JP4239245B2 - 格子状レンズアレイの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種ディスプレイパネルに使用されるプリズムシート、三次元ディスプレイパネルのレンズアレイ及びCCD等の光学部品に使用される格子状レンズアレイに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、レンズアレイを作製する方法としては、(1)金属をNC工作機械等で切削加工することによって金型を作製し、型押し成形によって作製する方法、(2)ガラスファイバーの先端を加熱溶融する方法によって凸レンズ状に加工した後束ねる方法、(3)化学エッチングにて形成する方法、(4)スパッタ等により素材の屈折率を部分的に変化させてレンズ効果を持たせる方法、(5)球状に加工した金属粒子等を機械的に並べた後型取りして複製型を作製し、型押し成形して作製する方法等が知られている。
【0003】
上記(1)、(2)、(5)の方法は大面積のレンズアレイを作製するには不向きであり、(1)及び(3)の方法は表面平滑性を向上させることが難しい。(2)及び(4)の方法はレンズとしての集光機能設計上、自由度が小さい。
また、いずれの方法も、大面積レンズアレイを低コストで、且つ安定して作製するのが難しいという問題を有している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたもので、大面積のレンズアレイを安定して、且つ低コストで作製できる格子状レンズアレイの製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明に於いて上記問題を解決するため、まず請求項1においては、以下の工程を有することを特徴とする格子状レンズアレイの製造方法としたものである。
(a)支持体上に感光性樹脂で特定方向に凹凸形状を有する万線状レリーフを形成する工程。
(b)万線状パターンが形成されたフォトマスクを前記万線状レリーフと交差するように前記万線状レリーフ上に載置し、所定の露光量で露光し、前記万線状レリーフに光硬化潜像パターンを形成する工程。
(c)前記光硬化潜像パターンが形成された万線状レリーフを所定の温度で加熱処理して、所定形状のレンズを形成する工程。
(d)所定の露光量で全面露光して前記所定形状のレンズを硬化して、前記支持体上に格子状レンズアレイを形成する工程。
【0006】
また、請求項2においては、請求項1記載の方法で作製された格子状レンズアレイを母型にして複製型を作製し、透明なシート或いはフィルム基材に型押し成形によりレンズアレイを作製することを特徴とする格子状レンズアレイの製造方法としたものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態につき図面を用いて説明する。
図1(a)〜(e)に、本発明の格子状レンズアレイの一実施例の製造工程を工程順に示す模式斜視図を、図2(a)〜(g)に、本発明の格子状レンズアレイの一実施例の製造工程を工程順に示す模式断面図を、図3(a)〜(e)に、本発明の格子状レンズアレイの一実施例の製造工程を工程順に示す模式断面図をそれぞれ示す。
【0009】
本発明の格子状レンズアレイの製造方法は、まず、支持体2上に感光性樹脂からなる特定方向に凹凸形状を有する万線状レリーフ1を形成する(図1(a)参照)。
【0010】
支持体2としては、該万線状レリーフ1との接着が十分満たされている限り、金属、高分子材料、ガラス及びセラミックス等の有機、無機材料を含めてあらゆる素材のプレート、シート若しくはフィルムが使用可能である。
万線状レリーフ1の形状は図1(a)に示すような曲線状のレンチキュラータイプが好ましいが、これに限定されるものではなく、三角形状、矩形状及びその他の多角形状であってもよい。
【0011】
さらに、万線状レリーフ1の形成法としては、フォトリソグラフィー法、印刷法、転写法及び型押し成形法等が利用できる。具体的には、感光性樹脂溶液をナイフコート、ロールコート、バーコート及びスピンコート等によって感光性樹脂層を形成し、パターン露光、現像等のパターニング処理をすることにより所定形状のレリーフを作製する法。または、スクリーン印刷、グラビアコーティング等の一般的な印刷技術を用いて感光性樹脂からなる所定形状のレリーフを作製する法。あるいは、転写技術を利用して感光性樹脂からなる所定形状のレリーフを作製する法。または、切削金型及び複製型を用いて支持体上に形成された感光性樹脂層を型押し成形して所定形状のレリーフを作製する法等がある。長尺フィルム等に感光性樹脂からなる万線状レリーフを作製するには、ロールコート等により長尺フィルム上に感光性樹脂層を形成し、ロール状の切削金型を用いて型押し成形する法は有効な方法である。
