JP4239353B2 - 動力伝達装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両に搭載される動力伝達装置、更に詳しくはエンジンと変速機との間に湿式摩擦クラッチを配設した動力伝達装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両に搭載されたエンジンと変速機との間には、発進および変速動作を円滑に行うために摩擦クラッチが配設されている。また、エンジンの回転変動および振動を吸収する目的で駆動系に流体継手を配設した車両用動力伝達装置が、例えば特開昭55ー164730号公報に開示されている。この流体継手を備えた車両用動力伝達装置は、車両に搭載されたエンジンと、流体継手と、摩擦クラッチおよび変速機が直列に配設されている。このような車両用動力伝達装置に装備される流体継手は、例えばディーゼルエンジンのクランク軸(流体継手としての入力軸)に連結されたケーシングと、該ケーシングと対向して配設されケーシングに取り付けられたポンプと、該ポンプと対向して配設され入力軸と同一軸線上に配置された出力軸に取り付けられたタービンとを具備しており、トルク伝達用の作動流体が収容されている。また、上記ケーシングとタービンとを摩擦係合して入力軸と出力軸とを直結するロックアップクラッチを備えた流体継手も提案されている。このロックアップクラッチは、ケーシングとタービンとの間に配設されケーシングとの間に外側室を形成するとともにタービンとの間に内側室を形成するクラッチディスクを備え、流体継手を循環する作動流体の内側室側と外側室側との圧力差によってケーシングとタービンとを係合または係合解除するように構成されている。このようなロックアップクラッチを備えた流体継手においては、ロックアップクラッチの作動時(ロックアップクラッチ接)と非作動時(ロックアップクラッチ断)とによって流体継手を循環する作動流体の循環方向を変更する。
【0003】
上記摩擦クラッチは、一般に乾式単板クラッチが使用されているが、クラッチフェーシングの摩耗等を考慮して大型車両や建設車両等においては湿式摩擦クラッチを用いる例がある。このような湿式摩擦クラッチを備えた動力伝達装置においては、湿式摩擦クラッチに作動流体を供給するための流体作動手段を具備する必要がある。この流体作動手段は、流体圧源としての油圧ポンプと、該油圧ポンプと湿式摩擦クラッチの液圧室を連通する通路と、該通路を切り換える切換手段を備えている。この切換手段によって液圧室を開放するとクラッチが断され、液圧室を油圧ポンプに連通するとクラッチが接されるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
而して、上述した湿式摩擦クラッチにおいて、クラッチの断・接動作の応答性を良好にするためには、油圧ポンプと湿式摩擦クラッチの液圧室を連通する通路は所定の断面積を確保する必要がある。しかるに、通路を切換える切換手段がパイロット圧によって作動せしめられる方向制御弁と、該方向制御弁に作用せしめるパイロット圧を制御する電磁制御弁ととによって構成されている場合には、クラッチを接するために方向制御弁にパイロット圧を作用せしめて、湿式摩擦クラッチの液圧室を油圧ポンプ側と連通すると、ライン圧力が一時低下する。このとき、容量が大きい油圧ポンプを使用している場合には上記ライン圧力の低下は少なく問題ないが、油圧ポンプの容量が小さいと一時的なライン圧力の低下が大きくなるため、パイロット圧も低下して上記方向制御弁を所要のとおり制御することができない場合がある。このような不具合を解消するためには、容量の大きな油圧ポンプを使用すればよいが、油圧ポンプの容量を大きくすると油圧ポンプを駆動するエンジンの駆動損失が増大する。
【0005】
湿式摩擦クラッチの断・接動作の応答性においては、特にクラッチ断の応答性が重要である。即ち、変速操作時に変速開始信号によってクラッチ断動作が実行されるが、このときクラッチ断の応答性が悪くクラッチが完全に断されていない半クラッチ状態で変速機のギヤ抜き操作が行われると、クラッチスリーブとドッグ歯との間に駆動力が作用しているために両者間に引っ掛かりが生ずる。一方、クラッチを接する際には応答性がそれほど早くなくてもクラッチを断する際のような大きな不具合は発生しない。
【0006】
本発明は上記事実に鑑みてなされたもので、その主たる技術的課題は、クラッチ断時の応答性を確保しつつ、油圧ポンプの容量を必要最小限にすることができる湿式摩擦クラッチを備えた動力伝達装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、上記主たる技術的課題を解決するために、
「エンジンと変速機との間に配設され、該変速機の変速操作時に断・接される湿式摩擦クラッチと、該湿式摩擦クラッチに作動流体を供給するための流体作動手段とを具備する動力伝達装置において、
該流体作動手段は、該エンジンの駆動力によって作動せしめられる油圧ポンプと、
該油圧ポンプと該湿式摩擦クラッチの液圧室を連通する通路に配設され、該油圧ポンプの出口側と連なるパイロット圧によって切換わる摩擦クラッチ用方向制御弁と、
該摩擦クラッチ用方向制御弁に作用せしめるパイロット圧を制御する摩擦クラッチ用電磁切換弁とを具備しており、
該摩擦クラッチ用電磁切換弁が、該変速機の変速操作の開始時には該摩擦クラッチ用方向制御弁にパイロット圧が作用しない状態とし、該湿式摩擦クラッチの液圧室を開放して該湿式摩擦クラッチを断とするとともに、該変速機の変速操作の終了時には該摩擦クラッチ用方向制御弁にパイロット圧が作用する状態とし、該油圧ポンプと該湿式摩擦クラッチの液圧室とを連通して該湿式摩擦クラッチを接とするようパイロット圧を制御し、さらに、
