JP4233801B2 - InGaN系化合物半導体発光装置の製造方法 - Google Patents

InGaN系化合物半導体発光装置の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はInGaN系化合物半導体発光装置の製造方法に関し、特に発光スペクトルの調整に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、GaN系化合物半導体を用いた発光装置(LEDや半導体レーザ)が知られている。例えば、波長360〜600nm帯で発光するLEDは、InXGa1-XN(0≦x≦1)を活性層(発光層)として用いる場合が多い。InxGa1-xNを発光層として用いた場合、組成xを変化させることで発光波長は360nm〜600nmの範囲で変化する。すなわち、x=0の場合は発光波長360nmであり、xを増大させるほど長波長側にシフトし、x=1において発光波長600nmとなる。360nm〜600nmの波長帯は、人間の視感度のほぼ全領域をカバーすることから(一般的には、可視光領域は380nm〜770nmである)、表示用や照明用など多くの用途が考えられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
表示用の光源として考えた場合、原理的には光の3原色(R、G、B)を混ぜることで任意の色を表現できるため、光源のスペクトルとしてはR、G、Bの3つの波長を有していれば足り、全ての視感度領域の波長を有する必要はない。
【0004】
しかしながら、より自然に近い色や、白色あるいは液晶ディスプレイのバックライトとして自然な色を表現するためには、光源の波長分布はできるだけ広く、望ましくは全ての視感度領域をカバーできる方がよい。InxGa1-xNを発光層として用いた場合、上記の如く組成xを変化させることで発光波長を変化させることができるが、従来においては組成xをある一定値に調整してR、G、Bに相当する発光デバイスをそれぞれ作製するのみで、広い半値幅を有する発光デバイス、あるいは発光スペクトルを適宜調整することができる発光デバイスは得られていなかった。
【0005】
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みなされたものであり、その目的は、発光スペクトルが広く、あるいは、発光スペクトルを所望の値に適宜設定することができる発光装置及び製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、InGaN系化合物半導体発光装置を製造する方法であって、基板上にInGaN系化合物半導体発光層を形成する際に、面内で温度分布を生じさせつつ前記InGaN系化合物半導体発光層を形成することで前記発光層の組成に前記温度分布に起因する組成分布を生じさせるステップを有し、前記温度分布は、前記基板の裏面に不連続的に膜を形成し、前記基板の裏面側から加熱することで前記膜が形成された部分と形成されていない隣接する部分において生成されるものであり、前記膜は、ストライプ状に形成され、前記ストライプ状の膜の幅及び間隔は、前記基板の厚さ以上に設定されることを特徴とする。
【0022】
このように、本発明では、窒化ガリウム系化合物半導体を形成する際に、面内温度分布を生じさせることで組成変化を生じさせる。InGaNやAlGaN、あるいは一般的にAlyInxGa1-x-yNを形成する際、その組成は温度変化に対して高感度に変化し、組成変化は発光波長の変化を生じさせる。したがって、同一デバイス内で意図的に面内温度分布を生じさせることで、同一デバイス内で発光波長を広範囲に変化させることが可能となり、組成の異なる領域を同時に駆動することで多数の発光ピーク波長が互いに重畳された広帯域スペクトル特性を得ることができる。あるいは、同一デバイス内で組成の異なる領域を同時に駆動するのではなく、択一的に駆動することで、発光ピーク波長を切替制御することも可能となる。例えば、360nmの発光ピーク波長と600nmの発光ピーク波長を同一デバイスで切替制御することができるようになり、デバイスの汎用性あるいはフレキシビリティを著しく高めることになる。
【0023】
