JP4242055B2 - 水素化処理用触媒およびそれを用いる炭化水素油の水素化処理方法 - Google Patents

水素化処理用触媒およびそれを用いる炭化水素油の水素化処理方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水素化処理用触媒、その製造方法およびそれを用いる炭化水素油の水素化処理方法に関するものであり、さらに詳しくは、ポーラスなモリブデン硫化物を含有する活性成分相と耐火性無機酸化物マトリックス相とを複合化してなる水素化処理用触媒(以下、本発明の説明において、必要に応じ「MoS−SMUS触媒」と称する。)およびそれを用いる含硫黄・含窒素炭化水素油、特に軽油留分の水素化処理方法に関するものである。
本発明によれば、炭化水素油の水素化精製、水素化脱硫、水素化脱窒素、水素化脱芳香族、水添異性化、水素化分解、水素化脱蝋および水素化脱金属等の炭化水素油と水素との接触によるあらゆる反応にとって有用な水素化処理用触媒および該水素化処理用触媒を用いる水素化処理方法を提供することができる。
【0002】
【従来の技術】
炭化水素油の水素化処理用触媒としては、耐火性無機酸化物、例えばアルミナ、シリカ、マグネシア、ジルコニア、チタニア等に周期表第6A族元素のモリブデン、タングステン、クロム等および同表第8族元素のコバルト、ニッケル等からなる群より選択される水素化活性成分を担持させることにより得られる種々のものが開発されている。
このような水素化処理用触媒は、一般に水素化活性成分であるモリブデン、タングステン、クロム、コバルト、ニッケル等の化合物の溶液を耐火性無機酸化物担体に含浸させた後、乾燥および焼成工程を経由する製造方法により調製されてきた。
【0003】
一方、近年、環境保全対策の観点から軽油留分の高度の脱硫・脱窒素が要求され、そのため高活性触媒を実現させることが触媒開発分野にとって不可避の課題となるに至っている。高活性触媒を得るには触媒の活性点を増加させることが必要であり、そのため多量の活性成分を担持させる方法が種々検討されている。
しかしながら、従来の水素化精製用触媒では、活性点を増加させるためにMo含有量を多くすると、一定量の含有量以上、例えば20重量%以上では触媒製造工程の焼成工程および硫化工程においてMoS2 粒子の凝集が生じ、逆に活性点が減少し活性が低下してしまうという問題点があった。
【0004】
例えば、特開昭61−157350号公報にて開示されている水素化精製用触媒は、MoがMoS2 として20%以上含有したMoS2 と助触媒成分とを複合化したものであるが、やはり比表面積が著しく小さいものであり、活性点が少なく、高活性を得るにはなお改善すべき点が残されている。
【0005】
また、石炭液化触媒としては、ポーラスなMoS2 結晶のみのバルク触媒が提案されているが(アメリカ化学会誌(燃料化学部門)(J. Amer, Chem. Soc., Div. Fuel Chem. 42, (3), 550(1997) 参照。))、炭化水素油の水素化処理用触媒として使用する点について開示がなく、水素化処理用触媒として使用可能とするには次の▲1▼および▲2▼の課題を解決する必要があった。
【0006】
すなわち、前記バルク触媒は、
▲1▼炭化水素油の水素化処理用触媒として要求される活性を欠如している点
▲2▼水素化処理用触媒として要求される強度を欠如している点
の問題点を有するものであった。
前記のような従来の技術開発状況から多量のMo硫化物を含有し、かつポーラスな活性相を有する高活性な水素化処理用触媒の開発が切望されていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の第一の課題は、前記の開発状況に鑑み、ポーラスなMo硫化物とプロモータ成分を含有し十分な強度と高度の反応活性および活性維持能を具備した水素化処理用触媒を提供することにあり、第二の課題は、該水素化処理用触媒を用いた含硫黄・含窒素炭化水素油の高度水素化処理方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者らは、本発明の前記課題を解決するために鋭意検討を重ねたところ、担体上に担持させたMo成分を焼成し硫黄化合物と接触させることからなる従来の硫化工程を経由せずに、それ自体ポーラスなMo硫化物、特に、ポーラスなMoS2 を生成させることができればMo含有量を増加させることにより活性点を増加させた高活性触媒を実現できることに想到し、これらの知見に基づいて本発明の完成に到達した。
【0009】
従って、本発明の第一は、
水素化活性成分で構成される活性相と耐火性無機酸化物マトリックス相とを複合化してなる水素化処理用触媒であって、該活性相がポーラスな層状MoS2 結晶中に下記のプロモータ成分が複合化してなることを特徴とする高比表面積を有する水素化処理用触媒
プロモータ成分:モリブデンを除く周期表第6A族元素および同表第8族元素からなる群より選択される少なくとも一種の元素の化合物
に関するものである。
【0010】
また、本発明の第二は、
炭化水素油を水素の存在下において前記第一の発明の水素化処理用触媒と水素化処理条件下で接触させることを特徴とする炭化水素油の水素化処理方法
に関するものである。
【0011】
本発明は、前記水素化処理用触媒およびそれを用いる炭化水素油の水素化処理方法に関するものであるが、さらに好ましい実施の態様を以下の通り挙げる。
(1)前記ポーラスな層状MoS2 結晶が、細孔直径20Å以上の細孔を有する活性成分である水素化処理用触媒。
(2)前記活性相中のプロモータ成分が、前記層状MoS2 結晶中においてTEM観察で確認されるほど大きくはなく、EDS観察ではその存在が確認可能な金属成分である水素化処理用触媒。
【0012】
(3)前記耐火性無機酸化物マトリックス相の成分が、アルミナ、シリカ、マグネシア、酸化カルシウム、ボリア、ジルコニア、チタニア、トリア、セリア、ハフニア、酸化リン、アルミナ−シリカ、アルミナ−マグネシア、アルミナ−酸化カルシウム、アルミナ−ボリア、アルミナ−チタニア、アルミナ−酸化リン、アルミナ−ジルコニア、アルミナ−トリア、アルミナ−チタニア−ジルコニア、シリカ−マグネシア、シリカ−ジルコニア、シリカ−ボリア、シリカ−トリア、シリカ−チタニア、アルミナ−シリカ−ジルコニア、アルミナ−シリカ−ボリア、アルミナ−シリカ−マグネシア、アルミナ−シリカ−ハフニア、アルミナ−シリカ−酸化リンおよびアルミナ−シリカ−ボリア−酸化リンからなる群より選択される少なくとも一種の無機酸化物である水素化処理用触媒。
(4)前記耐火性無機酸化物マトリックス相の成分が、アルミナ、シリカ、マグネシア、アルミナ−シリカ、アルミナ−マグネシア、アルミナ−ボリア、アルミナ−チタニア、アルミナ−酸化リン、アルミナ−シリカ−ボリア、アルミナ−シリカ−マグネシア、アルミナ−シリカ−酸化リンおよびアルミナ−シリカ−ボリア−酸化リンからなる群より選択される少なくとも一種の酸化物である水素化処理用触媒。
【0013】
(5)前記比表面積が、100m2/g以上である水素化処理用触媒。
(6)前記耐火性無機酸化物マトリックス相中の最大含有量成分が、EPMA線分析による次の式▲1▼
max −Nmin ≦2×[3×(N0)0.5 + 0.2×N0 ] ………… ▲1▼
