以下、図面を参照して本発明の第1実施形態のインクジェット記録装置の記録媒体搬送機構を説明する。
図1(B)に示すように、インクジェット記録装置12は、記録媒体の一例である用紙Pが収容される給紙トレイ24と、この給紙トレイ24から供給された用紙Pに画像を記録する記録部80と、この記録部80によって画像が記録された用紙Pを収容する排紙トレイ18と、を有している。
給紙トレイ24の用紙Pは、図示しないピップアップローラによって1枚ずつ取り出されて、記録部80に送られる。
記録部80は、図3に示すように、ハウジング(図示省略)に取り付けられた枠状の用紙搬送フレーム20を有しており、この用紙搬送フレーム20上を、用紙Pは所定の搬送方向に搬送される。各図面において、用紙搬送方向を矢印Fで、これと直交する用紙幅方向を矢印Wでそれぞれ示す。
記録部80は、図2(A)に示すように、このインクジェット記録装置12での画像記録が想定される用紙Pの最大幅W0と同程度、もしくは、さらに広い幅W1の記録可能領域R1を有している。たとえばA3サイズ用紙を想定した場合には、その最大幅W0(短手方向の長さ)は297mmとなるが、これに対して、記録可能領域R1の幅W1は、本実施形態では307.8mmとしている。
記録可能領域R1には、用紙Pの幅方向に分割された複数の個別記録領域R2が想定されている。図1から判るように、それぞれの個別記録領域R2に対応して、本発明の記録ヘッド組22が配置されている。記録ヘッド組22はいわゆる千鳥配置とされ、用紙幅方向に隣接するものどうしは、搬送方向に交互に位置している(以下、搬送方向の上流側と下流側とで記録ヘッド組22を区別する必要がある場合は、上流側を記録ヘッド組22A、下流側を記録ヘッド組22Bとして示す)。したがって、画像記録が完了した用紙P上では、記録ヘッド組22Aによって記録された領域と、記録ヘッド組22Bによって記録された領域とが、用紙幅方向に交互に並ぶことになる。
記録ヘッド組22のそれぞれは、インク吐出特性の異なる複数の単位ヘッド26が、用紙搬送方向に沿って配列されることにより構成されている。
単位ヘッド26には、図4に示すように、用紙幅方向に沿って形成された複数のノズル28によってノズル列32が構成されており、ノズル28の先端のインク吐出口30から、画像情報に応じたインク滴を吐出することができる。図1(A)から分かるように、1つの記録ヘッド組22内ではノズル列32の両端位置が用紙幅方向で一致するように、それぞれの単位ヘッド26が配置されている。また、用紙搬送方向に見たときに、それぞれの単位ヘッド26から吐出されるインク滴による用紙P上のドットに隙間が生じることなく用紙幅方向に一致するか、もしくはオーバーラップするように、記録ヘッド組22Aと記録ヘッド組22Bとが配置されている。したがって、それぞれの記録ヘッド組22は、対応する個別記録領域R2のみにおいて用紙Pに画像を記録するが、すべての記録ヘッド組22では、用紙Pの全幅にわたる画像の記録が可能となる。なお、上記のように、各単位ヘッド26からのドットが用紙幅方向に重なるように単位ヘッド26が配置されている場合には、オーバーラップ部分に対応するノズル28を使用しないようにすればよい。
上記の「インク吐出特性」とは、吐出するインク滴の特性のことをいい、たとえば、インク滴の色や滴体積、吐出速度などが含まれる。本実施形態では、1つの記録ヘッド組22あたりの単位ヘッド26の数を4つとし、搬送方向上流側から順に、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色を割り当てている。これにより、いわゆるフルカラーの画像を記録可能となる(以下、単位ヘッド26を色ごとに区別する必要がある場合には、符号の末尾にY、M、C、Kのいずれかを付して区別する)。もちろんこれ以外の構成であってもよく、たとえば、1つの記録ヘッド組22あたりの単位ヘッド26の数を2つとしても、それぞれの単位ヘッド26に異なる色を割り当てることで2色の画像を記録可能である。また、この数をたとえば5以上として、YMCK以外の色も加え、より色再現性の高い構成とすることも可能である。さらには、同一色に対応した単位ヘッド26であっても、インク滴体積が異なるようにし、より高い階調性を有られるようにしてもよい。
記録ヘッド組22は、上記した複数の単位ヘッド26を1つの記録ヘッド組22内で一体的にユニット化することにより構成されていてもよいが、本実施形態では、図2(A)に示すように、記録ヘッド組22A、22Bのそれぞれにおいて、各色に対応する単位ヘッド26ごとに共通基板36を設け、この共通基板36に、単位ヘッド26を取り付けて記録ヘッドユニット34を構成することで、単位ヘッド26の組み付けを容易に行うことが可能になる。(なお、図2(及び後述する図5)では図示の便宜上、特定の色(たとえばイエロー)に対応する記録ヘッドユニット34のみを示しているが、他の色についても同様である。)すなわち、共通基板36を記録媒体幅方向に掛け渡して、図示しないハウジング(あるいは固定用の部材)に固定し、この共通基板36に、用紙幅方向に等間隔(個別記録領域R2の幅W2と同じ間隔)をあけて複数の単位ヘッド26を取り付けて、記録ヘッドユニット34を構成している。