GaN系化合物半導体層に面内温度分布を生じさせるには、基板面内で温度分布を形成することでGaN系化合物半導体の成長温度に分布を形成する他、基板面内は均一温度とし、GaN系化合物半導体成長時に外部から熱エネルギを局所的に印加する方法がある。前者の場合、基板裏面を加工して熱伝導特性に分布を形成すればよく、基板裏面に不連続的に膜(例えば金属膜)を形成して局所的に熱伝導率を増減させる、あるいは基板裏面に溝を形成して熱伝導率を局所的に低下させればよい。InGaNの場合、温度が高いとInの組成が低下して発光ピーク波長が短波長側にシフトし、温度が低いとInの組成が増大して発光ピーク波長が長波長側にシフトする。シフト量は、温度分布量で制御される。後者の場合、熱エネルギは光を照射することで印加できる。面内温度分布を形成するには、光を十分絞り込んで局所的に照射することが必要であり、光源とレンズの組み合わせが好適である。レーザ光を絞り込んで照射することも可能である。MOCVD法を用いて基板上にGaN系化合物半導体を成長させる際、MOCVD装置の内部あるいは外部に光源を設け、光源からの光で局所的に加熱する。温度分布は照射エネルギで制御される。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき本発明の実施形態について説明する。
【0025】
<第1実施形態>
図1には、本実施形態に係るGaN系化合物半導体を用いたLEDの基本構成が示されている。基板10上に順次n型GaN層12、SiドープGaN層14、InGaN発光層16,AlGaN層18、p型GaN層20が積層され、p型GaN層20に接してp電極22、n型GaN層12に接してn電極が形成される構成である。
【0026】
図1に示されたLEDは以下のプロセスにより作製される。すなわち、まず、MOCVD装置にてサファイアc面基板を水素雰囲気中で1100℃、10分間熱処理する。そして、温度を500℃まで降温させ、シランガスとアンモニアガスを100秒間供給して不連続なSiN膜を基板10上に形成する。なお、このプロセスはデバイス中の転位密度を低減させるためのものであり、図ではSiN膜は省略している。次に、同一温度でトリメチルガリウム及びアンモニアガスを供給してn型GaN層12を20nm厚成長させる。温度を1050℃に昇温し、再びトリメチルガリウム及びアンモニアガスを供給してSiドープGaN層14を4μm厚成長させる。その後、温度を700℃程度まで降温してInGaN発光層16を2nm厚成長させる。目標組成はx=0.15、すなわちIn0.15Ga0.85Nである。発光層16成長後、温度を1000℃まで昇温してAlGaN正孔注入層18を成長させ、さらにp型GaN層20を成長させる。
【0027】
p型GaN層20を成長させた後、ウエハをMOCVD装置から取り出し、Ni10nm厚、Au10nm厚を順次真空蒸着で成長層表面に形成する。5%の酸素を含む窒素ガス雰囲気中で520℃熱処理することで金属膜はp型透明電極22となる。透明電極形成後、全面にフォトレジストを塗布し、n型電極形成のためのエッチングをフォトレジストをマスクとして行う。エッチング深さは、例えば600nm程度である。エッチングで露出したn型GaN層12上にTi5nm厚、Al5nm厚を形成し、窒素ガス雰囲気中で450℃30分間熱処理してn型電極24を形成する。
【0028】
最後に、基板10の裏面を100μmまで研磨してチップを切り出し、マウントすることでLED発光デバイスが得られる。
【0029】
In0.15Ga0.85N発光層16の発光ピーク波長は450nm、発光スペクトルの半値幅は約15〜20nmである。発光ピーク波長は、InGaNの成長温度に敏感で、例えば成長温度が10℃異なると発光ピーク波長は20nm以上変化する。これは、InGaNの成長温度がInNの蒸発温度(約500℃)より高いので、InXGa1-xNの組成xが、InNの蒸発率とInGaNの供給率とのバランスで決定されるからである。具体的には、温度が高いと、InNが蒸発してIn組成xは低下し、組成xの低下に伴い発光波長が短波長側にシフトする。
【0030】
また、温度が低いと、InNの蒸発が抑制され、In組成xが増大して発光波長が長波長側にシフトする。
【0031】
このことは、同一ウエハ面内において温度分布が存在すると、その温度分布に起因して発光ピーク波長が変化することを意味し、逆に、ウエハ面内で意図的に温度分布を生ぜしめることで異なる発光ピーク波長を有する領域を形成できることを意味する。すなわち、温度分布を形成することで複数の発光波長ピークを任意に形成できるのである。本実施形態においては、このような原理に基づき、ウエハ内において意図的に温度分布を形成し、これにより発光層16の組成に分布を生ぜしめて発光ピーク波長を変化させる。
【0032】
