JP4228694B2 - 焼結用原料の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、下方吸引のドワイトロイド式焼結機を用いて高炉用焼結鉱を製造する際に用いる焼結用原料の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
高炉用原料として用いられる焼結鉱は、一般的に次のような焼結原料の処理方法を経て製造されている。図1に示すように、まず、粒径が10mm以下の鉄鉱石1、珪石、蛇紋岩、またはニッケルスラグなどからなるSiO2 含有原料2、石灰石などのCaOを含有する石灰石系粉原料3、および粉コークスまたは無煙炭などの熱源となる固体燃料系粉原料4をドラムミキサー5を用いて、これに適当量の水分を添加して混合、造粒して擬似粒子と呼ばれる造粒物を形成する。この造粒物からなる配合原料は、ドワイトロイド式焼結機のパレット上に適当な厚さ例えば500〜700mmになるように装入して表層部の固体燃料に着火し、着火後は下方に向けて空気を吸引しながら固体燃料を燃焼させ、その燃焼熱によって配合した焼結原料を焼結させて焼結ケーキとする。この焼結ケーキは破砕、整粒され、一定の粒径以上の焼結鉱を得る。一方、それ未満の粒径を有するものは返鉱となり、焼結原料として再利用される。本発明において、焼結用原料の鉄鉱石とは、鉄鉱石粉および再び焼結原料として利用される返鉱を当然のことながら含むものであり、これを総称して鉄鉱石として以下本発明を説明する。
【0003】
ここで、焼結鉱は、原料中のコークスを層内を通過する空気によって燃焼させて製造しているので、その生産性は、パレット上での擬似粒子の充填層の通過風量(通気性)によって決定される。その結果、図2に示すように、ドラムミキサーで造粒される擬似粒子の粒径が大きくなるほど、通気性が向上し、生産率が向上することが良く知られており、これまでに擬似粒子径を大きくしようという多くの試みがなされてきた。
【0004】
ドラムミキサーでの造粒は、水を架橋にして擬似粒子を付着させているため、その原料の水との濡れ性が大きな影響を及ぼすことが良く知られている。水との濡れ性が良い原料の場合、擬似粒子径は大きくでき、図3は、各種の鉄鉱石の接触角と擬似粒子充填層の通気性との関係を調査したものである。これより、水との接触角が大きく、水に濡れ難いほど、造粒後の擬似粒子充填層の通気性が低い(擬似粒子径が小さい)ことが分かる。
【0005】
発明者は鉄鉱石の他に焼結原料として使用される原料に着目して水との接触角を調査した。すなわち図4に示すように、表面を研磨した試料6に注射器で水滴7を与えて、側面から観察して接触角θを測定した。その結果、コークスの接触角θの平均値は41°(測定回数:20回)、石灰石の接触角θの平均値は23°(測定回数:13回)、鉄鉱石の接触角θの平均値は16°(測定回数:14回)であり、コークスの濡れ性が最も劣っている。
【0006】
さらに発明者は、各種原料の粉体を円筒状(外径25mm、長さ250mm)のガラス管に充填して水の浸透高さを測定して、それぞれの濡れ性を評価した。すなわち図5に示すように、円柱状のガラス管8下端の開口部をガーゼ9で覆い、次いでガラス管8内に各種原料の粉体10(粒径0.10〜0.25mm)を充填した後、ガラス管8下端から2mmの位置まで水11中に浸漬した。このようにして水11が、ガラス管8内に充填された粉体10の間隙に浸透して上昇する高さ(以下、浸透高さという)を測定した。粉体10が水11に濡れ難いほど、浸透高さは低くなる。
【0007】
その結果、浸透高さは、コークス、石灰石、鉄鉱石の順に徐々に高くなり、コークスの濡れ性が最も劣っていることがわかった。
この結果から、発明者は、擬似粒子充填層の通気性を向上する(擬似粒子径を大きくする)ために、焼結原料中から固体燃料系粉原料である粉コークスを除いて造粒する必要があることに着目したものである。
【0008】
従来、固体燃料系粉原料である粉コークスを焼結原料から分離して添加する技術としては以下のものがある。
まず、焼結原料から固体燃料系粉原料である粉コークスの全量又は一部を分離して、造粒後の擬似粒子に粉コークスを添加する技術として特許文献1及び特許文献2があり、特許文献1では、粉コークスをドラムミキサーの供給側と排出側から添加する技術が提案され、特許文献2では、粉コークスの全量又は一部をドラムミキサー排出側から気流搬送によって添加する技術が提案されている。
【0009】
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、ドラムミキサーの供給端と排出端から粉コークスを添加するため、焼結原料の擬似粒子化進行中に固体燃料系粉原料である粉コークスが内装化されるという問題があった。また、特許文献2に開示された技術では、ドラムミキサーの排出端から粉コークスを添加するものの、ドラムミキサーの入口側に粉コークスの微粒部分を、排出端では粉コークスの粗粒部分が存在するコークス粉の分布形態になるように気流搬送により添加することが行われるため、焼結原料の擬似粒子化進行中にコークス粉が内装化するという問題があった。
【0010】
すなわち、焼結原料から粉コークスを分離して造粒しても固体燃料系粉原料である粉コークスを添加して造粒する際に、焼結原料中に内装化され、内装化により焼結原料の擬似粒子の成長が進まないという問題があった。
また、特許文献3には、粉コークスを配合せずペレットフイードを配合した焼結原料を1次ミキサーで調湿造粒し、次いでこの調湿造粒物に粉コークスを添加して2次ミキサーで転動造粒することを特徴とする焼結原料の事前処理方法が開示されている。この技術によれば、ペレットフイードを配合した焼結原料を調湿造粒するに際し、2次ミキサー側で添加することにより従来の1次ミキサーで全量混合造粒したものに比べて大幅に造粒性、通気性、生産性が改善できるとしている。
