JP4234436B2 - 質量分析のための質量分析計の時間応答制御 - Google Patents

質量分析のための質量分析計の時間応答制御 Download PDF

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Description

本発明は質量分析計の時間応答の制御、特に質量分析による注目するイオンの検出に関し、イオンは、イオン−中性種衝突を可能にする条件の下で動作する質量分析計の区画を通して処理される。さらに詳しくは、本発明はそのような処理区画における既存の電荷分布の高速フラッシング及びこれに続く迅速な復旧を可能にすることで、再現性があり迅速に反復可能なイオン電流を出力に与え、よって、時間応答のさらに良好な制御を与えるための手法に関する。
質量分析では、反応及び/または衝突セルが(反応/衝突ガスとの反応またはフラグメンテーションによる同重体干渉を取り除くため、あるいは反応ガスとの反応により注目するイオンを別の質量にシフトさせるため、あるいは注目するイオンをフラグメント化し、後続の質量分析のためにフラグメントイオンを収集するために)用いられることが多い。衝突または反応セルには、衝突/反応セル内に存在することが必要な高圧力により、イオンの流速が低められ得るという問題がある。このため、様々な標準的質量分析計動作状況においては、相異なる動作状態間を迅速に切り換える必要があることが多いから、障害がおこり得る。衝突セルに対しては、動作状態が変更されたときに、衝突セルを通る緩慢なイオン運動及び衝突セル内の空間電荷効果により、出力イオン流が安定するにはどうしてもある程度の時間がかかり得る。やはりイオン運動速度を低め、動作条件の変更に対して緩慢な応答時間を示し得る、別の標準的質量分析計区画もある。例えば、比較的高い圧力で動作する質量分析区画を有し得る質量分析計があり、また、多くの質量分析計システムでは、大気圧イオン源と質量分析計の高真空区画の間に配された集束多重極子デバイスを備える入力区画を有することが普通であり、入力区画はある程度の中間的な圧力で動作する。したがって、これらの区画は全て、動作状態を迅速に変更する必要がある動作方式に対する問題の元凶となる。
質量分析の分野では、非常に多くの様々な質量分析計があることも認識されるべきである。多くの目的にとり、これらの質量分析計は2つの大きなカテゴリーに分けることができる。第1のカテゴリーでは、無機検体を分析するように質量分析計が構成される。普通の技法の1つは誘導結合プラズマ質量分析(ICP−MS)である。誘導結合プラズマイオン源は、プラズマを発生させるために誘導加熱により励起される、例えばアルゴンガスを有する。次いで検体がプラズマに注入され、プラズマ内で検体がイオン化される。この過程は検体を効率的にイオン化するが、得られる質量分析計へのイオン流は、アルゴンイオンまたは試料から派生するその他のイオンをかなりの比率で含む、非常に大きなイオン電流を与える。このため、衝突/反応セル内にかなり大きな空間電荷効果が生じ得る。
質量分析計の第2の重要なカテゴリーは、有機化合物または検体の分析を目的とする質量分析計である。普通、有機化合物は大きく複雑な構造を有し、検体の不要な減成または早期フラグメント化を避けるため、ある程度慎重にイオン化しなければならない。普通に用いられるイオン化手法には、エレクトロスプレイ、ナノスプレイ等がある。その他のイオン化源には、グロー放電、マイクロ波誘起プラズマ(これらのいずれもが無機質量分析においても極めて普通に用いられる)、コロナ放電等がある。有機化合物の分析に対しては、検体が衝突または反応によりフラグメント化されて、特定のフラグメントが選択され、次いで、後続の衝突または反応段階にかけられる、複雑な反応機構を備えることが常習的になっている。所望のいかなる数のフラグメント化及びイオン選択ステップも実施可能にするようなシステムが提案されている。いかなる質量分析計システム内においても、多種多様な反応/衝突セル(例えば、高次多重極子、リングガイド等)が用いられ得ること、及び同様に様々な質量分析区画(例えば、飛行時間型、扇形磁気質量分離型、イオントラップ等)が用いられ得ることも理解されよう。
本出願の発明者等の内の数名は以前、衝突セルへの帯域通過の適用を講じる、基本ICP−MSシステムへの改善を開発した。この質量分析計システムは現在動的反応セル(DRC)と称され、本発明の譲受人により市販されている。このことから、衝突セルでは真のマスフィルタリングを達成することはできないが、注目するイオンとは実質的に異なるm/z比を有するイオンを排除するように、帯域通過を適用することは可能であるということが、本質的に認められる。このことは、衝突セル内でおこる、注目するイオンとの干渉を引き起こし得る逐次化学反応を妨げるために用いることができる。この動的衝突セルは特許文献1に開示され、衝突/反応セルをもつその他の質量分析計と同様に、動作条件の変更後に反応セルが平衡に達するには時間がかかるという点で問題があり得る。
上述したように、衝突セルにともなう問題は、動作条件にどのような実質的な変更、例えば入力イオン電流の変更またはセルに印加される電場の変更があっても、その変更は衝突セルからの出力イオン電流に反映されるべきであるが、新しい安定な電荷分布がセル内に確立されるにはある程度の時間がかかることが多いということである。この時間内にセルから引き出されるイオン流は、変動または過渡を示し得る。衝突/反応セル内ではイオンの運動速度が低められるから、単純に、イオンが衝突/反応セルを通過するには時間がかかる。特にICP−MSについては、イオン電流が強くなるほど強い空間電荷効果が生じ、この強い空間電荷効果が、イオン密度分布にも大きく影響し、新しい動作状態を反映するためのイオン数の変化速度も低め得る。本出願の発明者等は、極めて多種多様な入力によってイオン密度を変えたときに、イオン数の回復が長引くことを観察した。イオン密度が変えられる度合いが可変であれば、回復時間も可変である。
DRCの場合には、反応セルの通過帯域、または電気的パラメータを、下流の質量分析器により選択される質量に合せて調節することが常習であることに注意すべきである。衝突/反応セルと質量分析計の間には容量結合が与えられるが、一般にこれは必要な通過帯域を提供しない。質量の大きな跳びが実行され、付随してDRCの通過帯域が調節されると、先に通過帯域に含まれていた主要イオンが排除される結果を得ることができる。DRCの通過帯域が調節され、付随して質量の大きな跳びが実行されても同じである。一般に、質量の大きな跳びに続いて、衝突/反応セルからのイオン信号がまず抑制され、次いで安定レベルまで増大するが、逆のことがおこることもあり得る。
質量分析計の圧力上昇区画を通して、さらに詳しくは衝突セルを通して、イオンを動かす問題は、主として有機検体の分析を目的とする質量分析計で扱われてきた。すなわち、(本発明の譲受人に譲渡された)米国特許の明細書(特許文献2)は、質量分析計の高圧力区画に軸方向電場を備える質量分析計を開示している。開示される実施形態では、これらの高圧力区画が四重極子ロッドセットを有し、これらのロッドセットに軸方向電場を与えるための数多くの手法が開示されている。例えば、軸方向電場が発生するようにロッドの形状を特に定めるかまたはロッドの向きを定めることができ、あるいは補助ロッドセットを設けて軸方向電場を発生させることができ、あるいはロッドセットをセグメントに分割してそれぞれのセグメントを相異なるDC電位に保持できるようにすることができる。
特許文献2は主として、衝突セルが2つの質量分析計区画の間に配置された、3連四重極子型質量分析計に関する。特許文献2は、衝突セルを通るイオンの運動を促進するため、特に、動作状態が変更されたときの衝突セルからのイオンの掃出を促進するための、軸方向電場の使用を提案している。軸方向電場の使用には、実際上2倍から5倍であることが多い、感度の向上という別の利点もある。既知のように、そのような3連四重極子型質量分析計はある質量範囲にわたって走査されることが多く、異なるイオンを検出するための第2の動作状態に質量分析計が切り換えられた後に前の動作状態からのイオンの漏出が基本的にないように、それぞれの測定は比較的短時間で行われる。特許文献2は、通常Q0と称される、イオンの集束及び誘導を行うための第1の四重極子ロッドセットを備え、大気圧イオン源と低圧力質量分析器区画の間のインターフェースを設けることが常習であることを述べている。特許文献2はさらに、経済的理由のため、Q0がコンデンサを介して下流の質量分析器からRFの供給を受けることが通常であると述べている。質量分析器に印加されるRF及び/またはDC電圧に跳びまたはかなりの変化があると、過渡過程のためQ0に所望の電圧が確立されるまで時間がかかり、Q0からのいくらかのイオンの排出が生じる。Q0に独立のRF電源を備えるとコストが非常に高くなるため、質量分析計製造業者はこの問題を仕方なく受け入れてきたことが述べられている。次いで、Q0に軸方向電場を与えることにより、Q0を再び満たすための時間を短縮し得ることが示唆されている。すなわち、質量分析計のある区画から全てのイオンを掃出することは一般に望み得ないことが教示され、質量分析計のある区画に対して、反復可能な、空虚状態を確立できることには利点がある得るという認識はない。さらに、このタイプの質量分析計の目的とされる用途のため、空間電荷効果の議論はなく、特に、実質的な空間電荷障壁が、動作条件の変化に対する衝突/反応セルの迅速な応答を妨げる上で重要な役割を果たし得るという認識はない。