(ただし、式▲1▼において、Nmax 、Nmin およびNo は、それぞれ、EPMA線分析によるマトリックス最大含有量成分の濃度測定値の最大値、最小値および平均値である。)
またはEPMA面分析による下記の式▲2▼
0.8≦Sパラメータ<1 かつ 0.8≦Pパラメータ<1 ………… ▲2▼
(ただし、式▲2▼において、SパラメータおよびPパラメータは、それぞれEPMA面分析によるマトリックス最大含有量成分の粒子の均一性および粒子分布の均等性を示す指標である。)
を満足する無機酸化物成分である水素化処理用触媒。
【0014】
(7)前記炭化水素油が、直留ナフサ、接触分解ナフサ、水蒸気分解ナフサ、熱分解ナフサ、軽質軽油、減圧軽油、接触分解軽油および熱分解軽油からなる群より選択される少なくとも一種である炭化水素油の水素化処理方法。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の水素化処理用触媒は、次の構成要素(a)の活性相と構成要素(b)のマトリックス相;
(a)ポーラスな層状MoS2 結晶とプロモータ成分とが複合化することにより得られる水素化活性成分で構成される活性相
(b)耐火性無機酸化物マトリックス相
を複合化してなるものである。
【0016】
前記構成要素(a)の水素化活性成分で構成される活性相は、ポーラスな層状MoS2 結晶中にプロモータ成分が複合化されたものであり、ポーラスな層状MoS2 結晶は、層状MoS2 結晶と該結晶に囲まれた細孔とから構成されたものである。MoS2 結晶が有する細孔は、細孔直径6.2Å〜300Åにわたる細孔分布を有するものであり、細孔直径20Å以上の細孔の存在することが、本発明の水素化処理用触媒にとって高活性を追求する観点から好ましい。
【0017】
このような層状MoS2 結晶の存在は、透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscopy(以下、必要に応じ「TEM」と略称する。))観察像の画像解析により特定することができる。
前記TEM像の画像解析の方法は、特に限定されるものではないが、次のような手法により行なうことが好ましい。
すなわち、TEM像をイメージスキャナーでコンピュータに取り込みデジタル画像を作成する。そのデジタル画像を二値化処理した後、2次元フーリエ変換(FFT)を施すことにより周波数解析を行ない細孔構造を示すパワースペクトル像を作成する。
次に、パワースペクトル像をその中心について動径方向に積分して、横軸に距離(細孔径の逆数)、縦軸にスペクトル強度をとり、その強度分布を求めることにより、周波数成分(細孔径成分)とそれに対応するスペクトル強度の高さを定量的に解析することができる。
このようにしてTEM像の観察からポーラスな層状MoS2 結晶の存在を特定することができる。
【0018】
前記活性相は、ポーラスな層状MoS2 結晶とプロモータ成分が複合化したものであるが、その複合化は、プロモータ成分の粒子が層状MoS2 結晶中に分散し、その成分の存在がTEM観察で確認されるほど大きくなく、エネルギー分散型X線分光分析装置(Energy Dispersed Spectroscope(以下、必要に応じ「EDS」と略称する。))による測定ではその存在が確認され得る状態で示される。TEM観察およびEDS観察は、次の測定条件によるものである。すなわち、測定装置:JEM−3010(日本電子(株)製)を用いて、加速電圧:300kV、観察視野:明視野、観察倍率:100万倍、写真倍率:180万倍の条件で、TEM観察する。観察される層状MoS2 結晶中をEDSにより測定し、プロモータ成分の存在を確認する。
【0019】
前記プロモータ成分は、モリブデンを除く周期表第6A族元素および同表第8族元素の化合物であり、これらの元素からなる群より選択される少なくとも1種の元素の化合物ならびに第三のプロモータ成分の化合物を用いることができる。具体的には、周期表第6A族元素のタングステン、クロム、同表第8族元素の鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金等を挙げることができる。さらに、第三のプロモータ成分として同表第1B族元素の銅、第2B族元素の亜鉛、第4族元素のマンガン、第7族元素のレニウム等も前記第6A族元素および/または第8族元素と併用し、または独立に使用することができる。
【0020】
これらのプロモータ成分は、各元素の硝酸塩、硫酸塩、塩化物、オキシ塩化物、硫化物またはこれらの金属の酸のアンモニウム塩等さらには酢酸塩、シュウ酸塩、アルコキシド等の有機塩等を用いることができる。特に、硝酸塩、アルコキシド等が好ましい。
【0021】
次に、本発明の水素化処理用触媒の構成要素(b)について説明する。
構成要素(b)は、水素化処理用触媒を構成する耐火性無機酸化物を含有してなるものである。耐火性無機酸化物マトリックスは、アルミナ、シリカ、マグネシア、酸化カルシウム、ボリア、ジルコニア、チタニア、トリア、セリア、ハフニア、酸化リン等を包含するものであるが、その他の種々の金属酸化物も使用することができる。特に二成分以上の酸化物を組成とするもの、例えばアルミナ−シリカ、アルミナ−マグネシア、アルミナ−酸化カルシウム、アルミナ−ボリア、アルミナ−チタニア、アルミナ−酸化リン、アルミナ−ジルコニア、アルミナ−トリア、アルミナ−チタニア−ジルコニア、シリカ−マグネシア、シリカ−ジルコニア、シリカ−ボリア、シリカ−トリア、シリカ−チタニア等を選択することができる。
【0022】
好ましい耐火性無機酸化物マトリックスは、アルミナ、またはアルミナおよびシリカからなるものであり、所望の反応にもよるがシリカを2〜40重量%、特に5〜25重量%含有するものが好ましい。また、アルミナおよびシリカにさらに第三成分としてマグネシア、ボリア、チタニア、ジルコニア、セリア、ハフニア、トリア、酸化リン等が複合されたものである。具体的には、アルミナ−シリカ−ボリア、アルミナ−シリカ−チタニア、アルミナ−シリカ−ジルコニア、アルミナ−シリカ−セリア、アルミナ−シリカ−マグネシア、アルミナ−シリカ−ハフニア、アルミナ−シリカ−酸化リン、アルミナ−シリカ−ボリア−酸化リン等を例示することができる。
また、ゼオライト類およびモンモリロナイト、カオリナイト、ハロイサイト、ベントナイト、アタパルジャイト等の粘土鉱物を前記アルミナ、シリカまたはアルミナ−シリカと組み合せ耐火性無機酸化物マトリックス成分として使用することもできる。
【0023】
本発明によれば、特に好ましい水素化処理用触媒は、前記活性相と前記マトリックス相とが複合化し該触媒中にマトリックス成分が均質に分散してなるものである。均質性は、具体的には、該マトリックス成分のうち最も含有量の多い成分が電子線プローブアナライザー(Electron Probe Microanalyzer(以下、本明細書において「EPMA」と略称する。))線分析または面分析により、下記の式▲1▼または▲2▼を満足することにより実現したものである。
【0024】