【0011】
【特許文献1】
特開昭52−141402号公報
【特許文献2】
特開昭58−11746号公報
【特許文献3】
特開昭61−163220号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献3に開示された技術で得られた焼結原料も必ずしも造粒性の向上に結びつかず、いまだ成功した例はない。
なお、特許文献1及び特許文献3に開示されているように、造粒に際し、1次ミキサー、2次ミキサーを使用して混合・造粒を行なう焼結原料の予備処理方法あるいは焼結原料の造粒方法では、基本的には1次ミキサー側で焼結原料の混合を主体とする混合・造粒を行ない、その後、2次ミキサー側で造粒を主体とする、いわゆる転動造粒が行われる。このように1次ミキサーと2次ミキサーを有する(合計2台のミキサーを有する)場合、一般的には、焼結原料の1次ミキサーにおける混合・造粒時間は120秒程度を確保しており、2次ミキサーにおける造粒時間は180秒程度を確保して造粒することが通常行われる。
【0013】
また、特許文献2に開示されているように、造粒に際し、単一のミキサーを使用して混合・造粒を行う焼結原料の予備処理方法あるいは焼結原料の造粒方法では、前記した1次ミキサー・2次ミキサーの合計の造粒時間を確保できるミキサー長として造粒することが通常行われる。
前記した、焼結原料から固体燃料系粉原料である粉コークスを分離して造粒しても、粉コークスを添加した際に、焼結原料中に内装化され、内装化により焼結原料の擬似粒子の増加が進まないという問題に対し、本出願人は、特願2002−40197号で、焼結鉱を製造するプロセスの事前処理として膨大な設備を必要とせず、鉄鉱石、SiO2 含有原料、石灰石系原料を、固体燃料系原料から分離して段階的に擬似粒子にすることにより、焼結用原料の造粒の際、造粒される擬似粒子の粒径を増加させ、固体燃料系原料の添加に際しては、擬似粒子の表層部に粉コークスなどの固体燃料系粉原料を適切に外装することができる焼結原料の造粒方法を提案し、これにより、粗粒焼結原料を核としてその周囲に細粒原料を付着させた擬似粒子表面に、内装化されず固体燃料系粉原料を付着させることに成功し、前記内装化による焼結原料の擬似粒子径増加阻害問題の解決を図ることができた。
【0014】
本発明は、前記特願2002−40197号の焼結原料の造粒方法にさらに改良を加え、固体燃料系粉原料の焼結原料の擬似粒子への付着効果をさらに高めるとともに、さらに擬似粒子径を増大させることができ、生産率、歩留、焼結時間、擬似粒子径のより一層の向上が実現できる焼結用原料の製造方法を提供することを目的とする。
【0015】
上記目的を達成するため、本発明のうち請求項1に係る焼結用原料の製造方法は、下方吸引のドワイトロイド式焼結機を用いて高炉用焼結鉱を製造するプロセスの事前処理として、鉄鉱石、鉄鉱石以外のSiO2含有原料、石灰石系粉原料および固体燃料系粉原料からなる焼結原料をドラムミキサーを用いて造粒するに際し、前記ドラムミキサーの装入口から固体燃料系粉原料を除く焼結原料を装入すると共に造粒のために添加する造粒用水分をその全添加水分量に対する重量比が前記装入する焼結原料量の全添加焼結原料量に対する重量比よりも大きい重量比で添加して焼結原料を造粒し、該焼結原料が前記ドラムミキサーの排出口に到達するまでの滞留時間が10〜120秒範囲となる下流側途中に設定した領域で固体燃料系粉原料を添加し、該固体燃料系粉原料の添加時に、残余の造粒用水分を添加して、排出口に至る間に固体燃料系粉原料を焼結原料の外装部に付着・形成することを特徴としている。
【0016】
また、本発明のうち請求項2に係る焼結用原料の製造方法は、下方吸引のドワイトロイド式焼結機を用いて高炉用焼結鉱を製造するプロセスの事前処理として、鉄鉱石、鉄鉱石以外のSiO2含有原料、石灰石系粉原料および固体燃料系粉原料からなる焼結原料をドラムミキサーを用いて造粒するに際し、前記ドラムミキサーの装入口から固体燃料系粉原料を除く焼結原料を装入すると共に造粒のために添加する全造粒用水分を添加して焼結原料を造粒し、該焼結原料が前記ドラムミキサーの排出口に到達するまでの滞留時間が10〜120秒範囲となる下流側途中に設定した領域で固体燃料系原料を添加し、排出口に至る間に固体燃料系粉原料を焼結原料の外装部に付着・形成することを特徴としている。
【0017】
本発明のうち請求項3に係る焼結用原料の製造方法は、請求項1又は2記載の発明において、前記焼結原料がドラムミキサーの排出口に到達するまでの滞留時間が10〜120秒範囲となる下流側途中に設定した領域で添加する前記固体燃料系粉原料を、乾燥状態で添加することを特徴としている。
本発明のうち請求項4に係る焼結用原料の製造方法は、請求項1乃至3のうちいずれか一項に記載の発明において、前記造粒用水分の添加のために使用する造粒水が、ミルスケール・圧延循環水スラッジを含むスラリー水であることを特徴としている。
【0018】
また、本発明のうち請求項5に係る焼結用原料の製造方法は、請求項1乃至4のうちいずれか一項に記載の発明において、下方吸引のドワイトロイド式焼結機を用いて高炉用焼結鉱を製造するプロセスの事前処理として、鉄鉱石、鉄鉱石以外のSiO2含有原料、石灰石系粉原料および固体燃料系粉原料からなる焼結原料をドラムミキサーを用いて造粒するに際し、前記ドラムミキサーを複数に分割したドラムミキサーとして、最終のドラムミキサーを装入口から排出口に到達するまでの滞留時間が10〜120秒範囲に設定されたドラムミキサー長さとして、該最終のドラムミキサー装入側で固体燃料系粉原料を添加することを特徴としている。
【0019】
【発明の実施の形態】