線形軸方向電場を与えることには多くの利点があるが、そのこと自体が衝突セルの迅速な応答をもたらすとは限らない。軸方向電場はイオンのセル通過時間を短縮できる。しかし、空間電荷が印加電場に対して有意であれば、セルを通してイオンを引っ張るかまたは加速するに必要な勾配を確立する上での軸方向電場の有効性は減退する。すなわち、空間電荷障壁がセル内に存在すれば、印加軸方向電場は空間電荷によりオフセットされるかまたは遮蔽され得る。しかし、初期空間電荷が印加電場に対して比較的小さい場合には、電場の印加により、セル内の空間電荷障壁の形成を最小限に抑える条件を設定する軸方向勾配が確立される。セル内のイオンの空間電荷が印加電場に対して有意でなければ、高速時間応答が得られ、測定されるイオン信号には再現性があり、よって整定時間が短縮され得る。あるいは、セル内の電荷分布がほとんど変わらなければ(または、少なくとも、空間電荷電場が印加電場に対してほぼ一定のままであれば)、高速時間応答が得られ、測定されるイオン信号は、抑制はされ得るが、再現性があり、よって整定時間がやはり短縮され得る。
DRCの商品版の市場投入の前に、DRC通過帯域変化後のイオン信号の緩慢な回復により、(整定時間と呼ばれる)時間が回復を可能にするに十分でなければ抑制された信号が生じることに、本出願の発明者等の内の数名が気づいた。そのような変化後のDRC状態の再現性がセルに導入されたイオン電流及びイオン質量分布に依存することにも気づいた。この問題をある程度処理するため、通過帯域変更のそれぞれの後(それぞれの測定前)にDRCの状態を再現性よく定めるためのフラッシュパルスがオプションとしてDRC製品に実装されたが、このオプションを利用できることがユーザには明らかでなかった。当時は、フラッシュパルス後の緩慢な回復を処理できていなかった。この結果、ほとんどの場合には、フラッシュパルスの印加により再現性のある信号を達成できたにもかかわらず、実用的な(比較的短い)整定時間が用いられたときには、そのような信号は一般に定常状態信号よりも許容し得ないほど低かった。この結果、利用可能ではあったが、フラッシュパルスが用いられることは、たとえあったとしても、実際上極めて稀であった。発明者等の知るところでは、同様の機能が他の製品または他社製品でも利用可能であるが、そのことが一般に知られているか否かは不明である。
整定時間中に復旧するイオン分布は、例えば共在元素の有無に影響され得るから、フラッシュパルス法だけでは、試料の組成が変更された場合に再現性のある信号が与えられるとは限らないことが認識されるべきである。すなわち、1つの試料に対するある通過帯域の変更後の、特定の再現可能なレベルへの信号回復に十分な整定時間で、試料間の共在元素の違い及び共在元素濃度の差により、異なる試料の同じ濃度にある同じ検体イオンに対する信号が全く異なるレベルに回復することがあり得る。また、測定は通常、回復中の、すなわち変化している信号について行われるから、測定結果は測定持続時間(ドウェル時間と呼ばれることが多い)にも依存し、よって単位時間当りに検出されるイオンの数はドウェル時間に依存する。
米国特許第6140638号明細書 米国特許第5847386号明細書
質量分析計の動作条件変更後に、再現性があり迅速に反復可能なイオン電流を出力に与え、よって良好な時間応答制御を得る。
フラッシュパルス法及び軸方向電場法は、いずれも同じ問題、すなわち衝突セル及び反応セル並びに高圧力領域、例えば質量分析計のイオン輸送に影響を与えるに十分な圧力の下で動作する質量分析区画の、動作条件変更に対する緩慢な応答の処理を目指しているのではあろうが、本質的に相反する手法である。フラッシュパルスは基本的に、それぞれの場合において、既存の電荷分布を掃去し、よって質量分析計の衝突セル、反応セルまたはその他の区画を既知の空になった状態に戻すことを目的とする。この手法は確かに再現性のある応答を与え得るが、変更の復旧自体にはある程度の時間がかかり得るから、時間応答を長くし得る。一方、軸方向電場の使用は逆のアプローチをとる。軸方向電場法はいかなる前存電荷分布の掃去も目指さず、むしろ、衝突セル等内のイオンの滞留時間を短縮して、動作状態が変更されたときにイオン数をより迅速に変化させる目的で、イオンを加速するための電場を印加する。
本出願の発明者等が気づいたことは、フラッシュパルスを軸方向電場と組み合わせると驚くほど多くの利点が得られることである。フラッシュパルスは、質量分析計システムの衝突/反応セルが必ず同じ、空になった状態から再び出発するであろうから、整定時間の開始時に再現性のある電荷分布を提供する。したがって、得られる信号はセル内の前の電荷分布に、全く依存しないことは無いにしても、ほとんど依存しないはずである。同時に、軸方向電場は整定時間中のイオンの迅速な通過を提供し、したがって衝突セル等は迅速に満たされることになる。この結果、応答速度が速くなり、よって整定時間を短縮することができる。フラッシュパルスはセルの過去の電荷分布履歴へのイオン信号依存性を排除し、軸方向電場は迅速な応答を提供するから、これらの組合せは迅速な時間応答を提供する。それでも定常状態値への信号の完全な回復に必要な時間は試料の組成に依存し得るが、この時間は軸方向電場の印加により短縮される。この結果、整定時間が最長回復時間より長ければ、比較的短く一定の整定時間を全ての試料に用いて再現性のある結果を得ることができる。本出願の発明者等により様々な試料について得られた実験データによれば、全ての場合で、10ミリ秒の、フラッシュパルス持続時間+整定時間の組合せで十分であった。
線形軸方向電場を実施するための実際の装置は、特許文献2に説明されるいかなる構成でもさしつかえない。しかし、傾斜ロッド及びテーパ付ロッド構成は、明確に定められたセル通過帯域の確立とは両立しない。セグメント分割ロッドは本発明に適用できるが、設定が面倒であるし、連続軸方向電場または電位勾配が得られない(時間応答に悪影響を与える逐次加速/減速期間がある)。軸方向電場を与える別の手段は、(電場強度は比較的低くなるが)外部軸方向電場が開口を通して多重極子ロッド間に侵入して多重極子内部に軸方向電場をつくるように、多重極子の外部に電極を配置することである。最適な構成は、多重極子ロッドセットのロッド間に配置された補助電極の使用であると考えられる。補助電極は一般に(但し必須ではなく)、多重極子の軸に沿う近線形電場を発生するような形状につくられる。
本発明のよりよい理解のため及び本発明がどのように実施され得るかをさらに明確に示すため、例として、添付図面をここで参照する。
図1は、本発明と同じ譲受人に譲渡され、その内容が本明細書に参照として含まれる、米国特許第6140638号の明細書(特許文献1)に開示されているような質量分析計システム10を示す。システム10は、誘導結合プラズマイオン源12,衝突/反応セル41,プレフィルタ64及び質量分析器66を備える。セル41が、セル41に導入されたガスとセル41に入るイオンの間の衝突及び反応の内の1つまたは両者のために構成され、用いられ得ることは当然である。誘導結合プラズマイオン源12は分析のための試料材料をイオン化し、次いで、イオンをイオン流の形態でサンプラープレート16の第1のオリフィス14を通して噴射する。第1のオリフィス14を通過すると、イオン流は、例えば3Torr(約4×10Pa)の圧力までメカニカルポンプ20で排気された、第1の真空チャンバ18に入る。イオン流は第1のチャンバ18を通って先に進み、スキマープレート24の第2のオリフィス22を通過する。第2のオリフィス22を通過すると、イオン流は、第1の高真空ポンプ30によりさらに低い圧力(例えば1mTorr(約0.13Pa))まで排気された、第2の真空チャンバ28に入る。第2の真空チャンバ28内で、イオン流は入口アパーチャ38を通って四重極子34に入る。四重極子34は衝突セル41を形成するための容器すなわちハウジング36内に装荷される。
反応性衝突ガスがガス源42から供給され、反応性衝突ガスは既知のいずれかの態様で容器36の内部に供給することができる。図示されるように、衝突ガスは、コンジット44を流過し、アパーチャ38を囲む環状開口46を通って流出することができる。衝突セル41はチャンバ28より高い圧力にあるから、ガスは、イオン流に逆らい、アパーチャ38を通って流出し、チャンバ28に入る。このガス流が、イオン源12からの非イオン化ガスの容器36への流入を防止するかまたは低減させる。イオン流が四重極子34に入る前に反応性衝突ガスがイオン流に向けられるように、ガス源42からの分枝コンジット48がアパーチャ38の直前の位置50で終端する。位置50は、アパーチャ38の上流でイオン源12の下流であれば、どの位置であっても実際上さしつかえない。