該摩擦クラッチ用方向制御弁と該油圧ポンプ間を結ぶ通路には、絞りが配設されていることを特徴とする動力伝達装置」
ことを特徴とする動力伝達装置が提供される。
【0008】
上記絞りと摩擦クラッチ用方向制御弁とを結ぶ通路には、アキュームレータが配設されている。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に従って構成された動力伝達装置の好適実施形態を図示している添付図面を参照して、更に詳細に説明する。
【0010】
図1には、本発明に従って構成された動力伝達装置の縦断面図が示されている。
図1に示す動力伝達装置は、原動機としてのディーゼルエンジン2と、流体継手(フルードカップリング)4と、湿式多板摩擦クラッチ8および手動変速機10とから構成され、これらは直列に配設されている。
【0011】
図示の実施形態における動力伝達装置は、上記流体継手4および湿式多板摩擦クラッチ8を収容する継手ハウジング3を具備している。継手ハウジング3は、エンジン側である一端側(図1において左端側)が開放され、変速機側である他端側(図1において右端側)に仕切り壁31を備えている。この継手ハウジング3は、図示の実施形態においてはアルミダイキャストによって一体成形され、軸方向中央部に中間壁32が設けられており、該中間壁32および後述するポンプハウジングによって流体継手収容室3aと摩擦クラッチ収容室3bに区画されている。このように構成された継手ハウジング3は、エンジン2側(図1において左端側)がディーゼルエンジン2に装着されたハウジング22にボルト23等の締結手段によって取り付けられており、変速機側(図1において右端側)が手動変速機10のケース100にボルト24によって取り付けられている。なお、図示の実施形態においては継手ハウジング3を一体形成した例を示したが、継手ハウジング3は分割して形成し連結した構成でもよい。
【0012】
次に、流体継手4について図2を参照して説明する。
流体継手4は、上記継手ハウジング3の流体継手収容室3a内に配設されている。図示の実施形態における流体継手4は、ケーシング41とポンプ42およびタービン43を具備している。
ケーシング41は、上記ディーゼルエンジン2のクランク軸21にボルト24によって内周部が装着されたドライブプレート44の外周部にボルト441、ナット442等の締結手段によって装着されている。なお、上記ドライブプレート44の外周には、図示しないスタータモータの駆動歯車と噛合する始動用のリングギヤ45が装着されている。
【0013】
ポンプ42は上記ケーシング41と対向して配設されている。このポンプ42は、椀状のポンプシェル421と、該ポンプシェル421内に放射状に配設された複数個のインペラ422とを備えており、ポンプシェル421が上記ケーシング41に溶接等の固着手段によって取り付けられている。従って、ポンプ42のポンプシェル421は、ケーシング41およびドライブプレート44を介してクランク軸21に連結される。このため、クランク軸21は流体継手4の入力軸として機能する。
【0014】
タービン43は上記ポンプ42とケーシング41によって形成された室にポンプ42と対向して配設されている。このタービン43は、上記ポンプ42のポンプシェル421と対向して配設された椀状のタービンシェル431と、該タービンシェル431内に放射状に配設された複数個のランナ432とを備えている。タービンシェル431は、上記入力軸としての上記クランク軸21と同一軸線上に配設された出力軸46にスプライン嵌合されたタービンハブ47に溶接等の固着手段によって取り付けられている。
【0015】
図示の実施形態における流体継手4は、上記ケーシング41とタービン43とを直接伝動連結するためのロックアップクラッチ50を具備している。ロックアップクラッチ50は、ケーシング41とタービン43との間に配設されケーシング41との間に外側室40aを形成するとともにタービン43との間に内側室40bを形成するクラッチディスク51を備えている。このクラッチディスク51は、内周縁が上記タービンハブ47の外周に相対回転可能でかつ軸方向に摺動可能に支持されており、その外周部には上記ケーシング41と対向する面にクラッチフェーシング52が装着されている。また、クラッチディスク51の外周部における内側室40b側には、環状の凹部53が形成されており、この凹部53にそれぞれ支持片54によって支持された複数個のダンパースプリング55が所定の間隔を置いて配設されている。この複数個のダンパースプリング55の両側には上記クラッチディスク51に取り付けられた入力側リテーナ56が突出して配設されているとともに、各ダンパースプリング55間には上記タービン43のタービンシェル431に取り付けられた出力側リテーナ57が突出して配設されている。
【0016】
図示の実施形態におけるロックアップクラッチ50は以上のように構成されており、その作動について説明する。
