少ない環状ホルマールを得ることができる。
【0023】
このように、本発明の製造方法によれば、反応工程中における不純物の生成量を低減させることが可能となるが、アルキレングリコールおよびホルムアルデヒド誘導体の反応により生じた蒸気には、目的とする環状ホルマールの他に、不純物およびホルムアルデヒド等が飛沫同伴している。また、アルキレングリコールとホルムアルデヒド誘導体との反応に液体の酸性触媒を用いた場合、飛沫同伴した酸が生成した蒸気中に混入することもある。ここで、アルキレングリコールは酸により容易に反応するため、酸が蒸気中に混入すると、環状ホルマールにアルキル基が付加した生成物やアルキレングリコールの二量体等が不純物として生成する。
【0024】
このため、本発明においては、蒸気を気液接触部に供給し、希釈液と向流接触させることが好ましい。気液接触部を設けることにより、環状ホルマールを含む生成蒸気中に副生不純物やホルムアルデヒド等が混入するのを抑制することが可能となる。1,3−ジオキソランを製造する場合を例にとると、蟻酸、1,4−ジオキサン、1,3,5−トリオキセパン等の副生不純物およびホルムアルデヒド等の混入を大きく抑制することが可能となる。
また、触媒として、特に、高沸点の液体酸性触媒を用いた場合、気液接触部を設けることで、生成蒸気への酸の混入を低減することができ、次の精製工程における装置の経済性を向上させることが可能となる。
【0025】
図2に、反応槽1の出口12に気液接触部3を設けた反応装置の一例を示す。なお、気液接触部3は反応槽1とは別に、独立した塔として設けてもかまわない。
反応槽1で生成した蒸気Bは、飛沫同伴する副生不純物やホルムアルデヒド等とともに、気液接触部3の上部より供給された希釈液Yと向流接触する。これにより、副生不純物やホルムアルデヒド等の吸収および希釈を行い、反応槽1で生成した蒸気B中に存在するこれらの濃度を低下させることが可能となる。
希釈液Yは、気液接触部3の最上段31から供給される。希釈液Yの供給量は、向流接触後に塔頂34から抜き出される蒸気Cの質量に対して1〜100重量%とすることが好ましく、より好ましくは2〜50重量%である。
【0026】
希釈液Yの種類としては特に制限はなく、精製環状ホルマールやアルキレングリコール等のように、希釈液Yの沸点が、製造しようとする環状ホルマールの沸点より高く、飛散混入したときでも後工程に大きな影響を及ぼさない物質であれば何れでもよい。
本発明においては、希釈液Yとして、純水を用いることが好ましい。これは、経済性が優れているだけでなく、不純物の生成に大きく影響を及ぼすホルムアルデヒドの吸収能が高いためである。さらに、純水は、全ての溶存酸素を低減した脱気純水であることが好ましい。
また、希釈液Yの温度は、5〜45℃とすることが好ましく、10〜35℃とすることがより好ましい。
【0027】
気液接触によって不純物等を含んだ希釈液Zは、気液接触部3の上部から下部に流下してくるが、反応槽1に流入させることなく気液接触部3の最下段33から抜き出すことが必要である。この不純物等を含んだ希釈液Zを反応槽1に流入させることなく抜き出すことで、反応槽1内への不純物等の混入および濃縮を抑制することが可能となる。
気液接触部3において不純物等の低減を効率的に行うためには、気液接触部3として吸収塔を用いることが好ましく、棚段型の吸収塔を用いることがより好ましい。例えば、バルブキャップトレイ、ユニフラックストレイ、バルブトレイ、ナッターバルブトレイ、バラストトレイ、シーブトレイ、ベンチュリトレイ等あらゆる形式を採用することが可能である。オールダーショウを用いた場合、この吸収塔の棚段数は1段以上、好ましくは3段以上である。一方、段数を増加していくと、設備費が増加し経済性を低下するため、オールダーショウを用いた場合の棚段数は20段以下、さらには15段以下とすることが好ましい。
【0028】
図3に、棚段型の吸収塔を用いた向流接触の一例を示す。また、図4には、図3に示した吸収塔内において、アルキレングリコールおよびホルムアルデヒド誘導体の反応を硫酸(触媒)を用いて行った場合に生じた蒸気を希釈液と向流接触させた際の、各棚段における硫酸濃度の変化を示す。
