以下、本発明に係る光記録媒体駆動装置の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において、特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
本発明に係る光記録媒体駆動装置は、図1に示すように、光記録媒体となる光ディスク102を回転操作する駆動手段としてのスピンドルモータ103と、光ヘッド104と、その駆動手段としての送りモータ105とを備えている。
ここで、スピンドルモータ103は、後述するディスク種類判別手段ともなるシステムコントローラ107及びサーポ制御回路109により駆動制御され、所定の回転数で回転される。
また、光ディスク102としては、光変調記録を用いた記録再生デイスクである種々の方式の光ディスク(例えば、いわゆる「CD−R/RW」、「DVD−RAM」、「DVD−R/RW」、「DVD+RW」等)、または、各種光磁気記録媒体である。
さらに、この光ディスク102としては、記録面上における最適な記録及び/又は再生光パワーの異なる少なくとも2種以上の光ディスクから選択的に使用してもよく、また、最適な記録及び/又は再生光パワーの異なる少なくとも2以上の記録領域に記録面が分割された光ディスク、複数の記録面(記録層)が透明基板を介して積層された光ディスクをも使用することができる。
記録面上における最適な記録及び/又は再生光パワーの差異は、光ディスクにおける記録方式そのものが異なることによるものの他、光ディスクの回転操作される速度(光ヘッドに対する線速度)の違いによるもの(いわゆる標準速ディスクに対するn倍速ディスク)であってもよい。
また、この光ディスク102としては、最適な記録及び/又は再生光パワーの異なる、または、同一の少なくとも2以上の記録面を有する多層光ディスクを使用することもできる。この場合においては、多層光ディスクの設計のしかたにより、各記録面についての最適な記録及び/又は再生光パワーの違いが生ずる。
なお、これら光ディスクの記録及び/又は再生光の波長としては、400nm程度乃至780nm程度が考えられる。
光ヘッド104は、光ディスク102の記録面に対して光束を照射し、この光束の記録面による反射光を検出する。また、光ヘッド104は、光ディスク102の記録面からの反射光に基づいて、後述するような各種の光束を検出し、各光束に対応する信号をプリアンプ部120に供給する。
このプリアンプ部120の出力は、信号変復調部及びECCブロック108に送られる。この信号変復調部及びECCブロック108は、信号の変調、復調及びECC(エラー訂正符号)の付加を行う。光ヘッド104は、信号変復調部及びECCブロック108の指令にしたがって、回転する光ディスク102の記録面に対して、光照射を行う。このような光照射により、光ディスク102に対する信号の記録または再生が行われる。
プリアンプ部120は、各光束に対応する信号に基づいて、フォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号、RF信号等を生成するように構成されている。記録または再生の対象媒体とされる光記録媒体の種類に応じて、サーポ制御回路109、信号変復調部及びECCブロック108等により、これらの信号に基づく復調及び誤り訂正処理等の所定の処理が行われる。
これにより、復調された記録信号は、光ディスク102が、例えばコンピュータのデータストレージ用であれば、インタフェース111を介して外部コンピュータ130等に送出される。そして、外部コンピュータ130等は、光ディスク102に記録された信号を再生信号として受け取ることができるようになっている。
また、光ディスク102がオーディオ・ビジュアル用であれば、D/A,A/D変換器112のD/A変換部でデジタル/アナログ変換され、オーディオ・ビジュアル処理部113に供給される。そして、このオーディオ.ビジュアル処理部113に供給された信号は、このオーディオ.ビジュアル処理部113においてオーディオ・ビデオ信号処理を行われ、オーディオ・ビジュアル信号入出力部114を介して、外部の撮像・映写機器に伝送される。
上記光ヘッド104は、送りモータ105により、光ディスク102上の所定の記録トラックまで移動操作される。スピンドルモータ103の制御と、送りモータ105の制御と、光ヘッド104の対物レンズを保持する二軸アクチュエータのフォーカシング方向の駆動及びトラッキング方向の駆動の制御は、それぞれ、サーボ制御回路109により行われる。
また、サーポ制御回路109は、本発明に係る光ヘッド104内に配設されたの光結合効率可変素子を動作させ、光ヘッド104における光結合効率、すなわち、レーザ光源から出射する光束の総光量と光ディスク102上に集光する光量との比率を、記録モード時と再生モード時とで異なるように制御する。
また、レーザ制御部121は、光ヘッド104におけるレーザ光源を制御する。特に、この実施の形態においては、レーザ光源の出力パワーを、記録モード時と再生モード時とで異ならせる制御する動作を行なう。
また、光ディスク102が、記録面上における最適な記録及び/又は再生光パワーの異なる少なくとも2種以上の光ディスクから選択的に使用されたものである場合(記録方式の異なるもの、分割された記録領域のいずれであるか、積層された記録面のうちのいずれであるか、光束に対する相対線速度が異なるものなどのいずれも含む)には、ディスク種類判別センサ115が、装着された光ディスク102の種類を判別する。光ディスク102としては、上述したように、光変調記録を用いた種々の方式の光ディスク、または、各種光磁気記録媒体が考えられ、これらは、記録面上における最適な記録及び/又は再生光パワーの異なるものも含んでいる。ディスク種類判別センサ115は、光ディスク102の表面反射率やその他の形状的、外形的な違いなどを検出する。
そして、システムコントローラ107は、ディスク種類判別センサ115より送られる検出結果に基づいて、光ディスク102の種類を判別する。
さらに、光記録媒体の種類を判別する手法としては、カートリッジに収納された光記録媒体においては、このカートリッジの検出穴を設けておくことが考えられる。また、光記録媒体の、例えば、最内周にあるプリマスタードピットや、グルーブ等に記録された目録情報(Table of Contents:TOC)による情報をもとに、「ディスク種別」もしくは「推奨記録パワー及び推奨再生パワー」を検出し、その光記録媒体の記録及び再生に適した記録及び再生光パワーを設定することが考えられる。
そして、光結合効率制御手段となるサーポ制御回路109は、システムコントローラ107に制御されることにより、ディスク種類判別センサ115の判別結果に応じて、光ヘッド104における光結合効率を、装着された光ディスク102の種類に応じて制御する。
また、光ディスク102として、最適な記録及び/又は再生光パワーの異なる少なくとも2以上の記録領域に記録面が分割された光ディスクを使用する場合には、記録領域識別手段により、記録及び/又は再生をしようとする記録領域を検出する。複数の記録領域が光ディスク102の中心からの距離に応じて同心円状に分割されている場合には、記録領域識別手段としては、サーポ制御回路109を用いることができる。サーポ制御回路109は、例えば、光ヘッド104と光ディスク102との相対位置を検出する(ディスク102に記録されたアドレス信号をもとに位置検出する場合を含む)ことによって、記録及び/又は再生をしようとする記録領域を判別することができる。そして、サーポ制御回路109は、記録及び/又は再生をしようとする記録領域の判別結果に応じて、光ヘッド104における光結合効率を制御する。
さらに、光ディスク102が、最適な記録及び/又は再生光パワーの異なる少なくとも2以上の記録面を有する多層光ディスクである場合には、記録面識別手段により、記録及び/又は再生をしようとする記録面を判別する。記録面識別手段としては、サーポ制御回路109を用いることができる。サーポ制御回路109は、例えば、光ヘッド104と光ディスク102との相対位置を検出することによって、記録及び/又は再生をしようとする記録面を検出することができる。そして、サーポ制御回路109は、記録及び/又は再生をしようとする記録面の判別結果に応じて、光ヘッド104における光結合効率を制御する。
なお、これら光ディスクの種類、記録領域、記録面についての情報は、各光ディスクに記録されたいわゆるTOCなどの目録情報を読み取ることによっても判別することができる。
〔光ヘッドの第1の実施例〕
そして、上述の光記録媒体駆動装置において使用される本発明に係る光ヘッドは、図2に示すように、光源となる半導体レーザ素子212、コリメータレンズ213、光結合効率可変手段を構成する液晶素子214及び第1のビームスプリッタ215、光分離手段となる第2のビームスプリッタ218、FAPC(Front Auto Power Control)用検出素子219、対物レンズ220、検出レンズ221、マルチレンズ222、光検出素子223を備えており、これらの各光学部品が個別にマウントされて構成されている。
