JP4237168B2 - ヒーティング設備および路面ヒータ - Google Patents
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Description
負荷に供給される交流電力を調整するための基本回路は、図9(A)のようにサイリスタを逆並列接続したものである。サイリスタを二つ使う代りに、サイリスタとダイオードを逆並列接続したものや、トライアックや逆導通素子を1個使う方式もある。
同図(B)に示すように、素子に流れる電流は、交流電源電圧の極性の移り変わりによって自然に零になる。したがって、サイリスタはこの時ターンオフになる。このように、サイリスタの電流の自然消滅(自然消弧)の作用を利用して、負荷の交流電力を位相制御またはオンオフスイッチング制御すると、電力波形の山の一つ一つを部分的に切り取ることができ、切り取り量に応じて供給電力量を増減することができる。
第2発明の路面ヒータは、ヒーティング設備を構成する路面ヒータであって、該路面ヒータを、複数本の第1発熱線材と複数本の第2発熱線材とを互いに直交するように配置して構成し、前記第1発熱線材および前記第2発熱線材に、加温目標温度に路面の検出温度を一致させるのに必要な電力を供給する電力制御装置を備えており、該電力制御装置は、路面の目標温度と検出温度の差である差動電圧を求め、該差動電圧を、0Vを基準に、0Vより下廻った電圧を極性反転させた反転増幅電圧を出力し、該反転増幅電圧と交流電源を整流した脈流整流とを比較し、前記反転増幅電圧が前記脈流整流を超える部分でのみ、比較出力を出力し、前記比較出力が出力されている間でのみ、負荷電力として脈流整流を供給することを特徴とする。
第2発明によれば、路面ヒータを構成する発熱線材の全部で温度制御するので、昇降温速度が早く、目標温度を維持しやすい。また、昇温制御する際に、検出温度が低いときほど、検出温度が高いときに比べて、通電時間帯が広くなる。なぜなら、検出温度が低いときは、反転増幅電圧が高くなり脈流整流の山と交差する位置が高くなって、谷間の幅が広がり、電力供給量が多くなる。これに対し、検出温度が高目のときは、逆に通電時間帯が狭くなり、電力供給量が少なくなる。このように、検出温度が目標温度より下廻っているときでも、下廻る度合いに比例させて通電時間を増減しているので、昇温に無駄な電力を使うことなく滑らかな温度制御が可能となる。
(路面ヒータの構成)
図1は本実施形態の路面ヒータ10の平面図である。同図に示すように、本実施形態の路面ヒータ10は、長方形であり、上下の短辺に電極1,1が設けられ、左右の長辺に電極2,2が取付けられたものである。電極1,2は、例えば真鋳であるが、銅板や銅箔あるいはアルミニウム製のもの等であってもよい。
交差する発熱線材3,3と発熱線材4,4とで囲まれた井桁状の空間は、路面に施工する際に路面基材と表層材を接着する接着用間隙として機能する。
前記第1,第2発熱線材3,4は、いずれも通電により遠赤外線を放射する極細の炭素繊維を束ねた発熱線材である。炭素繊維は、例えば1本が7μmのものであって、これを5万本近く束ねたものが、本発明の発熱線材3,4として用いられる。この炭素繊維には、一方向に整流した脈流電流を流して発熱させる。すなわち、炭素繊維は、逆方向に電流を流すと分子の流れが一定にならないため発熱しにくい特性があるので、交流ではなく整流して脈流を使う必要がある。
縦方向の第1発熱線材3と横方向の第2発熱線材4とは、別個独立した電力制御装置CD1,CD2で給電される。
第1発熱線材3の電極1,1には、第1電力制御装置CD1を介して電源13がつながれており、第1発熱線材3には一定電圧が供給され、一定の発熱量を路面に与えるようになっている。
第2発熱線材4の電極2,2には、第2電力制御装置CD2を介して電源13がつながれている。第2電力制御装置CD2は、天候や外気温の変動により生ずる実際の路面温度の上下に合わせて供給電力量を加減し、一定温度に保つよう調整するようになっている。すなわち、加温目標温度からの温度低下を防止するのに必要な電力を供給する。
つぎに、温度調整を行う電力制御装置CD2を説明する。
図2は電力制御装置CD2のブロック図である。温度センサ31は、実際の路面温度を検出温度Bとして検出するものである。この温度センサ31は、検出対象である舗装道路等の表面などに設けられる。電源13は、電池やソーラー、風力発電などが用いられ、電源の種類には、特に限定はない。