【0012】
さらに、万線状レリーフ1を形成している感光性樹脂は、一般的な熱可塑性樹脂と少なくとも2官能以上で良好な架橋反応を行うアクリレート若しくはメタクリレートとの混合物に光重合開始剤を少量添加したものが使用できる。具体的には、熱可塑性樹脂としてアクリル樹脂、スチレン−アクリル共重合樹脂、ポリエステル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリカーボネート樹脂、塩ビ−酢ビ共重合樹脂、スチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂等が使用できる。また、アクリレート若しくはメタクリレート単独でも室温では固体状態を呈する熱可塑性樹脂であれば使用することができる。例えば、種々のウレタンアクリレート及びメタクリレートオリゴマー、分子内にイソシアヌレート環構造を有する種々のアクリレート及びメタクリレート、分子内にビスフェノールA、ビスフェノールS等の構造を有するエポキシアクリレート及びメタクリレート、ポリブタジエンウレタンメタクリレート、ポリスチリルエチルメタクリレート等が挙げられ、さらに水性UV硬化型樹脂等も使用することができる。
【0013】
また、光重合開始剤としてはベンゾイン、ベンジルケタール、アセトフェノン等の誘導体に代表される自己開裂型の化合物及びベンゾフェノン、芳香族ケトン、ミヒラーズケトン等の分子構造を有する種々の水素引き抜き型の光重合開始剤を配合することが好ましく、さらに必要に応じて種々の増感剤との併用も可能である。
【0014】
次に、万線状レリーフ1と交差するように万線状パターンが形成されたフォトマスク3を載置、密着し、所定の露光量で露光して光硬化潜像パターン5を形成する(図1(b)、(c)参照)。
ここで、万線状レリーフ1をパターン露光する方法としては、パターン幅方向に連続濃度階調を有する万線パターンが形成されたフォトマスクを介して露光するパターン露光法、或いは強度変調を加えて行うレーザービーム走査露光法等が利用できる。
【0015】
次に、光硬化潜像パターン5が形成された万線状レリーフ1を所定の温度で加熱処理して所定形状のレンズ6を形成する(図1(d)参照)。これは、万線状レリーフ1にパターン露光によって記録された光硬化潜像パターン5を熱現像する過程を示したものである。すなわち、パターン露光により硬化度合の異なる領域が形成された万線状レリーフ1を所定の温度条件で加熱することにより、光硬化度合いに応じて軟化変形させ、硬化度合の異なる領域間に所定形状のレンズ6を形成するものである。レンズ6は軟化変形後のレンズアレイを示し、露光された領域は硬化しているため加熱しても変形しないで万線状レリーフ1の凸部の形状が保持される。
【0016】
次に、所定の露光量で全面露光してレンズ6を硬化して支持体上に格子状レンズアレイ8を形成する(図1(e)参照)。これは、上記加熱処理により形成された所定形状のレンズ6を全面露光によって定着・硬化させて格子状レンズアレイ8を形成するものである。
【0017】
次に、本発明の請求項2の格子状レンズアレイの製造方法について述べる。
本発明は、上記方法で作製された格子状レンズアレイを母型にして複製型を作製し、型押し成形により格子状レンズアレイ(複製品)を作製するものである。
この方式で作製された格子状レンズアレイ(複製品)は格子状レンズアレイの光学特性(透過率、屈折率等)に応じた基材選定ができ、格子状レンズアレイ基材の選択幅が請求項1の方法より広がる。
【0018】
まず、上記方法で作製された格子状レンズアレイ母型11(図2(a)参照)表面に銅、アルミニウム、金、銀等及びこれらの金属を含有する合金からなる薄膜導電層12を設ける(図2(b)参照)。薄膜導電層12の膜形成方法としては通常よく知られている真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等が利用できる。膜厚は100Å〜10000Åの範囲が適当である。
