JP4244655B2 - 乗員拘束装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両乗員の頭部を保護する乗員拘束装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両のロール角やロール角速度などの車両の状態に基づいて横転の可能性を判断し、横転するおそれがある場合に乗員頭部を保護するエアーバックを展開するようにした乗員拘束装置が知られている。(例えば、特許文献1〜3参照)。
【0003】
この出願の発明に関連する先行技術文献としては次のものがある。
【特許文献1】
特開平11−321538号公報
【特許文献2】
特開2001−260806号公報
【特許文献3】
特開2002−302005号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、車両の横転現象においては、車両が横滑りする過程で車輪が縁石などに衝突すると、車輪を支点とするロールモーメントによりロール角速度が急激に増加して短時間で横転に至る場合がある。この種のトリップオーバーと呼ばれる横転に際しては、車両のロール方向に大きな角度や角速度が発生する前に、車輪が縁石に衝突して横滑り速度が減少したときの慣性によって、シートに着座している乗員の頭部が車体外側、すなわちドア側へ移動するため、カーテンエアーバックのスムーズな展開に障害となるという課題がある。
【0005】
本発明は、車両の衝撃発生時に乗員頭部の移動を拘束する乗員拘束装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
( ) 本発明は、車両の横方向の衝撃を検出する衝撃検出手段と、乗員頭部の車両横方向への移動を抑制する横移動抑制部と、乗員頭部の車両上下方向への移動を抑制する上下移動抑制部とを有し、車両横方向の衝撃が検出されたときに、膨張展開して乗員頭部の車室内における移動を抑制する頭部移動抑制手段とを備えた乗員拘束装置であって、車両のルーフパネルとヘッドライニングとの間に、横移動抑制部と上下移動抑制部とを一体にして車両横方向に交互に設置し、膨張展開時に、横移動抑制部は、ヘッドライニングから車室内へ突出して車両前後軸方向に平行な複数の襞状の膨張体を形成するとともに、上下移動抑制部は、ルーフパネルとヘッドライニングとの間で膨張展開する。
( ) また、本発明は、車両の横方向の衝撃を検出する衝撃検出手段と、乗員頭部の車両横方向への移動を抑制する横移動抑制部と、乗員頭部の車両上下方向への移動を抑制する上下移動抑制部とを有し、車両横方向の衝撃が検出されたときに、膨張展開して乗員頭部の車室内における移動を抑制する頭部移動抑制手段とを備えた乗員拘束装置であって、横移動抑制部と上下移動抑制部とを一体に形成して横移動抑制部の端部を車両のルーフサイドレールに固定し、横移動抑制部を車両のルーフサイドレールとルーフサイドレールガーニッシュとの間に配置するとともに、上下移動抑制部を車両のルーフパネルとヘッドライニングとの間に配置し、膨張展開時に、横移動抑制部は、ルーフサイドレールガーニッシュとヘッドライニングとの間からルーフサイドレール付近の車室内へ突出して車両横方向断面において環状に膨張展開するとともに、上下移動抑制部は、ルーフパネルとヘッドライニングとの間で膨張展開する。
【0007】
【発明の効果】
本発明によれば、車両横方向の大きな衝撃が発生したときに、乗員頭部の車室内における移動が抑制されるので、乗員頭部がカーテンエアーバックの膨張展開に際して障害とならず、車両が横転しも乗員頭部に与える衝撃を低減することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
《発明の第1の実施の形態》
図1は第1の実施の形態の構成を示す。横方向加速度センサー1は車両の横方向(左右方向)の加速度Gxを検出し、ロール角速度センサー2は車両前後軸回りのロール角速度ωを検出する。
【0009】
インフレーター3は、ルーフサイドレール・ガーニッシュ内に設置されたカーテンエアーバック21(詳細後述)を膨張展開させるためのインフレーターである。このカーテンエアーバック21は車室内の側面と乗員の頭部との間で膨張展開し、車室内側面、特に車両ドアガラス部への接触による障害から乗員の頭部を保護する。
【0010】
コンプレッサー4はエンジンの動力により圧搾空気を生成し、蓄圧タンク5に蓄える。これらのコンプレッサー4と蓄圧タンク5は、例えばエンジンルームに設置される。内圧コントロール弁6は、蓄圧タンク5から車両ルーフ部に設置されたルーフエアーバック31(詳細後述)までの配管の途中に設けられ、ルーフエアーバック31の内圧を制御する制御弁である。このルーフエアーバック31は車両ルーフと乗員の頭部との間で膨張展開し、車両ルーフへの接触による障害から乗員頭部を保護する。
【0011】
バキュームポンプ7は、膨張展開しているルーフエアーバック31の中から空気を吸い出してルーフエアーバック31を収縮させる。このルーフエアーバック31の収縮動作については後述する。
【0012】
コントローラー8はCPU8a、RAM8b、ROM8cなどを備え、横方向加速度センサー1から車両横方向加速度Gxを、ロール角速度センサー2から車両のロール角速度ωをそれぞれ入力し、後述する乗員拘束制御プログラムを実行してカーテンエアーバック・インフレーター3、内圧コントロール弁6、バキュームポンプ7を制御し、カーテンエアーバック21とルーフエアーバック31の膨張展開を制御する。イグニッションスイッチ9は、イグニッションキーがON位置に設定されるとオン(閉路)する。
【0013】
図2は、助手席に着座した乗員と車両側面に設置されたカーテンエアバックおよび車両ルーフ部に設置されたルーフエアーバックとの関係を示す車両の横断面図である。また、図3は車外の助手席ドア側から車室内を見た図、図4は車両のルーフパネルを取り外した状態で車両を真上から見た図である。これらの図により、カーテンエアーバックとルーフエアーバックについて説明する。