次に本発明を完成するに至った経緯及び本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
本発明者らは、図6に示すように、固体燃料系粉原料であるコークスを含む焼結原料の造粒実験(実験No.1、2)を行った。実験No.1では、鉄鉱石、返鉱、石灰石、生石灰およびコークスをドラムミキサーに装入して造粒(造粒時間:360秒)した。その結果、平均粒径1.52mmの擬似粒子が得られた。実験No.2では、鉄鉱石、返鉱およびコークスをドラムミキサーに装入して造粒(造粒時間:300秒)した後、石灰石、生石灰を添加してさらに造粒(造粒時間:60秒)した。その結果、平均粒径1.46mmの擬似粒子が得られた。
【0020】
一方、図7に示すように、固体燃料系粉原料であるコークスを除く焼結原料(すなわち鉄鉱石、返鉱、石灰石および生石灰)の造粒実験を行ない、造粒開始後の経過時間と擬似粒子の平均粒径の関係を調査した。その結果は、図8に示す通りである。
図8から明らかなように、固体燃料系粉原料(例えば粉コークス)を除く焼結原料の造粒開始後180秒以上経過すれば、擬似粒子の粒径が図6に示した従来法に比較して十分に大きくなることがわかった。ただし本発明では、固体燃料系粉原料を鉄鉱石やSiO2 含有原料、石灰石系粉原料等の他の焼結原料から分離して造粒するので、固体燃料系粉原料を除く焼結原料を造粒して得た擬似粒子に固体燃料系粉原料を内装化させることなく添加する必要がある。
【0021】
そのためには本発明においては、分離した固体燃料系粉原料を造粒の後半の過程で添加して前半の過程で造粒した擬似粒子原料とさらに造粒することで、擬似粒子の外装部分へ固体燃料系粉原料を付着させることにより、終結原料の擬似粒子の粒径を増大させ、焼結層内の通気性を改善し、焼結鉱の生産性を向上することを試行した。
【0022】
しかし、固体燃料系粉原料を焼結原料の外装部に付着・形成させるために添加する時間の設定、すなわち、造粒されつつある焼結原料に固体燃料系粉原料のみを添加した後、該焼結原料がドラムミキサーの排出口に到達するまでの添加後の滞留時間、すなわち、固体燃料系粉原料を焼結原料の外装部に付着・形成させるために添加した後の造粒時間(以降、単に外装時間と呼ぶ)の設定に応じて、大きく効果が異なることを見出した。
【0023】
次に、図9に示すように、固体燃料系粉原料(例えば粉コークス)を除く焼結原料の造粒開始後、300秒経過した後、粉コークスを添加して、さらに造粒を行い、粉コークス添加後の外装時間と擬似粒子の平均粒径との関係を調査した。その結果は図10に示す通りである。
図10から明らかなように、外装時間が長くなるとともに、擬似粒子の粒径が減少することが分かる。擬似粒子の粒径が減少すると、焼結機に装入する際の原料層の通気度が低下するので、外装時間は120秒以下(好ましくは90秒以下、望ましくは60秒以下)が望ましい。
【0024】
すなわち、ドラムミキサー内においては、原料の造粒とともに、破壊も同時に進行しているため、外装時間を120秒(ドラムミキサーの回転数は18回転に相当)を越えて長くすると、ドラムミキサー内で粒子が壊れ、粉コークスが擬似粒子内に取り込まれる。その結果、水と濡れ難く、しかも造粒し難い粉コークスの内装化により擬似粒子径の粒径が減少して、図6に示した固体燃料系粉原料(例えば粉コークス)を含む焼結原料の造粒実験における擬似粒子の粒径と同等の値となっていることが確認された。つまり、外装時間を長くとりすぎると、ドラムミキサー内では、造粒だけでなく、擬似粒子の破壊も同時に進行しているので、外装のために添加した固体燃料系粉原料が擬似粒子の破壊により内部に取り込まれて、内外装ともに存在することになり、固体燃料系粉原料を含む焼結原料の混合・造粒と変わらないことになるのである。
【0025】
また、別の実験より、外装時間が10秒(ドラムミキサーの回転数でいうと、1.5回転に相当)を下回ると、外装時間が不足して、添加した固体燃料系粉原料が原料中の一部分に偏析を起こし、均一な焼結状態が得られないことが分かった。
従って、外装のための固体燃料系粉原料を添加するにあたって、外装時間は10〜120秒にしなければならない。
【0026】
本発明では前記したような外装時間の適正条件を満たすことにより、固体燃料系粉原料も擬似粒子内部に取り込まれることなく、外装化されることになる。
本発明の外装時間の適正範囲を固体燃料系粉原料(例えば粉コークス)の添加に適用する場合、得られる焼結用原料の外装部分は固体燃料系粉原料となったものが得られる。従って、固体燃料系粉原料としての粉コークス等が内装化されないので、造粒し難い粉コークスによる擬似粒子の粒径の減少は生じない。その結果、造粒工程で得られる擬似粒子粒径が増加する効果が得られ、生産性の向上が期待できる。
【0027】
そこで、図11に示すように、固体燃料系粉原料(例えば粉コークス)を除く焼結原料造粒実験(実験No.3、4、5)を行った。実験No.3では、鉄鉱石および返鉱をドラムミキサーに装入して造粒(造粒時間:300秒)した後、石灰石、生石灰、コークスを添加してさらに造粒(造粒時間:60秒)した。その結果、平均粒径1.75mmの擬似粒子が得られた。実験No.4では、鉄鉱石、返鉱および生石灰をドラムミキサーに装入して造粒(造粒時間:300秒)した後、石灰石、コークスを添加してさらに造粒(造粒時間:60秒)した。その結果、平均粒径1.81mmの擬似粒子が得られた。実験No.5では、鉄鉱石、返鉱、生石灰および石灰石をドラムミキサーに装入して造粒(造粒時間:300秒)した後、コークスを添加してさらに造粒(造粒時間:60秒)した。その結果、平均粒径1.74mmの擬似粒子が得られた。
【0028】