図2には、本実施形態において面内温度分布を生成するための方法が示されている。基板10の裏面側、すなわちGaN層が形成される表面とは反対側に不連続的に金属膜11を形成する。金属膜11は、例えばストライプ状に形成する。金属膜11材料としては、GaNの成長温度よりも高い融点を有し、かつ、アンモニアなどの原料ガスと反応しない(あるいは反応が少ない)材料を用いることが必要であり、具体的にはMo(モリブデン)やTi(チタン)を用いることができる。膜の材料として金属ではなく、半導体あるいは絶縁体を用いることも可能である。サファイア基板は絶縁体で透明であり、基板の加熱はヒータ加熱された基板ホルダに基板を接触させて行われる。基板10の裏面に不連続的に金属膜11を形成すると、基板ホルダからの放射熱はこの金属膜11により吸収されて基板10に伝達され、また、基板ホルダとの熱的接触状態が変化することで金属膜が形成された部分と形成されていない部分とで熱伝導に差が生じ、結果として基板に温度分布が生じる。したがって、不連続に金属膜11が形成された基板10を用いて図1に示されるような発光デバイスを形成すると、金属膜11が形成された部分と形成されていない部分においてInGaN発光層16のIn組成xに分布が生じ、発光ピーク波長が異なる領域を生成できる。
【0033】
なお、温度分布が生じるとInGaNの成長温度分布が生じ、これにより組成だけでなくInGaN層の厚さも変化する。InGaNの発光ピーク波長はその厚さにも依存するため、厳密には、温度分布により組成分布及び層厚分布が生じ、これにより発光ピーク波長がシフトすると云うことができる。
【0034】
【実施例1】
図3には、本実施例における発光デバイスの構成が示されている。330μm厚のサファイア基板10の裏面に50nm厚のTiを電子ビーム蒸着法とフォトリソグラフィ法を用いてストライプ状に形成した。ストライプ幅(s)とストライプ間隔(w)を同一とし(s=w)、それらを種々変化させて同一サファイア基板10の裏面に形成した。基板10を基板ホルダに載置してヒータで加熱し、順次n型GaN層12、InGaN発光層16、p型GaN層20を形成した。InGaN発光層16からの発光をフォトルミネセンス法により測定した。測定に際しては、励起光源のスポット系を10μm程度にレンズで絞り、狭い領域からの発光を観測するように注意した。フォトルミネセンスピーク波長は、基板裏面のMoのストライプ幅sに依存した。基板ホルダの温度を変化させて測定した。測定結果を表1及び表2に示す。
【0035】
【表1】
Figure 0004233801
【表2】
Figure 0004233801
なお、表1における基板ホルダ温度は700℃、表2における基板ホルダ温度は670℃である。s=w=200μmを越えると基板10の裏面にTiを形成している領域と形成していない領域でフォトルミネセンスピーク波長がシフトし始めることが分かる。例えば、s=w=200μmでは、Tiを形成していない領域で440nmであり、Tiを形成している領域で445nmであって、Tiを形成していない領域では短波長側にシフトしている。これは、Tiを形成している領域では温度が低くなり、Inの組成xが増加したことを意味している。
【0036】
また、表1と表2を対比すると、成長温度を低くしてIn組成を増大させた方(表2)がそのシフトが大きくなることも分かる。ストライプ間隔wが基板10の厚さよりも狭い場合、すなわち、w<330μmの場合、基板10表面での温度分布は形成され難い。発光波長から基板10表面における温度分布を見積もると、s=w=500μmのときに約10℃の温度差が生じていると考えられる。
【0037】
【実施例2】
同様の実験を50μm厚のサファイア基板を用いて行った。その結果を以下の表に示す。
【0038】
【表3】
Figure 0004233801
【表4】
Figure 0004233801
なお、表3は基板ホルダ温度が700℃の場合であり、表4は670℃の場合である。s=w=50μmに着目すると、Tiを形成していない領域の発光波長485nmに対し、Tiを形成している領域の発光波長495nmであり、s=w=50μmでも発光ピーク波長がシフトすることが分かる。また、ストライプ幅sの増加とともにシフト量も大きくなるが、ある値で飽和する傾向があることも分かる。
【0039】
これらの結果より、ストライプ間隔wと幅sは、基板の厚さ以上に設定すれば発光ピーク波長のシフトを起こさせる効果があると云える。また、ストライプ幅及びストライプ間隔が同一でも、成長温度が低い方がより効果的であると云うこともできる。
【0040】
なお、デバイス作成に際しては、最終段階で基板の裏面を研磨するため、裏面に形成したTiはデバイス特性に影響することはない。
【0041】
さらに、実施例1及び実施例2において、Tiの代わりにMoを用いた実験も行ったが、ほぼ同一の結果が得られた。
【0042】
【実施例3】