EPMA分析装置は、加速された電子線を物質に照射することにより得られる特性X線を測定することにより、電子線を照射したスポット領域の組成分析を行なう装置であるが、EPMA分析により、通常、触媒粒子断面について電子線を走査して線分析を行ない、深さ方向の粒子断面の特定元素の濃度分析を行なうことができる。本発明者らは、EPMA線分析により触媒粒子等の触媒成形体断面のマトリックス最高含有量成分の濃度分布を測定し、変動巾を数値化することにより得られるEPMA線分析測定データを、多数の繰り返し実験から集積し解析の結果、式▲1▼の関係を満たす触媒が高度の均質性と脱硫活性等の反応活性の発揮に寄与することを見い出したものである。
式▲1▼は次のとおり表わされる。
max −Nmin ≦2×[3×(No)0.5 + 0.2×No ] ………… ▲1▼
ただし、式▲1▼において、Nmax 、Nmin およびNo は、それぞれ、EPMA線分析によるマトリックス最大含有量成分の濃度測定値の最大値、最小値および平均値である。
【0025】
一方、EPMA面分析は、マトリックス最大含有量成分の粒子の大きさおよび分布形態を測定し、画像解析により粒子の大きさの均一性および粒子の分布の均等性を数値化したものである。
EPMA面分析により下記式▲2▼を満たす触媒が高度の均質性を有し、脱硫活性等において顕著な効果を奏することが見い出された。
式▲2▼は次のとおり表わされる。
0.8≦Sパラメータ<1 かつ 0.8≦Pパラメータ<1 ………… ▲2▼
ただし、式▲2▼において、SパラメータおよびPパラメータは、それぞれEPMA面分析によるマトリックス最大含有量成分の粒子サイズの均一性および粒子分布の均等性を示す指標である。
【0026】
Sパラメータは、EPMA面分析の結果画像をイメージアナリシスフリーソフトウェアNIH Imageにより解析し、次式を用いて算出される。
【式1】
Figure 0004242055
式中nはマトリックス最大含有量成分粒子の個数の測定値であり、aiは面内に存在するi番目の粒子の面積の測定値である。
【0027】
Pパラメータも同様に、EPMA面分析の結果画像をイメージアナリシスフリーソフトウェアNIH Imageにより解析し、次式により算出される。
【式2】
Figure 0004242055
式中mは面を等面積の区画に分けたときの区画数の測定値であり、biはi番目の区画内の分散粒子の面積の測定値である。
前記式▲1▼または▲2▼を満足するマトリックス成分を含有する触媒は、該成分の濃度分布が均等であり、また、粒子径が均一であり、かつ粒子相互の間隔が均等であることを示したものである。
【0028】
本発明の水素化処理用触媒は、前記構成から高比表面積を有する点が特徴の一つであり、窒素吸着等温線を求め、BETの多分子層吸着理論を用いて算出した比表面積が100m2/g以上、好ましくは150m2/g以上のものである。全細孔容積は0.1ml/g〜2ml/g、好ましくは0.2ml/g〜1.5ml/gであり、側面破壊強度は0.1 kg/mm以上、特に0.2 kg/mm以上であり、また、マトリックス相の最大含有量成分は前記式▲1▼または▲2▼を満足し均質性に優れたものである。
【0029】
なお、触媒の形状は、円柱状、タブレット状、球状その他断面四ツ葉状等の異形状のいずれでもよく、反応塔内の充填密度を制御できる形状およびサイズを選定すればよい。特に本発明の水素化処理用触媒は多孔性であることから充填密度を大きくするためには触媒成形体のサイズを調整することが好ましい。通常、直径として平均0.5mm〜20mmのものが充填密度の増加と圧力損失の抑制の観点から好適である。
【0030】
本発明の水素化処理用触媒は、以上の特性を有することから炭化水素油の水素化処理用触媒として良好な触媒である。特に、難脱硫性硫黄化合物を含む軽油留分の高度水素化脱硫には極めて有用である。
【0031】
次に、本発明の水素化処理用触媒の好ましい製造方法について説明する。
本発明の水素化処理用触媒は、前記物性が得られるように製造条件を制御すればいずれの方法で製造してもよいが、次の工程(I)および(II):
(I)下記の(a)、(b1 )、(b11)および(b2 )の触媒成分:
(a) (i) アルミニウム化合物 および/または
(ii)ケイ素、マグネシウム、カルシウム、ホウ素、ジルコニウム、チタニウム、トリウム、セリウム、ハフニウムおよびリンの化合物からなる群より選択される少なくとも一種の化合物との混合物
(b1) モリブデン硫化物形成化合物
(b11)モリブデン以外の周期表第6A族元素の化合物からなる群より選択される少なくとも一種の化合物
(b2) 周期表第8族元素の化合物からなる群より選択される少なくとも一種の化合物
を有機溶媒の存在下において沈殿剤溶液と接触させることによりゲルスラリーを調製し、得られたゲルスラリーを熟成後乾燥し触媒前駆体を調製する工程 および
(II)前記工程(I)にて得られた触媒前駆体に炭化水素溶媒および水を添加し熱分解する工程
により製造することができる。
【0032】
工程(I)の具体的な実施の形態としては、例えば次の工程(Ia)〜(Id)を経由することが好ましい。
工程(Ia):Mo硫化物形成化合物の溶液を含有する沈殿剤水溶液を調製する工程
工程(Ib):耐火性無機酸化物マトリックス成分の出発原料としての含酸素有機金属化合物およびプロモータ成分の化合物を有機溶媒に添加して均一溶液を調製する工程
工程(Ic):工程(Ib)にて得られた均一溶液に工程(Ia)にて得られた沈殿剤水溶液を添加しゲルスラリーを調製する工程
工程(Id):工程(Ic)にて得られたゲルスラリーを熟成した後乾燥する工程
【0033】
前記工程(I)の触媒前駆体の調製工程においてMo硫化物形成化合物は、ポーラスなMoS2 を生成するものであれば限定されるものではないが、モリブデン酸アンモニウム塩等の無機金属塩のほか酢酸塩、シュウ酸塩等の有機金属塩を挙げることができる。具体的には7−モリブデン酸アンモニウム、テトラチオモリブデン酸アンモニウム、ポリチオモリブデン酸アンモニウム、12−モリブド1−リン酸、ヘテロポリオキソモリブデン酸等を用いることができる。特に好ましいMo硫化物形成化合物はテトラチオモリブデン酸アンモニウムおよびポリチオモリブデン酸アンモニウムであるが、例えば、7−モリブデン酸アンモニウムに硫化水素または硫化アンモニウムを添加してテトラチオモリブデン酸アンモニウムを調製してもよい。
【0034】
プロモータ成分の出発原料としては、タングステン、クロム、鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金、銅、亜鉛、マンガン、レニウム等の硝酸塩、硫酸塩、塩化物、オキシ塩化物、硫化物またはこれらの金属の酸のアンモニウム塩等を挙げることができる。また、これらの無機塩のほかに酢酸塩、シュウ酸塩およびアルコキシド等の有機塩を用いることもできる。具体的には、リンタグステン酸、テトラチオタングステン酸アンモニウム、硝酸コバルト、硫酸コバルト、塩化コバルト、硝酸ニッケル、硫酸ニッケル、塩化ニッケル等を例示することができる。
【0035】