上記内側室40b側の作動流体の圧力が外側室40aの作動流体の圧力より高い場合、即ち後述する流体作動手段6によって供給される作動流体がポンプ42とタービン43とによって形成される作動室4aから内側室40bを通して外側室40aに流れる場合には、上記クラッチディスク51が図1において左方に押圧されるので、クラッチディスク51に装着されたクラッチフェーシング52がケーシング41に押圧されて摩擦係合する(ロックアップクラッチ接)。従って、ケーシング41とタービン43は、クラッチフェーシング52、クラッチディスク51、入力側リテーナ56、ダンパースプリング55、出力側リテーナ57を介して直接伝動連結される。一方、上記外側室40aの作動流体の圧力が内側室40b側の作動流体の圧力より高い場合、即ち後述する流体作動手段6によって供給される作動流体が外側室40aから内側室40bを通してポンプ42とタービン43とによって形成される作動室4aに循環する場合には、上記クラッチディスク51が図1において右方に押圧されるので、クラッチディスク51に装着されたクラッチフェーシング52はケーシング41と摩擦係合せず(ロックアップクラッチ断)、従って、ケーシング41とタービン43との伝動連結は解除されている。
【0017】
上記継手ハウジング3の中間壁32には、ポンプハウジング61、62がボルト63等の固着手段によって取り付けられている。従って、ポンプハウジング61、62は、継手ハウジング3に形成された流体継手収容室3aと摩擦クラッチ収容室3bを区画している。このポンプハウジング61、62内には、後述する流体作動手段6の流体圧源としての油圧ポンプ60が配設されている。また、ポンプハウジング61、62には、後述する流体作動手段6を構成する各制御弁が配設されているとともに、作動流体通路が形成されている。ポンプハウジング61、62内に配設された油圧ポンプ60は、上記ポンプ42のポンプシェル421に取り付けられポンプハウジング61に軸受481を介して回転可能し支持されたポンプハブ48によって回転駆動されるように構成されている。また、ポンプハウジング61、62には、油圧ポンプ60の吸入口に連通する吸入通路66aが形成されている。この吸入通路66aは継手ハウジング3の中間壁32に設けられた吸い込み通路32aに連通している。吸い込み通路32aは継手ハウジング3に一体に形成されており、吸い込み口32bが摩擦クラッチ収容室3bの底壁部に向けて開口されており、この吸い込み口32bにフィルタ67が装着されている。
【0018】
図示の実施形態においては、摩擦クラッチ収容室3bの底部に規定される流体貯留部30bには作動流体が収容されており、この作動流体が上記油圧ポンプ60の作動によりフィルタ67を通して吸い込まれるようになっている。従って、摩擦クラッチ収容室3bの流体貯留部30bは、作動流体を貯留するリザーブタンクとして機能する。このように図示の実施形態においては、吸い込み通路32aがポンプハウジング61、62を装着する継手ハウジング3の中間壁32に設けられているので、流体貯留部30bに収容された作動流体を吸い込むための吸い込み機構を別途設ける必要がなく、部品点数を低減することができる。また、吸い込み機構を構成する部品の接合部は継手ハウジング3の中間壁32とポンプハウジング61、62との接合のみであるため、接合部が少なく空気の吸い込み性が改善される。
【0019】
なお、上記ポンプハブ48の外周面とポンプハウジング61の端部との間には、オイルシール482が配設されている。また、ポンプハブ48と上記出力軸46との間には、筒状部材64が配設されており、該筒状部材64とポンプハブ48との間に上記上記流体継手4のポンプ42とタービン43とによって形成される作動室4aと連通する通路641が形成されている。なお、上記出力軸46には作動流体の通路461が設けられている。この通路461は、その一端が出力軸46の図において左端面に開口し上記外側室40aと連通しており、その他端が出力軸46の外周面に開口している。
【0020】
次に、上記湿式多板摩擦クラッチ8について図2を参照して説明する。
湿式多板摩擦クラッチ8は、上記継手ハウジング3の摩擦クラッチ収容室3b内に配設されており、クラッチアウタ81とクラッチセンタ82とを備えている。クラッチアウタ81はドラム状に形成されており、その内周部には上記流体継手4の出力軸46とスプライン嵌合するハブ811が設けられている。クラッチアウタ81の外周部内面には内歯スプライン812が設けられており、この内歯スプライン812に複数枚の摩擦板83が軸方向に摺動可能に嵌合されている。また、クラッチアウタ81の中間部には環状のシリンダ813が形成されており、該環状のシリンダ813を構成する内周壁814が上記ポンプハウジング62のボス部621の外周面に相対回転可能に嵌合されている。環状のシリンダ813内には、上記摩擦板83と後述する摩擦板87を押圧するための押圧ピストン84が配設されている。この環状のシリンダ813と押圧ピストン84とによって形成される液圧室815は、環状のシリンダ813を構成する内周壁814に設けられた通路816および上記ポンプハウジング62のボス部621に設けられた通路622を介して後述する流体作動手段6に連通している。なお、クラッチアウタ81のハブ811と押圧ピストン84との間にはプレート85が装着されており、このプレート85と押圧ピストン84との間に圧縮コイルばね86が配設されている。従って、押圧ピストン84は、圧縮コイルばね86のばね力によって常に図2において左方に移動すべく押圧されている。
【0021】
上記クラッチセンタ82は円盤状に形成されており、その内周部には変速機10の入力軸101とスプライン嵌合するハブ821が設けられている。クラッチセンタ82の外周面には外歯スプライン822が設けられており、この外歯スプライン822に複数枚の摩擦板87が軸方向に摺動可能に嵌合されている。クラッチセンタ82に装着された複数枚の摩擦板87と上記クラッチアウタ81に装着された複数枚の摩擦板83とは、それぞれ交互に配設されている。なお、クラッチセンタ82のハブ821とクラッチアウタ81のハブ811との間およびクラッチアウタ81のハブ811とポンプハウジング62のボス部621との間には、それぞれスラスト軸受881、882が配設されている。