図3に示した吸収塔は、塔径が500φ、段数が3段の棚段塔である。蒸気Bは、反応槽1におけるアルキレングリコールおよびホルムアルデヒド誘導体の反応により生じた蒸気であり、棚段塔の最上段31から供給される希釈液Yは純水である。蒸気Bは各棚段で供給された希釈液Yと向流接触し、塔頂34から蒸気Cとして抜き出される。蒸気Bと接触した後の副生不純物、ホルムアルデヒドおよびアルキレングリコール等を含んだ希釈液Zは、3段目である最下段33より抜き出される。
【0029】
このとき、各棚段での硫酸の濃度は、図4のグラフに示すように、3段目(最下段33)では10000ppm(1%)であったものが、1段目(最上段31)では20ppmにまで低下する。なお、図4では、高沸点不純物の代表として硫酸濃度の変化を各棚段について示したが、その他の高沸点不純物についても同様に低下する。
上記した本発明の環状ホルマールの製造方法を用いると、含有する副生不純物およびホルムアルデヒド等を大幅に低減させることができるため、用途によってはこれ以上精製することなく、各種用途に直接使用可能な環状ホルマールを得ることができる。また、得られた環状ホルマールを更に精製し、不純物の含有量が著しく少ない環状ホルマールにする場合であっても、本発明の製造方法を用いることで、環状ホルマールの精製工程を容易にすることが可能となる。
【0030】
ここで、精製工程においては、得られる環状ホルマールから水を分離することができ、また、副生不純物やホルムアルデヒド等の濃度を低下させることも可能となる。1,3−ジオキソランを製造する場合を例にとると、アセトアルデヒド、蟻酸、1,4−ジオキサン、1,3,5−トリオキセパン等の不純物およびトリオキサン、ホルムアルデヒド等の濃度を大きく低下させることができる。
かかる精製工程には、アルキレングリコールおよびホルムアルデヒド誘導体の反応により生成した蒸気(図1の蒸気B)を直接導入しても良いし、また、かかる蒸気を向流接触した後の蒸気(図2の蒸気C)でもよい。更に、これらの蒸気はコンデンサーにて凝縮し、凝縮液として導入することもできる。すなわち、精製工程においては、蒸気またはかかる蒸気を凝縮した凝縮液から、未反応のホルムアルデヒド誘導体等の高沸点成分や分解生成したホルムアルデヒドが分離除去され、さらに水も除去され、高純度の1,3−ジオキソランが得られることとなる。
このような環状ホルマールを更に精製する方法には、特に制限はなく、目的とする程度まで不純物を分離することができる方法であれば、何れの方法を採用してもよい。一般には蒸留、共沸蒸留、抽出蒸留、塩析等の方法が用いられる。
【0031】
図5を用い、好ましい精製工程の一例について説明する。この図には、精製装置として蒸留設備が示されており、精製装置は分離回収塔4と抽出精製塔7とから構成されている。なお、図5では、気液接触部3の塔頂34より抜き出された蒸気Cを、そのまま分離回収塔4に供給する形態をとっているが、上記したように、蒸気Cをコンデンサーにて凝縮し、液体(凝縮液)として分離回収塔4に移送してもかまわない。
【0032】
分離回収塔4の形式については、特に制限はなく、広く工業的に用いられる棚段塔であれば、あらゆる形式を採用することが可能である。例えば、バルブキャップトレイ、ユニフラックストレイ、バルブトレイ、ナッターバルブトレイ、バラストトレイ、シーブトレイ、ベンチュリトレイ等が挙げられる。オールダーショウを用いた場合、この分離回収塔4の棚段数は、20段以上、好ましくは30段以上である。また、分離回収塔4を充填塔とすることも可能であり、充填物に関してもリング型、サドル型、ディクソンリング、マクマホンパッキング、スプレーパック等あらゆる形式を採用することが可能である。
気液接触後の蒸気Cを分離回収塔4で純水Wと接触させることにより、高沸点成分、未反応のホルムアルデヒド誘導体や分解して生成したホルムアルデヒドを吸収分離することが可能となる。この分離されたホルムアルデヒド誘導体およびホルムアルデヒドは、塔底42から回収精製し再度利用しても良い。
【0033】
上記分離回収塔4における純水Wの供給位置は、分離回収塔4の中段以上の上部および/またはコンデンサー6と分離回収塔4の塔頂部とを結ぶ還流ライン中とすることが効率的で好ましい。また、蒸気Cの供給位置は、ホルムアルデヒドの分離効率を高めるために純水Wの供給位置より下の段とすることが好ましく、また、純水Wの供給位置より下の各々の段から供給することも可能である。
ここでの純水Wの供給量は、得られる精製環状ホルマールGの質量に対して50〜500重量%とすることが好ましく、さらに好ましくは100〜300重量%である。