前記耐火性無機酸化物マトリックス成分の出発原料としてアルミニウム、ケイ素、マグネシウム、カルシウム、ホウ素、ジルコニウム、チタン、トリウム、セリウム、ハフニウム、ガリウム等のアルコキシド、アセチルアセトネート、カルボキシレート等を挙げることができるが、操作上の容易さからアルコキシル基の炭素数が1〜5のアルコキシドが好ましい。例えばアルミニウムメトキシド、アルミニウムエトキシド、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムブトキシド、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラt−ブトキシシラン、マグネシウムメトキシド、マグネシウムエトキシド、マグネシウムイソプロポキシド、カルシウムメトキシド、ホウ素メトキシド、ホウ素エトキシド、ジルコニウムエトキシド、ジルコニウムプロポキシド、ジルコニウムsec−ブトキシド、チタンエトキシド、チタンイソプロポキシド、ハフニウムエトキシド等を使用することができる。
また、出発原料としてはアルコキシド等の有機化合物のほか、有機溶媒に可溶で均一溶液を調製することができるものであれば無機化合物も用いることができる。例えば、硝酸塩、硫酸塩、塩化物、オキシ塩化物等の無機塩を使用することができる。
【0036】
有機溶媒としては、前記触媒成分(a)、(b1)、(b11)および(b2)の均一溶液が得られるように溶解させるものであれば特に限定されるものではないが、1価アルコール、2価アルコール、ケトアルコール、アミノアルコール、カルボン酸等を用いることができる。特に、2価アルコールが好ましい。2価アルコールとしては、例えば、ヘキシレングリコール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、2,5−ジメル−2,5−ヘキサンジオール、2,3−ブタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール等を用いることができる。
【0037】
前記有機溶媒は、前記触媒成分(a)の金属化合物に対し、モル比で0.1〜50、好ましくは1〜20の割合で用いることができる。有機溶媒が50モルを超えると溶媒が過剰となり次工程で均一なゲルスラリーを生成させることが困難となる。一方、0.1モルに達しないと流動的なゲルが得られず、均質性の高い触媒を製造することができないという問題が生じる。
【0038】
本発明の工程(I)においては、触媒成分(a)の前記含酸素有機金属化合物および触媒成分(b1)、(b11)および(b2)の無機金属化合物に前記非水溶媒を添加し任意の手段で攪拌して均一溶液を調製する。均一溶液の調製の温度は限定されるものではなく、溶媒等の種類により任意に選択すればよいが反応試剤の変質を抑制し、かつ調製時間の短縮を図るには10℃〜100℃の範囲が好ましい。
触媒成分の同時沈殿およびそれに伴う共沈を行なわせる際に使用される沈殿剤溶液としては、水、アンモニア水溶液、アミン水溶液、硫化水素水溶液、硫化アンモニウム水溶液、チオシアン酸アンモニウム水溶液、シュウ酸水溶液、リン酸水溶液、尿素水溶液、チオ尿素水溶液を挙げることができる。また、沈殿剤溶液は、単独で、または互いに混合して使用することができる。使用に際しては触媒成分の種類および添加方式により適宜選択すればよい。特に、アンモニア水溶液、硫化水素水溶液、硫化アンモニウム水溶液またはチオ尿素水溶液およびそれらの混合物を用いることにより高脱硫活性触媒を提供することができる。
【0039】
工程(II)の熱分解工程においては、前記工程(I)にて得られた触媒前駆体に有機溶媒および水を添加し、得られる混合物を水素ガスの存在下において加圧下にて熱分解に供する。
熱分解工程における有機溶媒としては液状炭化水素、硫化炭素等を挙げることができるが、液状炭化水素が好ましく、特に炭素数8〜15の脂肪族炭化水素が好適である。有機溶媒および水の添加量は、触媒前駆体中のMo含有量に対して重量比でそれぞれ20〜400および0〜60を用いることができ、特に水の添加量は0〜20の範囲が好ましい。また、水素ガス量は限定されるものでないが、例えば、有機溶媒1molに対して、0.05mol〜10molを使用することができる。
熱分解条件としては、温度250℃〜500℃、好ましくは300℃〜450℃、圧力0.1MPa〜100MPa、好ましくは0.1MPa〜30MPaを採用することができ、Mo成分がポーラスなMoS2 結晶に転化するまで同条件下に維持すればよい。また、反応形式としては、流通式またはバッチ式のいずれをも採用することができる。
工程(II)で得られた触媒前駆体は、次の工程(III)に供し、その含水溶媒量を濾過、沈降分離、遠心分離またはエバポレーションにより調整した後、工程(IV)にて、風乾、熱風乾燥、加熱乾燥、凍結乾燥等の方法で乾燥する。乾燥は還元、不活性、硫化雰囲気下等で行われる。
【0040】
以上の如くして本発明の水素化処理用触媒を製造することができる。また、触媒成形体は、前記いずれかの工程、例えば工程(II)の前での成形処理により調製することができる。成形方法としては、打状成形、押出成形、転動造粒等の方法を採用してもよい。
【0041】
次に、本発明の炭化水素油の水素化処理方法について説明する。
本発明の水素化処理方法は、炭化水素油と水素との接触によるあらゆる反応を包含するものであり、水素化精製、水素化脱硫、水素化脱窒素、水素化脱芳香族、水添異性化、水素化分解、水素化脱蝋および水素化脱金属等の反応を挙げることができ、所望の目的により適宜反応条件を選定することにより実施することができる。本発明の水素化処理用触媒は、特に炭化水素油の水素化脱硫方法において好適である。
【0042】
炭化水素油としては、特に限定されるものではなく、例えば石油原油の常圧蒸留留出油、常圧蒸留残渣油、減圧蒸留留出油、減圧蒸留残渣油、分解軽油、ラフィネート、水素化精製油、脱アスファルト油、スラックワックス、フィッシャートロプシュワックスまたはこれらの混合物等のほか、タールサンド油、シェールオイル、石炭液化油等を挙げることができる。特に難脱硫硫黄化合物および窒素化合物の除去の必要な減圧軽油、分解軽油および直留軽油等を用いることができる。
【0043】
減圧軽油は、常圧蒸留残渣油をさらに減圧蒸留して得られ、約370℃〜約610℃の範囲の沸点を有する留出油であり、硫黄分、窒素分および金属分を相当量(例えば、硫黄分2.0重量%、窒素分800重量ppm )含有するものもある。硫黄分としては、例えば、4−メチルジベンゾチオフェン、4,6−ジメチルジベンゾチオフェンなどの硫黄化合物が含有され、窒素分としてはピリジン類、アミン類、アミド類などの塩基性窒素化合物や、ピロール類などの弱塩基性窒素化合物が含有され、金属分としてはニッケル、バナジウム、鉄などが含有される。本発明の水素化処理用触媒を用いることにより、このような減圧軽油の脱硫および脱窒素を最も効率よく行うことができる。
分解軽油としては、残渣油をコーカーおよびビスブレーカーなどで熱分解して得られる約200℃以上の沸点を有する軽油留分、接触分解装置から得られるライトサイクルガスオイル(LCGO)およびヘビーサイクルガスオイル(HCGO)などを挙げることができる。
【0044】
また、前記の常圧蒸留留出油として直留ライトナフサ、直留ヘビーナフサ、灯油留分等も処理することができ、さらに本発明の水素化処理方法において処理可能な原料油として接触分解ナフサ、熱分解ナフサ、水蒸気分解ナフサ等の各種分解装置から得られるガソリン成分その他燃料油成分として用いられる約250℃以下の沸点を有する軽質留分等を挙げることができる。