このようにして、記録ヘッド組22Aの全体で各色ごとに1本ずつ記録ヘッドユニット34を備え(本実施形態では合計で4本)、同様に、記録ヘッド組22Bの全体においても各色ごとに1本ずつ(合計で4本)の記録ヘッドユニット34を備えている。それぞれの記録ヘッドユニット34において、単位ヘッド26を個別記録領域R2の幅W2と同じ間隔で取り付けているので、同一色に対応する2本の記録ヘッドユニット34としては全く同一構成とし、これら2本の記録ヘッドユニット34を用紙幅方向に沿って、個別記録領域R2の幅W2だけずらして配置することで、用紙Pの全幅へのインク滴吐出が可能となる。このようにして記録ヘッドユニット34を共通化すると、部品点数が少なくなり、低コストで記録部80を構成できる。
なお、本実施形態において、単位ヘッド26のノズル列32の長さは25.4mmとしている。この単位ヘッド26が、1本の記録ヘッドユニット34で6つ設けられ、さらに、それぞれの色において、記録ヘッドユニット34が2本備えられているので、全体として、25.4mmのノズル列32が、用紙幅方向に見て隙間無くならべられ、記録可能領域R1としては304.8mmの幅を得ている。
図1(B)に示すように、記録部80は用紙を搬送する記録媒体搬送機構300を備えている。この記録媒体搬送機構300は搬送ベルト38Aを有する上級側の搬送ベルト機構302と、搬送ベルト38Bを有する下流側の搬送ベルト機構304とから構成されている。
そして、図示しないピップアップローラによって1枚ずつ取り出された給紙トレイ24の用紙Pは、上級側の搬送ベルト機構302に送られ、次いで、下流側の搬送ベルト機構304に送られて、排紙トレイ18に排紙される。
さて、記録可能領域R1のなかで、記録ヘッド組22(単位ヘッド26)からインク滴が吐出されない領域(以下、非記録領域という)、すなわち、単位ヘッド26からの吐出インクの飛翔軌跡を回避した位置には、図1(A)に示すように、搬送ベルト38が配設されている。非記録領域は、記録ヘッド組22と用紙幅方向に交互に位置していることになるので、用紙幅方向に等間隔で複数の搬送ベルト38が掛けられている。そして、上流側の搬送ベルト38Aと下流側の搬送ベルト38Bとは、用紙幅方向に、個別記録領域R2の幅分だけずらして配置されているので、全体として搬送ベルト38は千鳥状になっている。
したがって、本実施形態では、記録可能領域R1を用紙幅方向に見ると、個別記録領域R2に記録ヘッド組22A又は記録ヘッド組22Bがそれぞれ一定の周期で配置され、さらに、非記録領域には、搬送ベルト38A又は搬送ベルト38Bが一定の周期で配置されて、記録ヘッド組22と搬送ベルト38とが交互に配置されていることになる。
図3(A)にも示すように、記録部80の用紙搬送方向中央には、1本の駆動ローラ42が用紙幅方向に掛け渡されて、用紙搬送フレーム20に回転可能に支持されている。上流側の搬送ベルト38Aと下流側の搬送ベルト38Bとが、駆動ローラ42に交互に巻き掛けられて保持されている。
また、用紙搬送方向の上流端近傍及び下流端近傍には、それぞれ1本ずつ従動ローラ44が用紙幅方向に掛け渡されており、それぞれ、用紙搬送フレーム20内の従動ローラフレーム46に、ベアリングなどを介して回転可能に支持されている。図1(A)に示すように、従動ローラ44は、それぞれシャフト66と、このシャフト66の固定された複数のプーリ68とで構成されている。また、搬送ベルト38A、及び搬送ベルト38Bが、対応する従動ローラ44のプーリ68に巻き掛けられて、保持されている。
駆動ローラ42には、ギヤ48を介して(もしくは直接的に)ドライブモータ50と接続されており、ドライブモータ50は搬送ベルト38の駆動源となっている。ドライブモータ50の駆動による駆動ローラ42の回転によって、全ての搬送ベルト38を、同一の循環速度で循環させることができるので、記録ヘッド組22A、22B間での記録画像の品質ムラを無くして、高画質の画像を得ることができる。なお、ドライブモータ50としては、ステッピングモータを使用すると、高精度の用紙搬送制御が可能になるので好ましいが、これに限定されない。
駆動ローラ42にはエンコーダ52が設けられており、駆動ローラ42の回転に同期して、所定のパルスを出力するようになっている。このパルスに基づいて、ドライブモータ制御手段54がドライブモータ50の回転を制御し、たとえば、ドライブモータ50の出力軸や、ギヤ48、駆動ローラ42の偏心などから生じる駆動ローラ42の回転ムラを一定範囲内に抑制できる。
なお、ドライブモータ制御手段54としては、上記した制御を行うことできれば限定されないが、たとえば、駆動ローラ42の回転時の個別のエンコーダ信号から、駆動ローラ42の理想的な回転との差分、すなわち偏心エラー成分を読み取り、この偏心エラー成分を打ち消す情報をドライブモータ50に対して与えることで、偏心制御を行うものを使用できる。
