JP4237122B2 - 黒色材料 - Google Patents

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Description

本発明は、黒色材料に関し、特に、記録材、各種表示装置のブラックマトリックス等に好適に用いられ、黒色度が高く、光の遮蔽性に優れる黒色材料に関するものである。
従来、黒色材料としては、カーボンブラック、低次酸化チタン、酸化鉄、クロム、銀微粒子等が知られている(例えば、特許文献1参照)。
これらの黒色材料は、黒色光遮蔽性フイルム、黒色光遮蔽性ガラス、黒色紙、黒色布、黒色インキ、プラズマディスプレイ(PDP)や液晶ディスプレイ(LCD)のブラックマトリックス材料、ブラックシール材、ブラックマスク材等に黒色や光遮蔽性を付与する材料として利用されている。
一方、金、白金族元素、またはこれらの合金を黒色化する場合、これらの金属または合金の母材の表面に黒色酸化物からなる被膜を形成する方法が採られているが、この方法では、黒色酸化物が母材から剥離し易く、耐久性のある黒色金合金が得られなかった。そこで、金、白金族元素、またはこれらの合金、または前記いずれかの金属または合金に銀を添加した合金に、銅、ニッケル、鉄等の金属を添加し、酸化することにより、表面に密着性の良い黒色酸化物層を形成した黒色合金が提案されている(特許文献2参照)。
さらに、感光材料の分野では、鮮鋭性を向上させ、裏面から露光された光学情報を適切な濃度で記録し、かつ現像処理時の赤外線検出特性が改良された写真用の感光材料として、水性ゼラチン中に黒色コロイド銀を分散した黒色コロイド銀分散物が提案されている(特許文献3参照)。
特開平5−127433号公報 特開平10−8235号公報 特開2000−155387号公報
ところで、従来のカーボンブラック、低次酸化チタン、酸化鉄等は、黒色ではあるが、光遮蔽性が不十分である。そこで、これらの黒色材料を含む膜を用いて光を遮蔽するためには、黒色材料を含む塗布液を厚く塗布して厚みのある膜を基材に形成する必要がある。
これらの黒色材料を白色基材上に黒色の線を描く記録材として用いた場合、光遮蔽性が弱いために下地の白色基材との境界線部分がぼやけてしまい、シャープな線を描くことができないという問題点があった。
これらの黒色材料を光遮蔽材料として用いた場合、光遮蔽性を高めるためには材料中の黒色材料の体積比を多くする必要があり、相対的にバインダーの含有量が減少することになる。したがって、これらの黒色材料を用いて黒色塗膜を作製した場合、塗膜の強度が低下し、信頼性を維持することができないという問題点があった。
また、クロムは、黒色度及び光遮蔽性に優れているものの、重金属である点、環境負荷が大きい点等、様々な理由から、適用可能な製品が制限されるという問題点があった。
また、写真フイルム等に用いられている臭化銀を還元することにより生成される銀粒子は、黒色度及び光遮蔽性に優れているが、銀自体が貴金属で、しかも高価であることから、一部の高額な製品は別として、一般に汎用製品の黒色材料として用いられることはない。
さらに、銀コロイドを用いて黒色塗膜を形成する場合では、遮光性には優れるものの、メタリック色を帯びるために、優れた黒色度を発現することができない。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、黒色度が高く、かつ光遮蔽性に優れ、しかも、環境負荷が小さく、安価な黒色材料を提供することを目的とする。
本発明者は、黒色度に優れ、かつ光遮蔽性に優れた材料について鋭意検討した結果、粒子径が1nm以上かつ200nm以下の金属からなる1次粒子を集合させて粒子径が5nm以上かつ300nm以下の2次粒子とし、さらに、この2次粒子の最外層を、銀(Ag)、錫(Sn)、ニッケル(Ni)から選択された1種または2種以上の元素を50重量%以上含有した構造とすることで、黒色度に優れ、かつ光遮蔽性に優れた黒色材料を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の黒色材料は、粒子径が1nm以上かつ200nm以下の金属からなる1次粒子が集合した2次粒子からなり、この2次粒子の粒子径は5nm以上かつ300nm以下であり、この2次粒子の最外層は、銀(Ag)、錫(Sn)、ニッケル(Ni)から選択された1種または2種以上の元素を50重量%以上含有してなることを特徴とする。