この光ヘッド104では、半導体レーザ素子212から出射される光束は、コリメータレンズ213に入射されて平行な光束に変換され、液晶素子214に入射され、さらに、この液晶素子214を通過した光束が第1及び第2のピームスブリッタ215,218に順次入射される。そして、これらビームスプリッタ215,218を通過した光束は、対物レンズ220によって光ディスク102の記録面上に集光される。
そして、光ディスク102の記録面で反射された光束は、第2のビームスプリッタ218で光源からの光路に対して分離され、検出レンズ221及びマルチレンズ222を経て、光検出素子223に入射される。この光検出素子223が受光して出力する信号に基づいて、RF信号、フォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号等が生成される。
このような光ヘッド104においては、半導体レーザ素子212から出射された光束は、光結合効率可変素子である液晶素子214の作用により、この液晶素子214を通過して後は、光結合効率を適宜可変制御される。同一の種類の光ディスクにおいて、または、同一の記録領域、あるいは、同一の記録面において、記録モードから再生モードに変わったときには、記録モード時におけるよりも、小さい光結合効率となされて光ディスク102に入射される。また、再生モードから記録モードに変わったときには、再生モード時におけるよりも、大きい光結合効率となされて光ディスク102に入射される。
なお、液晶素子の作用としては、波長板として機能するものに限らず、例えばディスプレイなどに用いられるねじれネマティックタイプの液晶など、ビームスプリッタに入射する偏光の状態を可変にすることができるものであれば同様の効果が得られる。
この光ヘッド104において、半導体レーザ素子212内の図示しない半導体レーザチップを駆動する電流は、光ヘッド104のレーザ制御部121から供給される。なお、レーザ制御部121は、光ヘッドの外部にあってもよく、光ヘッドに搭載されていてもよい。
液晶素子214は、印加電圧に基づいて偏光状態が変化する。液晶素子214に対する印加電圧は、サーポ制御部109によって制御される。液晶素子214を透過した光束は、偏光の状態が変化された状態で、第1のビームスプリッタ215に入射する。
第1のビームスプリッタ215は、P偏光を略々100%透過させ、S偏光を略々100%反射するようになされており、液晶素子214によって与えられる位相差がちょうどN波長(Nは整数)であるとき(すなわち、記録モード時)には、略々100%の光束が第1のビームスプリッタ215を透過する。
一方で、液晶素子214による位相差がN波長から半波長だけずれた状態にあるとき(すなわち、再生モード)には、偏光方向が45度回転し、略々50%の光束が第1のビームスプリッタ215を透過し、残り略50%の光束は反射される。
第1のビームスプリッタ215において反射された光束は、光結合効率検出手段となる光分岐量モニタ用光検出素子216に受光される。この光分岐量モニタ用光検出素子216の出力は、半導体レーザ素子212の発光出力と第1のビームスプリッタ215における光分岐率との積に対応したものとなっており、この光ヘッド104における光結合効率に略々対応したものとなっている。なお、光結合効率が高いときには、光分岐量モニタ用光検出素子216に入射される光量は減り、光結合効率が低いときに、光分岐量モニタ用光検出素子216に入射される光量が増える関係となっている(光分岐量モニタ用光検出素子216に入射される光量は、100%−〔光結合効率可変手段の通過率(%)〕に比例した量である)。この光分岐量モニタ用光検出素子216の出力は、プリアンプ120に送られる。
第1のビームスプリッタ215を透過した光束は、第2のビームスプリッタ218に入射する。第2のビームスプリッタ218は、半導体レーザ素子212から出射された光束を、実際に対物レンズ220を介して光ディスク102の記録面に向う光と、記録面に向かう光束の光量をモニタするためののFAPC用検出素子219に入射する光とに分離させる。このFAPC用検出素子219の出力は、レーザ制御部121に送られ、オートパワーコントロールの動作が実行される。すなわち、レーザ制御部121は、FAPC用検出素子219からの出力が所定の値となるように、半導体レーザ素子212の発光出力を制御する。この制御により、光ディスク102の記録面上における照射光束の出力が一定となされる。なお、光ディスク102の記録面上において所定の値となされる照射光束の出力値は、後述するように、記録モードと再生モードとでは異なる値であり、光ディスクの種類等によっても異なる(なお、光変調記録方式の場合には、パルス発光となる)。
ピームスブリッタ218より分離され、このピームスブリッタ218を透過した半導体レーザ素子212からの光束は、対物レンズ220に入射される。対物レンズ220は、入射光を光ディスクの記録面のある一点に収束させて照射する。この対物レンズ220は、図2中の矢線Fで示すフォーカス方向及び図2中の矢線Tに示すトラッキング方向に駆動される。
光ディスクの記録面からの反射光は、再び対物レンズ220を介して、第2のビームスプリッタ218に入射される。第2のビームスプリッタ218では、反射率に応じた光量の光束が反射分離される。
この第2のビームスプリッタ218によって分離された反射光は、検出レンズ221で収束光に変換され、マルチレンズ222によってフォーカスエラー信号を非点収差法によって得るための非点収差を付与され、光検出素子223によって受光される。この光検出素子223の出力に基づいて、フォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号及びRF信号を得ることができる。
この光記録媒体駆動装置においては、記録モード時において、半導体レーザ212から出射されて光ディスク102に導かれる光の光結合効率をCEW(Coupling Erficiency write )とし、信号再生モード時において、半導体レーザ212から出射されて光ディスク102に導かれる光の光結合効率をCER(Coupling Erficiency Reed)とした場合、以下の関係が成立する。
CEW>CER
また、光記録媒体の種類の違いによって、光ディスク102に導かれる光の光結合効率が異なる場合においても、同様のことがいえる。
したがって、光結合効率可変素子における光結合効率を記録時と再生時、及び、光記録媒体の種類の変更時に切り換え制御することにより、光源2側で記録モード時と再生モード時における出力パワー比を極端に大きくせずとも、光ディスクの記録面に照射される光束のレベルを記録モード時と再生モード時とで、及び、光記録媒体の種類の変更に応じて、大幅に変えることが可能となる。また、光結合効率は、光ディスクの種類、記録領域の違い、または、記録面の違いによって、最適となる記録及び/又は再生時の記録面上における光パワーに応じて、可変制御される。光結合効率は、最適となる記録面上における光パワーが大きいほど、大きくなされる。なお、光学系の構成によっては、光結合効率と記録面上における光パワーとの関係が逆になる場合もある。
このように、この光記録媒体駆動装置においては、記録モード時と再生モード時とで、あるいは、選択された光ディスクの種類、記録領域、または、記録面のそれぞれについて、最適なレベルの光を光ディスクの記録面に照射して、記録または再生を行なうことができ、良好な記録及び再生特性を得ることができる。
以下、本実施の形態における光結合効率可変素子の作用について詳細に説明する。
まず、光結合効率可変素子を用いない場合の光結合効率をCE0とし、光結合効率可変素子の通過光比率を、信号記録時ではTW、信号再生時ではTRとすると、以下の関係が成立する。
(信号記録時の光結合効率)CEW=CE0×TW
(信号再生時の光結合効率)CER=CE0×TR
また、必要な記録面集光量を信号記録時ではPW、信号再生時ではPRとすると、光源において必要な出力を、記録時ではLDW、再生時ではLDRとすると、以下の関係が成立する。
(信号記録時)LDW=PW/CEW=PW/(CE0×TW)
(信号再生時)LDR=PR/CER=PR/(CEO×TR)
次に、光源の光出力に必要なダイナミックレンジLDW/LDRは、以下のように示される。
LDW/LDR=(PW/PR)×(TR/TW)
なお、光結合効率可変素子を用いない場合には、TR=TWの場合と同様である。このように、この光記録媒体駆動装置においては、光源の光出力に必要なダイナミックレンジは、光結合効率可変素子の透過光比率の比の分だけ、変化させることが可能である。
