<第1の実施の形態>
本形態では、流体の凝集処理装置およびそれを用いた凝集処理方法を説明する。先ず、図1を参照して、本形態の凝集処理装置を説明する。同図を用いて説明する凝集剤製造装置10は、凝集処理装置の一例である。図1(A)は、凝集剤を製造する製造装置10Aの模式図であり、図1(B)は他の形態の製造装置10Bの模式図である。
図1(A)を参照して、凝集剤製造装置10Aは、シリカが含まれる流体中に周期表の8族に属する金属または前記金属イオンを導入して、シリカと金属イオンとが結合した凝集剤を生成する生成手段を有する構成である。ここでは、この生成手段として、電極対が採用されている。以下に本形態の凝集剤製造装置10Aをその作用と共に説明する。
タンク11には、本形態による処理を行う流体Wが収納されている。ここで、流体Wとしては、シリカを含有する流体が採用される。例えば、CMP工程等から発生する排水には、シリカが含まれている。また、シリカ等のケイ素を含む流体で有れば、CMP工程から発生する排水以外の流体を採用することも可能である。
第1の電極12Aおよび第2の電極12Bから成る電極対12は、電気化学的処理により流体を処理する働きを有する。ここでの電気化学的処理とは、例えば、電極から溶出した金属イオンによる凝集効果を指す。ここでは、1対の電極対12が図示されているが、多数の電極対12が流体に浸漬されるような構成を採用することもできる。また、各電極の形状としては、棒状の形状、板状の形状、等様々な形状を採用することもできる。第1の電極12Aと第2の電極12Bとの間隔は、短絡を起こさない範囲で接近させるほうが好ましい。この間隔を狭くすることにより、流体の電気化学処理に用いる電力を少なくすることができる。更にまた、第1の電極12Aは周期表の第8族、又は第8族を含む導電体、若しくは、同族、又は同族を含む導電体を被覆したものが採用可能である。例えば、鉄(Fe)、若しくは、鉄を被覆したものを第1の電極12Aとして採用することができる。第1の電極12Aおよび第2の電極12Bは、直流電流を供給する電源12Cに電気的に接続されている。更に、電極対12の切替を行う為の切替手段が、電源に装備されている。また、電極対12を通過する電流またはそれに印可される電圧をモニタリングする監視手段が付加されても良い。この監視手段の出力に応じて、電極対12の動作を制御することが出来る。また、電極対の電解による前記流体の温度上昇を抑えるために冷却器を設置してもよい。具体的には、冷却器はタンク11を冷却する手段や、流体を冷却装置内に流入させる手段により流体の温度を制御することが可能となる。
攪拌装置14は、タンク11に収納された流体Wを攪拌する働きを有する。ここでは、モーターに接続されたプロペラが流体中で回転する機構により、流体Wは攪拌される。攪拌装置としては、攪拌の作用を有するものであれば他の機構を有する装置でも良い。
符号P1は、本形態の被処理水である流体W1をタンクP1に供給するための経路を示す。この経路P1は、上述したようにCMP工程から排出される排水が通過しても良い。更に、濃縮等の何らかの前処理が施されたCMP排水がP1からタンク11内に導入されても良い。
符号P2は、pH調整剤または導電率調整剤が導入される経路である。これらの調整剤は、別々の経路から導入されても良い。ここで、PH調整剤は、タンク11の内部の流体W1に、流体に溶けて酸性を示す調整剤を云う。例えば、塩酸、硫酸等の薬品の他にも、水に溶解して酸性を示す固体や粉体をPH調整剤として採用することができる。流体に含まれる微粒子は、流体のPHがアルカリ性に傾くとその流動性が失われる場合がある、そこで、PH調整剤により流体のPHを酸性にすることにより、性能の安定した凝集剤の作製、または、安定した凝集を行うことが出来る。
導電率調整剤としては、ハロゲンイオン、若しくは、ハロゲンイオンを含む化合物を採用することができる。具体的に、この導電率調整剤としては食塩を採用することが可能であり、水等の溶媒に溶かした状態、粉末の状態または固体の状態で、流体Wに供給することができる。このように、流体Wに導電率調整剤を添加することで、流体Wの導電率を向上させることが可能になる。従って、流体Wを介して電極対12に所定の電流を流すことが出来る。更に、流体のPHをモニタリングする監視手段を装備して、この監視手段の出力に応じて、添加するPH調整剤の量を決定しても良い。更にまた、タンク11に収納された流体の温度を計測する手段を設けて、流体Wの過度の温度上昇を防止するようにしても良い。
次に、上記構成を有する電極対12の動作を説明する。先ず、P1より流体W1をタンク11の内部に導入する。そして、電源12Cをオンにすることにより電極対12を作動させる。第1の電極12Aが電源12Cの正極に接続されてアノード電極となり、第2の電極12Bが電源12Cの負極に接続されてカソード電極と成っている。これにより、流体Wは電気化学的手法としての電解処理が行われる。アノードを構成する第1の電極12Aは、上述の如き導電体にて構成されていることから、第1の電極12Aより鉄(II)イオンが流体中に溶出して、流体中において鉄(III)イオンにまで酸化される。そして、流体に含まれる被除去物の1つであるシリカと化学的に反応して、鉄シリカの高分子化合物が生成される。鉄シリカの凝集物である高分子化合物は、もともとのシリカの粒子よりも若干大きく形成されている。ここで、電極対12から溶出される金属の量は、モル比で、流体中に含まれる被除去物の4〜5倍の量が好適である。具体的には、流体中に含まれる被除去物と結合するイオン量よりも多量の金属イオンを導入することが好適である。
また、鉄シリカの高分子化合物は、それ自身が凝集剤として機能する。更に、シリカはCMP排水に含まれる被除去物である。従って、鉄シリカを凝集させることにより、被除去物の1つであるシリカを凝集させて排水処理を容易にし、更に、鉄シリカの凝集剤を生成することができる利点がある。鉄シリカの凝集剤が生成されることにより、CMP排水中に含まれるシリカ以外の砥粒や研削屑を凝集させて、凝集剤の生成または凝集による排水処理を容易にすることができる。
鉄シリカ凝集剤は鉄(II)イオンとシリカの結合により生成されるより、鉄(III)イオンとシリカの結合により生成された方が凝集作用が強い。しかし、鉄の電解処理により溶出する鉄(III)イオンの量は微少であり、ほとんどが鉄(II)イオンとして溶出され、タンク11内に存在する。そこで、酸化剤を添加し、鉄(II)イオンを酸化することにより、鉄(III)イオンを生成し、鉄シリカ凝集剤を生成することも可能である。酸化剤としては過酸化水素または、オゾンなどが好ましい。更に、本願発明者が行った実験によると、シリカ量1200mg/LのCMP排水200CCに対して30%の濃度の過酸化水素3mL添加することで十分な鉄(III)イオンを生成することが可能であった。オゾンの添加方法としては、オゾン発生装置などから発生させたオゾンをタンク11中の流体W中に気泡として供給する方法または、オゾンを含有する流体をタンク11に流入させる方法などがある。