質量分析計システム10は、主として無機検体の分析を目的としている。この目的のため、誘導結合プラズマイオン源12は通常アルゴンガスを利用し、アルゴンガスは、誘導を介して、アルゴンガスを励起し、イオン化する電場にさらされる。発生したイオン化プラズマに検体試料が注入され、検体イオンのイオン化がおこる。アルゴンイオン及び検体イオンを含むプラズマは、示されるように、オリフィス14を通過する。そのようなプラズマは高濃度のイオンを有し、イオンの多くは不要なアルゴンまたはアルゴン化合物のイオンである。したがって、不要イオンによりおこる干渉を排除または低減することが望ましく、この目的のために衝突/反応セル41が用いられる。米国特許第6140638号は、セル41内部で新しく干渉をおこし得る化学反応シーケンスを、本質的に、妨げる、帯域通過手法に向けられている。
上述したように、この手法は多くの利点を有するが、衝突セルまたは動的反応セル41の通過帯域状態の変更後、イオン信号が安定するまでに時間がかかるという問題がある。通過帯域状態の変更により、セル内で、以前は不安定であったイオンのいくつかが安定になるという結果、またはこの逆の結果がおこり得る。ICP−DRC−MSにおいては、高強度イオン源のため及び衝突または動的反応セルの通過帯域が分析測定毎に調整され得るため、問題はさらに過酷である。したがって、本明細書では、本発明がそのようなICP−DRC−MS構成に適用されるとして説明される。
しかし、本発明が上記用途に限定されないこと、さらに、説明される質量分析計システムの詳細が既知の態様で変わり得ることは当然である。例えば、衝突セル41は四重極子34を有するとして説明されるが、適するいかなる電極構成も用い得ることは理解されるであろう。さらに詳しくは、その他の多重極子、例えば六重極子または八重極子を用いることができよう。
さらに、本発明は別のタイプの質量分析計への適用も可能であることが、当業者には理解されるであろう。例えば、別のカテゴリーの質量分析計は有機検体を分析するために構成される。一般に、有機検体はエレクトロスプレーイオン源または別のいずれかの等価なイオン源を用いてイオン化され、これらのイオン源は誘導結合プラズマ法とは異なり、そのような高強度手法ではなく、したがって、通常は空間電荷制限による同じ問題は生じない。そうではあっても、そのような質量分析計は衝突セルを備えており、フラッシュパルスすなわち掃出パルスと軸方向DC電場を組み合わせる、本発明の手法をそのような質量分析計に用いることの利点はあり得る。
開示される装置の、以下に詳述される、質量分析器を、適するいずれかの質量分析計で置き換え得ることも理解されるであろう。
特許文献1によれば、四重極子は所望の通過帯域を与えるために作動される。すなわち四重極子はRF限定デバイスとして、すなわち、低質量遮断帯域通過デバイス、すなわち、設定m/z値よりm/z値が大きいイオンを通過させるイオン通過デバイスとして動作し得る。しかし、所望の通過帯域よりm/z値が小さい不要イオンも大きい不要イオンも排除するために、低レベルの分解DCをロッド間に印加することもできる。これらの電圧は電源56から供給される。
動的反応セルまたは衝突セル41からのイオンは、オリフィス40を通過し、メカニカルポンプ32でバックアップされている第2の高真空ターボポンプ62により排気される第3の高真空チャンバ60に入る。メカニカルポンプ32は高真空ポンプ30,62のいずれもバックアップしている。ポンプ62は真空チャンバ60内の、例えば1×10−5Torr(約1.3×10−3Pa)の圧力を維持する。これらのイオンはプレフィルタ64(一般にはRF限定短四重極子ロッドセット)を通過して質量分析器66(一般には四重極子であるが、上述したように飛行時間型質量分析計、扇形質量分析器、イオントラップ等のような別のタイプの質量分析器とすることができるが、別のタイプの質量分析計の中には図示される配置に適切な若干の変更が必要となるものがあろう)に入る。四重極子66では、動的反応セル41から受け取られたイオンの走査を可能にするためのRF及びDC信号が、通常の態様で、電源68から四重極子ロッドに供給される。一般に、プレフィルタ64は、通常のように、コンデンサC1により四重極子66に容量結合され、よってプレフィルタ64のための独立電源の必要がなくなる。
四重極子66から、イオンはインターフェースプレート71のオリフィス70を通って検出器74に進入し、イオン信号が検出器74で検出されて、分析及び表示のためにコンピュータ76に送られる。
質量分析計システム10は、四重極子34へのRF電圧振幅、DC電圧及び/またはRF周波数の(電源56を用いる)変更または調整により、第3の真空チャンバ60に送り込まれるイオンの質量帯域(すなわちm/z範囲)が制御される、可調通過帯域衝突セルまたは動的反応セル41を備える。通過帯域の低質量端は主として四重極子34に供給されるRFの振幅及び周波数により定められ、通過ウインドウの高質量端は主として四重極子34の極子対間に印加されるDC電圧の大きさにより定められる。したがって、注目するm/z範囲だけが選択的に質量分析計に結合される。これにより、中間体イオンまたは干渉イオンは、同重体または同様の干渉体を生成する機会を得る前に、排除される。
衝突セル41に存在する圧力では高分解能が得られないことが多い。したがって、広通過帯域動的反応/衝突セルにおいては、真のマスフィルタリングは得られず、与えられもしない上に、10〜50mTorr(約1.3〜6.5Pa)もの高い圧力が存在し得る。しかし、高い圧力でも動作するマスフィルタがあるであろうし、そのようなマスフィルタには、応答を相当に強化するために本発明の手法を提供し得る。
昇圧された反応/衝突セル41におけるイオン密度分布は、オリフィス38を通って入ってくる入力イオン電流が変わると、変化する。昇圧された反応/衝突セル41におけるイオン密度分布は、反応/衝突セル41内の電場の変化の結果としても変化する。反応/衝突セル41内の電場の変化は、四重極子34に適用される通過帯域を設定するための、RF振幅、RF周波数またはDC電圧を変えることで生じ得る。その他の例にはノッチフィルタリングまたは広帯域励起のための条件変更がある。有意な変化、例えば適用通過帯域の有意な変化に対し、前は安定ではなかったイオンの中に安定になり得るイオンがあり、及び/または、安定であったがもはや安定ではなくなって排除されるイオンがある。すなわち、イオン密度分布の変化により、反応/衝突セル41内の対応する電荷分布の変化がおこり、この結果、電荷密度は局所電位場に影響するに十分に大きいから、電荷分布の変化はイオンがセルから引き出される速度に影響を与え得る。続いて、イオンがセルから引き出される速度が、検出器74及びコンピュータ装置76における測定値に影響を与える。
反応/衝突セル41内の、イオン密度分布の変化後の、安定な電荷分布の確立には、かなりの時間がかかり得る。イオン密度分布のそのような変化の結果として、イオン引出し速度が変わり得る。したがって、反応/衝突セル41における安定なイオン密度分布の確立速度は、下流で検出されるイオン信号の安定化速度に影響を与える。
以下で詳述されるように、様々な実作業が動的反応セルまたは衝突セル41内の電荷分布に影響を与え得る。残念なことに、そのような変化のいずれもが、一般に、セル41内の電荷分布に過渡または変動を生じさせ、したがってどの特定のイオンの引出し速度にも過渡または変動が生じる。さらに、この過渡または変動は新しい動作条件だけでなく、セル41の以前の動作状態にも依存するであろう。したがって、電荷分布のいかなる有意な変化に対しても、変化後のセル41内の安定な電荷分布または電荷数の確立を可能にし、続いてセル41からのイオン流の一定または一様な条件への安定化も保証するには、時間をかけなければならないというのが、従来の教示であった。しかし、動作状態の変化後、電荷分布及びセル41からのイオン流が安定値に落ち着くにはかなりの整定時間がかかり得る。従来の教示によれば、この整定時間の間は、利用できるイオン信号の有用な読みを得ることができない。このことは、システムが安定するまでに、利用できるイオン流の一部が本質的に廃棄されるから、総合感度を低下させる。用い得る走査速度も低下し、したがってデューティサイクルも影響を受ける。例えば、ボド・ハッテンドルフ(Bodo Hattendorf)及びデトレフ・ギュンター(Detlef Guenter),「乾性エアロゾル及びレーザアブレーションのための動的反応セルを備えるICP−MSの特性及び能力」,Journal of Analytical Atomic Spectroscopy,2000年,第15巻,p.1125−1131を参照されたい。