次に、複数種類の光記録媒体を用いる場合について考える。想定される光記録媒体としては、上述のように、多層ディスク、高線速記録光記録媒体等、種々のものが考えられる。
光源として半導体レーザを用いるとし、レーザ発振が安定になり、十分にレーザノイズが小さくなる光出力が、4mWであり、光出力最大定格が60mWであるとする。
また、光記録媒体A(第1の種類の光ディスク)の特性から要求される記録面への集光量PW(A)、PR(A)が、以下のようであるとする。
PW(A)=20mW
PR(A)=2mW
光記録媒体B(第2の種類の光ディスク)の特性から要求される記録面への集光量PW(B)、PR(B)が、以下のようであるとする。
PW(B)=10mW
PR(B)=1mW
この場合において、光結合効率可変手段を用いないとすると、光源の光出力のダイナミックレンジについては、以下のように示すことができる。
〔光源の光出力のダイナミックレンジ〕=60mW/4mW=15
そして、光ディスクの記録面上において必要な光出力のダイナミックレンジは、以下のように示すことができる。
〔必要な光出力のダイナミックレンジ〕=LDW(A)/LDR(B)
=PW(A)/PR(B)=20mW/1mW=20
すなわち、光源の光出力のダイナミックレンジが、必要な光出力のダイナミックレンジより小さいので、この光源のままでは、良好な記録及び再生が行えないことになる。
一方、本発明の光記録媒体駆動装置における光結合効率可変手段を用いると、以下のようになる。
光結合効率可変手段の通過光比率を、T1=100%、T2=50%とし、光記録媒体Aに対する記録時にT1とし、光記録媒体Bの再生時がT2にすることとすると、必要な光出力のダイナミックレンジについては、以下のように示すことができる。
〔必要な光出力のダイナミックレンジ〕=LDW(A)/LDR(B)
=(PW(A)/PR(B))×(T2/T1)
=(20mW/1mW)×(50%/100%)=10
このように、必要な光出力のダイナミックレンジが光源の光出力のダイナミックレンジより小さくなるので、光源の光出力のダイナミックレンジ以内で、第1の種類の光ディスク(A)に対する記録及び第2の種類の記録ディスク(B)の再生が可能となる。
この場合において、光学系の設計をCE0=40%と設定することによって、以下の関係が成立する。
〔光記録媒体A信号記録時の光結合効率〕CE1=CE0×T1=40%
〔光記録媒体B信号再生時の光結合効率〕CE2=CE0×T2=20%
したがって、必要な光源光出力は、以下のようになる。
〔光記録媒体A信号記録時〕
LDW(A)=PW(A)/CE1=20mW/40%=50mW
〔光記録媒体B信号再生時〕
LDR(B)=PR(B)/CE2=1mW/20%=5mW
このように、光出力最大定格60mWに対して、余裕のある光出力50mWで記録ができるとともに、十分にレーザノイズが小さくなる光出力4mWに対しても余裕のある光出力5mWで良好な再生が可能となる。
このとき、光記録媒体A信号再生時に関しては、以下のようになる。
LDR(A)=PR(A)/CE1=2mW/40%=5mW
LDR(A)=PR(A)/CE2=2mW/20%=10mW
光記録媒体B信号記録時に関しては、以下のようになる。
LDW(B)=PW(B)/CE1=10mW/40%=25mW
LDW(B)=PW(B)/CE2=10mW/20%=50mW
この場合、光結合効率は、CE1及びCE2のいずれを用いてもよい。
なお、後述するように、記録及び/又は再生時において光結合効率を変化させる場合、切換には一定の時間を要することから、光記録媒体Aについては、記録及び再生についてCE1、光記録媒体Bについては、記録及び再生についてCE2を用いるのがより簡便であると判断できる。
「推奨記録・再生パワー」の情報があらかじめ光記録媒体に記録されていれば、どのような媒体が装着されても同様に扱える。
ここで、ある媒体の推奨記録パワーをPW0、推奨再生パワーをPR0とし、光結合効率可変手段における通過光比率が略々100%のときの光結合効率を40%、光結合効率可変手段における通過光比率を下げたときの光結合効率を20%とし、想定されるPW0の範囲を、9mW乃至22.5mW、PR0の範囲を、0.9mW乃至2.25mWとする。
そして、図3に示すように、光記録媒体から読み取られたPR0、PW0の組合せが、(A)、(B)、(C1)、(C2)の4つの領域のどこになるかを判別し、それぞれに応じて、記録モード及び再生モードにおけるアッテネート状態(光結合効率可変手段における通過光比率)をどうするかを決める。
すなわち、光源のダイナミックレンジを考えると、PR0≦1.6では、光結合効率可変手段における通過光比率を下げる必要があり、PW0≧12では、光結合効率可変手段における通過光比率を上げる必要がある。
したがって、(A)の範囲では、再生モードにおいて光結合効率可変手段における通過光比率を下げる必要があり、記録モードにおいてはどちらでもよいので、切換操作の手間を考えると、「光結合効率可変手段における通過光比率を常時下げておく」ことが望ましい。
(B)の範囲では、再生モードにおいて光結合効率可変手段における通過光比率を下げる必要があり、記録モードにおいて光結合効率可変手段における通過光比率を上げる必要があるので、記録モード及び再生モードの切り換えによって、アッテネート状態を切換える必要がある。
(C1)の範囲では、再生モードにおいてどちらでもよく、記録モードにおいてもどちらでもよいので、「光結合効率可変手段における通過光比率を常時上げておいて」構わない。
(C2)の範囲では、再生モードにおいてどちらでもよく、記録モードにおいて光結合効率可変手段における通過光比率を上げる必要があるので、切換操作の手間を考えると、「光結合効率可変手段における通過光比率を常時上げておく」ことが望ましい。
したがって、(C1)及び(C2)の範囲では、いずれも「光結合効率可変手段における通過光比率を常時上げておく」ことにすればよい。
光記録媒体を収納するカートリッジに穴を設けて判別する場合、これら4つの領域を判別できるように、2つ(2ビット)の穴を設ければ、上述したような処理を行うことができる。
また、これに限らず、光結合効率の値は、光源のダイナミックレンジを満たす範囲内で、適宜設定してもよい。場合によっては、3以上の複数の光結合効率とすることも可能である。この場合には、光源の製造を容易化することができる。また、特殊な光源を用いなくても、容易に良好な特性の得られる光ヘッド、光記録媒体駆動装置を実現することができる。
記録面を複数層有する多層(2層)ディスクに対応する場合における制御の順序としては、まず、光ディスク102の装着時に、多層ディスクよりも最適記録パワーの小さい、例えば、1層ディスクに対応した再生パワーで、まずディスクに記録されたディスク種別データ(目録データ)を再生し、2層ディスクであった場合には、2層ディスクに対応した、記録及び/又は再生パワー及び光結合効率に設定する。
次に、以上のような光記録媒体駆動装置101における記録モードと再生モードの切り換え動作について説明する。
図4は、光記録媒体駆動装置101における記録モードと再生モードの切り換え動作に伴うレーザ光の状態を示すタイミングチャートであり、図4(A)は光ディスク102の記録面に集光される光量(盤面パワー)、図4(B)は光結合効率可変素子におけるレーザ光の透過率、図4(C)は光分岐量モニタ用光検出素子216の出力、図4(D)は、レーザ出射パワーの変化を示している。
この光記録媒体駆動装置101においては、以下のように、液晶素子214の応答開始後、システムコントローラ107からの指令にしたがってタイミングをはかりなから、レーザ制御部121が記録モード、再生モードの切り換えを行う。
すなわち、再生モード時には、液晶素子214が半波長板として機能するような位相差が発生するように、サーボ制御部109によって適正な印加電圧が与えられており、光結合効率可変素子の透過率が50%に設定されている。レーザ出射パワーが5mWとなり、レーザノイズが少なく、良好な再生特性が得られている。
そして、再生モードから記録モードに切り換える際には、まず、システムコントローラ107からの指令にしたがって、サーボ制御部109によって液晶素子214に対する印加電圧が変更され、液晶素子214の位相差を変化させる。