酸化剤を添加するタイミングは、鉄(II)イオンが導入、または溶出された後であることが好ましい。具体的には後述するPH調整中または調整後が好ましい。また、過酸化水素やオゾンは半導体の製造工程において、排水中に含まれる。よって、過酸化水素やオゾンを含んだ排水を酸化剤としてCMP排水が貯留された凝集剤製造装置に流入させることにより、半導体製造工程で発生した排水を、効率的に処理すると同時に凝集剤を低コストで生産することが可能となる。また、他の製造プロセスにおいて使用する過酸化水素を流用することもできる。鉄(III)イオンは、酸化剤である過酸化水素などが、鉄(II)イオンを酸化することにより生成される。よって、鉄(II)イオンと反応する酸化剤の量を調節することにより、生成される鉄(III)イオンの量を調整することが可能となる。従って、酸化剤により鉄(II)イオンの少なくとも一部を、鉄(III)イオンにすることにより、鉄(II)イオンから生成される凝集剤と鉄(III)イオンから生成される凝集剤との比を調節することが可能となる。また、鉄イオンの添加量を調節することにより、生成する凝集剤を構成する鉄とシリカのモル比を変えることも可能となる。以上のことから、鉄シリカ凝集剤の凝集性能を制御することができ、処理する排水に適合した凝集剤を製造することが可能となる。また、有機性排水などに強力な凝集剤を添加した場合、有機性排水が泡立ちを起こしてしまい、凝集作用の低下が問題となっている。しかし、本凝集剤はシリカと結合する鉄イオンの種類および、鉄とシリカのモル比を制御することが可能であることから、凝集剤の凝集能力を調整することが可能である。従って、本凝集剤を使用することにより問題を解決することができる。
上記電気化学的処理と伴に、P2を介した両調整剤の添加を行う。導電率調整剤を流体W1に添加することにより、電極対12による電気処理を確実に行うことが出来る。また、PH調整剤を添加することにより、流体Wに混入した被除去物同士が自ら凝集してフロックを形成するのを抑止することができる。即ち、流体Wを中性よりも酸性側に調整することで、流体中に含まれる粒子同士を離間させることができる。更に、本願発明者が行った実験によると、PHが2.5から2の範囲内でも鉄シリカ凝集剤の良好な生成を行うことができた。また、酸化剤による鉄(III)イオンを生成する最適PHは2.8付近であり、酸性下であることが好ましことから、鉄(III)イオンの形成および、鉄シリカ凝集剤の生成をほぼ同じ酸性領域下で行うことができる。従って、元々アルカリ性であるCMP排水に対して、上記電解処理による凝集を行う際には、少なくともCMP排水が中性に成る程度のPH調整剤を添加することが好ましい。しかし、流体WのPHは必ずしも酸性で有る必要はなく、フロックの形成の危険が無いので有れば、PH調整を省いた凝集を行うこともできる。また、流体のpHの調整は、上記凝集処理を行った後に行っても良い。
上記凝集処理を行った被処理水を放流する場合を考えると、凝集処理を行った流体は中性にすることが好ましい。pHの排水基準を満たすためである。また、好適な凝集処理を行うためにも、流体のpHを中性に調整することは好適である。
上記電気化学処理を進行させると、水酸基(OH)が生成されることにより、タンク内の流体はアルカリ性に成る。従って、この現象による流体のアルカリ化を阻止するためにも、上記したPH調整手段の作用は重要である。
上記処理を開始して暫くしたら、電極対12の極性を切り替える。具体的には、第1の電極12Aをカソードにし、第2の電極12Bをアノードにする。この切替は、予め所定の時間を設定して定期的に行うこともできる。更に、電極対12を通過する電流または電極対12に印可される電圧をモニタリングすることで切替を行うことも出来る。この電極の切替を行うことにより、カソードの電極に付着した被除去物による導通の阻害を抑止することができる。具体的には、電極をアノードに切り替えることにより電極表面の金属が溶出して、表面に付着した被除去物の層が剥離される。従って、連続して凝集処理を行うためには、電極の極性を切替ながら電気化学的処理を行うのが好適である。また、上記電解処理を行っている間は、攪拌装置14により流体Wの攪拌を行う。このことにより、タンク11に収納された流体に含まれる被除去物を均一に凝集させることができる。
上記電気的処理を行うことにより流体Wに含まれる被除去物の凝集が行われる。即ち、この凝集により流体に含まれる被除去物を除去することができる。更に、被除去物としてシリカのようにケイ素を含む物質が含有される場合は、凝集剤として機能する高分子化合物を生成することができる。更に、流体Wにシリカ以外の非凝集性の物質が含まれた場合でも、上記方法により生成された凝集剤の凝集効果により除去することができる。また、CMP排水に含まれる被除去物は、シリカ以外にも銅などの有害物質を有する場合もあるが、この場合に於いても、凝集剤を生成することにより、銅などの有害物質を共沈して除去することができる。
CMP排水には、粒径が100ナノメートル程度の極めて微細なシリカが混入されている。従って、このような微細なシリカから生成される凝集剤もまた微細なものとなっている。微細な径を有する凝集剤は、一般的に、凝集性能が高い。更に、凝集剤自体が凝集してしまうことによる凝集能力の低下も、抑止することができると考えられる。ここで、本形態により生成される凝集剤の粒径分布は、例えば、1μmから500μmの範囲である。また、この凝集剤の粒径分布は、1つのピークまたは複数のピークを有する形状となる。
図1(B)を参照して、他の形態の凝集剤製造装置10Bを説明する。この図に示す凝集剤製造装置10Bは、上述した電極対12に代替して、金属を含む物質を流体Wに添加する手段を有する構成になっている。具体的には、経路P3から金属を含む流体をタンク11の内に導入している。具体的に、導入される流体に含まれる金属としては、上述した電極対12を構成している金属と同じものを採用することができる。例えば、この流体としては、イオン化された金属(例えば鉄)を含む流体を採用することが可能である。一例として、塩化鉄を含む流体を経路P3から導入することもできる。また、導入する鉄(III)イオンの量を調整することにより、使用用途に最適な凝集剤を製造することも可能である。
上述したように、図1を参照して説明した凝集剤製造装置は、被除去物が含まれる流体の凝集処理を行うことができるうえに、この流体に含まれるシリカと金属イオンとからなる高分子化合物を生成することができる。従って、上記流体WとしてCMP排水等のシリカ分を含む排水を採用した場合は、排水処理を行うと同時に、高性能の凝集剤を生成することができる。このことから、上記した凝集剤製造装置は、凝集処理装置であるとみなすことができる。また、上述した方法により製造された凝集剤は、上水道や下水道等の幅広い分野で使用することができる。