【0022】
図示の実施形態における湿式多板摩擦クラッチ8は以上のように構成されており、後述する流体作動手段6によって作動流体が液圧室815に供給されない図1および図2に示す状態においては、押圧ピストン84は圧縮コイルばね86のばね力によって左方位置(係合解除位置)に位置付けられている。このため、複数枚の摩擦板83と複数枚の摩擦板87とは押圧されないので、複数枚の摩擦板83と複数枚の摩擦板87とが摩擦係合せず、流体継手4の出力軸46から変速機10の入力軸101への動力伝達が遮断されている。後述する流体作動手段6によって作動流体が液圧室815に供給されると、押圧ピストン84が圧縮コイルばね86のばね力に抗して図1および図2において右方の移動せしめられる。この結果、複数枚の摩擦板83と複数枚の摩擦板87とが押圧され互いに摩擦係合するので、流体継手4の出力軸46に伝達された動力はクラッチアウタ81、複数枚の摩擦板83、87およびクラッチセンタ82を介して変速機10の入力軸101に伝達される。
【0023】
図示の実施形態における湿式多板摩擦クラッチ8は、複数枚の摩擦板83および複数枚の摩擦板87を冷却するために、上記流体継手4を循環する作動流体が後述する流体作動手段6によって供給されるように構成されている。流体継手4の出力軸46の外周面と上記ポンプハウジング62のボス部621との間には通路891が形成されており、この通路891が後述する流体作動手段6に連通している。通路891に供給された作動流体は、出力軸46とクラッチアウタ81のハブ811とのスプライン嵌合部を潤滑し、出力軸46とクラッチセンタ82のハブ821との間に入り、スラスト軸受881を潤滑した後に複数枚の摩擦板83および複数枚の摩擦板87に供給される。また、通路891に供給された作動流体は、スラスト軸受882を潤滑した後に、クラッチアウタ81の設けられた通路817を通って複数枚の摩擦板83および複数枚の摩擦板87に供給される。なお、流体継手4の出力軸46には上記通路891と変速機10の入力軸101を支持する支持部とを連通する通路463が設けられている。従って、通路891に供給された作動流体は、通路891を通して上記入力軸101を回転自在に支持する軸受108を潤滑し、更に変速機10の入力軸101とクラッチセンタ82のバブ821とのスプライン嵌合部を潤滑する。このように湿式多板摩擦クラッチ8の各部を潤滑ないし冷却した作動流体は、摩擦クラッチ収容室3bに放出され、リザーブタンクとして機能する流体貯留部30bに貯留される。
【0024】
次に、流体作動手段6について、図3を参照して説明する。
流体作動手段6は、上述したポンプハウジング61、62を具備している。このポンプハウジング61、62には、流体作動手段6を構成する油圧ポンプ60と、該油圧ポンプ60と各制御弁が配設されているとともに、作動流体通路が形成されている。ポンプハウジング61、62は、円形に形成されており、中央部に油圧ポンプ60が配設されている。油圧ポンプ60は上述したように摩擦クラッチ収容室3bの底部に規定される流体貯留部30bに収容された作動流体をフィルタ67、吸い込み通路32aおよび吸入通路66aを通して吸い込み、通路66bに吐出する。
【0025】
油圧ポンプ60によって通路66bに吐出された作動流体は、通路66cおよびロックアップクラッチ用電磁切換手段68を介して上記出力軸46に設けられた通路461と連通する通路66d、または上記流体継手4の作動室4aに連通する通路641と連通する通路66eに供給される。ロックアップクラッチ用電磁切換手段68は、図3に示す実施形態においてはロックアップクラッチ用方向制御弁681とロックアップクラッチ用電磁切換弁682とからなっている。ロックアップクラッチ用方向制御弁681は、ロックアップクラッチ用電磁切換弁682によって制御されるパイロット圧の作用で切換わるように構成されており、パイロット圧が作用していない図3に示す状態ではロックアップクラッチ50が断となるように作動流体を循環するようになっている。そして、ロックアップクラッチ用方向制御弁681は、パイロット圧が作用するとロックアップクラッチ50が接となるように作動流体を循環するように切換わる。
【0026】
上記ロックアップクラッチ用方向制御弁681とともにロックアップクラッチ用電磁切換手段68を構成するロックアップクラッチ用電磁切換弁482は、上記通路66bとロックアップクラッチ用方向制御弁681とを連絡するパイロット通路66fに配設されている。なお、ロックアップクラッチ用電磁切換弁682は、車両の走行速度に基づいて車両の走行速度が所定値以上になると図示しない制御手段によって付勢(ON)される。
【0027】
ロックアップクラッチ用電磁切換弁682が除勢(OFF)している図3に示す状態のときには、パイロット通路66fが開放されており、ロックアップクラッチ用方向制御弁681にはパイロット圧が作用しない。従って、ロックアップクラッチ用方向制御弁681は図3に示す状態に位置付けられており、通路66cと通路66dが連通するとともに、通路66eと戻り通路66gが連通している。この結果、油圧ポンプ60によって通路66bに吐出された作動流体は、通路66c、通路66d、通路461、流体継手4の外側室40a、内側室40b、ポンプ42とタービン43とによって形成される作動室4a、通路641、通路66e、戻り通路66g、該戻り通路66gに配設された逆止弁70および冷却器71を通して流体貯留部30bに循環される。このように作動流体が循環するときは、外側室40aの流体圧が内側室40bの流体圧より高いので、ロックアップクラッチ50は上述したように摩擦係合しない(ロックアップクラッチ断)。