【0014】
車両のルーフ部11には、金属などで形成され車両の外装を構成するルーフパネル12と、このルーフパネル12の左右端部に車両の前後方向に配設され、車両の骨格を形成するルーフサイドレール13と、ルーフパネル12の前端部に車両の左右方向に配設され、車両の骨格を形成するフロントルーフレール14と、同様にルーフパネル12の後端部に車両の左右方向に配設され、車両の骨格を形成するリヤールーフレール15が設置される。
【0015】
また、車両ルーフ部11の車室内側には、車室内の内装を構成するヘッドライニング16とルーフサイドレール・ガーニッシュ17が設置され、ヘッドライニング16の端部はルーフサイドレール13とルーフサイドレール・ガーニッシュ17とで挟み込まれ、固定されている。
【0016】
カーテンエアーバック21は、車両のフロントピラー22の下縁側からルーフサイドレール13の下縁側を経てリヤーピラー23の上方側までの間に、折り畳んで収納されている。このカーテンエアーバック21は、主に前席シート24側のドアガラス部25と後席シート26側のドアガラス部27とを覆うように膨張展開し、乗員の頭部28を保護する。
【0017】
なお、以下の実施の形態では、車両の助手席と左側後部座席に着座する乗員の頭部保護を代表して説明するが、運転席と右側後部座席に着座する乗員の頭部保護も同様である。
【0018】
ルーフエアーバック31は、所定の折り畳み方で折り畳まれてシート状にされ、ルーフパネル12とヘッドライニング16との間のルーフ部11の全体にわたって格納されている。ルーフエアーバック31の車両左右方向の端部は、ヘッドライニング16とルーフサイドレール13との間に挟み込んで固定する。なお、図2および図3に示す符号29は車両のセンターピラーである。
【0019】
図5は、ルーフエアーバックが膨張展開した状態を車室外から見た図である。ルーフエアーバック31には、車両の前後方向とほぼ並行に配置される長いチャンバー32が複数本、車両の左右方向に一定間隔で設けられており、これらのチャンバー32により膨張展開したときに車両の前後方向に複数本の“ひだ”が形成される。
【0020】
図2に示すように、ルーフパネル12とヘッドライニング16との間のヘッドライニング16上には、車両の左右方向に一定間隔で複数本のリブ33が設けられており、上述した複数本のチャンバー32はリブ33とリブ33との間の溝に折り畳まれて収納されている。ルーフパネル12とリブ33との間には、ルーフエアーバック31のシート状部31aが格納されている。
【0021】
図6は、膨張展開したルーフエアーバック31のチャンバー32を示す。ルーフエアーバック31のチャンバー32は、二種類の帯状の布、すなわち伸びない布aと伸びる布bを車両前後軸方向に沿って互い違いにつなぎ合わせて形成される。チャンバー32をルーフパネル12とヘッドライニング16との間に収納する際には、二種類の布の継ぎ目を折れ線として折り畳む。チャンバー32が膨張展開したときは、b部の伸びる布が伸びた状態になる。なお、伸びない布にはエアーバックの基布を用い、伸びる布には例えばビニール素材を用いる。
【0022】
また、ヘッドライニング16のリブ33とリブ33との間の溝の中央には、図3および図4に破線で示すように車両前後方向に強度脆弱部34が設けられる。ルーフエアーバック31が膨張展開すると、チャンバー32がヘッドライニング16の強度脆弱部34を開裂して車室内に展開する。チャンバー32の膨張展開を容易にするために、ヘッドライニング16の強度脆弱部34を、リブ33とリブ33との間の溝の中央線に沿って車両前後方向に設けることが望ましい。
【0023】
特許請求の範囲の構成要素と第1の実施の形態の構成要素との対応関係は次の通りである。すなわち、衝撃検出手段として一実施の形態では横方向加速度センサー1によって構成される例を示したが、例えばロール角速度センサー2によって構成してもよい。この場合には、車両前後軸回りのロール角速度ωが予め設定した値以上になったら車両横方向に衝撃が加わったと判断する。また、ルーフエアーバック31が頭部移動抑制手段を、ルーフエアーバック31のシート状部31aが上下移動抑制部を、ルーフエアーバック31のチャンバー32が横移動抑制部をそれぞれ構成する。なお、本発明の特徴的な機能を損なわない限り、各構成要素は上記構成に限定されるものではない。
【0024】
図7は乗員拘束制御プログラムを示すフローチャートである。このフローチャートにより、第1の実施の形態の動作を説明する。コントローラー8のCPU8aは、イグニッションスイッチ9がオンしている間、この乗員拘束制御プログラムを繰り返し実行する。
【0025】
ステップ1において、まずすべての変数をリセットした後、ロール角速度センサー2によりロール角速度ωを検出し、続くステップ2でロール角速度ωの時間積分によりロール角θを演算する。なお、演算結果のロール角θは次のサイクルにおける累積角度計算のためにRAM8bに記憶しておく。ステップ3では、検出結果のロール角速度ωと演算結果のロール角度θに基づいて車両横転の可能性を判定する。
【0026】
図8は、車両前後方向軸回りのロール角度θを横軸に取り、車両前後方向軸回りのロール角速度ωを縦軸にとった場合の、車両後方から見た車両の挙動を表しており、第1象限ではロール角度θとロール角速度ωがともに右回転方向であるから横転の可能性があり、同様に第3象限ではロール角度θとロール角速度ωがともに左回転方向であるから横転の可能性がある。一方、第2象限ではロール角度θが左回転であるのに対しロール角速度ωは右回転であるから横転は発生せず、同様に第4象限ではロール角度θが右回転であるのに対しロール角速度ωが左回転であるから横転は発生しない。