図2を参照して、上述した凝集剤製造装置10を用いた排水処理装置の一例を説明する。同図を参照して、CMP装置15からは、シリカ等のケイ素成分を含むCMP排水が排出される。このCMP排水の経路を示すのが経路P1である。経路P1では、CMP排水から排出されたCMP排水が凝集剤製造装置10まで運ばれる。そして、経路P1の途中にはCMP排水処理装置17が設けられている。
CMP装置15では、CMP処理を行うことによりCMP排水が排出される。このCMP排水に含まれるシリカの濃度は、一例として、1000ppmから2000ppmである。更に、シリカ以外にも金属等の被除去物が含有される。
CMP排水処理装置17は、凝集剤製造装置10に送られるCMP排水の前処理を行う。具体的には、CMP排水の濃縮や夾雑物の除去等を行う。CMP排水を濃縮する具体的な方法としては、天日による濃縮、加熱による濃縮、濾過装置による濃縮、凝集沈殿による濃縮等が考えられる。本形態では、後述する第2の実施の形態で説明する濾過装置を用いた方法も採用することができる。CMP排水処理装置17を用いてCMP排水の濃縮を行うことで、凝集剤製造装置10にて濃度が高い凝集剤を生成することができる。ここで、CMP排水処理装置17を省いて全体を構成することも可能である。
凝集剤製造装置10では、CMP排水から凝集剤を生成する。凝集剤製造装置10の詳細は図1を参照して説明したので、その説明はここでは割愛する。この装置で生成される凝集剤により、その凝集剤の量の100倍から1000倍程度の量のCMP排水を処理することが出来る。
経路P3は、凝集剤製造装置10で生成された凝集剤が通過する経路である。この経路を通過する凝集剤は、凝集剤製造装置10により凝集処理されたままの液体の状態でも良いし、濃縮等の処理が行われた状態でも良い。更に、凝集剤は、固形状または粉末状の固体の状態でも良い。
固液分離装置16では、凝集剤製造装置10で生成された凝集剤を用いた排水の浄化が行われる。この装置で処理される被処理水の一例としては、経路P4を通過するCMP排水が挙げられる。ここで用いる凝集剤は、CMP排水の一部を電解処理することで生成されたものである。従って、本形態では、CMP排水の一部から生成した凝集剤を用いて、残りのCMP排水自体の固液分離を行うことが可能となる。このことは、本形態の一つの利点である。即ち、従来では、別途用意した処理剤等を用いてCMP排水の処理を行ったが、本形態では、その処理剤を不要にしてCMP排水の処理を行うことが可能に成る。更には、CMP排水から生成した凝集剤を有価物として取り扱うこともできる。
固液分離装置16の具体的な機構としては、膜濾過を行う機構、凝集沈殿を行う機構等を全般的に採用することができる。更に、後述する第2の実施の形態で説明する濾過装置をここで用いることもできる。いずれの機構に於いても、本形態の凝集剤を用いることにより、流体に含まれる被除去物の凝集が行われ、被除去物の除去を効率的に行うことが可能となる。更に、本形態の凝集剤を用いることで、被除去物に含有される重金属等の有害物質の凝集も可能になる利点もある。更にまた、固液分離装置16ではCMP排水から成る凝集物が生成される。脱水処理されたこの凝集物は、吸着剤または断熱材として用いることが可能である。また、この装置で処理された処理水は、系外に放出されても良いし、再利用されても良い。
経路P5は、CMP排水以外の排水が固液分離装置16に流入する経路である。例えば、半導体製造工場でのCMP装置以外の設備から排出された排水を、経路P5から固液分離装置16に導入することができる。このことにより、半導体製造工場から排出される排水を、CMP排水から生成した凝集剤を用いて、処理することができる。また、半導体製造工場から排出された排水以外の排水を、経路P5に流すこともできる。
経路P6は、酸化剤をタンク11に流入する経路であり酸化剤添加手段としての機能を有する。ここでは、酸化剤に過酸化水素またはオゾンを採用しており、前記酸化剤を含む流体をタンク11内に流入させている。また、オゾンの気体を流体W内に散気し、オゾンを溶解させてもよい。また、半導体製造工程で発生した過酸化水素またはオゾンを含んだ排水、または他の製造プロセスで使用する過酸化水素またはオゾンを経路P6によってタンク11に流入してもよい。前記酸化剤により鉄(II)イオンを酸化し、鉄(III)イオンを生成することができる。このことにより、鉄(III)イオンとシリカが結合した酸化剤を生成することが可能となる。また、経路P6から流入する酸化剤の量を調節することにより、シリカと結合する鉄イオンの種類を制御することができる。よって、凝集剤の凝集能力を調節することが可能となる。
上記本形態では、CMP排水により製造される凝集剤を用いて排水の処理を行う方法を説明したが、排水の処理方法としては上記以外にも様々な方法を採用することができる。例えば、CMP装置から発生するCMP排水の全てを凝集剤製造装置10にて処理することにより、CMP排水の全てを凝集剤として再利用することができる。この場合に於いて、CMP排水は、CMP排水処理装置17にて濃縮処理されても良い。
次に、図3から図7を参照して、上記した凝集剤製造装置により製造された凝集剤の特性を説明する。
図3のグラフを参照して、本形態の凝集剤製造装置10で製造した凝集剤の凝集効果を確認する。図3のグラフの縦軸は、CMP排水の上澄み液に含まれるシリカの濃度を示し、横軸は添加する凝集剤の量を示している。ここでは、500mlのCMP排水を数個用意し、各排水に10、30、50ml/Lの量の凝集剤を添加して、凝集沈殿処理を行った。同図のグラフから、凝集剤の添加量が多くなると、排水中のシリカの濃度が低くなることが分かる。従って、本形態により生成される凝集剤のCMP排水に対する凝集効果が確認された。
図4のグラフを参照して、本形態の凝集剤の性能を市販のものと比較する。ここでは、ポリ鉄から成る市販の凝集剤と本形態により生成された凝集剤との凝集性能を比較した。図4のグラフの縦軸はメスシリンダを用いて測定した凝集物の凝集率を示し、横軸は凝集剤を投入してからの経過時間を示す。同図を参照して、本形態により生成された凝集剤は、市販のものと同等以上の凝集性能を有することが確認された。
図5のグラフを参照して、凝集沈殿の重要なファクターであるPHに関する検討を行った。ここでは、PHが異なる数種類のCMP排水に対して本願の凝集剤を用いて凝集処理を行い、その上澄み液に残留したシリカ分と鉄分の量を測定した。図5のグラフでは、左側の縦軸は上澄み液に残留した鉄分の濃度を示し、右側の縦軸は上澄み液に残留したシリカ成分を示し、横軸は排水のPHを示す。このグラフを参照して、残留した鉄分の濃度は、PHが4から7の範囲で0mg/Lであり、その量が非常に少ないことが分かる。また、鉄の排出基準は10mg/Lで有ることを考慮すると、PHが4以下または7以上の排水であっても本願の凝集剤は適用可能であることが分かる。また、残留したシリカの濃度は、PHが4から8の範囲で非常に低い値を示した。他のPHの領域では比較的高いシリカの残留濃度を示したものの、排出に対して問題はない。上記のことから、本願の凝集剤は幅広いPHの範囲で使用可能なことが確認された。好適には、PHが4から7の範囲で本形態の凝集剤の凝集効果が高いことが確認された。