つまり、固体燃料系粉原料(例えば粉コークス)を除く焼結原料造粒実験によって得られた疑似粒子の径は、図6に示した固体燃料系粉原料を含む焼結原料の造粒実験における疑似粒子の粒径に比べて、15%以上増大している。
さらに、本発明では、造粒用水分の添加時期及び添加量についても探求した。通常、造粒には、鉄鉱石、鉄鉱石以外のSiO2含有原料(以下、鉄鉱石以外のSiO 2 含有原料を、単に「SiO 2 含有原料」という。)、石灰石系粉原料および固体燃料系粉原料からなる焼結原料の全重量に対して重量比で5〜8%程度の造粒用水分を加えるが、この造粒用水分の添加時期は、原料の装入時点と一致させるのが定法であった。
【0029】
図12は、造粒用水分の配分効果を見るための実験装置を示し、ドラムミキサー100の装入口入側に一次注水ノズル101を設け、排出口出側に二次注水ノズル102を設け、ドラムミキサー100の装入口及び排出口のそれぞれから造粒用水分調整のための造粒用水分を添加できるようにしたものである。
図12に示す装置において、固体燃料系粉原料を除く焼結原料、即ち、鉄鉱石、SiO2 含有原料、および石灰石系粉原料は、ドラムミキサー100の装入口から装入され、混合・造粒されつつ図中右側に移動して行き、下流側で残余の焼結原料、即ち固体燃料系粉原料が装入されて排出口に至る間に固体燃料系粉原料が焼結原料の外装部に付着・形成されるようになっている。
【0030】
図12に示す装置においては、一例として、固体燃料系粉原料を除く焼結原料は全添加焼結原料量に対して重量比で95%であり、固体燃料系粉原料は全添加焼結原料量に対して重量比で5%であり、それら原料に対して造粒のために一次注水ノズル101及び二次注水ノズル102のそれぞれから造粒用水分調整のための造粒用水分が添加されるようになっている。
【0031】
なお、通常行われる定法においては、造粒のために鉄鉱石、SiO2 含有原料、石灰石系粉原料および固体燃料系粉原料からなる焼結原料の全重量に対して重量比で5〜8%程度の造粒用水分を加えるが、この造粒用水分の添加時期は、原料の装入時点と一致させるようになっている。そして、図12の装置における前述の例では、ドラムミキサー100の装入口から装入される固体燃料系粉原料を除く焼結原料は全添加焼結原料量に対して重量比で95%であることから、一次注水ノズル101から造粒用水分をその全添加水分量に対する重量比が前記装入する焼結原料量の全添加焼結原料量に対する重量比95%と同じ重量比95%で添加し、また、二次注水ノズル102から重量比で全添加水分量の残りの5%が固体燃料系粉原料の添加と同時に添加される。これが通常行われる定法である。なお、ドラムミキサーの装入口から焼結原料の全量を装入する場合には造粒用水分の全量をドラムミキサーの装入口から添加するのが定法である。
【0032】
表1には図12に示す装置において一次注水ノズル101及び二次注水ノズル102のそれぞれから添加される造粒用水分の配分(全造粒用水分に対する一次注水及び二次注水の割合)を示し、図13には表1に示す造粒用水分の配分で添加して製造した場合の焼結用原料の生産率、歩留、焼結時間、擬似粒子径の変化の結果を示す。なお、図13のデータは、細粒原料の多いヤンデー(Yandi )鉱石を焼結原料中に80%の配合を行った時の成績である。
【0033】
【表1】
【0034】
図13において、「通常造粒」とは、焼結原料を全量、ドラムミキサー100の装入口から装入して造粒するもので、造粒用水分は全量ドラムミキサー100の装入口から添加されるものである。
図13を参照すると、本発明のいわゆる三層造粒(一層目:粗粒、二層目:細粒、三層目:固体燃料)であって、一次注水ノズル101から造粒用水分をその全添加水分量に対する重量比が装入する焼結原料量の全添加焼結原料量に対する重量比95%と同じ重量比95%で添加し、また、二次注水ノズル102から重量比で全添加水分量の残りの5%を固体燃料系粉原料の添加と同時に添加したものは、通常造粒と比較して、歩留を除く、残り全ての項目に対して有利な効果が得られた。生産率については、1.5t/ hr/ m3 から1.575t/ hr/ m3 に向上し、擬似粒子径については1.76mmから1.85mmに大きくなっている。擬似粒子径が大きくなったことにより、焼結時間も14分15秒から12分45秒に短縮した。歩留については、71.5%から71%に若干の減少となっている。
【0035】
また、これらの成績は造粒用水分の添加時期及び添加量の配分を変更することにより向上する。すなわち、本発明のいわゆる三層造粒であって、一次注水ノズル101から造粒用水分をその全添加水分量に対する重量比が装入する焼結原料量の全添加焼結原料量に対する重量比95%よりも大きい重量比で添加し、また、二次注水ノズル102から全添加水分量の残りを固体燃料系粉原料の添加と同時に添加したものは、前述した造粒より、さらに生産率は向上し、歩留も向上を始め、擬似粒子径もさらに向上する結果、焼結時間も短縮する。
【0036】
さらに、本発明のいわゆる三層造粒であって、一次注水ノズル101から全造粒用水分を添加して造粒したものは、生産率、歩留、擬似粒子径、焼結時間について最高のデータを示した。即ち、生産率については、1.625t/ hr/ m3 に向上し、歩留については72%に向上し、擬似粒子径については1.93mmに大きくなっている。擬似粒子径が大きくなったことにより、焼結時間も12分20秒に短縮した。
【0037】
即ち、本発明の三層造粒になる造粒法では、一層目:粗粒、二層目:細粒、三層目:固体燃料の構成で生産率、擬似粒子径の向上、擬似粒子径の向上に伴う焼結時間の短縮効果が発揮されるが、それに加えて造粒用水分の配分を、固体燃料系粉原料を除く焼結原料を装入する際に、予め過剰に配分して造粒用水分を加えておくことにより、二層目の表面に固体燃料系粉原料を付着しやすくしたものである。
【0038】