【0027】
図9は、車両前後方向軸回りのロール角度θを横軸に取り、車両前後方向軸回りのロール角速度ωを縦軸にとった車両の横転判定マップを示す。図において、第1象限には横転判定線41が設定されており、ロール角度θとロール角速度ωで決まる車両の挙動が、横転判定線41を超えてロール角度θとロール角速度ωが大きくなる領域42内にある場合には、横転の可能性が高いと判定する。一方、車両の挙動が横転判定線41と横転判定マップの横軸および縦軸とで囲まれる領域内にある場合には、横転の可能性は低いと判定する。
【0028】
同様に、第3象限には横転判定線43が設定されており、ロール角度θとロール角速度ωで決まる車両の挙動が、横転判定線43を超えてロール角度θとロール角速度ωが小さくなる領域44内にある場合には、横転の可能性が高いと判定する。一方、車両の挙動が横転判定線43と横転判定マップの横軸および縦軸とで囲まれる領域内にある場合には、横転の可能性は低いと判定する。なお、上述したように車両の挙動が第2象限と第4象限にある場合には、車両の横転は発生しない。図9に示す領域45は横転が発生しない領域である。なお、図8および図9に示す横転判定マップはコントローラー8のROM8cに記憶されている。
【0029】
車両の挙動が図9に示す横転判定マップの領域42または44内にあって横転の可能性が高いと判定された場合はステップ4へ進み、インフレーター3を点火してカーテンエアーバック21を膨張展開させる。これにより、乗員頭部28と車両側面部との間にカーテンエアーバック21が膨張展開し、乗員の頭部28が車室外に突出するのを防止し、その後の車両横転に対して有効に乗員頭部28を保護することができる。
【0030】
ステップ3において車両の挙動が横転判定マップの領域45内にあって横転の可能性は低いと判定された場合は、ステップ5へ進む。ステップ5では横方向加速度センサー1により車両横方向(左右方向)加速度Gxを検出し、続くステップ6でルーフエアーバック31の展開判定を行う。車両横方向加速度Gxが予め設定した値Gxopより小さいと判定された場合は、車両ドアガラス部25,27と乗員頭部28との間に空間は十分に確保されていると判断し、ルーフエアーバック31を展開する必要はないのでステップ1へ戻り、上述した処理を繰り返す。
【0031】
現在の車両横方向加速度Gxが予め設定した値Gxop以上の場合はステップ7へ進み、乗員の頭部が車両側面のドアガラス部に接近していると予測されるため、内圧コントロール弁6を開放して蓄圧タンク5に蓄えられていた圧搾空気をルーフエアーバック31へ注入し、ルーフエアーバック31を膨張展開させる。
【0032】
内圧コントロール弁6が開放されると、蓄圧タンク5内の圧搾空気がルーフエアーバック31へ送られてルーフエアーバック31が膨張展開し始める。展開初期には、図10に示すように、ルーフパネル12とリブ33との間にシート状に折り畳まれて収納されているルーフエアーバック・シート状部31aの厚みが増し、その後、ヘッドライニング16のリブ33の間に折り畳まれて収納されているチャンバー32の内圧が上昇し始める。
【0033】
ルーフエアーバック・チャンバー32の内圧の上昇によりチャンバー32が膨張し、図10に示すように、ヘッドライニング16の強度脆弱部34を開裂してチャンバー32が車室内に展開し始める。さらにルーフエアーバック31が膨張すると、図11に示すように、チャンバー32が車室内に壁を形成しながら展開する。このとき、乗員の頭部28がチャンバー32の真下にあった場合には、頭部28の上にチャンバー32がスタックするように展開するが、その後の乗員頭部28の移動にともなって、図12に示すように最終的には2本のチャンバー32が乗員頭部28を挟み込むように展開する。
【0034】
ルーフエアーバック31の膨張展開によって、車両の過大な横方向加速度Gxが発生していても乗員頭部28の車両横方向への移動を抑制することができ、車室内の側面、特に車両ドアガラス部25,27と乗員頭部28との間に空間を確保することができるため、その後に車両の横転が予測されたときに、カーテンエアーバック21が速やかに膨張展開する空間を確保することができる。
【0035】
ルーフエアーバック31を展開させた後、ふたたび車両の横転判定を行う。ステップ8でロール角速度センサー2によりロール角速度ωを検出し、続くステップ9でロール角速度ωの時間積分によりロール角θを演算する。ステップ10では、上述したように、検出したロール角速度ωとロール角度θにより横転判定マップ(図8〜図9参照)を参照し、車両横転の可能性を判定する。
【0036】
ロール角速度ωとロール角度θにより決まる車両の挙動が上述した横転の可能性が高い領域42,44内にある場合にはステップ11へ進み、インフレーター3を点火してカーテンエアーバック21を膨張展開させる。このとき、すでにルーフエアーバック31の膨張展開が完了しており、膨張展開したルーフエアーバック31のチャンバー32によって乗員頭部28の移動が規制されているから、乗員頭部28と車室内の側面、特に車両ドアガラス部25,27との間に十分な空間が確保され、図13に示すように、カーテンエアーバック21の膨張展開が乗員頭部28によって妨げられることはない。そのため、カーテンエアーバック21が速やかに膨張展開を完了し、乗員頭部28の衝撃吸収効果を最大限に発揮させることができる。
【0037】
車両の横転がさらに進み、図14に示すように、車両が地面51に横倒しの状態になっても、乗員の頭部28と車室内側面、特に車両ドアガラス部25,27との間にルーフエアーバック31のチャンバー32とカーテンエアーバック21とが挟まった状態になり、乗員頭部28が車室内側面、特に車両ドアガラス部25,27と接触するのを防止できる。
【0038】