【0045】
水素化処理方法の反応条件は、特に限定されるものではなく、例えば炭化水素油の種類、目的反応の種類、目標とする脱硫率および脱窒素率などにより適宜選択することができる。すなわち、水素化脱硫においては反応温度;150℃〜500℃、好ましくは200℃〜450℃、反応圧力;0.1MPa〜35MPa(1kg/cm2〜350kg/cm2)、好ましくは0.5MPa〜30MPa(5kg/cm2〜300kg/cm2)、水素含有ガスレイト;30リットル/リットル 〜2000リットル/リットル 、好ましくは35リットル/リットル 〜1800リットル/リットル および液空間速度;0.01V/H/V 〜20.0V/H/V 、好ましくは0.05V/H/V 〜10.0V/H/V を採用することができる。さらに反応温度250℃〜400℃、反応圧力4MPa〜10MPa(40kg/cm2〜100kg/cm2)、水素含有ガスレイト180リットル/リットル 〜230リットル/リットル および液空間速度0.8V/H/V 〜1.5V/H/V の条件を包含するものが好ましい。水素含有ガスとしては、水素濃度が60%〜100%の範囲のものを用いることができる。
【0046】
本発明の水素化処理用触媒は、脱硫活性、脱窒素活性、脱芳香族活性等およびそれらの活性維持能が高いために、通常では活性劣化が比較的早く過酷度の高い反応条件下、特に低反応圧においても、長期にわたり高い脱硫率等を達成することができる。
また、炭化水素油の水素化処理を行うにあたり、触媒は、固定床、流動床、沸騰床または移動床のいずれの形式でも使用することができるが、装置面または操作上から、通常、固定床を採用することが好ましい。また、二基以上の複数基の反応塔を結合して水素化処理を行なうことにより、高度の脱硫率等を達成することができる。このような観点から、特に炭化水素油が重質油である場合には、多段反応塔を使用することが好ましい。さらには、反応方式として、高度反応率を達成するために水素含有ガスと原料油が反応器内で同一方向に流れるコカレント方式、水素含有ガスと原料油が対向流で流れるカウンターカレント方式等のいずれの方式をも採用することができる。
【0047】
【実施例】
次に、本発明について実施例および比較例により具体的に説明する。もっとも本発明は、実施例等により何ら限定されるものではない。
なお、実施例等において触媒原材料として次の如き反応試剤を使用し、各触媒の物性(多孔性、強度、表面積等)および触媒活性等の特性は後記の方法で評価した。
反応試剤
7−モリブデン酸アンモニウム (NH4)6MoO7O24・4H2O
12−モリブド1−リン酸 H3(PMo12O40)・6H2O
テトラチオタングステン酸アンモニウム (NH4)2WS4
硝酸コバルト Co(NO3)2・6H2O
硝酸ニッケル Ni(NO3)2・6H2O
アルミニウムイソプロポキシド Al(i-OC3H7)3
テトラエトキシシラン Si(OC2H5)4
【0048】
実施例1(SNCMSAM15)
7−モリブデン酸アンモニウム16.5gを純水363.3gに溶解させ、さらに溶液にpH=9.7になるようにアンモニア水を加えた。そして、この溶液に、5%H2S/H2ガスを500ml/minの割合で8.5時間攪拌しながら流通させ、さらにN2 ガスを200ml/minの割合で12時間攪拌しながら流通させ、加水分解水溶液とした。この時溶液pH=9.2であった。
次に、アルミニウムイソプロポキシド14.0g、硝酸コバルト20.8gおよびヘキシレングリコール254.2gを混合し、80℃で4.5時間攪拌し均一溶液とした。
その後、前記方法で調製した加水分解水溶液を10ml/minの速度で、前記均一溶液に滴下し加水分解させ沈殿物を含有するスラリーを調製した。スラリーを90℃で10時間保持し熟成させた後、ロータリーエバポレータにより乾燥し、触媒前駆体を得た。触媒前駆体中の触媒成分は44.5 wt.%であった。
【0049】
触媒前駆体2.0gをn−トリデカン24.0gおよび純水5.5gと共にバッチ式反応器に充填し、さらに水素ガスを導入し、反応器内圧力を1.0MPaとした。この反応器を375℃に保持したサンドバスに投入、急速に昇温し、振盪させながら同温で30分間保持した。反応器を室温まで冷却後、濾過し、MoS−SMUS触媒SNCMSAM15を得た。SNCMSAM15は物性評価の結果、ポーラスMoS2 結晶(直径20Å以上の細孔を有する。)が存在し、このMoS2 結晶とプロモータ成分が複合化していることが確認され、Al成分の均質性も優れたものであった。活性評価では難脱硫性硫黄化合物(DBT、4,6DMDBT)の脱硫に対して高活性を示し、かつ高活性維持能を有することが判明した。触媒の化学組成、触媒物性および活性評価結果を表4に示す。
【0050】
実施例2(SNCMSAM08)
7−モリブデン酸アンモニウム16.5gを純水363.3gに溶解させ、さらに溶液にpH=9.7になるようにアンモニア水を加えた。そして、この溶液に、5%H2S/H2ガスを500ml/minの割合で11時間攪拌しながら流通させ、さらにN2 ガスを200ml/minの割合で12時間攪拌しながら流通させ、加水分解水溶液とした。この時溶液pH=9.1であった。
次に、アルミニウムイソプロポキシド14.0g、硝酸コバルト20.8gおよびヘキシレングリコール254.2gを混合し、80℃で4.5時間攪拌し均一溶液とした。
その後、前記方法で調製した加水分解水溶液を10ml/minの速度で、前記均一溶液に滴下し加水分解させ沈殿物を含有するスラリーを調製した。スラリーを90℃で10時間保持し熟成させた後、ロータリーエバポレータにより乾燥し、触媒前駆体を得た。触媒前駆体中の触媒成分は48.0 wt.%であった。
【0051】
触媒前駆体1.9gをn−トリデカン24.0gおよび純水5.5gと共にバッチ式反応器に充填し、さらに水素ガスを導入し、反応器内圧力を7.0MPaとした。この反応器を375℃に保持したサンドバスに投入、急速に昇温し、振盪させながら同温で30分間保持した。
次いで、反応器を室温まで冷却し、冷却後、濾過し、MoS−SMUS触媒SNCMSAM08を得た。ポーラスMoS2 結晶とプロモータ成分の複合化が確認された。触媒活性評価においては難脱硫性硫黄化合物の脱硫に対し、高活性を示し、かつ、活性維持能にも優れたものであった。また、LGO−Dを原料油とし表1の反応条件下において行なった水素化脱硫についても高活性を示し、高脱硫率を得た。触媒の化学組成、触媒物性および活性評価結果を表4に示す。
【0052】
実施例3(SNCMSAM11)
7−モリブデン酸アンモニウム16.5gを純水363.3gに溶解させ、さらに溶液にpH=9.7になるようにアンモニア水を加えた。そして、この溶液に、5%H2S/H2ガスを500ml/minの割合で9時間攪拌しながら流通させ、さらにN2 ガスを200ml/minの割合で12時間攪拌しながら流通させ、加水分解水溶液とした。この時溶液pH=9.3であった。
次に、アルミニウムイソプロポキシド30.1g、硝酸コバルト8.0gおよびヘキシレングリコール291.7gを混合し、80℃で4.5時間攪拌し均一溶液とした。