前記2次粒子は、内部に空間部が形成されていることが好ましい。
前記2次粒子は、前記最外層または前記最外層を含む複数層からなる外殻層の内側に空間部が形成されていることが好ましい。
前記2次粒子は、核となる物質の外表面を前記最外層または前記最外層を含む複数層からなる外殻層により被覆してなるコアシェル状であることが好ましい。
前記外殻層は、緻密であることが好ましい。
本発明の黒色材料によれば、粒子径が1nm以上かつ200nm以下の金属からなる1次粒子が集合した2次粒子からなり、この2次粒子の粒子径は5nm以上かつ300nm以下であり、この2次粒子の最外層を銀(Ag)、錫(Sn)、ニッケル(Ni)から選択された1種または2種以上の元素を50重量%以上含有してなることとしたので、黒色材料自体の黒色度を高めることができ、光遮蔽性も向上させることができる。
また、この黒色材料を用いて黒色塗膜を作製した場合においても、塗膜の強度が低下する虞が無く、塗膜を長期間に亘って維持することができる。
さらに、2次粒子の最外層を、Ag、Sn、Niから選択された1種または2種以上の元素を50重量%以上含有した構成としたので、環境負荷が小さく、安価である。
以上により、黒色度が高く、かつ光遮蔽性に優れ、しかも環境負荷が小さく、安価な黒色材料を提供することができる。
本発明の黒色材料の最良の形態について説明する。
なお、この形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
本実施形態の黒色材料は、粒子径が1nm以上かつ200nm以下の金属および/または金属酸化物からなる1次粒子が集合した2次粒子からなり、この2次粒子の粒子径は5nm以上かつ300nm以下であり、この2次粒子の最外層がAu、Pt、Pd、Ag、Ru、Cu、Si、Ti、Sn、Niから選択された1種または2種以上の元素またはこれらの酸化物を50重量%以上含有してなる黒色材料である。
この2次粒子は、その最外層がAu、Pt、Pd、Ag、Ru、Cu、Si、Ti、Sn、Niから選択された1種または2種以上の元素またはこれらの酸化物を50重量%以上含有したものであればよく、この最外層を除く部分の材料組成については、限定されない。
この2次粒子は、内部に空間部が形成されている形態が最も好ましく、次いで、複数層からなる外殻層の内側に空間部が形成されている形態、もしくは、核となる物質の外表面を前記最外層または前記最外層を含む複数層からなる外殻層により被覆してなるコアシェル状である形態が好ましい。
次に、この黒色材料の断面形状について説明する。
この黒色材料は、次の様な様々な構造を採ることができる。
(1)密構造
図1は、本実施形態の黒色材料の断面構造を模式的に示す断面図であり、図において、1は黒色材料であり、粒子径が1nm以上かつ200nm以下の金属および/または金属酸化物からなる1次粒子2が集合して、粒子径が5nm以上かつ300nm以下の2次粒子3とされ、この2次粒子3の最外層はAu、Pt、Pd、Ag、Ru、Cu、Si、Ti、Sn、Niから選択された1種または2種以上の元素またはこれらの酸化物を50重量%以上含有した1次粒子である微粒子4により構成されている。この黒色材料1は、1次粒子2が密に集合したことにより、内部に空間部の無い密構造になっている。
(2)中空構造(その1)
図2は、本実施形態の黒色材料の断面構造の他の例を模式的に示す断面図であり、この黒色材料11が図1の黒色材料1と異なる点は、2次粒子3の内部に空間部12を形成した点である。
(3)中空構造(その2)
図3は、本実施形態の黒色材料の断面構造の他の例を模式的に示す断面図であり、この黒色材料21が図2の黒色材料11と異なる点は、微粒子4のみにより緻密な外殻層22を構成し、この外殻層22の内側を空間部23とした点である。
この外殻層22は、ここでは、微粒子4のみの1層としたが、2層以上の複数層からなる構成としてもよい。
(4)コアシェル構造
図4は、本実施形態の黒色材料の断面構造の他の例を模式的に示す断面図であり、この黒色材料31が図1の黒色材料1と異なる点は、粒子状の核32の外表面を微粒子4のみからなる緻密な外殻層22により被覆した構成である。