【0028】
一方、ロックアップクラッチ用電磁切換弁682が付勢(ON)されると、パイロット通路66fが連通されロックアップクラッチ用方向制御弁681にはパイロット圧が作用してロックアップクラッチ用方向制御弁681が作動せしめられて、通路66cと通路66eが連通するとともに、通路66dと流体貯留部30bが連通する。この結果、油圧ポンプ60によって通路66bに吐出された作動流体は、通路66c、通路66e、通路641、ポンプ42とタービン43とによって形成される作動室4a、内側室40b、外側室40a、通路461、通路66dを通して流体貯留部30bに循環される。このように作動流体が循環するときは、内側室40bの流体圧が外側室40aの流体圧より高いので、ロックアップクラッチ50は上述したように摩擦係合する(ロックアップクラッチ接)。なお、ロックアップクラッチ用電磁切換弁682は、付勢(ON)された状態において通路66bの作動流体圧力が所定値より低くロックアップクラッチ用方向制御弁681に作用するパイロット圧が低い場合には、ロックアップクラッチ用方向制御弁681が中間位置に位置付けられて、通路66cが通路66dおよび通路66eと連通するように構成されている。この作動形態に関連して、通路66eと戻り通路66gとを連通するバイパス通路66hが設けられており、このバイパス通路66hに絞り72が配設されている。従って、油圧ポンプ60の回転速度が低く通路66bの作動流体圧力が所定値より低い場合には、通路66bに吐出された作動流体は、通路66c、通路66e、絞り72を備えたバイパス通路66hを通して循環される。
【0029】
図示の実施形態における流体作動手段6は、上記通路66aと通路66bを結ぶリリーフ通路66jを備えており、このリリーフ通路66jにリリーフ弁73が配設されている。なお、リリーフ弁73は、開弁圧が上記ロックアップクラッチ50のON時において上記クラッチディスク51に装着されたクラッチフェーシング52がケーシング41に押圧されて摩擦係合するに必要な流体圧である例えば6kg/cm2 に設定されており、通路66b内の作動流体圧が6kg/cm2 を越えると作動流体をリリーフ通路66jを介して通路66aに戻す。
【0030】
図示の実施形態における流体作動手段6は、上記湿式多板摩擦クラッチ8の液圧室815に連通された通路816、622と上記通路66bとを連絡する通路66kおよび通路66mを備えている。この通路66kと通路66mとの間に摩擦クラッチ用電磁切換手段74が配設されている。摩擦クラッチ用電磁切換手段74は、図3に示す実施形態においては摩擦クラッチ用方向制御弁741と摩擦クラッチ用電磁切換弁742とからなっている。摩擦クラッチ用方向制御弁741は、摩擦クラッチ用電磁切換弁742によって制御されるパイロット圧の作用で切換わるように構成されており、パイロット圧が作用していない状態では湿式多板摩擦クラッチ8の液圧室815を開放している。そして、摩擦クラッチ用方向制御弁741は、パイロット圧が作用すると上記通路66kと通路66mとが連通するように、即ち油圧ポンプ60と湿式多板摩擦クラッチ8の液圧室815とを連通するように切換わる。なお、パイロット圧によって切換わる摩擦クラッチ用方向制御弁741の切換圧力は、図示の実施形態においてはディーゼルエンジン2の始動時におけるスタータモータによるクランキング回転速度で油圧ポンプ60が駆動された状態で発生する作動流体圧力より高い値に設定されている。
【0031】
上記摩擦クラッチ用方向制御弁741とともに摩擦クラッチ用電磁切換手段74を構成する摩擦クラッチ用電磁切換弁742は、上記通路66bと摩擦クラッチ用方向制御弁741とを連絡するパイロット通路66nに配設されている。摩擦クラッチ用電磁切換弁742は、除勢(OFF)されているときには図3に示すようにパイロット通路66nを連通しており、付勢(ON)されるとパイロット通路66nの開放するように構成されている。なお、上記摩擦クラッチ用方向制御弁741はパイロット圧が作用していない状態では通路66kと通路66mとの連通を遮断しており、パイロット圧が作用すると通路66kと通路66mとを連通するように構成されている。従って、摩擦クラッチ用電磁切換弁742が除勢(OFF)されているときには、摩擦クラッチ用方向制御弁741にパイロット圧が作用しているので、摩擦クラッチ用方向制御弁741は通路66kと通路66mとを連通する。この結果、油圧ポンプ60によって通路66bに吐出された作動流体が通路66k、通路66m、通路622、816を介して湿式多板摩擦クラッチ8の液圧室815に供給されるので、上記のように押圧ピストン84が圧縮コイルばね86のばね力に抗して図1および図2において右方の移動せしめられ、複数枚の摩擦板83と複数枚の摩擦板87とが押圧され互いに摩擦係合する。一方、摩擦クラッチ用電磁切換弁742が付勢(ON)されるとパイロット通路66nの連通が遮断され、摩擦クラッチ用方向制御弁741にパイロット圧が作用しないので、通路66kと通路66mとの連通が遮断されるとともに、通路66mが流体貯留部30bに開放される。この結果、湿式多板摩擦クラッチ8の押圧ピストン84は圧縮コイルばね86のばね力によって図1および図2において左方移動せしめられるため、複数枚の摩擦板83と複数枚の摩擦板87との摩擦係合が解除される。