その後、前記方法で調製した加水分解水溶液を10ml/minの速度で、前記均一溶液に滴下し加水分解させ沈殿物を含有するスラリーを調製した。スラリーを90℃で10時間保持し熟成させた後、ロータリーエバポレータにより乾燥し、触媒前駆体を得た。触媒前駆体中の触媒成分は46.2 wt.%であった。
【0053】
触媒前駆体1.9gをn−トリデカン24.0gおよび純水5.5gと共にバッチ式反応器に充填し、さらに水素ガスを導入し、反応器内圧力を1.0MPaとした。この反応器を375℃に保持したサンドバスに投入、急速に昇温し、振盪させながら同温で30分間保持した。
次いで、反応器を室温まで冷却し、冷却後、濾過し、MoS−SMUS触媒SNCMSAM11を得た。ポーラスMoS2 結晶(直径20Å以上の細孔を有する。)が存在し、該結晶とプロモータ成分が複合化していることが確認された。また、Al成分の均質性にも優れ、脱硫活性(DBT活性、4,6DMDBT活性)および活性維持能に優れたものであることが判明した。触媒の化学組成、触媒物性および活性評価結果を表4に示す。
【0054】
実施例4(SNCMSAM09)
7−モリブデン酸アンモニウム14.1gを純水308.8gに溶解させ、さらに溶液にpH=9.7になるようにアンモニア水を加えた。そして、この溶液に、5%H2S/H2ガスを400ml/minの割合で12時間攪拌しながら流通させ、さらにN2 ガスを200ml/minの割合で12時間攪拌しながら流通させ、加水分解水溶液とした。この時溶液pH=9.1であった。
次に、アルミニウムイソプロポキシド24.5g、テトラエトキシシラン2.6g、硝酸コバルト17.2gおよびヘキシレングリコール295.0gを混合し、80℃で4.5時間攪拌し均一溶液とした。
その後、前記方法で調製した加水分解水溶液を10ml/minの速度で、前記均一溶液に滴下し加水分解させ沈殿物を含有するスラリーを調製した。スラリーを90℃で10時間保持し熟成させた後、ロータリーエバポレータにより乾燥し、触媒前駆体を得た。触媒前駆体中の触媒成分は51.3 wt.%であった。
【0055】
触媒前駆体2.1gをn−トリデカン24.0gおよび純水5.5gと共にバッチ式反応器に充填し、さらに水素ガスを導入し、反応器内圧力を1.0MPaとした。この反応器を375℃に保持したサンドバスに投入、急速に昇温し、振盪させながら同温で30分間保持した。
次いで、反応器を室温まで冷却し、冷却後、濾過し、MoS−SMUS触媒SNCMSAM09を得た。ポーラスMoS2 結晶(直径20Å以上の細孔を有する。)が存在し、該結晶とプロモータ成分が複合化していることが確認された。また、Al成分の均質性にも優れ、脱硫活性(DBT活性、4,6DMDBT活性)および活性維持能に優れたものであることが判明した。触媒の化学組成、触媒物性および活性評価結果を表4に示す。
【0056】
実施例5(SNCMSAM21)
7−モリブデン酸アンモニウム9.4gを純水205.9gに溶解させ、さらに溶液にpH=9.7になるようにアンモニア水を加えた。そして、この溶液に、5%H2S/H2ガスを500ml/minの割合で5時間攪拌しながら流通させ、さらにN2 ガスを200ml/minの割合で12時間攪拌しながら流通させた。この時溶液はpH=9.3であった。
次に、テトラチオタングステン酸アンモニウム(Aldrich Chem.Co.製、No.33673-4)2.8gを純水71.0gに溶解させ、さらにその溶液にpH=9.3となるようにアンモニア水を加えた。この溶液を前記の溶液に加え加水分解水溶液とした。
また、アルミニウムイソプロポキシド41.1g、硝酸コバルト13.6gおよびヘキシレングリコール335.9gを混合し、80℃で4.5時間攪拌し均一溶液を調製した。
その後、前記方法で調製した加水分解水溶液を10ml/minの速度で、前記均一溶液に滴下し加水分解させ沈殿物を含有するスラリーを調製した。スラリーを90℃で10時間保持し熟成させた後、ロータリーエバポレータにより乾燥し、触媒前駆体を得た。触媒前駆体中の触媒成分は45.5 wt.%であった。
【0057】
触媒前駆体3.5gをn−トリデカン24.0gおよび純水5.5gと共にバッチ式反応器に充填し、さらに水素ガスを導入し、反応器内圧力を1.0MPaとした。この反応器を375℃に保持したサンドバスに投入、急速に昇温し、振盪させながら同温で30分間保持した。
次いで、反応器を室温まで冷却し、冷却後、濾過し、MoS−SMUS触媒SNCMSAM21を得た。ポーラスMoS2 結晶(直径20Å以上の細孔を有する。)が存在し、該結晶とプロモータ成分が複合化していることが確認された。また、Al成分の均質性にも優れ、脱硫活性(DBT活性、4,6DMDBT活性)および活性維持能に優れたものであることが判明した。触媒の化学組成、触媒物性および活性評価結果を表5に示す。
【0058】
実施例6(SNCMSAM12)
7−モリブデン酸アンモニウム6.0gを純水130.8gに溶解させ、さらに溶液にpH=9.7になるようにアンモニア水を加えた。そして、この溶液に、5%H2S/H2ガスを500ml/minの割合で3時間攪拌しながら流通させ、さらにN2 ガスを200ml/minの割合で12時間攪拌しながら流通させ、加水分解水溶液とした。この時溶液pH=9.1であった。
次に、アルミニウムイソプロポキシド67.9g、テトラエトキシシラン4.1g、硝酸コバルト4.7gおよびヘキシレングリコール437.0gを混合し、80℃で4.5時間攪拌し均一溶液とした。
その後、前記方法で調製した加水分解水溶液を10ml/minの速度で、前記均一溶液に滴下し加水分解させ沈殿物を含有するスラリーを調製した。スラリーを90℃で10時間保持し熟成させた後、ロータリーエバポレータにより乾燥し、触媒前駆体を得た。触媒前駆体中の触媒成分は48.7 wt.%であった。
【0059】
触媒前駆体5.1gをn−トリデカン24.0gおよび純水5.5gと共にバッチ式反応器に充填し、さらに水素ガスを導入し、反応器内圧力を1.0MPaとした。この反応器を375℃に保持したサンドバスに投入、急速に昇温し、振盪させながら同温で30分間保持した。
次いで、反応器を室温まで冷却し、冷却後、濾過し、MoS−SMUS触媒SNCMSAM12を得た。触媒の化学組成、触媒物性および活性評価結果を表5に示す。
【0060】
実施例7(NCMSAM13)
7−モリブデン酸アンモニウム16.5gを純水363.3gに溶解させ、さらに溶液にpH=9.8になるようにアンモニア水を加えた。そして、この溶液に、5%H2S/H2ガスを500ml/minの割合で8.5時間攪拌しながら流通させ、さらにN2 ガスを200ml/minの割合で12時間攪拌しながら流通させ、加水分解水溶液とした。この時溶液pH=9.3であった。
次に、アルミニウムイソプロポキシド11.2g、テトラエトキシシラン2.4g、硝酸コバルト20.8gおよびヘキシレングリコール251.9gを混合し、80℃で4.5時間攪拌し均一溶液とした。
その後、前記方法で調製した加水分解水溶液を10ml/minの速度で、前記均一溶液に滴下し加水分解させ沈殿物を含有するスラリーを調製した。スラリーを90℃で10時間保持し熟成させた後、ロータリーエバポレータにより乾燥し、触媒前駆体を得た。触媒前駆体中の触媒成分は45.3 wt.%であった。