図2(B)、図5(A)〜(D)に示すように、搬送される用紙Pを挟んで単位ヘッド26と対向する位置、すなわち、搬送ベルト38A、38Bが配置されていない領域には、単位ヘッド26と一対一で対応するヘッド回復手段70が配置されている。図面上は、駆動ローラ42と従動ローラ44との間でヘッド回復手段70を1つのみ示しているが、実際は、単位ヘッド26の数と同数だけ設けられる。また、これらの図面では、上流側の従動ローラ44と駆動ローラ42との間を示しているが、駆動ローラ42と下流側の従動ローラ44との間でも、同様にヘッド回復手段70が設けられる。
ヘッド回復手段70は、単位ヘッド26に向かって開口したキャップ部材72と、このキャップ部材72を保持する保持部材74とを少なくとも有しており、保持部材74は、図示しない昇降機構によって昇降(単位ヘッド26への接近及び離間)するようになっている。さらに必要に応じて、キャップ部材72の内部を吸引する吸引手段を備えている。
図5(D)に示すように、ヘッド回復手段70が上昇した状態では、キャップ部材72が、単位ヘッド26のそれぞれのインク吐出面26Aに、ノズル列32(図4参照)を取り囲むように密着してキャッピングする。これにより、不用意なインクの乾燥を防止して増粘インクによるノズル28の目詰まりを防止したり、インクの劣化を防止したりする。また、この状態では、いわゆるバキューム動作を行い、単位ヘッド26のノズル28からインクを強制的に吸引することできる。
これに対し、ヘッド回復手段70が下降した状態では、図5(B)に示すように、用紙Pが搬送ベルト38A、38Bによって搬送されて単位ヘッド26の下方を通過可能となり、用紙Pへの画像記録を行うことができる。また、図5(C)に示すように、用紙Pが単位ヘッド26の下方に位置していないとき(たとえば連続する2枚に用紙Pの間)には、単位ヘッド26からいわゆるダミージェットを行い、このインク滴をキャップ部材72で受けることができる。
なお、ヘッド回復手段70の昇降機構は、各ヘッド回復手段70の個別に設けられていてもよいし、複数のヘッド回復手段70に共通で設けられていてもよい。昇降機構を複数のヘッド回復手段70で共通化する場合には、たとえば、複数のヘッド回復手段70を共通のベース板上に固定し、ベース板自体を昇降させる構成とすることができる。
また、ヘッド回復手段70は、上記のように、単位ヘッド26に対するキャッピングなどができるようになっていることが好ましいが、インクジェット記録装置12の構成によっては、少なくともダミージェットのインクを受けることができれば十分である場合もある。
上記では、記録ヘッド組22A、22Bを全体として千鳥配置となるようにしたが、記録ヘッド組22A、22Bは、全体としてすべての個別記録領域を網羅するように配置されていれば、用紙Pの全幅にわたる画像記録が可能であるので、用紙Pの幅方向にランダムな配置でもよい。ただし、たとえばヘッド回復手段70の幅などを考慮すると、記録ヘッド組22A、22Bを用紙Pの幅方向に一定の周期で配置して、それぞれの記録ヘッド組22A間、又は記録ヘッド組22B間にある程度の空間が構成されるようにすると、ヘッド回復手段70が幅広であっても、隣接するヘッド回復手段70どうしが干渉せず、配置上の制約が少なくなるので好ましい。
同様に、搬送ベルト38A、38Bも、用紙Pを確実に搬送でき、かつ単位ヘッド26からのインク滴の飛翔軌跡を回避した位置であればよいが、用紙Pの幅方向にランダムは配置でもよい。ただし、用紙Pの幅方向に一定の周期で配置して、用紙Pを確実に搬送できるようにすることが好ましい。
図6及び図7は記録媒体搬送機構300を示している。上述したように、記録媒体搬送機構300は、上流側の搬送ベルト機構302と下流側の搬送ベルト機構304とから構成されている。
図6及び図7に示すように、記録媒体搬送機構300は、用紙搬送フレーム20に芯104が回転自在に取りつけられた帯電ローラー100B、100Cが、搬送ベルト機構302、304の下部にそれぞれ設けられている。また、帯電ローラー100B、100Cは、搬送ベルト38A、38Bの用紙Pの搬送面にそれぞれ接しており、搬送ベルト38A、38Bの回転に伴い従動回転する。
さらに、上流側の搬送ベルト機構302の上部の上流部分には、用紙搬送フレーム20に芯104が回転自在に取りつけられた帯電ローラ100Aが備えられており、用紙Pが搬送されると用紙Pに接触して従動回転する。
これらの帯電ローラ100A、100B、100Cは、図示しない高抵抗被覆層が設けられた円柱状の導電性ゴム部102の中心部に導電性の芯104を有する構成となっている。
また、帯電ローラ100A、100B、100Cの芯104は、用紙搬送フレーム20とは絶縁されており、図示しない電気回路に接続され、電圧が印加されている。それぞれの印加電圧は、上部の帯電ローラ100AがVR1v、下部の上流側の帯電ローラ100BがVR2v、下流側の帯電ローラ100CがVR3v、となっている。また、各電圧の関係は|VR1v|<|VR2v|<|VR3v|となっている。
搬送ベルト38A、38B及び用紙Pに接触し従動回転することで、用紙Pが帯電電位V1vに、搬送ベルト38Aが帯電電位V2vに、搬送ベルト38Bが帯電電位V3vに、それぞれ帯電し、その帯電電位の関係は|V1v|<|V2v|<|V3v|となる。
尚、図6に示すように、帯電ローラ100A、100B、100Cの導電性ゴム部102は記録媒体搬送機構300の搬送方向Fに直行する方向全域にわたって設けられている。したがって、帯電ローラ100Aは用紙Pの幅方向全域に渡って、帯電ローラ100B、100Cは対応する搬送ベルト38B、38Aの全てに渡って接触し帯電する。
