JP4230025B2 - 熱間プレス用クラッド金型およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、型寿命向上を図った熱間プレス用クラッド金型およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、熱間プレス用金型の寿命を向上させるために、熱間プレス用金型用工具鋼の耐高温軟化抵抗性・耐摩耗性向上などの材質改善がなされている。このような改善により、金型の寿命は10〜20%、最大で50%程度向上しているが、しかしながら熱間プレス用金型に用いられる工具鋼は、非鍛造材(ビレット)との接触により、その表面が600〜650℃の高温に昇温し、加熱軟化による摩耗などの損傷が生じるため、飛躍的な寿命向上は期待できないのが実状である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述した金型摩耗を抑制するため、例えば特開平6−23448号公報に示されているように、耐高温軟化抵抗性・耐摩耗性に優れた肉盛材を肉盛溶接した金型が開発されているが、しかし、肉盛溶接は溶接欠陥が生じやすく、また、多層盛をすると溶接割れを生じやすいため、肉盛溶接した金型では必ずしも型寿命を向上させ得るわけではない。
また、特開平5−269538号公報に示されているように、工具鋼の表面にニッケル基またはコバルト基合金をHIPにより拡散接合し、ニッケル基またはコバルト基合金を型彫面として金型に供するものであり、その実施例に挙げる工具鋼にはJIS規格のSKT4、SKD61、SKD62あるいはその改良材を用いると示している。
【0004】
しかし、SKD61、SKD62ではCr含有量が高いため焼入性が良く、HIP処理による徐冷においても45HRC以上の硬さとなり、加工性が悪くHIP処理のままの状態では使用することが出来ない。実際、この実施例では、焼入焼戻を施しており、再熱処理を要するため経済性に劣る。また、金型全体がニッケル基またはコバルト基合金により構成されているが、この場合、耐摩耗性には優れるが、ニッケル基またはコバルト基合金は靱性が低いため耐衝撃性が低く金型が大割れする危険性があると言う問題がある。
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、型彫面材に耐高温軟化抵抗性・耐摩耗性に優れた粉末工具鋼を用いることにより、熱間プレス用金型の耐高温軟化抵抗性・耐摩耗性の向上を図り、金型の寿命向上を図ることのできる熱間プレス用クラッド金型およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明である熱間プレス用クラッド金型およびその製造方法は、
(1)重量%で、C:0.7〜2.5%、Si:2.0%以下、Mn:1.5%以下、Cr:3.0〜6.0%、の必須成分と、Mo:3.0〜10.0%、およびW:1.0〜20.0%のいずれか一方または双方の第1選択成分と、V:0.8〜25.0%、およびNb:0.1〜5.0%のいずれか一方または双方の第2選択成分と、残部Feおよび不可避的不純物とからなる粉末工具鋼を金型の型彫面材料とし、同じく重量%で、
C:0.1〜0.55%、Si:1.2%以下、Mn:0.3〜2.0%、Ni:0.3〜2.0%、Cr:1.0〜4.0%、および、Mo:0.2〜3.0%、W:0.4〜6.0%の1種または2種以上(MoとWは、1/2W+Mo:0.2〜3.0%)を含有し、さらに、V:0.05〜0.7%、Nb:0.01〜0.15%の1種または2種以上を含有し、残部Feおよび不可避的不純物とからなる溶製あるいは粉末製熱間工具鋼を金型母材とし、これら型彫面材と母材をクラッド化したことを特徴とする熱間プレス用クラッド金型。
【0006】
(2)重量%で、C:0.7〜2.5%、Si:2.0%以下、Mn:1.5%以下、Cr:3.0〜6.0%、の必須成分と、Mo:3.0〜10.0%、およびW:1.0〜20.0%のいずれか一方または双方の第1選択成分と、V:0.8〜25.0%、およびNb:0.1〜5.0%のいずれか一方または双方の第2選択成分と、残部Feおよび不可避的不純物とからなる粉末工具鋼を金型の型彫面材料とし、同じく重量%で、