【0061】
触媒前駆体2.0gをn−トリデカン24.0gおよび純水5.5gと共にバッチ式反応器に充填し、さらに水素ガスを導入し、反応器内圧力を1.0MPaとした。この反応器を375℃に保持したサンドバスに投入、急速に昇温し、振盪させながら同温で30分間保持した。反応器を室温まで冷却後、濾過し、MoS−SMUS触媒SNCMSAM13を得た。物性評価の結果、ポーラスMoS2 結晶(直径20Å以上の細孔を有する。)が存在し、該結晶とプロモータ成分が複合化していることが確認された。また、Al成分の均質性にも優れ、脱硫活性(DBT活性、4,6DMDBT活性)および活性維持能に優れたものであることが判明した。触媒の化学組成、触媒物性、均質性、比表面積の測定結果および活性評価結果を表5に示す。
【0062】
実施例8(NCMSAM20)
7−モリブデン酸アンモニウム11.0gを純水242.2gに溶解させ、さらに溶液にpH=9.9になるようにアンモニア水を加えた。そして、この溶液に、5%H2S/H2ガスを500ml/minの割合で6時間攪拌しながら流通させ、さらにN2 ガスを200ml/minの割合で12時間攪拌しながら流通させ、加水分解水溶液とした。この時溶液pH=9.5であった。
次に、アルミニウムイソプロポキシド43.1g、硝酸コバルト13.6gおよびヘキシレングリコール348.0gを混合し、80℃で4.5時間攪拌し均一溶液とした。
その後、前記方法で調製した加水分解水溶液を10ml/minの速度で、前記均一溶液に滴下し加水分解させ沈殿物を含有するスラリーを調製した。スラリーを90℃で10時間保持し熟成させた後、ロータリーエバポレータにより乾燥し、触媒前駆体を得た。触媒前駆体中の触媒成分は44.8 wt.%であった。
【0063】
触媒前駆体3.0gをn−トリデカン24.0gおよび純水5.5gと共にバッチ式反応器に充填し、さらに水素ガスを導入し、反応器内圧力を1.0MPaとした。この反応器を375℃に保持したサンドバスに投入、急速に昇温し、振盪させながら同温で30分間保持した。反応器を室温まで冷却後、濾過し、MoS−SMUS触媒SNCMSAM20を得た。ポーラスMoS2 結晶(直径20Å以上の細孔を有する。)が存在し、該結晶とプロモータ成分が複合化していることが確認された。また、Al成分の均質性にも優れ、脱硫活性(DBT活性、4,6DMDBT活性)および活性維持能に優れたものであることが判明した。触媒の化学組成、触媒物性および活性評価結果を表5に示す。
【0064】
実施例9(SNCMSAM22)
アルミニウムイソプロポキシド14.0g、硝酸コバルト20.8gおよびヘキシレングリコール254.2gを混合し、80℃で4.5時間攪拌し、均一溶液とした。
その後、この均一溶液にポリモリブデン酸アンモニウム((NH4)2Mo3S13)23.2gを添加し、さらに、純水363.3gに溶液pH=9.1になるようにアンモニア水を加えた加水分解水溶液を10ml/minの速度で、滴下、加水分解し、沈殿物を含有するスラリーを調製した。スラリーを90℃で10時間保持し熟成させた後、ロータリーエバポレータにより乾燥し、触媒前駆体を得た。このとき、触媒前駆体は触媒成分を48.3 wt.%含有していた。
1.85gの触媒前駆体をn−トリデカン24.0g、純水5.5gと共にバッチ式反応器に充填し、さらに水素ガスを導入し、反応器内圧力を1.0MPaとする。この反応器を、375℃に保持したサンドバスに投入し急速昇温し、振とうさせながら30分間保持した。
反応器を室温まで冷却後、濾過し、MoS−SMUS触媒(SNCMSAM22)を得た。触媒組成、触媒物性および活性評価結果を表5に示す。
【0065】
比較例1(比較触媒a)
アルミニウムイソプロポキシド130.1gとヘキシレングリコール820.7gを混合し、完全に溶解するまで80℃で4時間攪拌した後、テトラエトキシシラン13.9gを添加し、さらに80℃で3時間攪拌した。
その後、12−モリブド1−リン酸11.2g、硝酸コバルト9.7gおよび硝酸ニッケル2.3gを添加し、さらに80℃で17時間攪拌し均一溶液を調製した。
得られた均一溶液に、80℃で純水98mlを1ml/分の速度で滴下し、加水分解により生成した沈澱物を含有するスラリーを調製した。
攪拌終了後、スラリーを90℃に加熱保持しながら88時間静置し熟成した。熟成終了後、スラリーをロータリーエバポレータで蒸発乾固し、さらに650℃、空気気流中で焼成し、表6に示す化学組成の比較触媒aを得た。
比較触媒aの物性評価の結果、活性成分は酸化物であり、硫化後もポーラスMoS2 結晶の存在は認められなかった。なお、Al成分については均質性を有するものであった。また、表6に示すように脱硫活性および活性維持能は低いものであった。
【0066】
比較例2(比較触媒b)
純水2.0リットルを約70℃に加熱し、これに水酸化ナトリウム水溶液を添加し、pH約12のアルカリ水を調製した。次にこのアルカリ水に硫酸アルミニウム水溶液(硫酸アルミニウム518.0g、純水710.0g)を加えた後、水酸化ナトリウムまたは硝酸溶液でpHを8.4〜8.8に調整し、約70℃で約0.5時間熟成した。これによりアルミナ水和物の沈澱(ゲル)を含む水溶液が得られた。この水溶液にケイ酸ナトリウム水溶液(3号水ガラス、純水210g)を加え、硝酸溶液により、pHを8.8〜9.2に調整し、約70℃で0.5時間熟成した。これによりアルミナ水和物の表面にシリカ水和物が沈着した沈澱粒子を含むスラリー液が得られた。このスラリー液を濾過し、濾別したケーキは濾過した後の濾液のナトリウム濃度が5ppm 以下になるまで炭酸アンモニウム水溶液で洗浄した。このケーキを80℃の混練機中で成型可能な水分量になるまで乾燥しながら混練し、押出成形機により1.5mmφの円柱状ペレットに成形した。成形されたペレットは120℃で16時間乾燥し、さらに700℃で3時間焼成して担体とした。
次いでこの担体に7−モリブデン酸アンモニウムの水溶液を含浸させ、120℃で乾燥し450℃で焼成した。次に硝酸コバルトと硝酸ニッケルを含有する水溶液を含浸させ、120℃乾燥し、500℃で焼成し、表6に示す比較触媒bとした。
比較触媒bの物性評価の結果、活性成分は酸化物であり、硫化後もポーラスMoS2 結晶の存在は認められなかった。なお、Al成分については均質性を有するものであった。表6に示すように脱硫活性および活性維持能ともに低いものであった。
【0067】
比較例3(比較触媒c)
アルミニウムイソプロポキシド130.1gとヘキシレングリコール820.7gを混合し、完全に溶解するまで80℃で4時間攪拌した後、テトラエトキシシラン13.9gを添加し、さらに80℃で3時間攪拌した。
その後、12−モリブド1−リン酸11.2g、硝酸コバルト9.7gおよび硝酸ニッケル2.3gを添加し、さらに80℃で17時間攪拌し均一溶液を調製した。
得られた均一溶液に、80℃で純水98mlを1ml/分の速度で滴下し、加水分解により生成した沈澱物を含有するスラリーを調製した。
攪拌終了後、スラリーを90℃に加熱保持しながら88時間静置し熟成した。熟成終了後、スラリーをロータリーエバポレータで蒸発乾固し、さらに650℃、空気気流中で焼成し、表6に示す化学組成の比較触媒cを得た。