図6のグラフを参照して、本形態の凝集剤の供沈効果を確認する。ここで、供沈とは、凝集剤が流体に含まれる被除去物と凝集して沈殿する現象を指す。ここで用いた被処理水は、銅が含まれる排水である。このグラフの縦軸は、上澄み液に含まれる銅の濃度を示しており、横軸は凝集剤の添加量を示している。同図を参照して、添加する凝集剤の量が多くなると、上澄み液に残留する銅の濃度が低くなることが分かる。更に、添加する凝集剤の量が1000mg/L以上になると、上澄み液に残留する銅が殆ど無くなることが分かる。上記のことから、本形態の凝集剤は、銅等の有害な金属を流体から除去する働きを有する。
図7(A)のグラフを参照して、銅が含まれる排水を処理する場合に於いて、上澄み液に残留する銅と鉄の濃度と排水のPHに関する検討を行った。このグラフの左側の縦軸は残留する銅の量を示しており、右側の縦軸は残留する鉄の量を示しており、横軸は排水のPHを示している。ここでは、凝集剤の添加量は1000mg/Lに固定した。このグラフから、排水のPHは高い方が、残留する鉄および銅の濃度が低くなることが確認された。
図7(B)のグラフを参照して、CMPに使われるスラリーを含有する排水を、本形態の凝集剤を用いて沈降率の経時変化を検討した。ここでは、シリカ濃度1200mg/Lの排水500mLを用いた。また、凝集剤には本形態によって生成される鉄(II)イオンまたは、鉄(III)イオンを主成分とする凝集剤と、市販の凝集剤を用いた。鉄(III)イオンを主成分とする凝集剤は、シリカ含有溶液の鉄(II)イオン存在下に過酸化水素を3mL添加することにより、生成したものを用いた。先ず、同図を参照して、鉄(II)イオンを主成分とする凝集剤および市販の凝集剤の凝集能力を比較する。その結果、前記凝集剤によるシリカの沈降速度および沈降率の経時変化が、ほぼ同じ値を示すことが確認された。このことにより、鉄(II)イオンを主成分とする凝集剤は市販の凝集剤とほぼ同じ凝集能力を有することが確認された。
次に、鉄(III)イオンを主成分とする凝集剤と鉄(II)イオンを主成分とする凝集剤の凝集能力を比較する。同図を参照して、鉄(II)イオンを主成分とする凝集剤では、沈降させることができなかったシリカを、鉄(III)イオンを主成分とする凝集剤を用いることによって沈降させることが確認された。更に、同時間における沈降率を比較することにより、鉄(III)イオンを主成分とする凝集剤の方が凝集沈殿速度が速いことが確認された。
<第2の実施の形態>
本形態では、第1の実施の形態の中で、図2に示すCMP排水処理装置17または固液分離装置16に適用可能な濾過機構を説明する。
最初に、本形態の説明に用いる用語の定義を明確にする。
コロイド溶液とは直径が1nm〜1μmの大きさの微粒子が媒質中に分散している状態をいう。この微粒子はブラウン運動をし、普通の濾紙は通過するが半透膜は通過しない性質がある。また凝集速度が非常に遅い性質は微粒子間に静電気反発力が働いているため、接近する機会を少なくしていると考えられている。
ゾルはコロイド溶液とほぼ同義に使用され、ゾルはゲルと異なり液体中に分散していて流動性を示し、微粒子は活発にブラウン運動をしている。
ゲルはコロイド粒子が独立した運動性を失って、集合して固化した状態をいう。例えば寒天やゼラチンは温水に溶かせば分散してゾルになるが、これを冷却すると流動性を失ってゲルとなる。ゲルには液体分の多いヒドロゲルとやや乾燥したキセロゲルとがある。
ゲル化の要因としては、分散媒の水を取り除いて乾燥させたり、シリカスラリー(pH9〜10)に電解質塩を添加してpH6〜7までpH調整をしたり、冷却をして流動性を失わせる等がある。
スラリーは粒子と液体および化学薬品を混合して、ポリッシングに使用するコロイド溶液またはゾルを言う。前述したCMPに用いる研磨剤をCMPスラリーと呼んでいる。CMPスラリーにはシリカ系研磨剤、酸化アルミニウム(アルミナ)系研磨剤、酸化セリウム(セリア)系研磨剤等が知られている。もっともよく利用されるのはシリカ系研磨剤であり、その中でもコロイダルシリカが広く用いられる。コロイダルシリカとは、7〜300nmのコロイドサイズのシリカ超微粒子が水または有機溶媒中に沈降すること無く均質に分散している分散液であり、シリカゾルとも呼ばれる。このコロイダルシリカは水の中で粒子が単分散しているので、コロイド粒子の相互の反発力で1年以上放置してもほとんど沈降することはない。また、酸化膜に適用されるCMPスラリーにはアンモニアが添加されている。
まず本形態は、被除去物がコロイド溶液あるいはゾルで流体中に含まれた状態の排水から被除去物を濾過により取り除く流体の処理システムを提供することにある。
被除去物は、3nm〜2μmの粒径分布の微粒子が大量に入ったコロイド溶液(ゾル)であり、例えばCMPに用いるシリカ、アルミナあるいはセリア等の砥粒と砥粒により削られて発生する半導体材料屑、金属屑および/または絶縁膜材料屑である。本実施例ではCMPスラリーとして、ロデールニッタ社製ILD1300酸化膜研磨用のスラリーを用いた。このスラリーはpH 10、砥粒分布10〜350nmのシリカを主成分としたアンモニア系のスラリーである。強アルカリ性のために分散性が強く、なかなかゲル化が困難なスラリーである。
図8以降を参照して、本形態に用いるフィルタ装置は、コロイド溶液(ゾル)の被除去物が混入された流体(排水)を、被除去物から形成したゲル膜から成るフィルタで除去するものである。
具体的に説明すると、有機高分子の第1のフィルタ1表面に、コロイド溶液の被除去物であるCMPスラリーから形成した第2のフィルタ2となるゲル膜を形成し、このフィルタ1、2をタンク内の流体3中に浸漬し、被除去物が入った排水を濾過するものである。被除去物は予め電極12による電気化学的処理で最初の粒子より凝集された大きな粒子を形成してゲル化し易くする点に特徴がある。
第1のフィルタ1は、ゲル膜を付着させることができれば原理的に考えて有機高分子系、セラミック系とどちらでも採用可能である。ここでは、平均孔径0.25μm、厚さ0.1mmのポリオレフィン系の高分子膜を採用した。このポリオレフィン系から成るフィルタ膜の表面写真を図9(B)に示した。
また、第1のフィルタ1はフレーム4の両面に設けられた平膜構造を有し、流体に垂直になるように浸漬され、フレーム4の中空部5からポンプ6により吸引する様に構成され、ろ液7を取り出せる。
次に、第2のフィルタ2は第1のフィルタ1表面全体に付着され、被除去物の凝集したゾル粒子を吸引することですぐにゲル化して形成されるゲル膜である。一般にゲル膜はゼリー状であるので、フィルタとしての働きは無いと考えられている。しかし、本形態ではこのゲル膜の生成条件を選択することで第2のフィルタ2の機能を持たせることができる。この生成条件は後で詳述する。