即ち、造粒し難い粉コークス等の固体燃料系粉原料以外の原料を用いて造粒すること、固体燃料系粉原料の前記した適性な外装時間を満たすこと、および造粒用水の添加を前記したように過剰に制御することにより、固体燃料系粉原料の付着性を向上させ、かつ擬似粒子内部に固体燃料系粉原料が取り込まれることなく、効率的に外装される。
【0039】
従って、焼結原料をドラムミキサーを用いて造粒するに際し、ドラムミキサーの装入口から固体燃料系粉原料を除く焼結原料を装入すると共に造粒のために添加する造粒用水分をその全添加水分量に対する重量比が前記装入する焼結原料量の全添加焼結原料量に対する重量比よりも大きい重量比で添加して焼結原料を造粒し、焼結原料がドラムミキサーの排出口に到達するまでの滞留時間が10〜120秒範囲となる下流側途中に設定した領域で固体燃料系粉原料を添加し、この固体燃料系粉原料の添加時に、残余の造粒用水分を添加して、排出口に至る間に固体燃料系粉原料を焼結原料の外装部に付着・形成すると、定法の装入量に従う造粒用水分の配分に比べ、生産率、歩留、焼結時間、擬似粒子径の向上が実現できる。
【0040】
また、焼結原料をドラムミキサーを用いて造粒するに際し、ドラムミキサーの装入口から固体燃料系粉原料を除く焼結原料を装入すると共に造粒のために添加する全造粒用水分を添加して焼結原料を造粒し、焼結原料が前記ドラムミキサーの排出口に到達するまでの滞留時間が10〜120秒範囲となる下流側途中に設定した領域で固体燃料系粉原料を添加し、排出口に至る間に固体燃料系粉原料を焼結原料の外装部に付着・形成することにより、生産率、歩留、焼結時間、擬似粒子径の向上効果を最大限に発揮させることができる。
【0041】
さらに、焼結原料がドラムミキサーの排出口に到達するまでの滞留時間が10〜120秒範囲となる下流側途中に設定した領域で添加する固体燃料系粉原料を、乾燥状態で添加すると、排出口に至る間に固体燃料系粉原料を焼結原料の外装部に付着・形成することが容易となり、生産率、歩留、焼結時間、擬似粒子径の向上効果を最大限に発揮させることができる。
【0042】
また、前記造粒用水分の添加時期、添加条件に加えて、造粒用水分の添加のために使用する造粒水についても探求した。まず、造粒用水として工業用水が広く用いられているが、その他、製鉄所の圧延工程で発生するミルスケール、圧延循環水スラッジ等を含む油性のスラリー水を用いることがある。このスラリー水を用いることにより、ミルスケール、圧延循環水スラッジ中の鉄分を焼結原料中に回収できることになり、油分も燃料の一部となり再資源化にとって有利である。
【0043】
図14(a)は工業用水を用いた際の、図14(b)はスラリー水を用いた際の、従来法と本発明法の擬似粒子径および焼結時間の変化を示している。なお、図14(a)、(b)のそれぞれにおけるデータは、細粒原料の多いヤンデー(Yandi )鉱石を焼結原料中に50%の配合を行った時の成績である。
図14(a)の工業用水を用いた場合には、造粒し難い粉コークス等の固体燃料系粉原料を含めて造粒する従来法に比べ、本発明法は擬似粒子径が上昇するとともにこの擬似粒子径の上昇に伴う焼結時間の短縮効果が明確に発揮されている。また、図14(b)のスラリー水を用いた場合も同様傾向があるが、擬似粒子径の上昇効果及び焼結時間の短縮効果がより大きくなっていることが理解される。
【0044】
図14(a)、(b)の従来法同士の比較では、造粒水としてスラリー水を用いる時は工業用水を用いる時よりも若干擬似粒子径が減少した。一方、図14(a)、(b)の本発明法同士の比較では、造粒水としてスラリー水を用いる時は工業用水を用いる時よりも擬似粒子径が上昇するとともに焼結時間が短縮されている。従来法同士の比較で、造粒水としてスラリー水を用いる時に工業用水を用いる時よりも若干擬似粒子径が減少するのは、粉コークス等の固体燃料系粉原料の存在により、疎水性のスラリー水を用いる時、さらに粉コークス等の固体燃料系粉原料が造粒し難くなると推察されるからである。また、本発明法同士の比較で、造粒水としてスラリー水を用いる時に工業用水を用いる時よりも擬似粒子径が上昇するとともに焼結時間が短縮するのは、粉コークス等の固体燃料系粉原料以外の焼結原料を用いて造粒する本発明では、粉コークス等の固体燃料系粉原料による悪影響が解消されているからである。
【0045】
本発明になる固体燃料系粉原料である粉コークスを擬似粒子中に内装化させない造粒フロー例(方法A)について説明する。
図15に示すように、ドラムミキサー5の装入側からは、固体燃料系粉原料4である粉コークスを除く焼結原料が装入され、また、外装時間を制御するため、前記粉コークスは、ドラムミキサー5の排出側から添加される。焼結用原料が排出口に到達するまでの滞留時間が10〜120秒範囲となるドラムミキサー5の下流側途中に設定した外装領域に合わせて、下流側排出口からドラムミキサー5内の長手方向に進退自在に配置したベルトコンベア12の先端位置を、例えば10秒〜120秒範囲の中の60秒に相当する外装領域の中間位置に調整する。そして、ベルトコンベア12を介して固体燃料系粉原料4(例えば粉コークス)を所定領域(ここでは外装領域の中間位置)に添加し、ドラムミキサー5内で外装領域に達するまでに造粒により形成された擬似粒子の周囲に、固体燃料系粉原料4を付着・形成させた外装部分を有する擬似粒子を造粒する。固体燃料系粉原料4は、平均粒径が2.0mm以下、好ましくは1.5mm以下とすることにより外装部分に付着し易くなり、その外表面を覆うことができる。
【0046】
この方法Aは、単一のドラムミキサーを使用するケースである。