分離回収塔4においては、塔底42から抜き出した水やホルムアルデヒド等の混合液(缶出液)Xの加熱をリボイラー5で行い、塔底部の温度がその圧力下における缶出液Xの沸点付近、塔頂部の温度がその圧力下における環状ホルマールの沸点付近となるように操作することが好ましい。加熱方式は、オイルバス方式やジャケット方式等による加熱でもかまわない。
【0034】
塔頂41から分離した後の蒸気Dをコンデンサー6にて冷却し、得られた凝縮液Eの一部を還流ラインを通じ分離回収塔4に戻し、残りを抽出精製塔7に供給する。ここで、(分離回収塔へ還流させる量)/(得られる環状ホルマールの量)で表される還流比は、0.1〜10の範囲とすることが好ましく、さらに好ましくは0.5〜5の範囲である。
分離回収塔4からの凝縮液Eを抽出精製塔7でエチレングリコールUと向流接触させることにより、凝縮液Eから水を高度に分離することが可能となる。
抽出精製塔7の形式についても特に制限はなく、広く工業的に用いられる棚段塔であれば、あらゆる形式を採用することが可能である。例えば、バルブキャップトレイ、ユニフラックストレイ、バルブトレイ、ナッターバルブトレイ、バラストトレイ、シーブトレイ、ベンチュリトレイ等が挙げられる。オールダーショウを用いた場合、この抽出精製塔7の棚段数は、30段以上、好ましくは40段以上である。また、抽出精製塔7を充填塔とすることも可能であり、充填物に関してもリング型、サドル型、ディクソンリング、マクマホンパッキング、スプレーパック等あらゆる形式を採用することが可能である。
【0035】
ここで、抽出精製塔7に凝縮液Eを供給する際に純水Vを加え、混合し、抽出精製塔7に供給する凝縮液Eの温度を下げることが好ましい。また、この供給する純水Vの量は、得られる精製環状ホルマールGの質量に対して、2〜100重量%とすることが好ましく、より好ましくは5〜50重量%である。これにより、抽出精製塔7の段数を少なくすることができ、経済的に有効である。
上記抽出精製塔7における、エチレングリコールUの供給位置は抽出精製塔7の中段以上の上部で行うことが効率的で好ましい。また、分離回収塔4からの凝縮液Eの供給位置は、抽出精製塔7の中段以下の各段およびボトムの何れも可能であるが、凝縮液Eの供給位置が下部であるほど純度の高い環状ホルマールを得ることができる。
【0036】
ここで供給されるエチレングリコールUの供給量は、得られる精製環状ホルマールGの質量に対して100〜2000重量%とすることが好ましく、さらに200〜1000重量%が好ましい。
また、水および高沸点不純物を含んだエチレングリコールは、抽出精製塔7に供給するエチレングリコールUとともに、塔底72から抜き出す。
抽出精製塔7においては、エチレングリコールと水等との混合液(缶出液)Sの加熱をリボイラー8で行い、塔底部の温度がその圧力下での缶出液Sの沸点付近、塔頂部の温度がその圧力下における環状ホルマールの沸点付近となるように操作することが好ましい。加熱方式は、オイルバス方式やジャケット方式等による加熱でもかまわない。
【0037】
抽出精製塔7の塔頂71から蒸気Fを抜き出し、この一部をコンデンサー9で冷却し、得られた凝縮液Gの一部を抽出精製塔7に戻し、残りを精製環状ホルマールとして得る。この還流比としては、0.2〜15の範囲が好ましく、さらに1〜10の範囲が好ましい。
抽出精製塔7の塔頂部における蒸気Fの酸素の濃度は、1000volppm以下とすることが好ましく、さらには800volppm以下に保つことが好ましい。これにより、精製環状ホルマールに含まれる過酸化物の生成量を著しく低下させることが可能となる。なお、蒸気Fの酸素濃度を上記好ましい範囲内にするための手段については、特に制限はなく、例えば、不活性ガスを導入する、または酸化防止剤を含む充填塔を通す等の方法が挙げられる。
【0038】
【実施例】
以下、環状ホルマールとして1,3−ジオキソランを製造した場合を例として、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定される訳ではない。先ず、実施例に先立ち、生成した蒸気の組成を測定する方法について示す。
(生成物の組成分析)
生成した蒸気の組成分析には、島津製作所製のガスクロマトグラフを使用した。各成分の定量化は絶対検量線法によって行った。分析に使用したガスクロマトグラフの詳細を表1に示す。また、蟻酸の定量は滴定により求めた。