C:0.1〜0.55%、Si:1.2%以下、Mn:0.3〜2.0%、Ni:0.3〜2.0%、Cr:1.0〜4.0%、および、Mo:0.2〜3.0%、W:0.4〜6.0%、または2種以上(MoとWは、1/2W+Mo:0.2〜3.0%)を含有し、さらに、V:0.05〜0.7%、Nb:0.01〜0.15%の1種または2種以上と、Co:0.2〜3.0%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物とからなる溶製あるいは粉末製熱間工具鋼を金型母材とし、これを型彫面材と母材をクラッド化したことを特徴とする熱間プレス用クラッド金型。
【0007】
(3)重量%で、C:0.7〜2.5%、Si:2.0%以下、Mn:1.5%以下、Cr:3.0〜6.0%、の必須成分と、Mo:3.0〜10.0%、およびW:1.0〜20.0%のいずれか一方または双方の第1選択成分と、V:0.8〜25.0%、およびNb:0.1〜5.0%のいずれか一方または双方の第2選択成分と、Co:4.0〜12.0%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物とからなる粉末工具鋼を金型の型彫面材料とし、同じく重量%で、
C:0.1〜0.55%、Si:1.2%以下、Mn:0.3〜2.0%、Ni:0.3〜2.0%、Cr:1.0〜4.0%、および、Mo:0.2〜3.0%、W:0.4〜6.0%の1種または2種以上(MoとWは、1/2W+Mo:0.2〜3.0%)を含有し、さらに、V:0.05〜0.7%、Nb:0.01〜0.15%の1種または2種以上を含有し、残部Feおよび不可避的不純物とからなる溶製あるいは粉末製熱間工具鋼を金型母材とし、これを型彫面材と母材をクラッド化したことを特徴とする熱間プレス用クラッド金型。
【0008】
(4)重量%で、C:0.7〜2.5%、Si:2.0%以下、Mn:1.5%以下、Cr:3.0〜6.0%、の必須成分と、Mo:3.0〜10.0%、およびW:1.0〜20.0%のいずれか一方または双方の第1選択成分と、V:0.8〜25.0%、およびNb:0.1〜5.0%のいずれか一方または双方の第2選択成分と、Co:4.0〜12.0%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物とからなる粉末工具鋼を金型の型彫面材料とし、同じく重量%で、
C:0.1〜0.55%、Si:1.2%以下、Mn:0.3〜2.0%、Ni:0.3〜2.0%、Cr:1.0〜4.0%、および、Mo:0.2〜3.0%、W:0.4〜6.0%の1種または2種以上(MoとWは、1/2W+Mo:0.2〜3.0%)を含有し、さらに、V:0.05〜0.7%、Nb:0.01〜0.15%の1種または2種以上と、Co:0.2〜3.0%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物とからなる溶製あるいは粉末製熱間工具鋼を金型母材とし、これを型彫面材と母材をクラッド化したことを特徴とする熱間プレス用クラッド金型。
【0009】
(5)(1)〜(4)に記載の型彫面材と母材をクラッドする際、これら型彫面材と母材をHIP(熱間静水圧圧縮)によりクラッド化し、HIP処理したままの状態で使用することを特徴とする熱間プレス用クラッド金型の製造方法。
(6)(1)〜(5)に記載の型彫面材と母材をクラッドする際、型彫面材は金型の表面部分、すなわち摩耗による損傷が激しい部位に相当する部分とし、それよりも内部、すなわち金型の凹部は母材部分となるように型彫面材料の厚さを設計することを特徴とする熱間プレス用クラッド金型の製造方法にある。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明における型彫面材の各種成分の限定理由について説明する。