図7に示すように、下流側の搬送ベルト機構304の従動ローラ44の上流側の近傍には導電性のブラシからなる除電ブラシ120が設けられ、搬送ベルト38Bの裏面(用紙Pを搬送する面と反対の面)に接している。また、除電ブラシ120は、図示しないアースに接続されている。したがって、除電ブラシ120は搬送ベルト38Bを除電する。
更に、下流側の搬送ベルト機構304の従動ローラ44の上部にも導電性ブラシからなる除電ブラシ122が設けられ、搬送ベルト38Bを搬送されてきた用紙Pの表面に接する。また、除電ブラシ122も図示しないアースに接続されている。したがって、除電ブラシ122は用紙Pを除電する。
除電ブラシ120、122は搬送方向Fに直行する方向全域にわたって設けられている。したがって、除電ブラシ120は用紙Pの幅方向全域に渡って、除電ブラシ122は対応する搬送ベルト38Bの全てに渡って接触し除電する。
次に第1実施形態のインクジェット記録装置12の記録媒体搬送機構300の作用について説明する。
コントローラからの指示がない状態では、インクジェット記録装置12はスタンバイ状態であり、各部材は停止している。図5(D)に示すように、ヘッド回復手段70は上昇してキャップ部材72が対応する単位ヘッド26のインク吐出面に密着し、ノズル28の目詰まりやインクの劣化を防止している。
コントローラから画像記録を行う旨の指示があると、インクジェット記録装置12はまず、図5(B)に示すように、回復手段70を下降させて、単位ヘッド26の下方を用紙Pが通過できるようにする。このとき、図5(C)に示すように、必要に応じて、いわゆるダミージェットを行い、単位ヘッド26をインク滴吐出に最適な状態へと回復させてもよい。単位ヘッド26の下方にはキャップ部材72が位置しているので、ダミージェットによって吐出されたインク滴を受けることができる。
これにあわせて、ドライブモータ50を駆動して駆動ローラ42を回転させ、媒体搬送ベルト38A、38Bを循環駆動させる。このとき、エンコーダ52からの信号を受けて偏心制御を行いながら、ドライブモータ50を回転させる。
図7に示すように、搬送ベルト機構302、304の搬送ベルト38A、38Bが回転すると、帯電ローラ100Bと帯電ローラ100Cとが従動回転する。帯電ローラ100BにはVR2vが印加され、帯電ローラ100CにはVR3vが印加されているので、搬送ベルト38Aは帯電電位V2vに、搬送ベルト38Bは帯電電位V3vに、それぞれ帯電する。
媒体搬送ベルト38A、38Bの循環速度が安定し、帯電電位V2v、V3vに帯電した状態で、図示しないコントローラは、図示しないピップアップローラを駆動し、給紙トレイ24(図1(B)参照)から用紙Pを1枚ずつ上流側の搬送ベルト機構302に送る。
上流側の搬送ベルト機構302に送られた用紙Pが上部の帯電ローラ100Aに接触する。帯電ローラ100AにはVR1v印加されているので、用紙Pが帯電電位V1vに帯電する。
さて、|VR1v(帯電ローラ100Aへの印加電圧)|<|VR2v(帯電ローラ100Aへの印加電圧)|となっているので、|V1v(用紙Pの帯電電位)|<|V2v(搬送ベルト38Aの帯電電位)|となり、用紙Pと搬送ベルト38Aとの帯電電位に電位差が設けられる。したがって、用紙Pは搬送ベルト38Aに静電気的に吸着する。
続いて、用紙Pは下流側の搬送ベルト機構304に受け渡される。同様に、|VR1v(帯電ローラ100Aへの印加電圧)|<|VR3v(帯電ローラ100Cへの印加電圧)|となっているので、|V1v(用紙Pの帯電電位)|<|V3v(搬送ベルト38Bの帯電電位)|となり、用紙Pと搬送ベルト38Aとの帯電電位に電位差が設けられる。したがって、用紙Pは搬送ベルト38Bに静電気的に吸着する。
このように、用紙Pは静電気的に搬送ベルト38A、38Bに吸着して搬送されるので、安定して搬送される。
更に、帯電ローラ100A、100B、100Cへの印加電圧の関係は、|VR1v|<|VR2v|<|VR3v|となっているので、用紙P、搬送ローラ38A、38Bの帯電電位の関係は|V1v|<|V2v|<|V3v|となっている。つまり、用紙Pの帯電電位V1vと搬送ベルト38Aの帯電電位V2vとの電位差より、用紙Pの帯電電位V1vと搬送ベルト38Bの帯電電位V3vとの電位差の方が大きい。すなわち、用紙Pが上流側の搬送ベルト38Aに吸着する吸着力より、下流側の搬送ベルト38Bに吸着する吸着力の方が大きい。
さて、用紙Pが上流側の搬送ベルト38Aと下流側の搬送ベルト38Bにまたがった状態においては、記録媒体の吸着面は不連続になる。このため、用紙Pの先端がバタつくなど、用紙Pの挙動が不安定になりやすいが、上流側の搬送ベルト38Aへの吸着力より、下流側の搬送ベルト38Bへの吸着力の方が大きいので、用紙Pの先端のバタつきなどが抑えられる。よって、用紙Pの挙動が安定する。
従って、用紙Pはスムーズに安定して搬送されるので、斜行、JAM等が防止される。