比較触媒cの物性評価の結果、活性成分は酸化物であり、硫化後もポーラスMoS2 結晶の存在は認められなかった。なお、Al成分については均質性を有することが認められた。表6に示すように脱硫活性および活性維持能はともに低いものであった。
【0068】
[1]触媒物性評価
多孔性
透過型電子顕微鏡(TEM)観察像の画像解析により評価した。
(i) TEM観察方法
▲1▼試料準備
試料をノルマルヘキサン中に入れ、混合して懸濁させた後、液中浮遊粒子をスポイトで吸い取り、試料グリッドに滴下した。これらの作業は、窒素雰囲気中で実施した。
▲2▼TEM観察条件
加速電圧:300kV
観察視野:明視野
観察倍率:100万倍
写真倍率:180万倍
使用装置:JEM−3010(日本電子(株)製)
【0069】
(ii)画像解析方法
TEM像をイメージスキャナーでコンピュータに取り込み、デジタル化する。そのデジタル画像を二値化処理した後、フリーソフトウエアのNIH- image にて、MoS2 層状結晶部分の2次元高速フーリエ変換(FFT)を行なうことにより、細孔構造を示すパワースペクトル像を求めた。
次に、このパワースペクトル像をその中心について動径方向に積分して、横軸に細孔径(中心からの距離の逆数)、縦軸にスペクトル強度を取ることにより、MoS2 結晶相自体の持つ細孔分布を求めた。
【0070】
破壊強度
触媒前駆体をφ20mm錠剤成型器を用いて2ton/cm2 で圧粉成型した後に、アルミナ乳鉢で粉砕し、350μm〜500μm の粒子を分級し、それをバッチ式反応器で熱処理した後に、木屋式側面破壊強度測定器により触媒側面破壊強度を測定した。
【0071】
比表面積
定容量法N2 ガス吸着方式によりBET比表面積を求めた。
測定装置として、BELSORP28SA(日本ベル株式会社製)を用いた。測定試料をサンプル管に導入し、2×10-1Torr以下まで脱気した後、200℃で1.5時間真空中で前処理を行なった後、窒素の吸着等温線を測定した。そして、その吸着側の吸着等温線からBETの多分子層吸着理論を用いて試料の表面積を求めた。
【0072】
均質性
EPMA(電子線プローブマイクロアナライザー(Electron Probe Microa nalyzer)(島津製作所製EPM−810Q))を用い、次の要領で測定した。
・試料作製
触媒試料をポリエステル樹脂に包埋し、切削法により平滑な触媒断面を得た後、表面にカーボンコーティングを施した。
・測定条件
加速電圧:15KV
試料電流:0.05μA
ビームサイズ:1μmφ
測定線:Al−Kα
・EPMA線分析:1μmステップで触媒直径方向について分析。
【0073】
[2]触媒活性評価
固定床流通式反応評価装置による脱硫(HDS)活性評価および流通式オートクレーブ反応評価装置による脱硫(HDS)活性評価を行なった。反応条件および操作の詳細は次の通り。
1)固定床流通式反応評価装置による脱硫(HDS)活性評価
試験油(LGO−D)の性状、反応評価装置および反応条件は表1に示す。
操作は次の手順で行なった。
4.6gの触媒を反応器のなかに充填した後、硫化溶液(ヘキサデカンにジメチルダイサルファイドを加え、硫黄含有量を4 wt.%Sにしたもの)を1.5cc/min、H2 ガスを60cc/minの流量で反応器に流し、以下のプログラムで硫化した。
室温から40分かけて310℃まで昇温し、同温度で5時間保持した。その後、LGO−Dを導入した。導入完了後反応圧力に昇圧し、その後30分かけて320℃まで昇温し、HDS反応を行なった。試験油を導入して所定時間、反応を継続した後にプロダクト中の硫黄濃度を測定し、HDS活性を求めた。
HDS活性は、以下の式により算出した。
(HDS活性)=(触媒重量当たりの液空間速度)×[1/S0.5−1/S0 0.5
式中のSはプロダクト中の硫黄濃度、S0 はフィード中の硫黄濃度を示す。
【0074】
2)流通式オートクレーブ反応評価装置による脱硫(HDS)活性評価
評価試験条件を表2に示す。
0.3gの触媒を反応器に充填した後、硫化溶液(ヘキサデカンにジメチルダイサルファイドを加え、硫黄含有量を4 wt.%Sにしたもの)を0.15cc/min、H2 ガスを60cc/minの流量で反応器に流し、以下のプログラムで硫化した。室温から40分かけて310℃まで昇温し、同温度で1.5時間保持した。その後、各評価条件に合わせた試験油を導入した。導入完了後9kg/cm2-Gに昇圧し、その後30分かけて各評価条件の温度まで昇温し、HDS反応を行なった。試験油を導入して所定時間、反応を継続した後、試験条件1の場合には、プロダクト中のDBTおよび4,6DMDBTの濃度を、試験条件2および3の場合にはプロダクト中の硫黄濃度を測定し、それぞれHDS活性を求めた。
【0075】
HDS活性は、以下の式により算出した。
・試験条件1の場合
HDS活性(DBT)=(触媒重量当たりの液空間速度)×(NDBT,O-NDBT)/(NDBT)
式中のNDBT,0 はフィード中のDBT濃度、NDBT はプロダクト中のDBT濃度であり、DBTはジベンゾチオフェンを示す。
【0076】
HDS活性(4,6DMDBT)
=( 触媒重量当たりの液空間速度) ×(N4,6DMDBT,0-N4,6DMDBT)/(N4,6DMDBT)
式中のN4,6DMDBT,0はフィード中の4,6DMDBT濃度、N4,6DMDBTはプロダクト中の4,6DMDBT濃度であり、4,6DMDBTは、4,6−ジメチルジベンゾチオフェンを示す。
【0077】
・試験条件2および3の場合
(HDS活性)=(触媒重量当たりの液空間速度)×[1/S0.5−1/S0 0.5
式中のSはプロダクト中の硫黄濃度、S0 はフィード中の硫黄濃度を示す。
【0078】
【表1】
Figure 0004242055
【0079】
【表2】
Figure 0004242055
【0080】
【表3】
Figure 0004242055
【0081】
【表4】
Figure 0004242055
【0082】
【表5】
Figure 0004242055
【0083】
【表6】
Figure 0004242055
【0084】
【発明の効果】
ポーラスな層状MoS2 結晶中にプロモータ成分を複合化した活性相と無機酸化物マトリックス相とからなる水素化処理用触媒を実現したことからMo硫化物の含有量を増加させ高活性化を図ることができ、難脱硫硫黄化合物を含有する炭化水素供給原料の脱硫・脱窒素反応において高度の反応活性および活性維持能を達成することができる。

Claims (2)

  1. 水素化活性成分で構成される活性相と耐火性無機酸化物マトリックス相とからなる炭化水素油の水素化処理用触媒であって、前記活性相が細孔直径20Å以上の細孔を有する層状MoS結晶中に下記のプロモータ成分の粒子が分散してなることを特徴とする高比表面積を有する炭化水素油の水素化処理用触媒。
    プロモータ成分:モリブデンを除く周期表第6A族元素および同表第8族元素からなる群より選択される少なくとも一種の元素の化合物
  2. 炭化水素油を水素の存在下において請求項1に記載の水素化処理用媒体と水素化処理条件下で接触させることを特徴とする炭化水素油の水素化処理方法。
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