【0019】
次に、薄膜導電層12をめっき電極にして電解めっきを行い、格子状レンズアレイ母型11上に所定厚の金属めっき層13を形成する(図2(c)参照)。さらに、格子状レンズアレイ母型11を剥離し、薄膜導電層12を除去して複製型13aを得る(図2(d)〜(e)参照)。
【0020】
次に、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂からなる透明なシート或いはフィルム基材を複製型13aにて加熱・加圧することにより型押し成形を行ない(図2(f)参照)、複製型13aから剥離することにより格子状レンズアレイ(複製品)14aを得る(図2(g)参照)。
【0021】
また、型押し成形の別の方法として、透明なシート或いはフィルムからなる支持体22上に紫外線硬化樹脂からなる感光性樹脂層23を形成し(図3(a)参照)、上記複製型13aを密着し、加熱・加圧して、型成形された感光性樹脂層23aを形成する(図3(b)参照)。さらに、支持体22側から紫外線を照射して型成形された感光性樹脂層23aを硬化し、レンズアレイ23bを形成する(図3(c)参照)。さらに、複製型13aを剥離することによって、支持体22上に格子状レンズアレイ(複製品)23cを得ることができる(図3(d)参照)。
【0022】
さらにまた、型押し成形の別の方法として、表面離型処理が施された透明なシート或いはフィルムからなる支持体22上に紫外線硬化樹脂からなる感光性樹脂層23を形成し、上記複製型13aを密着し、加熱・加圧して感光性樹脂層の型押し成形を行う。支持体22側から紫外線を照射して、型成形された感光性樹脂層23aを硬化し、複製型21を剥離し、支持体22上に格子状レンズアレイ(複製品)23cを形成し、支持体22を剥離することによって、単体の格子状レンズアレイ(複製品)23c(図3(e)参照)を得ることができる。
【0023】
【実施例】
以下実施例により本発明を詳細に説明する。
<実施例1>
まず、200μm厚のPMMAシートからなる支持体2上にロールコーターを用いて下記に示す感光性樹脂溶液Aを塗布し、80℃25分乾燥して50μm厚の光硬化性の熱可塑性樹脂組成物からなる感光性樹脂層を形成した。
【0024】
感光性樹脂溶液Aの組成
アクリル樹脂(ダイヤナールBR−80(三菱レイヨン社製)) 30重量部
アクリル樹脂(ダイヤナールBR−77(三菱レイヨン社製)) 35重量部
ペンタエリスリトールヘキサアクリレート………………………… 30重量部
トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート………………… 5重量部
光重合開始剤(イルガキュア−651(チバガイギー社製))… 11重量部
2−ブタノン……………………………………………………………150重量部
トルエン…………………………………………………………………100重量部
【0025】
次に、ニッケルメッキ銅板をダイヤモンドバイトにて切削することにより、幅100μm、深さ25μmのカマボコ状の溝を形成し、万線状レリーフ1を作製するための金型を作製した。
【0026】
次に、支持体2上の感光性樹脂層に上記金型の凹凸面を密着させ、圧力10kg/cm2 、温度80℃、圧着時間60秒の条件にて平圧プレスを行ない、圧力を一定に保ったまま室温まで急速に冷却した後、金型を剥離することにより、支持体2上に感光性樹脂からなる万線状レリーフ1を形成した。
【0027】
次に、幅方向に連続濃度階調を有する万線状パターンが形成されたフォトマスク3を支持体2上の万線状レリーフ1と交差するように載置し、密着した後高圧水銀ランプを用いて1200mJ/cm2 の露光量で紫外線を照射することにより、万線状レリーフ1に光硬化潜像パターン5を形成した。
【0028】
次に、光硬化潜像パターン5が形成された万線状レリーフ1を100℃15分間加熱処理して所定形状のレンズ6を形成した。さらに、500mJ/cm2 の露光量で全面露光を行いレンズ6を硬化し、支持体2上に格子状レンズアレイ8を得た。ここで、格子状レンズアレイ8のレンズ形状を観察した結果、図1(e)に示すような規則正しい格子状レンズアレイが形成されているのが確認された。
【0029】
<実施例2>
実施例1で得られた格子状レンズアレイを母型にして複製型を作製し、型押し成形して格子状レンズアレイ(複製品)を得る実施例について述べる。