液晶素子214の応答に伴って、光結合効率可変素子の透過率が50%から100%に変化し、オートパワーコントロールの動作により、レーザ出射パワーは5mWから2.5mWに変化する。このとき、光分岐量モニタ用光検出素子216の出力も、光結合効率可変素子の透過率の変化及びレーザ出射パワーの変化に応じて、下がる。また、このとき、液晶素子には有限の応答速度があるため、その応答の過渡期においては、ディスク上に集光するパワーは再生パワーとしたままに保たれる。光分岐量モニタからの出力が、プリアンプ120を介してサーボ制御部109に入力され、あらかじめ設定した出力レベル基準値Poffを下回った段階で、光結合効率可変手段による透過率が100%に充分近い値になったことを判断し、システムコントローラ107を介して、信号変調およびECCブロック108の指令に従って、レーザ制御部121から信号記録パルスが発生され、レーザ出射パワーが変調されて信号の記録が行われる。
次に、記録モードから再生モードに切り換える際には、まず、システムコントローラ107からの指令にしたがって、レーザ制御部121が記録モード、再生モードの切り換えを行なう。この状態では、レーザ出射パワーは2.5mWと低いためレーザノイズは増加した状態にある。
レーザ出力が再生パワーに切り換えられた後、システムコントローラ107からの指令にしたがって、サーポ制御部109によって液晶素子214に対する印加電圧が変更され、液晶素子214の位相差を変化させる。
液晶素子214の応答にしたがって、光結合効率可変素子の通過率が100%から50%に変化し、オートパワーコントロールの動作により、レーザ出射パワーは2.5mWから5mWに変化し、レーザノイズは減少し、良好な再生信号が検出可能となる。このとき、光分器量モニタ出力があらかじめ設定された基準値Ponを超えた段階で、充分に光結合効率が低下したと判断し、信号の再生を開始する。場合によっては、再生モードへの切換の際には、即座に信号再生を開始し、レーザノイズにより再生信号にエラーが発生する間はリトライすることとしてもよい。また、このとき、光分岐量モニタ用光検出素子216の出力も、光結合効率可変素子の透過率の変化及びレーザ出射パワーの変化に応じて、上がる。
もし、仮に、記録再生のモードを切り換える際の手順を上記の手順で行なわなかった場合、以下のような不具合が生じる。
まず、再生モードから記録モードの切り換えでは、光出力が高いまま(光結合効率が小さいまま)、記録動作を始めてしまうため、レーザの光出力最大定格を超える出力を得ようとして、場合によってはレーザが破壊される。
また、記録モードから再生モードの切り換えでは、光出力が低いまま(光結合効率が大きいまま)、再生動作を始めてしまうため、レーザノイズが多く、良好な再生特性が得られない。また、記録動作後、光結合効率を先に小さくしてしまうと、レーザの光出力最大定格を超える出力を得ようとして、場合によってはレーザが破壊される虞れがある。
そこで、上述した本例の手順を用いて記録/再生モードの切り換え動作を行なうことにより、記録及び再生時のレーザの出力比が小さくても、再生時のレーザノイズを十分に小さくでき、製造性のよい光源、光出力最大定格の小さめな光源を用いても良好な記録、再生特性を得られる光記録媒体駆動装置を提供することが可能となる。すなわち、上述の問題が起きないようにするためには、タイミングを守ることと、光結合効率可変手段の可変動作が確実に完了する時間を待って、記録・再生を始めるか、もしくは、可変動作のON/OFF(光結合効率の増減)を何らかの手法によって検出、管理すればよい。
可変動作のON/OFF(光結合効率の増減)を検出する手法としては、以下のような手法が考えられる。
例えば、機構的に可変動作を行う場合には、位置センサ等を用いて、駆動状態を知ることが可能である。また、半導体レーザのリアモニタ端子(出射方向と逆方向に出射する光をモニタする受光素子からの出力)を用いたり、光記録媒体上に到達しないで捨てられる光を受光素子を設けてモニタすることによって、光出力の変化を検出することも可能である。
また、ビームスプリッタ膜によって光の分岐比率を可変とする場合には、上述のように、分岐された光パワーを受光素子を設けて検出すればよい。
次に、フローチャートにより、この光記録媒体駆動装置の動作をさらに詳しく説明する。
まず、光分岐量モニタ用光検出素子216の出力を用いて、記録モード及び再生モード間の切換えにおいて光結合効率を変化させることを考える。光記録媒体駆動装置の動作モードとしては、「記録モード」、「再生モード」及び「待機モード」の3状態が考えられる。「記録モード」を「W」、「再生モード」を「R」、「待機モード」を「−」で示すと、以下のような動作モードの変更が考えられる。
〔R−W−W−R−R−R−W−R−W−R−R〕
そして、光結合効率を変化させること、すなわち、「アッテネート状態の切換」のタイミングとしては、以下のような、3通りが考えられる。
(1)「待機」状態では、それまでの「アッテネート状態」を保持し、次の「再生」または「記録」というコマンドを受けてから「アッテネート状態の切換」を行う(この場合の動作を図5及び図6に示す)。
(2)「待機」状態では常に光結合効率の低い「アッテネート状態」とし、「記録」コマンドを受けた時のみ、光結合効率の高い「アッテネート状態」に切換える(この場合の動作を図7及び図8に示す)。
(3)「待機」状態では常に光結合効率の高い「アッテネート状態」とし、「再生」コマンドを受けた時のみ、光結合効率の低い「アッテネート状態」に切換える(この場合の動作を図9及び図10に示す)。
以下、これら3通りについて説明する。
(1)「待機」状態では、それまでの「アッテネート状態」を保持し、次の「再生」または「記録」というコマンドを受けてから「アッテネート状態の切換」を行う場合(図5及び図6)。
まず、「待機」状態では、システムコントローラ107は、それまでの「アッテネート状態」を保持し、次の「再生」または「記録」というコマンドを受けてから「アッテネート状態の切換」を行う場合において、「記録」というコマンドを受けた場合には、図5に示すように、ステップst1でスタートし、次のステップst2では、液晶印加電圧を制御して、液晶印加電圧が光結合効率を高くする電圧(「Open」に対応した電圧)であるかを判別し、液晶印加電圧が光結合効率を高くする電圧であればステップst3に進み、光結合効率を低くする電圧であればステップst4に進む。ステップst4では、システムコントローラ107は、液晶印加電圧を制御して、液晶印加電圧を光結合効率を高くする電圧(「Open」に対応した電圧)として、ステップst3に進む。ステップst3では、システムコントローラ107は、光分岐量モニタ用光検出素子216の出力が所定の設定値(基準値Poff)よりも低いかどうかを判別する。所定の設定値(基準値Poff)よりも低ければステップst5に進み、所定の設定値(基準値Poff)よりも低くなければステップst3に留まる。ステップst5では、システムコントローラ107は、光分岐量モニタ用光検出素子216の出力の変化の幅が所定の設定幅よりも小さくなっていたのが所定の設定時間以上に亘っていたかどうかを判別する。所定の設定幅よりも小さくなっていたのが所定の設定時間以上に亘っていたならばステップst6に進み、所定の設定幅よりも小さくなっていたのが所定の設定時間以上に亘っていたなかったならばステップst5に留まる。ステップst6では、システムコントローラ107は、記録動作を開始させる。そして、記録動作が終了すべきときになったならば、次のステップst7に進み、記録動作を終了し、再生パワーに戻し、「待機」モードに移行し、ステップst8で動作を終了する。
次に、「待機」状態では、システムコントローラ107は、それまでの「アッテネート状態」を保持し、次の「再生」または「記録」というコマンドを受けてから「アッテネート状態の切換」を行う場合において、「再生」というコマンドを受けた場合には、図6に示すように、ステップst9でスタートし、次のステップst10では、液晶印加電圧を制御して、液晶印加電圧が光結合効率を低くする電圧(「Close」に対応した電圧)であるかを判別し、光結合効率を低くする電圧であればステップst11に進み、光結合効率を高くする電圧であればステップst12に進む。ステップst12では、システムコントローラ107は、液晶印加電圧を制御して、液晶印加電圧を光結合効率を低くする電圧(「Close」に対応した電圧)として、ステップst11に進む。ステップst11では、システムコントローラ107は、光分岐量モニタ用光検出素子216の出力が所定の設定値(基準値Pon)よりも高いかどうかを判別する。システムコントローラ107は、所定の設定値(基準値Pon)よりも高ければステップst13に進み、所定の設定値(基準値Pon)よりも高くなければステップst11に留まる。ステップst13では、システムコントローラ107は、光分岐量モニタ用光検出素子216の出力の変化の幅が所定の設定幅よりも小さくなっていたのが所定の設定時間以上に亘っていたかどうかを判別する。システムコントローラ107は、所定の設定幅よりも小さくなっていたのが所定の設定時間以上に亘っていたならばステップst14に進み、所定の設定幅よりも小さくなっていたのが所定の設定時間以上に亘っていたなかったならばステップst13に留まる。ステップst14では、システムコントローラ107は、再生動作を開始する。そして、システムコントローラ107は、再生動作が終了すべきときになったならば、次のステップst15に進み、再生動作を終了し、「待機」モードに移行し、ステップst16で動作を終了する。