C:0.7〜2.5%
Cは、耐摩耗性に寄与するCr,V,Mo,WおよびNbの炭化物形成に不可欠であり、マトリックスに固溶し十分な硬さを与えるため少なくとも0.7%の添加が必要であるが、2.5%を超えるとHIP後の硬さが高くなりすぎて加工性が劣化するため、HIP処理のままの状態での使用が不可能になる。よって、Cの成分範囲は0.7〜2.5%とした。
Si:2.0%以下
Siは、主に脱酸剤として添加されるが、2.0%を超えて添加すると靱性の劣化を起こす。よって、Siの成分範囲は2.0%以下とした。
【0011】
Mn:1.5%以下
Mnは、Siと同様に脱酸剤として添加されるが、1.5%を超えて添加すると靱性が低下する。よって、Mnの成分範囲は1.5%以下とした。
Cr:3.0〜6.0%
Crは、十分な耐摩耗性を得るために最低限3.0%が必要であるが、Cr炭化物は凝集粗大化しやすいため、6.0%を超えて添加することは好ましくない。よって、Crの成分範囲は3.0〜6.0%とした。
【0012】
V:0.8〜25.0%
Vは、固溶しにくい安定なMC型の炭化物を形成し、結晶粒を微細化させ靱性の向上に役立つとともに、耐摩耗性を著しく向上させる。0.8%未満では、耐摩耗性の向上効果が小さく、25%を超えると巨大共晶炭化物を形成し靱性を劣化させる。よって、Vの成分範囲は0.8〜25.0%とした。
【0013】
Mo:3.0〜10.0%、W:1.0〜20.0%
MoとWは、ともに微細な炭化物を形成し、耐摩耗性を向上させるが、この効果はMoの方が大きくWの約2倍の影響力をもつ。Moは耐摩耗性とともに焼入性も高く、これらの効果を得るには少なくとも3.0%は必要であるが、10.0%を超えると炭化物が粗大化する。また、Wは耐摩耗性を向上させるために少なくとも1.0%が必要であるが、Moより炭化物が粗大化しにくいため、上限値をMoの2倍に設定した。
【0014】
Co:4.0〜12.0%
Coは、耐熱性を向上させるため目的に応じて添加する。Coはマトリックス中に固溶し、炭化物の凝集粗大化を抑制し焼戻時の軟化抵抗を大きくする。この効果を得るためには、少なくとも4.0%が必要であるが、12.0%を超えて添加してもその効果は高まらない。よって、Coの成分範囲は4.0〜12.0%とした。
Nb:0.1〜5.0%
Nbは、靱性を向上させるために添加される。Nbは安定な炭化物を形成し、結晶粒の粗大化を阻止するが、0.1%未満ではその効果が現れず、5.0%を超えると焼戻時の軟化抵抗の低下や靱性の劣化をもたらす。よって、Nbの成分範囲は0.1〜5.0%とした。
【0015】
続いて、本発明における金型母材の各種成分の限定理由を説明する。
C:0.1〜0.55%
Cは、焼入性、高温硬さの維持に必要な元素であり、また、Cr,V,Mo,W,Nb等と結合し炭化物を形成し、硬さ、結晶粒の微細化効果、耐摩耗性等を得るために必要な元素である。0.1%未満であると金型として最低限の硬さが得られず、また、0.55%を超えると過度の炭化物の析出をまねき靱性を劣化させ、さらに、HIPによる高温加熱−徐冷後においてもHRC45を超える硬さになり切削等の機械加工が困難になるため、本発明の特徴であるHIP処理のままの利用が可能となる。よって、Cの成分範囲は0.1〜0.55%とした。
【0016】
Si:1.2%以下
Siは、マトリックス中に固溶しマトリックス強度を高めるとともに脱酸の効果があるが、1.2%を超えて添加すると靱性が劣化するため、その添加量は1.2%以下とした。
Mn:0.3〜2.0%
Mnは、焼入性を向上させ金型母材に必要な硬さを得るために必要な元素であるが、0.3%未満であるとその効果は少なく、2.0%を超えるとその効果は飽和するため、Mnは0.3〜2.0%とした。
【0017】
Cr:1.0〜4.0%
Crは、焼入性を向上させるとともにCと結合して硬い炭化物を形成し耐摩耗性に寄与する元素である。1.0%未満であると上記効果が得られず、4.0%を超えると高温加熱−徐冷後においてもHRC45を超える硬さになり、HIP処理のままの利用が不可能となる。よって、Crは1.0〜4.0%とした。