下流側の搬送ベルト機構204の下流には図示しないアースに接続した除電ブラシ120、122が設けられている。このため、搬送ベルト38B及び用紙Pが除電され、搬送ベルト38Bと用紙Pとの間の帯電電位差が解除される。
従って、吸着力がなくなり、搬送されてきた用紙Pは、搬送ベルト38Bから容易に剥離し、排紙トレイ18(図1(B)参照)にスムーズに排紙される。
一方、このように用紙Pが搬送されている間に、搬送方向最上流の単位ヘッド26から順次、画像情報に応じたインク滴が用紙Pの所定の位置に吐出され、画像記録が行われる。尚、上述したように用紙Pは、スムーズに安定して搬送されるので、インク滴が用紙Pの所定の位置に正確に着弾し、良好な画像品質を得ることができる。
搬送方向最下流の単位ヘッド26からのインク滴吐出が完了した時点で、用紙Pの全体への画像記録が完了し、用紙Pを排紙トレイ18(図1(B)参照)に排出する。このとき、ダミージェットが必要であるか否かを判断し、必要である場合には、ダミージェットを行う。ダミージェットが必要でない場合には、そのまま次の用紙Pの印字を行う。
所定枚数の用紙Pへの画像記録が完了すると、ドライブモータ50の回転を停止させ、搬送ベルト38A、38Bの循環も停止させる。
その後、図5(D)に示すように、コントローラはヘッド回復手段70を上昇させて単位ヘッド26のそれぞれをキャップ部材72によってキャッピングする。
以上により、一連の画像記録動作が完了する。なお、キャップ部材72によって単位ヘッド26をキャッピングした状態で、必要に応じ、単位ヘッド26からのインクの吸引(バキューム動作)を行ってもよい。
このように、本実施形態のインクジェット記録装置12では、記録ヘッド組22A、22Bを用紙幅方向に移動させることなく、用紙Pの搬送を行うのみで全幅にわたる画像記録を行うことができ、生産性が高くなる。
しかも、単位ヘッド26のそれぞれに対応するヘッド回復手段70が常にインク吐出面26Aに対向しており、ダミージェットを行うときに、単位ヘッド26あるいはヘッド回復手段70を移動させる必要がない。また、媒体搬送ベルト38A、38Bは非記録領域に配置されており、ダミージェットで吐出されたインクが、不用意に媒体搬送ベルト38A、38Bに付着することもない。したがって、画像記録を行いつつ、たとえば用紙Pの間の領域でダミージェットを行うことも可能であり、この点においても、高い生産性を得ることができる。加えて、ダミージェット時に単位ヘッド26あるいはヘッド回復手段70を移動させる必要がないので、インクジェット記録装置12の構造の簡素化、小型化を図ることも可能となる。
次に本発明に係る第2実施形態のインクジェット記録装置の記録媒体搬送機構を図8に基づき説明する。尚、第1実施形態で説明した部材には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図8に示すように、本実施形態のインクジェット記録装置13の記録媒体搬送機構310は、第1実施形態と同様の構成であるが、帯電ローラ100A、100B、100C(図7参照)の替わりに、帯電ブラシ108A、108B、108Cによって、用紙Pと搬送ベルト38A、38Bとを帯電している。
上部の帯電ブラシ108Aへの印加電圧はVB1v、上流側の帯電ブラシ108Bへの印加電圧はVB2v、下流側の帯電ブラシ108Cへの印加電圧はVB3v、なっている。なお、各電圧の関係は|VB1v|<|VB2v|<|VB3v|となっている。このため、用紙PがV1vに、搬送ローラ38AがV2vに、搬送ローラ38BがV3vに、それぞれ帯電し、その帯電電位の関係は|V1v|<|V2v|<|V3v|となっている。
また、帯電ブラシ108A、108B、108Cは記録媒体搬送機構310の搬送方向Fに直行する方向全域にわたって設けられている。したがって、帯電ブラシ108Aは用紙Pの幅方向全域に渡って、帯電ブラシ108B、108Cは対応する搬送ベルト38B、38Aの全てに渡って接触し帯電する。
次に第2実施形態のインクジェット記録装置13の記録媒体搬送機構310の作用について説明する。
第1の実施形態と同様、用紙P、搬送ベルト38A、38Bは、帯電ブラシ108A、108B、108Cが接触し帯電する。各電圧の関係は|VB1v|<|VB2v|<|VB3v|となっているので、用紙P、搬送ローラ38A、38Bの各帯電電位の関係は|V1v(用紙Pの帯電電位)|<|V2v(搬送ローラ38Aの帯電電位)|<|V3v(搬送ローラ38B帯電電位)|となっている。
つまり、第1の実施形態と同様に用紙Pの帯電電位V1vと搬送ベルト38Aの帯電電位V2vとの電位差より、用紙Pの帯電電位V1vと搬送ベルト38Bの帯電電位V3vとの電位差の方が大きいすなわち、用紙Pが上流側の搬送ベルト38Aに吸着する吸着力より、下流側の搬送ベルト38Bに吸着する吸着力の方が大きい。
従って、上流側の搬送ベルト38Aから下流側の搬送ベルト38Bへの用紙Pの受け渡しにおいて、用紙Pの挙動が不安定にならない。このため、第1の実施形態と同様に用紙Pは、スムーズに安定して搬送されるので、斜行、JAM等が防止される。