セル内のイオン密度分布の変化によるイオン信号の長時間回復は、いくつかの要因に帰着させることができる。関係する要因の例は、反応/衝突セル41に導入されるイオン電流の変化(すなわち、時間依存イオン源変動または入力イオン光学系のスルー変調)、反応/衝突セル41のエンドキャップ電圧の調節、四重極子34への印加DC電圧(すなわち、全ロッド一緒に印加される共通電圧、またはロッドオフセット電圧)の調節、四重極子34への印加RF振幅の調節、四重極子34への印加RF周波数の調節、及び四重極子34の両細長ロッド対の間のDC分解電圧差の調節である。“イオン密度変化”の大きさが可変であれば、回復時間も可変であろうことは理解されよう。これにより、測定されるイオン信号が不安定になる。上述したように、同様の効果が高圧力質量分析器でおこり得るであろう。
質量分析計システム10において、反応/衝突セル41の通過帯域は、その範囲にわたって測定がなされるべき特定の質量範囲に対し、下流の質量分析器66と合せて調節される。質量分析器66が質量の跳びを実行すると、それに呼応して反応/衝突セル41の質量ウインドウが調節される。セル41に対する通過帯域は質量分析器66に設定されている質量の近くを中心とする必要はない、すなわち通過帯域に対するシフトは質量分析器66に対する質量シフトより大きくとも小さくともさしつかえないことに注意されたい。反応/衝突セル41の通過帯域が主要イオンを含むかまたは排除するように調節されるか、あるいは、検体質量が以前の設定の通過帯域内には入らないが、今は新しい通過帯域に含まれるように調節されれば、反応/衝突セル41内の電荷が影響を受ける。また、反応/衝突セル41の通過帯域に有意な変更がなされれば、セル内で以前は安定であったイオンが不安定になり、新しい電荷範囲が安定通過帯域内に入る。この通過帯域変更の結果、反応/衝突セル41における電荷分布が安定になるまでにはある程度の時間がかかり得る。電荷分布が安定になるまで、セルの流出口で得られるイオン信号が変化する。したがって、以後の質量範囲を走査する場合の質量分析計10の時間応答は、反応/衝突セル41において安定な電荷分布が得られるに必要な時間により制限される。一般に、通過帯域の変更時に、イオン信号は初め抑制され、次いで安定レベルまで増加する。あるいは、イオン信号が初めは増大し、その後安定レベルまで減少する。反応/衝突セル41において、通過帯域は電源56により四重極子34に与えられるRF周波数を調節することで検体質量毎に意図的に調節される。通過帯域はRF振幅(Vrf)を変えることによっても調節することができる。通過帯域調節後のイオン信号の安定レベルへの緩慢な回復が図2A〜2Dに示される。
図2A〜2Dは、反応/衝突セル41の様々なパラメータの調節後の、安定イオン信号確立における時間遅延を示す。いくつかの実験的試験中に測定された、復旧して元のセル条件に一致する(ほぼ14.1秒後)ようなイオン信号がグラフに示される。各試験においては、1つのセルパラメータをイオン信号が減少するように最適値から調節し、次いで元の最適値に再帰させた。変更されたパラメータには、図2AにおけるRF振幅Vrf(200V→50V→200V)、図2Bにおける(共通)ロッドオフセットDC電圧(−1V→−20V→−1V)、図2Cにおけるエンドキャップ電圧CPV(15V→0V→15V)、及び図2Dにおけるセル前面のイオン光学レンズ電圧Eレンズ(6V→0V→6V)がある。図2A〜2Dに示されるように、イオン信号は、初めは、参照数字90で示されるように安定になっていた。反応/衝突セル41のパラメータが最適値から変更されれると、参照数字92で示されるように、イオン信号が減少する。図に見られるように、元のセルパラメータに再び戻されると、参照数字94で示されるように、イオン信号は時間(応答時間)をかけて徐々に回復する。イオン信号の応答時間は、反応/衝突セル41内の条件(圧力、四重極子ロッド対に印加されるRF振幅及びDC電圧並びにエンドキャップ電圧、さらにロッドオフセット電圧、並びに、おそらくは、ガスのタイプ及びセルの流入口におけるイオンのエネルギー)、反応/衝突セル41に導入されるイオン電流、及び反応/衝突セル41内のイオン密度の関数である。例えば、反応/衝突セル41内の圧力が高いほど、反応/衝突セル41内の通過帯域変更後のイオン信号の応答時間は長くなる。反応/衝突セル41内のイオン信号の応答時間は、反応/衝突セル41に入るイオン電流が大きいときにも長くなる。このことは、高電流イオン信号を発生する誘導結合プラズマ(ICP)イオン源12について特に当てはまる。続いて、高イオン電流はセル内に空間電荷状態となる密度変化を生じさせ得る。これは、反応/衝突セル41内の安定な電荷分布の確立に対する長い応答時間に寄与する、空間電荷障壁をつくることができる。
したがって、本発明は、反応/衝突セル内の電荷分布に影響するパラメータの調節後の、セル内のイオン信号の応答時間を改善することが望ましいという認識に基づく。反応/衝突セル内に軸方向DC電場を与えることにより、質量分析計システム10の時間応答が改善されることは、質量分析の技術において既に確立されている。
以降では、“整定時間”及び“ドゥエル時間”に言及される。“整定時間”は動作条件変更後に装置が落ち着くまでの時間である。イオンの読みを得るかまたはイオンを検出するに用いられる時間長は“ドゥエル時間”と呼ばれる。図2A〜2Dが示すように、測定されるイオン信号の安定状態値への回復は指数関数的となり得る。実際上、安定状態に達するまで待つ必要はない。イオン電流が一定であり、他のパラメータが元のままであれば、異なる整定時間及びドゥエル時間に対しては測定される信号が異なるかもしれないが結果は再現可能であり得る。定常状態信号が確立される前に測定期間を開始する、整定時間を定めることができる。
図3Aは特許文献2にしたがう四重極子95の側面図を示す。本発明にしたがえば、この四重極子95の、四重極子34の所定の位置への挿入が意図される。四重極子95は第1の細長ロッド対100a,100bを有し、各ロッド100a,100bには、長さに沿って断面にテーパがかかっている。図示されるように、第1のロッド対100a,100bの端面B(出力)は断面が狭いが、端面A(入力)では第1のロッド対100a,100bの断面が広げられている。図3Aの側面図は第1のロッド対100a,100bしか示していない。ロッド対の構成のよりよい理解を達成するため、図3Bおよび3Cはそれぞれ、端面A(入力)及び端面B(出力)を見ている、四重極子95の端面図を示す。図3Bに示されるように、第1のロッド対100a,100bの面に直交する面に、第2の細長ロッド対104a,104bが配置される。第2の細長ロッド対104a,104b内の細長ロッドのそれぞれの形状は、図3aに示される第1のロッド対100a,100bに含まれるロッドの形状と同じである。しかし、図3Bに示されるように、第2のロッド対104a,104bは、第2のロッド対104a,104bが端面Aにおいて狭い断面を有し、一方端面Aにおいて第1のロッド対100a,100bは広げられた断面を有するように(図3Aも参照されたい)、構成される。第2のロッド対104a,104bの断面は、第2のロッド対104a,104bが端面Bに達するまで、長さに沿って単調に増加し、端面Bで断面は最大になる。図3Cに示されるように、端面Bにおいて、第1のロッド対100a,100bは狭い断面を有し、第2のロッド対104a,104bは広げられた断面を有する。図3Aを参照すれば、ロッド対100a,100b、104a,104bの上記の構成により、参照数字102で定められるように、軸線に沿って軸方向に変化するDC電場の発生が可能になる。ロッド対100と104の間に電圧差を与えることにより、四重極子95内の、参照数字106で定められるような、細長空間内に軸方向電場が確立される。この構成は、通過帯域がセルに沿う距離の関数でもあるから、帯域通過反応性衝突セルにあまり適してはいない。しかし、この構成は従来の衝突または反応セルについては受け入れられる。その上、この構成は空間106内のイオンに軸方向の力を加える。これは、2つの細長ロッドセットの間にDCバイアス電圧を印加することにより達成され、この場合、第1のDC電圧が第1のロッド対100a,100bに印加され、第1のDC電圧より低い、第2のDC電圧が第1のロッド対104a,104bに印加されて、DC電位差が与えられる。軸方向DC電場ポテンシャルは端面Aで大きく、端面Bの方向に軸102に沿って単調に減少する。これにより、端面Aで四重極子に入る正イオンは端面Bの方向に軸102に沿って加速され、端面Bで四重極子95から出る。したがって、衝突/反応セル41内のイオンの通過時間または滞留時間が短縮される。四重極子(または多重極子)を通してイオンを加速することにより衝突/反応セル内のイオンの時間応答(または滞留時間)を改善する本方法は、譲受人の既存LINAC(線形加速器)技術に既に存在する。軸方向電場は衝突/反応セル41内に確立される空間電荷障壁高も低めることができ、これによりイオンの応答時間がさらに短縮される。好ましい構成は、特許文献2の図14にあるようなセグメント分割ロッドセット、または特許文献2の図21に示されるような補助ロッドの使用であり、図4A及び4Bに示される実施形態がさらに好ましい。