ここで、ドラムミキサー5の装入口入側に一次注水ノズル5aを設け、排出口出側に二次注水ノズル5bを設け、一次注水ノズル5aから装入口を経て造粒のために添加する造粒用水分(造粒水a)を添加し、二次注水ノズル5bから造粒用水分(造粒水b)を添加するようにしている。造粒水aは、ドラムミキサー5の装入側から固体燃料系粉原料4である粉コークスを除く焼結原料が装入される時に、同時に添加される。この造粒水aの添加量は、全添加水分量に対する重量比が装入する焼結原料の原料量の全添加焼結原料量に対する重量比よりも大きい重量比で添加される。また、造粒水bは、ドラムミキサー5の排出側からの固体燃料系粉原料4が添加される時に残余の造粒用水分が添加される。なお、造粒のために添加する全造粒用水分を、固体燃料系粉原料4である粉コークスを除く焼結原料をドラムミキサー5の装入口から装入するときに、一次注水ノズル5aから装入口を経て添加するようにしてもよい。また、固体燃料系粉原料4を添加するに際して、乾燥状態で添加することが好ましい。
【0047】
また、図16に、別の本発明の望ましい擬似粒子構造を製造するための造粒フロー例(方法B)を示す。本発明の造粒フロー例(方法B)では、前記図15に示すドラムミキサー5を長手方向に複数に分割して使用する例で、本例では2分割タイプを示す。図16(a)では、固体燃料系粉原料4を除く焼結原料を装入して造粒し擬似粒子を得る第一ドラムミキサー51と、第一ドラムミキサー51で造粒された擬似粒子の周囲に固体燃料系粉原料4を付着させた外装部分を有する擬似粒子を造粒する第二ドラムミキサー52とを直列に配置する。第一ドラムミキサー51は、擬似粒子が造粒できる長さに設定され、また、第二ドラムミキサー52は、擬似粒子の外周に固体燃料系粉原料を外装・付着できる長さ、すなわち第二ドラムミキサー52の長さは、装入口から排出口に到達するまでの擬似粒子の滞留時間が、10〜120秒範囲になるような外装領域に相当する寸法に設定される。そして、第一ドラムミキサー51の装入口入側に一次注水ノズル5aを設け、第二ドラムミキサー52の装入口入側に二次注水ノズル5bを設け、一次注水ノズル5aから装入口を経て造粒のために添加する造粒用水分(造粒水a)を添加し、二次注水ノズル5bから造粒用水分(造粒水b)を添加するようにしている。造粒水aは、第一ドラムミキサー51の装入側から固体燃料系粉原料4である粉コークスを除く焼結原料が装入される時に、同時に添加される。この造粒水aの添加量は、全添加水分量に対する重量比が装入する焼結原料の原料量の全添加焼結原料量に対する重量比よりも大きい重量比で添加される。また、造粒水bは、第二ドラムミキサー52の装入口側からの固体燃料系粉原料4が添加される時に残余の造粒用水分が添加される。なお、造粒のために添加する全造粒用水分を、固体燃料系粉原料4である粉コークスを除く焼結原料を第一ドラムミキサー51の装入口から装入するときに、一次注水ノズル5aから装入口を経て添加するようにしてもよい。また、固体燃料系粉原料4を添加するに際して、乾燥状態で添加することが好ましい。
【0048】
図16(a)において、第一ドラムミキサー51の装入口から鉄鉱石とSiO2 含有原料(珪石、蛇紋岩、Niスラグ等のSiO2 を比較的多く含有する原料)、石灰石系粉原料とを装入する。なお、鉄鉱石とは当然のことながら返鉱も含まれる。そして、第一ドラムミキサー51の装入口から排出口に到達するまでの過程で造粒と崩壊を繰り返しながら粗粒の鉄鉱石あついは粗粒の返鉱(以下単に粗粒の鉄鉱石という)を核として、その周囲に細粒の鉄鉱石および細粒の返鉱(以下単に細粒の鉄鉱石という)、SiO2 含有原料2および石灰石系粉原料を付着させた擬似粒子に造粒される。その後、該擬似粒子が第二ドラムミキサー52の装入口に装入される時に、固体燃料系粉原料4を第二ドラムミキサー52の装入口側から供給する。これにより、第二ドラムミキサー52内で擬似粒子の周囲に固体燃料系粉原料4を外装・付着させる造粒が行われる。
【0049】
図16(b)は、既存ドラムミキサーが2分割タイプである場合の本発明の適用例を示したもので、後半部分の第二ドラムミキサー52の長さが、外装時間が120秒に相当する長さより長い場合は、図15の例と同じく後半部分の第二ドラムミキサー52の排出側からベルトコンベア12によって外装領域に固体燃料系粉原料を供給、添加する。そして、第一ドラムミキサー52の装入口入側に一次注水ノズル5aを設け、第二ドラムミキサー52の装入口入側に二次注水ノズル5bを設け、一次注水ノズル5aから装入口を経て造粒のために添加する造粒用水分(造粒水a)をその全添加水分量に対する重量比が装入する焼結原料の原料量の全添加焼結原料量に対する重量比よりも大きい重量比で添加して焼結原料を造粒し、第二ドラムミキサー52の装入口側からの固体燃料系粉原料4の添加時に、二次注水ノズル5bから残余の造粒用水分(造粒水b)を添加するようにしている。なお、図16(b)において、造粒のために添加する全造粒用水分を、固体燃料系粉原料4を除く焼結原料を第一ドラムミキサー51の装入口から装入するときに、一次注水ノズル5aから装入口を経て添加するようにしてもよい。また、固体燃料系粉原料43を添加するに際して、乾燥状態で添加することが好ましい。
【0050】
本発明の(A方法)または(B方法)によれば、粗粒の鉄鉱石1を核として、その周囲に細粒の鉄鉱石、SiO2 含有原料2および石灰石系粉原料が付着し、さらにその周囲の外装部に固体燃料系粉原料4(コークス)を外装部に付着・形成させることができる。
これにより、本発明になる、焼結用原料の製造方法では、熱源となる固体燃料系粉原料を最外装部に付着・形成させることができ、したがって、固体燃料系粉原料としての粉コークス等が内装化されないため、難造粒物である粉コークス等による造粒悪化の影響がなく、造粒過程で得られる擬似粒子径が増加する効果が得られ、生産性の向上が期待でき、さらに添加した固体燃料系粉原料の燃焼性の向上を図ることができる。さらに、造粒のための造粒用水分の配分を、固体燃料系粉原料4を除く焼結原料を装入する際に、予め過剰に配分して造粒用水分を加えておくことにより、細粒の鉄鉱石、SiO2 含有原料、および石灰石系粉原料の表面に固体燃料系粉原料4を付着しやすくすることができ、生産率、歩留、焼結時間、擬似粒子径をさらに向上させることができる。