【0032】
なお、摩擦クラッチ用電磁切換弁742の付勢(ON)および除勢(OFF)の制御は、手動変速機10の変速時に図示しない制御手段によって行われる。即ち、図示の実施形態における湿式多板摩擦クラッチ8は自動クラッチシステムを構成しており、図示しない制御手段は運転者が手動変速機10の変速操作を行う際に、図示しない変速レバーに装着された変速指示スイッチをONしたことによる信号に基づいて摩擦クラッチ用電磁切換弁742を付勢(ON)し、湿式多板摩擦クラッチ8による動力伝達を遮断する。そして、図示しない制御手段は変速機のシフト操作が終了した時点で、図示しないシフトストロークセンサからのシフト終了信号に基づいて摩擦クラッチ用電磁切換弁742を除勢(OFF)し、湿式多板摩擦クラッチ8を摩擦係合する。
【0033】
図示の実施形態における流体作動手段6は、上記摩擦クラッチ用方向制御弁741と油圧ポンプ60と連通された通路66bとを結ぶ通路66kに配設された絞り76を備えている。この絞り76の作用効果について説明する。先ず、湿式多板摩擦クラッチ8を接状態から断する場合は、摩擦クラッチ用電磁切換弁742を付勢(ON)してパイロット通路66nを開放する。パイロット通路66nが開放されると、上述したように摩擦クラッチ用方向制御弁741が湿式多板摩擦クラッチ8の液圧室815を開放するように切換わる。この結果、湿式多板摩擦クラッチ8の液圧室815内の作動流体は、通路816、622、66mおよび摩擦クラッチ用方向制御弁741と介して流出するため、迅速にクラッチが断される。このクラッチ断時においては、上記絞り76は摩擦クラッチ用電磁切換弁742より油圧ポンプ60側に配設されているので、クラッチの断動作に影響を及ぼさない。
【0034】
次に、湿式多板摩擦クラッチ8を断状態から接する場合は、摩擦クラッチ用電磁切換弁742を除勢(OFF)してパイロット通路66nを連通して摩擦クラッチ用方向制御弁741にパイロット圧を作用せしめる。この結果、摩擦クラッチ用方向制御弁741は通路66kと通路66mとが連通するように、即ち油圧ポンプ60と湿式多板摩擦クラッチ8の液圧室815とを連通するように切換わる。このとき、油圧ポンプ60の容量が小さいと通路66bおよび66kのライン圧が一時低下するため、パイロット通路66nの圧力も低下するので、摩擦クラッチ用方向制御弁741の作動が不安定となる。しかるに、図示の実施形態においては、摩擦クラッチ用方向制御弁741と油圧ポンプ60と連通された通路66bとを結ぶ通路66kに絞り76が配設されているので、通路66kが湿式多板摩擦クラッチ8の液圧室815と連通しても、絞り効果によって通路66bのライン圧の急激な低下はない。従って、パイロット通路66nの圧力変動も少ないので、摩擦クラッチ用方向制御弁741を図3に示す切換え状態に維持することができる。このように、摩擦クラッチ用方向制御弁741と油圧ポンプ60と連通された通路66bとを結ぶ通路66kに絞り76を配設することにより、クラッチ接続時におけるライン圧の急激な低下を防ぐことができるので、油圧ポンプ60を必要最小限の容量にすることが可能となる。
【0035】
図示の実施形態における流体作動手段6は、上記通路66bと上記流体継手4の出力軸46の外周面と上記ポンプハウジング62のボス部621との間に形成された通路891とを連絡する通路66pを備えている。このため、油圧ポンプ60によって通路66bに吐出された作動流体は、通路66pを通して通路891に常時供給される。従って、油圧ポンプ60の作動時には通路891に供給された作動流体が上述したように上記スプライン嵌合部および上記各軸受を潤滑するとともに、湿式多板摩擦クラッチ8の複数枚の摩擦板83および複数枚の摩擦板87に供給される。このように、流体継手4に作動流体を循環せしめる流体作動手段6は、作動流体を湿式多板摩擦クラッチ8の各軸受等を潤滑するとともに、複数枚の摩擦板83および複数枚の摩擦板87に冷却液として供給する。従って、湿式多板摩擦クラッチ8の摩擦板を冷却するために冷却液供給装置を別途設ける必要はないとともに、摩擦板に供給される流体継手4の作動流体は摩擦特性が良好であるため良好な摩擦クラッチ特性を維持することができる。
【0036】
次に、手動変速機10について図1を参照して説明する。
図示の実施形態における手動変速機10は、平行軸式歯車変速機からなり、ケース100と、該ケース100内に配設され上記湿式多板摩擦クラッチ8のクラッチセンタ82を装着した入力軸101と、該入力軸101と同一軸上に配設された出力軸122と、該出力軸102と平行に配設されたカウンターシャフト103とを具備している。入力軸101には駆動歯車104が配設され、出力軸12には変速歯車105a、105b、・・・が配設されているとともに、同期噛合装置106a、106b、・・・が配設されている。また、カウンターシャフト103には、上記駆動歯車104および変速歯車105a、105b、・・・と常時噛み合うカウンター歯車107a、107b、107c、・・・が設けられている。なお、上記入力軸101は、上記継手ハウジング3の仕切り壁31に設けられた穴311を貫通して配設され、その一端部が上記流体継手4の出力軸46に軸受108を介して回転自在に支持されており、その中間部が軸受109を介して継手ハウジング3に回転自在に支持されている。上記継手ハウジング3の仕切り壁31に設けられた穴311の内周面と入力軸101との間には、オイルシール110が配設されている。このオイルシール110により継手ハウジング3の摩擦クラッチ収容室3b内のクラッチ冷却液が手動変速機10のケース100内に侵入すること、および手動変速機10のケース100内の潤滑油が摩擦クラッチ収容室3b内に侵入することが防止される。