DC電位を単に反転することで、四重極子95の長さに沿う軸方向電場の勾配を反転することにより、イオンの平均滞留時間を長くすることができ、ある場合にはこれが特に有用であることも理解されるべきである。そのような場合は、例えば不安定であるかまたは雑音の多いイオン源により測定精度が制限されるときにおこる。この場合には、衝突/反応セル内のイオンの滞留時間を長くすることが望ましい。
さらに、補助電極がロッドセットのロッド間に配された構成を用いて補助電場を与えることが、特に好ましい。これらの電極は、図4A及び4Bにしたがい、所望の軸方向電場を与えるために、径方向に凸の形状につくられた内面を有することが好ましい。
様々な個所で軸方向DC電場及びDC電位の印加に言及がなされるが、純粋なDC電場が必須ではないことにも注意すべきである。代わりに、所望の方向におけるイオンの運動を促進するための正味のDC成分を時間平均で与える、非対称交流波形を用いることができる。
上で示唆されたように、ある用途では、軸方向電場の反転が望ましくなることがある。例えば、同位体を測定する場合は、イオン源に雑音が多いことがある。そのような場合、トラップ電場を与えるために、反転電場を有効に用いることができる。これにより、高周波信号変動が平滑化される。そのような場合には、測定開始時にフラッシュパルスだけを用いることができる。次いでイオンパルスが注入され、イオンを“トラップ”するために減速電場が与えられる。
軸方向電場を発生させるための好ましい配置を示す図4A及び4Bを次に参照する。多重極子のRF/DC電場を確立する(図4では円形断面で示され、図1のロッドセット34と同等の)ロッド112に加えて、それぞれが概ねT字形の断面を有する、複数の細長補助電極114が備えられている。すなわち、それぞれの補助電極114は、多重極子ロッド112の間で、多重極子の軸に向かって径方向で内側に延びる刃状区画を有する。この刃状区画の径方向長は軸に沿って変わり、よって補助電極114の断面が軸に沿って変わる。図示されるように、刃状区画の形状は、多重極子に沿って変わり、したがって軸方向電場を与える、軸上のまたは軸に近接する電位を、細長ロッド114に印加されるDC電圧または複数の電圧が確立するような形状である。例えば、図4Aに与えられる断面はロッド112の間で径方向により奥まで突き出している刃状区画116を示し、図4Bの断面はロッド112の間で径方向にそれほど突き出してはいない、短い刃状区画117を示す。細長電極112のより奥まで突き出している突端116を衝突/反応セル41の入口近くに配し、それほど突き出していない突端117を衝突/反応セル41の出口近くに配することにより、及びロッド112のDCオフセット電位に対して正電位を細長補助電極114に与えることにより、正イオンを入口から出口に移動させるようにはたらく、セルに沿う静電場を確立できる。補助電極113の構成を反転し、負DC電圧を用いて、同じ効果を達成することも可能である。多重極子を通して出口までイオンを押す力を等しくするように、多重極子に沿う電位分布は線形であること、すなわち軸方向電場が実質的に一様であることが好ましい。しかし、細長電極114の形状プロファイル及び/または多重極子ロッド112間での侵入深さを適切に調整することにより、電位分布を線形から変化させることができる。線形電位分布を与えるには、曲線プロファイルが刃状区画116,117に必要であることがわかっている。
代表的な電位に関し、衝突セルのエンドキャップは通常−10〜−30VDCの電位にある(電位は全て、接地電位にあるイオン源に対する電位である)。補助電極は普通200〜400VDCの範囲の電位にあり、これにより1V程度の軸に沿うかまたは軸に近接する電位降下が得られる。ロッド114に印加されるRF電圧は通常200V程度である。軸に沿う電位降下は小さいから、イオンは衝突間で効率よく加速されるが、衝突エネルギーへの軸方向電場の寄与は比較的小さく、よって一般に、エネルギーに依存する反応性衝突の特異性は影響されないことが保証される。あるいは、反応性衝突の結果に影響するに十分に衝突エネルギーを変えるため、さらに高い電圧を補助電極に印加することができる。
通常の電源が参照数字118a,118bで示され、RF及びDC電圧を供給するため、四重極子態様でロッド112に接続される。図示されるように、DC電源119が補助電極114に接続される。
次に図5を参照すれば、衝突/反応セル41の通過帯域の変更後の、同様の測定に対する時間の関数としてのイオン信号のグラフが示されている。この例では、四重極子95に印加されるRF振幅を変え、0Vから200Vに戻すことにより、通過帯域が変えられている。参照数字120で示されるようなイオン信号応答は、四重極子95の長さに沿う軸方向電場の印加がなく、フラッシュパルスを用いずに測定される。曲線上の全ての点は、10ミリ秒の整定時間後50ミリ秒のドゥエル時間にわたって測定した50Fe信号を表わす。イオン信号応答曲線120が示すように、定常状態信号に近い値にイオン信号が達するにはほぼ4秒かかる。
参照数字122で示されるイオン信号応答は、10ミリ秒の整定時間の代わりに振幅30Vのフラッシュパルスを10ミリ秒間印加したことを除き、同じ態様で得られた。パルスに続いて50ミリ秒のドゥエル時間で測定した。ドゥエル時間が終わると、同じフラッシュパルス及びドゥエル時間でさらにこのサイクルを反復した。このサイクルをほぼ60ミリ秒毎に反復して曲線122を得た。曲線122で示されるように、定常状態信号は迅速に確立されたが、周期的反復フラッシングにより信号が曲線120のレベルに達することが妨げられるため、信号強度は、曲線120で示される定常状態信号に比べて約1/4に減少している。
曲線124のデータは、曲線120と同様の態様で得たが、図4の補助電極構成を用いて印加された軸方向電場だけが追加されている。信号は、曲線120の定常状態レベルの約2倍のレベルまで迅速に回復するが、その後ほぼ2秒間かけておよそ5%ほど増大する。
次に、本発明にしたがって、曲線126を曲線124と同様の態様で得たが、(曲線122について説明した)フラッシュパルスを追加している;測定期間中はやはりフラッシュパルスとドゥエル時間の連続サイクルが実施され、よって曲線124に見られる長期回復効果は妨げられている。この例では、イオン信号は迅速に安定定常状態まで回復し、さらに、曲線120の定常状態信号レベルのほぼ2倍になっている。フラッシュパルスだけ(曲線122)では迅速な、ただし抑制された信号レベルへの、時間応答が得られ、定常状態信号が(入力イオン電流及び通過帯域状態のような)他の事柄よりとりわけて整定時間及びドゥエル時間の関数であることは明らかである。軸方向電場の適用だけで劇的な時間応答改善が得られ、(軸方向電場もフラッシュパルスも用いられない場合に比較して)高められた信号レベルも得られるが、それでも徐々に変化する信号が観測されることが多く、定常状態に達するにはかなりの時間がかかり得る(これは、入力イオン電流及び通過帯域状態に依存し得る)。本発明により提供されるような、連続軸方向電場及びフラッシュパルスの両者の適用は、定常状態信号への迅速な時間応答を(軸方向電場もフラッシュパルスも用いられない場合に比較して)高められた感度とともに与え、定常状態信号はセル内の以前及び現在の電荷分布に対してほとんど感応しないように見える。
図5は、実証の目的のため、反応/衝突セルが空の状態になった後に得られた曲線を示す。主要イオンが含められるかまたは排除されるように、反応/衝突セルの通過帯域が相異なる動作状態間で変更された場合に、図5に示される時間応答と同様の時間応答が観測されることに注意すべきである。このことは、通過帯域の相異なる動作状態間での変更が普通の動作モードであるから、重要である。
本発明の手法を用いなければ、イオン信号の応答時間は、通過帯域が分析される質量に合わせて調節されたときの衝突/反応セル41内の(どのイオンが安定になるかまたは安定でいられなくなるかという)通過帯域の変化の関数である。この場合は、分析方法(イオン測定シーケンス)が変われば、応答時間が異なる。したがって、通過帯域変更後のある与えられた時点で測定されるイオン信号は、イオン信号の平衡状態到達を妨げるに十分に短い時間内にイオン信号が測定されれば、分析方法の関数となる。
さらに、試料が共在元素を高濃度で含有していれば、共在元素がセル内の電荷分布に影響し得るから、応答時間は共在元素が存在しないときの応答時間と異なるであろう。このことは、外部較正溶液が共在元素を相応の濃度で含有していない、外部較正手順の使用を効力を弱め、検体のブランク濃度を測定するためのブランク溶液の使用の効力を失わせる。セルへのイオン電流が、試料組成の変更、イオン源強度の変更あるいはイオン光学系の集束特性の変更の結果として変化すれば、同様の効果が観察され得るであろう。