本実施例では、電極を形成して電圧を印加する実験を行った。まず、50μm厚のサファイア基板の裏面にTiをストライプ状に蒸着した。ストライプ幅sとストライプ間隔wはともに基板の厚さよりも大きい200μmとした。MOCVD装置にて1100℃の水素雰囲気中で10分間熱処理し、その後温度を500℃まで降温してシランガスとアンモニアガスを100秒間流すことで不連続なSiN膜を基板上に形成した。続いて、同じ温度で20nm厚のn型低温GaNバッファ層をトリメチルガリウム及びアンモニアガスを供給して成長させた。温度を1050℃に昇温して再びトリメチルガリウム及びアンモニアガスを供給して4μm厚のn型GaN層を成長させた。その後、温度を670℃に下げて2.5nm厚のInGaN発光層を成長させた。温度を1000℃に昇温してAlGaN正孔注入層、及びp型GaN層を順次成長させてLEDウエハを作成した。ウエハをMOVCD装置から取り出し、ウエットエッチングにより基板裏面のTiを除去した。Ni10nm厚、Au10nm厚を順次真空蒸着して成長層表面に形成した。5%の酸素を含む窒素ガス雰囲気中で520℃で熱処理して金属膜をp型透明電極とした。全面にフォトレジストを塗布し、フォトレジストをエッチングマスクとしてエッチングを行った。エッチング深さは400nmである。エッチングにより露出したn型GaN層上にTi5nm厚、Al5nm厚を形成し、窒素ガス雰囲気中で450℃で30分間熱処理した。この工程によりn電極を形成した。さらに、リフトオフによりp電極とn電極の一部にワイヤボンディング用の200nm厚のAuを真空蒸着で形成し、その後基板裏面をスクラブしてチップを切り出し、マウントしてLEDデバイスを作成した。
【0043】
図4には、作製されたLEDデバイスの平面図が示されている。デバイスのサイズは300×200μm2である。図において、斜線部分が基板裏面にTiを形成した領域である。p型透明電極22及びn型電極24は、基板裏面にTiが形成された領域と形成されていない領域にわたって共通形成されている。p型透明電極22の一部(Tiが形成された領域と形成されていない領域の境界)にワイヤボンディング用のAuパッド26が形成されている。両領域の面積比rをr=(Ti形成領域面積/Ti非形成領域面積)とし、面積比rを変化させると発光スペクトルが変化した。20mAの電流を流したとき、482nmと499nmに2つのピークを持つスペクトルが得られた。
【0044】
図5には、r=1のときの発光スペクトルが示されている。r=1のとき、ピーク強度の比(483nm/505nm)は約1.4であった。482nmと499nmの間では、両方のピークの裾が重なるため、460〜520nmの広範囲にわたって発光スペクトルを有する光が得られた。
【0045】
【実施例4】
p型透明電極22をTiが形成された領域と形成されていない領域毎に個別形成し、個別に電流を流した。図6には、本実施例におけるデバイスの平面図が示されている。実施例3と同様、斜線部分は基板裏面にTiが形成された領域である。Tiが形成された領域と形成されていない領域にそれぞれp型透明電極22が形成され、それぞれにAuパッド26が形成される。なお、n型電極24は共通である。Tiが形成されていない領域では482nmにピークを有する発光スペクトルが得られ、Tiが形成されている領域では499nmにピークを有する発光スペクトルが得られた。したがって、両領域に個別にp型透明電極22を形成し、これらに択一的に電圧を印加して択一的に通電することで、図7に示されるように2つの発光スペクトルI、IIを切替制御できるLEDデバイスが得られた。
【0046】
<第2実施形態>
上述した第1実施形態においては、基板10の裏面に不連続的に金属膜11を形成して温度分布を形成しているが、基板10の裏面に凹凸を形成して温度分布を形成することも可能である。具体的には、図8に示されるように、基板10の裏面に溝10aを形成する。溝10aは、例えばダイヤモンド粒を埋め込んだ切削回転円盤(ブレード)によりウエハを切断する装置を用いて形成することができる。溝10aの幅はブレードの厚さで決定され、例えば200μmとすることができる。溝10aの深さは、330μmのサファイア基板に対し、270μm等とすることができる。
【0047】
【実施例5】