【0037】
図示の実施形態における車両用動力伝達装置は以上のように構成されており、以下その作動について説明する。
先ず、車両の発進動作について説明する。
ディーゼルエンジン2が始動されアイドリング状態においては摩擦クラッチ用電磁切換弁742は除勢(OFF)されており、湿式多板摩擦クラッチ8は上述したように摩擦係合されている。なお、ロックアップクラッチ用電磁切換弁682は除勢(OFF)されており、上述したように流体継手4のロックアップクラッチ50は摩擦係合しない(ロックアップクラッチ断)。従って、エンジン2は流体継手4の滑りによってアイドリング回転が維持されている。車両を発進するために運転者が図示しない変速レバーに装着された変速指示スイッチをONすると、上述したように摩擦クラッチ用電磁切換弁742が付勢(ON)され、湿式多板摩擦クラッチ8による動力伝達が遮断される。湿式多板摩擦クラッチ8による動力伝達が遮断されている間に変速レバーによる変速操作が行われ、手動変速機10が発進段に投入されると、上述したように摩擦クラッチ用電磁切換弁742が除勢(OFF)され、湿式多板摩擦クラッチ8を摩擦係合する。この状態で図示しないアクセルペダルを踏み込みエンジン回転速度を増大すると、ディーゼルエンジン2のクランク軸21(入力軸)に発生した駆動力は、上述したようにドライブプレート44を介して流体継手4のケーシング41に伝達される。ケーシング41とポンプ42のポンプシェル421は一体的に構成されているので、上記駆動力によってポンプ42が回転せしめられる。ポンプ42が回転するとポンプ42内の作動流体は遠心力によりインペラ422に沿って外周に向かって流れ、矢印で示すようにタービン43側に流入する。タービン43側に流入した作動流体は、中心側に向かって流れ矢印で示すようにポンプ42に戻される。このように、ポンプ42とタービン43とによって形成される作動室4a内の作動流体がポンプ42とタービン43内を循環することにより、ポンプ42側の駆動トルクが作動流体を介してタービン43側に伝達される。タービン43側に伝達された駆動力は、タービンシェル431およびタービンハブ47を介して出力軸46に伝達され、更に上記湿式多板摩擦クラッチ8を介して変速機10に伝達され、車両を発進することができる。
【0038】
次に、車両用動力伝達装置の変速時の動作について説明する。
車両が走行中に手動変速機10を所定の変速段へ変速する場合は、運転者が図示しない変速レバーに装着された変速指示スイッチをONすると、上述したように摩擦クラッチ用電磁切換弁742が付勢(ON)され、上述したように湿式多板摩擦クラッチ8による動力伝達が遮断される。湿式多板摩擦クラッチ8による動力伝達が遮断されている間に変速レバーによる変速操作が行われ、手動変速機10のが所定の変速段へ投入される。このとき、同期噛合装置106によって出力軸102の回転速度と所定の変速歯車105の回転速度を同期させるが、この同期作用は変速歯車105と伝動連結されている摩擦クラッチの構成部材の回転慣性が大きい(同期負荷が大きい)と長時間を要し、回転慣性が小さい(同期負荷が小さい)程短時間で同期させることができる。しかるに、図示の実施形態においては、変速歯車105と伝動連結されている入力軸101には回転慣性の小さい(同期負荷が小さい)クラッチセンタ82が装着されているので、同期作用が短時間で行われ変速時間を短縮することができる。
【0039】
上記のようにして出力軸102の回転速度と所定の変速歯車105の回転速度が同期して所定の変速段へのシフトが完了したら、上述したように摩擦クラッチ用電磁切換弁742が除勢(OFF)され、湿式多板摩擦クラッチ8が摩擦係合せしめられる。このとき、パイロット圧の作用で摩擦クラッチ用方向制御弁741は通路66kと通路66mとが連通するように切換わり油圧ポンプ60と湿式多板摩擦クラッチ8の液圧室815とを連通するが、摩擦クラッチ用方向制御弁741と油圧ポンプ60と連通された通路66bとを結ぶ通路66kに絞り76が配設されているので、絞り効果によって通路66bのライン圧の急激な低下はない。従って、パイロット通路66nの圧力変動も少ないので、摩擦クラッチ用方向制御弁741を図3に示す切換え状態に維持することができ、安定したクラッチ接続動作が実行される。
【0040】
次に、上記流体作動手段6の他の実施形態について、図4を参照して説明する。図4に示す実施形態は、図3に示す実施形態における絞り76と摩擦クラッチ用方向制御弁741とを結ぶ通路にアキュームレータ77を配設したものであり、他の構成は図3に示す実施形態と実質的に同一である。図4に示す実施形態においては、絞り76と摩擦クラッチ用方向制御弁741とを結ぶ通路にアキュームレータ77を配設したので、湿式多板摩擦クラッチ8を断状態から接操作する場合に摩擦クラッチ用方向制御弁741を切換えて通路66kと通路66mとを連通したとき、アキュームレータ77に蓄圧された作動流体が湿式多板摩擦クラッチ8の液圧室815に供給される。従って、クラッチ接続時における応答性を確保することができる。このようにしてクラッチ接続時にアキュームレータ77に蓄圧された作動流体は消費されるが、アキュームレータ77には次の変速操作が実行されるまでの間に作動流体が蓄圧される。