本実施形態の電力制御装置CD2は、温度センサ31で検出した検出温度Bと設定された目標温度Aとの間の差が0になるように、路面ヒータ10に印加する電圧を制御して、供給電力を加減する制御装置である。
差動増幅器41には、設定された目標温度Aと、温度センサ31で検出された検出温度B(図3(I)参照)が入力される。そして、差動増幅器41は、以下の演算により目標温度Aを超えた部分と検出温度との差を差動電圧Cとして出力する(図3(II)参照)。
差動電圧C=(検出温度B−目標温度A)
なお、凍結防止のための路面等の設定温度(目標温度A)は、一般的に5℃位に設定される。したがって、実際の路面温度が2℃〜6℃の間で変動すると、差分温度−3〜+1℃位の間で制御することになる。
反転増幅電圧Eが脈流整流Gを超える部分では、比較出力Iを矩形波で出力(ON)し、反転増幅電圧Eが脈流整流Gより下廻る場合には、比較出力Iを0(OFF)とする。この結果、比較出力Iの幅は、反転増幅電圧Eが脈流整流Gを超えている時間に一致する。換言すれば、比較出力が0の時間は、反転増幅電圧Eが脈流整流Gを下廻っている時間に一致する(図4(VII)参照)。
比較出力IがONのときには、負荷電圧Jを供給し、比較出力IがOFFのときには、負荷電圧Jを出力しない(図4(VIII)参照)。
上記のように制御された結果、反転増幅電圧Eが脈流整流Gを上廻っているときは、路面ヒータ10に電力を供給し、路面の実際温度が目標温度に一致するように制御する。そして、負荷電力の供給は、脈流の山の途中ではなく、隣り合う山のすそ野同士の部分(図4(VIII)参照)で電力供給することになる。
つぎに、温度制御方法を説明する。
図4(VIII)において、Hiは、実際の検出温度Bが目標温度Aを上廻っている領域を示し、Loは検出温度が目標温度を下廻っている領域を示している。そして、符号aは電力供給時間帯を示し、符号aの付いていない領域は非供給時間帯を示している。
検出温度Bが目標温度Aを上廻っている領域Hiでは、電力は全く供給しないので、路面ヒータ10の発熱量は減少していき、路面温度も追随して下降していく。そして、目標温度Aに落ち着くことになる。
なお、目標温度Aより下廻ってくると、つぎのように昇温制御される。
また、このように昇温制御する際に、検出温度Bが低いときほど、検出温度Bが高いときに比べて、通電時間帯a(θa〜θbに相当)が広くなる。なぜなら、検出温度Bが低いときは、反転増幅電圧Eが高くなり脈流整流Gの山と交差する位置が高くなって、谷間の幅が広がるからである。この場合、電力供給量が多くなる。
このことは、検出温度Bが高目のときは、逆に通電時間帯aが狭くなることを意味する。この場合電力供給量が少ない。
このように、検出温度Bが目標温度Aより下廻っているときでも、下廻る度合いに比例させて通電時間を増減しているので、昇温に無駄な電力を使うことなく滑らかな温度制御が可能となる。
1)利点1
第1発熱線材3には通常の電力制御装置CD1によって一定量の電力を定常的に供給しておき、温度差が生ずると、第2発熱線材4に前記実施形態の温度制御装置CD2によって、保温調整を行えばよい。このように、路面ヒータ10を構成する発熱線材のうち一部の発熱線材のみで温度制御をしているので、供給電力量の変動幅が小さくなる。このため電力消費量の変動が小さくなって、省エネルギー化が可能となる。
しかし、本発明ではこのタイプに限らず、第1発熱線材3と第2発熱線材4の両方を、前記実施形態の温度制御装置CD2によって保温調整するようにしてもよい。
本発明の制御によると、ヒータの温度低下を防止しやすいという利点がある。図5の(A)図は本発明による給電状態を示し、(B)図は従来技術の制御による給電状態を示し、いずれもハッチング部が給電時間帯である。
(B)図に示すように、従来技術の制御であれば、非給電帯bの間隔が広く、この非給電帯bの間にヒータ自体あるいは路面の温度低下が起こりやすい。これに対し、(A)図に示すように、本発明の制御では、給電帯a自体が隣り合う二つの山に分けられているが、電力波形の前半の山が下って、0電圧になっても、すぐ後半の山が、電力供給を再開している。この場合、電力供給が0になった瞬間でも温度そのものは0には低下せず、ある程度の温度を保っており、その温度に再度後半に加温することになるので、大きく温度低下してから加温するよりも、電力消費量が少なくて済むという利点がある。よって本発明によれば、電気料金を安くすることができ、省エネルギー化が可能である。