【0051】
また、焼結原料をドラムミキサーを用いて造粒するに際し、ドラムミキサーの装入口から固体燃料系粉原料を除く焼結原料を装入すると共に造粒のために添加する全造粒用水分を添加して焼結原料を造粒し、焼結原料が前記ドラムミキサーの排出口に到達するまでの滞留時間が10〜120秒範囲となる下流側途中に設定した領域で固体燃料系粉原料を添加し、排出口に至る間に固体燃料系粉原料を焼結原料の外装部に付着・形成することにより、生産率、歩留、焼結時間、擬似粒子径の向上効果を最大限に発揮させることができる。
【0052】
さらに、焼結原料がドラムミキサーの排出口に到達するまでの滞留時間が10〜120秒範囲となる下流側途中に設定した領域で添加する固体燃料系粉原料を、乾燥状態で添加することにより、排出口に至る間に固体燃料系粉原料を焼結原料の外装部に付着・形成することが容易となり、生産率、歩留、焼結時間、擬似粒子径の向上効果を最大限に発揮させることができる。
【0053】
【実施例】
(実施例1)
表2に示す配合割合の焼結原料を用いて、図15に示す方法で造粒した擬似粒子をドワイトロイド焼結機に輸送し、パレット上に装入し焼結に供した。これを発明例とする。造粒用水分の添加は、全量ドラムミキサー5の装入側で行った。
【0054】
比較のため鉄鉱石、SiO2 含有原料、石灰石系粉原料、およびコークス粉を同時に混合する方法にて造粒した擬似粒子をドワイトロイド焼結機に輸送し、パレット上に装入し焼結に供した。これを比較例とする。造粒用水分の添加は、全量ドラムミキサー5の装入側で行った。なお、造粒用水分は両者とも工業用水を利用した。
【0055】
発明例と比較例について、焼結機の生産率(ton/hr・m3)、焼結鉱の歩留(%)、および擬似粒子径(mm)を調査した。その結果を表3に示す。
表3を参照すると、焼結機の生産率、焼結鉱の歩留、および擬似粒子径のいずれについても発明例の方が比較例よりも向上していることがわかる。
【0056】
【表2】
【0057】
【表3】
【0058】
(実施例2)
表2に示す配合割合の焼結原料を用いて、図16(b)に示す方法で造粒した擬似粒子をドワイトロイド焼結機に輸送し、パレット上に装入し焼結に供した。これを発明例とする。造粒用水分としてミルスケール・圧延循環水スラッジを含むスラリー水を使用し、添加は全量第一ドラムミキサー51の装入側で行った。
【0059】
比較のため鉄鉱石、SiO2 含有原料、石灰石系粉原料、コークス粉を同時に混合する処理方法にて造粒した擬似粒子をドワイトロイド焼結機に輸送し、パレット上に装入し焼結に供した。造粒用水分としてスラリー水を使用し、添加は全量第一ドラムミキサー51の装入側で行った。これを比較例とする。
発明例と比較例について、焼結機の生産率(ton/hr・m3)、焼結鉱の歩留(%)、および擬似粒子径(mm)を調査した。その結果を表4に示す。
表4を参照すると、焼結機の生産率、焼結鉱の歩留、および擬似粒子径のいずれについても発明例の方が比較例よりも向上していることがわかる。
【0060】
【表4】
【0061】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のうち請求項1に係る焼結用原料の製造方法によれば、ドラムミキサーの装入口から固体燃料系粉原料を除く焼結原料を装入して焼結原料を造粒し、該焼結原料が前記ドラムミキサーの排出口に到達するまでの滞留時間が10〜120秒範囲となる下流側途中に設定した領域で固体燃料系粉原料を添加して、排出口に至る間に固体燃料系粉原料を焼結原料の外装部に付着・形成するので、粒径を大きくした擬似粒子の外装部分に固体燃料系粉原料を付着・形成した焼結用擬似粒子原料を製造することができ、焼結鉱製造時の生産性を大きく向上することができる。また、固体燃料系粉原料を除く焼結原料を装入する時に、造粒のために添加する造粒用水分をその全添加水分量に対する重量比が前記装入する焼結原料量の全添加焼結原料量に対する重量比よりも大きい重量比で添加し、固体燃料系粉原料の添加時に、残余の造粒用水分を添加するので、さらに、生産率、歩留、焼結時間、擬似粒子径の向上が実現できる。
【0062】
また、本発明のうち請求項2に係る焼結用原料の製造方法によれば、ドラムミキサーの装入口から固体燃料系粉原料を除く焼結原料を装入すると共に造粒のために添加する全造粒用水分を添加して焼結原料を造粒し、該焼結原料が前記ドラムミキサーの排出口に到達するまでの滞留時間が10〜120秒範囲となる下流側途中に設定した領域で固体燃料系粉原料を添加し、排出口に至る間に固体燃料系粉原料を焼結原料の外装部に付着・形成するので、粒径を大きくした擬似粒子の外装部分に固体燃料系粉原料を付着・形成した焼結用擬似粒子原料を製造することができ、焼結鉱製造時の生産性を大きく向上することができる他、生産率、歩留、焼結時間、擬似粒子径の向上効果を最大限に発揮させることができる。
【0063】
本発明のうち請求項3に係る焼結用原料の製造方法によれば、請求項1又は2記載の発明において、前記焼結原料がドラムミキサーの排出口に到達するまでの滞留時間が10〜120秒範囲となる下流側途中に設定した領域で添加する前記固体燃料系粉原料を、乾燥状態で添加するので、排出口に至る間に固体燃料系粉原料を焼結原料の外装部に付着・形成することが容易となり、生産率、歩留、焼結時間、擬似粒子径の向上効果を最大限に発揮させることができる。
【0064】