図9には、裏面に溝10aが形成された基板10を基板ホルダ102上に載置し、ヒータ100で加熱する状態が示されている。各部の寸法は、サファイア基板10は330μm厚、溝10aの幅は200μm、溝10aの深さは270μmである。基板10を基板ホルダに載置してヒータで加熱し、順次n型GaN層12、InGaN発光層16、p型GaN層20を形成した。InGaN発光層16からの発光をフォトルミネセンス法により測定した。測定に際しては、励起光源のスポット系を10μm程度にレンズで絞り、狭い領域からの発光を観測するように注意した。基板ホルダ温度を700℃として成長させた場合、溝10a上部での発光ピーク波長は445nmであった。一方、溝10aを形成していない領域での発光ピーク波長は440nmであり、約5nmの波長シフトが観測された。これは、溝10aが存在する領域では、基板ホルダ102からの熱伝導が低下し、InGaN発光層16の成長温度が溝10aの存在していない領域に比べて低下したことに起因するものである。このように、基板10の裏面に溝10aを形成して凹凸を形成することで基板10面内において温度分布を形成し、これによりInGaN発光層16の成長温度に面内分布が生じ、組成分布を生じて発光ピーク波長をシフトさせることができる。
【0048】
なお、基板10の溝10aが存在しない平坦部分では基板表面は主に基板を通しての熱伝導により加熱される。一方、溝10aが存在する部分では溝10aの中での放射やガスの対流により基板裏面が加熱され、その後基板を通しての熱伝導で加熱される。但し、溝10a内部での対流や平坦部分での熱接触は基板裏面の表面状態や基板の反り、微少ゴミなどによる基板の浮き上がりなど多くのパラメータの影響を受けることになる。したがって、基板の表面状態をできるだけクリーンな状態とし、基板の反りや微少ゴミなどは極力排除することが再現性の観点からは好ましい。
【0049】
本実施例では、基板10の裏面に溝10aを形成することで裏面が凹凸状態となっているが、最終工程では基板裏面を研磨して基板厚さを100μm以下とするため、デバイス作製時における溝10aは最終的なデバイスには存在せず、その特性に影響を与えることはない。
【0050】
【実施例6】
基板10の裏面に溝10aを形成して実施例3と同様にLEDデバイスを作製した。すなわち、p型透明電極22を溝10aが形成された部位と形成されていない部位で共通形成した。この場合、溝10aを形成しない平坦な基板を用いて作製されたLEDデバイスに比べ、約5nm〜10nm半値幅の広いLEDデバイスが得られた。
【0051】
<第3実施形態>
第1実施形態及び第2実施形態では、基板の裏面を加工することで基板面内に温度分布を形成し、これによりInGaN発光層の成長温度に面内分布を生じさせているが、基板は従来技術と平坦なものを用いてヒータで均一に加熱し、InGaN発光層を成長させるときに直接的に成長温度に面内温度分布を生じさせることも可能である。すなわち、InGaN発光層を成長させるときに局所的に熱エネルギを印加して温度分布を形成するのであり、例えばMOCVD装置に設けられた観察用の光学窓を通して外部から光を照射し、発光層の成長温度を制御する。
【0052】
【実施例7】
図10には、本実施例の構成図が示されている。MOCVD装置104内に基板10、基板ホルダ102及びヒータ100を配置し、基板10の裏面をヒータ100で加熱する。さらに、MOCVD装置104の光学窓106を介して光源110からの光をレンズ108で集光して基板10の表面に照射した。光源110あるいはレンズ108をスキャン可能なように支持した。光源110として1kWの水銀ランプを用い、直径30cmの石英レンズで光源110からの光を基板10の表面に集光させた。また、図示していないが光路上にシャッタを設け、照射時間を調節した。レンズの焦点距離は40cm、焦点でのスポット径は0.5mmである。ヒータ100で基板10の温度を上昇させ、n型GaN層、InGaN発光層、p型GaN層を順次成長させた。InGaN発光層の成長時のみシャッタを開け、基板10上のある一点の温度を上昇させた。基板ホルダ温度を670℃としてInGaN発光層16を成長させた場合、光スポットから離れた部分での発光ピーク波長は約505nmであった。一方、光スポットの中心付近での発光ピーク波長は390nmであった。このように、光を照射することでInGaN発光層の成長温度に分布を生じさせ、発光ピーク波長をシフトさせることができた。なお、光路の一部にガラスなどを入れて光強度を弱くしたり、あるいは焦点を故意にずらすことで光スポット部分の温度を下げることが可能であるので、本実施例において390nm〜505nmの範囲で波長を任意にシフトさせることが可能である。
【0053】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものでなく種々の変更が可能である。
【0054】