核32を構成する物質としては、特に限定されないが、外殻層22を構成する微粒子4と密着性に優れている物質が好ましく、例えば、酸化ケイ素(SiO)、酸化チタン(TiO)、酸化ジルコニウム(ZrO)等が好適に用いられる。
これらの黒色材料1〜31は、通常の微粒子合成法を用いて作製することができる。微粒子合成法としては、気相反応法、噴霧熱分解法、アトマイズ法、液相反応法、凍結乾燥法、水熱合成法等、いずれの方法を用いても良い。
本実施形態の黒色材料によれば、粒子径が1nm以上かつ200nm以下の金属および/または金属酸化物からなる1次粒子が集合した2次粒子からなり、この2次粒子の粒子径は5nm以上かつ300nm以下であり、この2次粒子の最外層をAu、Pt、Pd、Ag、Ru、Cu、Si、Ti、Sn、Niから選択された1種または2種以上の元素またはこれらの酸化物を50重量%以上含有してなることで、黒色度を高めることができ、光遮蔽性も向上させることができる。
以下、実施例1〜6及び比較例1〜3により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
(実施例1)
錫コロイド(平均粒子径:90nm、固形分:30重量%、住友大阪セメント社製)を10g分取し、これに純水を加え、全容量が300mlのA液を得た。また、硝酸銀1.5gおよびチオ硫酸ナトリウム33gを秤量・混合し、これに純水を加えて水溶液とし、この水溶液に濃アンモニア水(NH:28%)を5ml加え、さらに純水を加え、全容量が100mlのB液を得た。
次いで、これらA液とB液をマグネチックスターラを用いて10分間混合し、次いで、遠心分離により洗浄を行い、固形分が15%のC液を得た。
このC液中の粒子の形状を透過型電子顕微鏡(TEM)により観察したところ、粒子径が50〜90nmの粒子の表面を、粒子径が10〜30nmの粒子が覆う形状であった。
また、このC液から濾過法により粒子を分離し、その後乾燥させて、実施例1の粉末試料を作製し、この粉末試料中の生成相をX線回折装置を用いて同定した。
図5は、実施例1の粉末試料の粉末X線回折図形を示す図であり、図中、○印は錫(Sn)の回折線、△印はAgSn合金相またはAgSn合金相の回折線である。
この粉末X線回折図形と上記の合成手順により、C液中の粒子は、核となるSn粒子の表面をAg・Sn合金微粒子で覆ったコアシェル構造であることが分かった。
次いで、このC液に、C液中の固形分:PVA=50:50の体積比となるようにPVA水溶液を加え、超音波分散機(ソニファイヤー450:BRANSON ULTRASONICS社製)にて分散処理した後、1時間静置し、塗布液とした。
次いで、この塗布液をスピンコート法により厚み1.1mmのガラス基板上に塗布し、黒色の塗膜とした。ここでは、塗布液中の水分量を調整することにより、塗膜の厚みを0.5μmとした。
次いで、この黒色膜を室温(25℃)にて乾燥後、膜厚測定機テンコール(テンコール社)により膜厚を測定し、分光スペクトルメーターにより550nmの波長の光に対する黒色膜自体の光透過率を測定した。
また、この黒色膜の黒色度を評価するために、この黒色膜のCIE明度Lを、CIE(国際照明委員会)により規格化されたL表色系に基づいて測定した。これらの測定結果を表1に示す。
(実施例2)
実施例1で得たC液に純水を加えて10倍に希釈し、この希釈液に酒石酸水溶液(酒石酸:5%)を100g加えて10分間攪拌し、次いで、遠心分離により洗浄を行い、固形分が15%のD液を得た。
このD液中の粒子の形状を透過型電子顕微鏡(TEM)により観察したところ、粒子径が50〜90nmで内部に空間部が形成された中空状の粒子が多数存在していることが分かった。この中空粒子は、粒子径が10〜30nmの粒子が集合した形状であった。
また、このD液から濾過法により粒子を分離し、その後乾燥させて、実施例2の粉末試料を作製し、この粉末試料中の生成相をX線回折装置を用いて同定した。
図6は、実施例2の粉末試料の粉末X線回折図形を示す図であり、図中、○印はSnの回折線、△印はAgSn合金相またはAgSn合金相の回折線である。
以上により、D液中の粒子は、Ag・Sn合金で構成された中空粒子であることが分かった。