【0039】
【表1】
Figure 0004245921
【0040】
(実施例1)
図1に示す装置を用いた。300mlの反応槽1に、エチレングリコール35g、トリオキサン1.7g(エチレングリコールのモル量/ホルムアルデヒド換算モル量=11.3)、1,3−ジオキソラン8.3g、純水45g、および硫酸10gを仕込み、これをオイルバス2により105〜115℃に保つように昇温した。また、反応槽1内の圧力は常圧とした。
次に、反応槽1にエチレングリコールとトリオキサンの混合液を連続的に供給した(エチレングリコールのモル量/ホルムアルデヒド換算モル量=0.65〜0.75)。この供給は、反応槽1の液面レベルを一定に保つように行った。
【0041】
滞留時間は1時間で、反応槽1の内液、留出蒸気の組成、および留出蒸気量等は反応開始時と大きく変わることなく安定であった(エチレングリコールのモル量/ホルムアルデヒド換算モル量=11.0〜12.0)。反応を開始してから10時間後、生成した蒸気Bを凝縮し、この凝縮液の組成を分析した。結果を表2に示す。本発明の製造方法を適用することにより、副生不純物およびホルムアルデヒド等の含有量が少ない1,3−ジオキソランを得ることができた。
【0042】
(実施例2)
実施例1と同様に、図1に示す装置を用いた。300mlの反応槽1に、エチレングリコール35g、トリオキサン5g(エチレングリコールのモル量/ホルムアルデヒド換算モル量=3.4)、1,3−ジオキソラン30g、純水20g、および硫酸10gを仕込み、これをオイルバス2により95〜105℃に保つように昇温した。また、反応槽1内の圧力は67kPaとした。
次に、反応槽1にエチレングリコールとトリオキサンの混合液を連続的に供給した(エチレングリコールのモル量/ホルムアルデヒド換算モル量=0.75〜0.85)。この供給は、反応槽1の液面レベルを一定に保つように行った。
【0043】
滞留時間は1時間で、反応槽1の内液、留出蒸気の組成、および留出蒸気量等は反応開始時と大きく変わることなく安定であった(エチレングリコールのモル量/ホルムアルデヒド換算モル量=3.0〜4.0)。反応を開始してから10時間後、生成した蒸気Bを凝縮し、この凝縮液の組成を分析した。結果を表2に示す。本発明の製造方法を適用することにより、副生不純物およびホルムアルデヒド等の含有量が少ない1,3−ジオキソランを得ることができた。
【0044】
(実施例3)
図2に示す装置を用いた。まず、実施例1と同様にして、エチレングリコールとトリオキサンとの反応を反応槽1において行った。
次に、生成した蒸気Bを吸収塔3(棚段数:5段)に供給し、蒸気Bを吸収塔3の最上段31より供給した精製1,3−ジオキソランと向流接触させ、向流接触後の蒸気Cを吸収塔の塔頂34より取り出した。供給する精製1,3−ジオキソランの量は、生成する蒸気Cに対し約10重量%とした。向流接触後の精製1,3−ジオキソランは、吸収塔3の最下段より連続的に抜き出した。
実施例1と同様に、反応開始から10時間後、得られた蒸気Cを凝縮し、この凝縮液の組成を分析した。結果を表2に示す。実施例1の方法に加え、更に気液接触部における向流接触を行うことにより、副生不純物のより少ない1,3−ジオキソランを得ることができた。
【0045】
(実施例4)
実施例3の精製1,3−ジオキソランに変えて純水を用いた以外は、実施例3と同様にして、エチレングリコールとトリオキサンとの反応を反応槽1において行い、気液接触部3において向流接触を行った。
実施例1と同様に、反応開始から10時間後、得られた蒸気Cを凝縮し、この凝縮液の組成を分析した。結果を表2に示す。実施例1の方法に加え、更に気液接触部における向流接触を行うことにより、副生不純物のより少ない1,3−ジオキソランを得ることができた。また、実施例4では、希釈液に純水を用いたことにより、希釈液に精製1,3−ジオキソランを用いた実施例3に比べ、1,3−ジオキソラン中に含まれる副生不純物の量を更に少なくすることができた。
【0046】
(実施例5)
図5に示す装置を用いた。反応槽1におけるエチレングリコールとトリオキサンとの反応条件、および気液接触部3での向流接触条件は、実施例4と同様とした。
さらに、気液接触後の蒸気Cから未反応のトリオキサンおよびホルムアルデヒドを分離するため、蒸気Cを、分離回収塔4で純水Wと、さらに抽出精製塔7でエチレングリコールUと向流接触させた。