本発明のうち請求項4に係る焼結用原料の製造方法によれば、請求項1乃至3のうちいずれか一項に記載の発明において、前記造粒用水分の添加のために使用する造粒水が、ミルスケール・圧延循環水スラッジを含むスラリー水であり、さらに焼結鉱製造時の生産性を大きく向上することができる。
また、本発明のうち請求項5に係る焼結用原料の製造方法によれば、請求項1乃至4のうちいずれか一項に記載の発明において、下方吸引のドワイトロイド式焼結機を用いて高炉用焼結鉱を製造するプロセスの事前処理として、鉄鉱石、鉄鉱石以外のSiO2含有原料、石灰石系粉原料および固体燃料系粉原料からなる焼結原料をドラムミキサーを用いて造粒するに際し、前記ドラムミキサーを複数に分割したドラムミキサーとして、最終のドラムミキサーを装入口から排出口に到達するまでの滞留時間が10〜120秒範囲に設定されたドラムミキサー長さとして、該最終のドラムミキサー装入側で固体燃料系粉原料を添加することにより、粒径を大きくした疑似粒子の外装部分に固体燃料系粉原料を付着・形成した焼結用疑似粒子原料を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来例に係る焼結原料の混合、造粒の系統図である。
【図2】擬似粒子の平均粒径と焼結機の生産率との関係を示すグラフである。
【図3】鉄鉱石の接触角と擬似粒子充填層の通気性との関係を示すグラフである。
【図4】試料、水滴および接触角の関係を模式的に示す側面図である。
【図5】水の浸透高さを測定する装置を模式的に示す断面図である。
【図6】造粒実験の工程を示す系統図である。
【図7】造粒実験の工程を示す系統図である。
【図8】造粒開始後の経過時間と擬似粒子の平均粒径との関係を示すグラフである。
【図9】造粒実験の工程を示す工程図である。
【図10】コークス添加後の外装時間と擬似粒子の平均粒径との関係を示すグラフである。
【図11】造粒実験の工程を示す系統図である。
【図12】造粒用水分の配分効果を見るための実験装置図である。
【図13】表1に示す造粒用水分の配分で添加して製造した場合の焼結用原料の生産率、歩留、焼結時間、擬似粒子径の変化の結果を示す図である。
【図14】(a)は工業用水を用いた際の従来法と本発明法の擬似粒子径および焼結時間の変化を示す図、(b)はスラリー水を用いた際の従来法と本発明法の擬似粒子径および焼結時間の変化を示す図である。
【図15】本発明の造粒フロー(方法A)を示す系統図である。
【図16】本発明の造粒フロー(方法B)を示す系統図である。
【符号の説明】
1 鉄鉱石
2 SiO2 含有原料
3 石灰石系粉原料
4 固体燃料系粉原料
5 ドラムミキサー
5a 一次注水ノズル
5b 二次注水ノズル
6 試料
7 水滴
8 ガラス管
9 ガーゼ
10 粉体
11 水
12 ベルトコンベア
51 第一ドラムミキサー
52 第二ドラムミキサー
Claims (5)
- 下方吸引のドワイトロイド式焼結機を用いて高炉用焼結鉱を製造するプロセスの事前処理として、鉄鉱石、鉄鉱石以外のSiO2含有原料、石灰石系粉原料および固体燃料系粉原料からなる焼結原料をドラムミキサーを用いて造粒するに際し、前記ドラムミキサーの装入口から固体燃料系粉原料を除く焼結原料を装入すると共に造粒のために添加する造粒用水分をその全添加水分量に対する重量比が前記装入する焼結原料量の全添加焼結原料量に対する重量比よりも大きい重量比で添加して焼結原料を造粒し、該焼結原料が前記ドラムミキサーの排出口に到達するまでの滞留時間が10〜120秒範囲となる下流側途中に設定した領域で固体燃料系粉原料を添加し、該固体燃料系粉原料の添加時に、残余の造粒用水分を添加して、排出口に至る間に固体燃料系粉原料を焼結原料の外装部に付着・形成することを特徴とする焼結用原料の製造方法。
- 下方吸引のドワイトロイド式焼結機を用いて高炉用焼結鉱を製造するプロセスの事前処理として、鉄鉱石、鉄鉱石以外のSiO2含有原料、石灰石系粉原料および固体燃料系粉原料からなる焼結原料をドラムミキサーを用いて造粒するに際し、前記ドラムミキサーの装入口から固体燃料系粉原料を除く焼結原料を装入すると共に造粒のために添加する全造粒用水分を添加して焼結原料を造粒し、該焼結原料が前記ドラムミキサーの排出口に到達するまでの滞留時間が10〜120秒範囲となる下流側途中に設定した領域で固体燃料系原料を添加し、排出口に至る間に固体燃料系粉原料を焼結原料の外装部に付着・形成することを特徴とする焼結用原料の製造方法。
- 前記焼結原料がドラムミキサーの排出口に到達するまでの滞留時間が10〜120秒範囲となる下流側途中に設定した領域で添加する前記固体燃料系粉原料を、乾燥状態で添加することを特徴とする請求項1又は2記載の焼結用原料の製造方法。
- 前記造粒用水分の添加のために使用する造粒水が、ミルスケール・圧延循環水スラッジを含むスラリー水であることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一項に記載の焼結用原料の製造方法。
- 下方吸引のドワイトロイド式焼結機を用いて高炉用焼結鉱を製造するプロセスの事前処理として、鉄鉱石、鉄鉱石以外のSiO2含有原料、石灰石系粉原料および固体燃料系粉原料からなる焼結原料をドラムミキサーを用いて造粒するに際し、前記ドラムミキサーを複数に分割したドラムミキサーとして、最終のドラムミキサーを装入口から排出口に到達するまでの滞留時間が10〜120秒範囲に設定されたドラムミキサー長さとして、該最終のドラムミキサー装入側で固体燃料系粉原料を添加することを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか一項に記載の焼結用原料の製造方法。
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