JP4241664B2 - ハイブリッド車のモード遷移制御装置 - Google Patents
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Description
前記駆動力合成変速機は、摩擦締結要素の締結・開放制御により、無段変速比を得る少なくとも1つの無段変速比モードと、固定変速比を得る少なくとも1つの固定変速比モードと、を有し、
前記固定変速比モード時にブレーキにて固定された回転要素に接続されるモータの出力可能トルクを演算するモータ出力可能トルク演算手段と、
前記固定変速比モードから前記無段変速比モードへのモード遷移時、固定変速比モードにおいて、前記ブレーキの伝達トルクが、前記モータ出力可能トルク以下となるように、ブレーキにより固定された回転要素に接続されるモータ以外のトルク発生手段のトルクを補正し、ブレーキにより固定された回転要素に接続されるモータのトルクが立ち上がるのを待ってブレーキを切り離し無段変速比モードへモード遷移するモード遷移制御手段と、
を設けたことを特徴とする。
図1は実施例1のモード遷移制御装置が適用されたハイブリッド車の駆動系を示す全体システム図である。実施例1のハイブリッド車の駆動系は、図1に示すように、エンジンEと、第1モータジェネレータMG1(モータ)と、第2モータジェネレータMG2(モータ)と、出力軸OUT(駆動出力部材)と、これらの入出力要素E,MG1,MG2,OUTが連結される差動装置(第1遊星歯車PG1、第2遊星歯車PG2、第3遊星歯車PG3)を有する駆動力合成変速機と、を備えている。
前記第1回転メンバM1(S1,S2)には、第2モータジェネレータMG2が連結されている。
前記第2回転メンバM2(R1,R3)には、入出力要素の何れにも連結されていない。
前記第3回転メンバM3(PC2,R3)には、エンジンクラッチECを介してエンジンEが連結されている。また、エンジンクラッチEC及びシリーズクラッチSCを介して第1モータジェネレータMG1が連結されている。つまり、前記エンジンEと第1モータジェネレータMG1とは、シリーズクラッチSCを介して連結されている。
前記第1ピニオンキャリアPC1には、ハイクラッチHCを介して第2モータジェネレータMG2が連結されている。また、ローブレーキLBを介して変速機ケースTCに連結されている。
前記第2リングギヤR2には、モータジェネレータクラッチMGCを介して第1モータジェネレータMG1が連結されている。また、ハイローブレーキHLBを介して変速機ケースTCに連結されている。
前記第3ピニオンキャリアPC3には、出力軸OUTが連結されている。なお、出力軸OUTからは、図外のプロペラシャフトやディファレンシャルやドライブシャフトを介して左右の駆動輪に駆動力が伝達される。
実施例1におけるハイブリッド車の制御系は、図1に示すように、エンジンコントローラ1と、モータコントローラ2と、インバータ3と、バッテリ4と、油圧制御装置5と、統合コントローラ6と、アクセル開度センサ7と、車速センサ8と、エンジン回転数センサ9と、第1モータジェネレータ回転数センサ10と、第2モータジェネレータ回転数センサ11と、第3リングギヤ回転数センサ12と、を有して構成されている。
走行モードとしては、ローギヤ固定変速比モード(以下、「Lowモード」という。)と、ロー側無段変速比モード(以下、「Low-iVTモード」という。)と、2速固定変速比モード(以下、「2ndモード」という。)と、ハイ側無段変速比モード(以下、「High-iVTモード」という。)と、ハイギヤ固定変速比モード(以下、「Highモード」という。)と、の5つの走行モードを有する。
ここで、図2(a)は「EV-Lowモード」の共線図、図2(b)は「EV-Low-iVTモード」の共線図、図2(c)は「EV-2ndモード」の共線図、図2(d)は「EV-High-iVTモード」の共線図、図2(e)は「EV-Highモード」の共線図である。また、図3(a)は「HEV-Lowモード」の共線図、図3(b)は「HEV-Low-iVTモード」の共線図、図3(c)は「HEV-2ndモード」の共線図、図3(d)は「HEV-High-iVTモード」の共線図、図3(e)は「HEV-Highモード」の共線図である。