例えば、第1実施形態においては基板裏面に不連続的に金属膜を形成し、第2実施形態では基板裏面に溝を形成し、第3実施形態では基板表面に熱エネルギを局所的に印加しているが、これらを適宜組み合わせて温度分布を生じさせることも可能である。例えば、基板裏面に金属膜を不連続的に形成するとともに、発光層成長時に基板表面から光を照射する等である。
【0055】
基板裏面に不連続的にストライプ状に金属膜を形成するとともに、金属膜が形成されていない部分にさらに溝を形成することも可能である。
【0056】
また、上述した第1〜第3実施形態においては、発光層としてInGaNを用いているが、AlyInxGa1-x-yN(0≦x≦1、0≦y≦1)を発光層として用いることが可能である。AlGaNを発光層とする場合も本発明に含まれる。
【0057】
InGaNやAlGaN層を含む多層構造を発光層として用いる場合も同様である。AlyInxGa1-x-yNを発光層として用いた場合、発光波長範囲が280nm〜600nmの広い波長範囲を有するLEDデバイスを作製することが可能である。
【0058】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば温度分布に起因して発光層の組成をシフトさせ、これにより発光波長領域を広範囲に設定することができる。また、組成の異なる領域を択一的に駆動することで、発光スペクトルを切替制御できるデバイスを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 発光装置の基本構成図である。
【図2】 第1実施形態の基板裏面説明図である。
【図3】 第1実施形態における発光デバイス構成図である。
【図4】 第1実施形態の発光デバイス平面図である。
【図5】 第1実施形態の発光スペクトルを示すグラフ図である。
【図6】 第1実施形態の他の発光デバイス平面図である。
【図7】 第1実施形態の他の発光スペクトルを示すグラフ図である。
【図8】 第2実施形態の基板裏面説明図である。
【図9】 第2実施形態の成長装置構成図である。
【図10】 第3実施形態の成長装置構成図である。
【符号の説明】
10 基板、12 n型GaN層、14 SiドープInGaN層、16 InGaN発光層、18 AlGaN層、20 p型GaN層、22 p型電極、24 n型電極。

Claims (6)

  1. InGaN系化合物半導体発光装置を製造する方法であって、
    基板上にInGaN系化合物半導体発光層を形成する際に、面内で温度分布を生じさせつつ前記InGaN系化合物半導体発光層を形成することで前記発光層の組成に前記温度分布に起因する組成分布を生じさせるステップを有し、
    前記温度分布は、前記基板の裏面に不連続的に膜を形成し、前記基板の裏面側から加熱することで前記膜が形成された部分と形成されていない隣接する部分において生成されるものであり、
    前記膜は、ストライプ状に形成され、前記ストライプ状の膜の幅及び間隔は、前記基板の厚さ以上に設定されることを特徴とするInGaN系化合物半導体発光装置の製造方法。
  2. 請求項1記載の方法において、
    前記膜はモリブデンあるいはチタンであることを特徴とするInGaN系化合物半導体発光装置の製造方法。
  3. 請求項1、2のいずれか1に記載の方法において、さらに、
    前記InGaN系化合物半導体発光層を形成した後、前記基板の裏面を研磨するステップを有することを特徴とするInGaN系化合物半導体発光装置の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1に記載の方法において、
    前記InGaN系化合物半導体発光層は、AlyInxGa1-x-yN(但し、0≦x≦1、0≦y≦1)を含むことを特徴とするInGaN系化合物半導体発光装置の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれ1に記載の方法において、さらに、
    前記InGaN系化合物半導体発光層に電圧を印加するためのp電極及びn電極を形成するステップを有し、
    前記p電極及びn電極は前記温度分布の高い領域と低い領域にわたって共通形成されることを特徴とするInGaN系化合物半導体発光装置の製造方法。
  6. 請求項1〜4のいずれか1に記載の方法において、さらに、
    前記InGaN系化合物半導体発光層に電圧を印加するためのp電極及びn電極を形成するステップを有し、
    前記p電極あるいはn電極のいずれかは前記温度分布の高い領域と低い領域毎に個別形成されることを特徴とするInGaN系化合物半導体発光装置の製造方法。
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