次に本発明に係る第3実施形態のインクジェット記録装置の記録媒体搬送機構を図9に基づき説明する。尚、第1実施形態で説明した部材には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図9に示すように、本実施形態のインクジェット記録装置14の記録媒体搬送機構320は、第1実施形態と同様の構成であるが、帯電ローラ100A、100B、100C(図7参照)の替わりに、スコロトロン帯電器130A、130B、130Cによって、用紙Pと搬送ベルト38A、38Bとを帯電している。
スコロトロン帯電器130A、130B、130Cは、タングステンなどからなるワイヤー136と、このワイヤー136の周囲に一面が開口している断面がコの字状の金属からなるハウジング132と、ハウジング132の開口面に設けられた網目状の金属からなるグリット134から構成されている。
スコロトロン帯電器130A、130B、130Cは、コロナ放電を利用して帯電する。具体的には、ワイヤー136に数キロボルトの電圧を印加しコロナ放電を発生させる。コロナ放電によって発生した荷電粒子を被帯電物(本願の場合は用紙P、搬送ベルト38A、38B)に導いて帯電する。その際、グリット134によって荷電粒子の通過を制御し、被帯電物の帯電電位を一定値に収束する。したがって、グリット134に印加する電圧によって被帯電物の帯電電位を制御できる。
さて、本実施形態における、上部のスコロトロン帯電器130Aのワイヤー136にはVC1v、グリット134にはVG1vの電圧を印加している。同様に下部の上流側のスコロトロン帯電器130Bのワイヤー136にはVC2v、グリット134にはVG2vの電圧を、下流側のスコロトロン帯電器130Cのワイヤー136にはVC3v、グリット134にはVG3vの電圧を印加している。
ワイヤー136には、コロナ放電が発生する電圧(数キロボルト)が印加され、その関係は、VC1v=VC2v=VC3vと同じ電圧が印加されている。
一方、グリット134に印加する電圧の関係は、|VG1v|<|VG2v|<|VG3v|、となっている。このため、用紙PがV1vに、搬送ローラ38AがV2vに、搬送ローラ38BがV3vに、それぞれ帯電し、その帯電電位の関係は|V1v|<|V2v|<|V3v|となっている。
また、スコロトロン帯電器130A、130B、130Cは記録媒体搬送機構320の搬送方向Fに直行する方向全域にわたって設けられている。したがって、スコロトロン帯電器130Aは用紙Pの幅方向全域に渡って、スコロトロン帯電器130B、130Cは対応する搬送ベルト38B、38Aの全て渡って帯電する。
次に第3実施形態のインクジェット記録装置14の記録媒体搬送機構320の作用について説明する。
第1の実施形態と同様、用紙P、搬送ベルト38A、38Bは、スコロトロン帯電器130A、130B、130Cによって帯電する。グリット134に印加する電圧の関係は、|VG1v|<|VG2v|<|VG3v|となっているので、用紙P、搬送ローラ38A、38Bの各帯電電位の関係は、|V1v(用紙Pの帯電電位)|<|V2v(搬送ベルト38Aの帯電電位)|<|V3v(搬送ベルト38Bの帯電電位)|となっている。
つまり、第1の実施形態と同様に用紙Pの帯電電位V1vと搬送ベルト38Aの帯電電位V2vとの電位差より、用紙Pの帯電電位V1vと搬送ベルト38Bの帯電電位V3vとの電位差の方が大きい。すなわち、用紙Pが上流側の搬送ベルト38Aに吸着する吸着力より、下流側の搬送ベルト38Bに吸着する吸着力の方が大きい。
従って、上流側の搬送ベルト38Aから下流側の搬送ベルト38Bへの用紙Pの受け渡しにおいて、用紙Pの挙動が不安定にならない。このため、第1の実施形態と同様に用紙Pは、スムーズに安定して搬送されるので、斜行、JAM等が防止される。
また、スコロトロン帯電器130Aは、用紙Pに対し、非接触で帯電できるので、用紙Pから紙紛が発生しない。
尚、スコロトロン帯電器130A、130B、130C以外のコロナ帯電器であってもよい。例えば、図示しないが、ハウジングのみでグリットを有しないコロトロン帯電器であっても良いし、ワイヤーのみであって良い。このような構成の場合には、ワイヤーに印加する電圧を、VC1v<VC2v<VC3vの関係とし、用紙Pの帯電電位V1vと搬送ベルト38Aの帯電電位V2vとの電位差より、用紙Pの帯電電位V1vと搬送ベルト38Bの帯電電位V3vとの電位差の方が大きくなるようにすれば良い。
次に本発明に係る第4実施形態のインクジェット記録装置の記録媒体搬送機構を図10に基づき説明する。尚、第1実施形態及び第3実施形態で説明した部材には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図10に示すように、本実施形態のインクジェット記録装置15の記録媒体搬送機構340は、第1実施形態及び第3実施形態と同様の構成であるが、用紙Pへの帯電はスコロトロン帯電器130Aを用い、搬送ベルト38A、38Bは帯電ローラ100B、100Cを用いて帯電している。
次に第4実施形態のインクジェット記録装置15の記録媒体搬送機構340の作用について説明する。
第1の実施形態及び第3実施形態と同様、用紙P、搬送ローラ38A、38Bの各帯電電位の関係は|V1v(用紙Pの帯電電位)|<|V2v(搬送ローラ38Aの帯電電位)|<|V3v(搬送ローラ38Bの帯電電位)|となるように、スコロトロン帯電器130Aと帯電ローラ100B、100Cに印加する電圧を制御することで、第1実施形態及び第3実施形態と同様の作用を奏す。