(2)「待機」状態では常に光結合効率の低い「アッテネート状態」とし、「記録」コマンドを受けた時のみ、光結合効率の高い「アッテネート状態」に切換える場合(図7及び図8)。
そして、システムコントローラ107は、「待機」状態では常に光結合効率の低い「アッテネート状態」とし、「記録」コマンドを受けた時のみ、光結合効率の高い「アッテネート状態」に切換える動作において、「記録」というコマンドを受けた場合には、図7に示すように、ステップst17でスタートし、次のステップst18では、液晶印加電圧を制御して、液晶印加電圧を光結合効率を高くする電圧(「Open」に対応した電圧)として、ステップst19に進む。ステップst19では、光分岐量モニタ用光検出素子216の出力が所定の設定値(基準値Poff)よりも低いかどうかを判別する。システムコントローラ107は、所定の設定値(基準値Poff)よりも低ければステップst20に進み、所定の設定値(基準値Poff)よりも低くなければステップst19に留まる。ステップst20では、システムコントローラ107は、光分岐量モニタ用光検出素子216の出力の変化の幅が所定の設定幅よりも小さくなっていたのが所定の設定時間以上に亘っていたかどうかを判別する。システムコントローラ107は、所定の設定幅よりも小さくなっていたのが所定の設定時間以上に亘っていたならばステップst21に進み、所定の設定幅よりも小さくなっていたのが所定の設定時間以上に亘っていたなかったならばステップst20に留まる。ステップst21では、システムコントローラ107は、記録動作を開始する。そして、システムコントローラ107は、記録動作が終了すべきときになったならば、次のステップst22に進み、記録動作を終了し、再生パワーに戻し、ステップst23に進む。ステップst23では、システムコントローラ107は、液晶印加電圧を制御して、液晶印加電圧を光結合効率を低くする電圧(「Close」に対応した電圧)として、ステップst24に進む。ステップst24では、システムコントローラ107は、「待機」モードに移行し、ステップst25で動作を終了する。
さらに、システムコントローラ107は、「待機」状態では常に光結合効率の低い「アッテネート状態」とし、「記録」コマンドを受けた時のみ、光結合効率の高い「アッテネート状態」に切換える動作において、「再生」というコマンドを受けた場合には、図8に示すように、ステップst26でスタートし、次のステップst27では、光分岐量モニタ用光検出素子216の出力が所定の設定値(基準値Pon)よりも高いかどうかを判別する。システムコントローラ107は、所定の設定値(基準値Pon)よりも高ければステップst28に進み、所定の設定値(基準値Pon)よりも高くなければステップst27に留まる。ステップst28では、システムコントローラ107は、光分岐量モニタ用光検出素子216の出力の変化の幅が所定の設定幅よりも小さくなっていたのが所定の設定時間以上に亘っていたかどうかを判別する。システムコントローラ107は、所定の設定幅よりも小さくなっていたのが所定の設定時間以上に亘っていたならばステップst29に進み、所定の設定幅よりも小さくなっていたのが所定の設定時間以上に亘っていたなかったならばステップst28に留まる。ステップst29では、システムコントローラ107は、再生動作を開始させる。そして、システムコントローラ107は、再生動作が終了すべきときになったならば、次のステップst30に進み、再生動作を終了させ、「待機」モードに移行し、ステップst31で動作を終了する。
(3)「待機」状態では常に光結合効率の高い「アッテネート状態」とし、「再生」コマンドを受けた時のみ、光結合効率の低い「アッテネート状態」に切換える場合(図9及び図10)。
そして、システムコントローラ107は、「待機」状態では常に光結合効率の高い「アッテネート状態」とし、「再生」コマンドを受けた時のみ、光結合効率の低い「アッテネート状態」に切換える動作において、「記録」というコマンドを受けた場合には、図9に示すように、ステップst32でスタートし、次のステップst33では、光分岐量モニタ用光検出素子216の出力が所定の設定値(基準値Poff)よりも低いかどうかを判別する。システムコントローラ107は、所定の設定値(基準値Poff)よりも低ければステップst34に進み、所定の設定値(基準値Poff)よりも低くなければステップst33に留まる。ステップst34では、システムコントローラ107は、光分岐量モニタ用光検出素子216の出力の変化の幅が所定の設定幅よりも小さくなっていたのが所定の設定時間以上に亘っていたかどうかを判別する。システムコントローラ107は、所定の設定幅よりも小さくなっていたのが所定の設定時間以上に亘っていたならばステップst35に進み、所定の設定幅よりも小さくなっていたのが所定の設定時間以上に亘っていたなかったならばステップst34に留まる。ステップst35では、システムコントローラ107は、記録動作を開始させる。そして、システムコントローラ107は、記録動作が終了すべきときになったならば、次のステップst36に進み、記録動作を終了させ、再生パワーに戻して、「待機」モードに移行し、ステップst37で動作を終了する。
次に、システムコントローラ107は、「待機」状態では常に光結合効率の高い「アッテネート状態」とし、「再生」コマンドを受けた時のみ、光結合効率の低い「アッテネート状態」に切換える動作において、「再生」というコマンドを受けた場合には、図10に示すように、ステップst38でスタートし、次のステップst39では、液晶印加電圧を制御して、液晶印加電圧を光結合効率を低くする電圧(「Close」に対応した電圧)として、ステップst40に進む。ステップst40では、システムコントローラ107は、光分岐量モニタ用光検出素子216の出力が所定の設定値(基準値Pon)よりも高いかどうかを判別する。システムコントローラ107は、所定の設定値(基準値Pon)よりも高ければステップst41に進み、所定の設定値(基準値Pon)よりも高くなければステップst40に留まる。ステップst41では、システムコントローラ107は、光分岐量モニタ用光検出素子216の出力の変化の幅が所定の設定幅よりも小さくなっていたのが所定の設定時間以上に亘っていたかどうかを判別する。システムコントローラ107は、所定の設定幅よりも小さくなっていたのが所定の設定時間以上に亘っていたならばステップst42に進み、所定の設定幅よりも小さくなっていたのが所定の設定時間以上に亘っていたなかったならばステップst41に留まる。ステップst42では、システムコントローラ107は、再生動作を開始する。そして、再生動作が終了すべきときになったならば、システムコントローラ107は、次のステップst43に進み、記録動作を終了し、ステップst44に進む。ステップst44では、システムコントローラ107は、液晶印加電圧を制御して、液晶印加電圧を光結合効率を高くする電圧(「Open」に対応した電圧)として、ステップst45に進む。ステップst45では、「待機」モードに移行し、ステップst46で動作を終了する。
また、異なる種類の光記録媒体への対応としては、図11に示すように、システムコントローラ107は、ステップst47でスタートし、次のステップst48では、液晶印加電圧を制御して、光結合効率を低くする電圧(「Close」に対応した電圧)として、光ディスクの記録面上における照射光束の出力(盤面パワー)を所定値、例えば、0.9mW(min)に設定し、ステップst49に進む。システムコントローラ107は、ステップst49では、光分岐量モニタ用光検出素子216の出力が所定の設定値(基準値Pon(0.9mWに対応した値))よりも高いかどうかを判別する。なお、光分岐量モニタ用光検出素子216の出力は、盤面パワーの設定に応じて変化するので、これに応じて設定値(基準値Pon)の値は適宜設定する。システムコントローラ107は、光分岐量モニタ用光検出素子216の出力が所定の設定値(基準値Pon)よりも高ければステップst50に進み、所定の設定値(基準値Pon)よりも高くなければステップst49に留まる。ステップst50では、システムコントローラ107は、光分岐量モニタ用光検出素子216の出力の変化の幅が所定の設定幅よりも小さくなっていたのが所定の設定時間以上に亘っていたかどうかを判別する。システムコントローラ107は、所定の設定幅よりも小さくなっていたのが所定の設定時間以上に亘っていたならばステップst51に進み、所定の設定幅よりも小さくなっていたのが所定の設定時間以上に亘っていたなかったならばステップst50に留まる。ステップst51では、システムコントローラ107は、光ヘッドにおけるフォーカスサーボ動作を開始し(フォーカスON)、ステップst52に進む。ステップst52では、システムコントローラ107は、光ヘッドを光ディスクの最内周位置に移動させ、ステップst53に進む。システムコントローラ107は、ステップst53では、推奨記録パワーPW0及び推奨再生パワーPR0を検出し、ステップst54に進む。