次いで、このD液に、D液中の固形分:PVA=50:50の体積比となるようにPVA水溶液を加え、超音波分散機(ソニファイヤー450:BRANSON ULTRASONICS社製)にて分散処理した後、1時間静置し、塗布液とした。
次いで、この塗布液をスピンコート法により厚み1.1mmのガラス基板上に塗布し、黒色の塗膜とした。ここでは、塗布液中の水分量を調整することにより、塗膜の厚みを0.5μmとした。
次いで、この黒色膜を室温(25℃)にて乾燥した後、膜厚測定機テンコール(テンコール社)により膜厚を測定し、分光スペクトルメーターにより550nmの波長の光に対する黒色膜自体の光透過率を測定した。
また、この黒色膜のCIE明度Lを、CIEにより規格化されたL表色系に基づいて測定した。これらの測定結果を表1に示す。
(実施例3)
実施例2で得たD液に純水を加えて10倍に希釈し、この希釈液をサンドミルを用いて5分間分散処理し、固形分が15%のE液を得た。
このE液中の粒子の形状を透過型電子顕微鏡(TEM)により観察したところ、粒子径が10〜30nmの粒子が集合して粒子径が50〜150nmの粒子を形成していることが分かった。
また、このE液から濾過法により粒子を分離し、その後乾燥させて、実施例3の粉末試料を作製し、この粉末試料中の生成相をX線回折装置を用いて同定した。
図7は、実施例3の粉末試料の粉末X線回折図形を示す図であり、図中、△印はAgSn合金相またはAgSn合金相の回折線である。
以上により、E液中の粒子は、Ag・Sn合金微粒子が集合した粒子であることが分かった。
次いで、このE液に、E液中の固形分:PVA=50:50の体積比となるようにPVA水溶液を加え、超音波分散機(ソニファイヤー450:BRANSON ULTRASONICS社製)にて分散処理した後、1時間静置し、塗布液とした。
次いで、この塗布液をスピンコート法により厚み1.1mmのガラス基板上に塗布し、黒色の塗膜とした。ここでは、塗布液中の水分量を調整することにより、塗膜の厚みを0.5μmとした。
次いで、この黒色膜を室温(25℃)にて乾燥した後、膜厚測定機テンコール(テンコール社)により膜厚を測定し、分光スペクトルメーターにより550nmの波長の光に対する黒色膜自体の光透過率を測定した。
また、この黒色膜のCIE明度Lを、CIEにより規格化されたL表色系に基づいて測定した。これらの測定結果を表1に示す。
参考例1
ぶどう糖2.3gと酒石酸0.2gとエタノール4gに水を加え,全重量が50gのF液を得た。また、硝酸銀1.5gに濃アンモニア水(NH:28%)を5ml加え、さらに純水を加え、全重量が50gのG液を得た。
次いで、これらF液とG液を混合し、この混合液を実施例1で用いたA液に加え、この溶液を攪拌しながら、この溶液に0.05Nの水酸化ナトリウム水溶液10gをゆっくり滴下した。次いで、この溶液をマグネチックスターラを用いて10分間攪拌し、その後、遠心分離により洗浄を行い、固形分が15%のH液を得た。
このH液中の粒子の形状を透過型電子顕微鏡(TEM)により観察したところ、粒子径が80〜100nmの表面が滑らかな粒子であった。
また、このH液から濾過法により粒子を分離し、その後乾燥させて、実施例4の粉末試料を作製し、この粉末試料中の生成相をX線回折装置を用いて同定した。
図8は、参考例1の粉末試料の粉末X線回折図形を示す図であり、図中、○印はSnの回折線、×印は銀(Ag)の回折線、△印はAgSn合金相またはAgSn合金相の回折線である。
以上により、H液中の粒子は、表面がAgとAg・Sn合金の緻密な層で構成されていることが分かった。
次いで、このH液に、H液中の固形分:PVA=50:50の体積比となるようにPVA水溶液を加え、超音波分散機(ソニファイヤー450:BRANSON ULTRASONICS社製)にて分散処理した後、1時間静置し、塗布液とした。
次いで、この塗布液をスピンコート法により厚み1.1mmのガラス基板上に塗布し、黒色の塗膜とした。ここでは、塗布液中の水分量を調整することにより、塗膜の厚みを0.5μmとした。
次いで、この黒色膜を室温(25℃)にて乾燥した後、膜厚測定機テンコール(テンコール社)により膜厚を測定し、分光スペクトルメーターにより550nmの波長の光に対する黒色膜自体の光透過率を測定した。