次に本発明に係る第5実施形態のインクジェット記録装置の記録媒体搬送機構を図11に基づき説明する。尚、第1実施形態で説明した部材には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図11に示すように、本実施形態のインクジェット記録装置16の記録媒体搬送機構350は、第1実施形態と同様の構成であるが、帯電ローラ100B、100C(図7参照)を設けず、従動ローラ44に電圧を印加することで、搬送ベルト38A、38Bを帯電している。
また、除電ブラシ120(図1参照)は設けられていない。また、除電ブラシ122は下流側の従動ローラ44と電気的に同電位となっている。
次に第5実施形態のインクジェット記録装置16の記録媒体搬送機構350の作用について説明する。
第1の実施形態と同様、用紙P、搬送ローラ38A、38Bの各帯電電位の関係は|V1v(用紙Pの帯電電位)|<|V2v(搬送ローラ38Aの帯電電位)|<|V3v(搬送ローラ38Bの帯電電位)|となるように、帯電ローラ100A及び、従動ローラ44で帯電することで、第1実施形態と同様の作用を奏す。
また、除電ブラシ122によって用紙Pが搬送ベルト38Bと同電位に帯電され、搬送ベルト38Bと用紙Pとの間の電位差が解除される。従って、吸着力がなくなり、搬送ベルト38Bから用紙Pが容易に剥離し、排紙トレイ18(図1(B)参照)にスムーズに排紙される。
このように、従動ローラ44に電圧を印加して、搬送ベルト38A、38Bを帯電するので、別途新たに帯電ローラ100B、100Cやスコロトロン帯電器130B、130Cを設ける必要がなく、低コスト、省スペースなどのメリットがある。
尚、第1実施形態から第5実施形態おいて、下流側の用紙もP帯電する構成としても良い。例えば、図18に示すように、上流側の搬送ベルト機構303の上部に帯電ローラ100Aを、下流側の搬送ベルト機構305の上部に帯電ローラ100Fを配置し、|V1v(上流側の用紙Pの帯電電位)−V2v(搬送ローラ38Aの帯電電位)|<|V5v(下流側の用紙Pの帯電電位)−V3v(搬送ローラ38Bの帯電電位)|となるように、用紙Pの帯電電位を上流と下流とで変えても良い。
また、図示しないが、搬送ベルト38A、38Bのみ帯電し用紙Pは帯電しない構成、或いは用紙Pのみ帯電する構成としても良い。このような構成でも、同様の作用を奏すが、搬送ベルト38A、38Bと用紙Pの両方を帯電した方が電位差をより正確に制御できる。
次に本発明に係る第6実施形態のインクジェット記録装置の記録媒体搬送機構を図12から図15に基づき説明する。尚、第1実施形態で説明した部材には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図12に示すように、記録媒体搬送機構360は上流側の搬送ベルト機構362の搬送ベルト138Aの内側と下流側の搬送ベルト機構364の搬送ベルト138Bの内側とに吸引機構200をそれぞれ備えている。そして、搬送ベルト138A、138Bに形成された吸引孔140(図14参照)から吸引機構200によって吸引し、搬送ベルト138A、138Bに用紙Pを吸着させている。
図13に示すように、吸引機構200は、ダクト206を備えている。図14にも示すように、ダクト206には吸引ダクト210が各搬送ベルト138A、138Bに沿って設けられている。図13に示すように、吸引ダクト210の上面(搬送ベルト138A、138B側)には吸引口212が複数開けられている。
図14及び15にも示すように、各吸引ダクト210は搬送方向と直交方向に対し長いメインダクト部208にそれぞれ繋がっている。また、図14に示すようにメインダクト部208は搬送ベルト機構362、364の外側に延びており、その端部にはファン202が設けられている。尚、図15に示すように、ファン202は下向きに排気する。
図14に示すように、搬送ベルト138A、138Bには吸引孔140が形成されている。吸引孔140は、搬送ベルト138Aには搬送方向に1列形成され、搬送ベルト138Bには搬送方向に2列形成されている。すなわち、搬送ベルト138Aより搬送ベルト138Bの方が多く吸引孔140が形成されている。
次に第6実施形態のインクジェット記録装置17の記録媒体搬送機構360の作用について説明する。
図15に示すようにファン202が駆動するとダクト206内が負圧となり、吸引口212を介して、搬送ベルト138B(138A)の吸引孔140から空気を吸い込む(矢印K参照)。
図14に示すように、搬送ベルト138Aより搬送ベルト138Bの方が多く吸引孔140が形成されているので、搬送ベルト138Aより搬送ベルト138Bの方が、吸引量が多い。したがって、上流側の搬送ベルト138Aより下流側の搬送ベルト138Bの方が用紙Pの吸着力が大きい。
用紙Pは搬送ベルト138A、138Bに吸着されて搬送されるが、上述したように上流側の搬送ベルト138Aより下流側の搬送ベルト138Bの方が用紙Pの吸着力が大きいので、上流側の搬送ベルト機構362から下流側の搬送ベルト機構364において、第1実施形態と同様に用紙Pはスムーズに安定して搬送される。よって、斜行、JAM等が防止される。