次に、図15に示すように車両が完全に横転し、ルーフパネル12が地面51と接触して乗員頭部28が車室内のルーフ部と干渉する場合にも、膨張展開しているルーフエアーバック・シート状部31aの内圧により乗員頭部28への衝撃が十分に緩和され、頭部28が保護される。
【0039】
ステップ10において、ロール角速度ωとロール角度θとにより決まる車両の挙動が、横転判定マップ(図8〜図9参照)の横転しない領域45内に留まる場合にはステップ12へ進む。ステップ12では横加速度センサー1により車両の横加速度Gxを検出し、続くステップ13で車両横加速度Gxに基づいてルーフエアーバック31の収縮判定を行う。
【0040】
すなわち、現在の車両横加速度Gxが予め設定した値Gxcl以下である場合はステップ14へ進み、すでに乗員頭部28の移動規制が不要になったと判断してルーフエアーバック31を収縮させる。一方、現在の車両横加速度Gxが予め設定した値Gxclより大きい場合は、まだ乗員頭部28の移動規制が必要であると判断し、ステップ8へ戻って上述した処理を繰り返す。なお、設定値Gxclは、ルーフエアーバック31を収縮させるか否かを判定するための判定基準値であり、種々のシミュレーション結果や実験結果に基づいて最適な値を設定する。
【0041】
ルーフエアーバック31の収縮の判定がなされた場合には、ステップ14で内圧コントロール弁6を閉鎖するとともに、バキュームポンプ7を作動させてルーフエアーバック31内の圧搾空気を吸い出す。これにより、膨張展開しているルーフエアーバック31が収縮する。このとき、チャンバー32を構成する二種類の布の内の伸びる布が伸びない布を引き込むようにして収縮し、図16に示すようにチャンバー32が折り畳まれてヘッドライニング16のリブ33とリブ33の間の溝に収納されていく。
【0042】
また、ルーフエアーバック31が膨張展開するときにヘッドライニング16の強度脆弱部34から開裂しているが、ヘッドライニング16の開裂部分は膨張展開したチャンバー32により押し広げられており、チャンバー32の収縮にともなって自然に開裂部分が開裂前の状態に戻る。
【0043】
このヘッドライニング16には樹脂材料を用いるのが望ましい。特に、開裂したヘッドライニング16の開裂部分が初期の状態に戻る際には、ルーフエアーバック・チャンバー32が収縮してリブ33とリブ33との間の溝に完全に収まった後で開裂部分が閉じるように、適度な弾力性を持った樹脂材料を選択する必要がある。
【0044】
この一実施の形態では、車両の横加速度Gxが判定基準横加速度Gxop以上になった場合にルーフエアーバック31を膨張展開させているので、車両が実際に横転しないのにルーフエアーバック31が展開することもあり得る。このような場合に、膨張展開したルーフエアーバック31がヘッドライニング16の中に自動的に収納されるので、その後の運転操作に支障を来すことがなく、かつルーフエアーバック31の再利用が図れるから、乗員保護性能と経済性とを両立させることができる。
【0045】
このように、第1の実施の形態によれば、車両横方向の大きな加速度が発生したときに、乗員頭部の車室内における移動が抑制されるので、乗員頭部がカーテンエアーバック21の膨張展開に際して障害とならず、車両が横転してもカーテンエアーバック21の機能を十分に発揮させることができ、乗員頭部に加わる衝撃を軽減することができる。
【0046】
第1の実施の形態のルーフエアーバック31では、乗員頭部の車両横方向への移動を抑制するチャンバー32と、乗員頭部の車両上下方向への移動を抑制するシート状部31aとを備えているので、乗員頭部がカーテンエアーバック21の膨張展開に際して障害とならず、車両が横倒し状態になってもカーテンエアーバック21とルーフエアーバック・チャンバー32とで乗員頭部に加わる衝撃を軽減することができ、さらに車両が横転しても膨張展開したルーフエアーバック・シート状部31aにより乗員頭部に加わる衝撃を軽減することができる。
【0047】
第1の実施の形態において、乗員頭部の車両横方向(車両左右方向)への移動を抑制するルーフエアーバック・チャンバー32と、乗員頭部の車両上下方向への移動を抑制するルーフエアーバック・シート状部31aとはともに、乗員頭部の移動を抑制する移動抑制機構と、車両に衝撃が発生したときにその衝撃を吸収して乗員頭部に加わる衝撃を軽減する衝撃吸収機構とを合わせ持つ構成としており、特に、ルーフエアーバック・チャンバー32は車両が横倒し状態になったときの乗員頭部への衝撃を軽減し、ルーフエアーバック・シート状部31aは車両が横転したときの乗員頭部への衝撃を軽減する。
【0048】
第1の実施の形態では、乗員頭部の車両上下方向への移動を抑制するルーフエアーバック・シート状部31aを、車両のルーフパネルとヘッドライニングとの間に設置したので、車両内装の品質を下げることなく、乗員頭部の上下移動抑制機構と衝撃吸収機構とを車室内に設置することができる。
【0049】
第1の実施の形態では、乗員頭部の車両上下方向への移動を抑制するルーフエアーバック・シート状部31aと、乗員頭部の車両横方向への移動を抑制するルーフエアーバック・チャンバー32とを一体に形成したので、乗員頭部の左右上下移動抑制機構と衝撃吸収機構とを一つの拘束手段により実現することができ、小形で車両への搭載が容易になる。
【0050】
第1の実施の形態では、ルーフエアーバック31のチャンバー32とシート状部31aとを一体にして車両のルーフパネルとヘッドライニングとの間に設置したので、車室内の前席左右および後席左右のすべての座席の乗員の頭部を効果的に保護することができる。
【0051】
第1の実施の形態のルーフエアーバック31では、膨張展開時にヘッドライニングから突出して複数の襞状の膨張体、すなわちチャンバー32を形成するので、乗員の搭乗位置に拘わらず、複数のチャンバー32の間に乗員の頭部を挟んで乗員頭部の車両横方向への移動を抑制することができる。
【0052】