まず、実施例1で得られた格子状レンズアレイ母型11表面に真空蒸着法にて約200Å厚のAu膜からなる薄膜導電層12を形成した。
【0030】
次に、薄膜導電層12をめっき電極にして電解Niめっきを行い、約250μm厚のNiめっき層13を形成した。さらに、格子状レンズアレイ母型11を剥離し、薄膜導電層12を除去して複製型13aを作製した。
【0031】
次に、厚さ100μmのPMMAシート上に複製型13aを密着し、圧力10kg/cm2 、温度150℃3分間の条件で加圧・加熱して、型押し成形することにより、格子状レンズアレイ(複製品)14aを得た。
【0032】
<実施例3>
表面離型処理が施された厚さ100μmのポリエステルフィルムからなる支持体22上にロールコーターを使って下記に示す感光性樹脂溶液Bを塗布、乾燥して40μm厚の紫外線硬化型の感光性樹脂層23を形成した。
【0033】
感光性樹脂溶液Bの組成
EO変成トリメチロールプロパントリアクリレート………………70重量部
トリエチレングリコールジアクリレート……………………………30重量部
光重合開始剤(Dorocur1173(チバガイギー社製)… 5重量部
【0034】
次に、実施例2で得られた複製型13aを感光性樹脂層23上に密着し、加熱・加圧して、型成形された感光性樹脂層23aを形成した状態で、支持体22側より露光量600mJ/cm2 の紫外線を照射して型成形された感光性樹脂層23aを硬化し、レンズアレイ23bを形成した。
次いで、複製型13a及び支持体22を剥離し、格子状レンズアレイ(複製品)23cを得た。
【0035】
【発明の効果】
上記したように、本発明の格子状レンズアレイの形成方法は、感光性樹脂からなる万線状レリーフをパターン露光、加熱処理にてレンズ形状を形成するため、高品質の大面積、小ロットレンズ製品をより安価に供給することができる。
さらに、万線状レリーフ形状、万線状パターン設計及び露光方法を工夫することでレンズのサイズ、平面形状等をレンズシート面内で連続的に変化させることや、シート内の特定部分にのみレンズを形成すること等が可能となる。
さらにまた、万線状レリーフをシリンダーロール型の型押し成形プロセスで作製すれば長尺フィルムの格子状レンズアレイを容易に作製できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(e)は、本発明の格子状レンズアレイの一実施例の製造工程を工程順に示す模式斜視図である。
【図2】(a)〜(g)は、本発明の格子状レンズアレイの一実施例の製造工程を工程順に示す模式断面図である。
【図3】(a)〜(e)は、本発明の格子状レンズアレイの一実施例の製造工程を工程順に示す模式断面図である。
【符号の説明】
1……感光性樹脂からなる万線状レリーフ
2、22……支持体
3……万線状パターンが形成されたフォトマスク
4……紫外線
5……光硬化潜像パターン
6……所定形状のレンズ
8……格子状レンズアレイ
9……全面露光のための紫外線
11……格子状レンズアレイ母型
12……薄膜導電層
13……金属めっき層
13a……複製型
14……型成形された透明なシート或いはフィルム基材
14a……格子状レンズアレイ(複製品)
23……感光性樹脂層
23a……型成形された感光性樹脂層
23b……レンズアレイ
23c……格子状レンズアレイ(複製品)
Claims (2)
- 以下の工程を有することを特徴とする格子状レンズアレイの製造方法。
(a)支持体上に感光性樹脂で特定方向に凹凸形状を有する万線状レリーフを形成する工程。
(b)万線状パターンが形成されたフォトマスクを前記万線状レリーフと交差するように前記万線状レリーフ上に載置し、所定の露光量で露光し、前記万線状レリーフに光硬化潜像パターンを形成する工程。
(c)前記光硬化潜像パターンが形成された万線状レリーフを所定の温度で加熱処理して、所定形状のレンズを形成する工程。
(d)所定の露光量で全面露光して前記所定形状のレンズを硬化して、前記支持体上に格子状レンズアレイを形成する工程。 - 請求項1記載の方法で作製された格子状レンズアレイを母型にして複製型を作製し、透明なシート或いはフィルム基材に型押し成形によりレンズアレイを作製することを特徴とする格子状レンズアレイの製造方法。
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