また、図14に示すように、下流側の搬送ベルト機構364の従動ローラ44部分には、吸引ダクト210は存在しない。つまり、従動ローラ44部分は吸引されないので吸着力がなくなる。したがって、搬送ベルト138Bから用紙Pが容易に剥離し、排紙トレイ18にスムーズに排紙される。
尚、第6実施形態において、図14に示すように、搬送ベルト138Aより搬送ベルト138Bの方に多く吸引孔140を形成することで、上流側の搬送ベルト138Aより下流側の搬送ベルト138Bの吸引量方を多くしたが、これに限定されない。
例えば、図示しないが、吸引ダクト210に開けられている吸引口212を、上流側の吸引機構200より下流側の吸引機構200の方を多くすることで、吸引量を変えても良い。或いは、上流側と下流側のファン202の回転数を変え吸引量を変えても良い。或いは、これらを組み合わせても良い。
尚、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではない。
例えば、第1実施形態から第6実施形態では、いずれも記録媒体搬送機構は、上流と下流との二つの搬送ベルト機構から構成されている(例えば、図1(B)参照)。
しかし、3つ以上の搬送ベルト機構を備えていても良い。例えば、図17に示すように3つの搬送ベルト機構402、403、404からなる記録媒体搬送機構400であっても良い。尚、これに対応するように、帯電ローラ100A、100B、100Cに加え、さらに下流側に帯電ローラ100Dを備え、記録ヘッド組22A、22Bに加えて、さらに下流側に記録ヘッド組22Cを備えている。
このような構成の場合、各帯電ローラ100A、100B、100C、100Dに印加する電圧を|VR1v|<|VR2v|<|VR3v|<|VR4v|として、帯電電位を|V1v(用紙Pの帯電電圧)|<|V2v(搬送ベルト38Aの帯電電位)|<|V3v(搬送ベルト38Bの帯電電位)|<|V4v(搬送ベルト38Cの帯電電位)|として、吸着力を下流側に行くほど大きくすれば良い。
また例えば、図17(B)に示すように、搬送ベルト338Aと搬送ベルト338Bとで、それぞれの駆動系を独立している。すなわち、搬送ベルト338Aに対応して駆動ローラ520及び従動ローラ510が設けられ、同様に搬送ベルト338Bに対応して駆動ローラ520及び従動ローラ510が設けられた構成とし、帯電ローラ、帯電ブラシ、或いは吸引機構を使用して用紙Pを搬送ベルト338A、338Bに吸着する構成であっても良い。
また、例えば、図17(A)に示すように、搬送ベルト338Aと搬送ベルト338Bとが1枚のベルトで構成されていても良い。ただし、このような構成の場合は、搬送される用紙Pを挟んで単位ヘッド26と対向する位置に単位ヘッド26と一対一で対応するヘッド回復手段70を設けることはできない。(図2、図5参照)。したがって、ヘッド回復動作時には、ヘッド回復手段等を移動して回復動作を行う構成とする必要がある。
なお、本発明のインクジェット記録装置としては、記録媒体にインク滴を吐出して画像を記録可能であれば広く含まれ、たとえばファクシミリ、複写機、プリンタ複合機、ワークステーション等の出力機器として用いられる記録装置が含まれ、本発明のインクジェット記録方法としても、これらの記録装置によって記録媒体に画像を記録する記憶方法が含まれる。
また、本発明のインクジェット記録装置において画像記録の対象となる「記録媒体」には、インクジェット記録装置がインク滴を吐出する対象物であれば広く含まれる。また、インク滴が記録媒体上に付着されることで得られる記録媒体上のドットのパターンが、本発明の記録装置で得られる「画像」あるいは「記録画像」に広く含まれる。したがって、本発明のインクジェット記録装置は、記録用紙上への文字や画像の記録に用いられるものに限定されない。また、記録媒体には、記録用紙やOHPシートなどが含まれるのはもちろんであるが、これら以外にも、たとえば、配線パターン等が形成される基板などが含まれる。また、「画像」には、一般的な画像(文字、絵、写真など)のみならず、上記したような配線パターンや3次元物体、有機薄膜などが含まれる。吐出する液体も着色インクに限定されるわけではない。例えば、高分子フィルムやガラス上に着色インクを吐出して行うディスプレイ用のカラーフィルターの作製、溶融状態のハンダを基板上に吐出して行う部品実装用のバンプの形成、有機EL溶液を基板上に吐出させて行うELディスプレイパネルの形成、溶融状態のハンダを基板上に吐出して行う電気実装用のバンプの形成など、様々な工業的用途を対象とした液滴噴射装置一般に対して、本発明のインクジェット記録装置を適用することが可能である。
また、記録手段もインクジェット記録手段に限らない。例えば、帯電させたトナーを開口電極からの電気力で飛翔させ、その開口電極を通過したトナーを記録媒体に付着させトナー像を形成するトナージェット方式であっても良いし、微小発熱体を整列配置し、画像データに対応した通電により選択的に発熱体を加熱するサーマルヘッドを用いたサーマルヘッド記録方式であっても良い。或いは、その他の記録手段であっても良い。