第1の実施の形態のルーフエアーバック31では、襞状の膨張体すなわちチャンバー32を車両前後軸方向に平行に設けたので、乗員頭部の車両横方向への移動をさらに効果的に抑制することができる。
【0053】
第1の実施の形態のルーフエアーバック31では、襞状の膨張体すなわちチャンバー32を、二種類の帯状の伸びる布と伸びない布とを車両前後軸方向に沿って交互につなぎ合わせて形成するようにしたので、異種の布のつなぎ目が折り代となってチャンバー32の膨張展開と収縮がスムーズに行われる。
【0054】
第1の実施の形態のルーフエアーバック31では、ヘッドライニングの襞状の膨張体すなわちチャンバー32の突出位置に強度脆弱部34を設けたので、膨張展開時にチャンバー32を車室内へスムーズに突出させることができる。
【0055】
第1の実施の形態のルーフエアーバック31では、乗員頭部の上下移動を抑制するための上下移動抑制部、すなわちルーフエアーバック・シート状部31aをルーフパネル12とヘッドライニング16上のリブ33との間にシート状にして格納し、ルーフパネル12とヘッドライニング16との間で膨張展開させるようにしたので、シート状部31aが車両が横転したときの乗員頭部に加わる衝撃を吸収して衝撃を軽減することができる。
【0056】
第1の実施の形態のルーフエアーバック31では、ルーフエアーバック31を膨張展開させるための気体を蓄える蓄圧タンク5と、ルーフエアーバック31の膨張展開時の内圧を制御する内圧コントロール弁6と、ルールエアーバック31の内部の気体を吸い出して収縮させるバキュームポンプ7と、蓄圧タンク5に圧縮気体を蓄えるコンプレッサー4とを備えているので、膨張展開と収縮とを可逆的に行うことができる上に、膨張展開時の内圧を任意に設定することができ、膨張展開時の乗員頭部に与える拘束感を適度に保持しながら、乗員頭部の移動を抑制することができる。
【0057】
第1の実施の形態のルーフエアーバック31では、膨張展開した後、ふたたび収縮させるためのバキュームポンプ7を設けたので、乗員頭部保護性能と経済性とを両立させることができる。
【0058】
《発明の第2の実施の形態》
上述した第1の実施の形態では、車両の前後方向とほぼ並行に配置される長いチャンバー32を複数本、車両の左右方向に一定間隔で設けた例を示したが、チャンバー32を“く”の字形状に折り曲げた第2の実施の形態を説明する。
【0059】
図17は車外の助手席ドア側から車室内を見た図、図18は車両のルーフパネルを取り外した状態で車両を真上から見た図である。さらに、図19はルーフエアーバックが膨張展開した状態を車室外から見た図である。
【0060】
図19に示すように、第2の実施の形態のルーフエアーバック・チャンバー32は車両前後方向の中央に屈曲点を有し、“く”の字形に折れ曲がっている。このような“く”の字形状のチャンバー32に対し、ヘッドライニング16とルーフパネル12との間に設けられるリブ33(図2参照)、およびヘッドライニング16の強度脆弱部34も、チャンバー32と同様に車両前後方向の中央に屈曲点を有し、“く”の字形に折れ曲がっている。
【0061】
ルーフエアーバック・チャンバー32と、ヘッドライニング16のリブ33および強度脆弱部34の“く”の字形の屈曲点は、ルーフパネル12上の車両前後方向軸の中心より前、すなわち前席乗員の頭部が位置する付近に配置するのが望ましい。また、チャンバー32,リブ33および強度脆弱部34の車両前後方向軸に対する“く”の字の折れ曲がり角度は、それぞれの適用例に対して最適な角度を設定する必要があるが、例えば30度から45度程度にする。
【0062】
第2の実施の形態の構成および動作については、ルーフエアーバック・チャンバー32と、ヘッドライニング16のリブ33および強度脆弱部34の形状以外は上述した第1の実施の形態の構成および動作と同様であり、説明を省略する。
【0063】
ルーフエアーバック31のチャンバー32と、ヘッドライニング16のリブ33および強度脆弱部34の形状を“く”の字形にしたことによる作用効果を説明する。図20(a)は第1の実施の形態のまっすぐなチャンバー32の上面図と前面図を示し、図20(b)は第2の実施の形態の“く”の字形のチャンバー32の上面図と前面図を示す。
【0064】
図20(a)に示すまっすぐなチャンバー32によれば、膨張展開したチャンバー32を倒そうとしたときに発生するモーメントMと、チャンバー32の長さLとにより決まる反力F1(=M/L)のみで、乗員頭部28の横方向移動を抑制する。
【0065】
これに対し図20(b)に示す“く”の字形状のチャンバー32によれば、膨張展開したチャンバー32を倒そうとしたときに発生するモーメントMと、チャンバー32の長さLとにより決まる反力に、チャンバー32が長手方向に持っている伸びに対する張力Tの直角成分Tcosθが加わった力F2(=M/L+Tcosθ)で、乗員頭部28の横方向移動を抑制する。
【0066】
以上から明らかなように、“く”の字形状のチャンバー32の頭部移動抑制力F2は、まっすぐなチャンバー32の頭部移動抑制力F1よりも大きく、“く”の字形状のチャンバー32の方が乗員頭部28の移動を抑制することができる。
【0067】
なお、“く”の字形状のチャンバー32の頭部移動抑制力F2を、まっすぐなチャンバー32の頭部移動抑制力F1と同程度にする場合には、“く”の字形状のチャンバー32を用いる第2の実施の形態のルーフエアーバック31の内圧を、まっすぐな形状のチャンバー32を用いる第1の実施の形態のルーフエアーバック31の内圧よりも低く設定することができる。ルーフエアーバック31の内圧を低くすることによって、図11に示すように乗員頭部28の真上でチャンバー32が膨張展開した場合に、乗員頭部28を圧迫する力を弱くすることができる。
【0068】
《発明の第3の実施の形態》