ステップst54では、システムコントローラ107は、推奨再生パワーPR0が所定値、例えば、1.6mWよりも小さいかどうかを判別する。システムコントローラ107は、推奨再生パワーPR0が所定値よりも小さければステップst55に進み、推奨再生パワーPR0が所定値よりも小さくなければステップst58に進む。ステップst55では、システムコントローラ107は、推奨記録パワーPW0が所定値、例えば、12mWよりも小さいかどうかを判別する。推奨記録パワーPW0が所定値よりも小さければステップst56に進み、推奨記録パワーPW0が所定値よりも小さくなければステップst57に進む。
ステップst56では、システムコントローラ107は、「アッテネートタイプ」を図3に示す(A)であると判別し、この判別結果に応じて、液晶印加電圧を制御する。ステップst57では、システムコントローラ107は、「アッテネートタイプ」を図3に示す(B)であると判別し、この判別結果に応じて、液晶印加電圧を制御する。ステップst58では、システムコントローラ107は、「アッテネートタイプ」を図3に示す(C)((C1)または(C2))であると判別し、この判別結果に応じて、液晶印加電圧を制御する。
〔光ヘッドの第2の実施例〕
また、光ヘッド104は、図12に示すように、光結合効率可変手段が光源と光分離手段との間の光路上に設けられている光学素子及び該光分離手段によって構成されているものとしてもよい。すなわち、この光ヘッド104は、半導体レーザ素子212、コリメータレンズ213、液晶素子(偏光状態可変型)234、第1のビームスプリッタ218、第2のビームスプリッタ224、FAPC(Front Auto Power Control)用検出素子219、対物レンズ220、検出レンズ221、マルチレンズ222、光検出素子223を備えており、これらの各光学部品が個別にマウントされて構成されている。
半導体レーザ素子212内の図示しない半導体レーザチップを駆動する電流は、光ヘッド104のレーザ制御部121から供給される。液晶素子214に対する印加電圧は、サーポ制御部109によって制御される。なお、レーザ制御部121は、光ヘッドの外部にあってもよく、光ヘッドに搭載されていてもよい。
この光ヘッド104の光路を簡単に説明する。この光ヘッド104においては、半導体レーザ素子212から出射された光束は、コリメータレンズ213に入射され、平行な光束に変換され、液晶素子234に入射する。
液晶素子234は、印加電圧に基づいて偏光状態が変化する。液晶素子234を透過した光束は、偏光の状態が変化された状態で、第1のビームスプリッタ218に入射する。
第1のビームスプリッタ218は、P偏光を略々100%透過させ、S偏光を略々100%反射するようになされており、液晶素子234によって与えられる位相差がちょうどN波長(Nは整数)であるときには、略々100%の光束が第1のビームスプリッタ218を透過する。
一方で、液晶素子234による位相差がN波長から半波長だけずれた状態にあるときには、偏光方向が45度回転し、略々50%の光束が第1のビームスプリッタ218を透過し、残り略50%の光束は反射される。
第1のビームスプリッタ218において反射された光束は、第2のビームスプリッタ224に入射される。そして、第2のビームスプリッタ224において反射された光が光分岐量モニタ用光検出素子216に受光される。この光分岐量モニタ用光検出素子216の出力は、半導体レーザ素子212の発光出力と第1のビームスプリッタ285における光分岐率との積に対応したものとなっており、この光ヘッド104における光結合効率に略々対応したものとなっている。なお、光結合効率が高いときには、光分岐量モニタ用光検出素子216に入射される光量は減り、光結合効率が低いときに、光分岐量モニタ用光検出素子216に入射される光量が増える関係となっている(光分岐量モニタ用光検出素子216に入射される光量は、100%−〔光結合効率可変手段の通過率(%)〕に比例した量である)。この光分岐量モニタ用光検出素子216の出力は、プリアンプ120に送られる。
また、この第2のビームスプリッタ224を透過した光は、記録面に向かう光束の光量をモニタするためののFAPC用検出素子219に入射する。このFAPC用検出素子219の出力は、レーザ制御部121に送られ、オートパワーコントロールの動作が実行される。すなわち、レーザ制御部121は、FAPC用検出素子219からの出力が所定の値となるように、半導体レーザ素子212の発光出力を制御する。この制御により、光ディスク102の記録面上における照射光束の出力が一定となされる。なお、光ディスク102の記録面上において所定の値となされる照射光束の出力値は、上述したように、記録モードと再生モードとでは異なる値であり、光ディスクの種類等によっても異なる(なお、光変調記録方式の場合には、パルス発光となる)。
第1のビームスプリッタ218を透過した光束は、対物レンズ220に入射される。対物レンズ220は、入射光を光ディスク102の記録面のある一点に収束させて照射する。この対物レンズ220は、図12中の矢線Fで示すフォーカス方向及び図12中の矢線Tに示すトラッキング方向に駆動される。
光ディスク102の記録面からの反射光は、再び対物レンズ220を介して、第1のビームスプリッタ218に入射される。第1のビームスプリッタ218では、反射率に応じた光量の光束が反射分離される。
この第1のビームスプリッタ218によって分離された反射光は、検出レンズ221で収束光に変換され、マルチレンズ222によってフォーカスエラー信号を非点収差法によって得るための非点収差を付与され、光検出素子223によって受光される。この光検出素子223の出力に基づいて、フォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号及びRF信号を得ることができる。
〔光ヘッドの第3の実施例〕
さらに、光ヘッド104は、図13に示すように、光結合効率可変手段が光源と光分離手段との間の光路上に設けられている光学素子からなるものとしてもよい。すなわち、この光ヘッド104は、半導体レーザ素子212、コリメータレンズ213、光結合効率可変手段となる液晶素子(透過率単独変化型)254、光分離手段となる第1のビームスプリッタ218、FAPC(Front Auto PowerControl)用検出素子219、対物レンズ220、検出レンズ221、マルチレンズ222、光検出素子223を備えており、これらの各光学部品が個別にマウントされて構成されている。
半導体レーザ素子212内の図示しない半導体レーザチップを駆動する電流は、光ヘッド104のレーザ制御部121から供給される。液晶素子214に対する印加電圧は、サーポ制御部109によって制御される。なお、レーザ制御部121は、光ヘッドの外部にあってもよく、光ヘッドに搭載されていてもよい。
半導体レーザ素子212内の図示しないリアモニタ用受光部からの出力はプリアンプ120に供給される。透過率単独変化型の液晶素子254に対する印加電圧は、サーボ制御部109によって制御される。
この光ヘッド104の光路を簡単に説明する。この光ヘッド104においては、半導体レーザ素子212から出射された光束は、コリメータレンズ213に入射され、平行な光束に変換され、液晶素子254に入射する。
液晶素子254は、印加電圧に基づいて透過率が変化する。液晶素子254を透過した光束は、光量が変化された状態で、第1のビームスプリッタ218に入射する。
第1のビームスプリッタ218は、P偏光を略々100%透過させ、S偏光を略々100%反射するようになされている。液晶素子254によって位相差は与えられないので、略々100%に近い光束が第1のビームスプリッタ218を透過する。
第1のビームスプリッタ218において僅かに反射された光束は、記録面に向かう光束の光量をモニタするためのFAPC用検出素子219に入射する。このFAPC用検出素子219の出力は、レーザ制御部121に送られ、オートパワーコントロールの動作が実行される。すなわち、レーザ制御部121は、FAPC用検出素子219からの出力が所定の値となるように、半導体レーザ素子212の発光出力を制御する。この制御により、光ディスク102の記録面上における照射光束の出力が一定となされる。そして、リアモニタ用受光部からの出力は、半導体レーザ素子212の発光出力に比例した出力となる。