本発明にしたがい、新しいm/z範囲の試料イオンを受け取るように衝突/反応セル41が調整される毎にフラッシュパルスが用いられれば、分析方法(測定される検体イオンの順序)に無関係なイオン信号再現性の改善を得ることができる。一手法において、フラッシュパルスは細長ロッド112間に与えられるDC電圧パルスを含み、一方の正対するロッド112の対はあるDC電位にあり、他方の正対するロッド112の対は別のDC電位にある。DC電圧パルスの持続時間は、セル内滞留イオンのかなりの部分を四重極子電場内で不安定にし、よって四重極子電場から排出して、セルを空にするに十分でなければならない。これに必要とされる正確なパルス持続時間は、四重極子に印加される電圧の大きさ及び周波数に依存し、排出されるべきイオンの質量対電荷比にも依存する。図1に示される質量分析計の代表的な動作パラメータに対しては、2〜100マイクロ秒程度のパルス持続時間で十分なはずである。もちろん、パルス持続時間はさらに長くすることができ、上述したように、図5のデータは10ミリ秒のフラッシュパルス持続時間で得られている。DC電圧パルス(フラッシュパルス)は、全ての(またはほとんどの)イオンを不安定にするに十分な振幅を有するべきであり、全ての(またはほとんどの)イオンがセルから排出されていることを保証する持続時間を有するべきである。次いで、分析測定がなされる前に必要に応じた整定(安定化)時間が続く、分析状態が復旧される。(フラッシュパルスに続く)整定及びドゥエル時間が一定であれば、(通過帯域が分析質量に合わせて調節されるとして)分析質量の変更により生じる通過帯域の変更に無関係に、イオンはセルにおいて同様の履歴を有する。したがって、分析方法に無関係な、再現性のあるイオン信号が得られる。イオン信号は整定時間の間に安定になり得ないが、回復は通過帯域状態の変更に無関係に同様になるはずであることに注意すべきである。これには、衝突/反応セル41への安定なイオン入力速度が想定されている。
感度への掃出パルスの効果は図5に見ることができ、図5では、参照数字122で示される、掃出パルスを用いて得られた信号は、極めて高速に定常状態レベルに到達するが、掃出パルスを用いずに得られた定常状態信号レベルに比較して約1/4に抑制されている。この信号抑制は、それぞれの測定に対して、全イオンの掃出後、反応/衝突セルは徐々に、ただし再現性をもって、同じ低レベル信号に回復し、よってパルス後の同じ時点でなされる読みは、大きさは小さいが、常に同じ結果を生じているという事実により、おこる。
衝突/反応セル内の軸方向電場の適用は、フラッシュパルスの適用により遭遇する感度上の不利を大きく低減すると同時に、それぞれの通過帯域変更に続く、フラッシュパルス適用の利点を維持する。掃出パルスはイオンの少なくともかなりの部分をセルから除去し、掃出後、信号の回復には、図2に示されるように−数秒程度の、かなりの時間がかかり得る。しかし、掃出パルスは、印加される毎に、比較的再現性のある電荷密度をセル内に確立する。したがって、掃出パルスから同じ時間遅延後にイオン信号を測定すれば、定常状態条件に達していなくとも、信号には再現性があるであろう。この時間遅延が一般的な信号回復時間より短ければ、測定された信号のレベルは定常状態信号の一部であろう。軸方向電場は定常状態信号をより高速に確立させる。したがって、セルの以前の電荷密度状態とは無関係にそれぞれの測定の前に掃出パルスが再現性のあるセル内電荷密度を提供し、軸方向電場が新しい定常状態電荷密度のより高速な確立を可能にする、掃出パルスと軸方向電場の組合せが、図5に参照数字126で示される、セルの高速時間応答を提供する。フラッシュパルスは質量分析計システムの時間応答を改善し、ある程度は、(曲線124と126の間の差で示されるように)軸方向電場の利点に逆作用するが、両手法の組合せは、両手法の有利な結合を備える、折衷解決策を提供する。組み合わせると、軸方向電場はフラッシュパルス後約2ミリ秒以内にイオン信号を回復させる。さらに、フラッシュパルスは通過帯域変更後衝突/反応セル41内に再現性のあるイオン信号条件を確立する。よって、イオン信号測定値は衝突/反応セル41内の以前の分布電荷の関数ではない。
衝突/反応セル41に軸方向電場を適用してなされた、いくつかの分析測定値を示す図6を次に参照する。m/z=103にあるイオン信号は、10回の連続反復に対してそれぞれの測定の前(反復の間)に10ミリ秒の整定時間をとって、50ミリ秒の測定時間で同じ質量において信号が測定される単一同位体データ収集手順、あるいは、m/z=9,m/z=103及びm/z=238にあるイオン信号が、50ミリ秒持続する測定のそれぞれの間に10ミリ秒の整定時間をとって検出される多元素データ収集手順で測定された。1ppbのRhを含有する試料に対する103Rh信号が、データ収集手順にm/z=103だけが存在して測定される(図6においてバー601として示される)場合には、応答は約62,000カウント/秒である。他のm/zが共在して測定される(したがってm/zが変更される毎に通過帯域の変更がおこる)場合には、応答は約14,000カウント/秒に低下する(バー602)。感度低下は、通過帯域変更後の10ミリ秒の整定時間の間には、セル内に定常状態電荷密度が確立されず、したがって測定がなされる毎に信号が定常状態値の一部までしか回復しないという事実によりおこる。
フラッシュパルスが印加されると、通過帯域が同じであるか変更されているかには無関係に、測定前に同じ電荷密度がセル内に再現性をもって確立される。バー603は、(通過帯域は不変のまま)m/z=103だけが測定され、パルスが印加されたときの応答を示し、バー604は、m/zが変更され(すなわちm/z=9(Be)及びm/z=238(U)が収集手順に含まれ)、パルスが印加されたときの信号を与える。いずれの場合にも、応答は約13,000カウント/秒であり、測定前に通過帯域が変更されたか否かには無関係である。
衝突/反応セルの多重極子に沿う軸方向電場を印加すると、わずか10ミリ秒の整定時間後に約107,000カウント/秒の信号(バー605)が測定されるような、定常状態電荷密度分布の高速確立が得られる。軸方向電場が印加されたときには、衝突によって散乱したイオンの高められた収集効率が達成されることにより、軸方向電場がない場合に比較して大きな信号が軸方向電場によって得られる。しかし、電荷密度の定常状態は、10ミリ秒以内に確立されるものの、セル内の以前の電荷密度に依存する−したがって、信号レベルは、軸方向電場のない場合より度合いは少ないが、未だに通過帯域が変更されたか(バー606)または不変のままであるか(バー605)に依存し、多元素手順信号は単元素手順信号の約89%の約95,000カウント/秒である。
測定前に再現性のある初期電荷密度をセル内に確立するためにフラッシュパルスを用い、併せて、パルスの後に定常状態電荷密度を迅速に確立するために軸方向電場を印加すると、セルの通過帯域の変更とは無関係なRh信号の再現性があり精確な測定が可能になる(バー607及び608)。
(試験溶液はRhだけを含有し、BeまたはUあるいはその他の元素は含有していないことに注意すべきである。上記の試験は、測定されるべき与えられた質量に実際にイオンがあるか否かにかかわらず、応答が分析方法の関数であることを示すだけである。やはり、応答は様々な通過帯域において主要プラズマイオンが含まれるか/排除されるかによるようである)。
したがって、軸方向電場とフラッシュパルスの組合せにより、セル内の以前の電荷分布には無関係であり、整定時間及びドゥエル時間に比較的依存しない、再現性のあるイオン信号が得られる。フラッシュパルスが衝突/反応セル41を空にする(全てのまたはほとんどのイオンを不安定にする)ことを保証する必要があるならば、フラッシュパルスの前に印加されるDC電圧(Vdc)とパルス電圧の合算電圧値が、同じく衝突/反応セル41に印加されるRF電圧振幅(Vrf)の少なくとも0.17(17%)の領域になければならない。いくつかの用途では、フラッシング中にセルを完全に空にする必要はなく、恩恵を受けるには電荷の低減で十分であろう。それぞれのフラッシュパルスの持続時間は2〜100マイクロ秒または数RFサイクルとすることができ、RFサイクルは通過帯域を変更するために衝突/反応セル41に印加されるRF信号周波数に関係する。
分解DC電圧が高質量遮断を設けるために極子対間に与えられる場合は、セルを完全に空にするに必要なパルス振幅は、パルス前に分解DC電圧が印加されていない場合より小さい。したがって、パルス自体だけでなく、合算DC電圧値をRF振幅の17%より大きくするべきである。
RF振幅を(分析測定中に印加されるRF周波数は維持しながら)分析測定中に印加される振幅の一般には1/2未満に下げる方法;RF振幅を(分析測定中に印加されるRF周波数は維持しながら)分析測定中に印加される振幅の一般には2倍より大きくする方法;RF周波数を(分析測定中に印加されるRF振幅は維持しながら)分析測定中に印加される周波数の一般には150%より高くする方法;RF周波数を(分析測定中に印加されるRF振幅は維持しながら)分析測定中に印加される周波数の一般には75%より低くする方法;セルに導入されるイオン電流を、おそらくはイオン化源を止めることによるかまたはセル前方のイオン光学系におけるイオンの集束を弱めることにより減少させる方法;迅速にセルから出るようにイオンを誘導する態様でエンドキャップ電圧のいずれかまたはいずれをも調節する方法;ロッド対112のDCオフセット電位(全てのロッドに同時に等しく印加されるDC電位)を、イオンを停止させる(おそらくは、空間電荷を増加させ、よってイオンの大多数を自脱させる)に十分に高い値まで上げる方法;または迅速にセルから出るようにイオンを誘導する態様でロッド対の1つまたはそれぞれに補助RF電位を印加する方法のような、RF信号自体を用いてセルを空にするいくつかの方法がある。