上述した第1および第2の実施の形態では、車両横方向加速度Gxが判定基準値Gxop以上になったらルーフエアーバック31を膨張展開する例を示したが、車両横方向加速度Gxが判定基準値Gxopより小さい場合でも、横滑り防止装置(VDC)などの車両挙動安定装置が作動した場合にはルーフエアーバック31を膨張展開するようにした第3の実施の形態を説明する。
【0069】
図21は第3の実施の形態の構成を示す。この第3の実施の形態では、上述した図1に示す構成に加え、車両挙動安定装置10を設置する。この車両挙動安定装置10は、例えば横滑り防止装置(VDC)などのように、車両の挙動が不安定になった場合に車両の制駆動力や操舵を制御して車両挙動を安定化するものである。したがって、この車両挙動安定装置10が作動している間は車両の挙動が不安定な状態にあり、車両に過大な横方向加速度Gxが発生する可能性が高く、ルーフエアーバック31を膨張展開させて乗員頭部28の移動を規制する必要がある。なお、車両挙動安定装置10以外の構成は図1に示す第1の実施の形態の構成と同様であり、説明を省略する。
【0070】
特許請求の範囲の構成要素と第3の実施の形態の構成要素との対応関係において、車両挙動安定装置10が車両挙動安定装置を構成する。なお、他の特許請求の範囲の構成要素と第3の実施の形態の構成要素との対応関係は、上述した第1の実施の形態と同様であり、説明を省略する。
【0071】
図22は乗員拘束制御プログラムを示すフローチャートである。このフローチャートにより、第3の実施の形態の動作を説明する。なお、図7に示す処理と同様な処理を行うステップに対しては同一のステップ番号を付して相違点を中心に説明する。
【0072】
ステップ6において車両に過大な横方向加速度Gxが働いていないと判定された場合はステップ6Aへ進み、車両挙動安定装置10が作動中であるか否かを確認する。車両挙動安定装置10が作動中の場合は、車両の挙動が不安定であるから車両に過大な横方向加速度Gxが発生する可能性が高く、ルーフエアーバック31を膨張展開させて乗員頭部28の移動を規制する必要があると判断する。そしてステップ7へ進み、ルーフエアーバック31を膨張展開させる。しかし、車両挙動安定装置10が作動中でない場合は、車両が安定に走行中であり、車両に過大な横方向加速度Gxが発生するおそれはないと判断し、ステップ1へ戻る。
【0073】
このように、車両の横方向加速度Gxが予め設定したGxopより低い場合でも、車両挙動安定装置10が作動している場合には、その後に過大な横方向加速度Gxが発生するおそれがあるとしてルーフエアーバック31を膨張展開するようにしたので、設定値Gxop以上の過大な横方向加速度Gxが実際に発生した場合に、乗員頭部28の移動を抑制することができ、カーテンエアーバック21の膨張展開を妨げるようなことはない。
【0074】
《発明の第4の実施の形態》
他の形式のルーフエアーバックを用いた第4の実施の形態を説明する。
【0075】
図23は、助手席に着座した乗員と車両側面に設置されたカーテンエアーバックおよび車両ルーフに設置されたルーフエアーバックとの関係を示す車両の横断面図である。車両ルーフ部11には、上述した第1〜第3の実施の形態のルーフエアーバック31と異なる形式のルーフエアーバック53が設置される。ルーフパネル12とヘッドライニング16との間には、ルーフエアーバック53が折り畳まれずにシート状のままで格納されており、ルーフサイドレール13とルーフサイドレール・ガーニッシュ17との間には、所定の折り畳み方で畳まれたルーフエアーバック53の環状展開部54が設置される。
【0076】
図24はルーフエアーバック53の膨張展開状態を示す図である。環状展開部54はルーフエアーバック53と一体に形成され、環状展開部54の端部はルーフサイドレール13にクリップで固定される。なお、クリップの代わりに、ルーフエアーバック53の基布にあけた穴をルーフサイドレール13に設けたフックに引っかけてルーフエアーバック53を固定するようにしてもよい。
【0077】
図25は第4の実施の形態の構成を示す。この第4の実施の形態のルーフエアーバック53は、インフレーター52により膨張展開する。なお、図25に示す第4の実施の形態の構成において、インフレーター52とルーフエアーバック53以外の機器は上述した図1および図21に示す機器と同様であり、同一の符号を付して説明を省略する。
【0078】
特許請求の範囲の構成要素と第4の実施の形態の構成要素との対応関係は次の通りである。衝撃検出手段として一実施の形態では横方向加速度センサー1によって構成される例を示したが、例えばロール角速度センサー2によって構成してもよい。この場合には、車両前後軸回りのロール角速度ωが予め設定した値以上になったら車両横方向に衝撃が加わったと判断する。ルーフエアーバック53が頭部移動抑制手段を、ルーフエアーバック53のシート状部53aが上下移動抑制部を、ルーフエアーバック53の環状展開部54が横移動抑制部をそれぞれ構成する。なお、本発明の特徴的な機能を損なわない限り、各構成要素は上記構成に限定されるものではない。
【0079】
図26は乗員拘束制御プログラムを示すフローチャートである。このフローチャートにより、第4の実施の形態の動作を説明する。なお、図7および図22に示す乗員拘束制御プログラムと同様な処理を行うステップに対しては同一のステップ番号を付して相違点を中心に説明する。
【0080】
ステップ6において車両の横方向加速度Gxsが展開判定基準値Gxop以上のときはステップ7Aヘ進み、乗員頭部28が車室内の側面、特にドアガラス部25,27へ近づいていると予測されるため、インフレーター52を点火してルーフエアーバック53を膨張展開させる。
【0081】
一方、車両の横方向加速度Gxが展開判定基準値Gxopより小さいときはステップ6Aへ進み、車両挙動安定装置10が作動中か否かを確認する。車両挙動安定装置10が作動中のときは車両に過大な横方向加速度Gxが発生する可能性が高いと判断し、ステップ7Aへ進む。ステップ7Aでは、インフレーター52を点火してルーフエアーバック53を膨張展開させる。