同期電圧Hとの比較を、差動電圧Cそのものにせず、あえて反転増幅電圧Eとしたのは、つぎの理由からである。
図6に示すように、正弦波を描く同期電圧Hと、差動電圧Cと比較すると、目標温度を超えているときほど、差動電圧Cが高くなり、隣り合う正弦波の間の谷の幅が広がる((VI)参照)ので、比較出力Iの幅が広がり((VII)参照)、余計に電力を供給することになる。このため、目標温度へ下降しないで、ますます温度差が広がることになる。これに対し、本発明のように反転増幅電圧Eを同期電圧Hに重ねると、すそ野付近で交差する((VI)参照)ので、谷の幅が狭くなり比較出力Iの幅が狭くなる((VII)参照)。このため、検出温度Bが目標温度Aを超えている程度が高いほど、比較出力Iの幅が狭くなる。このため、目標温度へ下降させることができ、結果として、使用電力量の低減が計れる。
図7に示すように、本発明の路面ヒータ10は、複数枚、例えば3枚が、道路面の幅RW方向において並列に設置される。
また、道路の長さ方向には、同じ要領で、路面ヒータ10が繰返して設置され、所望の距離にわたって融雪道路を形成することができる。
図7に示すような並列設置した路面ヒータ10の群、例えば、No.1からNo.3の3枚の路面ヒータ10には、通電順序制御を行うことが好ましい。
図8は通電順序制御の制御回路を示している。電力制御装置CD2の基本構成は図2と変わらず、符号Kで示す回路が付加されている。
電力制御素子46は、3枚の路面ヒータ10(No.1〜No.3)のそれぞれの第1,第2発熱線材3,4に合わせて、6個が設けられている。また、この電力制御素子46は、比較回路45からの出力に対し、AND回路48を介して並列に設けられている。整流同期回路43と各AND回路48の間には、リングカウンタ47が介装されている。リングカウンタ47は整流脈流Gの一山一山を区切って、個別の路面ヒータ10に送る機能を有している。すなわち、整流脈流Gの最初の山をNo.1路面ヒータ10に送り、2番目の山をNo.2路面ヒータ10に送り、3番目の山をNo.3路面ヒータ10に送り、以後この順を繰返す機能を有している。
AND回路48は、比較出力I(図4のVII参照)と負荷電力J(図4のVIII参照)を同期させるため設けている。この同期があることにより、大電力を有効に取り出すことができる。
供給時間は、商用電源の50Hz地域では1回当たり10msec、60Hz地域では1回当たり8.33msecである。
2 電極
3 第1発熱線材
4 第2発熱線材
10 路面ヒータ
13 電源
CD1 第1電力制御装置
CD2 第2電力制御装置
41 差動増幅器
42 反転増幅器
43 整流同期回路
45 比較回路
46 電力制御素子
47 リングカウンタ
48 AND回路
Claims (2)
- ヒーティング設備を構成する路面ヒータであって、
該路面ヒータを、複数本の第1発熱線材と複数本の第2発熱線材とを互いに直交するように配置して構成し、
前記第1発熱線材には、一定電力を供給し、
前記第2発熱線材には加温目標温度からの温度低下を防止するに必要な電力のみ供給する電力制御装置を備えており、
該電力制御装置は、
路面の目標温度と検出温度の差である差動電圧を求め、
該差動電圧を、0Vを基準に、0Vより下廻った電圧を極性反転させた反転増幅電圧を出力し、
該反転増幅電圧と交流電源を整流した脈流整流とを比較し、前記反転増幅電圧が前記脈流整流を超える部分でのみ、比較出力を出力し、
前記比較出力が出力されている間でのみ、負荷電力として脈流整流を供給する
ことを特徴とする路面ヒータ。 - ヒーティング設備を構成する路面ヒータであって、
該路面ヒータを、複数本の第1発熱線材と複数本の第2発熱線材とを互いに直交するように配置して構成し、
前記第1発熱線材および前記第2発熱線材に、加温目標温度に路面の検出温度を一致させるのに必要な電力を供給する
電力制御装置を備えており、
該電力制御装置は、
路面の目標温度と検出温度の差である差動電圧を求め、
該差動電圧を、0Vを基準に、0Vより下廻った電圧を極性反転させた反転増幅電圧を出力し、
該反転増幅電圧と交流電源を整流した脈流整流とを比較し、前記反転増幅電圧が前記脈流整流を超える部分でのみ、比較出力を出力し、
前記比較出力が出力されている間でのみ、負荷電力として脈流整流を供給する
ことを特徴とする路面ヒータ。
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