したがって、衝突/反応セル41の四重極子34に接続されるDC及びRF電源56(図1を参照されたい)は、セル41を空にするかまたはセル41内に存在するイオンを不安定にするための(RF振幅または周波数を変えることによる)フラッシュパルス発生器またはフラッシュパルス源として作用することもできる。別の実施形態において、電源56により与えられるRF信号及びDC電圧に加えて、独立DCパルス発生回路を四重極子34及び/または質量分析計10のその他の要素に接続し得ることも理解されるであろう。この実施形態では、セル41の通過帯域制御及び軸方向DC電圧が電源56により与えられ、独立DCパルス発生回路がフラッシュパルスを発生する。他の実施形態では、図4A,4Bによる、本来は軸方向電場の確立のために用いられる補助電極114をパルス動作させることにより、フラッシュパルスを実施することができる。
前述したように、フラッシュパルスは、m/z範囲が新しい通過帯域値に調整される毎に、衝突/反応セル41に印加される。また、質量分析器66及び衝突/反応セル41は、互いに合せて調整される。これは、本発明の譲受人により製造される動的反応セルに当てはまり、多くの標準的質量分析計にも当てはまる。
フラッシュパルスは同期信号として用いることもでき、同期信号は、衝突/反応セル41及び質量分析器66により選択される新しい通過帯域値のそれぞれを決定するために、コンピュータ76に供給される(これにより、2000年11月24日に出願され、その内容が本明細書に参照として含まれる、米国特許出願第09/718505号の明細書に説明されているように、同重体の時間応答における値がわかる)。
本明細書に記述され、図示される、本発明の好ましい実施形態及び別実施形態に様々な改変がなされ得ることは当然であり、本発明の範囲は特許請求の範囲で定められる。
特定の実施形態の説明は、主に帯域通過反応性衝突セルに向けられた。セルがマスフィルタに容量結合されて、RF限定モードで動作する場合にも、同じ効果が観察されるはずである。セルに入るイオン電流が(過渡イオン源またはパルス動作イオン光学系からの過渡信号測定のように)変動し得る場合、またはセルに導入されるイオンの質量分布が変動し得る場合、またはセルパラメータの内の1つが変更される(調整最適化を実施する)場合、あるいは、圧力が急激に変えられるかまたはイオン源ないし上流のイオン光学系が調節される場合には、固定通過帯域セルであっても本発明を適用できよう。同様に、発明者等は、DCパルスがDRC四重極子の極子対間に印加されるフラッシュパルス法を説明し、セルを迅速に空にするその他の方法も可能であることを説明した。
従来技術の装置による質量分析装置を示す 動作条件変更後の衝突/反応セル内での安定なイオン信号の確立における時間遅延を示す 動作条件変更後の衝突/反応セル内での安定なイオン信号の確立における時間遅延を示す 動作条件変更後の衝突/反応セル内での安定なイオン信号の確立における時間遅延を示す 動作条件変更後の衝突/反応セル内での安定なイオン信号の確立における時間遅延を示す 衝突/反応セル内の四重極子の側面図を示す 図3Aに示される四重極子の第1の端面の図を示す 図3Aに示される四重極子の第2の端面の図を示す 本発明の好ましい実施形態の簡略な断面図を示す 本発明の好ましい実施形態の簡略な断面図を示す 軸方向電場及び掃出パルスの両者の効果を示す、衝突/反応セルの動作RF電圧の変更後の期間中の反復測定に関して、測定されたイオン信号を表わすグラフを示す 軸方向電場及び/または掃出パルスを有効あるいは無効にして、デー収集手順がm/z=103だけを単独に測定したときの、またはデータ収集手順にm/z=9(Be)及びm/z=238(U)も含まれているときに測定された、1ppb Rhに対する103Rh信号の強度を表わすグラフを示す
符号の説明
10 質量分析計システム
12 誘導結合プラズマイオン源
34 四重極子
41 衝突/反応セル
42 ガス源
56,68 RF+DC電源
64 プレフィルタ
66 質量分析器
74 検出器
76 コンピュータ
114 補助電極

Claims (43)

  1. 入口及び出口を有する処理区画を備える質量分析計システムの動作方法であって、前記方法が:
    (i) 前記処理区画の前記入口にイオン流を与える工程;
    (ii) 前記イオン流をして、前記処理区画を通過させる工程であって、その際、前記処理区画の少なくとも一部は中性粒子とのイオンの衝突を可能にする条件の下で作動している、通過させる工程;
    (iii) 前記処理区画の前記出口から出てくるイオンを検出する工程;及び
    (iv) 前記処理区画を通過するイオンの運動を促進するために、前記入口から前記出口にかけて前記処理区画内に軸方向電場を与える工程;
    を有してなる方法において、
    前記方法が、
    (v) 前記処理区画に存在するイオンを、さらなる分析、検出または処理の対象とはならないように排気するために、前記処理区画にフラッシュパルスを周期的に、前記イオンを検出する工程に先行する整定時間の開始前に与える工程;
    を含むことを特徴とする方法。
  2. 前記処理区画の動作パラメータを1つの動作状態から別の動作状態に周期的に変更し、次いで前記フラッシュパルスを印加する工程を含み、前記処理区画を出てくるイオンの検出が後続する前記別の動作状態の間のイオンだけを検出するものであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記処理区画に複数本の細長ロッドからなる多重極子ロッドセットを備える工程及び前記軸方向電場を発生させるために前記細長ロッドに少なくとも1つの電圧を与える工程を含み、前記方法が、前記多重極子ロッドセット内所望のイオンを安定状態に維持するために前記多重極子ロッドセットに少なくともRF信号を与える工程をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  4. 前記軸方向電場を発生させるため、一端から他端にかけて直径が漸減するテーパ付ロッドを提供する工程を含むことを特徴とする請求項3に記載の方法。
  5. 前記出口における直径が、前記入口における直径よりも小さくなるように、入口から出口に向かってその直径が漸減する第1の複数本のロッド及び、前記出口における直径が、前記入口における直径よりも大きくなるように、出口から入口に向かってその直径漸減し、前記第1の複数のロッドのそれぞれと交互する、第2の複数本のロッドを含む、多重極子ロッドセットを提供する工程を含むことを特徴とする請求項4に記載の方法。
  6. 前記多重極子ロッドセットを、前記出口における直径が、前記入口における直径よりも小さくなるように、入口から出口に向かってその直径漸減する、対角線上で向かい合う第1のロッド対、及び、前記出口における直径が、前記入口における直径よりも大きくなるように、出口から入口に向かってその直径漸減する、対角線上で向かい合う第2のロッド対を含む、四重極子ロッドセットとして提供する工程を含むことを特徴とする請求項5に記載の方法。
  7. 前記細長ロッドをセグメント分割ロッドとして提供する工程及び個々のロッドセグメントに複数の個別の電圧を与え、よって前記軸方向電場を発生させる工程を含むことを特徴とする請求項3に記載の方法。
  8. 前記処理区画に複数本の細長ロッドを含む多重極子ロッドセットを備える工程及び前記多重極子ロッドセット内に所望のイオンを安定状態に維持するために前記多重極子ロッドセットに少なくともRF信号を与える工程を含み、前記方法が、前記細長ロッド間に配置された一組の補助電極を備える工程及び前記軸方向電場を発生させるために前記補助電極に少なくとも1つの電圧を印加する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  9. 前記補助電極に径方向に内向きに延びる区画を設ける工程を含み、前記区画の前記径方向の伸びの大きさが軸に沿って変わり、よって前記補助電極に印加される前記電圧が前記軸方向電場を発生させることを特徴とする請求項8に記載の方法。
  10. 前記補助電極のそれぞれをセグメント分割された電極として提供する工程及び前記セグメント分割された補助電極に相異なる電圧を印加し、よって前記軸方向電場を発生させる工程を含むことを特徴とする請求項8または9に記載の方法。
  11. 前記多重極子ロッドセットの前記細長ロッドが前記多重極子ロッドセットの軸に対して傾けられて配置され、よって前記ロッドへの電位の印加が前記軸方向電場を発生させることを特徴とする請求項3に記載の方法。