では、上記した被除去物のコロイド溶液(ゾル)で被除去物のゲル膜である第2のフィルタ2を形成し、被除去物を取り除く濾過について図8および図9(A)を参照して説明する。
コロイド溶液(ゾル)の被除去物が混入された流体(排水)は、電気化学的処理により被除去物が凝集されて、大きなゾル粒子となっている。即ち、大きなゾル粒子もゾルの流動性は失わず、ゲル化はしていないが、かなりゲル化し易い状態に置かれている。図8では大きなゾル粒子を2個のゾル粒子が結合したように表しているが、この個数には関係はない。通常約20nm程度の大きさのゾル粒子が凝集されて、約100nm程度の大きさの凝集されたゾル粒子となることを表している。
第1のフィルタ1は多数のフィルタ孔1Aを有し、このフィルタ孔1Aの開口部および第1のフィルタ1の表面に層状に形成されている被除去物のゲル膜が第2のフィルタ2である。第1のフィルタ1の表面には凝集されてゲル化し易くなった被除去物の凝集粒子があり、この凝集粒子はポンプからの吸引圧力により第1のフィルタ1を介して吸引され、流体3の水分が吸い取られるために乾燥(脱水)してすぐにゲル化して第1のフィルター1表面に第2のフィルタ2が形成される。
第2のフィルタ2は被除去物の凝集粒子から形成されるので直ちに所定の膜厚になり、この第2のフィルタ2を利用してコロイド溶液の被除去物の凝集粒子の濾過が開始される。従ってポンプ6で吸引しながら濾過を続けると、第2のフィルタ2の表面には凝集粒子のゲル膜が積層されて厚くなり、やがて第2のフィルタ2は目詰まりして濾過を続けられなくなる。この間に被除去物の凝集粒子はゲル化されながら、第2のフィルタ2の表面に付着して排水が第1のフィルタ1を通過して濾過水として取り出される。
図9(A)において、第1のフィルタ1の片面には、被除去物が混入されたコロイド溶液の排水があり、第1のフィルタ1の反対面には、第1のフィルタ1を通過した濾過水が生成されている。矢印の方向に排水は吸引されて流れ、この吸引によりコロイド溶液中の凝集粒子が第1のフィルタ1に近づくにつれて静電気反発力を失いゲル化されていくつかの凝集粒子が結合したゲル膜が第1のフィルタ1表面に吸着されて第2のフィルタ2が形成される。この第2のフィルタ2の働きでコロイド溶液中の被除去物はゲル化されながら排水の濾過が行われる。第1のフィルタ1の反対面からは濾過水が吸引される。
このように第2のフィルタ2を介してコロイド溶液の排水をゆっくりと吸引することで、排水中の水が濾過水として取り出せ、被除去物は乾燥してゲル化し第2のフィルタ2表面に積層されて被除去物の凝集粒子はゲル膜として捕獲される。
次に、第2のフィルタ2の生成条件について図10を参照して説明する。図10は第2のフィルタ2の生成条件とその後の濾過量を示している。
次に、第2のフィルタ2の濾過条件について説明する。第2のフィルタ2の生成条件により濾過時の精製水濾過量が大きく異なり、第2のフィルタ2の精製条件を適切に選択しないと、ゲル膜の第2のフィルタ2の特性でほとんど濾過できないことが明らかとなる。これは従来ではコロイド溶液の濾過は困難であると言われてきた事実と一致している。
図10(B)に示す特性は、図10(A)に示す方法で実験的に求められたものである。すなわち、円筒の容器21の底部に第1のフィルタ1を設け、ロデールニッタ社製ILD1300酸化膜研磨用のスラリー22の原液50ccと凝集剤とを入れて吸引圧力を変えてゲル膜の生成を行う。続いて残ったスラリー22を捨てて精製水23を100cc入れ、極めて低い吸引圧力で濾過を行うものである。これにより第2のフィルタ2となるゲル膜の濾過特性を調べることが出来る。なお、このときの第1のフィルタ1は直径47mmのものを用い、その面積は1734mm2である。
図10(B)において、ゲル膜の生成工程では、吸引圧力を−55cmHg、−30cmHg、−10cmHg、−5cmHg、−2cmHgと変えて120分間成膜を行い、ゲル膜の性質を調べた。この結果、吸引圧力を−55cmHgと強く設定すると2時間で濾過量は16ccと一番多く、順に12.5cc、7.5cc、6cc、4.5ccとなる。
次に、精製水に入れ替えてこのゲル膜で濾過を行う。このときの吸引圧力は−10cmHg一定に設定される。吸引圧力−55cmHgで成膜されたゲル膜ではわずか0.75cc/時間しか濾過できない。吸引圧力−30cmHgで成膜されたゲル膜では約1cc/時間の濾過量である。しかし、吸引圧力−10cmHgのゲル膜では2.25cc/時間、吸引圧力−5cmHgのゲル膜では3.25cc/時間、吸引圧力−2cmHgのゲル膜では3.1cc/時間の濾過量となり、極めて弱い吸引圧力で成膜されたゲル膜は濾過工程でも安定して濾過が行える。この実験結果から、第2のフィルタ2のゲル膜の生成工程では約3cc/時間の濾過量になるように吸引圧力を設定すれば、その後の濾過工程での濾過量が一番大きくなることが明らかである。
この理由は吸引圧力が強いと、成膜されるゲル膜が膨潤度が低く、緻密で硬くなり、ゲル膜が水分の含有が少なく収縮された状態で成膜されるので、精製水が浸透する通路がほとんど無くなるためであると考えられる。
これに対して吸引圧力を弱くすると、成膜されるゲル膜は膨潤度が高く、密度が低く柔らかくなり、ゲル膜に水分の含有が多く膨潤された状態のまま成膜され、精製水が浸透する通路を多く確保できる。ちょうど粉雪がゆっくり降り積もる状態を考えれば容易に理解できる。本形態の特徴はこの微弱な吸引圧力で成膜された膨潤度の高いゲル膜を用いて、このゲル膜に水分が浸透する性質を利用して濾過を実現したことにある。
図9(A)に示すフィルタは図8のフィルタの片側を示しており、実際にゲル膜がどのように付着するかを説明する模式図である。
第1のフィルタ1はコロイド溶液の排水に垂直に立って浸漬され、排水は被除去物が分散したコロイド溶液となっている。前述した電極12による電気化学的処理により、鉄シリカの凝集物である高分子化合物が形成されている。そして、この鉄シリカの高分子化合物が凝集剤として機能することにより、被除去物S2が凝集されて凝集粒子S1が生成される。ポンプ6により第1のフィルタ1を介して排水を微弱な吸引圧力で吸引をすると、第1のフィルタ1表面に被除去物の凝集粒子が互いに結合してゲル化し、第1のフィルタ1の表面に吸着される。白丸で示すゲル化した凝集粒子S1は第1のフィルタ1のフィルタ孔1Aより大きいものが第1のフィルタ1表面に吸着して積層され、ゲル膜より成る第2のフィルタ2を形成する。なおフィルタ孔1Aより径の小さい凝集粒子S1は第1のフィルタ1を通過するが、第2のフィルタ2を成膜する工程では濾過水は再び排水に循環されるので問題はない。そして前述したように約120分間を掛けて第2のフィルタ2が形成される。この成膜する工程では、極めて微弱な吸引圧力で吸引されているのでゲル化した凝集粒子S1はいろいろな形状の隙間を形成しながら積層され、極めて膨潤度の高い柔らかなゲル膜の第2のフィルタ2となる。排水中の水はこの膨潤度の高いゲル膜を浸透して吸引されて第1のフィルタ1を通過して濾過水として取り出され、最終的に排水は濾過されることになる。