[「固定変速比モード」から「無段変速比モード」へのモード遷移制御]
実施例1では、上記「HEVモード」または「EVモード」のうち、「固定変速比モード」から「無段変速比モード」へのモード遷移パターンとしては、
(1) 「Lowモード」から「Low-iVTモード」(ハイローブレーキHLBの開放)
(2) 「2ndモード」から「High-iVTモード」(ローブレーキLBの開放)
(3) 「Highモード」から「High-iVTモード」(ローブレーキLBの開放)
との3つのモード遷移パターンを有する。
図7は実施例1の統合コントローラ6にて実行される「HEV-Lowモード」から「HEV-Low-iVTモード」へのモード遷移時におけるモード遷移制御処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する(モード遷移制御手段)。なお、この処理は、「HEV-Lowモード」の選択時に開始される。
まず、エンジントルクTeを、目標駆動力FとバッテリS.O.Cに応じて決定する。その上で、以下に示す「HEV-Lowモード」の制御則、
T2=k1F+k2Te …(1)
により、第2モータジェネレータトルクT2を決定する。
ここで、「発熱しないトルク上限値」を決める際は、モード遷移に要する時間を実験やシミュレーションにより予測し、この時間に応じて、例えば、図8に示すようなテーブルを用いることにより決めても良い。
TB=k3F+k4Te+k5T2 …(2)
ここで、ハイローブレーキ伝達トルクTBを第1モータジェネレータ出力可能トルクT1max以下とするためには、式(2)から以下の関係が成り立てばよいことがわかる。
T1max≧k3F+k4Te+k5T2 …(3)
この式(3)と式(1)の両方を満足するエンジントルクTe、第2モータジェネレータトルクT2に決定する。
実施例1の「HEV-Lowモード」から「HEV-Low-iVTモード」へのモード遷移制御作用を説明するにあたって、エンジントルクTeと第2モータジェネレータトルクT2との補正を行うことなく、第1モータジェネレータトルクT1が立ち上がるのを待ってハイローブレーキHLBを切り離す場合のモード遷移制御作用を説明する。
このシーケンス制御により、第1モータジェネレータトルクT1が目標値に到達する前にハイローブレーキHLBによる伝達トルクが無くなって、ハイローブレーキHLBが支持するトルクが不足して、駆動力が抜けるのを防止する。
しかし、第1モータジェネレータトルクT1には機械的に決まる制限や熱の発生を考慮した制限がある。この制限により、図9に示すように、ハイローブレーキ伝達トルクTBが第1モータジェネレータ出力可能トルクT1maxを上回っている場合、時刻k2〜k3の間のハイローブレーキHLBによる伝達トルクを、第1モータジェネレータトルクT1に十分置き換えることができずに、ハイローブレーキHLBがスリップしてしまい、駆動力の抜けが発生することがある。
すなわち、時刻k1以前は、「HEV-Lowモード」であり、ドライバの運転操作、車両状態に応じて、エンジントルクTeと第2モータジェネレータトルクT2を配分する。
時刻k1から時刻k3までは、モード遷移フェーズであり、図7に示すような制御を行う。時刻k3以降は、「HEV-Low-iVTモード」であり、ドライバの運転操作、車両状態に応じて、エンジントルクTeと第1モータジェネレータトルクT1と第2モータジェネレータトルクT2を配分する。
時刻k1から時刻k3の間では、図7のフローチャートに示した制御により、次式のような関係が成り立つ。
TB≦T1max …(5)
これにより、第1モータジェネレータトルクT1が目標トルクに到達した時刻k2から「HEV-Low-iVTモード」の制御を開始する時刻k3の間では、ハイローブレーキ伝達トルクTBはゼロとなり、ハイローブレーキHLBのスリップを防止できる。これにより、ハイローブレーキ伝達トルクTBが第1モータジェネレータ出力可能トルクT1maxを上回っている場合であっても、駆動力の抜けを確実に防止することができる。