分離回収塔4としては、オールダーショウ(棚段数:全30段)を用い、蒸気Cの供給位置は10段目とした。また、純水Wの供給量は150g/hとし、供給位置は上から5段目とし、還流比を約2.0として最上段に戻した。
【0047】
抽出精製塔7としては、オールダーショウ(棚段数:全40段)を用い、分離回収塔4からの凝縮液Eの供給段は上から30段目とし、凝縮液Eには液温を下げるために15g/hで純水Vを混合した。また、エチレングリコールUの供給量は750g/hとし、供給位置は上から25段目とし、還流比を5として最上段に戻した。
実施例1と同様に、開始から10時間後、得られた蒸気Fを凝縮し、この凝縮液の組成を分析した。結果を表2に示す。実施例1の方法に加えて、気液接触部において水との向流接触を行い、更に、分離回収塔で純水と、抽出精製塔でエチレングリコールと向流接触することにより、副生不純物含有量が著しく少ない1,3−ジオキソランを得ることができた。すなわち、実施例5においては、分離回収塔で純水と向流接触することでトリオキサンおよびホルムアルデヒドが除去され、抽出精製塔でエチレングリコールと向流接触することで水分が除去されていることが分かった。
【0048】
(実施例6)
図5に示す装置を用いた。反応槽1におけるエチレングリコールとトリオキサンとの反応条件、気液接触部3での向流接触条件、分離回収塔4および抽出精製塔7での向流接触条件は、実施例5と同様にした。但し、抽出精製塔7の塔頂71からのラインに窒素を供給し、蒸気F中の酸素濃度を1000volppm以下にした。この結果、得られた1,3ジオキソランに含まれる過酸化物の濃度を、実施例5に比べ半分以下(1ppm以下)にすることができた。
【0049】
(比較例1)
実施例1と同様に、図1に示す装置を用いた。300mlの反応槽1に、エチレングリコール35g、トリオキサン1.5g(エチレングリコールのモル量/ホルムアルデヒド換算モル量=11.3)、1,3−ジオキソラン8.5g、純水45g、および硫酸10gを仕込み、これをオイルバス2により105〜115℃に保つように昇温した。また、反応槽1内の圧力は常圧とした。
次に、反応槽1にエチレングリコールとトリオキサンの混合液を連続的に供給した(エチレングリコールのモル量/ホルムアルデヒド換算モル量=0.9〜1.0)。この供給は、反応槽1の液面レベルを一定に保つように行った。
【0050】
実施例1と同様に、反応開始から10時間後、生成した蒸気Bを凝縮し、この凝縮液の組成を分析した。結果を表2に示す。比較例1においては、原料の反応時においてエチレングリコールの濃度が上昇(エチレングリコールのモル量/ホルムアルデヒド換算モル量=70〜150)したため、反応液の沸点が上昇し、留出する蒸気量が低下することで滞留時間が長くなった。この結果、比較例1においては、副生成物および未反応のエチレングリコールの発生量が増え、さらに1,3−ジオキソランの収量が低下した。
【0051】
(比較例2)
実施例1と同様に、図1に示す装置を用いた。300mlの反応槽1に、エチレングリコール35g、トリオキサン1.5g(エチレングリコールのモル量/ホルムアルデヒド換算モル量=11.3)、1,3−ジオキソラン8.5g、純水45g、および硫酸10gを仕込み、これをオイルバス(2)により105〜115℃に保つように昇温た。また、反応槽1の圧力は常圧とした。
次に、反応槽1にエチレングリコールとトリオキサンの混合液を連続的に供給した(エチレングリコールのモル量/ホルムアルデヒド換算モル量=0.3〜0.4)。この供給は、反応槽1の液面レベルを一定に保つように行った。
【0052】
実施例1と同様に、反応開始から10時間後、生成した蒸気Bを凝縮し、この凝縮液の組成を分析した。結果を表2に示す。比較例2においては、原料の反応時においてトリオキサンの濃度が上昇(エチレングリコールのモル量/ホルムアルデヒド換算モル量=0.5〜1.0)したため、反応液の沸点が低下し、留出する蒸気量は増加した。しかし、比較例2においては、供給するトリオキサンに対して転化率が低下するため、未反応のトリオキサンが増え、収率が低下した。
【0053】
【表2】
Figure 0004245921
【0054】
【発明の効果】