すなわち、本形態では膨潤度の高いゲル膜で第2のフィルタ2を形成し、第1のフィルタ1から微弱な吸引圧力で吸引することで第1のフィルタ1に接するゲル膜に含まれる水分を脱水させてゲル膜を収縮させ、そのゲル膜に排水に接するゲル膜から水分を浸透させて補給して膨潤させることを繰り返して、第2のフィルタ2を水分のみ浸透させて濾過するのである。
また、第1のフィルタ1には排水の底面から空気の気泡12を送り、第1のフィルタ1の表面に沿って排水に並行流を形成している。これは第2のフィルタ2が第1のフィルタ1の表面全体に均一に付着するためと第2のフィルタ2に隙間を形成して柔らかく付着するためである。具体的には1.8リットル/分のエアー流量に設定をしているが、第2のフィルタ2の膜質により選択される。
次に濾過工程では、この第2のフィルタ2の表面に微弱な吸引圧力により白丸で示すゲル化した凝集粒子S1が吸着されながら徐々に積層される。このときに精製水は第2のフィルタ2および更に積層される白丸で示すゲル化した凝集粒子S1を浸透して第1のフィルタ1から濾過水として取り出される。すなわち排水に含まれる、例えばCMPの場合にはシリカ、アルミナあるいはセリア等の砥粒と砥粒により削られて発生する半導体材料屑、金属屑および/または絶縁膜材料屑等の加工屑はゲルとして第2のフィルタ2の表面に徐々に積層して捕獲され、水はゲル膜を浸透して第1のフィルタ1から濾過水として取り出せる。
しかし、図10(B)に示すように長時間濾過を続けると、第2のフィルタ2表面には厚くゲル膜が付着されるために上述した隙間もやがて目詰まりを起こし、濾過水は取り出せなくなる。このために濾過能力を再生するにはこの積層されたゲル膜を除去することが必要になる。
続いて、図11を参照してより具体化されたフィルタ装置を説明する。
図11において、50は原水タンクである。このタンク50の上方には、排水供給手段としてパイプ51が設けられている。このパイプ51は被除去物が混入した流体をタンク50に導入する。例えば、半導体分野で説明すると、ダイシング装置、バックグラインド装置、ミラーポリッシング装置またはCMP装置から流れ出るコロイド溶液の被除去物が混入された排水(原水)が導かれる所である。尚、この排水は、CMP装置から流れる砥粒、砥粒により研磨または研削された屑が混入された排水として説明していく。
原水タンク50に貯められた原水52の中には、第2のフィルタが形成されたフィルタ装置53が複数個設置される。このフィルタ装置53の下方には、例えばパイプに小さい孔を開けたような、また魚の水槽に使うバブリング装置の如き、散気管54が設けられ、ちょうどフィルタ装置53の表面を通過するようにその位置が調整されている。この散気管54はフィルタ装置53の底辺全体に渡って配置され、気泡をフィルタ装置53の全面に均一に供給出来るようになっている。55はエアーポンプである。ここでフィルタ装置53は図8に示す第1のフィルタ1、フレーム4、中空部5および第2のフィルタ2を指している。
フィルタ装置53に固定されたパイプ56は、図8のパイプ8に相当するものである。このパイプ56は、フィルタ装置53で濾過された濾過流体が流れ、バルブV1を介して吸引を行うマグネットポンプ57に接続される。パイプ58はマグネットポンプ57からコントロールバルブCV1を介してバルブV3およびバルブV4に接続されている。またパイプ56のバルブV1の後に第1の圧力計59が設けられ、吸引圧力Pinを測定している。更にパイプ58のコントロールバルブCV1の後には流量計Fおよび第2の圧力計60が設けられ、流量計61で一定の流量になるように制御している。またエアーポンプ55からのエアー流量はコントロールバルブCV2で制御される。
パイプ51から供給された原水52は、原水タンク50に貯められ、フィルタ装置53により濾過される。このフィルタ装置に取り付けられた第2のフィルタ2の表面は、気泡が通過し、気泡の上昇力や破裂により並行流を発生させ、第2のフィルタ2に吸着するゲル化した被除去物を動かし、フィルタ装置53の全面に均一に吸着させてその濾過能力が低下しないように維持されている。
ここで前述したフィルタ装置53、具体的には原水タンク50の中に浸漬されるフィルタ装置53について図12および図13を参照しながら説明する。
図12(A)に示す符号30は、額縁の如き形状のフレームであり、図8のフレーム4と対応する。このフレーム30の両面には第1のフィルタ1となるフィルタ膜31、32が貼り合わされ固定されている。そしてフレーム30、フィルタ膜31、32で囲まれた内側の空間33(図8の中空部5と対応する)には、パイプ34(図8のパイプ8と対応する)を吸引することにより、フィルタ膜31、32により濾過される。そしてフレーム30にシールされて取り付けられているパイプ34を介して濾過水が取り出されている。もちろんフィルタ膜31、32とフレーム30は、排水がフィルタ膜以外から前記空間33に侵入しないように完全にシールされている。
図12(A)のフィルタ膜31、32は、薄い樹脂膜であるため、吸引されると内側に反り、破壊に至る場合もある。そのため、この空間をできるだけ小さくし、濾過能力を大きくするために、この空間33を大きく形成する必要がある。これを解決したものが、図12(B)である。図12(B)では、空間33が9個しか示されていないが、実際は数多く形成される。また実際に採用したフィルタ膜31は、約0.1mm厚さのポリオレフィン系の高分子膜であり、図12(B)に示す如く、薄いフィルタ膜が袋状に形成されており、図12(B)ではFTで示した。この袋状のフィルタFTの中に、パイプ34が一体化されたフレーム30が挿入され、前記フレーム30と前記フィルタFTが貼り合わされている。符号RGは、押さえ手段であり、フィルタFTが貼り合わされた枠を両側から押さえるものである。そして押さえ手段の開口部OPからは、フィルタFTが露出している。詳細については、図13を参照して再度説明する。
図12(C)は、フィルタ装置53自身を円筒形にしたものである。パイプ34に取り付けられたフレームは、円筒形で、側面には開口部OP1、OP2が設けられている。開口部OP1と開口部OP2に対応する側面が取り除かれているため、開口部間には、フィルタ膜31を支持する支持手段SUSが設けられることになる。そして側面にフィルタ膜31が貼り合わされる。
更に図13を参照して、図12(B)のフィルタ装置53を詳述する。まず、図12(B)のフレーム30に相当する部分30aを図13(A)および図13(B)で説明する。部分30aは、見た限り段ボールの様な形状に成っている。0.2mm程度の薄い樹脂シートSHT1、SHT2が重なり、その間に縦方向にセクションSCが複数個設けられ、樹脂シートSHT1、SHT2,セクションSCで囲まれて空間33が設けられる。この空間33の断面は、縦3mm、横4mmから成る矩形であり、別の表現をすると、この矩形断面を持ったストローが何本も並べられ一体化されたような形状である。部分30aは、両側のフィルタ膜FTを一定の間隔で維持しているので、以下スペーサと呼ぶ。