V:0.05〜0.7%
Vは、固溶しにくい炭化物を形成し、耐摩耗性や耐軟化抵抗性を高める元素である。耐摩耗性向上を得るためには、少なくとも0.05%が必要であり、0.7%を超えて添加すると靱性が低下するので、Vは0.05〜0.7%とした。
【0018】
Ni:0.3〜2.0%
Niは、マトリックス自体の靱性を高める元素であり、少なくとも0.3%は必要であるが、2.0%を超えて添加すると、その効果は飽和するため、Niは0.3〜2.0%とした。
Co:0.2〜3.0%
Coは、高温での炭化物凝集粗大化を抑制し、特に耐軟化抵抗製に有効な元素である。これらの効果を得るためには、少なくとも0.2%必要であり、3.0%を超えて添加すると靱性が低下するため、Coは0.2〜3.0%とした。
【0019】
Mo:0.2〜3.0%、W:0.4〜6.0%の1種または2種(2種の場合、1/2W+Mo:0.2〜3.0%)
MoおよびWは、共に微細な炭化物を形成し、耐摩耗性や耐軟化抵抗性を改善する元素である。その効果はMoの方がWよりも2倍強く、同じ効果を得るのにWはMoの2倍必要である。両元素は、あまり多く添加すると靱性や耐ヒートチェック性を劣化させるので、上限をMo当量(1/2W+Mo)で、3%とした。また、上記効果を得るためには少なくともMo当量で0.2%が必要である。よって、Mo当量(1/2W+Mo)は0.2〜3.0%とした。
【0020】
以下、本発明における熱間プレス用クラッド金型およびその製造方法を説明する。
図1は本発明の金型の母材となる溶製あるいは粉末製工具鋼と、型彫面材となる耐高温軟化抵抗性・耐摩耗性に優れた粉末工具鋼とをHIPにより拡散接合させるための方法を示す図であり、同図において、3は軟鋼板によるHIP用の缶である。1は金型の母材を構成する溶製あるいは粉末製工具鋼であり、HIP用缶3内に二枚の溶製あるいは粉末製工具鋼1を設置し、その間に粉末工具鋼の粉末材2を充填する。このとき、最終工程で分割したときに、型彫面材が摩耗による損傷が激しくなる部位にのみ相当するように、粉末材2を充填する幅、すなわち、二枚の溶製あるいは粉末製工具鋼1の隙間を設置しておく。充填後、脱気缶4より真空加熱脱気した後、脱気管4を封じ、HIPにより加熱加圧する。HIPは、加圧1000〜2000kgf/cm2 、加熱温度1000〜1200℃の条件で行い、その後徐冷を行う。HIP処理後、粉末材2は充分に緻密化し、且つ溶製あるいは粉末製工具鋼1と拡散接合される。その後、HIP用缶3を機械加工によって除去する。
【0021】
図2はHIP処理後、HIP用缶3を除去した状態を示す。図中の粉末材の中央部分を放電加工により切断を行うことにより、図3に示すような母材を溶製あるいは粉末製工具鋼とし、型彫面側に耐高温軟化抵抗性・耐摩耗性に優れた粉末工具鋼をクラッド化した熱間プレス用金型が二つ製造され、粉末工具鋼2の表面に放電加工や切削加工によって型彫りを行ない鍛造に供する。
【0022】
【実施例】
以下、本発明の特徴を実施例を挙げて説明する。
表1に供試金型の化学成分を示す。発明金型Aは本発明における製造方法により、型彫面に粉末工具鋼、母材に熱間工具鋼の溶製材を用いて製造されている。また、比較金型Bはクラッド金型ではなく焼入焼戻しした単体の溶製工具鋼SKD61であり、従来熱間プレス金型に用いられている工具鋼である。
表2は発明金型AのHIP処理後における硬さを示したものであるが、同表から本発明金型はHIPままでの硬さが熱間プレス金型として使用するに十分なHRC38以上であり、且つ型彫りにおける切削が容易に行うことができるHRC45以下を得ている。
【0023】
【表1】
【0024】
【表2】
【0025】