本発明の製造方法によれば、アルキレングリコールとホルムアルデヒド誘導体との反応工程中において副生不純物の生成を低減できるため、不純物の含有量が少ない環状ホルマールを得ることが可能となる。このため、環状ホルマールの更なる精製を不要または容易に行うことができ、溶剤、医薬品中間体、アセタール樹脂の原料等として有効な環状ホルマールの製造方法として非常に好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、実施例1、2および比較例1、2において使用した環状ホルマールの製造装置である。
【図2】 図2は、実施例3、4において使用した環状ホルマールの製造装置である。
【図3】 図3は、本発明で用いられる気液接触部の一例である、棚段型の吸収塔を用いた場合における向流接触の様子を示す図である。
【図4】 図4は、図3で示した吸収塔において向流接触を行った場合の各段における硫酸濃度の変化を示すグラフである。
【図5】 図5は、実施例5および6において使用した環状ホルマールの製造装置である。
【符号の説明】
1 反応槽
2 オイルバス
3 気液接触部
4 分離回収塔
5、8 リボイラー
6、9 コンデンサー
7 抽出精製塔
11 供給ライン
12 蒸気の出口
31 最上段
33 最下段
34、41、71 塔頂
42、72 塔底
B、C、D、F 蒸気
E 凝縮液
G 凝縮液(精製環状ホルマール)
U エチレングリコール
V、W 純水
X、S 混合液(缶出液)
Y、Z 希釈液

Claims (14)

  1. アルキレングリコールとホルムアルデヒド誘導体とを原料として反応槽に供給し、該反応槽においてアルキレングリコールとホルムアルデヒド誘導体とを触媒の存在下で反応させることを含む、環状ホルマールの製造方法において、アルキレングリコールのモル量/ホルムアルデヒド換算モル量の値が、反応槽に触媒を添加した後の原料の供給時の供給ラインにおいては0.6〜0.85であり、原料の反応時の反応槽内においては1.05〜50であることを特徴とする、前記製造方法。
  2. ホルムアルデヒド誘導体がトリオキサンである、請求項1記載の製造方法。
  3. アルキレングリコールとホルムアルデヒド誘導体との反応により生成した蒸気を気液接触部に供給し、希釈液と向流接触させ、向流接触後の希釈液を反応槽に流入させることなく気液接触部から抜き出すことを更に含む、請求項1記載の製造方法。
  4. 気液接触部が吸収塔である、請求項3記載の製造方法。
  5. 希釈液が純水である、請求項3記載の製造方法。
  6. アルキレングリコールとホルムアルデヒド誘導体との反応により生成した蒸気から、高沸点成分、未反応のホルムアルデヒド誘導体および分解生成したホルムアルデヒドを分離し、分離後に得られた蒸気から水を除去することを更に含む、請求項1記載の製造方法。
  7. アルキレングリコールとホルムアルデヒド誘導体との反応により生成した蒸気を凝縮し、凝縮液から高沸点成分、未反応のホルムアルデヒド誘導体および分解生成したホルムアルデヒドを分離し、分離後に得られた液から水を除去することを更に含む、請求項6記載の製造方法。
  8. 分離後に得られた液からの水の除去が、精製塔においてエチレングリコールと接触させることにより行われ、該液にはエチレングリコールとの接触の前に水が添加される、請求項6記載の製造方法。
  9. 精製塔の塔頂部における蒸気の酸素濃度が1000volppm以下である、請求項8記載の製造方法。
  10. 向流接触後の蒸気から、高沸点成分、未反応のホルムアルデヒド誘導体および分解生成したホルムアルデヒドを分離し、分離後に得られた液から水を除去することを更に含む、請求項3記載の製造方法。
  11. 向流接触後の蒸気を凝縮し、凝縮液から高沸点成分、未反応のホルムアルデヒド誘導体および分解生成したホルムアルデヒドを分離し、分離後に得られた液から水を除去することを更に含む、請求項10記載の製造方法。
  12. 分離後に得られた液からの水の除去が、精製塔においてエチレングリコールと接触させることにより行われ、該液にはエチレングリコールとの接触の前に水が添加される、請求項10記載の製造方法。
  13. 精製塔の塔頂部における蒸気の酸素濃度が1000volppm以下である、請求項12記載の製造方法。
  14. 環状ホルマールが1,3−ジオキソランである、請求項1〜13のいずれか1項に記載の製造方法。
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