このスペーサ30aを構成する薄い樹脂シートSHT1,SHT2の表面には、直径1mmの孔HLがたくさん開けられ、その表面にはフィルタ膜FTが貼り合わされている。よって、フィルタ膜FTで濾過された濾過水は、孔HL、空間33を通り、最終的にはパイプ34から出ていく。
またフィルタ膜FTは、スペーサ30aの両面SHT1、SHT2に貼り合わされている。スペーサ30aの両面SHT1,SHT2には、孔HLの形成されていない部分があり、ここに直接フィルタ膜FT1が貼り付けられると、孔HLの形成されていない部分に対応するフィルタ膜FT1は、濾過機能が無く排水が通過しないため、被除去物が捕獲されない部分が発生する。この現象を防止するため、フィルタ膜FTは、少なくとも2枚貼り合わされている。一番表側のフィルタ膜FT1は、被除去物を捕獲するフィルタ膜で、このフィルタ膜FT1からスペーサ30aの表面SHT1に向かうにつれて、フィルタ膜FT1の孔よりも大きな孔を有するフィルタ膜が設けられ、ここではフィルタ膜FT2が一枚貼り合わされている。依って、スペーサ30aの孔HLが形成されていない部分でも、間にフィルタ膜FT2が設けられているため、フィルタ膜FT1全面が濾過機能を有するようになり、フィルタ膜FT1全面に被除去物が捕獲され、第2のフィルタ膜が表裏の面SH1、SH2全面に形成されることになる。また図面の都合で、フィルタ膜SHT1、SHT2が矩形状のシートの様に表されているが、実際は袋状に形成されている。
次に、袋状のフィルタ膜SHT1、SHT2、スペーサ30aおよび押さえ手段RGがどのように取り付けられているかを、図13(A)、図13(C)および図13(D)を参照して説明する。
図13(A)は完成図であり、図13(C)は、図13(A)のA−A線に示すように、パイプ34頭部からパイプ34の延在方向(縦方向)に切断した図を示し、図13(D)は、B−B線に示すように、フィルタ装置35を水平方向に切断した断面図である。
図13(A)、図13(C)、図13(D)を見ると判るように、袋状のフィルタ膜FTに挿入されたスペーサ30aは、フィルタ膜FTも含めて4側辺が押さえ手段RGで挟まれている。そして袋状にとじた3側辺および残りの1側辺は、押さえ手段RGに塗布された接着剤AD1で固定される。また残りの1側辺(袋の開口部)と押さえ手段RGとの間には、空間SPが形成され、空間33に発生した濾過水は、空間SPを介してパイプ34へと吸引される。また押さえ金具RGの開口部OPには、接着剤AD2が全周に渡り設けられ、完全にシールされ、フィルタ以外から流体が侵入できない構造になっている。
よって空間33とパイプ34は連通しており、パイプ34を吸引すると、フィルタ膜FTの孔、スペーサ30aの孔HLを介して流体が空間33に向かって通過し、空間33からパイプ34を経由して外部へ濾過水を輸送できる構造となっている。
ここで用いるフィルタ装置53は、図13の構造を採用しており、フィルタ膜を取り付けるフレーム(押さえ金具RG)の大きさはA4サイズであり、具体的には縦:約19cm、横:約28.8cm、厚み:5〜10mmである。実際にはフィルタ装置53はフレームの両面に設けられるので、上記した2倍の面積(面積:0.109m2)となる。しかし原水タンク50の大きさによりフィルタ装置の枚数や大きさは自由に選ばれ、求められる濾過量から決められる。
続いて、図11に示すフィルタ装置を用いて実際の濾過方法を具体的に説明する。まず原水タンク50にコロイド溶液の被除去物が混入された排水をパイプ51を介して入れる。ここで、被除去物は、電極12の電解処理により凝集粒子となっている。その後、このタンク50の中に第2のフィルタ2が形成されていない第1のフィルタ1のみのフィルタ装置53を浸漬し、パイプ56を介してポンプ57で微弱な吸引圧力で吸引しながら排水を循環させる。循環経路はフィルタ装置53、パイプ56、バルブV1、ポンプ57、パイプ58、コントロールバルブCV1、流量計61、光センサー62、バルブV3であり、排水はタンク50から吸引されまたタンク50に戻される。
循環させることによりフィルタ装置53の第1のフィルタ1(図9では31)には、第2のフィルタ2が成膜され、最終的には目的のコロイド溶液の被除去物が捕獲される様になる。
すなわち、ポンプ57により第1のフィルタ1を介して排水を微弱な吸引圧力で吸引をすると、被除去物の凝集粒子は容易にゲル化して第1のフィルタ1の表面に吸着される。ゲル化した凝集粒子は第1のフィルタ1のフィルタ孔1Aより大きいものが第1のフィルタ1表面に吸着して積層され、ゲル膜より成る第2のフィルタ2を形成する。なお凝集粒子は第1のフィルタ1を通過するが、第2のフィルタ2の成膜とともに排水中の水はゲル膜を通路として吸引されて精製水として取り出され、排水は濾過されるようになる。
光センサー62で濾過水に含まれる凝集粒子の濃度を監視し、凝集粒子が所望の混入率よりも低いことを確認して濾過を開始する。濾過が開始される時は、バルブV3が光センサー62からの検出信号で閉じられ、バルブV4が開かれて前述した循環経路は閉じられる。従って、バルブV4から精製水が取り出される。散気管54からは常時エアーポンプ55から供給される空気の気泡がコントロールバルブCV2で調整されてフィルタ装置53の表面に供給されている。
そして連続して濾過が続けられると、原水タンク50の排水中の水は精製水としてタンク50の外に取り出されるので、排水中の被除去物の濃度は上がってくる。すなわち、コロイド溶液は濃縮されて粘度を増してくる。このために原水タンク50にはパイプ51から排水を補充して、排水の濃度の上昇を抑えて濾過の効率を上げる。しかし、フィルタ装置53の第2のフィルタ2表面にゲル膜が厚く付着して、やがて第2のフィルタ2は目詰まりを起こし、濾過が行えない状態になる。
フィルタ装置53の第2のフィルタ2が目詰まりを起こすと、第2のフィルタ2の濾過能力の再生を行う。すなわち、ポンプ57を停止し、フィルタ装置53に加わる負の吸引圧力を解除する。
図14に示すその模式図を参照して、その再生工程を更に詳述する。図14(A)は濾過工程のフィルタ装置53の状態を示している。第1のフィルタ1の中空部5は微弱な吸引圧力によりは外側と比較すれば負圧となっているので、第1のフィルタ1は内側に窪んだ形状になっている。従って、その表面に吸着される第2のフィルタ2も同様に内側に窪んだ形状になっている。更に第2のフィルタ2の表面に徐々に吸着されるゲル膜も同様である。