つぎに、図4にHIPまま状態の発明金型Aの型彫面となる粉末材部分と比較金型Bについての高温軟化特性を示す。試験には、それぞれの部位から5mm×5mm×20mmの試験片を採取し、600℃で各時間保持後空冷したときの硬さを測定して評価したところ、発明金型Aの型彫面である粉末工具鋼は初期硬さはSKD61(比較金型B)よりも低いが長時間保持しても軟化の度合が小さく、保持時間10時間を越えると比較金型Bよりも硬さが高くなり、発明金型Aは金型表面が600℃以上に昇温加熱される熱間プレス金型に使用しても、高温軟化による型面のヘタリや摩耗による損傷が、従来金型と比較して抑制されることは明らかである。
【0026】
また、図5は発明金型Aの母材および比較金型B(SKD61)の各部位からJIS3号シャルピー試験片を採取し、衝撃試験を行った結果であるが、熱間プレス金型は通常使用前に予熱され、予熱された時のおよその内部温度である200℃において、発明金型Aの母材工具鋼の靱性は比較金型であるSKD61の靱性よりも優れ、金型母材の靱性としては十分な靱性を有している。
【0027】
このように、本発明における型彫面材に用いる耐高温軟化抵抗性・耐摩耗性に優れた粉末工具鋼は、金型の凹部はHIPによる高温加熱−徐冷後においても十分な靱性をもつ母材部分となるように型彫面材の厚さを設計するため、金型の凹部からの大割れを抑制することが可能であり、さらなる寿命向上が期待できる。このように、従来の方法に比較して、本発明はより安価な粉末工具鋼をHIP処理ままの状態で使用可能なように成分設計がなされている点で異なり、また、型彫面材の厚さを設計することにより、寿命向上の改善がなされてるものである。
【0028】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明により、金型寿命向上と金型作製費用削減の両観点から、非常に経済性に優れた熱間プレス用金型の製造方法を提供することが可能である。また、実施例に掲載した発明金型のように、型彫面、母材ともに材質選定をうまく行うことにより、HIP処理後に焼入焼戻等の熱処理を行わずHIPままで使用することが可能な熱間プレス金型を製造することが可能であり、熱処理工程を省くことにより金型製造費用の更なる削減と短納期化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による工具鋼と粉末材を拡散接合する方法の説明図である。
【図2】HIP処理後、HIP用缶を除去した状態を示す図である。
【図3】金型の母材となる工具鋼と、型彫面材となる粉末工具鋼とをHIPにより拡散接合させた熱間プレス用金型の斜視図である。
【図4】本発明金型Aの型彫面となる粉末材部分と比較金型Bについての高温軟化特性を示す図である。
【図5】本発明金型Aの母材および比較金型B(SKD61)のシャルピー衝撃特性を示す図である。
【符号の説明】
1 溶製あるいは粉末製工具鋼
2 粉末工具鋼
3 HIP用缶
4 脱気管
Claims (6)
- 重量%で、
C:0.7〜2.5%、
Si:2.0%以下、
Mn:1.5%以下、
Cr:3.0〜6.0%、
の必須成分と、Mo:3.0〜10.0%、およびW:1.0〜20.0%のいずれか一方または双方の第1選択成分と、V:0.8〜25.0%、およびNb:0.1〜5.0%のいずれか一方または双方の第2選択成分と、残部Feおよび不可避的不純物とからなる粉末工具鋼を金型の型彫面材料とし、同じく重量%で、
C:0.1〜0.55%、
Si:1.2%以下、
Mn:0.3〜2.0%、
Ni:0.3〜2.0%、
Cr:1.0〜4.0%、
および、Mo:0.2〜3.0%、
W:0.4〜6.0%
の1種または2種以上(MoとWは、1/2W+Mo:0.2〜3.0%)を含有し、さらに、
V:0.05〜0.7%、
Nb:0.01〜0.15%
の1種または2種以上を含有し、残部Feおよび不可避的不純物とからなる溶製あるいは粉末製熱間工具鋼を金型母材とし、これら型彫面材と母材をクラッド化したことを特徴とする熱間プレス用クラッド金型。 - 重量%で、
C:0.7〜2.5%、
Si:2.0%以下、
Mn:1.5%以下、
Cr:3.0〜6.0%、