【0082】
インフレーター52を点火すると、インフレーター52で発生したガスがルーフエアーバック53へ注入し、ルーフエアーバック53が膨張展開を開始する。展開初期には、ルーフパネル12とヘッドライニング16との間のシート状の部分が厚みを増していく。その後、ルーフサイドレール13とルーフサイドレール・ガーニッシュ17との間に折り畳まれて収納されている環状展開部54の内圧が上昇し、図27に示すように、環状展開部54の体積が増加してルーフサイドレール・ガーニッシュ17の上方側とヘッドライニング16の端部との間の隙間をこじ開け、環状展開部54が車室内へ膨張展開する。
【0083】
環状展開部54が車室内へ展開しても、ルーフエアーバック53の端部、すなわち環状展開部54の端部はルーフサイドレール13に固定されているので、環状展開部54の基布全体が車室内へ板状に展開せず、環境展開部54はルーフサイドレール13の付近の車室内へバック状に展開する。
【0084】
ルーフエアーバック・環状展開部54の展開によって、図27に示すように、乗員頭部28の移動が車両の左右方向と上下方向から抑制され、車両頭部28の車両ドアガラス部25,27への接近が避けられる。ルーフエアーバック53の膨張展開後に、車両の横転判定がなされてカーテンエアーバック21が膨張展開するときに、乗員頭部28と車両ドアガラス部25,27との間に十分な隙間が確保され、カーテンエアーバック21が円滑に展開される。これにより、車両横転時のカーテンエアーバック21による乗員頭部28の保護効果を最大限に発揮させることができる。
【0085】
さらに、図28に示すように、車両が横転し、ルーフパネル12と地面51とが接触する状況においても、ルーフパネル12とヘッドライニング16との間のルーフエアーバック53の厚みが増しており、乗員頭部28にかかる衝撃を効果的に吸収することができる。
【0086】
ルーフエアーバック53の膨張展開後、ステップ8〜10において上述したように車両の横転判定を行い、横転のおそれがないと判定されるとステップ1へ戻り、上述した処理を繰り返す。
【0087】
このように、第4の実施の形態のルーフエアーバック53では、上下移動抑制部すなわちルーフエアーバック・シート状部53aを、車両のルーフパネルとヘッドライニングとの間にシート状にして格納し、ルーフパネルとヘッドライニングとの間で膨張展開させるとともに、横移動抑制部すなわちルーフエアーバック・環状展開部54を、車両のルーフサイドレールとルーフサイドレール・ガーニッシュとの間に折り畳んで格納し、車室内へ環状に膨張展開させるようにしたので、乗員頭部がカーテンエアーバック21の膨張展開に際して障害とならず、車両が横倒し状態になってもカーテンエアーバック21とルーフエアーバック・環状展開部54とで乗員頭部に加わる衝撃を軽減することができ、さらに車両が横転しても膨張展開したルーフエアーバック・シート状部53aにより乗員頭部に加わる衝撃を軽減することができる。
【0088】
なお、ルーフエアーバック・環状展開部54は、図27から明らかなように、さらに幅広く膨張展開させることによって、それ自体で乗員頭部の上下と左右の両方の移動抑制機能を持つことになり、このような乗員頭部の上下および左右の移動抑制機能を持ったルーフエアーバック・環状展開部54のみを、車両のルーフサイドレールとルーフサイドレールガーニッシュとの間に設置することにより、簡単な構成で乗員頭部の上下左右移動抑制機構と衝撃吸収機構とを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の実施の形態の構成を示す図である。
【図2】 助手席に着座した乗員と車室内側面に設置されたカーテンエアバックおよび車両ルーフ部に設置されたルーフエアーバックとの関係を示す車両の横断面図である。
【図3】 車外の助手席ドア側から車室内を見た図である。
【図4】 車両のルーフパネルを取り外した状態で車両を真上から見た図である。
【図5】 ルーフエアーバックが膨張展開した状態を車室外から見た図である。
【図6】 膨張展開したルーフエアーバックのチャンバーを示す図である。
【図7】 第1の実施の形態の乗員拘束制御プログラムを示すフローチャートである。
【図8】 車両前後方向軸回りのロール角度θを横軸に取り、車両前後方向軸回りのロール角速度ωを縦軸にとった場合の、車両後方から見た車両の挙動を表す図である。
【図9】 車両前後方向軸回りのロール角度θを横軸に取り、車両前後方向軸回りのロール角速度ωを縦軸にとった車両の横転判定マップを示す図である。
【図10】 ルールエアーバックの展開初期の状態を示す車両横断面図である。
【図11】 ルーフエアーバック・チャンバーの膨張展開状態を示す車両横断面図である。
【図12】 ルーフエアーバック・チャンバーの膨張展開状態を示す車両横断面図である。
【図13】 ルーフエアーバックの膨張展開後にカーテンエアーバックが膨張展開した状態を示す車両横断面図である。
【図14】 ルーフエアーバックとカーテンエアーバックが膨張展開後に車両が横倒しになった状態を示す車両横断面図である。
【図15】 ルーフエアーバックとカーテンエアーバックが膨張展開後に車両が横転した状態を示す車両横断面図である。
【図16】 ルーフエアーバックの収縮状態を示す図である。
【図17】 車外の助手席ドア側から車室内を見た図である。
【図18】 車両のルーフパネルを取り外した状態で車両を真上から見た図である。
【図19】 ルーフエアーバックが膨張展開した状態を車室外から見た図である。
【図20】 まっすぐなルーフエアーバック・チャンバーと“く”の字形状のルーフエアーバック・チャンバーの乗員頭部移動抑制力を比較検討するための図である。
【図21】 第3の実施の形態の構成を示す図である。