【0041】
以上、本発明を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の主旨の範囲で種々の変形は可能である。実施形態においては、エンジンと湿式摩擦クラッチとの間に流体継手を配設した動力伝達装置に本発明を適用した例を示したが、流体継手を有しない動力伝達装置に本発明を適用しても同様の作用効果が得られる。
【0042】
【発明の効果】
本発明による動力伝達装置は以上のように構成されているので、以下に述べる作用効果を奏する。
【0043】
即ち、本発明によれば、油圧ポンプと湿式摩擦クラッチの液圧室を連通する通路に配設されパイロット圧の作用によって作動せしめられる摩擦クラッチ用方向制御弁と油圧ポンプ間を結ぶ通路に絞りを配設したので、湿式摩擦クラッチを接状態から断する場合は、パイロット圧が開放され摩擦クラッチ用方向制御弁が湿式摩擦クラッチの液圧室を開放するように切換わるので、絞りの影響を受けることなく、クラッチが迅速に断される。また、湿式摩擦クラッチを断状態から接する場合は、摩擦クラッチ用方向制御弁にパイロット圧が作用して油圧ポンプと湿式摩擦クラッチの液圧室とを連通するように切換わるが、上記絞りの作用により該絞りから油圧ポンプまでのライン圧が急激に大きく低下することはない。従って、パイロット圧の変動も少ないので、摩擦クラッチ用方向制御弁の切換え状態を安定して維持することができる。このように、上記絞りの効果によりクラッチ接続時におけるライン圧の急激な低下を防ぐことができるので、油圧ポンプを必要最小限の容量にすることが可能となる。
【0044】
また本発明においては、上記絞りと摩擦クラッチ用方向制御弁とを結ぶ通路にアキュームレータを配設したので、湿式摩擦クラッチを断状態から接操作する場合に摩擦クラッチ用方向制御弁を切換えて油圧ポンプと湿式摩擦クラッチの液圧室を連通したとき、アキュームレータに蓄圧された作動流体が湿式摩擦クラッチの液圧室に供給される。従って、クラッチ接続時における応答性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従って構成された動力伝達装置の縦断面図。
【図2】図1に示す動力伝達装置の要部拡大断面図。
【図3】図1の動力伝達装置に装備される流体作動手段の一実施形態を示す流体回路図。
【図4】図1の動力伝達装置に装備される流体作動手段の他の実施形態を示す流体回路図。
【符号の説明】
2:内燃機関
21:クランク軸
3:継手ハウジング
3a:継手ハウジングの仕切り壁
3b:継手ハウジングの中間壁
3a:流体継手収容室
3b:摩擦クラッチ収容室
30b:流体貯留部
4:流体継手
40:流体継手ハウジング
41:ケーシング
42:ポンプ
421:ポンプシェル
422:インペラ
43:タービン
431:タービンシェル
432:ランナ
44:ドライブプレート
45:リングギヤ
46:流体継手の出力軸
47:タービンハブ
48:ポンプハブ
50:ロックアップクラッチ
51:クラッチディスク
55:ダンパースプリング
56:入力側リテーナ
57:出力側リテーナ
6:流体作動手段
60:油圧ポンプ
61、62:ポンプハウジング
67:フィルタ
68:ロックアップクラッチ用電磁切換手段
681:ロックアップクラッチ用方向制御弁
682:ロックアップクラッチ用電磁切換弁
70:逆止弁
71:冷却器
72:絞り
73:リリーフ弁
74:摩擦クラッチ用電磁切換手段
741:摩擦クラッチ用方向制御弁
742:摩擦クラッチ用電磁切換弁
76:絞り
77:アキュームレータ
8:湿式多板摩擦クラッチ
81:クラッチアウタ
82:クラッチセンタ
83:摩擦板
84:押圧ピストン
86:圧縮コイルばね
87:摩擦板
10:変速機
100:変速機のケース
101:変速機の入力軸
102:変速機の出力軸
103:変速機のカウンターシャフト
104:駆動歯車
105a、105b、・・・:変速歯車
107a、107b、107c、・・・:カウンター歯車
Claims (2)
- エンジンと変速機との間に配設され、該変速機の変速操作時に断・接される湿式摩擦クラッチと、該湿式摩擦クラッチに作動流体を供給するための流体作動手段とを具備する動力伝達装置において、
該流体作動手段は、該エンジンの駆動力によって作動せしめられる油圧ポンプと、
該油圧ポンプと該湿式摩擦クラッチの液圧室を連通する通路に配設され、該油圧ポンプの出口側と連なるパイロット圧によって切換わる摩擦クラッチ用方向制御弁と、
該摩擦クラッチ用方向制御弁に作用せしめるパイロット圧を制御する摩擦クラッチ用電磁切換弁とを具備しており、
該摩擦クラッチ用電磁切換弁が、該変速機の変速操作の開始時には該摩擦クラッチ用方向制御弁にパイロット圧が作用しない状態とし、該湿式摩擦クラッチの液圧室を開放して該湿式摩擦クラッチを断とするとともに、該変速機の変速操作の終了時には該摩擦クラッチ用方向制御弁にパイロット圧が作用する状態とし、該油圧ポンプと該湿式摩擦クラッチの液圧室とを連通して該湿式摩擦クラッチを接とするようパイロット圧を制御し、さらに、
該摩擦クラッチ用方向制御弁と該油圧ポンプ間を結ぶ通路には、絞りが配設されていることを特徴とする動力伝達装置。 - 該絞りと該摩擦クラッチ用方向制御弁とを結ぶ通路には、アキュームレータが配設されている請求項1記載の動力伝達装置。
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