  12. ハウジング内に前記多重極子ロッドセットを備える工程及び前記イオン流との反応または衝突の内の少なくとも1つのために前記ハウジングにガスを供給する工程及び前記多重極子ロッドセット内に所望の通過帯域を確立するために前記多重極子ロッドセットに少なくとも前記RF信号を与える工程を含み、よって前記多重極子ロッドセットが衝突セル及び反応セルの内の1つを形成することを特徴とする請求項3または8に記載の方法。
  13. 前記処理区画から出てくる前記イオンを質量分析する工程を含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
  14. 初めに、所望のm/z比を有するイオンを選択するために前記イオン流をして第1の質量分析器を通過させる工程、引き続いて、反応及び衝突の内の1つのために前記イオンをして前記多重極子ロッドセットを通過させる工程、及び前記多重極子ロッドセット内で生成された複数の二次イオン及び複数の一次イオンの内の少なくとも1つを別の質量分析器で分析する工程を含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
  15. 第1のm/z比範囲にあるm/z値を有する選択されたイオンを第2のm/z比範囲にあるm/z値を有する選択されたイオンに変更する、1つの動作状態から別の動作状態への変更による、前記工程(v)における動作パラメータを変更する工程を含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
  16. ハウジング内に前記多重極子ロッドセットを備える工程及び前記イオンの流れとの反応及び衝突のうちの1つのために前記ハウジングにガスを供給する工程及び前記多重極子ロッドセット内に所望の通過帯域を確立するために前記多重極子ロッドセットに少なくとも前記RF信号を与える工程を含み、よって、前記多重極子ロッドセットが衝突セル及び反応セルのうちの1つを形成することを特徴とする請求項3に記載の方法。
  17. 前記フラッシュパルスが、前記イオンの少なくとも一部を前記セルから排出するに十分な持続時間にわたり前記ロッド間に印加される十分な振幅のDC電圧パルスを含むことを特徴とする請求項16に記載の方法。
  18. 前記フラッシュパルスが、前記イオンの少なくとも一部を、前記処理区画から排出するのに十分な持続時間にわたり前記ロッド間に印加される十分な振幅のDC電圧パルスを含むことを特徴とする請求項3または8に記載の方法。
  19. 前記RF信号の振幅の17%以上の振幅をもつ前記DC電圧を印加する工程を含むことを特徴とする請求項17または18に記載の方法。
  20. 前記RF信号の周波数はイオン通過時中と同じ値に維持しながら、前記RF信号の振幅を不要なイオンを排出させるに十分な値まで減少させることにより、前記フラッシュパルスを与える工程を含むことを特徴とする請求項3,8または16に記載の方法。
  21. 前記RF信号の周波数はイオン通過時中と同じ値に維持しながら、前記RF信号の振幅を不要なイオンを排出させるに十分な値まで増加させることにより、前記フラッシュパルスを与える工程を含むことを特徴とする請求項3,8または16に記載の方法。
  22. 前記RF信号の振幅はイオン通過時中と同じ値に維持しながら、前記RF信号の周波数を不要なイオンを排出させるに十分な値まで減少させることにより、前記フラッシュパルスを与える工程を含むことを特徴とする請求項3,8または16に記載の方法。
  23. 前記RF信号の振幅はイオン通過時中と同じ値に維持しながら、前記RF信号の周波数を不要なイオンを排出させるに十分な値まで増加させることにより、前記フラッシュパルスを与える工程を含むことを特徴とする請求項3,8または16に記載の方法。
  24. 記処理区画に送り込むイオン電流を、イオン光学デバイスによって減少させることを特徴とする請求項2,3または8に記載の方法。
  25. 前記処理区画に送り込むイオン電流を、イオン光学デバイスによって減少させることを特徴とする請求項16に記載の方法。
  26. 前記イオン光学デバイスにより、衝突/反応セルに入るイオン電流の集束を弱め、それによって前記イオン光学デバイスが当該衝突/反応セルに入るイオン電流を減少させることを特徴とする請求項24に記載の方法。
  27. 前記イオン光学デバイスにより、前記セルに入るイオン電流の集束を弱め、それによって前記イオン光学デバイスが前記セルに入るイオン電流を減少させることを特徴とする請求項25に記載の方法。
  28. 突/反応セル内に存在する前記イオンを当該衝突/反応セルから排出するのに十分に高いDC電圧を前記細長ロッドに印加することを特徴とする請求項3または8に記載の方法。
  29. 前記セル内に存在する前記イオンを前記セルから排出するのに十分に高いDC電圧を前記細長ロッドに印加することを特徴とする請求項16に記載の方法。
  30. 多重極子ロッドセットに印加される共通ロッドオフセット電圧にパルスを与えることにより前記フラッシュパルスを与える工程を含むことを特徴とする請求項3に記載の方法。
  31. エンドキャップを備えるセル内に多重極子ロッドセットを備える工程及び前記エンドキャップの内の少なくとも1つに電圧パルスを与えることにより前記フラッシュパルスを与える工程を含むことを特徴とする請求項3に記載の方法。
  32. イオンを減速するために前記工程(iv)において反転軸方向電場を与え、よってイオンの通過時間を長める工程を含むことを特徴とする請求項3に記載の方法。
  33. 前記処理区画内のイオンの内の少なくとも一部の排出を生じさせるに十分な振幅及び持続時間をもつ適当な信号を前記補助電極に与えることにより前記フラッシュパルスを与える工程を含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
  34. 少なくとも1つの処理区画を備える質量分析計装置であって、前記処理区画が:
    (i) 複数本の細長ロッドを備え、入口及び出口を有する、イオンと中性粒子とを衝突させられるように動作可能な多重極子ロッドセット;
    (ii) 前記多重極子ロッドにRF電圧を印加するための手段;及び
    (iii) 前記多重極子ロッドセットを通る1つの方向におけるイオンの移動を促進するために前記多重極子ロッドセットの内部に軸方向電場を発生するための手段;
    を備えた装置において、前記装置が、
    (iv) 前記処理区画に存在するイオンをさらなる分析、検出または処理の対象とはならないように排気するためのフラッシュパルスを発生するためのフラッシュパルス手段であって、前記処理区画に接続され、よって前記フラッシュパルスをイオン検出に先行する整定時間の開始前に印加することにより前記処理区画におけるイオン数を相当減少させるフラッシュパルス手段;
    を備えることを特徴とする装置。
  35. 前記処理区画が、所望のm/z比範囲にあるイオンに対する通過域の設定を可能にするために、前記多重極子ロッドセットに分解DC電圧を印加するための前記多重極子ロッドセットに接続されたDC電源を備えることを特徴とする請求項34に記載の装置。
  36. 軸方向電場を発生するための前記手段が前記多重極子ロッドセットの前記細長ロッドと交互する複数の補助電極及び前記補助電極と接続されたDC電源を含むことを特徴とする請求項34に記載の装置。
  37. 前記ロッドのそれぞれが複数のロッドセグメントを含み、前記DC電源は個々の前記ロッドセグメントに接続されており、前記DC電源が前記ロッドセグメントに個別のDCオフセット電圧を印加し、よって前記軸方向DC電場を発生するための手段を含むことを特徴とする請求項36または36に記載の装置。
  38. 前記処理区画が衝突セル及び反応セルの内の1つを含み、衝突ガス及び反応ガスの内の1つのための流入口を備えることを特徴とする請求項35または36に記載の装置。
  39. 前記処理区画の下流に質量分析器を備える
    ことを特徴とする請求項36に記載の装置。
  40. 前記質量分析器が検出器を備えることを特徴とする請求項36に記載の装置。
  41. 前記処理区画に送り込むためにイオンのm/z比を選択するための、前記処理区画の上流の第1の質量分析器、及び、前記処理区画から出てくるイオンを分析するための、前記処理区画の下流に設けられた第2の質量分析器を備えることを特徴とする請求項38に記載の装置。
  42. 軸方向電場を発生するための前記手段が、前記多重極子ロッドセットの前記細長ロッドと交互する複数の補助電極よりなり、非対称電圧波形源が当該補助電極に接続されていることを特徴とする請求項34に記載の装置。
  43. 軸方向電場を発生するための前記手段が、前記処理区画の応答時間を制御するために、減速軸方向電場を発生するように適合されていることを特徴とする請求項34に記載の装置。
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