【図22】 第3の実施の形態の乗員拘束制御プログラムを示すフローチャートである。
【図23】 第4の実施の形態の、助手席に着座した乗員と車両側面に設置されたカーテンエアーバックおよび車両ルーフに設置されたルーフエアーバックとの関係を示す車両の横断面図である。
【図24】 第4の実施の形態のルーフエアーバックの膨張展開状態を示す図である。
【図25】 第4の実施の形態の構成を示す図である。
【図26】 第4の実施の形態の乗員拘束制御プログラムを示すフローチャートである。
【図27】 ルーフエアーバックの膨張展開後にカーテンエアーバックが膨張展開した状態を示す車両横断面図である。
【図28】 ルーフエアーバックとカーテンエアーバックが膨張展開した後に車両が横転したときの車両横断面図である。
【符号の説明】
1 横方向加速度センサー
2 ロール角速度センサー
3 インフレーター
4 コンプレッサー
5 蓄圧タンク
6 内圧コントロール弁
7 バキュームポンプ
8 コントローラー
8a CPU
8b RAM
8c ROM
9 イグニッションスイッチ
10 車両挙動安定装置
11 車両ルーフ部
12 ルーフパネル
13 ルーフサイドレール
14 フロントルーフレール
15 リヤールーフレール
16 ヘッドライニング
17 ルーフサイドレール・ガーニッシュ
21 カーテンエアーバック
22 フロントピラー
23 リヤーピラー
24 助手席シート
25 助手席ドアガラス部
26 後席左側シート
27 後席左ドアガラス部
28 乗員頭部
29 センターピラー
31 ルーフエアーバック
31a ルーフエアーバック・シート状部
32 フールエアーバック・チャンバー
33 リブ
34 強度脆弱部
41、43 横転判定線
42、44、45 領域
51 地面
52 インフレーター
53 ルーフエアーバック
53a ルーフエアーバック・シート状部
54 ルーフエアーバック・環状展開部

Claims (8)

  1. 車両の横方向の衝撃を検出する衝撃検出手段と、
    乗員頭部の車両横方向への移動を抑制する横移動抑制部と、乗員頭部の車両上下方向への移動を抑制する上下移動抑制部とを有し、車両横方向の衝撃が検出されたときに、膨張展開して乗員頭部の車室内における移動を抑制する頭部移動抑制手段とを備えた乗員拘束装置であって、
    車両のルーフパネルとヘッドライニングとの間に、前記横移動抑制部と前記上下移動抑制部とを一体にして車両横方向に交互に設置し、
    膨張展開時に、前記横移動抑制部は、ヘッドライニングから車室内へ突出して車両前後軸方向に平行な複数の襞状の膨張体を形成するとともに、前記上下移動抑制部は、ルーフパネルとヘッドライニングとの間で膨張展開することを特徴とする乗員拘束装置。
  2. 請求項1に記載の乗員拘束装置において、
    前記襞状の膨張体を車両前席乗員の頭上位置で屈曲させて“く”の字形状としたことを特徴とする乗員拘束装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の乗員拘束装置において、
    前記襞状の膨張体を、二種類の帯状の伸びる布と伸びない布とを車両前後軸方向に沿って交互につなぎ合わせて形成することを特徴とする乗員拘束装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の乗員拘束装置において、
    ヘッドライニングの前記襞状の膨張体の突出位置に強度脆弱部を設けたことを特徴とする乗員拘束装置。
  5. 車両の横方向の衝撃を検出する衝撃検出手段と、
    乗員頭部の車両横方向への移動を抑制する横移動抑制部と、乗員頭部の車両上下方向への移動を抑制する上下移動抑制部とを有し、車両横方向の衝撃が検出されたときに、膨張展開して乗員頭部の車室内における移動を抑制する頭部移動抑制手段とを備えた乗員拘束装置であって、
    前記横移動抑制部と前記上下移動抑制部とを一体に形成して前記横移動抑制部の端部を車両のルーフサイドレールに固定し、前記横移動抑制部を車両のルーフサイドレールとルーフサイドレールガーニッシュとの間に配置するとともに、前記上下移動抑制部を車両のルーフパネルとヘッドライニングとの間に配置し、
    膨張展開時に、前記横移動抑制部は、ルーフサイドレールガーニッシュとヘッドライニングとの間からルーフサイドレール付近の車室内へ突出して車両横方向断面において環状に膨張展開するとともに、前記上下移動抑制部は、ルーフパネルとヘッドライニングとの間で膨張展開することを特徴とする乗員拘束装置。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の乗員拘束装置において、
    前記頭部移動抑制手段を膨張展開させるための気体を蓄える蓄圧タンクと、前記頭部移動抑制手段の膨張展開時の内圧を制御する内圧コントロール弁と、前記頭部移動抑制手段の内部の気体を吸い出して収縮させるバキュームポンプと、前記蓄圧タンクに圧縮気体を蓄えるコンプレッサーとを備えることを特徴とする乗員拘束装置。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の乗員拘束装置において、
    前記衝撃検出手段は、車両横方向の加速度を検出する横加速度検出手段を有し、車両横方向の加速度により衝撃を検出することを特徴とする乗員拘束装置。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の乗員拘束装置において、
    車両の挙動を安定にする車両挙動安定装置を備え、
    前記頭部移動抑制手段は、前記衝撃検出手段により車両横方向の衝撃が検出されなくても、前記車両挙動安定装置が作動しているときは膨張展開して乗員頭部の移動を抑制することを特徴とする乗員拘束装置。
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