ところが、図14(B)を参照して、再生工程ではこの微弱な吸引圧力が停止されてほぼ大気圧に戻るので、フィルタ装置53の第1のフィルタ1は元の状態に戻る。これにより第2のフィルタ2およびその表面に吸着されたゲル膜も同様に戻る。この結果、まずゲル膜を吸着していた吸引圧力がなくなるので、ゲル膜はフィルタ装置53への吸着力を失うと同時に外側に膨らむ力を受ける。これにより、吸着したゲル膜は自重でフィルタ装置53から離脱を始める。更に、この離脱を進めるために散気管54からの気泡の量を2倍程度に増加させると良い。実験に依れば、フィルタ装置53の下端から離脱が始まり、雪崩の様に第1のフィルタ1表面の第2のフィルタ2のゲル膜が離脱し、原水タンク50の底面に沈降する。その後、第2のフィルタ2は前述した循環経路で排水を循環させて再度成膜を行うと良い。この再生工程で第2のフィルタ2は元の状態まで戻り、排水の濾過を行える状態まで復帰し、再び排水の濾過を行う。
更に、この再生工程で中空部5に濾過水を逆流させると、第1に、第1のフィルタ1が元の状態に戻るのを助け且つ濾過水の静水圧が加わり更に外側に膨らむ力を加え、第2に、第1のフィルタ1の内側からフィルタ孔1Aを通して濾過水が第1のフィルタ1と第2のフィルタ2の境界にしみ出して第1のフィルタ1の表面から第2のフィルタ2のゲル膜が離脱するのを促進する。
上述のように第2のフィルタ2を再生させながら濾過を続けると、原水タンク50の排水の被除去物の濃度が上昇し、やがて排水もかなりの粘度を有する。従って、排水の被除去物の濃度が所定の濃度を超えたら、濾過作業を停止し沈殿させるために放置する。するとタンク50の底に濃縮スラリーが貯まり、このゲルの濃縮スラリーをバルブ64を開けて回収する。回収された濃縮スラリーは圧縮または熱乾燥してその中に含まれる水を除去して更にその量を圧縮する。これにより産業廃棄物として扱われるスラリーの量は大幅に減少できる。
図15を参照して、図11に示すフィルタ装置の運転状況を説明する。運転条件は前述したA4サイズのフィルタ装置53の1枚の両面(面積:0.109m2)を用いたものである。初期流量は前述したように濾過効率の良い3cc/時間(0.08m3/日)に設定し、再生後流量も同じに設定している。エアーブロー量は成膜および濾過時1.8L/分、再生時3L/分としている。Pinおよび再Pinは吸引圧力であり、圧力計59で測定される。Poutおよび再Poutはパイプ58の圧力であり、圧力計60で測定される。流量および再流量は流量計61で測定され、フィルタ装置53から吸引される濾過量を表している。
図15で左側のY軸は圧力(単位:MPa)を示し、X軸に近づくほど負圧が大きくなることを示している。右側のY軸は流量(単位:cc/分)を示す。X軸は成膜からの経過時間(単位:分)を示す。
本形態のポイントであるが、第2のフィルタ2の成膜工程、濾過工程および再生後の濾過工程において、流量および再流量は3cc/時間を維持するように制御している。このために成膜工程ではPinは−0.001MPaから−0.005MPaと極めて微弱の吸引圧力で柔らかく吸着されたゲル膜で第2のフィルタ2を形成している。
次に、濾過工程ではPinは−0.005MPaから徐々に大きくして、一定の流量を確保しながら濾過を続ける。濾過は約1000分続けられ、やがて流量が減少し始めたときに再生工程を行う。これは第2のフィルタ2の表面にゲル膜が厚く付着して目詰まりを起こすためである。
更に、第2のフィルタ2の再生が行われると、徐々に再Pinを大きくしながら一定の再流量で再度濾過を続ける。第2のフィルタ2の再生および再濾過は原水52が所定の濃度、具体的には濃縮度が5倍から10倍になるまで続けられる。
また、上述した運転方法とは異なり、吸引圧力を濾過流量の多い−0.005MPaに固定して濾過を行う方法も採用できる。この場合は、第2のフィルタ2の目詰まりとともに濾過流量は徐々に減少するが、濾過時間を長く取れ且つポンプ57の制御が簡単となる利点がある。従って、第2のフィルタ2の再生は濾過流量が一定値以下に減少したときに行えば良い。
図16(A)は、CMP用スラリーの中に含まれる砥粒の粒径分布を示すものである。実線で示す分布曲線は、CMP用スラリーの中に含まれる砥粒の粒径分布を示している。破線で示す分布曲線は、ドライCMPに用いる砥流の粒径分布を示している。
実線で示す分布曲線を参照して、この砥粒は、Si酸化物から成る層間絶縁膜をCMPするものであり、材料はSi酸化物から成り、一般にシリカと呼ばれているものである。最小粒子径は約76nm、最大粒子径は、340nmであった。この大きな粒子は、この中の粒子が複数集まって成る凝集粒子である。また平均粒径は、約150nmであり、この近傍130〜150nmで分布がピークとなっている。
破線で示す分布曲線を参照して、ドライCMPに用いる砥粒は、20nm〜30nmにピークを有する分布曲線を示している。このことから、上記のCMPスラリーの砥粒と比較して、極めて微粒子であることが分かる。本形態では、電気化学的処理によりこの微細な砥粒を凝集させ、ゲル膜による濾過を行うことで、排水処理を行っている。
具体的に、CMP用の砥粒はシリカ系、アルミナ系、酸化セリウム系、ダイヤモンド系が主にあり、他に酸化クロム系、酸化鉄系、酸化マンガン系、BaCO4系、酸化アンチモン系、ジルコニア系、イットリア系がある。シリカ系は、半導体の層間絶縁膜、P−Si、SOI等の平坦化、Al・ガラスディスクの平坦化に使用されている。アルミナ系は、ハードディスクのポリッシング、金属全般、Si酸化膜等の平坦化に使用されている。また酸化セリウムは、ガラスのポリッシング、Si酸化物のポリッシングとして、酸化クロムは、鉄鋼の鏡面研磨に使用されている。また酸化マンガン、BaCO4は、タングステン配線のポリッシングに使用されている。
更には、酸化物ゾルと呼ばれ、このゾルは、シリカ、アルミナ、ジルコニア等、金属酸化物または一部水酸化物から成るコロイドサイズの微粒子が水または液体中に均一に分散されているモノで、半導体デバイスの層間絶縁膜やメタルの平坦化に使用され、またアルミ・ディスク等の情報ディスクにも検討されている。
図16(B)は、CMP排水が濾過され、砥粒が捕獲されていることを示すデータである。実験では、前述したスラリーの原液を、純水で50倍、500倍、5000倍に薄め、試験液として用意した。この3タイプの試験液は、従来例で説明したように、CMP工程に於いて、ウェハが純水で洗浄されるため、排水は、50倍〜5000倍程度になると想定し、用意された。
この3つのタイプの試験液の光透過率を400nmの波長の光で調べると、50倍の試験液は、22.5%、500倍の試験液は、86.5%、5000倍の試験液は、98.3%である。原理的には、排水に砥粒が含まれていなければ、光は散乱されず、限りなく100%に近い数値をとるはずである。
これら3つのタイプの試験液に前記第2のフィルタ膜13が形成されたフィルタを浸漬し濾過すると、濾過後の透過率は、3つのタイプとも99.8%となった。つまり濾過する前の光透過率よりも濾過後の光透過率の値が大きいため、砥粒は捕獲できている。尚、50倍希釈の試験液の透過率データは、その値が小さいため図面には出てこない。
以上の結果から、本形態のフィルタ装置に設けたフィルタ装置53のゲル膜より成る第2のフィルタ2でCMP装置から排出されるコロイド溶液の被除去物を濾過すると、透過率で99.8%程度まで濾過できることが判った。