また、この黒色膜のCIE明度Lを、CIEにより規格化されたL表色系に基づいて測定した。これらの測定結果を表1に示す。
参考例2
参考例1で得たH液に純水を加えて10倍に希釈し、この希釈液に酒石酸水溶液(酒石酸:5%)を100g加えて10分間攪拌し、次いで、遠心分離により洗浄を行い、固形分が15%のI液を得た。
このI液中の粒子の形状を透過型電子顕微鏡(TEM)により観察したところ、粒子径が80〜100nmの中空状の粒子が多数存在し、この中空状の粒子は緻密な外殻層で形成されていることが分かった。
また、このI液から濾過法により粒子を分離し、その後乾燥させて、参考例2の粉末試料を作製し、この粉末試料中の生成相をX線回折装置を用いて同定した。
図9は、参考例2の粉末試料の粉末X線回折図形を示す図であり、図中、○印はSnの回折線、△印はAgSn合金相またはAgSn合金相の回折線である。
以上により、I液中の緻密な外殻層で形成されている中空状の粒子は、Ag・Sn合金で構成されていることが分かった。
次いで、このI液に、I液中の固形分:PVA=50:50の体積比となるようにPVA水溶液を加え、超音波分散機(ソニファイヤー450:BRANSON ULTRASONICS社製)にて分散処理した後、1時間静置し、塗布液とした。
次いで、この塗布液をスピンコート法により厚み1.1mmのガラス基板上に塗布し、黒色の塗膜とした。ここでは、塗布液中の水分量を調整することにより、塗膜の厚みを0.5μmとした。
次いで、この黒色膜を室温(25℃)にて乾燥した後、膜厚測定機テンコール(テンコール社)により膜厚を測定し、分光スペクトルメーターにより550nmの波長の光に対する黒色膜自体の光透過率を測定した。
また、この黒色膜のCIE明度Lを、CIEにより規格化されたL表色系に基づいて測定した。これらの測定結果を表1に示す。
実施例4
純水100に、塩化ニッケル粉末(NiCl・6HO)1.19gと、塩化錫(SnCl・2HO)100gを純水に溶解して全量を1リットル(L)とした塩化錫水溶液33.8mlを溶解し、この溶液に、さらに、ピロリン酸カリウム粉末9.9g、酒石酸7.5g、グリシン0.82gを加え、10分間攪拌した。
その後、この溶液に1%ポリビニルピロリドン水溶液を5.0g加え、さらに、5NのNaOH水溶液を滴下し、この溶液のpHを8.5に調整した。
次いで、この溶液を55℃に保持した状態で、水素化ホウ素ナトリウム1.1gを純水50gに溶解して得られた溶液を一気に投入し、1時間攪拌した。その後、遠心分離により洗浄を行い、固形分が10%のJ液を得た。
このJ液中の粒子の形状を透過型電子顕微鏡(TEM)により観察したところ、粒子径が1〜10nmの粒子が、粒子径が20〜30nmの粒子の表面を覆うように付着しており、粒子径が30〜50nmの2次粒子を形成していることが分かった。
また、このJ液から濾過法により粒子を分離し、その後乾燥させて、実施例4の粉末試料を作製し、この粉末試料の元素分析を電子プローブマイクロアナライザ(EPMA)を用いて行ったところ、Ni、Snおよび微量のBが検出された。
この粉末試料中の生成相をX線回折装置を用いて同定したところ、NiとSnの回折線が検出された。
この粉末X線回折図形と上記の合成手順により、J液中の粒子は、核となるNi粒子の表面をSn微粒子で覆ったコアシェル構造であることが分かった。
次いで、このJ液に、J液中の固形分:PVA=50:50の体積比となるようにPVA水溶液を加え、超音波分散機(ソニファイヤー450:BRANSON ULTRASONICS社製)にて分散処理した後、1時間静置し、塗布液とした。
次いで、この塗布液をスピンコート法により厚み1.1mmのガラス基板上に塗布し、黒色の塗膜とした。ここでは、塗布液中の水分量を調整することにより、塗膜の厚みを0.5μmとした。
次いで、この黒色膜を室温(25℃)にて乾燥後、膜厚測定機テンコール(テンコール社)により膜厚を測定し、分光スペクトルメーターにより550nmの波長の光に対する黒色膜自体の光透過率を測定した。
また、この黒色膜の黒色度を評価するために、この黒色膜のCIE明度Lを、CIE(国際照明委員会)により規格化されたL表色系に基づいて測定した。これらの測定結果を表1に示す。