なお、光ディスク102の記録面上において所定の値となされる照射光束の出力値は、上述したように、記録モードと再生モードとでは異なる値であり、光ディスクの種類等によっても異なる(なお、光変調記録方式の場合には、パルス発光となる)。
第1のビームスプリッタ218を透過した光束は、対物レンズ220に入射される。対物レンズ220は、入射光を光ディスク102の記録面のある一点に収束させて照射する。この対物レンズ220は、図13中の矢線Fで示すフォーカス方向及び図13中の矢線Tに示すトラッキング方向に駆動される。
光ディスク102の記録面からの反射光は、再び対物レンズ220を介して、第1のビームスプリッタ218に入射される。第1のビームスプリッタ218では、反射率に応じた光量の光束が反射分離される。
この第1のビームスプリッタ218によって分離された反射光は、検出レンズ221で収束光に変換され、マルチレンズ222によってフォーカスエラー信号を非点収差法によって得るための非点収差を付与され、光検出素子223によって受光される。この光検出素子223の出力に基づいて、フォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号及びRF信号を得ることができる。
図13に示した構成によって、実際に記録・再生モードの切換動作を行う手法を図14を用いて説明する。すなわち、図14は、「再生モード」→「記録モード」→「再生モード」と切換動作を行う場合の、光記録媒体駆動装置101における記録モードと再生モードの切り換え動作に伴うレーザ光の状態を示すタイミングチャートであり、図14(A)は光ディスク102の記録面に集光される光量(盤面パワー)、図14(B)は光結合効率可変素子におけるレーザ光の透過率、図14(C)はリアモニタ出力レベル、図14(D)は、レーザ出射パワーの変化を示している。この場合も、リアモニタ出力に基準値Pon,Poffの基準レベルを設定することによって、上記の第1の実施例と同様の制御が可能である。
この光記録媒体駆動装置101においては、以下のように、液晶素子254の応答開始後、システムコントローラ107からの指令にしたがってタイミングをはかりなから、レーザ制御部121が記録モード、再生モードの切り換えを行う。
すなわち、再生モード時には、液晶素子254は、サーボ制御部109により印加電圧を調整されることによって、透過率が50%に設定されている。レーザ出射パワーが5mWとなり、レーザノイズが少なく、良好な再生特性が得られている。
そして、再生モードから記録モードに切り換える際には、まず、システムコントローラ107からの指令にしたがって、サーボ制御部109によって液晶素子254に対する印加電圧が変更され、液晶素子254の透過率を変化させる。
液晶素子254の応答に伴って、液晶素子254の透過率が50%から100%に変化し、オートパワーコントロールの動作により、レーザ出射パワーは5mWから2.5mWに変化する。このとき、リアモニタ出力も、液晶素子254の透過率の変化及びレーザ出射パワーの変化に応じて、下がる。また、このとき、液晶素子には、有限の応答速度があるため、その応答の過渡期においては、ディスク上に集光するパワーは再生パワーとしたままに保たれる。リアモニタからの出力が、プリアンプ120を介してサーボ制御部109に入力され、あらかじめ設定した出力レベル基準値Poffを下回った段階で、液晶素子254の透過率が100%に充分近い値になったことを判断し、システムコントローラ107を介して、信号変調およびECCブロック108の指令に従って、レーザ制御部121から信号記録パルスが発生され、レーザ出射パワーが変調されて信号の記録が行われる。
次に、記録モードから再生モードに切り換える際には、まず、システムコントローラ107からの指令にしたがって、レーザ制御部121が記録モード、再生モードの切り換えを行なう。この状態では、レーザ出射パワーは2.5mWと低いためレーザノイズは増加した状態にある。
レーザ出力が再生パワーに切り換えられた後、システムコントローラ107からの指令にしたがって、サーポ制御部109によって液晶素子254に対する印加電圧が変更され、液晶素子254の透過率を変化させる。
液晶素子254の応答にしたがって、液晶素子254の透過率が100%から50%に変化し、オートパワーコントロールの動作により、レーザ出射パワーは2.5mWから5mWに変化し、レーザノイズは減少し、良好な再生信号が検出可能となる。このとき、リアモニタ出力があらかじめ設定された基準値Ponを超えた段階で、充分に透過率が低下したと判断し、信号の再生を開始する。場合によっては、再生モードへの切換の際には、即座に信号再生を開始し、レーザノイズにより再生信号にエラーが発生する間はリトライすることとしてもよい。また、このとき、リアモニタの出力も、液晶素子254の透過率の変化及びレーザ出射パワーの変化に応じて、上がる。
もし、仮に、記録再生のモードを切り換える際の手順を上記の手順で行なわなかった場合、以下のような不具合が生じる。
まず、再生モードから記録モードの切り換えでは、光出力が高いまま(光結合効率が小さいまま)、記録動作を始めてしまうため、レーザの光出力最大定格を超える出力を得ようとして、場合によってはレーザが破壊される。
また、記録モードから再生モードの切り換えでは、光出力が低いまま(光結合効率が大きいまま)、再生動作を始めてしまうため、レーザノイズが多く、良好な再生特性が得られない。また、記録動作後、光結合効率を先に小さくしてしまうと、レーザの光出力最大定格を超える出力を得ようとして、場合によってはレーザが破壊される虞れがある。
そこで、上述した本例の手順を用いて記録/再生モードの切り換え動作を行なうことにより、記録及び再生時のレーザの出力比が小さくても、再生時のレーザノイズを十分に小さくでき、製造性のよい光源、光出力最大定格の小さめな光源を用いても良好な記録、再生特性を得られる光記録媒体駆動装置を提供することが可能となる。
なお、上述した各光ヘッドにおいて、光結合効率可変手段は、液晶素子として波長板型液晶素子を用いたものでもよいし、これに限定されず、他の方式の光結合効率可変手段を用いてもよい。
以下、光結合効率可変素子の具体的な実現方式について説明する。
(第1の実現方式)
本実施の形態における光結合効率可変素子の第1の実現方式は、「光束の透過率または反射率を変化させることが可能な手段」を用いるものである。すなわち、この手段によって光束の透過率または反射率を変化させることにより、光結合効率を変化させる。
(第2の実現方式)
本実施の形態における光結合効率可変素子の第2の実現方式は、「光束を少なくとも2つの光路に分岐する光路分岐手段」を用いたものである。すなわち、この光路分岐手段によって、2つの光路の分岐比率を変化させることにより、光結合効率を変化させる。
次に、各実現方式について順に説明する。
図15は、第1の実現方式の第1の具体例を示す説明図であり、光束の透過率を変化させることが可能な手段として透過型の液晶素子21を用いたものである。
この液晶素子21は、印加電圧を変えることにより、透過率が変化するものである。すなわち、印加電圧の変化によって、液晶素子21の液晶を駆動し、光の透過率を制御する。この液晶素子21は、サーボ制御回路109に液晶駆動回路を設けて制御する。
図16は、第1の実現方式の第2の具体例を示す説明図であり、光束の透過率を変化させることが可能な手段としてフィルタ板22を用いたものである。このフィルタ板22は、スライド変位可能な透明板22Aの一部に例えば半透明なフィルタ部22Bを設けたものである。
そして、このフィルタ部22Bの位置をレーザ光の光路上で変位させることにより、透過率を変化させるものである。
すなわち、図16(B)に示すように、レーザ光の光路上にフィルタ部22Bを配置することにより、透過光束を低減でき、光結合効率を下げることができる。また、図16(A)に示すように、レーザ光の光路上に透明板22Aのフィルタ部22B以外の部分を配置することで、レーザ光を全て透過でき、通過光量を増大させて、光結合効率を上昇させることができる。
このフィルタ板22は、例えば、圧電素子等によって支持されており、この圧電素子をサーポ制御回路109に設けた駆動回路によって制御することで、フィルタ板22の位置を制御する。あるいは、例えば、送りネジ(スクリューネジ)やモータに有する機構によって支持し、モータをサーボ制御回路109に設けた駆動回路によって制御することで、フィルタ板22の位置を制御することができる。
なお、この実施の形態では、第1の実現方式として透過型の構成について説明したが、例えば、レーザ光の光路内に反射型の素子を設け、その反射率を変更するような構成を採用することも可能である。