の必須成分と、Mo:3.0〜10.0%、およびW:1.0〜20.0%のいずれか一方または双方の第1選択成分と、V:0.8〜25.0%、およびNb:0.1〜5.0%のいずれか一方または双方の第2選択成分と、残部Feおよび不可避的不純物とからなる粉末工具鋼を金型の型彫面材料とし、同じく重量%で、
C:0.1〜0.55%、
Si:1.2%以下、
Mn:0.3〜2.0%、
Ni:0.3〜2.0%、
Cr:1.0〜4.0%、
および、Mo:0.2〜3.0%、
W:0.4〜6.0%
の1種または2種以上(MoとWは、1/2W+Mo:0.2〜3.0%)を含有し、さらに、
V:0.05〜0.7%、
Nb:0.01〜0.15%
の1種または2種以上と、Co:0.2〜3.0%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物とからなる溶製あるいは粉末製熱間工具鋼を金型母材とし、これを型彫面材と母材をクラッド化したことを特徴とする熱間プレス用クラッド金型。 - 重量%で、
C:0.7〜2.5%、
Si:2.0%以下、
Mn:1.5%以下、
Cr:3.0〜6.0%、
の必須成分と、Mo:3.0〜10.0%、およびW:1.0〜20.0%のいずれか一方または双方の第1選択成分と、V:0.8〜25.0%、およびNb:0.1〜5.0%のいずれか一方または双方の第2選択成分と、Co:4.0〜12.0%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物とからなる粉末工具鋼を金型の型彫面材料とし、同じく重量%で、
C:0.1〜0.55%、
Si:1.2%以下、
Mn:0.3〜2.0%、
Ni:0.3〜2.0%、
Cr:1.0〜4.0%、
および、Mo:0.2〜3.0%、
W:0.4〜6.0%
の1種または2種以上(MoとWは、1/2W+Mo:0.2〜3.0%)を含有し、さらに、
V:0.05〜0.7%、
Nb:0.01〜0.15%
の1種または2種以上を含有し、残部Feおよび不可避的不純物とからなる溶製あるいは粉末製熱間工具鋼を金型母材とし、これを型彫面材と母材をクラッド化したことを特徴とする熱間プレス用クラッド金型。 - 重量%で、
C:0.7〜2.5%、
Si:2.0%以下、
Mn:1.5%以下、
Cr:3.0〜6.0%、
の必須成分と、Mo:3.0〜10.0%、およびW:1.0〜20.0%のいずれか一方または双方の第1選択成分と、V:0.8〜25.0%、およびNb:0.1〜5.0%のいずれか一方または双方の第2選択成分と、Co:4.0〜12.0%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物とからなる粉末工具鋼を金型の型彫面材料とし、同じく重量%で、
C:0.1〜0.55%、
Si:1.2%以下、
Mn:0.3〜2.0%、
Ni:0.3〜2.0%、
Cr:1.0〜4.0%、
および、Mo:0.2〜3.0%、
W:0.4〜6.0%
の1種または2種以上(MoとWは、1/2W+Mo:0.2〜3.0%)を含有し、さらに、
V:0.05〜0.7%、
Nb:0.01〜0.15%
の1種または2種以上と、Co:0.2〜3.0%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物とからなる溶製あるいは粉末製熱間工具鋼を金型母材とし、これを型彫面材と母材をクラッド化したことを特徴とする熱間プレス用クラッド金型。 - 請求項1〜4に記載の型彫面材と母材をクラッドする際、これら型彫面材と母材をHIP(熱間静水圧圧縮)によりクラッド化し、HIP処理したままの状態で使用することを特徴とする熱間プレス用クラッド金型の製造方法。
- 請求項1〜5に記載の型彫面材と母材をクラッドする際、型彫面材は金型の表面部分、すなわち摩耗による損傷が激しい部位に相当する部分とし、それよりも内部、すなわち金型の凹部は母材部分となるように型彫面材料の厚さを設計することを特徴とする熱間プレス用クラッド金型の製造方法
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