(比較例1)
カーボンブラック(HA3、東海カーボン社製)に、実施例1と同様にカーボンブラック:PVA=50:50の体積比となるようにPVA水溶液を加え、実施例1と同様に分散処理、塗布液中の水分量の調整、ガラス基板上への塗布を行い、厚みが0.5μmの黒色の塗膜を作製した。
次いで、実施例1と同様にして、この黒色膜の乾燥、膜厚の測定、光透過率の測定、CIE明度Lの測定を行った。これらの測定結果を表1に示す。
(比較例2)
チタンブラック(13M、ジェムコ社製)に、実施例1と同様にチタンブラック:PVA=50:50の体積比となるようにPVA水溶液を加え、実施例1と同様に分散処理、塗布液中の水分量の調整、ガラス基板上への塗布を行い、厚みが0.5μmの黒色の塗膜を作製した。
次いで、実施例1と同様にして、この黒色膜の乾燥、膜厚の測定、光透過率の測定、CIE明度Lの測定を行った。これらの測定結果を表1に示す。
(比較例3)
銀ナノ粒子(住友大阪セメント社製)に、実施例1と同様に銀ナノ粒子:PVA=50:50の体積比となるようにPVA水溶液を加え、実施例1と同様に分散処理、塗布液中の水分量の調整、ガラス基板上への塗布を行い、厚みが0.5μmの黒色の塗膜を作製した。
次いで、実施例1と同様にして、この黒色膜の乾燥、膜厚の測定、光透過率の測定、CIE明度Lの測定を行った。これらの測定結果を表1に示す。
Figure 0004237122
この表によれば、実施例1〜4の黒色膜は、比較例1〜3に対して光透過率が低く、CIE明度L*も優れており、遮光性及び黒色度に優れていることが確認された。
一方、比較例1、2の黒色膜は光透過率が高く、実施例1〜4の黒色膜に対して遮光性が劣っていることが分かった。
また、比較例3の黒色膜は、実施例1〜4とほぼ同様の遮光性が得られるものの、膜の色は灰色であり、色調の点で問題があった。
本発明の黒色材料は、黒色度、遮光性に優れ、しかも安価であるから、黒色度または遮光性、あるいは黒色度および遮光性が求められるあらゆる物に適用可能である。例えば、黒色光遮蔽性フイルム、黒色光遮蔽性ガラス、黒色紙、黒色布、黒色インキ、プラズマディスプレイ(PDP)や液晶ディスプレイ(LCD)等の表示装置向けのブラックマトリックス材料、ブラックシール材、ブラックマスク材等としても利用できる。
本発明の一実施形態の黒色材料の断面構造を示す模式図である。 本発明の一実施形態の黒色材料の断面構造の他の例を示す模式図である。 本発明の一実施形態の黒色材料の断面構造の他の例を示す模式図である。 本発明の一実施形態の黒色材料の断面構造の他の例を示す模式図である。 本発明の実施例1の粉末試料の粉末X線回折図形を示す図である。 本発明の実施例2の粉末試料の粉末X線回折図形を示す図である。 本発明の実施例3の粉末試料の粉末X線回折図形を示す図である。 参考例1の粉末試料の粉末X線回折図形を示す図である。 参考例2の粉末試料の粉末X線回折図形を示す図である。
符号の説明
1、11、21、31 黒色材料
2 1次粒子
3 2次粒子
4 微粒子
12、23 空間部
22 緻密な外殻層
32 粒子状の核

Claims (5)

  1. 粒子径が1nm以上かつ200nm以下の金属からなる1次粒子が集合した2次粒子からなり、
    この2次粒子の粒子径は5nm以上かつ300nm以下であり、
    この2次粒子の最外層は、銀(Ag)、錫(Sn)、ニッケル(Ni)から選択された1種または2種以上の元素を50重量%以上含有してなることを特徴とする黒色材料。
  2. 前記2次粒子は、内部に空間部が形成されていることを特徴とする請求項1記載の黒色材料。
  3. 前記2次粒子は、前記最外層または前記最外層を含む複数層からなる外殻層の内側に空間部が形成されていることを特徴とする請求項1記載の黒色材料。
  4. 前記2次粒子は、核となる物質の外表面を前記最外層または前記最外層を含む複数層からなる外殻層により被覆してなるコアシェル状であることを特徴とする請求項1記載の黒色材料。
  5. 前記外殻層は、緻密であることを特徴とする請求項3または4記載の黒色材料。
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