実施例1のハイブリッド車のモード遷移制御装置にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
MG1 第1モータジェネレータ(モータ)
MG2 第2モータジェネレータ(モータ)
OUT 駆動出力軸(駆動出力部材)
PG1 第1遊星歯車
PG2 第2遊星歯車
PG3 第3遊星歯車
HC ハイクラッチ(第1クラッチ)
EC エンジンクラッチ(第2クラッチ)
SC シリーズクラッチ(第3クラッチ)
MGC モータジェネレータクラッチ(第4クラッチ)
LB ローブレーキ(第1ブレーキ)
HLB ハイローブレーキ(第2ブレーキ)
1 エンジンコントローラ
2 モータコントローラ
3 インバータ
4 バッテリ
5 油圧制御装置
6 統合コントローラ
7 アクセル開度センサ
8 車速センサ
9 エンジン回転数センサ
10 第1モータジェネレータ回転数センサ
11 第2モータジェネレータ回転数センサ
12 第3リングギヤ回転数センサ
Claims (4)
- 動力源としてエンジンと少なくとも2つのモータを有し、これらのエンジン及びモータと駆動出力部材とが接続される差動装置を有する駆動力合成変速機を備えたハイブリッド車において、
前記駆動力合成変速機は、摩擦締結要素の締結・開放制御により、無段変速比を得る少なくとも1つの無段変速比モードと、固定変速比を得る少なくとも1つの固定変速比モードと、を有し、
前記固定変速比モード時にブレーキにて固定された回転要素に接続されるモータの出力可能トルクを演算するモータ出力可能トルク演算手段と、
前記固定変速比モードから前記無段変速比モードへのモード遷移時、固定変速比モードにおいて、前記ブレーキの伝達トルクが、前記モータ出力可能トルク以下となるように、ブレーキにより固定された回転要素に接続されるモータ以外のトルク発生手段のトルクを補正し、ブレーキにより固定された回転要素に接続されるモータのトルクが立ち上がるのを待ってブレーキを切り離し無段変速比モードへモード遷移するモード遷移制御手段と、
を設けたことを特徴とするハイブリッド車のモード遷移制御装置。 - 請求項1に記載されたハイブリッド車のモード遷移制御装置において、
前記モータ出力可能トルク演算手段は、固定変速比モード時にブレーキにて固定された回転要素に接続されるモータが、機械的に出力できるトルク上限値を演算することを特徴とするハイブリッド車のモード遷移制御装置。 - 請求項1に記載されたハイブリッド車のモード遷移制御装置において、
前記モータ出力可能トルク演算手段は、モード遷移に要する時間を予測し、この予測時間が長くなるほど、固定変速比モード時にブレーキにて固定された回転要素に接続されるモータのトルク上限値を小さく演算することを特徴とするハイブリッド車のモード遷移制御装置。 - 請求項1乃至3の何れか1項に記載されたハイブリッド車のモード遷移制御装置において、
前記差動装置は、シングルピニオン型の第1遊星歯車と第2遊星歯車と第3遊星歯車により構成し、
前記駆動力合成変速機は、第1サンギヤと第2サンギヤとを第1回転メンバにより直結し、第1リングギヤと第3サンギヤとを第2回転メンバにより直結し、第2ピニオンキャリアと第3リングギヤとを第3回転メンバにより直結し、前記第1回転メンバと前記第2回転メンバと第3回転メンバと第1ピニオンキャリアと第2リングギヤと第3ピニオンキャリアとの6つの回転要素を有し、
前記第1回転メンバに、第2モータジェネレータを連結し、前記第3回転メンバに、第2クラッチを介してエンジンを連結すると共に第2クラッチ及び第3クラッチを介して第1モータジェネレータを連結し、前記第1ピニオンキャリアに、第1クラッチを介して第2モータジェネレータを連結すると共に第1ブレーキを介して変速機ケースに連結し、前記第2リングギヤに、第4クラッチを介して第1モータジェネレータを連結すると共に第2ブレーキを介して変速機ケースに連結し、前記第3ピニオンキャリアに、前記駆動出力部材を連結したことを特徴とするハイブリッド車のモード遷移制御装置。
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