図17は、第2の実現方式の第1の具体例を示す説明図である。光束を分岐する光路分岐手段として波長板31とビームスプリッタ32とを設け、波長板31を光路の周回り方向に回転変位させることにより、ビームスプリッタ32のビームスプリッタ膜によって光束を分岐させるようにしたものである。
図17(A)に示すように、波長板31の光学軸方向を入射光の偏光方向に一致させた場合には、入射光はビームスプリッタ32で反射せず、全て光ディスクに向けて透過する。
一方、図17(B)に示すように、波長板31の光学軸方向を入射光の偏光方向から一定過度αだけ回転させることにより、入射光の一部をビームスプリッタ32で反射させ、残りの入射光だけを光ディスクの方向に透過させることができる。
例えばビームスプリッタ膜がPS完全分離膜(Tp=100%、Rs=100%)であり、波長板が半波長板である場合には、回転角αと通過光比率Tとの関係は、以下のようになる。
まず、回転角αのとき、偏光方向は2α回転する。このときビームスプリッタに入射するP偏光の比率(すなわち、通過光比率T)は、以下のように、図17(C)で表される関係となる。
T=cos22α=(1+cos4α)/2
したがって、例えば光結合効率を100%乃至50%で用いたければ、α=0deg乃至22.5degの間で切り換えればよい。これにより、偏光方向が45deg変化し、通過光比率は100%または50%に制御できる。
図18は、第2の実現方式の第2の具体例を示す説明図であり、光束を分岐する光路分岐手段として、液晶素子33とビームスプリッタ34とを設け、液晶素子33を波長板として作用させることにより、ビームスプリッタ34のビームスプリッタ膜34Aによって光束を分岐させるようにしたものである。
すなわち、図18(A)に示すように、ラピング方向を22.5deg設定した液晶素子33を用い、その位相差を、Nを整数、λを波長とすると、Nλ乃至(N+0.5)λ、または、Nλ乃至(N−0.5)λと変化させることにより、ビームスプリッタ34に入射する光の偏光方向が45deg化し、通過光比率を100%乃至50%の範囲で変化させることができる。
また、図18(B)に示すように、ラビング方向を45deg設定した液晶素子33を用い、その位相差を、Nを整数、λを波長とすると、Nλ乃至(N+0.25)λ、または、Nλ乃至(N−0.25)λと変化させることにより、ビームスプリッタ34に入射する光をP偏光から円偏光に変化させることができ、通過光比率を100%乃至50%の範囲で変化させることができる。
ここで液晶素子によって位相差を発生させる原理について簡単に説明する。
図19(A)(B)は、液晶素子の断面構造を示す断面図である。図19(B)は、印加電圧に対する液晶素子の屈折率の変化を示す説明図であり、図19(B)は印加電圧に対する位相差の変化を示す説明図である。
液晶素子40は、図19(A)(B)に示すように、2枚のガラス基板41,42の間に液晶分子49が封止されており、各ガラス基板41,42の内面に設けられた配向膜43,44によって液晶分子49が配向されている。
また、各ガラス基板41,42と配向膜43,44との間には、透明電極膜45,46が設けられている。
そして、これら透明電極膜45,46の間の印加電圧を変化させることにより、液晶分子49は、図19(A)に示すように、配向膜43,44に対して平行でラピング方向(図中矢線Aで示す)に沿って配置された状態から、図19(B)に示すように、配向膜43,44に対して垂直に起立した状態に変化する。
ここで、液晶分子49が配向膜43,44に平行であるときの、ラピング方向に沿った方向の屈折率をN1とし、液晶分子49がラビング方向に直交するときの、ラピング方向に沿った方向の屈折率をN2とすると、印加電圧の変化による液晶分子49の変位に応じて、ラピング方向に沿った方向の屈折率N1は、図19(C)に示すように変化する。なお、ラピング方向に直交する方向の屈折率をN2は一定である。
その結果、ラピング方向に沿った方向の入射偏光に生じる位相差は、図19(D)に示すように変化する。
このような原理を応用して、液晶素子を波長板として用いることができ、ビームスプリッタとの組み合わせによって光路分岐手段を実現できる。
なお、図18に示す2つの例は、代表的な例を挙げたものに過ぎず、ラビング方向や位相差の可変範囲は、必要な通過光比率の変化幅に応じて種々設定できるものである。
また、液晶素子の作用としても、波長板として機能するものに限らず、ディスプレイに用いられるねじれネマティックタイプの液晶など、ビームスプリッタに入射する偏光の状態を可変にすることができるものであれば同様の効果が得られる。
図20は、第2の実現方式の第3の具体例を示す説明図である。これは、光束を分岐する光路分岐手段として、回折格子板35を用いたものである。
この回折格子板35は、スライド変位可能な透明板35Aの一部に回折格子部35Bを設けたものである。
そして、この回折格子部35Bの位置をレーザ光の光路上で変位させることにより、レーザ光の分岐状態を変化させるものである。
すなわち、図20(B)に示すように、レーザ光の光路上に回折格子部35Bを配置することにより、レーザ光を分岐させ、光結合効率を下げることができる。
また、図20(A)に示すように、レーザ光の光路上に透明板35Aの回折格子部35B以外の部分を配置することで、レーザ光を分岐させずに透過させ、光結合効率を上昇させることができる。
この回折格子板35は、例えば、圧電素子等により支持されており、この圧電素子をサーボ制御回路109に設けた駆動回路によって制御することで、回折格子板35の位置を制御することができる。あるいは、例えば、送りネジやモータを有する機構によって支持し、モータをサーポ制御回路109に設けた駆動回路によって制御することで、回折格子板35の位置を制御することができる。
ここで、例えば、回折格子部35Bの回折光量比を、以下のように想定する。
1次光:0次光:−1次光=25%:50%:25%(なお、ここでは、簡単のため、±2次光以上の高次回折光は考えないこととする)
この場合、信号の記録または再生に用いる光束を、100%乃至50%に変化させることが可能になる。また、この場合には、記録及び再生に使用しない±1次光をクロストークキャンセル等の別の用途に使用することも可能である。
図21は、第2の実現方式の第4の具体例を示す説明図である。これは、光束を分岐する光路分岐手段として回折格子状に位相差を変化させることができる液晶素子36を用いたものである。
この液晶素子36は、例えば図19に示す透明電極膜を複数に分割し、各分割電極に異なる印加電圧を与えることにより、あるいは、ガラス基板の一部を傾斜状に形成し、液晶層の厚みに変化をもたせることにより、格子状に位相差の異なる領域を発生させるように構成し、位相深さの可変な回折格子を実現したものである。
このような液晶素子36において、回折光量比は、位相深さ(位相差の差)によって変化するので、例えば、以下のような使用方法が可能である。
〔記録時〕1次光:0次光:−1次光=5%:90%:5%
〔再生時〕1次光:0次光:−1次光=25%:50%:25%
上述のように、本発明を適用した光記録媒体駆動装置及び光記録媒体記録再生方法においては、記録モード及び再生モードにおける光源のパワー比が小さくても、再生時のレーザノイズを十分に小さくでき、製造性のよい光源、光出力最大定格の小さめな光源を用いても良好な記録及び再生特性が得られる。
また、本発明を適用した光記録媒体駆動装置及び光記録媒体記録再生方法においては、媒体種類判別手段により判別された光記録媒体の種類に応じて、または、記録面判別手段により判別された光記録媒体の記録面に応じて、あるいは、記録領域判別手段により判別された光記録媒体の記録面上の記録領域に応じて、光結合効率可変手段を制御し、この光記録媒体の記録面上における記録及び/又は再生光パワーを最適化することができる。
すなわち、本発明は、記録モード及び再生モードにおける光源のパワー比が小さくても、再生時のレーザノイズが十分に小さくでき、製造性のよい光源、光出力最大定格の小さめな光源を用いても良好な記録及び再生特性の得られる光記録媒体駆動装置及び光記録媒体記録再生方法を提供することができるものである。
また、本発明は、最適な記録及び/又は再生光パワーの異なる複数種類の光記録媒体、多層光記録媒体、または、記録面が複数の記録領域に分割された光記録媒体などの複数種類の光記録媒体に対しても、再生時のレーザノイズが十分に小さくでき、製造性のよい光源、光出力最大定格の小さめな光源を用いても、各種類の光記録媒体、多層光記録媒体の各記録面、記録面上の複数の記録領域のそれぞれに対して、良好な記録及び/又は再生特性の得られる光記録媒体駆動装置及び光記録媒体記録再生方法を提供することができるものである。
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